〘503㌻〙
第1章
1 これイエス・キリストの默示なり。即ち、かならず速󠄃かに起󠄃るべき事を、その僕どもに顯させんとて、神の彼に與へしものなるを、彼その使を僕ヨハネに遣󠄃して示し給へるなり。
2 ヨハネは神の言とイエス・キリストの證とに就きて、その見しところを悉とく證せり。
3 此の預言の言を讀む者と之を聽きて其の中に錄されたることを守る者等とは幸福なり、時近󠄃ければなり。
4 ヨハネ書をアジヤに在る七つの敎會に贈る。願くは今在し、昔在し、後來りたまふ者および其の御座の前󠄃にある七つの靈、
5 また忠實なる證人、死人の中より最先に生れ給ひしもの、地の諸王の君なるイエス・キリストより賜ふ恩惠と平󠄃安と汝らに在らんことを。願はくは我らを愛し、その血をもて我らを罪より解放ち、
6 われらを其の父󠄃なる神のために《[*]》國民となし祭司となし給へる者に、世々限りなく榮光と權力とあらんことを、アァメン。[*異本「王」とあり。]
7 視よ、彼は雲の中にありて來りたまふ、諸衆の目、殊に彼を刺したる者これを見ん、かつ地上の諸族みな彼の故に歎かん、然り、アァメン。
8 今いまし、昔いまし、後きたり給ふ主なる全󠄃能の神いひ給ふ『我はアルパなり、オメガなり』
9 汝らの兄弟にして汝らと共にイエスの艱難と國と忍󠄄耐とに與る我ヨハネ、神の言とイエスの證との爲にパトモスといふ島に在りき。
503㌻
10 われ主日に御靈に感じゐたるに、我が後にラッパのごとき大なる聲を聞けり。
11 曰く『なんぢの見る所󠄃のことを書に錄して、エペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、ヒラデルヒヤ、ラオデキヤに在る七つの敎會に贈れ』
12 われ振反りて我に語る聲を見んとし、振反り見れば七つの金の燈臺あり。
13 また燈臺の間に人の子のごとき者ありて、足まで垂るる衣を著、胸に金の帶を束ね、
14 その頭と頭髮とは白き毛のごとく雪󠄃のごとく白く、その目は燄のごとく、
15 その足は爐にて燒きたる輝ける眞鍮のごとく、その聲は衆の水の聲のごとし。
16 その右の手に七つの星を持ち、その口より兩刃󠄃の利き劍いで、その顏は烈しく照る日のごとし。
17 我これを見しとき其の足下に倒れて死にたる者の如くなれり。彼その右の手を我に按きて言ひたまふ『懼るな、我は最先なり、最後なり、〘367㌻〙
18 活ける者なり、われ曾て死にたりしが、視よ、世々限りなく生く。また死と陰府との鍵を有てり。
19 されば汝が見しことと、今あることと、後に成らんとする事とを錄せ、
20 即ち汝が見しところの我が右の手にある七つの星と七つの金の燈臺との奧義なり。七つの星は七つの敎會の使にして、七つの燈臺は七つの敎會なり。
第2章
1 エペソに在る敎會の使に書きおくれ。
「右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燈臺の間に步むもの斯く言ふ、
2 われ汝の行爲と勞と忍󠄄耐とを知る。また汝が惡しき者を忍󠄄び得ざることと、自ら使徒と稱へて使徒にあらぬ者どもを試みて、その虛僞なるを見あらはししこととを知る。
504㌻
3 なんぢは忍󠄄耐を保ち、我が名のために忍󠄄びて倦まざりき。
4 然れど我なんぢに責むべき所󠄃あり、なんぢは初の愛を離れたり。
5 然れば、なんぢ何處より墜ちしかを思へ、悔改めて初の行爲をなせ、然らずして若し悔改めずば、我なんぢに到り、汝の燈臺をその處より取除かん。
6 されど汝に取るべき所󠄃あり、汝はニコライ宗の行爲を憎む、我も之を憎むなり。
7 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし、勝󠄃を得る者には、われ神のパラダイスに在る生命の樹の實を食󠄃ふことを許さん」
8 スミルナに在る敎會の使に書きおくれ。
「最先にして最後なる者、死人となりて復生きし者、かく言ふ。
9 われ汝の艱難と貧󠄃窮とを知る――されど汝は富める者なり。我はまた自らユダヤ人と稱へてユダヤ人にあらず、サタンの會に屬く者より汝が譏を受くるを知る。
10 なんぢ受けんとする苦難を懼るな、視よ、惡魔󠄃なんぢらを試みんとて、汝らの中の或者を獄に入れんとす。汝ら十日のあひだ患難を受けん、なんぢ死に至るまで忠實なれ、然らば我なんぢに生命の冠冕を與へん。
11 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし。勝󠄃を得るものは第二の死に害󠄅はるることなし」
12 ペルガモに在る敎會の使に書きおくれ。
「兩刃󠄃の利き劍を持つもの斯く言ふ、
13 われ汝の住󠄃むところを知る、彼處にはサタンの座位あり、汝わが名を保ち、わが忠實なる證人アンテパスが、汝等のうち即ちサタンの住󠄃む所󠄃にて殺されし時も、なほ我を信ずる信仰を棄てざりき。
505㌻
14 されど我なんぢに責むべき一二の事あり、汝の中にバラムの敎を保つ者どもあり、バラムはバラクに敎へ、彼をしてイスラエルの子孫の前󠄃に躓物を置かしめ、偶像に献げし物を食󠄃はせ、かつ淫行をなさしめたり。〘368㌻〙
15 斯のごとく汝らの中にもニコライ宗の敎を保つ者あり。
16 されば悔改めよ、然らずば我すみやかに汝に到り、わが口の劍にて彼らと戰はん。
17 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし、勝󠄃を得る者には我かくれたるマナを與へん、また受くる者の外、たれも知らざる新しき名を錄したる白き石を與へん」
18 テアテラに在る敎會の使に書きおくれ。
「目は焔のごとく、足は輝ける眞鍮の如くなる神の子、かく言ふ、
19 われ汝の行爲および汝の愛と信仰と職と忍󠄄耐とを知る、又󠄂なんぢの初の行爲よりは後の行爲の多きことを知る。
20 されど我なんぢに責むべき所󠄃あり、汝はかの自ら預言者と稱へて我が僕を敎へ惑し、淫行をなさしめ、偶像に献げし物を食󠄃はしむる女イゼベルを容れおけり。
21 我かれに悔改むる機を與ふれど、その淫行を悔改むることを欲せず。
22 視よ、我かれを牀に投げ入れん、又󠄂かれと共に姦淫を行ふ者も、その行爲を悔改めずば、大なる患難に投げ入れん。
23 又󠄂かれの子供を打ち殺さん、斯てもろもろの敎會は、わが人の腎と心とを究むる者なるを知るべし、我は汝等おのおのの行爲に隨ひて報いん。
24 我この他のテアテラの人にして未だかの敎を受けず、所󠄃謂サタンの深きところを知らぬ汝らに斯くいふ、我ほかの重を汝らに負󠄅はせじ。
506㌻
25 ただ汝等はその有つところを我が到らん時まで保て。
26 勝󠄃を得て終󠄃に至るまで我が命ぜしことを守る者には、諸國の民を治むる權威を與へん。
27 彼は鐵の杖をもて之を治め、土の器を碎くが如くならん、我が父󠄃より我が受けたる權威のごとし。
28 我また彼に曙の明星を與へん。
29 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし」
第3章
1 サルデスに在る敎會の使に書きおくれ。
「神の七つの靈と七つの星とを持つ者かく言ふ、われ汝の行爲を知る、汝は生くる名あれど死にたる者なり。
2 なんぢ目を覺し、殆んど死なんとする殘のものを堅うせよ、我なんぢの行爲のわが神の前󠄃に全󠄃からぬを見とめたり。
3 されば汝の如何に受けしか、如何に聽きしかを思ひいで、之を守りて悔改めよ。もし目を覺さずば盜人のごとく我きたらん、汝わが何れの時きたるかを知らざるべし。〘369㌻〙
4 然れどサルデスにて衣を汚さぬもの數名あり、彼らは白き衣を著て我とともに步まん、斯くするに相應しき者なればなり。
5 勝󠄃を得る者は斯のごとく白き衣を著せられん、我その名を生命の書より消󠄃し落さず、我が父󠄃のまへと御使の前󠄃とにてその名を言ひあらはさん。
6 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし」
7 ヒラデルヒヤにある敎會の使に書きおくれ。
「聖󠄄なるもの眞なる者、ダビデの鍵を持ちて、開けば閉づる者なく、閉づれば開く者なき者かく言ふ、
8 われ汝の行爲を知る、視よ、我なんぢの前󠄃に開けたる門を置く、これを閉ぢ得る者なし。汝すこしの力ありて、我が言を守り、我が名を否まざりき。
507㌻
9 視よ、我サタンの會、すなはち自らユダヤ人と稱へてユダヤ人にあらず、ただ虛僞をいふ者の中より、或者をして汝の足下に來り拜せしめ、わが汝を愛せしことを知らしめん。
10 汝わが忍󠄄耐の言を守りし故に、我なんぢを守りて、地に住󠄃む者どもを試むるために全󠄃世界に來らんとする試鍊のときに免れしめん。
11 われ速󠄃かに來らん、汝の有つものを守りて、汝の冠冕を人に奪はれざれ。
12 われ勝󠄃を得る者を我が神の聖󠄄所󠄃の柱とせん、彼は再び外に出でざるべし、又󠄂かれの上に、わが神の名および我が神の都、すなはち天より我が神より降る新しきエルサレムの名と、我が新しき名とを書き記さん。
13 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし」
14 ラオデキヤに在る敎會の使に書きおくれ。
「アァメンたる者、忠實なる眞なる證人、神の造󠄃り給ふものの本源たる者かく言ふ、
15 われ汝の行爲を知る、なんぢは冷かにもあらず熱きにもあらず、我はむしろ汝が冷かならんか、熱からんかを願ふ。
16 かく熱きにもあらず、冷かにもあらず、ただ微溫きが故に、我なんぢを我が口より吐出さん。
17 なんぢ、我は富めり、豐なり、乏しき所󠄃なしと言ひて、己が惱める者・憐むべき者・貧󠄃しき者・盲目なる者・裸なる者たるを知らざれば、
18 我なんぢに勸む、なんぢ我より火にて煉りたる金を買ひて富め、白き衣を買ひて身に纒ひ、なんぢの裸體の恥を露さざれ、眼藥を買ひて汝の目に塗り、見ることを得よ。
508㌻
19 凡てわが愛する者は、我これを戒め、之を懲す。この故に、なんぢ勵みて悔改めよ。
20 視よ、われ戶の外に立ちて叩く、人もし我が聲を聞きて戶を開かば、我その內に入りて彼とともに食󠄃し、彼もまた我とともに食󠄃せん。〘370㌻〙
21 勝󠄃を得る者には我とともに我が座位に坐することを許さん、我の勝󠄃を得しとき、我が父󠄃とともに其の御座に坐したるが如し。
22 耳ある者は御靈の諸敎會に言ひ給ふことを聽くべし」』
第4章
1 この後われ見しに、視よ、天に開けたる門あり。初に我に語るを聞きしラッパのごとき聲いふ『ここに登れ、我この後おこるべき事を汝に示さん』
2 直ちに、われ御靈に感ぜしが、視よ、天に御座設けあり。
3 その御座に坐したまふ者あり、その坐し給ふものの狀は碧玉・赤瑪瑙のごとく、かつ御座の周󠄃圍には緑玉のごとき虹ありき。
4 また御座のまはりに二十四の座位ありて、二十四人の長老、白き衣を纒ひ、首に金の冠冕を戴きて、その座位に坐せり。
5 御座より數多の電光と聲と雷霆と出づ。また御座の前󠄃に燃えたる七つの燈火あり、これ神の七つの靈なり。
6 御座のまへに水晶に似たる玻璃の海あり。御座の中央と御座の周󠄃圍とに四つの活物ありて、前󠄃も後も數々の目にて滿ちたり。
7 第一の活物は獅子のごとく、第二の活物は牛のごとく、第三の活物は面のかたち人のごとく、第四の活物は飛ぶ鷲のごとし。
8 この四つの活物おのおの六つの翼あり、翼の內も外も數々の目にて滿ちたり、日も夜も絕間なく言ふ、 『聖󠄄なるかな、聖󠄄なるかな、聖󠄄なるかな、 昔在し、今在し、後來りたまふ主たる全󠄃能の神』
509㌻
9 この活物ら御座に坐し、世々限りなく活きたまふ者に榮光と尊󠄅崇とを歸し、感謝する時、
10 二十四人の長老、御座に坐したまふ者のまへに伏し、世々限りなく活きたまふ者を拜し、おのれの冠冕を御座のまへに投げ出して言ふ、
11 『我らの主なる神よ、榮光と尊󠄅崇と能力とを受け給ふは宜なり。汝は萬物を造󠄃りたまひ、萬物は御意󠄃によりて存し、かつ造󠄃られたり』
第5章
1 我また御座に坐し給ふ者の右の手に、卷物のあるを見たり、その裏表に文字あり、七つの印をもて封ぜらる。
2 また大聲に『卷物を開きてその封印を解くに相應しき者は誰ぞ』と呼はる强き御使を見たり。
3 然るに天にも地にも、地の下にも、卷物を開きて之を見得る者なかりき。
4 卷物を開き、これを見るに相應しき者の見えざりしに因りて、我いたく泣きゐたりしに、
5 長老の一人われに言ふ『泣くな、視よ、ユダの族の獅子・ダビデの萠蘗、すでに勝󠄃を得て卷物とその七つの封印とを開き得るなり』〘371㌻〙
6 我また御座および四つの活物と長老たちとの間に、屠られたるが如き羔羊の立てるを見たり、之に七つの角と七つの目とあり、この目は全󠄃世界に遣󠄃されたる神の七つの靈なり。
7 かれ來りて御座に坐したまふ者の右の手より卷物を受けたり。
8 卷物を受けたるとき、四つの活物および二十四人の長老、おのおの立琴と香の滿ちたる金の鉢とをもちて、羔羊の前󠄃に平󠄃伏せり、此の香は聖󠄄徒の祈禱なり。
9 斯て新しき歌を謳ひて言ふ 『なんぢは卷物を受け、その封印を解くに相應しきなり、汝は屠られ、その血をもて諸種の族・國語・民・國の中より人々を神のために買ひ、
10 之を我らの神のために《[*]》國民となし、祭司となし給へばなり。彼らは地の上に王となるべし』[*異本「王」とあり。]
510㌻
11 我また見しに、御座と活物と長老たちとの周󠄃圍にをる多くの御使の聲を聞けり。その數千々萬々にして、
12 大聲にいふ 『屠られ給ひし羔羊こそ、能力と富と知慧󠄄と勢威と尊󠄅崇と榮光と讃美とを受くるに相應しけれ』
13 我また天に、地に、地の下に、海にある萬の造󠄃られたる物、また凡てその中にある物の云へるを聞けり。曰く 『願はくは御座に坐し給ふものと羔羊とに、讃美と尊󠄅崇と榮光と權力と世々限りなくあらん事を』
14 四つの活物はアァメンと言ひ、長老たちは平󠄃伏して拜せり。
第6章
1 羔羊その七つの封印の一つを解き給ひし時、われ見しに、四つの活物の一つが雷霆のごとき聲して『來れ』と言ふを聞けり。
2 また見しに、視よ、白き馬あり、之に乘るもの弓を持ち、かつ冠冕を與へられ、勝󠄃ちて復勝󠄃たんとて出でゆけり。
3 第二の封印を解き給ひたれば、第二の活物の『來れ』と言ふを聞けり。
4 斯て赤き馬いで來り、これに乘るもの、地より平󠄃和を奪ひ取ることと、人をして互に殺さしむる事とを許され、また大なる劍を與へられたり。
〘372㌻〙
5 第三の封印を解き給ひたれば、第三の活物の『來れ』と言ふを聞けり。われ見しに、視よ、黑き馬あり、之に乘るもの手に權衝を持てり。
6 斯て、われ四つの活物の間より出づるごとき聲を聞けり。曰く『小麥五合は一デナリ、大麥一升五合は一デナリなり、油と葡萄酒とを害󠄅ふな』
511㌻
7 第四の封印を解き給ひたれば、第四の活物の『來れ』と言ふを聞けり。
8 われ見しに、視よ、靑ざめたる馬あり、之に乘る者の名を死といひ、陰府これに隨ふ、かれらは地の四分󠄃の一を支配し、劍と饑饉と死と地の獸とをもて、人を殺すことを許されたり。
9 第五の封印を解き給ひたれば、曾つて神の言のため、又󠄂その立てし證のために殺されし者の靈魂の祭壇の下に在るを見たり。
10 彼ら大聲に呼はりて言ふ『聖󠄄にして眞なる主よ、何時まで審かずして地に住󠄃む者に我らの血の復讐をなし給はぬか』
11 爰におのおの白き衣を與へられ、かつ己等のごとく殺されんとする同じ僕たる者と兄弟との數の滿つるまで、なほ暫く安んじて待つべきを言聞けられたり。
12 第六の封印を解き給ひし時、われ見しに、大なる地震ありて、日は荒き毛布のごとく黑く、月は全󠄃面血の如くなり、
13 天の星は無花果の樹の大風に搖られて生後の果の落つるごとく地におち、
14 天は卷物を捲くごとく去りゆき、山と島とは悉とくその處を移されたり。
15 地の王たち・大臣・將校・富める者・强き者・奴隷・自主の人みな洞と山の巖間とに匿れ、
16 山と巖とに對ひて言ふ『請󠄃ふ我らの上に墜ちて、御座に坐したまふ者の御顏より、羔羊の怒より、我らを隱せ。
17 そは御怒の大なる日旣に來ればなり。誰か立つことを得ん』
第7章
1 この後、われ四人の御使の地の四隅に立つを見たり、彼らは地の四方の風を引止めて、地にも海にも諸種の樹にも風を吹かせざりき。
2 また他の一人の御使の、いける神の印を持ちて日の出づる方より登るを見たり、かれ地と海とを害󠄅ふ權を與へられたる四人の御使にむかひ、大聲に呼はりて言ふ、
512㌻
3 『われらが我らの神の僕の額に印するまでは、地をも海をも樹をも害󠄅ふな』
4 われ印せられたる者の數を聽きしに、イスラエルの子等のもろもろの族の中にて、印せられたるもの合せて十四萬四千あり。
5 ユダの族の中にて一萬二千印せられ、 ルベンの族の中にて一萬二千、 ガドの族の中にて一萬二千、〘373㌻〙
6 アセルの族の中にて一萬二千、 ナフタリの族の中にて一萬二千、 マナセの族の中にて一萬二千、
7 シメオンの族の中にて一萬二千、 レビの族の中にて一萬二千、 イサカルの族の中にて一萬二千、
8 ゼブルンの族の中にて一萬二千、 ヨセフの族の中にて一萬二千、 ベニヤミンの族の中にて一萬二千印せられたり。
9 この後われ見しに、視よ、もろもろの國・族・民・國語の中より、誰も數へつくすこと能はぬ大なる群衆、しろき衣を纒ひて手に棕梠の葉をもち、御座と羔羊との前󠄃に立ち、
10 大聲に呼はりて言ふ『救は御座に坐したまふ我らの神と羔羊とにこそ在れ』
11 御使みな御座および長老たちと四つの活物との周󠄃圍に立ちて、御座の前󠄃に平󠄃伏し神を拜して言ふ、
12 『アァメン、讃美・榮光・知慧󠄄・感謝・尊󠄅貴・能力・勢威、世々限りなく我らの神にあれ、アァメン』
13 長老たちの一人われに向ひて言ふ『この白き衣を著たるは如何なる者にして何處より來りしか』
14 我いふ『わが主よ、なんぢ知れり』かれ言ふ『かれらは大なる患難より出できたり、羔羊の血に己が衣を洗ひて白くしたる者なり。
15 この故に神の御座の前󠄃にありて、晝も夜もその聖󠄄所󠄃にて神に事ふ。御座に坐したまふ者は彼らの上に幕屋を張り給ふべし。
16 彼らは重ねて飢󠄄ゑず、重ねて渇かず、日も熱も彼らを侵すことなし。
513㌻
17 御座の前󠄃にいます羔羊は、彼らを牧して生命の水の泉にみちびき、神は彼らの目より凡ての淚を拭ひ給ふべければなり』
第8章
1 第七の封印を解き給ひたれば、凡そ半󠄃時のあひだ天靜かなりき。
2 われ神の前󠄃に立てる七人の御使を見たり、彼らは七つのラッパを與へられたり。
3 また他の一人の御使、金の香爐を持ちきたりて祭壇の前󠄃に立ち、多くの香を與へられたり。これは凡ての聖󠄄徒の祈に加へて御座の前󠄃なる金の香壇の上に献げんためなり。
4 而して香の烟、御使の手より聖󠄄徒たちの祈とともに神の前󠄃に上れり。〘374㌻〙
5 御使その香爐をとり之に祭壇の火を盛りて地に投げたれば、數多の雷霆と聲と電光と、また地震おこれり。
6 ここに七つのラッパをもてる七人の御使これを吹く備をなせり。
7 第一の御使ラッパを吹きしに、血の混りたる雹と火とありて、地にふりくだり、地の三分󠄃の一燒け失せ、樹の三分󠄃の一燒け失せ、もろもろの靑草燒け失せたり。
8 第二の御使ラッパを吹きしに、火にて燃ゆる大なる山の如きもの海に投げ入れられ、海の三分󠄃の一血に變じ、
9 海の中の造󠄃られたる生命あるものの三分󠄃の一死に、船の三分󠄃の一滅びたり。
10 第三の御使ラッパを吹きしに、燈火のごとく燃ゆる大なる星天より隕ちきたり、川の三分󠄃の一と水の源泉との上におちたり。
514㌻
11 この星の名は苦艾といふ。水の三分󠄃の一は苦艾となり、水の苦くなりしに因りて多くの人死にたり。
12 第四の御使ラッパを吹きしに、日の三分󠄃の一と月の三分󠄃の一と星の三分󠄃の一と擊たれて、その三分󠄃の一は暗󠄃くなり、晝も三分󠄃の一は光なく、夜も亦おなじ。
13 また見しに、一つの鷲の中空󠄃を飛び、大なる聲して言ふを聞けり。曰く『地に住󠄃める者どもは禍害󠄅なるかな、禍害󠄅なるかな、禍害󠄅なるかな、尙ほかに三人の御使の吹かんとするラッパの聲あるに因りてなり』
第9章
1 第五の御使ラッパを吹きしに、われ一つの星の天より地に隕ちたるを見たり。この星は底なき坑の鍵を與へられたり。
2 斯て底なき坑を開きたれば、大なる爐の烟のごとき烟、坑より立ちのぼり、日も空󠄃も坑の烟にて暗󠄃くなれり。
3 烟の中より蝗地上に出でて、地の蝎のもてる力のごとき力を與へられ、
4 地の草、すべての靑きもの又󠄂すべての樹を害󠄅ふことなく、ただ額に神の印なき人をのみ害󠄅ふことを命ぜられたり。
5 然れど彼らを殺すことを許されず、五月のあひだ苦しむることを許さる、その苦痛は蝎に刺されたる苦痛のごとし。
6 このとき人々、死を求むとも見出さず、死なんと欲すとも死は逃󠄄げ去るべし。
7 かの蝗の形は戰爭の爲に具󠄄へたる馬のごとく、頭には金に似たる冠冕の如きものあり、顏は人の顏のごとく、
8 之に女の頭髮のごとき頭髮あり、齒は獅子の齒のごとし。
9 また鐵の胸當のごとき胸當あり、その翼の音󠄃は軍車の轟くごとく、多くの馬の戰鬪に馳せゆくが如し。〘375㌻〙
10 また蝎のごとき尾ありて之に刺あり、この尾に五月のあひだ人を害󠄅ふ力あり。
515㌻
11 この蝗に王あり。底なき所󠄃の使にして名をヘブル語にてアバドンと云ひ、ギリシヤ語にてアポルオンと云ふ。
12 第一の禍害󠄅すぎ去れり、視よ、此の後なほ二つの禍害󠄅きたらん。
13 第六の御使ラッパを吹きしに、神の前󠄃なる金の香壇の四つの角より聲ありて、
14 ラッパを持てる第六の御使に『大なるユウフラテ川の邊に繋がれをる四人の御使を解き放て』と言ふを聞けり。
15 斯てその時、その日、その月、その年に至りて、人の三分󠄃の一を殺さん爲に備へられたる四人の御使は、解き放たれたり。
16 騎兵の數は二億なり、我その數を聞けり。
17 われ幻影にてその馬と之に乘る者とを見しに、彼らは火・烟・硫黄の色したる胸當を著く。馬の頭は獅子の頭のごとくにて、その口よりは火と烟と硫黄と出づ。
18 この三つの苦痛、すなはち其の口より出づる火と烟と硫黄とに因りて人の三分󠄃の一殺されたり。
19 馬の力はその口とその尾とにあり、その尾は蛇の如くにして頭あり、之をもて人を害󠄅ふなり。
20 これらの苦痛にて殺されざりし殘の人々は、おのが手の業を悔改めずして、なほ惡鬼を拜し、見ること、聞くこと、步むこと能はぬ、金・銀・銅・石・木の偶像を拜せり、
21 又󠄂その殺人・咒術・淫行・竊盜を悔改めざりき。
第10章
1 我また一人の强き御使の雲を著て天より降るを見たり。その頭の上に虹あり、その顏は日の如く、その足は火の柱のごとし。
2 その手には展きたる小き卷物をもち、右の足を海の上におき、左の足を地の上におき、
3 獅子の吼ゆる如く大聲に呼はれり、呼はりたるとき七つの雷霆おのおの聲を出せり。
4 七つの雷霆の語りし時、われ書き記さんとせしに、天より聲ありて『七つの雷霆の語りしことは封じて書き記すな』といふを聞けり。
516㌻
5 斯て我が見しところの海と地とに跨り立てる御使は、天にむかひて右の手を擧げ、
6 天および其の中に在るもの、地および其の中にあるもの、海および其の中にある物を造󠄃り給ひし世々限りなく生きたまふ者を指し、誓ひて言ふ『この後、時は延ぶることなし。
7 第七の御使の吹かんとするラッパの聲の出づる時に至りて、神の僕なる預言者たちに示し給ひし如く、その奧義は成就せらるべし』
8 斯て我が前󠄃に天より聞きし聲のまた我に語りて『なんぢ徃きて海と地とに跨り立てる御使の手にある展きたる卷物を取れ』と言ふを聞けり。〘376㌻〙
9 われ御使のもとに徃きて小き卷物を我に與へんことを請󠄃ひたれば、彼いふ『これを取りて食󠄃ひ盡せ、さらば汝の腹苦くならん、然れど其の口には蜜のごとく甘からん』
10 われ御使の手より小き卷物をとりて食󠄃ひ盡したれば、口には蜜のごとく甘かりしが、食󠄃ひし後わが腹は苦くなれり。
11 また或物われに言ふ『なんぢ再び多くの民・國・國語・王たちに就きて預言すべし』
第11章
1 爰に、われ杖のごとき間竿を與へられたり、斯て或者いふ『立ちて神の聖󠄄所󠄃と香壇と其處に拜する者どもとを度れ、
2 聖󠄄所󠄃の外の庭は差措きて度るな、これは異邦人に委ねられたり、彼らは四十二个月のあひだ聖󠄄なる都を蹂躪らん。
3 我わが二人の證人に權を與へん、彼らは荒布を著て千二百六十日のあひだ預言すべし。
4 彼らは地の主の御前󠄃に立てる二つのオリブの樹、二つの燈臺なり。
5 もし彼らを害󠄅はんとする者あらば、火その口より出でてその敵を焚き盡さん。もし彼らを害󠄅はんとする者あらば、必ず斯のごとく殺さるべし。
517㌻
6 彼らは預言するあひだ雨を降らせぬやうに天を閉づる權力あり、また水を血に變らせ、思ふままに幾度にても諸種の苦難をもて地を擊つ權力あり。
7 彼等がその證を終󠄃へんとき底なき所󠄃より上る獸ありて之と戰鬪をなし、勝󠄃ちて之を殺さん。
8 その屍體は大なる都の衢に遺󠄃らん。この都を譬へてソドムと云ひ、エジプトと云ふ、即ち彼らの主もまた十字架に釘けられ給ひし所󠄃なり。
9 もろもろの民・族・國語・國のもの、三日半󠄃の間その屍體を見、かつ其の屍體を墓に葬ることを許さざるべし。
10 地に住󠄃む者どもは彼らに就きて喜び樂しみ互に禮物を贈らん、此の二人の預言者は地に住󠄃む者を苦しめたればなり』
11 三日半󠄃ののち生命の息、神より出でて彼らに入り、かれら足にて起󠄃ちたれば、之を見るもの大に懼れたり。
12 天より大なる聲して『ここに昇れ』と言ふを彼ら聞きたれば、雲に乘りて天に昇れり、その敵も之を見たり、
13 このとき大なる地震ありて、都の十分󠄃の一は倒れ、地震のために死にしもの七千人にして、遺󠄃れる者は懼をいだき、天の神に榮光を歸したり。
14 第二の禍害󠄅すぎ去れり、視よ、第三の禍害󠄅すみやかに來るなり。
〘377㌻〙
15 第七の御使ラッパを吹きしに、天に數多の大なる聲ありて『この世の國は我らの主および其のキリストの國となれり。彼は世々限りなく王たらん』と言ふ。
16 かくて神の前󠄃にて座位に坐する二十四人の長老ひれふし神を拜して言ふ、
17 『今いまし昔います主たる全󠄃能の神よ、なんぢの大なる能力を執りて王と成り給ひしことを感謝す。
518㌻
18 諸國の民、怒を懷けり、なんぢの怒も亦いたれり、死にたる者を審き、なんぢの僕なる預言者および聖󠄄徒、また小なるも大なるも汝の名を畏るる者に報賞をあたへ、地を亡す者を亡したまふ時いたれり』
19 斯て天にある神の聖󠄄所󠄃ひらけ、聖󠄄所󠄃のうちに契󠄅約の櫃見え、數多の電光と聲と雷霆と、また地震と大なる雹とありき。
第12章
1 また天に大なる徴見えたり。日を著たる女ありて其の足の下に月あり、其の頭に十二の星の冠冕あり。
2 かれは孕りをりしが、子を產まんとして產みの苦痛と惱とのために叫べり、
3 また天に他の徴見えたり。視よ、大なる赤き龍󠄇あり、これに七つの頭と十の角とありて頭には七つの冠冕あり。
4 その尾は天の星の三分󠄃の一を引きて之を地に落せり。龍󠄇は子を產まんとする女の前󠄃に立ち、產むを待ちて其の子を食󠄃ひ盡さんと構へたり。
5 女は男子を產めり、この子は鐵の杖もて諸種の國人を治めん。かれは神の許に、その御座の下に擧げられたり。
6 女は荒野に逃󠄄げゆけり。彼處に千二百六十日の間かれが養󠄄はるる爲に神の備へ給へる所󠄃あり。
7 斯て天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍󠄇とたたかふ。龍󠄇もその使たちも之と戰ひしが、
8 勝󠄃つこと能はず、天には、はや其の居る所󠄃なかりき。
9 かの大なる龍󠄇、すなはち惡魔󠄃と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全󠄃世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。
10 我また天に大なる聲ありて『われらの神の救と能力と國と神のキリストの權威とは、今すでに來れり。我らの兄弟を訴へ、夜晝われらの神の前󠄃に訴ふるもの落されたり。
519㌻
11 而して兄弟たちは羔羊の血と己が證の言とによりて勝󠄃ち、死に至るまで己が生命を惜まざりき。〘378㌻〙
12 この故に天および天に住󠄃める者よ、よろこべ、地と海とは禍害󠄅なるかな、惡魔󠄃おのが時の暫時なるを知り、大なる憤恚を懷きて汝等のもとに下りたればなり』と云ふを聞けり。
13 斯て龍󠄇はおのが地に落されしを見て男子を生みし女を責めたりしが、
14 女は荒野なる己が處に飛ぶために大なる鷲の兩の翼を與へられたれば、其處にいたり、一年、二年、また半󠄃年のあひだ蛇のまへを離れて養󠄄はれたり。
15 蛇はその口より水を川のごとく、女の背後に吐きて之を流さんとしたれど、
16 地は女を助け、その口を開きて龍󠄇の口より吐きたる川を呑み盡せり。
17 龍󠄇は女を怒りてその裔の殘れるもの、即ち神の誡命を守り、イエスの證を有てる者に戰鬪を挑まんとて出でゆき、
18 海邊の砂の上に立てり。
第13章
1 我また一つの獸の海より上るを見たり。之に十の角と七つの頭とあり、その角に十の冠冕あり、頭の上には神を瀆す名あり。
2 わが見し獸は豹に似て、その足は熊のごとく、その口は獅子の口のごとし。龍󠄇は、これに己が能力と己が座位と大なる權威とを與へたり。
3 我その頭の一つ傷つけられて死ぬばかりなるを見しが、その死ぬべき傷いやされたれば、全󠄃地の者これを怪しみて獸に從へり。
4 また龍󠄇おのが權威を獸に與へしによりて彼ら龍󠄇を拜し、且その獸を拜して言ふ『たれか此の獸に等しき者あらん、誰か之と戰ふことを得ん』
5 獸また大言と瀆言とを語る口を與へられ、四十二个月のあひだ働く權威を與へらる。
6 彼は口をひらきて神を瀆し、又󠄂その御名とその幕屋すなはち天に住󠄃む者どもとを瀆し、
520㌻
7 また聖󠄄徒に戰鬪を挑みて、之に勝󠄃つことを許され、且もろもろの族・民・國語・國を掌どる權威を與へらる。
8 凡て地に住󠄃む者にて其の名を、屠られ給ひし羔羊の生命の書に、世の創より記されざる者は、これを拜せん。
9 人もし耳あらば聽くべし。
10 虜に《[*]》せらるべき者は虜にせられん、劍にて殺す者は、おのれも劍にて殺さるべし、聖󠄄徒たちの忍󠄄耐と信仰とは茲にあり。[*異本「人を虜にする者は己も虜にせられ」とあり。]
11 我また他の獸の地より上るを見たり。これに羔羊のごとき角二つありて龍󠄇のごとく語り、
12 先の獸の凡ての權威を彼の前󠄃にて行ひ、地と地に住󠄃む者とをして死ぬべき傷の醫されたる先の獸を拜せしむ。
13 また大なる徴をおこなひ、人々の前󠄃にて火を天より地に降らせ、
14 かの獸の前󠄃にて行ふことを許されし徴をもて地に住󠄃む者どもを惑し、劍にうたれてなほ生ける獸の像を造󠄃ることを地に住󠄃む者どもに命じたり。〘379㌻〙
15 而してその獸の像に息を與へて物言はしめ、且その獸の像を拜せぬ者をことごとく殺さしむる事を許され、
16 また凡ての人をして、大小・貧󠄃富・自主・奴隷の別なく、或はその右の手、あるいは其の額に徽章を受けしむ。
17 この徽章を有たぬ凡ての者に賣買することを得ざらしめたり。その徽章は獸の名、もしくは其の名の數字なり。
18 智慧󠄄は茲にあり、心ある者は獸の數字を算へよ。獸の數字は人の數字にして、その數字は六百六十六なり。
第14章
1 われ見しに、視よ、羔羊シオンの山に立ちたまふ。十四萬四千の人これと偕に居り、その額には羔羊の名および羔羊の父󠄃の名、記しあり。
521㌻
2 われ天よりの聲を聞けり、多くの水の音󠄃のごとく、大なる雷霆の聲のごとし。わが聞きし此の聲は彈琴者の立琴を彈く音󠄃のごとし。
3 かれら新しき歌を御座の前󠄃および四つの活物と長老等との前󠄃にて歌ふ。この歌は地より贖はれたる十四萬四千人の他は誰も學びうる者なかりき。
4 彼らは女に汚されぬ者なり、潔󠄄き者なり、何處にまれ羔羊の徃き給ふところに隨ふ。彼らは人の中より贖はれて神と羔羊とのために初穗となれり。
5 その口に虛僞なし、彼らは瑕なき者なり。
6 我また他の御使の中空󠄃を飛ぶを見たり。かれは地に住󠄃むもの、即ちもろもろの國・族・國語・民に宣傳へんとて永遠󠄄の福音󠄃を携へ、
7 大聲にて言ふ『なんぢら神を畏れ、神に榮光を歸せよ。その審判󠄄のとき旣に至りたればなり。汝ら天と地と海と水の源泉とを造󠄃り給ひし者を拜せよ』
8 ほかの第二の御使かれに從ひて言ふ『倒れたり、倒れたり。大なるバビロン、己が淫行より出づる憤恚の葡萄酒をもろもろの國人に飮ませし者』
9 ほかの第三の御使かれらに隨ひ大聲にて言ふ『もし獸とその像とを拜し、且その額あるいは手に徽章を受くる者あらば、
10 必ず神の怒の酒杯に盛りたる混りなき憤恚の葡萄酒を飮み、かつ聖󠄄なる御使たち及び羔羊の前󠄃にて火と硫黄とにて苦しめらる可し。
11 その苦痛の烟は世々限りなく立ち昇りて、獸とその像とを拜する者また其の名の徽章を受けし者は、夜も晝も休息を得ざらん。
12 神の誡命とイエスを信ずる信仰とを守る聖󠄄徒の忍󠄄耐は茲にあり』
〘380㌻〙
522㌻
13 我また天より聲ありて『書き記せ「今よりのち主にありて死ぬる死人は幸福なり」御靈も言ひたまふ「然り、彼等はその勞役を止めて息まん。その業これに隨ふなり」』と言ふを聞けり。
14 また見しに、視よ、白き雲あり、その雲の上に人の子の如きもの坐して、首には金の冠冕をいただき、手には利き鎌を持ちたまふ。
15 又󠄂ほかの御使、聖󠄄所󠄃より出で雲のうへに坐したまふ者にむかひ、大聲に呼はりて『なんぢの鎌を入れて刈れ、地の穀物は全󠄃く熟し、旣に刈り取るべき時至ればなり』と言ふ。
16 かくて雲の上に坐したまふ者、その鎌を地に入れたれば、地の穀物は刈り取られたり。
17 又󠄂ほかの御使、天の聖󠄄所󠄃より出で同じく利き鎌を持てり。
18 又󠄂ほかの火を掌どる御使、祭壇より出で、利き鎌を持つ者にむかひ大聲に呼はりて『なんぢの利き鎌を入れて地の葡萄の樹の房を刈り收めよ、葡萄は旣に熟したり』と言ふ。
19 御使その鎌を地に入れて地の葡萄を刈りをさめ、神の憤恚の大なる酒槽に投げ入れたり。
20 かくて都の外にて酒槽を踐みしに、血酒槽より流れ出でて馬の轡に達󠄃くほどになり、一千六百町に廣がれり。
第15章
1 我また天に他の大なる怪しむべき徴を見たり。即ち七人の御使ありて最後の七つの苦難を持てり、神の憤恚は之にて全󠄃うせらるるなり。
2 我また火の混りたる玻璃の海を見しに、獸とその像とその名の數字とに勝󠄃ちたる者ども、神の立琴を持ちて玻璃の海の邊に立てり。
523㌻
3 彼ら神の僕モーセの歌と羔羊の歌とを歌ひて言ふ『主なる全󠄃能の神よ、なんぢの御業は大なるかな、妙なるかな、萬國の王よ、なんぢの道󠄃は義なるかな、眞なるかな。
4 主よ、たれか汝を畏れざる、誰か御名を尊󠄅ばざる、汝のみ聖󠄄なり、諸種の國人きたりて御前󠄃に拜せん。なんぢの審判󠄄は旣に現れたればなり』
5 この後われ見しに、天にある證の幕屋の聖󠄄所󠄃ひらけて、
6 かの七つの苦難を持てる七人の御使、きよき輝ける亞麻󠄃布を著、金の帶を胸に束ねて聖󠄄所󠄃より出づ。
7 四つの活物の一つ、その七人の御使に世々限りなく生きたまふ神の憤恚の滿ちたる七つの金の鉢を與へしかば、
8 聖󠄄所󠄃は神の榮光とその權力とより出づる烟にて滿ち、七人の御使の七つの苦難の終󠄃るまでは誰も聖󠄄所󠄃に入ること能はざりき。〘381㌻〙
第16章
1 我また聖󠄄所󠄃より大なる聲ありて七人の御使に『徃きて神の憤恚の鉢を地の上に傾けよ』と言ふを聞けり。
2 斯て第一の者ゆきて其の鉢を地の上に傾けたれば、獸の徽章を有てる人々とその像を拜する人々との身に惡しき苦しき腫物生じたり。
3 第二の者その鉢を海の上に傾けたれば、海は死人の血の如くなりて海にある生物ことごとく死にたり。
4 第三の者その鉢をもろもろの河と、もろもろの水の源泉との上に傾けたれば、みな血となれり。
524㌻
5 われ水を掌どる御使の『いま在し昔います聖󠄄なる者よ、なんぢの斯く定め給ひしは正しき事なり。
6 彼らは聖󠄄徒と預言者との血を流したれば、之に血を飮ませ給ひしは相應しきなり』と云へるを聞けり。
7 我また祭壇の物言ふを聞けり『然り、主なる全󠄃能の神よ、なんぢの審判󠄄は眞なるかな、義なるかな』と。
8 第四の者その鉢を太陽の上に傾けたれば、太陽は火をもて人を燒くことを許さる。
9 斯て人々烈しき熱に燒かれて、此等の苦難を掌どる權威を有たちまふ神の名を瀆し、かつ悔改めずして神に榮光を歸せざりき。
10 第五の者その鉢を獸の座位の上に傾けたれば、獸の國暗󠄃くなり、その國人痛によりて己の舌を囓み、
11 その痛と腫物とによりて天の神を瀆し、かつ己が行爲を悔改めざりき。
12 第六の者その鉢を大なる河ユウフラテの上に傾けたれば、河の水涸れたり。これ日の出づる方より來る王たちの途󠄃を備へん爲なり。
13 我また龍󠄇の口より、獸の口より、僞預言者の口より、蛙のごとき三つの穢れし靈の出づるを見たり。
14 これは徴をおこなふ惡鬼の靈にして、全󠄃能の神の大なる日の戰鬪のために全󠄃世界の王等を集めんとて、その許に出でゆくなり。
15 (視よ、われ盜人のごとく來らん、裸にて步み羞所󠄃を見らるることな莫からん爲に、目を覺してその衣を守る者は幸福なり)
16 かの三つの靈、王たちをヘブル語にてハルマゲドンと稱ふる處に集めたり。
17 第七の者その鉢を空󠄃中に傾けたれば、聖󠄄所󠄃より、御座より大なる聲いでて『事すでに成れり』と言ふ。
525㌻
18 斯て數多の電光と聲と雷霆とあり、また大なる地震おこれり、人の地の上に在りし以來かかる大なる地震なかりき。〘382㌻〙
19 大なる都は三つに裂かれ、諸國の町々は倒れ、大なるバビロンは神の前󠄃におもひ出されて、劇しき御怒の葡萄酒を盛りたる酒杯を與へられたり。
20 凡ての島は逃󠄄げさり、山は見えずなれり。
21 また天より百斤ほどの大なる雹、人々の上に降りしかば、人々雹の苦難によりて神を瀆せり。是その苦難甚だしく大なればなり。
第17章
1 七つの鉢を持てる七人の御使の一人きたり我に語りて言ふ『來れ、われ多くの水の上に坐する大淫婦󠄃の審判󠄄を汝に示さん。
2 地の王たちは之と淫をおこなひ、地に住󠄃む者らは其の淫行の葡萄酒に醉ひたり』
3 斯て、われ御靈に感じ、御使に携へられて荒野にゆき、緋色の獸に乘れる女を見たり、この獸の體は神を瀆す名にて覆はれ、また七つの頭と十の角とあり。
4 女は紫色と緋とを著、金・寶石・眞珠にて身を飾󠄃り、手には憎むべきものと己が淫行の汚とにて滿ちたる金の酒杯を持ち、
5 額には記されたる名あり。曰く『奧義大なるバビロン、地の淫婦󠄃らと憎むべき者との母』
6 我この女を見るに、聖󠄄徒の血とイエスの證人の血とに醉ひたり。我これを見て大に怪しみたれば、
7 御使われに言ふ『なにゆゑ怪しむか、我この女と之を乘せたる七つの頭、十の角ある獸との奧義を汝に吿げん。
8 なんぢの見し獸は前󠄃に有りしも今あらず、後に底なき所󠄃より上りて滅亡に徃かん、地に住󠄃む者にて世の創より其の名を生命の書に記されざる者は、獸の前󠄃にありて今あらず、後に來るを見て怪しまん。
9 智慧󠄄の心は茲にあり。七つの頭は女の坐する七つの山なり、また七人の王なり。
10 五人は旣に倒れて一人は今あり、他の一人は未だ來らず、來らば暫時のほど止まるべきなり。
526㌻
11 前󠄃にありて今あらぬ獸は第八なり、前󠄃の七人より出でたる者にして滅亡に徃くなり。
12 汝の見し十の角は十人の王にして未だ國を受けざれども、一時のあひだ獸と共に王のごとき權威を受くべし。
13 彼らは心を一つにして己が能力と權威とを獸にあたふ。
14 彼らは羔羊と戰はん。而して羔羊かれらに勝󠄃ち給ふべし、彼は主の主、王の王なればなり。これと偕なる召されたるもの、選󠄄ばれたるもの、忠實なる者も勝󠄃を得べし』
15 御使また我に言ふ『なんぢの見し水、すなはち淫婦󠄃の坐する處は、もろもろの民・群衆・國・國語なり。
16 なんぢの見し十の角と獸とは、かの淫婦󠄃を憎み、之をして荒凉ばしめ、裸ならしめ、且その肉を喰ひ、火をもて之を燒き盡さん。〘383㌻〙
17 神は彼らに御旨を行ふことと、心を一つにすることと、神の御言の成就するまで國を獸に與ふることとを思はしめ給ひたればなり。
18 なんぢの見し女は地の王たちを宰どる大なる都なり』
第18章
1 この後また他の一人の御使の大なる權威を有ちて天より降るを見しに、地はその榮光によりて照されたり。
2 かれ强き聲にて呼はりて言ふ『大なるバビロンは倒れたり、倒れたり、かつ惡魔󠄃の住󠄃家、もろもろの穢れたる靈の檻、もろもろの穢れたる憎むべき鳥の檻となれり。
3 もろもろの國人はその淫行の憤恚の葡萄酒を飮み、地の王たちは彼と淫をおこなひ、地の商人らは彼の奢の勢力によりて富みたればなり』
4 また天より他の聲あるを聞けり。曰く『わが民よ、かれの罪に干らず、彼の苦難を共に受けざらんため、その中を出でよ。
527㌻
5 かれの罪は積りて天にいたり、神その不義を憶え給ひたればなり。
6 彼が爲しし如く彼に爲し、その行爲に應じ、倍して之を報い、かれが酌み與へし酒杯に倍して之に酌與へよ。
7 かれが自ら尊󠄅び、みづから奢りしと同じほどの苦難と悲歎とを之に與へよ。彼は心のうちに「われは女王の位に坐する者にして寡婦󠄃にあらず、決して悲歎を見ざるべし」と言ふ。
8 この故に、さまざまの苦難一日のうちに彼の身にきたらん、即ち死と悲歎と饑饉となり。彼また火にて燒き盡されん、彼を審きたまふ主なる神は强ければなり。
9 彼と淫をおこなひ、彼とともに奢りたる地の王たちは、其の燒かるる烟を見て泣きかつ歎き、
10 その苦難を懼れ、遙に立ちて「禍害󠄅なるかな、禍害󠄅なるかな、大なる都、堅固なる都バビロンよ、汝の審判󠄄は時の間に來れり」と言はん。
11 地の商人かれが爲に泣き悲しまん。今より後その商品を買ふ者なければなり。
12 その商品は金・銀・寶石・眞珠・細布・紫色・絹・緋色および各樣の香木、また象牙のさまざまの器、價貴き木、眞鍮・鐵・蝋石などの各樣の器、
13 また肉桂・香料・香・香油・乳󠄃香・葡萄酒・オリブ油・麥粉・麥・牛・羊・馬・車・奴隷および人の靈魂なり。
14 なんぢの靈魂の嗜みたる果物は汝を去り、すべての美味、華美なる物は亡びて汝を離れん、今より後これを見ること無かるべし。
15 これらの物を商ひ、バビロンに由りて富を得たる商人らは其の苦難を懼れて遙に立ち、泣き悲しみて言はん、〘384㌻〙
16 「禍害󠄅なるかな、禍害󠄅なるかな、細布と紫色と緋とを著、金・寶石・眞珠をもて身を飾󠄃りたる大なる都、
17 斯くばかり大なる富の時の間に荒凉ばんとは」而して凡ての船長、すべて海をわたる人々、舟子および海によりて生活を爲すもの遙かに立ち、
528㌻
18 バビロンの燒かるる烟を見て叫び「いづれの都か、この大なる都に比ぶべき」と言はん。
19 彼等また塵をおのが首に被りて泣き悲しみ叫びて「禍害󠄅なるかな、禍害󠄅なるかな、此の大なる都、その奢によりて海に船を有てる人々の富を得たる都、かく時の間に荒凉ばんとは」と言はん。
20 天よ、聖󠄄徒・使徒・預言者よ、この都につきて喜べ、神なんぢらの爲に之を審き給ひたればなり』
21 爰に一人の强き御使、大なる碾臼のごとき石を擡げ海に投げて言ふ『おほいなる都バビロンは斯のごとく烈しく擊ち倒されて、今より後、見えざるべし。
22 今よりのち立琴を彈くもの、樂を奏するもの、笛を吹く者、ラッパを鳴す者の聲なんぢの中に聞えず、今より後さまざまの細工をなす細工人なんぢの中に見えず、碾臼の音󠄃なんぢの中に聞えず、
23 今よりのち燈火の光なんぢの中に輝かず、今よりのち新郎・新婦󠄃の聲なんぢの中に聞えざるべし。そは汝の商人は地の大臣となり、諸種の國人は、なんぢの咒術に惑され、
24 また預言者・聖󠄄徒および凡て地の上に殺されし者の血は、この都の中に見出されたればなり』
第19章
1 この後われ天に大なる群衆の大聲のごとき者ありて、斯く言ふを聞けり。曰く 『ハレルヤ、救と榮光と權力とは、我らの神のものなり。
2 その御審は眞にして義なるなり、己が淫行をもて地を汚したる大淫婦󠄃を審き、神の僕らの血の復讐を彼になし給ひしなり』
3 また再び言ふ『ハレルヤ、彼の燒かるる烟は世々限りなく立ち昇るなり』
4 爰に二十四人の長老と四つの活物と平󠄃伏して御座に坐したまふ神を拜し『アァメン、ハレルヤ』と言へり。
529㌻
5 また御座より聲出でて言ふ 『すべて神の僕たるもの、神を畏るる者よ、小なるも大なるも、我らの神を讃め奉れ』
6 われ大なる群衆の聲おほくの水の音󠄃のごとく、烈しき雷霆の聲の如きものを聞けり。曰く 『ハレルヤ、全󠄃能の主、われらの神は統治すなり、〘385㌻〙
7 われら喜び樂しみて之に榮光を歸し奉らん。そは羔羊の婚姻の時いたり、旣にその新婦󠄃みづから準備したればなり。
8 彼は輝ける潔󠄄き細布を著ることを許されたり、此の細布は聖󠄄徒たちの正しき行爲なり』
9 御使また我に言ふ『なんぢ書き記せ、羔羊の婚姻の宴席に招かれたる者は幸福なり』と。また我に言ふ『これ神の眞の言なり』
10 我その足下に平󠄃伏して拜せんとしたれば、彼われに言ふ『愼みて然すな、我は汝およびイエスの證を保つ汝の兄弟とともに僕たるなり。なんぢ神を拜せよ、イエスの證は即ち預言の靈なり』
11 我また天の開けたるを見しに、視よ、白き馬あり、之に乘りたまふ者は「忠實また眞」と稱へられ、義をもて審き、かつ戰ひたまふ。
12 彼の目は燄のごとく、その頭には多くの冠冕あり、また記せる名あり、之を知る者は彼の他になし。
13 彼は血に染みたる衣を纒へり、その名は「神の言」と稱ふ。
14 天に在る軍勢は白く潔󠄄き細布を著、馬に乘りて彼にしたがふ。
15 彼の口より利き劍いづ、之をもて諸國の民をうち、鐵の杖をもて之を治め給はん。また自ら全󠄃能の神の烈しき怒の酒槽を踐みたまふ。
16 その衣と股とに『王の王、主の主』と記せる名あり。
17 我また一人の御使の太陽のなかに立てるを見たり。大聲に呼はりて、中空󠄃を飛ぶ凡ての鳥に言ふ『いざ神の大なる宴席に集ひきたりて、
530㌻
18 王たちの肉、將校の肉、强き者の肉、馬と之に乘る者との肉、すべての自主および奴隷、小なるもの大なる者の肉を食󠄃へ』
19 我また獸と地の王たちと彼らの軍勢とが相集りて、馬に乘りたまふ者および其の軍勢に對ひて戰鬪を挑むを見たり。
20 かくて獸は捕へられ、又󠄂その前󠄃に不思議を行ひて獸の徽章を受けたる者と、その像を拜する者とを惑したる僞預言者も、之とともに捕へられ、二つながら生きたるまま硫黄の燃ゆる火の池に投げ入れられたり。
21 その他の者は馬に乘りたまふ者の口より出づる劍にて殺され、凡ての鳥その肉を食󠄃ひて飽󠄄きたり。
第20章
1 我また一人の御使の底なき所󠄃の鍵と大なる鎖とを手に持ちて、天より降るを見たり。
2 彼は龍󠄇、すなわち惡魔󠄃たりサタンたる古き蛇を捕へて、之を千年のあひだ繋ぎおき、
3 底なき所󠄃に投げ入れ閉ぢ込󠄃めて、その上に封印し、千年の終󠄃るまでは諸國の民を惑すこと勿らしむ。その後、暫時のあひだ解き放さるべし。
〘386㌻〙
4 我また多くの座位を見しに、之に座する者あり、審判󠄄する權威を與へられたり。我またイエスの證および神の御言のために馘られし者の靈魂、また獸をもその像をも拜せず己が額あるひは手にその徽章を受けざりし者どもを見たり。彼らは生きかへりて千年の間キリス
5 (その他の死人は千年の終󠄃るまで生きかへらざりき)これは第一の復活なり。
6 幸福なるかな、聖󠄄なるかな、第一の復活に干る人。この人々に對して第二の死は權威を有たず、彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年のあひだ王たるべし。
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7 千年終󠄃りて後サタンは其の檻より解き放たれ、
8 出でて地の四方の國の民、ゴグとマゴグとを惑し戰鬪のために之を集めん、その數は海の砂のごとし。
9 斯て彼らは地の全󠄃面に上りて聖󠄄徒たちの陣營と愛せられたる都とを圍みしが、天より火くだりて彼等を燒き盡し、
10 彼らを惑したる惡魔󠄃は、火と硫黄との池に投げ入れられたり。ここは獸も僞預言者もまた居る所󠄃にして、彼らは世々限りなく晝も夜も苦しめらるべし。
11 我また大なる白き御座および之に座し給ふものを見たり。天も地もその御顏の前󠄃を遁れて跡だに見えずなりき。
12 我また死にたる者の大なるも小なるも御座の前󠄃に立てるを見たり。而して數々の書展かれ、他にまた一つの書ありて展かる。即ち生命の書なり、死人は此等の書に記されたる所󠄃の、その行爲に隨ひて審かれたり。
13 海はその中にある死人を出し、死も陰府もその中にある死人を出したれば、各自その行爲に隨ひて審かれたり。
14 斯て死も陰府も火の池に投げ入れられたり、此の火の池は第二の死なり。
15 すべて生命の書に記されぬ者は、みな火の池に投げ入れられたり。
第21章
1 我また新しき天と新しき地とを見たり。これ前󠄃の天と前󠄃の地とは過󠄃ぎ去り、海も亦なきなり。
2 我また聖󠄄なる都、新しきエルサレムの、夫のために飾󠄃りたる新婦󠄃のごとく準備して、神の許をいで、天より降るを見たり。
3 また大なる聲の御座より出づるを聞けり。曰く『視よ、神の幕屋、人と偕にあり、神、人と偕に住󠄃み、人、神の民となり、神みづから人と偕に在して、
532㌻
4 かれらの目の淚をことごとく拭ひ去り給はん。今よりのち死もなく、悲歎も、號叫も、苦痛もなかるべし。前󠄃のもの旣に過󠄃ぎ去りたればなり』〘387㌻〙
5 斯て御座に坐し給ふもの言ひたまふ『視よ、われ一切のものを新にするなり』また言ひたまふ『書き記せ、これらの言は信ずべきなり、眞なり』
6 また我に言ひたまふ『事すでに成れり、我はアルパなり、オメガなり、始なり、終󠄃なり、渇く者には價なくして生命の水の泉より飮むことを許さん。
7 勝󠄃を得る者は此等のものを嗣がん、我はその神となり、彼は我が子とならん。
8 されど臆するもの、信ぜぬもの、憎むべきもの、人を殺すもの、淫行のもの、咒術をなすもの、偶像を拜する者および凡て僞る者は、火と硫黄との燃ゆる池にて其の報を受くべし、これ第二の死なり』
9 最後の七つの苦難の滿ちたる七つの鉢を持てる七人の御使の一人きたり、我に語りて言ふ『來れ、われ羔羊の妻なる新婦󠄃を汝に見せん』
10 御使、御靈に感じたる我を携へて大なる高き山にゆき、聖󠄄なる都エルサレムの、神の榮光をもて神の許を出でて天より降るを見せたり。
11 その都の光輝はいと貴き玉のごとく、透󠄃徹る碧玉のごとし。
12 此處に大なる高き石垣ありて十二の門あり、門の側らに一人づつ十二の御使あり、門の上に一つづつイスラエルの子孫の十二の族の名を記せり。
13 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門あり。
14 都の石垣には十二の基あり、これに羔羊の十二の使徒の十二の名を記せり。
15 我と語る者は都と門と石垣とを測らん爲に金の間竿を持てり。
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16 都は方形にして、その長さ廣さ相均し。彼は間竿にて都を測りしに一千二百町あり、長さ廣さ高さみな相均し。
17 また石垣を測りしに人の度、すなはち御使の度に據れば百四十四尺あり。
18 石垣は碧玉にて築き、都は淸らかなる玻璃のごとき純金にて造󠄃れり。
19 都の石垣の基は、さまざまの寶石にて飾󠄃れり。第一の基は碧玉、第二は瑠璃、第三は玉髓、第四は緑玉、
20 第五は紅縞瑪瑙、第六は赤瑪瑙、第七は貴橄欖石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十は緑玉髓、第十一は靑玉、第十二は紫水晶なり。
21 十二の門は十二の眞珠なり、おのおのの門は一つの眞珠より成り、都の大路は透󠄃徹る玻璃のごとき純金なり。
22 われ都の內にて宮を見ざりき、主なる全󠄃能の神および羔羊はその宮なり。
23 都は日月の照すを要󠄃せず、神の榮光これを照し、羔羊はその燈火なり。
24 諸國の民は都の光のなかを步み、地の王たちは己が光榮を此處に携へきたる。〘388㌻〙
25 都の門は終󠄃日閉ぢず(此處に夜あることなし)
26 人々は諸國の民の光榮と尊󠄅貴とを此處にたづさえ來らん。
27 凡て穢れたる者、また憎むべき事と虛僞とを行ふ者は、此處に入らず、羔羊の生命の書に記されたる者のみ此處に入るなり。
第22章
1 御使また水晶のごとく透󠄃徹れる生命の水の河を我に見せたり。この河は神と羔羊との御座より出でて都の大路の眞中を流る。
2 河の左右に生命の樹ありて十二種の實を結び、その實は月每に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり。
3 今よりのち詛はるべき者は一つもなかるべし。神と羔羊との御座は都の中にあり。その僕らは之に事へ、
534㌻
4 且その御顏を見ん、その御名は彼らの額にあるべし。
5 今よりのち夜ある事なし、燈火の光をも日の光をも要󠄃せず、主なる神かれらを照し給へばなり。彼らは世々限りなく王たるべし。
6 彼また我に言ふ『これらの言は信ずべきなり、眞なり、預言者たちの靈魂の神たる主は、速󠄃かに起󠄃るべき事をその僕どもに示さんとて御使を遣󠄃し給へるなり。
7 視よ、われ速󠄃かに到らん、この書の預言の言を守る者は幸福なり』
8 これらの事を聞き、かつ見し者は我ヨハネなり。斯て見聞せしとき我これらの事を示したる御使の足下に平󠄃伏して拜せんと爲しに、
9 かれ言ふ『つつしみて然か爲な、われは汝および汝の兄弟たる預言者、また此の書の言を守る者と等しく僕たるなり、なんぢ神を拜せよ』
10 また我に言ふ『この書の預言の言を封ずな、時近󠄃ければなり。
11 不義をなす者はいよいよ不義をなし、不淨なる者はいよいよ不淨をなし、義なる者はいよいよ義をおこなひ、淸き者はいよいよ淸くすべし。
12 視よ、われ報をもて速󠄃かに到らん、各人の行爲に隨ひて之を與ふべし。
13 我はアルパなり、オメガなり、最先なり、最後なり、始なり、終󠄃なり、
14 おのが衣を洗ふ者は幸福なり、彼らは生命の樹にゆく權威を與へられ、門を通󠄃りて都に入ることを得るなり。
15 犬および咒術をなすもの、淫行のもの、人を殺すもの、偶像を拜する者、また凡て虛僞を愛して之を行ふ者は外にあり。
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16 われイエスは我が使を遣󠄃して諸敎會のために此等のことを汝らに證せり。我はダビデの萠蘗また其の裔なり、輝ける曙の明星なり』
〘389㌻〙
17 御靈も新婦󠄃もいふ『來りたまへ』聞く者も言へ『きたり給へ』と、渇く者はきたれ、望󠄇む者は價なくして生命の水を受けよ。
18 われ凡てこの書の預言の言を聞く者に證す。もし之に加ふる者あらば、神はこの書に記されたる苦難を彼に加へ給はん。
19 若しこの預言の書の言を省く者あらば、神はこの書に記されたる生命の樹、また聖󠄄なる都より彼の受くべき分󠄃を省き給はん。
20 これらの事を證する者いひ給ふ『然り、われ速󠄃かに到らん』アァメン、主イエスよ、來りたまへ。
21 願くは主イエスの恩惠、なんぢら凡ての者と偕に在らんことを。〘390㌻〙
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