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ヘブル書
🔝
〘447㌻〙
第1章
1
神
かみ
むかしは
預言者
よげんしゃ
等
たち
により、
多
おほ
くに
分󠄃
わか
ち、
多
おほ
くの
方法
はうほふ
をもて
先祖
せんぞ
たちに
語
かた
り
給
たま
ひしが、
2
この
末
すゑ
の
世
よ
には
御子
みこ
によりて、
我
われ
らに
語
かた
り
給
たま
へり。
神
かみ
は
曾
かつ
て
御子
みこ
を
立
た
てて
萬
よろづ
の
物
もの
の
世嗣
よつぎ
となし、また
御子
みこ
によりて
諸般
もろもろ
の
世界
せかい
を
造󠄃
つく
り
給
たま
へり。
3
御子
みこ
は
神
かみ
の
榮光
えいくわう
のかがやき、
神
かみ
の
本質
ほんしつ
の
像
かた
にして、
己
おの
が
權能
ちから
の
言
ことば
をもて
萬
よろづ
の
物
もの
を
保
たも
ちたまふ。また
罪
つみ
の
潔󠄄
きよめ
をなして、
高
たか
き
處
ところ
にある
稜威
みいつ
の
右
みぎ
に
坐
ざ
し
給
たま
へり。
4
その
受
う
け
給
たま
ひし
名
な
の
御使
みつかひ
の
名
な
に
勝󠄃
まさ
れるごとく、
御使
みつかひ
よりは
更
さら
に
勝󠄃
まさ
る
者
もの
となり
給
たま
へり。
5
神
かみ
は
孰
いづれ
の
御使
みつかひ
に
曾
かつ
て
斯
か
くは
言
い
ひ
給
たま
ひしぞ『なんぢは
我
わ
が
子
こ
なり、われ
今日
けふ
なんぢを
生
う
めり』と。また 『われ
彼
かれ
の
父󠄃
ちち
となり、
彼
かれ
わが
子
こ
とならん』と。
6
また
初子
うひご
を
再
ふたゝ
び
世
よ
に
入
い
れ
給
たま
ふとき 『
神
かみ
の
凡
すべ
ての
使
つかひ
は
之
これ
を
拜
はい
すべし』と
言
い
ひ
給
たま
ふ。
7
また
御使
みつかひ
たちに
就
つき
ては 『
神
かみ
は、その
使
つかひ
たちを
風
かぜ
となし、 その
事
つか
ふる
者
もの
を
焔
ほのほ
となす』と
言
い
ひ
給
たま
ふ。
8
されど
御子
みこ
に
就
つき
ては 『
神
かみ
よ、なんぢの
御座
みくら
は
世々
よゝ
限
かぎ
りなく、
汝
なんぢ
の
國
くに
の
杖
つゑ
は
正
たゞ
しき
杖
つゑ
なり。
9
なんぢは
義
ぎ
を
愛
あい
し、
不法
ふほふ
をにくむ。 この
故
ゆゑ
に
神
かみ
なんぢの
神
かみ
は、
歡喜
よろこび
の
油
あぶら
を
汝
なんぢ
の
友
とも
に
勝󠄃
まさ
りて
汝
なんぢ
にそそぎ
給
たま
へり』と。
10
また 『
主
しゅ
よ、なんぢ
太初
はじめ
に
地
ち
の
基
もとゐ
を
置
お
きたまへり、
天
てん
も
御手
みて
の
業
わざ
なり。
11
これらは
滅
ほろ
びん、されど
汝
なんぢ
は
常
つね
に
存
ながら
へたまはん。
此等
これら
はみな
衣
ころも
のごとく
舊
ふる
びん。
12
而
しか
して
汝
なんぢ
これらを
袍
うはぎ
のごとく
疊
たゝ
み
給
たま
はん、
此等
これら
は
衣
ころも
のごとく
變
かは
らん。
然
さ
れど
汝
なんぢ
は
變
かは
り
給
たま
ふことなく
汝
なんぢ
の
齡
よはひ
は
終󠄃
をは
らざるなり』と
言
い
ひたまふ。
447㌻
13
又󠄂
また
いづれの
御使
みつかひ
に
曾
かつ
て
斯
か
くは
言
い
ひ
給
たま
ひしぞ 『われ
汝
なんぢ
の
仇
あた
を
汝
なんぢ
の
足臺
あしだい
となすまでは、
我
わ
が
右
みぎ
に
坐
ざ
せよ』と。
〘325㌻〙
14
御使
みつかひ
はみな
事
つか
へまつる
靈
れい
にして、
救
すくひ
を
嗣
つ
がんとする
者
もの
のために
職
つとめ
を
執
と
るべく
遣󠄃
つかは
されたる
者
もの
にあらずや。
第2章
1
この
故
ゆゑ
に
我
われ
ら
聞
き
きし
所󠄃
ところ
をいよいよ
篤
あつ
く
愼
つゝし
むべし、
恐
おそ
らくは
流
なが
れ
過󠄃
す
ぐる
事
こと
あらん。
2
若
も
し
御使
みつかひ
によりて
語
かた
り
給
たま
ひし
言
ことば
すら
堅
かた
くせられて、
咎
とが
と
不
ふ
從順
じゅうじゅん
とみな
正
たゞ
しき
報
むくい
を
受
う
けたらんには、
3
我
われ
ら
斯
かく
のごとき
大
おほい
なる
救
すくひ
を
等閑
なほざり
にして
爭
いか
でか
遁
のが
るることを
得
え
ん。この
救
すくひ
は
初
はじ
め
主
しゅ
によりて
語
かた
り
給
たま
ひしものにして、
聞
き
きし
者
もの
ども
之
これ
を
我
われ
らに
確
かた
うし、
4
神
かみ
また
徴
しるし
と
不思議
ふしぎ
と、さまざまの
能力
ちから
ある
業
わざ
と、
御旨
みむね
のままに
分󠄃
わか
ち
與
あた
ふる
聖󠄄
せい
靈
れい
とをもて
證
あかし
を
加
くは
へたまへり。
5
それ
神
かみ
は
我
われ
らの
語
かた
るところの
來
きた
らんとする
世界
せかい
を
御使
みつかひ
たちには
服󠄃
したが
はせ
給
たま
はざりき。
6
或
ある
篇
へん
に
人
ひと
、
證
あかし
して
言
い
ふ 『
人
ひと
は
如何
いか
なる
者
もの
なれば、
之
これ
を
御心
みこゝろ
にとめ
給
たま
ふか。
人
ひと
の
子
こ
は
如何
いか
なる
者
もの
なれば、
之
これ
を
顧󠄃
かへり
み
給
たま
ふか。
7
汝
なんぢ
これを《[*]》
御使
みつかひ
よりも
少
こ
しく
卑
ひく
うし、
光榮
くわうえい
と
尊󠄅貴
たふとき
とを
冠
かむ
らせ、[*或は「しばしば御使よりも卑うし」と譯す。]
8
萬
よろづ
の
物
もの
をその
足
あし
の
下
した
の
服󠄃
したが
はせ
給
たま
へり』と。
旣
すで
に
萬
よろづ
の
物
もの
を
之
これ
に
服󠄃
したが
はせ
給
たま
ひたれば、
服󠄃
したが
はぬものは
一
ひと
つだに
殘
のこ
さるる
事
こと
なし。されど
今
いま
もなほ
我
われ
らは
萬
よろづ
の
物
もの
の
之
これ
に
服󠄃
したが
ひたるを
見
み
ず。
9
ただ
御使
みつかひ
よりも
少
こ
しく
卑
ひく
くせられしイエスの、
死
し
の
苦難
くるしみ
を
受
う
くるによりて
榮光
えいくわう
と
尊󠄅貴
たふとき
とを
冠
かむ
らせられ
給
たま
へるを
見
み
る。これ
神
かみ
の
恩惠
めぐみ
によりて
萬民
ばんみん
のために
死
し
を
味
あぢは
ひ
給
たま
はんとてなり。
10
それ
多
おほ
くの
子
こ
を
光榮
くわうえい
に
導󠄃
みちび
くに、その
救
すくひ
の
君
きみ
を
苦難
くるしみ
によりて
全󠄃
まった
うし
給
たま
ふは、
萬
よろづ
の
物
もの
の
歸
き
するところ、
萬
よろづ
の
物
もの
を
造󠄃
つく
りたまふ
所󠄃
ところ
の
者
もの
に
相應
ふさは
しき
事
こと
なり。
448㌻
11
潔󠄄
きよ
めたまふ
者
もの
も、
潔󠄄
きよ
めらるる
者
もの
も、
皆
みな
ただ
一
ひと
つより
出
い
づ。この
故
ゆゑ
に
彼
かれ
らを
兄弟
きゃうだい
と
稱
とな
ふるを
恥
はぢ
とせずして
言
い
ひ
給
たま
ふ、
12
『われ
御名
みな
を
我
わ
が
兄弟
きゃうだい
たちに
吿
つ
げ、
集會
つどひ
の
中
うち
にて
汝
なんぢ
を
讃
ほ
め
歌
うた
はん』
13
また 『われ
彼
かれ
に
依
よ
り
賴
たの
まん』
又󠄂
また
『
視
み
よ、
我
われ
と
神
かみ
の
我
われ
に
賜
たま
ひし
子
こ
等
ら
とは………』と。
14
子
こ
等
ら
はともに
血肉
けつにく
を
具󠄄
そな
ふれば、
主
しゅ
もまた
同
おな
じく
之
これ
を
具󠄄
そな
へ
給
たま
ひしなり。これは
死
し
の
權力
ちから
を
有
も
つもの、
即
すなは
ち
惡魔󠄃
あくま
を
死
し
によりて
亡
ほろぼ
し、
〘326㌻〙
15
かつ
死
し
の
懼
おそれ
によりて
生涯
しゃうがい
奴隷
どれい
となりし
者
もの
どもを
解放
ときはな
ち
給
たま
はんためなり。
16
實
げ
に
主
しゅ
は
御使
みつかひ
を
扶
たす
けずしてアブラハムの
裔
すゑ
を
扶
たす
けたまふ。
17
この
故
ゆゑ
に、
神
かみ
の
事
こと
につきて
憐憫
あはれみ
ある
忠實
ちゅうじつ
なる
大
だい
祭司
さいし
となりて、
民
たみ
の
罪
つみ
を
贖
あがな
はんために、
凡
すべ
ての
事
こと
において
兄弟
きゃうだい
の
如
ごと
くなり
給
たま
ひしは
宜
うべ
なり。
18
主
しゅ
は《[*]》
自
みづか
ら
試
こゝろ
みられて
苦
くる
しみ
給
たま
ひたれば、
試
こゝろ
みられるる
者
もの
を
助
たす
け
得
う
るなり。[*或は「自ら苦しみて試みられ給ひたれば」と譯す。]
第3章
1
されば
共
とも
に
天
てん
の
召
めし
を
蒙
かうむ
れる
聖󠄄
せい
なる
兄弟
きゃうだい
よ、
我
われ
らが
言
い
ひあらはす
信仰
しんかう
の
使徒
しと
たり
大
だい
祭司
さいし
たるイエスを
思
おも
ひ
見
み
よ。
2
彼
かれ
の
己
おのれ
を
立
た
て
給
たま
ひし
者
もの
に
忠實
ちゅうじつ
なるは、モーセが
神
かみ
の
全󠄃家
ぜんか
に
忠實
ちゅうじつ
なりしが
如
ごと
し。
3
家
いへ
を
造󠄃
つく
る
者
もの
の
家
いへ
より
勝󠄃
まさ
りて
尊󠄅
たふと
ばるる
如
ごと
く、
彼
かれ
もモーセに
勝󠄃
まさ
りて
大
おほい
なる
榮光
えいくわう
を
受
う
くるに
相應
ふさは
しき
者
もの
とせられ
給
たま
へり。
4
家
いへ
は
凡
すべ
て
之
これ
を
造󠄃
つく
る
者
もの
あり、
萬
よろづ
の
物
もの
を
造󠄃
つく
り
給
たま
ひし
者
もの
は
神
かみ
なり。
5
モーセは
後
のち
に
語
かた
り
傳
つた
へられんと
爲
す
ることの
證
あかし
をせんために、
僕
しもべ
として
神
かみ
の
全󠄃家
ぜんか
に
忠實
ちゅうじつ
なりしが、
6
キリストは
子
こ
として
神
かみ
の
家
いへ
を
忠實
ちゅうじつ
に
掌
つかさ
どり
給
たま
へり。
我等
われら
もし
確信
かくしん
と
希望󠄇
のぞみ
の
誇
ほこり
とを
終󠄃
をはり
まで
堅
かた
く
保
たも
たば、
神
かみ
の
家
いへ
なり。
7
この
故
ゆゑ
に
聖󠄄
せい
靈
れい
の
言
い
ひ
給
たま
ふごとく 『
今日
けふ
なんぢら
神
かみ
の
聲
こゑ
を
聞
き
かば、
8
その
怒
いかり
を
惹
ひ
きし
時
とき
のごとく、
荒野
あらの
の
嘗試
こゝろみ
の
日
ひ
のごとく、
心
こゝろ
を
頑固
かたくな
にする
勿
なか
れ。
9
彼處
かしこ
にて
汝
なんぢ
らの
先祖
せんぞ
たちは
我
われ
を
試
こゝろ
みて
驗
ため
し、かつ
四十
しじふ
年
ねん
の
間
あひだ
、わが
業
わざ
を
見
み
たり。
449㌻
10
この
故
ゆゑ
に
我
われ
この
代
よ
の
人
ひと
を
憤
いきど
ほりて
云
い
へり、「
彼
かれ
らは
常
つね
に
心
こゝろ
迷󠄃
まよ
ひ、 わが
途󠄃
みち
を
知
し
らざりき」と。
11
われ
怒
いかり
をもて「
彼
かれ
らは
我
わ
が
休
やすみ
に
入
い
るべからず」と
誓
ちか
へり』
12
兄弟
きゃうだい
よ、
心
こゝろ
せよ、
恐
おそ
らくは
汝
なんぢ
等
ら
のうち
活
い
ける
神
かみ
を
離
はな
れんとする
不
ふ
信仰
しんかう
の
惡
あ
しき
心
こゝろ
を
懷
いだ
く
者
もの
あらん。
13
汝
なんぢ
等
ら
のうち
誰
たれ
も
罪
つみ
の
誘惑
まどはし
によりて
頑固
かたくな
にならぬやう、
今日
けふ
と
稱
とな
ふる
間
うち
に
日々
ひゞ
互
たがひ
に
相
あひ
勸
すゝ
めよ。
14
もし
始
はじめ
の
確信
かくしん
を
終󠄃
をはり
まで
堅
かた
く
保
たも
たば、
我
われ
らはキリストに
與
あづ
かる
者
もの
となるなり。
15
それ 『
今日
けふ
なんぢら
神
かみ
の
聲
こゑ
を
聞
き
かば、その
怒
いかり
を
惹
ひ
きし
時
とき
のごとく、
心
こゝろ
を
頑固
かたくな
にする
勿
なか
れ』と
云
い
へ。
〘327㌻〙
16
然
さ
れば
聞
き
きてなほ
怒
いかり
を
惹
ひ
きし
者
もの
は
誰
たれ
なるか、モーセによりてエジプトを
出
い
でし
凡
すべ
ての
人
ひと
にあらずや。
17
また
四十
しじふ
年
ねん
のあひだ、
神
かみ
は
誰
たれ
に
對
たい
して
憤
いきど
ほり
給
たま
ひしか、
罪
つみ
を
犯
をか
してその
死屍
しかばね
を
荒野
あらの
に
横
よこ
たへし
人々
ひとびと
にあらずや。
18
又󠄂
また
かれらは
我
わ
が
安息
やすみ
に
入
い
るべからずとは、
誰
たれ
に
對
たい
して
誓
ちか
ひ
給
たま
ひしか、
不
ふ
從順
じゅうじゅん
なる
者
もの
にあらずや。
19
之
これ
によりて
見
み
れば、
彼
かれ
らの
入
い
ること
能
あた
はざりしは、
不
ふ
信仰
しんかう
によりてなり。
第4章
1
然
さ
れば
我
われ
ら
懼
おそ
るべし、その
安息
やすみ
に
入
い
るべき
約束
やくそく
はなほ
遺󠄃
のこ
れども、
恐
おそ
らくは
汝
なんぢ
らの
中
うち
これに
達󠄃
たっ
せざる
者
もの
あらん。
2
そは
彼
かれ
らのごとく
我
われ
らも
善
よ
き
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
へられたり、
然
さ
れど
彼
かれ
らには
聞
き
きし
所󠄃
ところ
の
言
ことば
益
えき
なかりき。
聞
き
くもの
之
これ
に
信仰
しんかう
をまじへざりしに
因
よ
る。
3
われら
信
しん
じたる
者
もの
は、かの
休
やすみ
に
入
い
ることを
得
う
るなり。 『われ
怒
いかり
をもて「
彼
かれ
らは、 わが
休
やすみ
に
入
い
るべからず」と
誓
ちか
へり』と
云
い
ひ
給
たま
ひしが
如
ごと
し。されど
世
よ
の
創
はじめ
より
御業
みわざ
は
旣
すで
に
成
な
れるなり。
4
或
ある
篇
へん
に
七日
なぬか
めに
就
つ
きて
斯
か
く
云
い
へり『
七日
なぬか
めに
神
かみ
その
凡
すべ
ての
業
わざ
を
休
やす
みたまへり』と。
5
また
茲
こゝ
に 『かれらは、
我
わ
が
休
やすみ
に
入
い
るべからず』と
云
い
へり。
6
然
さ
れば
之
これ
に
入
い
るべき
者
もの
なほ
在
あ
り、
曩
さき
に
善
よ
き
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
へられし
者
もの
らは、
不
ふ
從順
じゅうじゅん
によりて
入
い
ることを
得
え
ざりしなれば、
450㌻
7
久
ひさ
しきを
經
へ
てのち
復
また
、
日
ひ
を
定
さだ
めダビデによりて『
今日
けふ
』と
言
い
ひ
給
たま
ふ。
曩
さき
に
記
しる
したるが
如
ごと
し。
曰
いは
く 『
今日
けふ
なんぢら
神
かみ
の
聲
こゑ
を
聞
き
かば、
心
こゝろ
を
頑固
かたくな
にする
勿
なか
れ』
8
若
も
しヨシュア
旣
すで
に
休
やすみ
を
彼
かれ
らに
得
え
しめしならば、
神
かみ
はその
後
のち
、ほかの
日
ひ
につきて
語
かた
り
給
たま
はざりしならん。
9
然
さ
れば
神
かみ
の
民
たみ
の
爲
ため
になほ
安息
あんそく
は
遺󠄃
のこ
れり。
10
旣
すで
に
神
かみ
の
休
やすみ
に
入
い
りたる
者
もの
は、
神
かみ
のその
業
わざ
を
休
やす
み
給
たま
ひしごとく、
己
おの
が
業
わざ
を
休
やす
めり。
11
されば
我等
われら
はこの
休
やすみ
に
入
い
らんことを
努
つと
むべし、
是
これ
かの
不
ふ
從順
じゅうじゅん
の
例
れい
にならひて
誰
たれ
も
墮
お
つることなからん
爲
ため
なり。
12
神
かみ
の
言
ことば
は
生命
いのち
あり、
能力
ちから
あり、
兩刃󠄃
もろは
の
劍
つるぎ
よりも
利
と
くして、
精神
せいしん
と
靈魂
たましひ
、
關節󠄄
ふしぶし
と
骨髓
こつずゐ
を
透󠄃
とほ
して
之
これ
を
割󠄅
わか
ち、
心
こゝろ
の
念
おもひ
と
志望󠄇
こゝろざし
とを
驗
ため
すなり。
13
また
造󠄃
つく
られたる
物
もの
に
一
ひと
つとして
神
かみ
の
前󠄃
まへ
に
顯
あらは
れぬはなし、
萬
よろづ
の
物
もの
は
我
われ
らが
係
かゝは
れる
神
かみ
の
目
め
のまへに
裸
はだか
にて
露
あらは
るるなり。
〘328㌻〙
14
我等
われら
には、もろもろの
天
てん
を
通󠄃
とほ
り
給
たま
ひし
偉
おほひ
なる
大
だい
祭司
さいし
、
神
かみ
の
子
こ
イエスあり。
然
さ
れば
我
われ
らが
言
い
ひあらはす
信仰
しんかう
を
堅
かた
く
保
たも
つべし。
15
我
われ
らの
大
だい
祭司
さいし
は
我
われ
らの
弱󠄃
よわき
を
思
おも
ひ
遣󠄃
や
ること
能
あた
はぬ
者
もの
にあらず、
罪
つみ
を
外
ほか
にして
凡
すべ
ての
事
こと
、われらと
等
ひと
しく
試
こゝろ
みられ
給
たま
へり。
16
この
故
ゆゑ
に
我
われ
らは
憐憫
あはれみ
を
受
う
けんが
爲
ため
、また
機
をり
に
合
あ
ふ
助
たすけ
となる
惠
めぐみ
を
得
え
んがために、
憚
はゞか
らずして
惠
めぐみ
の
御座
みざ
に
來
きた
るべし。
第5章
1
凡
おほよ
そ
大
だい
祭司
さいし
は
人
ひと
の
中
うち
より
選󠄄
えら
ばれ、
罪
つみ
のために
供物
そなへもの
と
犧牲
いけにへ
とを
献
さゝ
げんとて、
人
ひと
にかはりて
神
かみ
に
事
つか
ふることを
任
にん
ぜらる。
2
彼
かれ
は
自
みづか
らも
弱󠄃
よわき
に
纒
まと
はるるが
故
ゆゑ
に、
無知
むち
なるもの
迷󠄃
まよ
へる
者
もの
を
思
おも
ひ
遣󠄃
や
ることを
得
う
るなり。
451㌻
3
之
これ
によりて
民
たみ
のために
爲
な
すごとく、また
己
おのれ
のためにも
罪
つみ
に
就
つ
きて
献物
さゝげもの
をなさざるべからず。
4
又󠄂
また
この
貴
たふと
き
位
くらゐ
はアロンのごとく
神
かみ
に
召
め
さるるにあらずば、
誰
たれ
も
自
みづか
ら
之
これ
を
取
と
る
者
もの
なし。
5
斯
かく
の
如
ごと
くキリストも
己
おのれ
を
崇
あが
めて
自
みづか
ら
大
だい
祭司
さいし
となり
給
たま
はず。
之
これ
に
向
むか
ひて 『なんぢは
我
わ
が
子
こ
なり、 われ
今日
けふ
なんぢを
生
う
めり』と
語
かた
り
給
たま
ひし
者
もの
、これを
立
た
てたり。
6
また
他
ほか
の
篇
へん
に 『なんぢは
永遠󠄄
とこしへ
にメルキゼデクの
位
くらゐ
に
等
ひと
しき
祭司
さいし
たり』と
言
い
ひ
給
たま
へるが
如
ごと
し。
7
キリストは
肉體
にくたい
にて
在
いま
ししとき、
大
おほい
なる
叫
さけび
と
淚
なみだ
とをもて、
己
おのれ
を
死
し
より
救
すく
ひ
得
う
る
者
もの
に
祈
いのり
と
願
ねがひ
とを
献
さゝ
げ、その
恭敬
うやうやしき
によりて
聽
き
かれ
給
たま
へり。
8
彼
かれ
は
御子
みこ
なれど、
受
う
けし
所󠄃
ところ
の
苦難
くるしみ
によりて
從順
じゅうじゅん
を
學
まな
び、
9
かつ
全󠄃
まった
うせられたれば、
凡
すべ
て
己
おのれ
に
順
したが
ふ
者
もの
のために
永遠󠄄
とこしへ
の
救
すくひ
の
原
もと
となりて、
10
神
かみ
よりメルキゼデクの
位
くらゐ
に
等
ひと
しき
大
だい
祭司
さいし
と
稱
とな
へられ
給
たま
へり。
11
之
これ
に
就
つ
きて
我
われ
ら
多
おほ
くの
言
い
ふべき
事
こと
あれど、
汝
なんぢ
ら
聞
き
くに
鈍
にぶ
くなりたれば
釋
と
き
難
かた
し。
12
なんぢら
時
とき
を
經
ふ
ること
久
ひさ
しければ、
敎師
けうし
となるべき
者
もの
なるに、
今
いま
また
神
かみ
の
言
ことば
の
初步
しょほ
を
人
ひと
より
敎
をし
へられざるを
得
え
ず、
汝
なんぢ
らは
堅
かた
き
食󠄃物
しょくもつ
ならで
乳󠄃
ちゝ
を
要󠄃
えう
する
者
もの
となれり。
13
おほよそ
乳󠄃
ちゝ
を
用
もち
ふる
者
もの
は
幼兒
をさなご
なれば、
未
いま
だ
義
ぎ
の
言
ことば
に
熟
じゅく
せず、
14
堅
かた
き
食󠄃物
しょくもつ
は
智力
ちりょく
を
練習
れんしふ
して
善惡
ぜんあく
を
辨
わきま
ふる
成人
おとな
の
用
もち
ふるものなり。
第6章
1
この
故
ゆゑ
に
我
われ
らはキリストの
敎
をしへ
の
初步
しょほ
に
止
とゞ
まることなく、
再
ふたゝ
び
死
し
にたる
行爲
おこなひ
の
悔改
くいあらため
と
神
かみ
に
對
たい
する
信仰
しんかう
との
基
もとゐ
、
2
また
各樣
さまざま
のバプテスマと
按手
あんしゅ
と、
死人
しにん
の
復活
よみがへり
と
永遠󠄄
とこしへ
の
審判󠄄
さばき
との
敎
をしへ
の
基
もとゐ
を
置
お
かずして、
完全󠄃
まったき
に
進󠄃
すゝ
むべし。
〘329㌻〙
3
神
かみ
もし
許
ゆる
し
給
たま
はば、
我
われ
ら
之
これ
をなさん。
4
一
ひと
たび
照
てら
されて
天
てん
よりの
賜物
たまもの
を
味
あぢは
ひ、
聖󠄄
せい
靈
れい
に
與
あづか
る
者
もの
となり、
452㌻
5
神
かみ
の
善
よ
き
言
ことば
と
來世
らいせい
の
能力
ちから
とを
味
あぢは
ひて
後
のち
、
6
墮落
だらく
する
者
もの
は、
更
さら
にまた
自
みづか
ら
神
かみ
の
子
こ
を
十字架
じふじか
に
釘
つ
けて
肆
さら
し
者
もの
とする
故
ゆゑ
に、
再
ふたゝ
びこれを
悔改
くいあらため
に
立返󠄄
たちかへ
らすること
能
あた
はざるなり。
7
それ
地
ち
しばしば
其
そ
の
上
うへ
に
降
ふ
る
雨
あめ
を
吸
すひ
入
い
れて、
耕
たがや
す
者
もの
の
益
えき
となるべき
作物
さくもつ
を
生
しゃう
ぜば、
神
かみ
より
祝福
しくふく
を
受
う
く。
8
されど
茨
いばら
と
薊
あざみ
とを
生
しゃう
ぜば、
棄
す
てられ、かつ
詛
のろひ
に
近󠄃
ちか
く、その
果
は
ては
焚
や
かるるなり。
9
愛
あい
する
者
もの
よ、われら
斯
か
くは
語
かた
れど、
汝
なんぢ
らには
更
さら
に
善
よ
きこと、
即
すなは
ち
救
すくひ
にかかはる
事
こと
あるを
深
ふか
く
信
しん
ず。
10
神
かみ
は
不義
ふぎ
に
在
いま
さねば、
汝
なんぢ
らの
勤勞
はたらき
と、
前󠄃
さき
に
聖󠄄徒
せいと
につかへ、
今
いま
もなほ
之
これ
に
事
つか
へて
御名
みな
のために
顯
あらは
したる
愛
あい
とを
忘
わす
れ
給
たま
ふことなし。
11
我
われ
らは
汝
なんぢ
等
ら
がおのおの
終󠄃
をはり
まで
前󠄃
まへ
と
同
おな
じ
勵
はげみ
をあらはして
全󠄃
まった
き
望󠄇
のぞみ
を
保
たも
ち、
12
怠
おこた
ることなく、
信仰
しんかう
と
耐忍󠄄
しのび
とをもて
約束
やくそく
を
嗣
つ
ぐ
人々
ひとびと
に
效
なら
はんことを
求
もと
む。
13
それ
神
かみ
はアブラハムに
約
やく
し
給
たま
ふとき、
指
さ
して
誓
ちか
ふべき
己
おのれ
より
大
おほい
なる
者
もの
なき
故
ゆゑ
に、
己
おのれ
を
指
さ
して
誓
ちか
ひて
言
い
ひ
給
たま
へり、
14
『われ
必
かなら
ず、なんぢを
惠
めぐ
み
惠
めぐ
まん、なんぢを
殖
ふや
し
殖
ふや
さん』と、
15
斯
かく
の
如
ごと
くアブラハムは
耐
たへ
忍󠄄
しの
びて
約束
やくそく
のものを
得
え
たり。
16
おほよそ
人
ひと
は
己
おのれ
より
大
おほい
なる
者
もの
を
指
さ
して
誓
ちか
ふ、その
誓
ちかひ
はすべての
爭論
あらそひ
を
罷
や
むる
保證
ほしょう
たり。
17
この
故
ゆゑ
に
神
かみ
は
約束
やくそく
を
嗣
つ
ぐ
者
もの
に
御旨
みむね
の
變
かは
らぬことを
充分󠄃
じゅうぶん
に
示
しめ
さんと
欲
ほっ
して
誓
ちかひ
を
加
くは
へ
給
たま
へり。
18
これ
神
かみ
の
謊
いつは
ること
能
あた
はぬ
二
ふた
つの
變
かは
らぬものによりて、
己
おのれ
の
前󠄃
まへ
に
置
お
かれたる
希望󠄇
のぞみ
を
捉
とら
へんとて
遁
のが
れたる
我
われ
らに
强
つよ
き
奬勵
しゃうれい
を
與
あた
へん
爲
ため
なり。
19
この
希望󠄇
のぞみ
は
我
われ
らの
靈魂
たましひ
の
錨
いかり
のごとく
安全󠄃
あんぜん
にして
動
うご
かず、かつ
幔
まく
の
內
うち
に
入
い
る。
20
イエス
我等
われら
のために
前󠄃驅
さきがけ
し、
永遠󠄄
とこしへ
にメルキゼデクの
位
くらゐ
に
等
ひと
しき
大
だい
祭司
さいし
となりて、その
處
ところ
に
入
い
り
給
たま
へり。
453㌻
第7章
1
此
こ
のメルキゼデクはサレムの
王
わう
にて
至高
いとたか
き
神
かみ
の
祭司
さいし
たりしが、
王
わう
たちを
破
やぶ
りて
還󠄃
かへ
るアブラハムを
迎󠄃
むか
へて
祝福
しくふく
せり。
2
アブラハムは
彼
かれ
に
凡
すべ
ての
物
もの
の
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
分󠄃
わけ
與
あた
へたり。その
名
な
を
釋
と
けば
第一
だいいち
に
義
ぎ
の
王
わう
、
次
つぎ
にサレムの
王
わう
、すなはち
平󠄃和
へいわ
の
王
わう
なり。
3
父󠄃
ちち
なく、
母
はは
なく、
系圖
けいづ
なく、
齡
よはひ
の
始
はじめ
なく、
生命
いのち
の
終󠄃
をはり
なく、
神
かみ
の
子
こ
の
如
ごと
くにして
限
かぎ
りなく
祭司
さいし
たり。
〘330㌻〙
4
先祖
せんぞ
アブラハム
分󠄃捕物
ぶんどりもの
のうち
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
、
最
もっと
も
善
よ
き
物
もの
を
之
これ
に
與
あた
へたれば、その
人
ひと
の
如何
いか
に
尊󠄅
たふと
きかを
思
おも
ふべし。
5
レビの
子
こ
等
ら
のうち
祭司
さいし
の
職
つとめ
を
受
う
くる
者
もの
は、
律法
おきて
によりて
民
たみ
、
即
すなは
ちアブラハムの
腰
こし
より
出
い
でたる
己
おの
が
兄弟
きゃうだい
より、
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
取
と
ることを
命
めい
ぜらる。
6
されど
此
こ
の
血脈
ちすぢ
にあらぬ
彼
かれ
は、アブラハムより
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
取
と
りて
約束
やくそく
を
受
う
けし
者
もの
を
祝福
しくふく
せり。
7
それ
小
せう
なる
者
もの
の
大
だい
なる
者
もの
に
祝福
しくふく
せらるるは
論
ろん
なき
事
こと
なり。
8
かつ
此所󠄃
ここ
にては
死
し
ぬべき
者
もの
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
受
う
くれども、
彼處
かしこ
にては『
活
い
くるなり』と
證
あかし
せられた
者
もの
、これを
受
う
く。
9
また
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
受
う
くるレビすら、アブラハムに
由
よ
りて
十分󠄃
じふぶん
の
一
いち
を
納󠄃
をさ
めたりと
云
い
ふも
可
か
なり。
10
そはメルキゼデクのアブラハムを
迎󠄃
むか
へし
時
とき
に、レビはなほ
父󠄃
ちち
の
腰
こし
に
在
あ
りたればなり。
11
もしレビの
系
すぢ
なる
祭司
さいし
によりて
全󠄃
まった
うせらるる
事
こと
ありしならば(
民
たみ
は
之
これ
によりて
律法
おきて
を
受
う
けたり)
何
なに
ぞなほ
他
ほか
にアロンの
位
くらゐ
に
等
ひと
しからぬメルキゼデクの
位
くらゐ
に
等
ひと
しき
祭司
さいし
の
起󠄃
おこ
る
必要󠄃
ひつえう
あらんや。
12
祭司
さいし
の
易
かは
る
時
とき
には
律法
おきて
も
亦
また
必
かなら
ず
易
かは
るべきなり。
13
此
これ
等
ら
のことは
曾
かつ
て
祭壇
さいだん
に
事
つか
へたることなき
他
ほか
の
族
やから
に
屬
ぞく
する
者
もの
をさして
云
い
へるなり。
14
それ
我
われ
らの
主
しゅ
のユダより
出
い
で
給
たま
へるは
明
あきら
かにして、
此
こ
の
族
やから
につき、モーセは
聊
いさゝ
かも
祭司
さいし
に
係
かゝは
ることを
云
い
はざりき。
454㌻
15
-16
又󠄂
また
メルキゼデクのごとき
他
ほか
の
祭司
さいし
おこり、
肉
にく
の
誡命
いましめ
の
法
のり
に
由
よ
らず、
朽
く
ちざる
生命
いのち
の
能力
ちから
によりて
立
た
てられたれば、
我
わ
が
言
い
ふ
所󠄃
ところ
いよいよ
明
あきら
かなり。
17
そは『なんぢは
永遠󠄄
とこしへ
にメルキゼデクの
位
くらゐ
に
等
ひと
しき
祭司
さいし
たり』と
證
あかし
せられ
給
たま
へばなり。
18
前󠄃
さき
の
誡命
いましめ
は
弱󠄃
よわ
く、かつ
益
えき
なき
故
ゆゑ
に
廢
はい
せられ、
19
(
律法
おきて
は
何
なに
をも
全󠄃
まった
うせざりしなり)
更
さら
に
優
すぐ
れたる
希望󠄇
のぞみ
を
置
お
かれたり、この
希望󠄇
のぞみ
によりて
我
われ
らは
神
かみ
に
近󠄃
ちか
づくなり。
20
かの
人々
ひとびと
は
誓
ちかひ
なくして
祭司
さいし
とせられたれども、
21
彼
かれ
は
誓
ちかひ
なくしては
爲
せ
られず、
誓
ちかひ
をもて
祭司
さいし
とせられ
給
たま
へり。
即
すなは
ち
彼
かれ
に
就
つ
きて 『
主
しゅ
ちかひて
悔
く
い
給
たま
はず、 「なんぢは
永遠󠄄
とこしへ
に
祭司
さいし
たり」』と
言
い
ひ
給
たま
ひしが
如
ごと
し。
22
イエスは
斯
か
くも
優
すぐ
れたる
契󠄅約
けいやく
の
保證
ほしょう
となり
給
たま
へり。
23
かの
人々
ひとびと
は
死
し
によりて
永
なが
くその
職
つとめ
に
留
とゞま
ることを
得
え
ざる
故
ゆゑ
に、
祭司
さいし
となりし
者
もの
の
數
かず
多
おほ
かりき。
24
されど
彼
かれ
は
永遠󠄄
とこしへ
に
在
いま
せば
易
かは
ることなき
祭司
さいし
の
職
つとめ
を
保
たも
ちたまふ。
25
この
故
ゆゑ
に
彼
かれ
は
己
おのれ
に
賴
よ
りて
神
かみ
にきたる
者
もの
のために
執成
とりなし
をなさんとて
常
つね
に
生
い
くれば、
之
これ
を
全󠄃
まった
く
救
すく
ふことを
得給
えたま
ふなり。
〘331㌻〙
26
斯
かく
のごとき
大
だい
祭司
さいし
こそ
我
われ
らに
相應
ふさは
しき
者
もの
なれ、
即
すなは
ち
聖󠄄
せい
にして
惡
あく
なく、
穢
けがれ
なく、
罪人
つみびと
より
遠󠄄
とほ
ざかり、
諸般
もろもろ
の
天
てん
よりも
高
たか
くせられ
給
たま
へり。
27
他
ほか
の
大
だい
祭司
さいし
のごとく
先
ま
づ
己
おのれ
の
罪
つみ
のため、
次
つぎ
に
民
たみ
の
罪
つみ
のために
日々
ひゞ
犧牲
いけにへ
を
献
さゝ
ぐるを
要󠄃
えう
し
給
たま
はず、その
一
ひと
たび
己
おのれ
を
献
さゝ
げて
之
これ
を
成
な
し
給
たま
ひたればなり。
28
律法
おきて
は
弱󠄃
よわ
みある
人々
ひとびと
を
立
た
てて
大
だい
祭司
さいし
とすれども、
律法
おきて
の
後
のち
なる
誓
ちかひ
の
御言
みことば
は、
永遠󠄄
とこしへ
に
全󠄃
まった
うせられ
給
たま
へる
御子
みこ
を
大
だい
祭司
さいし
となせり。
455㌻
第8章
1
今
いま
いふ
所󠄃
ところ
の
要󠄃點
えうてん
は
斯
かく
のごとき
大
だい
祭司
さいし
の
我
われ
らにある
事
こと
なり。
彼
かれ
は
天
てん
にては
稜威
みいつ
の
御座
みくら
の
右
みぎ
に
坐
ざ
し、
2
聖󠄄所󠄃
せいじょ
および
眞
まこと
の
幕屋
まくや
に
事
つか
へたまふ。この
幕屋
まくや
は
人
ひと
の
設
まう
くるものにあらず、
主
しゅ
の
設
まう
けたまふ
所󠄃
ところ
なり。
3
おほよそ
大
だい
祭司
さいし
の
立
た
てらるるは
供物
そなへもの
と
犧牲
いけにへ
とを
献
さゝ
げん
爲
ため
なり、この
故
ゆゑ
に
彼
かれ
もまた
献
さゝ
ぐべき
物
もの
あるべきなり。
4
然
しか
るに
若
も
し
地
ち
に
在
いま
さば
旣
すで
に
律法
おきて
に
循
したが
ひて
供物
そなへもの
を
献
さゝ
ぐる
祭司
さいし
等
ら
あるによりて
祭司
さいし
とはなり
給
たま
はざるべし。
5
彼
かれ
らの
事
つか
ふるは、
天
てん
にある
物
もの
の
型
かた
と
影
かげ
となり。モーセが
幕屋
まくや
を
建
た
てんとする
時
とき
に『
愼
つゝし
め、
山
やま
にて
汝
なんぢ
が
示
しめ
されたる
式
かた
に
效
なら
ひて
凡
すべ
ての
物
もの
を
造󠄃
つく
れ』との
御吿
みつげ
を
受
う
けしが
如
ごと
し。
6
されどキリストは
更
さら
に
勝󠄃
まさ
れる
約束
やくそく
に
基
もとづ
きて
立
た
てられし
勝󠄃
まさ
れる
契󠄅約
けいやく
の
中保
なかだち
となりたれば、
更
さら
に
勝󠄃
まさ
る
職
つとめ
を
受
う
け
給
たま
へり。
7
かつ
初
はじめ
の
契󠄅約
けいやく
もし
虧
か
くる
所󠄃
ところ
なくば、
第二
だいに
の
契󠄅約
けいやく
を
求
もと
むる
事
こと
なかりしならん。
8
然
しか
るに
彼
かれ
らを
咎
とが
めて
言
い
ひ
給
たま
ふ 『
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ「
視
み
よ、
我
われ
イスラエルの
家
いへ
とユダの
家
いへ
とに、
新
あたら
しき
契󠄅約
けいやく
を
設
まう
くる
日
ひ
來
きた
らん。
9
この
契󠄅約
けいやく
は
我
われ
かれらの
先祖
せんぞ
の
手
て
を
執
と
りて、 エジプトの
地
ち
より
導󠄃
みちび
き
出
いだ
しし
時
とき
に
立
た
てし
所󠄃
ところ
の
如
ごと
きに
非
あら
ず。
彼
かれ
らは
我
わ
が
契󠄅約
けいやく
に
止
とゞ
まらず、
我
われ
も
彼
かれ
らを
顧󠄃
かへり
みざりしなり」と、
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ。
10
「
然
さ
れば、かの
日
ひ
の
後
のち
に
我
わ
がイスラエルの
家
いへ
と
立
た
つる
契󠄅約
けいやく
は
是
これ
なり」と
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ。 「われ
我
わ
が
律法
おきて
を
彼
かれ
らの
念
おもひ
に
置
お
き、 その
心
こゝろ
に
之
これ
を
記
しる
さん、 また
我
われ
かれらの
神
かみ
となり、
彼
かれ
らは
我
わ
が
民
たみ
とならん。
11
彼
かれ
等
ら
はまた
各人
おのおの
その
國人
くにびと
に、 その
兄弟
きゃうだい
に
敎
をし
へて、 なんぢ
主
しゅ
を
知
し
れと
言
い
はざるべし。 そは
小
せう
より
大
だい
に
至
いた
るまで、
皆
みな
われを
知
し
らん。
〘332㌻〙
12
我
われ
もその
不義
ふぎ
を
憐
あはれ
み、 この
後
のち
また
其
そ
の
罪
つみ
を
思
おもひ
出
い
でざるべし」』と。
13
旣
すで
に『
新
あたら
し』と
言
い
ひ
給
たま
へば、
初
はじめ
のものを
舊
ふる
しとし
給
たま
へるなり、
舊
ふる
びて
衰
おとろ
ふるものは、
消󠄃失
きえう
せんとするなり。
456㌻
第9章
1
初
はじめ
の
契󠄅約
けいやく
には
禮拜
れいはい
の
定
さだめ
と
世
よ
に
屬
ぞく
する
聖󠄄所󠄃
せいじょ
とありき。
2
設
まう
けられたる
幕屋
まくや
あり、
前󠄃
まへ
なるを
聖󠄄所󠄃
せいじょ
と
稱
とな
へ、その
中
うち
に
燈臺
とうだい
と
案
つくゑ
と
供
そなへ
のパンとあり。
3
また
第二
だいに
の
幕
まく
の
後
うしろ
に
至
し
聖󠄄所󠄃
せいじょ
と
稱
とな
ふる
幕屋
まくや
あり。
4
その
中
うち
に
金
きん
の
香壇
かうだん
と
金
きん
にて
徧
あまね
く
覆
おほ
ひたる
契󠄅約
けいやく
の
櫃
ひつ
とあり、この
中
うち
にマナを
納󠄃
い
れたる
金
きん
の
壺
つぼ
と
芽
めざ
したるアロンの
杖
つゑ
と
契󠄅約
けいやく
の
石碑
いしぶみ
とあり、
5
櫃
ひつ
の
上
うへ
に
榮光
えいくわう
のケルビムありて
贖罪所󠄃
しょくざいしょ
を
覆
おほ
ふ。これらの
物
もの
に
就
つ
きては、
今
いま
一々
いちいち
言
い
ふこと
能
あた
はず、
6
此
これ
等
ら
のもの
斯
か
く
備
そなは
りたれば、
祭司
さいし
たちは
常
つね
に
前󠄃
まへ
なる
幕屋
まくや
に
入
い
りて
禮拜
れいはい
をおこなふ。
7
されど
奧
おく
なる
幕屋
まくや
には
大
だい
祭司
さいし
のみ
年
とし
に
一度
ひとたび
おのれと
民
たみ
との
過󠄃失
あやまち
のために
献
さゝ
ぐる
血
ち
を
携
たづさ
へて
入
い
るなり。
8
之
これ
によりて
聖󠄄
せい
靈
れい
は
前󠄃
まへ
なる
幕屋
まくや
のなほ
存
そん
するあひだ、
至
し
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
る
道󠄃
みち
の
未
いま
だ
顯
あらは
れざるを
示
しめ
し
給
たま
ふ。
9
この
幕屋
まくや
はその
時
とき
のために
設
まう
けられたる
比喩
たとへ
なり、
之
これ
に
循
したが
ひて
献
さゝ
げたる
供物
そなへもの
と
犧牲
いけにへ
とは、
禮拜
れいはい
をなす
者
もの
の
良心
りゃうしん
を
全󠄃
まった
うすること
能
あた
はざりき。
10
此
これ
等
ら
はただ
食󠄃物
くひもの
・
飮物
のみもの
さまざまの
濯󠄄事
すゝぎごと
などに
係
かゝは
り、
肉
にく
に
屬
ぞく
する
定
さだめ
にして、
改革
かいかく
の
時
とき
まで
負󠄅
おは
せられたるのみ。
11
然
さ
れどキリストは
來
きた
らんとする
善
よ
き
事
こと
の
大
だい
祭司
さいし
として
來
きた
り、
手
て
にて
造󠄃
つく
らぬ
此
こ
の
世
よ
に
屬
ぞく
せぬ
更
さら
に
大
おほい
なる
全󠄃
まった
き
幕屋
まくや
を
經
へ
て、
12
山羊
やぎ
と
犢
こうし
との
血
ち
を
用
もち
ひず、
己
おの
が
血
ち
をもて
只
たゞ
一
ひと
たび
至
し
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
りて、
永遠󠄄
とこしへ
の
贖罪
あがなひ
を
終󠄃
を
へたまへり。
13
もし
山羊
やぎ
および
牡牛
をうし
の
血
ち
、
牝牛
めうし
の
灰󠄃
はひ
などを
穢
けが
れし
者
もの
にそそぎて
其
そ
の
肉體
にくたい
を
潔󠄄
きよ
むることを
得
え
ば、
14
まして
永遠󠄄
とこしへ
の
御靈
みたま
により
瑕
きず
なくして
己
おのれ
を
神
かみ
に
献
さゝ
げ
給
たま
ひしキリストの
血
ち
は、
我
われ
らの
良心
りゃうしん
を
死
し
にたる
行爲
おこなひ
より
潔󠄄
きよ
めて
活
い
ける
神
かみ
に
事
つか
へしめざらんや。
457㌻
15
この
故
ゆゑ
に
彼
かれ
は
新
あたら
しき
契󠄅約
けいやく
の
中保
なかだち
なり。これ
初
はじめ
の
契󠄅約
けいやく
の
下
した
に
犯
をか
したる
咎
とが
を
贖
あがな
ふべき
死
し
あるによりて、
召
め
されたる
者
もの
に
約束
やくそく
の
永遠󠄄
とこしへ
の
嗣業
しげふ
を
受
う
けさせん
爲
ため
なり。
16
それ《[*]》
遺󠄃言
ゆゐごん
は
必
かなら
ず《[△]》
遺󠄃言
ゆゐごん
者
しゃ
の
死
し
を
要󠄃
えう
す。[*原語「契󠄅約」との義もあり。△原語「契󠄅約者」との義もあり。]
17
遺󠄃言
[*]ゆゐごん
は《[△]》
遺󠄃言
ゆゐごん
者
しゃ
死
し
にてのち
始
はじ
めて
效
かう
あり、《[△]》
遺󠄃言
ゆゐごん
者
しゃ
の
生
い
くる
間
あひだ
は
效
かう
なきなり。[*原語「契󠄅約」との義もあり。△原語「契󠄅約者」との義もあり。]
18
この
故
ゆゑ
に
初
はじめ
の
契󠄅約
けいやく
も
血
ち
なくして
立
た
てしにあらず。
19
モーセ
律法
おきて
に
循
したが
ひて
諸般
もろもろ
の
誡命
いましめ
をすべての
民
たみ
に
吿
つ
げてのち、
犢
こうし
と
山羊
やぎ
との
血
ち
、また
水
みづ
と
緋色
ひいろ
の
毛
け
とヒソプとをとりて
書
ふみ
および
凡
すべ
ての
民
たみ
にそそぎて
言
い
ふ、
〘333㌻〙
20
『これ
神
かみ
の
汝
なんぢ
らに
命
めい
じたまふ
契󠄅約
けいやく
の
血
ち
なり』と。
21
また
同
おな
じく
幕屋
まくや
と
祭
まつり
のすべての
器
うつは
とに
血
ち
をそそげり。
22
おほよそ
律法
おきて
によれば、
萬
よろづ
のもの
血
ち
をもて
潔󠄄
きよ
めらる、もし
血
ち
を
流
なが
すことなくば、
赦
ゆる
さるることなし。
23
この
故
ゆゑ
に
天
てん
に
在
あ
るものに
象
かたど
りたる
物
もの
は
此
これ
等
ら
にて
潔󠄄
きよ
められ、
天
てん
にある
物
もの
は
此
これ
等
ら
に
勝󠄃
まさ
りたる
犧牲
いけにへ
をもて
潔󠄄
きよ
めらるべきなり。
24
キリストは
眞
まこと
のものに
象
かたど
れる、
手
て
にて
造󠄃
つく
りたる
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
らず、
眞
まこと
の
天
てん
に
入
い
りて
今
いま
より
我等
われら
のために
神
かみ
の
前󠄃
まへ
にあらはれ
給
たま
ふ。
25
これ
大
だい
祭司
さいし
が
年
とし
ごとに
他
ほか
の
物
もの
の
血
ち
をもて
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
るごとく、
屡次
しばしば
おのれを
獻
さゝ
ぐる
爲
ため
にあらず。
26
もし
然
しか
らずば
世
よ
の
創
はじめ
より
以來
このかた
しばしば
苦難
くるしみ
を
受
う
け
給
たま
ふべきなり。
然
さ
れど
今
いま
、
世
よ
の
季
すゑ
にいたり、
己
おのれ
を
犧牲
いけにへ
となして
罪
つみ
を
除
のぞ
かんために
一
ひと
たび
現
あらは
れたまへり。
27
一
ひと
たび
死
し
ぬることと
死
し
にてのち
審判󠄄
さばき
を
受
う
くることとの
人
ひと
に
定
さだま
りたる
如
ごと
く、
28
キリストも
亦
また
おほくの
人
ひと
の
罪
つみ
を
負󠄅
お
はんが
爲
ため
に
一
ひと
たび
献
さゝ
げられ、
復
また
罪
つみ
を
負󠄅
お
ふことなく、
己
おのれ
を
待
まち
望󠄇
のぞ
む
者
もの
に
再
ふたゝ
び
現
あらは
れて
救
すくひ
を
得
え
させ
給
たま
ふべし。
458㌻
第10章
1
それ
律法
おきて
は
來
きた
らんとする
善
よ
き
事
こと
の
影
かげ
にして
眞
まこと
の
形
かたち
にあらねば、
年每
としごと
にたえず
献
さゝ
ぐる
同
おな
じ
犧牲
いけにへ
にて、
神
かみ
にきたる
者
もの
を
何時
いつ
までも
全󠄃
まった
うすることを
得
え
ざるなり。
2
もし
之
これ
を
得
え
ば、
禮拜
れいはい
をなす
者
もの
、
一
ひと
たび
潔󠄄
きよ
められて
復
また
心
こゝろ
に
罪
つみ
を
憶
おぼ
えねば、
献
さゝ
ぐることを
止
や
めしならん。
3
然
さ
れど
犧牲
いけにへ
によりて、
年
とし
ごとに
罪
つみ
を
憶
おぼ
ゆるなり。
4
これ
牡牛
をうし
と
山羊
やぎ
との
血
ち
は
罪
つみ
を
除
のぞ
くこと
能
あた
はざるに
因
よ
る。
5
この
故
ゆゑ
にキリスト
世
よ
に
來
きた
るとき
言
い
ひ
給
たま
ふ 『なんぢ
犧牲
いけにへ
と
供物
そなへもの
とを
欲
ほっ
せず、
唯
たゞ
わが
爲
ため
に
體
からだ
を
備
そな
へたまへり。
6
なんぢ
燔祭
はんさい
と
罪祭
ざいさい
とを
悅
よろこ
び
給
たま
はず、
7
その
時
とき
われ
言
い
ふ「
神
かみ
よ、
我
われ
なんぢの
御意󠄃
みこゝろ
を
行
おこな
はんとて
來
きた
る」
我
われ
につきて
書
ふみ
の
卷
まき
に
錄
しる
されたるが
如
ごと
し』と。
8
先
さき
には『
汝
なんぢ
いけにへと
供物
そなへもの
と
燔祭
はんさい
と
罪祭
ざいさい
と(
即
すなは
ち
律法
おきて
に
循
したが
ひて
献
さゝ
ぐる
物
もの
)を
欲
ほっ
せず、また
悅
よろこ
ばず』と
言
い
ひ、
9
後
のち
に『
視
み
よ、
我
われ
なんぢの
御意󠄃
みこゝろ
を
行
おこな
はんとて
來
きた
る』と
言
い
ひ
給
たま
へり。その
後
のち
なる
者
もの
を
立
た
てん
爲
ため
に、その
先
さき
なる
者
もの
を
除
のぞ
き
給
たま
ふなり。
〘334㌻〙
10
この
御意󠄃
みこゝろ
に
適󠄄
かな
ひてイエス・キリストの
體
からだ
の
一
ひと
たび
献
さゝ
げられしに
由
よ
りて
我
われ
らは
潔󠄄
きよ
められたり。
11
すべての
祭司
さいし
は
日每
ひごと
に
立
た
ちて
事
つか
へ、いつまでも
罪
つみ
を
除
のぞ
くこと
能
あた
はぬ
同
おな
じ
犧牲
いけにへ
をしばしば
献
さゝ
ぐ。
12
然
さ
れどキリストは
罪
つみ
のために
一
ひと
つの
犧牲
いけにへ
を
献
さゝ
げて、
限
かぎ
りなく
神
かみ
の
右
みぎ
に
坐
ざ
し、
13
斯
かく
て
己
おの
が
仇
あた
の
己
おの
が
足臺
あしだい
とせられん
時
とき
を
待
ま
ちたまふ。
14
そは
潔󠄄
きよ
めらるる
者
もの
を
一
ひと
つの
供物
そなへもの
にて
限
かぎ
りなく
全󠄃
まった
うし
給
たま
ふなり。
15
聖󠄄
せい
靈
れい
も
亦
また
われらに
之
これ
を
證
あかし
して
16
『「この
日
ひ
の
後
のち
、われ
彼
かれ
らと
立
た
つる
契󠄅約
けいやく
は
是
これ
なり」と
主
しゅ
いひ
給
たま
ふ。また 「わが
律法
おきて
をその
心
こゝろ
に
置
お
き、その
念
おもひ
に
銘
しる
さん」』と
言
い
ひ
給
たま
ひて、
17
『この
後
のち
また
彼
かれ
らの
罪
つみ
と
不法
ふはふ
とを
思
おも
ひ
出
い
でざるべし』と
言
い
ひたまふ。
18
斯
かゝ
る
赦
ゆるし
ある
上
うへ
は、もはや
罪
つみ
のために
献物
さゝげもの
をなす
要󠄃
えう
なし。
459㌻
19
然
さ
れば
兄弟
きゃうだい
よ、
我
われ
らイエスの
血
ち
により、
20
その
肉體
にくたい
たる
幔
まく
を
經
へ
て
我
われ
らに
開
ひら
き
給
たま
へる
新
あたら
しき
活
い
ける
路
みち
より
憚
はばか
らずして
至
し
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
ることを
得
え
、
21
かつ
神
かみ
の
家
いへ
を
治
をさ
むる
大
おほい
なる
祭司
さいし
を
得
え
たれば、
22
心
こゝろ
は
濯󠄄
すゝ
がれて
良心
りゃうしん
の
咎
とが
をさり、
身
み
は
淸
きよ
き
水
みづ
にて
洗
あら
はれ、
眞
まこと
の
心
こゝろ
と
全󠄃
まった
き
信仰
しんかう
とをもて
神
かみ
に
近󠄃
ちか
づくべし。
23
また
約束
やくそく
し
給
たま
ひし
者
もの
は
忠實
ちゅうじつ
なれば、
我
われ
ら
言
い
ひあらはす
所󠄃
ところ
の
望󠄇
のぞみ
を
動
うご
かさずして
堅
かた
く
守
まも
り、
24
互
たがひ
に
相
あひ
顧󠄃
かへり
み
愛
あい
と
善
よ
き
業
わざ
とを
勵
はげ
まし、
25
集會
あつまり
をやむる
或
ある
人
ひと
の
習慣
ならはし
の
如
ごと
くせず、
互
たがひ
に
勸
すゝ
め
合
あ
ひ、かの
日
ひ
のいよいよ
近󠄃
ちか
づくを
見
み
て、ますます
斯
かく
の
如
ごと
くすべし。
26
我等
われら
もし
眞理
しんり
を
知
し
る
知識
ちしき
をうけたる
後
のち
、ことさらに
罪
つみ
を
犯
をか
して
止
や
めずば、
罪
つみ
のために
犧牲
いけにへ
もはや
無
な
し。
27
ただ
畏
おそ
れつつ
審判󠄄
さばき
を
待
ま
つことと、
逆󠄃
さから
ふ
者
もの
を
焚
や
きつくす
烈
はげ
しき
火
ひ
とのみ
遺󠄃
のこ
るなり。
28
モーセの
律法
おきて
を
蔑
なみ
する
者
もの
は
慈悲
じひ
を
受
う
くることなく、
二三人
にさんにん
の
證人
しょうにん
によりて
死
し
に
至
いた
る。
29
まして
神
かみ
の
子
こ
を
蹈
ふ
みつけ、
己
おの
が
潔󠄄
きよ
められし
契󠄅約
けいやく
の
血
ち
を
潔󠄄
きよ
からずとなし、
恩惠
めぐみ
の
御靈
みたま
を
侮
あなど
る
者
もの
の
受
う
くべき
罰
ばつ
の
重
おも
きこと
如何許
いかばかり
とおもふか。
30
『
仇
あた
を
復
かへ
すは
我
われ
に
在
あ
り、われ
之
これ
を
報
むく
いん』と
言
い
ひ、また『
主
しゅ
その
民
たみ
を
審
さば
かん』と
言
い
ひ
給
たま
ひし
者
もの
を
我
われ
らは
知
し
るなり。
31
活
い
ける
神
かみ
の
御手
みて
に
陷
おちい
るは
畏
おそ
るべきかな。
32
なんぢら
御光
みひかり
を
受
う
けしのち
苦難
くるしみ
の
大
おほい
なる
戰鬪
たゝかひ
に
耐
た
へし
前󠄃
さき
の
日
ひ
を
思
おも
ひ
出
い
でよ。
33
或
あるひ
は
誹謗
そしり
と
患難
なやみ
とに
遭󠄃
あ
ひて
觀物
みもの
にせられ、
或
あるひ
は
斯
かゝ
ることに
遭󠄃
あ
ふ
人
ひと
の
友
とも
となれり。
〘335㌻〙
34
また
囚人
めしうど
となれる
者
もの
を
思
おも
ひやり、
永
なが
く
存
そん
する
尤
もっと
も
勝󠄃
まさ
れる
所󠄃有
もちもの
の
己
おのれ
にあるを
知
し
りて、
我
わ
が
所󠄃有
もちもの
を
奪
うば
はるるをも
喜
よろこ
びて
忍󠄄
しの
びたり。
35
されば
大
おほい
なる
報
むくい
を
受
う
くべき
汝
なんぢ
らの
確信
かくしん
を
投
な
げすつな。
460㌻
36
なんぢら
神
かみ
の
御意󠄃
みこゝろ
を
行
おこな
ひて
約束
やくそく
のものを
受
う
けん
爲
ため
に
必要󠄃
ひつえう
なるは
忍󠄄耐
にんたい
なり。
37
『いま
暫
しばら
くせば、
來
きた
るべき
者
もの
きたらん、
遲
おそ
からじ。
38
我
われ
に
屬
つ
ける
義人
ぎじん
は、
信仰
しんかう
によりて
活
い
くべし。 もし
退󠄃
しりぞ
かば、わが
心
こゝろ
これを
喜
よろこ
ばじ』
39
然
さ
れど
我
われ
らは
退󠄃
しりぞ
きて
滅亡
ほろび
に
至
いた
る
者
もの
にあらず、
靈魂
たましひ
を
得
う
るに
至
いた
る
信仰
しんかう
を
保
たも
つ
者
もの
なり。
第11章
1
それ
信仰
しんかう
は
望󠄇
のぞ
むところを
確信
かくしん
し、
見
み
ぬ
物
もの
を
眞實
まこと
とするなり。
2
古
いにし
への
人
ひと
は
之
これ
によりて
證
あかし
せられたり。
3
信仰
しんかう
によりて
我等
われら
は、もろもろの
世界
せかい
の
神
かみ
の
言
ことば
にて
造󠄃
つく
られ、
見
み
ゆる
物
もの
の
顯
あらは
るる
物
もの
より
成
な
らざるを
悟
さと
る。
4
信仰
しんかう
に
由
よ
りてアベルはカインよりも
勝󠄃
まさ
れる
犧牲
いけにへ
を
神
かみ
に
献
さゝ
げ、
之
これ
によりて
正
たゞ
しと
證
あかし
せられたり。
神
かみ
その
供物
そなへもの
につきて
證
あかし
し
給
たま
へばなり。
彼
かれ
は
死
し
ぬれども、
信仰
しんかう
によりて
今
いま
なほ
語
かた
る。
5
信仰
しんかう
に
由
よ
りてエノクは
死
し
を
見
み
ぬやうに
移
うつ
されたり。
神
かみ
これを
移
うつ
し
給
たま
ひたれば
見出
みいだ
されざりき。その
移
うつ
さるる
前󠄃
さき
に
神
かみ
に
喜
よろこ
ばるることを
證
あかし
せられたり。
6
信仰
しんかう
なくしては
神
かみ
に
悅
よろこ
ばるること
能
あた
はず、そは
神
かみ
に
來
きた
る
者
もの
は、
神
かみ
の
在
いま
すことと
神
かみ
の
己
おのれ
を
求
もと
むる
者
もの
に
報
むく
い
給
たま
ふこととを、
必
かなら
ず
信
しん
ずべければなり。
7
信仰
しんかう
に
由
よ
りてノアは、
未
いま
だ
見
み
ざる
事
こと
につきて
御吿
みつげ
を
蒙
かうむ
り、
畏
かしこ
みてその
家
いへ
の
者
もの
を
救
すく
はん
爲
ため
に
方舟
はこぶね
を
造󠄃
つく
り、かつ
之
これ
によりて
世
よ
の
罪
つみ
を
定
さだ
め、また
信仰
しんかう
に
由
よ
る
義
ぎ
の
世嗣
よつぎ
となれり。
8
信仰
しんかう
に
由
よ
りてアブラハムは
召
め
されしとき
嗣業
しげふ
として
受
う
くべき
地
ち
に
出
い
で
徃
ゆ
けとの
命
めい
に
遵󠄅
したが
ひ、その
徃
ゆ
く
所󠄃
ところ
を
知
し
らずして
出
い
で
徃
ゆ
けり。
9
信仰
しんかう
により
異國
ことくに
に
在
あ
るごとく
約束
やくそく
の
地
ち
に
寓
やど
り、
同
おな
じ
約束
やくそく
を
嗣
つ
ぐべきイサクとヤコブと
共
とも
に
幕屋
まくや
に
住󠄃
す
めり。
10
これ
神
かみ
の
營
いとな
み
造󠄃
つく
りたまふ
基礎
もとゐ
ある
都
みやこ
を
望󠄇
のぞ
めばなり。
11
信仰
しんかう
に
由
よ
りてサラも
約束
やくそく
したまふ
者
もの
の
忠實
ちゅうじつ
なるを
思
おも
ひし
故
ゆゑ
に、
年
とし
邁
す
ぎたれど
胤
たね
をやどす
力
ちから
を
受
う
けたり。
461㌻
12
この
故
ゆゑ
に
死
し
にたる
者
もの
のごとき
一人
ひとり
より
天
てん
の
星
ほし
のごとく、また
海邊
うみべ
の
數
かぞ
へがたき
砂
すな
のごとく
夥多
おびたゞ
しく
生
うま
れ
出
い
でたり。
13
彼
かれ
等
ら
はみな《[*]》
信仰
しんかう
を
懷
いだ
きて
死
し
にたり、
未
いま
だ
約束
やくそく
の
物
もの
を
受
う
けざりしが、
遙
はるか
にこれを
見
み
て
迎󠄃
むか
へ、
地
ち
にては
旅人
たびびと
また
寓
やど
れる
者
もの
なるを
言
い
ひあらはせり。[*或は「信仰に隨ひて」と譯す。]
14
斯
か
く
言
い
ふは、
己
おの
が
故郷
ふるさと
を
求
もと
むることを
表
あらは
すなり。
〘336㌻〙
15
若
も
しその
出
い
でし
處
ところ
を
念
おも
はば、
歸
かへ
るべき
機
をり
ありしなるべし。
16
されど
彼
かれ
らの
慕
した
ふ
所󠄃
ところ
は
天
てん
にある
更
さら
に
勝󠄃
まさ
りたる
所󠄃
ところ
なり。この
故
ゆゑ
に
神
かみ
は
彼
かれ
らの
神
かみ
と
稱
とな
へらるるを
恥
はぢ
とし
給
たま
はず、そは
彼
かれ
等
ら
のために
都
みやこ
を
備
そな
へ
給
たま
へばなり。
17
信仰
しんかう
に
由
よ
りてアブラハムは
試
こゝろ
みられし
時
とき
イサクを
献
さゝ
げたり、
彼
かれ
は
約束
やくそく
を
喜
よろこ
び
受
う
けし
者
もの
なるに、その
獨子
ひとりご
を
献
さゝ
げたり。
18
彼
かれ
に
對
たい
しては『イサクより
出
い
づる
者
もの
なんぢの
裔
すゑ
と
稱
とな
へらるべし』と
云
い
ひ
給
たま
ひしなり。
19
かれ
思
おも
へらく、
神
かみ
は
死人
しにん
の
中
うち
より
之
これ
を
甦
よみが
へらすることを
得給
えたま
ふと、
乃
すなは
ち
死
し
より
之
これ
を
受
う
けしが
如
ごと
くなりき。
20
信仰
しんかう
に
由
よ
りてイサクは
來
きた
らんとする
事
こと
につきヤコブとエサウとを
祝福
しくふく
せり。
21
信仰
しんかう
に
由
よ
りてヤコブは
死
し
ぬる
時
とき
ヨセフの
子
こ
等
ら
をおのおの
祝福
しくふく
し、その
杖
つゑ
の
頭
かしら
によりて
禮拜
れいはい
せり。
22
信仰
しんかう
に
由
よ
りてヨセフは
生命
いのち
の
終󠄃
をは
らんとする
時
とき
、イスラエルの
子
こ
らの
出
い
で
立
た
つことに
就
つ
きて
語
かた
り、
又󠄂
また
おのが
骨
ほね
のことを
命
めい
じたり。
23
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
兩親
ふたおや
はモーセの
生
うま
れたる
時
とき
、その
美
うるは
しき
子
こ
なるを
見
み
て、
王
わう
の
命
めい
をも
畏
おそ
れずして
三月
みつき
の
間
あひだ
これを
匿
かく
したり。
24
信仰
しんかう
に
由
よ
りてモーセは
人
ひと
と
成
な
りしときパロの
女
むすめ
の
子
こ
と
稱
とな
へらるるを
否
いな
み、
25
罪
つみ
のはかなき
歡樂
たのしみ
を
受
う
けんよりは、
寧
むし
ろ
神
かみ
の
民
たみ
とともに
苦
くるし
まんことを
善
よ
しとし、
462㌻
26
キリストに
因
よ
る
謗
そしり
はエジプトの
財寶
たから
にまさる
大
おほい
なる
富
とみ
と
思
おも
へり、これ
報
むくい
を
望󠄇
のぞ
めばなり。
27
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
彼
かれ
は
王
わう
の
憤恚
いきどほり
を
畏
おそ
れずしてエジプトを
去
さ
れり。これ
見
み
えざる
者
もの
を
見
み
るがごとく
耐
た
ふる
事
こと
をすればなり。
28
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
彼
かれ
は
過󠄃越
すぎこし
と
血
ち
を
灑
そゝ
ぐこととを
行
おこな
へり、これ
初子
うひご
を
滅
ほろび
す
者
もの
の
彼
かれ
らに
觸
ふ
れざらん
爲
ため
なり。
29
信仰
しんかう
に
由
よ
りてイスラエル
人
びと
は
紅海
こうかい
を
乾
かわ
ける
地
ち
のごとく
渡
わた
りしが、エジプト
人
びと
は
然
しか
せんと
試
こゝろ
みて
溺
おぼ
れ
死
し
にたり。
30
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
七日
なぬか
のあひだ
迴
まは
りたればエリコの
石垣
いしがき
は
崩󠄃
くづ
れたり。
31
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
遊󠄃女
あそびめ
ラハブは
平󠄃和
へいわ
をもて
間者
かんじゃ
を
接
う
けたれば、
不
ふ
從順
じゅうじゅん
の
者
もの
とともに
亡
ほろ
びざりき。
32
この
外
ほか
なにを
言
い
ふべきか、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル
及
およ
び
預言者
よげんしゃ
たちに
就
つ
きて
語
かた
らば、
時
とき
足
た
らざるべし。
33
彼
かれ
らは
信仰
しんかう
によりて
國々
くにぐに
を
服󠄃
したが
へ、
義
ぎ
をおこなひ、
約束
やくそく
のものを
得
え
、
獅子
しし
の
口
くち
をふさぎ、
34
火
ひ
の
勢力
いきほひ
を
消󠄃
け
し、
劍
つるぎ
の
刃󠄃
は
をのがれ、
弱󠄃
よわき
よりして
强
つよ
くせられ、
戰爭
いくさ
に
勇
いさ
ましくなり、
異國人
ことくにびと
の
軍勢
ぐんぜい
を
退󠄃
しりぞ
かせたり。
35
女
をんな
は
死
し
にたる
者
もの
の
復活
よみがへり
を
得
え
、ある
人
ひと
は
更
さら
に
勝󠄃
まさ
りたる
復活
よみがへり
を
得
え
んために、
免
ゆる
さるることを
願
ねが
はずして
極刑
きょくけい
を
甘
あま
んじたり。
36
その
他
ほか
の
者
もの
は
嘲笑
あざけり
と
鞭
むち
と、また
縲絏
なはめ
と
牢獄
ひとや
との
試鍊
こゝろみ
を
受
う
け、
〘337㌻〙
37
或
ある
者
もの
は
石
いし
にて
擊
う
たれ、
試
こゝろ
みられ、
鐵鋸
のこぎり
にて
挽
ひ
かれ、
劍
つるぎ
にて
殺
ころ
され、
羊
ひつじ
・
山羊
やぎ
の
皮
かは
を
纒
まと
ひて
經
へ
あるき、
乏
とも
しくなり、
惱
なや
まされ、
苦
くる
しめられ、
38
(
世
よ
は
彼
かれ
らを
置
お
くに
堪
た
へず)
荒野
あらの
と
山
やま
と
洞
ほら
と
地
ち
の
穴󠄄
あな
とに
徨
さまよ
へり。
39
彼
かれ
等
ら
はみな
信仰
しんかう
に
由
よ
りて
證
あかし
せられたれども
約束
やくそく
のものを
得
え
ざりき。
40
これ
神
かみ
は
我
われ
らの
爲
ため
に
勝󠄃
まさ
りたるものを
備
そな
へ
給
たま
ひし
故
ゆゑ
に、
彼
かれ
らも
我
われ
らと
偕
とも
ならざれば、
全󠄃
まった
うせらるる
事
こと
なきなり。
463㌻
第12章
1
この
故
ゆゑ
に
我
われ
らは
斯
か
く
多
おほ
くの
證人
しょうにん
に
雲
くも
のごとく
圍
かこ
まれたれば、
凡
すべ
ての
重荷
おもに
と
纒
まと
へる
罪
つみ
とを
除
の
け、
忍󠄄耐
にんたい
をもて
我
われ
らの
前󠄃
まへ
に
置
お
かれたる
馳場
はせば
をはしり、
2
信仰
しんかう
の
導󠄃師
みちびきて
また
之
これ
を
全󠄃
まった
うする
者
もの
なるイエスを
仰
あふ
ぎ
見
み
るべし。
彼
かれ
はその
前󠄃
まへ
に
置
お
かれたる
歡喜
よろこび
のために、
恥
はぢ
をも
厭
いと
はずして
十字架
じふじか
をしのび、
遂󠄅
つひ
に
神
かみ
の
御座
みくら
の
右
みぎ
に
坐
ざ
し
給
たま
へり。
3
なんぢら
倦
う
み
疲
つか
れて
心
こゝろ
を
喪
うしな
ふこと
莫
なか
らんために、
罪人
つみびと
らの
斯
か
く
己
おのれ
に
逆󠄃
さから
ひしことを
忍󠄄
しの
び
給
たま
へる
者
もの
をおもへ。
4
汝
なんぢ
らは
罪
つみ
と
鬪
たたか
ひて
未
いま
だ
血
ち
を
流
なが
すまで
抵抗
てむかひ
しことなし。
5
また
子
こ
に
吿
つ
ぐるごとく
汝
なんぢ
らに
吿
つ
げ
給
たま
ひし
勸言
すゝめ
を
忘
わす
れたり。
曰
いは
く 『わが
子
こ
よ、
主
しゅ
の
懲戒
こらしめ
を
輕
かろ
んずるなかれ、
主
しゅ
に
戒
いまし
めらるるとき
倦
う
むなかれ。
6
そは
主
しゅ
、その
愛
あい
する
者
もの
を
懲
こら
しめ、
凡
すべ
てその
受
う
け
給
たま
ふ
子
こ
を
鞭
むちう
ち
給
たま
へばなり』と。
7
汝
なんぢ
らの
忍󠄄
しの
ぶは
懲戒
こらしめ
の
爲
ため
なり、
神
かみ
は
汝
なんぢ
らを
子
こ
のごとく
待
あしら
ひたまふ、
誰
たれ
か
父󠄃
ちち
の
懲
こら
しめぬ
子
こ
あらんや。
8
凡
すべ
ての
人
ひと
の
受
う
くる
懲戒
こらしめ
、もし
汝
なんぢ
らに
無
な
くば、それは
私生兒
かくしご
にして
眞
まこと
の
子
こ
にあらず、
9
また
我
われ
らの
肉體
にくたい
の
父󠄃
ちち
は、
我
われ
らを
懲
こら
しめし
者
もの
なるに
尙
なほ
これを
敬
うやま
へり、
况
ま
して
靈魂
たましひ
の
父󠄃
ちち
に
服󠄃
したが
ひて
生
い
くることを
爲
せ
ざらんや。
10
そは
肉體
にくたい
の
父󠄃
ちち
は
暫
しばら
くの
間
あひだ
その
心
こゝろ
のままに
懲
こら
しむることを
爲
せ
しが、
靈魂
たましひ
の
父󠄃
ちち
は
我
われ
らを
益
えき
するために、その
聖󠄄潔󠄄
きよき
に
與
あづか
らせんとて
懲
こら
しめ
給
たま
へばなり。
11
凡
すべ
ての
懲戒
こらしめ
、
今
いま
は
喜
よろこ
ばしと
見
み
えず、
反
かへ
つて
悲
かな
しと
見
み
ゆ、されど
後
のち
これに
由
よ
りて
練習
れんしふ
する
者
もの
に、
義
ぎ
の
平󠄃安
へいあん
なる
果
み
を
結
むす
ばしむ。
12
されば
衰
おとろ
へたる
手
て
、
弱󠄃
よわ
りたる
膝
ひざ
を
强
つよ
くし、
13
足蹇
あしな
へたる
者
もの
の《[*]》
履
あゆ
み
外
はづ
すことなく、
反
かへ
つて
醫
いや
されんために
汝
なんぢ
らの
足
あし
に
直
すぐ
なる
途󠄃
みち
を
備
そな
へよ。[*或は「履み挫く」と譯す。]
14
力
つと
めて
凡
すべ
ての
人
ひと
と
和
やはら
ぎ、
自
みづか
ら
潔󠄄
きよ
からんことを
求
もと
めよ。もし
潔󠄄
きよ
からずば、
主
しゅ
を
見
み
ること
能
あた
はず。
15
なんぢら
愼
つゝし
め、
恐
おそ
らくは
神
かみ
の
恩惠
めぐみ
に
至
いた
らぬ
者
もの
あらん。
恐
おそ
らくは
苦
にが
き
根
ね
はえいでて
汝
なんぢ
らを
惱
なや
まし、
多
おほ
くの
人
ひと
これに
由
よ
りて
汚
けが
されん。
〘338㌻〙
464㌻
16
恐
おそ
らくは
淫行
いんかう
のもの、
或
あるひ
は
一飯
いっぱん
のために
長子
ちゃうし
の
特權
とくけん
を
賣
う
りしエサウの
如
ごと
き
妄
みだり
なるもの
起󠄃
おこ
らん。
17
汝
なんぢ
らの
知
し
るごとく、
彼
かれ
はそののち
祝福
しくふく
を
受
う
けんと
欲
ほっ
したれども
棄
す
てられ、
淚
なみだ
を
流
なが
して
之
これ
を
求
もと
めたれど
回復
くわいふく
の
機
をり
を
得
え
ざりき。
18
汝
なんぢ
らの
近󠄃
ちか
づきたるは、
火
ひ
の
燃
も
ゆる
觸
さは
り
得
う
べき
山
やま
・
黑
くろ
雲
くも
・
黑闇
くらやみ
・
嵐
あらし
、
19
ラッパの
音󠄃
おと
、
言
ことば
の
聲
こゑ
にあらず、この
聲
こゑ
を
聞
き
きし
者
もの
は
此
こ
の
上
うへ
に
言
ことば
の
加
くは
へられざらんことを
願
ねが
へり。
20
これ『
獸
けもの
すら
山
やま
に
觸
ふ
れなば、
石
いし
にて
擊
うた
るべし』と
命
めい
ぜられしを、
彼
かれ
らは
忍󠄄
しの
ぶこと
能
あた
はざりし
故
ゆゑ
なり。
21
その
現
あらは
れしところ
極
きは
めて
怖
おそろ
しかりしかば、モーセは『われ
甚
いた
く
怖
おそ
れ
戰
をのゝ
けり』と
云
い
へり。
22
されど
汝
なんぢ
らの
近󠄃
ちか
づきたるはシオンの
山
やま
、
活
い
ける
神
かみ
の
都
みやこ
なる
天
てん
のエルサレム、
千萬
ちよろづ
の
御使
みつかひ
の
集會
あつまり
、
23
天
てん
に
錄
しる
されたる
長子
ちゃうし
どもの
敎會
けうくわい
、
萬民
ばんみん
の
審判󠄄
さばき
主
ぬし
なる
神
かみ
、
全󠄃
まった
うせられたる
義人
ぎじん
の
靈魂
たましひ
、
24
新約
しんやく
の
仲保
なかだち
なるイエス、
及
およ
びアベルの
血
ち
に
勝󠄃
まさ
りて
物
もの
言
い
ふ
灑
そゝぎ
の
血
ち
なり、
25
なんぢら
心
こゝろ
して
語
かた
りたまふ
者
もの
を
拒
こば
むな、もし
地
ち
にて
示
しめ
し
給
たま
ひし
時
とき
これを
拒
こば
みし
者
もの
ども
遁
のが
るる
事
こと
なかりしならば、
况
ま
して
天
てん
より
示
しめ
し
給
たま
ふとき、
我
われ
ら
之
これ
を
退󠄃
しりぞ
けて
遁
のが
るることを
得
え
んや。
26
その
時
とき
、その
聲
こゑ
、
地
ち
を
震
ふる
へり、されど
今
いま
は
誓
ちか
ひて
言
い
ひたまふ『
我
われ
なほ
一
ひと
たび
地
ち
のみならず、
天
てん
をも
震
ふる
はん』と。
27
此
こ
の『なほ
一度
ひとたび
』とは
震
ふる
はれぬ
物
もの
の
存
のこ
らんために、
震
ふる
はるる
物
もの
すなはち
造󠄃
つく
られたる
物
もの
の
取
と
り
除
のぞ
かるることを
表
あらは
すなり。
28
この
故
ゆゑ
に
我
われ
らは
震
ふる
はれぬ
國
くに
を
受
う
けたれば、
感謝
かんしゃ
して
恭敬
うやうやしき
と
畏懼
おそれ
とをもて
御心
みこゝろ
にかなふ
奉仕
つとめ
を
神
かみ
になすべし。
465㌻
29
我
われ
らの
神
かみ
は
燒
やき
盡
つく
す
火
ひ
なればなり。
第13章
1
兄弟
きゃうだい
の
愛
あい
を
常
つね
に
保
たも
つべし。
2
旅人
たびびと
の
接待
せったい
を
忘
わす
るな、
或
ある
人
ひと
これに
由
よ
り、
知
し
らずして
御使
みつかひ
を
舍
やど
したり。
3
己
おのれ
も
共
とも
に
繋
つな
がるるごとく
囚人
めしうど
を
思
おも
へ、また
己
おのれ
も
肉體
にくたい
に
在
あ
れば、
苦
くる
しむ
者
もの
を
思
おも
へ。
4
凡
すべ
ての
人
ひと
、
婚姻
こんいん
のことを
貴
たふと
べ、また
寢床
ねどこ
を
汚
けが
すな。
神
かみ
は
淫行
いんかう
のもの、
姦淫
かんいん
の
者
もの
を
審
さば
き
給
たま
ふべければなり。
5
金
かね
を
愛
あい
することなく、
有
も
てるものを
以
も
て
足
た
れりとせよ。
主
しゅ
みづから『われ
更
さら
に
汝
なんぢ
を
去
さ
らず、
汝
なんぢ
を
捨
す
てじ』と
言
い
ひ
給
たま
ひたればなり。
6
然
さ
れば
我
われ
ら
心
こゝろ
を
强
つよ
くして
斯
か
く
言
い
はん 『
主
しゅ
わが
助主
たすけぬし
なり、
我
われ
おそれじ。
人
ひと
われに
何
なに
を
爲
な
さん』と。
〘339㌻〙
7
神
かみ
の
言
ことば
を
汝
なんぢ
らに
語
かた
りて
汝
なんぢ
らを
導󠄃
みちび
きし
者
もの
どもを
思
おも
へ、その
行狀
ぎゃうじゃう
の
終󠄃
をはり
を
見
み
てその
信仰
しんかう
に
效
なら
へ。
8
イエス・キリストは
昨日
きのふ
も
今日
けふ
も
永遠󠄄
とこしへ
までも
變
かは
り
給
たま
ふことなし。
9
各樣
さまざま
の
異
こと
なる
敎
をしへ
のために
惑
まどは
さるな。
飮食󠄃
いんしょく
によらず、
恩惠
めぐみ
によりて
心
こゝろ
を
堅
かた
うするは
善
よ
し、
飮食󠄃
いんしょく
によりて
步
あゆ
みたる
者
もの
は
益
えき
を
得
え
ざりき。
10
我
われ
らに
祭壇
さいだん
あり、
幕屋
まくや
に
事
つか
ふる
者
もの
は
之
これ
より
食󠄃
しょく
する
權
けん
を
有
も
たず。
11
大
だい
祭司
さいし
、
罪
つみ
のために
活物
いきもの
の
血
ち
を
携
たづさ
へて
至
し
聖󠄄所󠄃
せいじょ
に
入
い
り、その
活物
いきもの
の
體
からだ
は
陣營
ぢんえい
の
外
そと
にて
燒
や
かるるなり。
12
この
故
ゆゑ
にイエスも
己
おの
が
血
ち
をもて
民
たみ
を
潔󠄄
きよ
めんが
爲
ため
に、
門
もん
の
外
そと
にて
苦難
くるしみ
を
受
う
け
給
たま
へり。
13
されば
我
われ
らは
彼
かれ
の
恥
はぢ
を
負󠄅
お
ひ、
陣營
ぢんえい
より
出
い
でてその
御許
みもと
に
徃
ゆ
くべし。
14
われら
此處
ここ
には
永遠󠄄
とこしへ
の
都
みやこ
なくして、ただ
來
きた
らんとする
者
もの
を
求
もと
むればなり。
15
此
こ
の
故
ゆゑ
に
我
われ
らイエスによりて
常
つね
に
讃美
さんび
の
供物
そなへもの
を
神
かみ
に
献
さゝ
ぐべし、
乃
すなは
ちその
御名
みな
を
頌
ほ
むる
口唇
くちびる
の
果
み
なり。
16
かつ
仁慈
なさけ
と
施濟
ほどこし
とを
忘
わす
るな、
神
かみ
は
斯
かく
のごとき
供物
そなへもの
を
喜
よろこ
びたまふ。
17
汝
なんぢ
らを
導󠄃
みちび
く
者
もの
に
順
したが
ひ
之
これ
に
服󠄃
ふく
せよ、
彼
かれ
らは
己
おの
が
事
こと
を
神
かみ
に
陳
の
ぶべき
者
もの
なれば、
汝
なんぢ
らの
靈魂
たましひ
のために
目
め
を
覺
さま
しをるなり。
彼
かれ
らを
歎
なげ
かせず、
喜
よろこ
びて
斯
か
く
爲
な
さしめよ、
然
しか
らずば
汝
なんぢ
らに
益
えき
なかるべし。
466㌻
18
我
われ
らの
爲
ため
に
祈
いの
れ、
我
われ
らは
善
よ
き
良心
りゃうしん
ありて
凡
すべ
てのこと
正
たゞ
しく
行
おこな
はんと
欲
ほっ
するを
信
しん
ずるなり。
19
われ
速󠄃
すみや
かに
汝
なんぢ
らに
歸
かへ
ることを
得
え
んために、
汝
なんぢ
らの
祈
いの
らんことを
殊
こと
に
求
もと
む。
20
願
ねが
はくは
永遠󠄄
とこしへ
の
契󠄅約
けいやく
の
血
ち
によりて、
羊
ひつじ
の
大牧者
だいぼくしゃ
となれる
我
われ
らの
主
しゅ
イエスを、
死人
しにん
の
中
うち
より
引上
ひきあ
げ
給
たま
ひし
平󠄃和
へいわ
の
神
かみ
、
21
その
悅
よろこ
びたまふ
所󠄃
ところ
を、イエス・キリストに
由
よ
りて
我
われ
らの
衷
うち
に
行
おこな
ひ、
御意󠄃
みこゝろ
を
行
おこな
はしめん
爲
ため
に、
凡
すべ
ての
善
よ
き
事
こと
につきて
汝
なんぢ
らを
全󠄃
まった
うし
給
たま
はんことを。
世々
よよ
限
かぎ
りなく
榮光
えいくわう
かれに
在
あ
れ、アァメン。
22
兄弟
きゃうだい
よ、
請󠄃
こ
ふ
我
わ
が
勸
すゝめ
の
言
ことば
を
容
い
れよ、
我
われ
なんぢらに
手短
てみじか
く
書
か
き
贈
おく
りたるなり。
23
なんぢら
知
し
れ、
我
われ
らの
兄弟
きゃうだい
テモテは
釋
ゆる
されたり。
彼
かれ
もし
速󠄃
すみや
かに
來
きた
らば、
我
われ
かれと
偕
とも
に
汝
なんぢ
らを
見
み
ん。
24
汝
なんぢ
らの
凡
すべ
ての
導󠄃
みちび
く
者
もの
、および
凡
すべ
ての
聖󠄄徒
せいと
に
安否
あんぴ
を
問
と
へ。イタリヤの
人々
ひとびと
、なんぢらに
安否
あんぴ
を
問
と
ふ。
25
願
ねがは
くは
恩惠
めぐみ
なんぢら
衆
すべて
と
偕
とも
に
在
あ
らんことを。
〘340㌻〙
467㌻