〘423㌻〙
第1章
1 パウロ、シルワノ、テモテ、書を我らの父󠄃なる神および主イエス・キリストに在るテサロニケ人の敎會に贈る。
2 願くは父󠄃なる神および主イエス・キリストより賜ふ恩惠と平󠄃安と、汝らに在らんことを。
3 兄弟よ、われら汝等につきて常に神に感謝せざるを得ず、これ當然の事なり。そは汝らの信仰おほいに加はり、各自みな互の愛を厚くしたればなり。
4 然れば我らは汝らが忍󠄄べる凡ての迫󠄃害󠄅と患難との中にありて保ちたる忍󠄄耐と信仰とを神の諸敎會の間に誇る。
5 これ神の正しき審判󠄄の兆にして汝らが神の國に相應しき者とならん爲なり。今その御國のために苦難を受く。
6 汝らに患難を加ふる者に患難をもて報い、患難を受くる汝らに、我らと共に安息をもて報い給ふは、神の正しき事なり。
7 即ち主イエス焔の中にその能力の御使たちと共に天より顯れ、
8 神を知らぬ者と我らの主イエスの福音󠄃に服󠄃はぬ者とに報をなし給ふとき、
9 斯る者どもは主の顏と、その能力の榮光とを離れて、限りなき滅亡の刑罰を受くべし。
10 その時は主おのが聖󠄄徒によりて崇められ、凡ての信ずる者(なんぢらも我らの證を信じたる者なり)によりて讃められんとて來りたまふ日なり。
11 これに就きて我ら常に汝らのために祈るは、我らの神の汝等をして召に適󠄄ふ者となし、能力をもて汝らの凡て善に就ける願と信仰の業とを成就せしめ給はんことなり。
12 これ我らの神および主イエス・キリストの惠によりて、我らの主イエスの御名の汝らの中に崇められ、又󠄂なんぢらも彼に在りて崇められん爲なり。
423㌻
第2章
1 兄弟よ、我らの主イエス・キリストの來り給ふこと、又󠄂われらが主の許に集ふことに就きては、汝らに求む。
2 或は靈により、或は言により、或は我等より出でし如き書により、主の日すでに來れりとて容易く心を動かし、かつ驚かざらん事を。
3 誰が如何にすとも、それに欺かるな。その日の前󠄃に背敎の事あり、不法の人、すなはち滅亡の子あらはれざるを得ず、
4 彼はすべて神と稱ふる者、および人の拜む者に逆󠄃ひ、此等よりも己を高くし、遂󠄅に神の聖󠄄所󠄃に坐し己を神として見する者なり。
5 われ汝らと偕に在りし時、これらの事を吿げしを汝ら憶えぬか。〘307㌻〙
6 彼をして己が時に至りて顯れしめんために、彼を阻めをる者を汝らは知る。
7 不法の祕密は旣に働けり、然れど此はただ阻めをる者の除かるるまでなり。
8 斯て其のとき不法の者あらはれん、而して主イエス御口の氣息をもて彼を殺し、降臨の輝耀をもて彼を亡し給はん。
9 彼はサタンの活動に從ひて來り、もろもろの虛僞なる力と徴と不思議と、
10 不義のもろもろの誑惑とを行ひて、亡ぶる者どもに向はん、彼らは眞理を愛する愛を受けずして、救はるることを爲ざればなり。
11 この故に神は、彼らが虛僞を信ぜんために惑をその中に働かせ給ふ。
12 これ眞理を信ぜず不義を喜ぶ者の、みな審かれん爲なり。
13 されど主に愛せらるる兄弟よ、われら常に汝等のために神に感謝せざるを得ず。神は御靈によれる潔󠄄と眞理に對する信仰とをもて始より汝らを救に選󠄄び、
14 また我らの主イエス・キリストの榮光を得させんとて、我らの福音󠄃をもて汝らを招き給へばなり。
424㌻
15 されば兄弟よ、堅く立ちて我らの言あるひは書に由りて敎へられたる傳を守れ。
16 我らの主イエス・キリスト及び我らを愛し恩惠をもて永遠󠄄の慰安と善き望󠄇とを與へ給ふ我らの父󠄃なる神、
17 願はくは汝らの心を慰めて、凡ての善き業と言とに堅う爲給はんことを。
第3章
1 終󠄃に言はん、兄弟よ、我らの爲に祈れ、主の言の汝らの中における如く、疾く弘まりて崇められん事と、
2 われらが無法なる惡人より救はれんこととを祈れ。そは人みな信仰あるに非ざればなり。
3 然れど神は眞實なれば、汝らを堅うし、汝らを護りて惡しき者より救ひ給はん。
4 斯て我らの命ずることを汝らが今も行ひ、後もまた行はんことを、主によりて信ずるなり。
5 願くは主なんぢらの心を、神の愛とキリストの忍󠄄耐とに導󠄃き給はんことを。
6 兄弟よ、我らの主イエス・キリストの名によりて汝らに命ず、我等より受けし傳に從はずして妄に步む凡ての兄弟に遠󠄄ざかれ。
7 如何にして我らに效ふべきかは、汝らの自ら知る所󠄃なり。我らは汝らの中にありて妄なる事をせず、
8 價なしに人のパンを食󠄃せず、反つて汝等のうち一人をも累はさざらんために、勞と苦難とをもて夜晝はたらけり。
9 これは權利なき故にあらず、汝等をして我らに效はしめん爲に、自ら模範となりたるなり。
10 また汝らと偕に在りしとき、人もし働くことを欲せずば、食󠄃すべからずと命じたりき。〘308㌻〙
11 聞く所󠄃によれば、汝等のうちに妄に步みて何の業をもなさず、徒事にたづさはる者ありと。
425㌻
12 我ら斯のごとき人に、靜に業をなして己のパンを食󠄃せんことを、我らの主イエス・キリストに由りて命じ、かつ勸む。
13 兄弟よ、なんぢら善を行ひて倦むな。
14 もし此の書にいへる我らの言に從はぬ者あらば、その人を認󠄃めて交ることを爲な、彼みづから恥ぢんためなり。
15 然れど彼を仇の如くせず、兄弟として訓戒せよ。
16 願くは平󠄃和の主、みづから何時にても凡ての事に平󠄃和を汝らに與へ給はんことを。願くは主なんぢら凡ての者と偕に在さん事を。
17 我パウロ手づから筆を執りて汝らの安否を問ふ。これ我がすべての書の記章なり。わが書けるものは斯の如し。
18 願くは我らの主イエス・キリストの恩惠なんぢら凡ての者と偕ならんことを。〘309㌻〙
426㌻