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〘332㌻〙

第1章

1 かみ御意󠄃みこゝろによりされてイエス・キリストの使徒しととなれるパウロおよ兄弟きゃうだいソステネ、 2 ふみをコリントにかみ敎會けうくわいすなはちいづれのところにありても、われらのしゅ、ただに我等われらのみならずかれらのしゅなるイエス・キリストのもとむるものとともに聖󠄄徒せいととなるべきめしかうむり、キリスト・イエスにりて潔󠄄きよめられたるなんぢらにおくる。 3 ねがはくはわれらの父󠄃ちちなるかみおよびしゅイエス・キリストよりたま恩惠めぐみ平󠄃安へいあんなんぢらにらんことを。

4 われなんぢらがキリスト・イエスにりてかみよりたまはりし恩惠めぐみきてつねかみ感謝かんしゃす。 5 なんぢらはキリストにりて、諸般もろもろのことすなはすべてのことばすべてのさとりとにみたればなり。 6 これキリストのあかし、なんぢらのうちかたうせられたるにる。 7 なんぢらはすべての賜物たまものくる所󠄃ところなくしてわれらのしゅイエス・キリストのあらはたまふをてり。 8 かれなんぢらを終󠄃をはりまでかたうしてわれらのしゅイエス・キリストのむべき所󠄃ところなからしめたまはん。 9 なんぢらをしてわれらのしゅイエス・キリストの交際まじはりらしめたまかみ眞實まことなるかな

10 兄弟きゃうだいよ、われらのしゅイエス・キリストのりてなんぢらにすゝむ、おのおのかたるところをおなじうし、分󠄃爭ぶんさうすることなくおなこゝろ、おなじおもひにて全󠄃まったひとつになるべし。 11 わが兄弟きゃうだいよ、クロエのいへもの、なんぢらのうち紛爭あらそひあることをわれらせたり。
 332㌻ 
12 すなはなんぢおのおの『われはパウロにぞくす』『われはアポロに』『われはケパに』『われはキリストに』とふこれなり。 13 キリストは分󠄃わかたるるものならんや、パウロはなんぢらのため十字架じふじかにつけられしや、なんぢらパウロのりてバプテスマをけしや。 14 われ感謝かんしゃす、クリスポとガイオとのほかには、われなんぢらのうち一人ひとりにもバプテスマをほどこさざりしを。 15 これわがりてなんぢらがバプテスマをけしとひとことなからんためなり。 16 またステパノの家族かぞくにバプテスマをほどこししことあり、ほかにはわれバプテスマをほどこししことありやらざるなり。 17 そはキリストのわれ遣󠄃つかはたまへるはバプテスマをほどこさせんためにあらず、福音󠄃ふくいん宣傳のべつたへしめんとてなり。しかしてことば智慧󠄄ちゑをもつてせず、これキリストの十字架じふじかむなしくならざらんためなり。

18 それ十字架じふじかことばほろぶるものにはおろかなれど、すくはるるわれらにはかみ能力ちからなり。〘241㌻〙 19 しるして 『われ智者ちしゃ智慧󠄄ちゑをほろぼし、 慧󠄄さともの慧󠄄さとき空󠄃むなしうせん』とあればなり。 20 智者ちしゃいづこにかる、學者がくしゃいづこにかる、この論者ろんしゃいづこにかる、かみ智慧󠄄ちゑをしておろかならしめたまへるにあらずや。 21 おのれ智慧󠄄ちゑをもてかみらず(これかみ智慧󠄄ちゑ適󠄄かなへるなり)このゆゑかみ宣敎せんけうおろかをもて、しんずるものすくふをしとしたまへり。 22 ユダヤびとしるし請󠄃ひ、ギリシヤびと智慧󠄄ちゑもとむ。 23 されどわれらは十字架じふじかけられたまひしキリストを宣傳のべつたふ。これはユダヤびと躓物つまづきとなり、異邦人いはうじんおろかとなれど、 24 されたるものにはユダヤびとにもギリシヤびとにもかみ能力ちから、またかみ智慧󠄄ちゑたるキリストなり。 25 かみおろかひとよりもかしこく、かみ弱󠄃よわきひとよりもつよければなり。

 333㌻ 
26 兄弟きゃうだいよ、めしかうむれるなんぢらをよ、にくによれるかしこものおほからず、能力ちからあるものおほからず、たふときものおほからず。 27 されどかみかしこものはづかしめんとておろかなるもの選󠄄えらび、つよものはづかしめんとて弱󠄃よわもの選󠄄えらび、 28 ものほろぼさんとていやしきもの、かろんぜらるるもの、すなはちきがごともの選󠄄えらたまへり。 29 これかみ前󠄃まへひとほこことなからんためなり。 30 なんぢらはかみりてキリスト・イエスにり、かれかみてられてわれらの智慧󠄄ちゑ聖󠄄せい救贖あがなひとになりたまへり。 31 これ『ほこものしゅりてほこるべし』としるされたるごとくならんためなり。

第2章

1 兄弟きゃうだいよ、われさきなんぢらにいたりしとき、かみあかしつたふるにことば智慧󠄄ちゑとのすぐれたるをもちひざりき。 2 イエス・キリストおよびその十字架じふじかけられたまひしことのほかは、なんぢらのうちにありてなにをもるまじとこゝろさだめたればなり。 3 われなんぢらとともりしとき弱󠄃よわく、かつおそれ、いたおのゝけり。 4 わが談話だんわも、宣敎せんけうも、智慧󠄄ちゑうるはしきことばによらずして、御靈みたま能力ちからとの證明しょうめいによりたり。 5 これなんぢらの信仰しんかうの、ひと智慧󠄄ちゑによらず、かみ能力ちかららんためなり。

6 れどわれらは成人せいじんしたるものうちにて智慧󠄄ちゑかたる。これ智慧󠄄ちゑにあらず、又󠄂またこのすたらんとするつかさたちの智慧󠄄ちゑにあらず、 7 われらは奧義おくぎきてかみ智慧󠄄ちゑかたる、すなはかくれたる智慧󠄄ちゑにしてかみわれらの光榮くわうえいのためにはじめさきよりあらかじめさだたまひしものなり。 8 このつかさにはこれものなかりき、もしらば榮光えいくわうしゅ十字架じふじかけざりしならん。 9 しるして 『かみのおのれをあいするもののためにそなたまひしことは、 いまだず、みゝいまだかず、 ひとこゝろいまだおもはざりし所󠄃ところなり』とるがごとし。〘242㌻〙
 334㌻ 
10 れどわれらにはかみこれを御靈みたまによりてあらはたまへり。御靈みたまはすべてのこときはめ、かみふか所󠄃ところまできはむればなり。 11 それひとのことはおのうちにあるれいのほかにたれひとあらん、かくのごとくかみのことはかみ御靈みたまのほかにものなし。 12 われらのけしれいれいにあらず、かみよりづるれいなり、これわれらにかみたまひしものをらんためなり。 13 又󠄂またわれらこれかたるにひと智慧󠄄ちゑをしふることばもちひず、御靈みたまをしふることばもちふ、すなはれいことれいことばつるなり。 14 性來うまれつきのままなるひとかみ御靈みたまのことをけず、かれにはおろかなるものゆればなり。またこれさとることあたはず、御靈みたまのことはれいによりてわきまふべきものなるがゆゑなり。 15 されどれいぞくするものは、すべてのことをわきまふ、しかしておのれひとわきまへらるることなし。 16 たれしゅこゝろりてしゅをしふるものあらんや。れどわれらはキリストのこゝろてり。

第3章

1 兄弟きゃうだいよ、われれいぞくするものたいするごとなんぢらにかたることあたはず、かへつてにくぞくするもの、すなはちキリストに幼兒をさなごたいするごとかたれり。 2 われなんぢらに乳󠄃ちゝのみませてかた食󠄃物しょくもつあたへざりき。なんぢそのとき食󠄃くらふことあたはざりしゆゑなり。 3 いまもなほ食󠄃くらふことあたはず、いまもなほにくぞくするものなればなり。なんぢらのうち嫉妬ねたみ紛爭あらそひとあるは、これにくぞくするものにしてひとごとくにあゆむならずや。 4 あるものは『われパウロにぞくす』といひ、あるものは『われアポロにぞくす』とふ、これひとごとくなるにあらずや。 5 アポロはなにものぞ、パウロはなにものぞ、かれはおのおのしゅたまふところにしたがひ、なんぢらをしてしんぜしめたる役者えきしゃ過󠄃ぎざるなり。 6 われゑ、アポロはみづそゝげり、されどそだてたるはかみなり。
 335㌻ 
7 さればうるものも、みづそゝものかぞふるにらず、ただ尊󠄅たふときはそだてたまふかみなり。 8 うるものも、みづそゝものする所󠄃ところひとつなれど、各自おのおのおのがらうしたがひてあたひべし。 9 われらはかみともはたらものなり。なんぢらはかみはたけなり、またかみ建築物たてものなり。

10 われかみたまひたる恩惠めぐみしたがひて熟鍊じゅくれんなる建築師けんちくしのごとくもとゐゑたり、しかしてほかひとそのうへつるなり。れど如何いかにしてつべきか、おのおのこゝろしてすべし、〘243㌻〙 11 すできたるもとゐのほかはたれうることあたはず、このもとゐすなはちイエス・キリストなり。 12 ひともしもとゐうへきんぎん寳石はうせきくさわらをもつててなば、 13 各人おのおのわざあらはるべし。かのこれをあきらかにせん、かのをもつてあらはれ、そのおのおののわざ如何いかんためすべければなり。 14 そのつる所󠄃ところわざ、もしたもたばあたひ 15 もしわざけなばそんすべし。れどおのれより脫󠄁のがづるごとくしてすくはれん。 16 なんぢらずや、なんぢらはかみみやにしてかみ御靈みたまなんぢらのうち住󠄃たまふを。 17 ひともしかみみやこぼたばかみかれをこぼたまはん。それかみみや聖󠄄せいなり、なんぢらもまたかくのごとし。

18 たれみづかあざむくな。なんぢのうちにてみづかかしこしとおもものは、かしこくならんためにおろかなるものとなれ。 19 そは智慧󠄄ちゑかみ前󠄃まへおろかなればなり。しるして『かれ智者ちしゃをその惡巧たくみによりてとらたまふ』 20 また『しゅ智者ちしゃおもひむなしきをたまふ』とあるがごとし。 21 さらばたれひとほこりとすな、よろづものなんぢらのものなればなり。 22 あるひはパウロ、あるひはアポロ、あるひはケパ、あるひ世界せかい、あるひはせい、あるひは、あるひは現在げんざいのもの、あるひ未來みらいのもの、みななんぢらのものなり。
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23 なんぢはキリストのもの、キリストはかみのものなり。

第4章

1 ひとよろしくわれらをキリストの役者えきしゃまたかみ奧義おくぎつかさどるいへつかさのごとくおもふべし。 2 さていへつかさもとむべきは忠實ちゅうじつならんことなり。 3 われなんぢらにさばかれ、あるひひと審判󠄄さばきによりてさばかるることをいとちひさこととし、またみづからもおのれさばかず。 4 われみづからむべき所󠄃ところあるをおぼえねど、これりてとせらるることなければなり。われさばきたまふものしゅなり。 5 ればしゅきたたまふまではときさきだちて審判󠄄さばきすな。しゅ暗󠄃くらきにあるかくれたることあきらかにし、こゝろ謀計はかりごとをあらはしたまはん。そのときおのおのかみよりほまれべし。

6 兄弟きゃうだいよ、われなんぢのためにこれのことをわれとアポロとのうへててへり。これなんぢらが『しるされたる所󠄃ところゆまじき』をわれらのことによりてまなび、このひとをあげ、かのひとおとしてほこらざらんためなり。 7 なんぢをしてひとことならしむるものたれぞ、なんぢのてるものなにけぬものあるか。もしけしならば、なにけぬごとくほこるか。 8 なんぢらすで飽󠄄き、すでめり、われらを差措さしおきてわうとなれり。われじつなんぢらがわうたらんことをねがふ、われらもともわうたることをんがためなり。〘244㌻〙 9 われおもふ、かみ使徒しとたるわれらをさだめられしもののごとく、しりへものとしてたまへり。じつわれらは宇宙うちうのもの、すなは御使みつかひにも、衆人ひとびとにも、觀物みものにせられたるなり。 10 われはキリストのためにおろかなるものとなり、なんぢらはキリストにりて慧󠄄さとものとなれり。我等われら弱󠄃よわなんぢらはつよし、なんぢらは尊󠄅たふとわれらはいやし。 11 いまときにいたるまでわれらは飢󠄄ゑ、かわき、またはだかとなり、またたれ、さだまれる住󠄃家すみかなく、 12 づからはたらきてらうし、のゝしらるるときはしくし、めらるるときは忍󠄄しのび、
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13 そしらるるときはすゝめをなせり。われらはいまいたるまで塵芥あくたのごとく、よろづものあかのごとくられたり。

14 わがしるすはなんぢらをはづかしめんとにあらず、あいするとして訓戒くんかいせんためなり。 15 なんぢにはキリストにける守役もりやく一萬いちまんありとも、父󠄃ちちおほくあることなし。そはキリスト・イエスにりて福音󠄃ふくいんによりなんぢらをみたるは、われなればなり。 16 このゆゑなんぢらにすゝむ、われならものとならんことを。 17 これがためにしゅにありて忠實ちゅうじつなる愛子あいしテモテをなんぢらに遣󠄃つかはせり。かれがキリストにありておこなふところ、すなはつね各地かくち敎會けうくわいをしふる所󠄃ところなんぢらにおもいださしむべし。 18 わがなんぢらにいたることしとしてほこものあり。 19 されどしゅ御意󠄃みこゝろならば速󠄃すみやかになんぢにいたり、ほこものことばにはあらで、その能力ちかららんとす。 20 かみくにことばにあらず、能力ちからにあればなり。 21 なんぢなにほっするか、われしもとをもていたらんか、あい柔和にうわこゝろとをもていたらんか。

第5章

1 げん所󠄃ところによれば、なんぢらのうち淫行いんかうありと、しかしてその淫行いんかう異邦人いはうじんうちにもなきほどにして、あるひとその父󠄃ちちつまてりとふ。 2 かくてもなほなんぢほこることをなし、かゝ行爲おこなひをなししもののぞかれんことをねがひてかなしまざるか。 3 われなんぢらをはなれども、こゝろともりて其處そこるごとく、かゝることをおこなひしものすでさばきたり。 4 すなはなんぢおよれいの、われらのしゅイエスの能力ちからをもてともあつまらんとき、しゅイエスのによりて、 5 かくのごときものをサタンにわたさんとす、これそのにくほろぼされて、れいしゅイエスのすくはれんためなり。
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6 なんぢらのほこりからず。すこしのパンだねの、こな團塊かたまりをみなふくれしむるをらぬか。 7 なんぢらあたらしき團塊かたまりとならんためにふるきパンだねのぞけ、なんぢらはパンだねなきものなればなり。それわれらの過󠄃越すぎこし羔羊こひつじすなはちキリストすでほふられたまへり、 8 さればわれらはふるきパンだねもちひず、またあく邪曲よこしまとのパンだねもちひず、眞實しんじつまこととのたねなしパンをもちひてまつりおこなふべし。
〘245㌻〙
9 われ前󠄃さきふみにて淫行いんかうものまじはるなとおくりしは、 10 淫行いんかうもの、または貪欲どんよくのもの、うばもの、または偶像ぐうざうをがものさらまじはるなとふにあらず(もししかせばはなれざるをず) 11 ただ《[*]》兄弟きゃうだいとなふるものうちあるひ淫行いんかうのものあるひ貪欲どんよくのものあるひ偶像ぐうざうをがもの、あるひはのゝしるものあるひさけふものあるひうばものあらば、かゝひとまじはることなく、とも食󠄃しょくすることだにすなとの意󠄃こゝろなり。[*或は「今また書き贈る、兄弟……すな」と譯す。] 12 そとものさばくことはわれあづか所󠄃ところならんや、なんぢらのさばくは、ただうちものならずや。 13 そとにあるものかみこれをさばたまふ、かのしきものなんぢらのうちより退󠄃しりぞけよ。

第6章

1 なんぢのうちたがひことあるとき、これ聖󠄄徒せいと前󠄃まへうったへずしてたゞしからぬもの前󠄃まへうったふることをあへてするものあらんや。 2 なんぢらぬか、聖󠄄徒せいとさばくべきものなるを。もしなんぢらにさばかれんには、なんぢいとちひさことさばくにらぬものならんや。 3 なんぢららぬか、われらは御使みつかひさばくべきものなるを、ましてこのことをや。 4 しかる《[*]》になんぢさばくべきことのあるとき、敎會けうくわいにてかろしむる所󠄃ところもの審判󠄄さばきすわらしむるか。[*或は「さらば……すわらしめよ」と譯す。] 5 わがふはなんぢらをはづかしめんとてなり。なんぢのうちに兄弟きゃうだいうちのことをさばかしこきもの一人ひとりだになく、 6 兄弟きゃうだい兄弟きゃうだいを、しか信者しんじゃ前󠄃まへうったふるか。 7 たがひあいうったふるはすでまさしくなんぢらの失態しったいなり。なにゆゑむし不義ふぎけぬか、なにゆゑむしあざむかれぬか。
 339㌻ 
8 しかるになんぢ不義ふぎをなし、詐欺あざむきをなし、兄弟きゃうだいにもこれす。 9 なんぢらぬか、たゞしからぬものかみくにぐことなきを。みづかあざむくな、淫行いんかうのもの、偶像ぐうざうをがむもの、姦淫かんいんをなすもの、男娼だんしゃうとなるもの、男色なんしょくおこなもの 10 ぬすみするもの、貪欲どんよくのもの、さけふもの、のゝしるもの、うばものなどは、みなかみくにぐことなきなり。 11 なんぢのうちさきにはかくのごときものありしかど、しゅイエス・キリストのにより、われらのかみ御靈みたまによりて、おのれあらひ、かつ潔󠄄きよめられ、かつとせらるることをたり。

12 一切すべてのものわれからざるなし、れど一切すべてのものえきあるにあらず。一切すべてのものわれからざるなし、れどわれなにものにも支配しはいせられず、 13 食󠄃物しょくもつはらのため、はら食󠄃物しょくもつのためなり。れどかみこれをもかれをもほろぼたまはん。淫行いんかうをなさんためにあらず、しゅためなり、しゅはまたためなり。 14 かみすでしゅよみがへらせたまへり、又󠄂またその能力ちからをもて我等われらをもよみがへらせたまはん。〘246㌻〙 15 なんぢらのはキリストの肢體したいなるをらぬか、らばキリストの肢體したいをとりて遊󠄃女あそびめ肢體したいとなすべきか、けっしてしかすべからず。 16 遊󠄃女あそびめにつくものかれひとからだとなることをらぬか『二人ふたりのもの一體いったいとなるべし』とたまへり。 17 しゅにつくものこれひとれいとなるなり。 18 淫行いんかう避󠄃けよ、ひとのをかすつみはみなほかにあり、されど淫行いんかうをなすものおのをかすなり。 19 なんぢらのは、そのうちにある、かみよりけたる聖󠄄せいれいみやにして、なんぢらはおのれものにあらざるをらぬか。 20 なんぢらはあたひをもてはれたるものなり、らばそのをもてかみ榮光えいくわうあらはせ。
 340㌻ 

第7章

1 なんぢらがわれきおくりしこときては、をとこをんなれぬをしとす。 2 れど淫行いんかうまぬかれんために、をとこはおのおのつまをもち、をんなはおのおのをっとつべし。 3 をっとはその分󠄃ぶんつまつくし、つまもまたをっとしかすべし。 4 つまおの支配しはいするけんをもたず、これものそれなり。かくのごとくをっとおの支配しはいするけんたず、これものつまなり。 5 あひともこばむな、ただいのりゆだぬるため合意󠄃がふいにてしばらあひわかれ、のちまたともになるはし。これなんぢらが情󠄃じゃうきんじがたきにじょうじてサタンのいざなふことなからんためなり。 6 されどくいふはめいずるにあらず、ゆるすなり。 7 わがほっする所󠄃ところは、すべてのひとごとくならんことなり。れどかみより各自おのおのおのが賜物たまものく、これこれのごとく、かれかれのごとし。

8 われ婚姻こんいんせぬものおよび寡婦󠄃やもめふ。もしごとくにしてらばかれのためにし。 9 もしみづかせいすることあたはずば婚姻こんいんすべし、婚姻こんいんするはむねゆるよりも勝󠄃まさればなり。 10 われ婚姻こんいんしたるものめいず(めいずるものわれにあらずしゅなり)つまをっとわかるべからず。 11 もしわかるることあらば、とつがずしてるか、又󠄂またをっとやはらげ。をっともまたつまるべからず。 12 そのほかひとわれいふ(しゅたまふにあらず)もし兄弟きゃうだい信者しんじゃなるつまありてともることをしとせば、これるな。 13 またをんな信者しんじゃなるをっとありてともることをしとせば、をっとるな。 14 そは信者しんじゃなるをっとつまによりて潔󠄄きよくなり、信者しんじゃなるつまをっとによりて潔󠄄きよくなりたればなり。なくばなんぢらの子供こども潔󠄄きよからず、されどいま潔󠄄きよものなり。 15 信者しんじゃみづからはならば、そのはなるるにまかせよ。かくのごときことあらば、兄弟きゃうだいまたは姉妹しまい、もはやつながるる所󠄃ところなし。かみなんぢらをたまへるは平󠄃和へいわさせんためなり。〘247㌻〙 16 つまよ、なんぢいかでをっとすくるやいなやをらん。をっとよ、なんぢいかでつますくるやいなやをらん。
 341㌻ 
17 たゞおのおのしゅ分󠄃わかたまふところ、かみたまふところにしたがひてあゆむべし。すべての敎會けうくわいめいずるはかくのごとし。 18 割󠄅禮かつれいありてされしものあらんか、そのひと割󠄅禮かつれいつべからず。割󠄅禮かつれいなくしてされしものあらんか、そのひと割󠄅禮かつれいくべからず。 19 割󠄅禮かつれいくるもけぬもかぞふるにらず、ただたふときはかみ誡命いましめまもることなり。 20 各人おのおのそのされしときさまとゞまるべし。 21 なんぢ奴隷どれいにてされたるか、これおもわづらふな(もしゆるさるることをばゆるされよ) 22 されてしゅにある奴隷どれいは、しゅにつける自主じしゅひとなり。かくのごとく自主じしゅにしてされたるものは、キリストの奴隷どれいなり。 23 なんぢらはあたひをもてはれたるものなり。ひと奴隷どれいとなるな。 24 兄弟きゃうだいよ、おのおのされしときさまとゞまりてかみともるべし。

25 處女をとめのことにきてはしゅめいけず、れどしゅ憐憫あはれみによりて忠實ちゅうじつものとなりたれば、意󠄃見いけんぐべし。 26 われおもふに、目前󠄃まのあたり患難なやみのためには、ひとそのるがまゝにてとゞまるぞき。 27 なんぢつまつながるるものなるか、くことをもとむな。つまつながれぬものなるか、つまもとむな。 28 たとひつまめとるともつみをかすにはあらず。處女をとめもしとつぐともつみをかすにあらず。れどかゝものはその苦難くるしみ遭󠄃はん、われなんぢらを苦難くるしみ遭󠄃はすに忍󠄄しのびず。 29 兄弟きゃうだいよ、われこれはん、ときちゞまれり。さればこれよりのちつまてるものたぬがごとく、 30 ものかぬがごとく、よろこものよろこばぬがごとく、ものたぬがごとく、 31 もちふるものもちつくさぬがごとくすべし。狀態ありさま過󠄃すぎくべければなり。 32 わがほっする所󠄃ところなんぢらがおもわづらはざらんことなり。婚姻こんいんせぬもの如何いかにしてしゅよろこばせんとしゅのことをおもんぱかり、
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33 婚姻こんいんせしもの如何いかにしてつまよろこばせんとのことをおもんぱかりてこゝろ分󠄃わかつなり。 34 婚姻こんいんせぬをんな處女をとめとはれい潔󠄄きよくならんためにしゅのことをおもんぱかり、婚姻こんいんせしもの如何いかにしてそのをっとよろこばせんとのことをおもんぱかるなり。 35 わがこれふはなんぢらをえきせんためにしてなんぢらにほだしかんとするにあらず、むしなんぢらをよろしきに適󠄄かなはせ、餘念よねんなく只管ひたすらしゅつかへしめんとてなり。 36 ひともし處女をとめたるおのむすめたいすることよろしきに適󠄄かなはずとおもひ、としころもまた過󠄃ぎんとし、かつしかせざるをずば、こゝろのままにおこなふべし。これつみをかすにあらず、婚姻こんいんせさすべし。〘248㌻〙 37 されどひともしこゝろかたくし、むをざることもなく、又󠄂またおのがこゝろままになすをて、そのむすめとゞかんとこゝろのうちにさだめたらば、しかするはきなり。 38 さればむすめとつがするもの行爲おこなひし。されどこれとつがせぬもの行爲おこなひさらし。 39 つまをっとけるうちつながるるなり。れどをっともしなば、ほっするままにとつ自由じいうべし、ただしゅにあるものにのみ適󠄄くべし。 40 れど意󠄃見いけんにては、そのまゞとゞまらばこと幸福さいはひなり。われもまたかみ御靈みたまかんじたりとおもふ。

第8章

1 偶像ぐうざう供物そなへものきては我等われらみな知識ちしきあることをる。知識ちしきひとほこらしめ、あいとくつ。 2 もしひとみづかられりとおもはば、るべきほどことをもらぬなり。 3 れどひともしかみあいせば、そのひとかみられたるなり。 4 偶像ぐうざう供物そなへもの食󠄃くらふことにきては、われ偶像ぐうざうになきものなるをり、また唯一ゆゐいつかみほかにはかみなきをる。 5 かみとなふるもの、あるひてんあるひにありて、おほくのかみ、おほくのしゅあるがごとくなれど、 6 われらには父󠄃ちちなる唯一ゆゐいつかみあるのみ、萬物ばんもつこれよりで、われらもまたこれにす。また唯一ゆゐいつしゅイエス・キリストあるのみ、萬物ばんもつこれにり、われらもまたこれにれり。
 343㌻ 
7 れどひとみな知識ちしきあるにあらず、あるひといまもなほ偶像ぐうざうれ、偶像ぐうざう獻物さゝげものとして食󠄃しょくするゆゑに、その良心りゃうしんよわくしてけがさるるなり。 8 われらをかみ前󠄃まへたしむるものは食󠄃物しょくもつにあらず、されば食󠄃しょくするもえきなく、食󠄃しょくせざるもそんなし。 9 れどこゝろしてなんぢらのてる自由じいう弱󠄃よわもの躓物つまづきとすな。 10 ひともし知識ちしきあるなんぢ偶像ぐうざうみやにて食󠄃事しょくじするをんに、そのひと弱󠄃よわきときは良心りゃうしんそそのかされて偶像ぐうざう獻物ささげもの食󠄃しょくせざらんや。 11 らばキリストのかわりてたまひし弱󠄃よわ兄弟きゃうだいは、なんぢ知識ちしきによりてほろぶべし。 12 かくのごとくなんぢ兄弟きゃうだいたいしてつみをかし、その弱󠄃よわ良心りゃうしんいためしむるは、キリストにたいしてつみをかすなり。 13 このゆゑに、もし食󠄃物しょくもつわが兄弟きゃうだいつまづかせんには、兄弟きゃうだいつまづかせぬために、われ何時いつまでもにく食󠄃くらはじ。

第9章

1 われ自主じしゅものならずや、使徒しとにあらずや、われらのしゅイエスをしにあらずや、なんぢらはしゅりてわざならずや。 2 われほかひとには使徒しとならずともなんぢらには使徒しとなり。なんぢらはしゅにありて使徒しとたるつとめいんなればなり。 3 われをさばものたいする辯明べんめいかくのごとし。 4 われらは飮食󠄃いんしょくするけんなきか。〘249㌻〙 5 われらはほか使徒しとたち、しゅ兄弟きゃうだいたちおよびケパのごとく姉妹しまいたるつまたづさふるけんなきか。 6 ただわれとバルナバとのみわざむるけんなきか。 7 たれおのれざいにて兵卒へいそつつとむるものあらんや。たれ葡萄畑ぶだうばたけつくりてその食󠄃はぬものあらんや。たれむれひてその乳󠄃ちゝまぬものあらんや。 8 われただひとおもひにのみりてこれのことをはんや、律法おきてまたかくふにあらずや。 9 モーセの律法おきてに『穀物こくもつこなうしには口籠くつごくべからず』としるしたり。かみうしのためにおもんぱかりたまへるか、
 344㌻ 
10 またもっぱ我等われらのためにこれたまひしか、しかり、われらのためにしるされたり。それたがやもの望󠄇のぞみをもてたがやし、穀物こくもつをこなすものこれあづか望󠄇のぞみをもてこなすべきなり。 11 もしわれれいものなんぢらにきしならば、なんぢらのにくものるは過󠄃分󠄃くわぶんならんや。 12 もしほかひとなんぢらにたいしてこのけんあらんには、ましわれらをや。れど我等われらはこのけんもちひざりき。たゞキリストの福音󠄃ふくいん障碍さまたげなきやうに一切すべてのことを忍󠄄しのぶなり。 13 なんぢららぬか、聖󠄄せいなることつとむるものみやのものを食󠄃しょくし、祭壇さいだんつかふるもの祭壇さいだんのものにあづかるを。 14 かくのごとくしゅもまた福音󠄃ふくいん宣傳のべつたふるもの福音󠄃ふくいんによりて生活すぎはひすべきことをさだたまへり。 15 されどわれこれのことをひとつだにもちひしことなし、またみづかられんためにこれおくるにあらず、くせられんよりはむしぬるをしとすればなり。たれもわがほこり空󠄃むなしくざるべし。 16 われ福音󠄃ふくいん宣傳のべつたふともほこるべき所󠄃ところなし、むをざるなり。もし福音󠄃ふくいん宣傳のべつたへずば、われ禍害󠄅わざはひなるかな。 17 しわれこゝろよりこれをなさばむくいん、たとひこゝろならずともわれはそのつとめゆだねられたり。 18 らばむくいなにぞ、福音󠄃ふくいん宣傳のべつたふるに、ひとをしてつひえなく福音󠄃ふくいんしめ、しか福音󠄃ふくいんによりててるけんもちつくさぬことこれなり。 19 われすべてのひとたいして自主じしゅものなれど、さらおほくのひとんために、みづかすべてのひと奴隷どれいとなれり。 20 われユダヤびとにはユダヤびとごとくなれり、これユダヤびとんがためなり。律法おきてしたにあるものには――律法おきてしたわれはあらねど――律法おきてしたにあるものごとくなれり。これ律法おきてしたにあるものんがためなり。 21 律法おきてなきものには――われかみむかひて律法おきてなきにあらず、かへつてキリストの律法おきてしたにあれど――律法おきてなきものごとくなれり、これ律法おきてなきものんがためなり。
 345㌻ 
22 弱󠄃よわものには弱󠄃よわものとなれり、これ弱󠄃よわものんためなり。われすべてのひとにはすべてのひとさましたがへり、これ如何いかにもして幾許いくばくかのひとすくはんためなり。 23 われ福音󠄃ふくいんのためにすべてのことをなす、これわれとも福音󠄃ふくいんあづからんためなり。〘250㌻〙 24 なんぢららぬか、馳場はせばはしものはみなはしれども、褒美はうびものの、ただ一人ひとりなるを。なんぢらもんためにはしれ。 25 すべて勝󠄃かちあらそもの何事なにごとをも節󠄄せっつゝしむ、かれらはつる冠冕かんむりんがためなれど、われらはちぬ冠冕かんむりんがためにこれをなすなり。 26 はしるは目標めあてなきがごときにあらず、拳鬪けんとうするは空󠄃くうつがごときにあらず。 27 わがからだうちたゝきてこれ服󠄃從ふくじゅうせしむ。おそらくは他人たにん宣傳のべつたへてみづかてらるることあらん。

第10章

1 兄弟きゃうだいよ、われなんぢらがこれらぬをこのまず。すなはわれらの先祖せんぞはみなくもしたにあり、みなうみをとほり、 2 みなくもうみとにてバプテスマをけてモーセにつけり。 3 しかしてみなおなじくれいなる食󠄃物くひもの食󠄃しょくし、 4 みなおなじくれいなる飮物のみものめり。これかれらにしたがひしれいなるいはよりみたるなり、そのいはすなはちキリストなりき。 5 れどかれらのうちおほくはかみ御意󠄃みこゝろ適󠄄かなはず、荒野あらのにてほろぼされたり。 6 これのことはわれらのかゞみにして、かれらがむさぼりしごとあくむさぼらざらんためなり。 7 かれらのうちあるものならひて偶像ぐうざうはいするものとなるな、すなはち『たみして飮食󠄃のみくひちてたはむる』としるされたり。 8 又󠄂またかれらのうちあるものならひてわれ姦淫かんいんすべからず、姦淫かんいんおこなひしもの一日いちにち二萬にまんさんぜんにんにたり。 9 またかれのうちのあるものならひてわれしゅこゝろむべからず、しゅこゝろみしもの、へびほろぼされたり、
 346㌻ 
10 又󠄂またかれらのうちあるものならひてつぶやくな、つぶやきしもの、ほろぼものほろぼされたり、 11 かれらが遭󠄃へるこれのことはかゞみとなれり、かつすゑ遭󠄃へるわれらの訓戒くんかいのためにしるされたり。 12 らばみづかてりとおもものたふれぬやうにこゝろせよ。 13 なんぢらが遭󠄃ひし試煉こゝろみひとつねならぬはなし。かみ眞實まことなれば、なんぢらを忍󠄄しのぶことあたはぬほどの試煉こゝろみ遭󠄃はせたまはず。なんぢらが試煉こゝろみ忍󠄄しのぶことをんために、これとものがるべき道󠄃みちそなたまはん。

14 さらばあいするものよ、偶像ぐうざうはいすることを避󠄃けよ。 15 われ慧󠄄さとものふごとくはん、ふところを判󠄄斷はんだんせよ。 16 われらがいはふところのいはひ酒杯さかづきは、これキリストのあづかるにあらずや。われらが所󠄃ところのパンは、これキリストのからだあづかるにあらずや。 17 パンはひとつなれば、おほくのわれらも一體いったいなり、みなともにひとつのパンにあづかるにる。 18 にくによるイスラエルをよ、供物そなへもの食󠄃くらもの祭壇さいだんあづかるにあらずや。 19 らばふところはなにぞ、偶像ぐうざう供物そなへものはあるものとふか、また偶像ぐうざうはあるものとふか。〘251㌻〙 20 いなわれふ、異邦人いはうじんそなふるものかみそなふるにあらず、惡鬼あくきそなふるなりと。われなんぢらが惡鬼あくきまじはるをほっせず。 21 なんぢらしゅ酒杯さかづき惡鬼あくき酒杯さかづきとを兼󠄄かねむことあたはず。しゅ食󠄃卓しょくたく惡鬼あくき食󠄃卓しょくたくとに兼󠄄かねあづかることあたはず。 22 われらしゅねたみ惹起󠄃ひきおこさんとするか、われらはしゅよりもつよものならんや。

23 一切すべてのものからざるなし、れど一切すべてのものえきあるにあらず、一切すべてのものからざるなし、れど一切すべてのものとくつるにあらず。 24 各人おのおのおのがえきもとむることなく、ひとえきもとめよ。 25 すべて市場いちばにてもの良心りゃうしんのためになにをもはずして食󠄃しょくせよ。 26 そはこれ滿つるものとはしゅものなればなり。 27 もし信者しんじゃまねかれてかんとせば、すべなんぢらの前󠄃まへもの良心りゃうしんのためになにをもはずして食󠄃しょくせよ。
 347㌻ 
28 ひともしこれ犧牲いけにへにせしにくなりとはばげしもののため、また良心りゃうしんのために食󠄃しょくすな。 29 良心りゃうしんとはなんぢ良心りゃうしんにあらず、かのひと良心りゃうしんふなり。なんぞわが自由じいうほかひと良心りゃうしんによりてさばかるることをせん。 30 もし感謝かんしゃして食󠄃しょくすることをせば、なんぞわが感謝かんしゃする所󠄃ところのものにきてそしらるることをせん。 31 さらば食󠄃くらふにもむにも何事なにごとをなすにも、すべかみ榮光えいくわうあらはすやうによ。 32 ユダヤびとにもギリシヤびとにも、またかみ敎會けうくわいにも躓物つまづきとなるな。 33 われすべてのことを、すべてのひとこゝろ適󠄄かなふやうにつとめ、人々ひとびとすくはれんために、おのれえきもとめずしておほくのひとえきもとむるなり。

第11章

1 がキリストにならものなるごとく、なんぢらわれならものとなれ。

2 なんぢらはすべてのことにつきてわれおぼえ、かつわがつたへし所󠄃ところをそのまままもるにりて、われなんぢらをむ。 3 されどわれなんぢらがこれらんことをねがふ。すべてのをとこかしらはキリストなり、をんなかしらをとこなり、キリストのかしらかみなり。 4 すべてをとこいのりをなし預言よげんをなすとき、かしらものかぶるは、かしらはづかしむるなり。 5 すべてをんないのりをなし預言よげんをなすとき、かしらものかぶらぬは、かしらはづかしむるなり。これ薙髮ていはつことなることなし。 6 をんなもしものかぶらずば、かみをもるべし。れどかみり、あるひることををんなはぢとせばものかぶるべし。 7 をとこかみかたちかみ榮光えいくわうなれば、かしらものかぶるべきにあらず、れどをんなをとこ光榮くわうえいなり。 8 をとこをんなよりでずして、をんなをとこよりで、 9 をとこをんなのために造󠄃つくられずして、をんなをとこのために造󠄃つくられたればなり。 10 このゆゑをんな御使みつかひたちのゆゑによりてかしらけんしるしいたゞくべきなり。〘252㌻〙
 348㌻ 
11 されどしゅりては、をんなをとこらざるなく、をとこをんならざるなし。 12 をんなをとこよりでしごとく、をとこをんなによりてづ。しかして萬物ばんもつはみなかみよりづるなり。 13 なんぢみづから判󠄄斷はんだんせよ、をんなものかぶらずしてかみいのるはよろしきことなるか。 14 なんぢら自然しぜんるにあらずや、をとこもしながかみあらば、づべきことにして、 15 をんなもしながかみあらば、その光榮くわうえいなるを。それをんなかみは、被物かぶりものとしてたまはりたるなり。 16 假令たとひこれを坑辯あらがものありともかくのごときれいわれらにもかみしょ敎會けうくわいにもあることなし。

17 われこれらのことめいじてなんぢらをめず。なんぢらのあつまること、えきけずしてそんまねけばなり。 18 なんぢらが敎會けうくわいあつまるとき分󠄃爭あらそひありとく、われぼこれをしんず。 19 それはなんぢのうちにとせらるべきものあらはれんために《[*]》黨派たうはかなら起󠄃おこるべければなり。[*或は「異端」と譯す。] 20 なんぢら一處ひとつところあつまるときしゅ晩餐󠄃ばんさん食󠄃しょくすることあたはず。 21 食󠄃しょくするとき、おのおのひとさきだちておのれ晩餐󠄃ばんさん食󠄃しょくするにより、うるものあり、ゑひ飽󠄄けるものあればなり。 22 なんぢ飮食󠄃のみくひすべきいへなきか、かみ敎會けうくわいかろんじ、またともしきものはづかしめんとするか、われなにをふべきか、なんぢらをむべきか、これきてはめぬなり。 23 わがなんぢらにつたへしことはしゅよりさづけられたるなり。すなはしゅイエスわたされたま、パンをり、 24 しくしてこれき、しかしてたまふ『これはなんぢのためのからだなり。記念きねんとしてこれおこなへ』 25 夕餐󠄃ゆふげののち酒杯さかづきをも前󠄃さきごとくしてひたまふ『この酒杯さかづきによれるあたらしき契約けいやくなり。むごとに記念きねんとしてこれをおこなへ』 26 なんぢこのパンを食󠄃しょくし、この酒杯さかづきむごとに、しゅしめしてきたりたまふときにまでおよぶなり。 27 ればよろしきに適󠄄かなはずしてしゅのパンを食󠄃しょくし、しゅ酒杯さかづきものは、しゅからだとををかすなり。 28 ひとみづからかへりみてのち、そのパンを食󠄃しょくし、その酒杯さかづきむべし。
 349㌻ 
29 御體みからだわきまへずして飮食󠄃のみくひするものは、その飮食󠄃のみくひによりてみづか審判󠄄さばきまねくべければなり。 30 このゆゑなんぢのうちに弱󠄃よわきもの、めるものおほくあり、またねむりきたるものすくなからず。 31 我等われらもしみづかおのれわきまへなばさばかるることなからん。 32 されどさばかるることのあるは、われらをひととともにつみさだめじとてしゅこらしめたまふなり。 33 このゆゑに、わが兄弟きゃうだいよ、食󠄃しょくせんとてあつまるときはたがひあはせよ。 34 もし飢󠄄うるものあらば、なんぢらの集會あつまり審判󠄄さばきまねくことからんためおのいへにて食󠄃しょくすべし。〘253㌻〙 35 そのほかのことはわれいたらんときこれをさだめん。

第12章

1 兄弟きゃうだいよ、れい賜物たまものきては、われなんぢらがらぬをこのまず。 2 なんぢら異邦人いはうじんなりしとき、いざなはるるままにものはぬ偶像ぐうざうのもとに導󠄃みちびかれしは、なんぢらの所󠄃ところなり。 3 ればわれなんぢらにしめさん、かみ御靈みたまかんじてかたものは、たれも『イエスはのろはるべきものなり』とはず、また聖󠄄せいれいかんぜざれば、たれも『イエスはしゅなり』とあたはず。 4 賜物たまものことなれども、御靈みたまおなじ。 5 つとめことなれども、しゅおなじ。 6 活動はたらきことなれども、すべてのひとのうちにすべての活動はたらきしたまふかみおなじ。 7 御靈みたま顯現あらはれをおのおのにたまひたるは、えきさせんためなり。 8 あるひと御靈みたまによりて智慧󠄄ちゑことばたまはり、あるひとおな御靈みたまによりて知識ちしきことば 9 あるひとおな御靈みたまによりて信仰しんかう、あるひとひと御靈みたまによりてやまひいや賜物たまもの 10 あるひと異能ちからあるわざ、あるひと預言よげん、あるひとれいわきまへ、あるひと異言いげんひ、あるひと異言いげん能力ちからたまはる。 11 すべこれのことはおなひとつの御靈みたま活動はたらきにして、御靈みたまそのこゝろしたがひて各人おのおの分󠄃わけあたへたまふなり。

 350㌻ 
12 からだひとつにしてえだおほし、からだえだおほくともひとつのからだなるがごとく、キリストもまたしかり。 13 われらはユダヤびと・ギリシヤびと奴隷どれい自主じしゅわかちなく、一體いったいとならんために、みなひと御靈みたまにてバプテスマをけたり。しかしてみなひと御靈みたまめり。 14 からだひとつえだよりらず、おほくのえだよりるなり。 15 あしもし『われにあらぬゆゑからだぞくせず』とふとも、これによりてからだぞくせぬにあらず。 16 みゝもし『それはにあらぬゆゑからだぞくせず』とふとも、これによりてからだぞくせぬにあらず。 17 もし全󠄃身ぜんしんならば、くところいづれか。もし全󠄃身ぜんしん所󠄃ところならば、ぐところいづれか。 18 げにかみ御意󠄃みこゝろのままに、えだをおのおのからだたまへり。 19 しみなひとつえだならば、からだいづれか。 20 げにえだおほくあれど、からだひとつなり。 21 むかひて『われなんぢ要󠄃えうせず』とひ、かしらあしむかひて『われなんぢ要󠄃えうせず』とふことあたはず。 22 いな、からだのうちにてもっと弱󠄃よわきしとゆるえだは、かへつて必要󠄃ひつえうなり。 23 からだのうちにて尊󠄅たふとからずとおもはるる所󠄃ところに、ものまとひてことこれ尊󠄅たふとぶ。われらのうるわしからぬ所󠄃ところは、一層ひときはすぐれてうるわしくすれども、 24 うるわしき所󠄃ところには、ものまとふの要󠄃えうなし。かみおとれる所󠄃ところこと尊󠄅榮たふときくはへてひとからだ調和てうわしたまへり。 25 これからだのうちに分󠄃爭あらそひなく、肢々えだえだ一致いっちして、たがひあひ顧󠄃かへりみんためなり。〘254㌻〙 26 もしひとつのえだくるしまば、もろもろのえだともにくるしみ、ひとつのえだ尊󠄅たふとばれなば、もろもろのえだともによろこぶなり。 27 すなはなんぢらはキリストのからだにして各自おのおのそのえだなり。 28 かみ第一だいいち使徒しと第二だいに預言者よげんしゃ第三だいさん敎師けうし、そのつぎ異能ちからあるわざつぎやまひいや賜物たまもの補助たすけをなすものをさむるもの異言いげんなどを敎會けうくわいきたまへり。 29 これみな使徒しとならんや、みな預言者よげんしゃならんや、みな敎師けうしならんや、みな異能ちからあるわざおこなものならんや。
 351㌻ 
30 みなやまひいや賜物たまものてるものならんや、みな異言いげんかたものならんや、みな異言いげんものならんや。 31 なんぢらすぐれたる賜物たまものしたへ、しかしてわれさらに道󠄃みちしめさん。

第13章

1 たとひわれもろもろの國人くにびとことばおよび御使みつかひことばかたるとも、あいなくばかねひび鐃鈸ねうはちごとし。 2 假令たとひわれ預言よげんする能力ちからあり、又󠄂またすべての奧義おくぎすべての知識ちしきとに達󠄃たっし、またやまうつすほどのおほいなる信仰しんかうありとも、あいなくばかぞふるに足らず。 3 たとひわれわが財產ざいさんをことごとくほどこし、又󠄂またわがからだかるるためわたすとも、あいなくばわれえきなし。 4 あい寛容くわんようにして慈悲じひあり。あいねたみまず、あいほこらず、たかぶらず、 5 非禮ひれいおこなはず、おのれもとめず、いきどほらず、ひとあくおもはず、 6 不義ふぎよろこばずして、眞理まことよろこぶところをよろこび、 7 おほよこと忍󠄄しのび、おほよそことしんじ、おほよそこと望󠄇のぞみ、おほよそことふるなり。 8 あい長久いつまでもゆることなし。れど預言よげんすたれ、異言いげんみ、知識ちしきもまたすたらん。 9 それわれらのるところ全󠄃まったからず、われらの預言よげん全󠄃まったからず。 10 全󠄃まったものきたらんとき全󠄃まったからぬものすたらん。 11 われ童子わらべときかたることも童子わらべのごとく、おもふことも童子わらべごとく、ろんずること童子わらべごとくなりしが、ひとりては童子わらべのことをてたり。 12 いまわれらはかゞみをもてるごとくるところおぼろなり。れど、かのときにはかほあはせてあひん。いまわがるところ全󠄃まったからず、れど、かのときにはられたるごと全󠄃まったるべし。 13 げに信仰しんかう希望󠄇のぞみあいつのものかぎりなくのこらん、しかしてのうちもっとおほいなるはあいなり。

第14章

1 あい追󠄃もとめよ、またれい賜物たまもの、ことに預言よげんする能力ちからしたへ。 2 異言いげんかたものひとかたるにあらずしてかみかたるなり。そはれいにて奧義おくぎかたるとも、たれさとものなければなり。
 352㌻ 
3 されど預言よげんするものひとかたりてとくて、すゝめをなし、慰安なぐさめあたふるなり。 4 異言いげんかたものおのれとくて、預言よげんするもの敎會けうくわいとくつ。〘255㌻〙 5 われなんぢがみな異言いげんかたらんことをほっすれど、ことほっするは預言よげんせんことなり。異言いげんかたもの、もしきて敎會けうくわいとくつるにあらずば、預言よげんするもののかた勝󠄃まさるなり。 6 らば兄弟きゃうだいよ、われもしなんぢらにいたりて異言いげんをかたり、あるひ默示もくし、あるいは知識ちしき、あるいは預言よげん、あるいはをしへをもてかたらずば、なにえきかあらん。 7 生命いのちなくしてこゑいだすもの、あるひふえ、あるいは立琴たてごと、その音󠄃おともし差別わかちなくば、いかくところ、くところのなにたるをらん。 8 ラッパさだまりなき音󠄃おといださば、たれ戰鬪たゝかひそなへをなさん。 9 かくのごとくなんぢらもしたをもてあきらかなることばいださずば、いかかたるところのなにたるをらん、これなんぢただ空󠄃氣くうきかたるのみ。 10 には國語くにことばたぐひおほかれど、ひとつとして意󠄃義いぎあらぬはなし。 11 われもし國語くにことば意󠄃義いぎらずば、かたものたいして夷人えびすとなり、かたものわれたいして夷人えびすとならん。 12 らばなんぢらもれい賜物たまものしたものなれば、敎會けうくわいとくつる目的めあてにて賜物たまものゆたかならんこともとめよ。 13 このゆゑ異言いげんかたものみづかんことをもいのるべし。 14 われもし異言いげんをもていのらば、れいいのるなれど、こゝろむすばず。 15 らば如何いかにすべきか、われれいをもていのり、またこゝろをもていのらん。われれいをもてうたひ、またこゝろをもてうたはん。 16 なんぢもししかせずばれいをもてしくするとき、凡人ただびとなんぢかたることをらねば、その感謝かんしゃたい如何いかにしてアァメンとはんや。 17 なんぢの感謝かんしゃはよし、れど、そのひととくつることなし。 18 われなんぢらすべてものよりもおほ異言いげんかたることをかみ感謝かんしゃす。 19 れどわれ敎會けうくわいにて異言いげんをもて一萬いちまんげんかたるよりも、むしひとをしへんためにこゝろをもて五言いつことばかたらんことをほっするなり。

 353㌻ 
20 兄弟きゃうだいよ、智慧󠄄ちゑおいては子供こどもとなるな、あくおいては幼兒をさなごとなり、智慧󠄄ちゑおいては成人おとなとなれ。 21 律法おきてしるして『しゅ宣給のたまはく、あだことばたみにより、あだ國人くにびと口唇くちびるをもてたみかたらん、れどなほかれらはわれかじ』とあり。 22 されば異言いげんは、信者しんじゃためならで信者しんじゃのためのしるしなり。預言よげんは、信者しんじゃためならで信者しんじゃのためなり。 23 もし全󠄃ぜん敎會けうくわい一處ひとつところあつまれるとき、みな異言いげんにてかたらば、凡人ただびとまたは信者しんじゃいりきたらんに、なんぢらをくるへるものはざらんや。 24 れどしみな預言よげんせば、信者しんじゃまたは凡人ただびとりきたるとき、會衆くわいしゅうのためにみづかめられ、會衆くわいしゅうのために是非ぜひせられ、 25 そのこゝろ祕密ひみつあらはるるゆゑしてかみはいし『かみじつなんぢらのうちいます』とはん。
〘256㌻〙
26 兄弟きゃうだいよ、さらば如何いかにすべきか、なんぢらのあつまときはおのおの聖󠄄歌せいかあり、をしへあり、默示もくしあり、異言いげんあり、能力ちからあり、みなとくてんためにすべし。 27 もし異言いげんかたものあらば、二人ふたりおほくとも三人さんにん順次じゅんじかたりて一人ひとりこれをくべし。 28 もしものなきとき敎會けうくわいにてはもくし、しかしておのれかたり、またかみかたるべし。 29 預言者よげんしゃ二人ふたりもしくは三人さんにんかたり、そのほかものはこれをわきまふべし。 30 もししをる、ほかのもの默示もくしかうむらば、さきのものもくすべし。 31 なんぢらはみなすべてのひとまなばせ、すゝめけしめんために一人ひとり一人ひとり預言よげんすることをべければなり。 32 また預言者よげんしゃれい預言者よげんしゃせいせらる。 33 それかみみだれかみにあらず、平󠄃和へいわかみなり。

34 聖󠄄徒せいとしょ敎會けうくわいのするごとく、をんな敎會けうくわいにてもくすべし。かれらはかたることをゆるされず、律法おきてへるごとくしたがふべきものなり。
 354㌻ 
35 何事なにごとまなばんとすることあらば、いへにておのをっとふべし、をんな敎會けうくわいにてかたるはづべきことなればなり。 36 かみことばなんぢよりでしか、またなんぢにのみきたりしか。

37 ひともし自己みづから預言者よげんしゃとし、あるひ御靈みたまかんじたるものおもはば、わがなんぢらにきおくることばしゅめいなりとれ。 38 もしらずばらざるにまかせよ。

39 されば兄弟きゃうだいよ、預言よげんすることをしたひ、また異言いげんかたることをきんずな。 40 すべてのことよろしきに適󠄄かなひ、かつ秩序ちつじょまもりておこなへ。

第15章

1 兄弟きゃうだいよ、さきにわがつたへし福音󠄃ふくいんさらまたなんぢらにしめす。なんぢらはこれけ、これりてちたり。 2 なんぢらいたづらにしんぜずしてつたへしままをかたまもらば、この福音󠄃ふくいんりてすくはれん。 3 わが第一だいいちなんぢらにつたへしは、けし所󠄃ところにして、キリスト聖󠄄書せいしょおうじてわれらのつみのためにに、 4 またはうむられ、聖󠄄書せいしょおうじて三日みっかめによみがへり、 5 ケパにあらはれ、のち十二じふに弟子でしあらはたまひしことなり。 6 つぎひゃくにん以上いじゃう兄弟きゃうだい同時どうじにあらはれたまへり。そのうちにはすでねむりたるものもあれど、おほくはいまなほにあり。 7 つぎにヤコブにあらはれ、つぎにすべての使徒しとあらはれ、 8 最終󠄃いやはてにはつきらぬもののごときわれにもあらはたまへり。 9 われかみ敎會けうくわい迫󠄃害󠄅はくがいしたれば、使徒しととなへらるるにらぬものにて使徒しとのうちいとちひさものなり。 10 しかるにいまごとくなるは、かみ恩惠めぐみるなり。かくてそのたまはりし御惠みめぐみ空󠄃むなしくならずして、すべての使徒しとよりもわれおほはたらけり。これわれにあらず、われともにあるかみ恩惠めぐみなり。
 355㌻ 
11 さればわれにもせよ、かれにもせよ、宣傳のべつたふる所󠄃ところかくごとくにして、なんぢらはかくのごとくしんじたるなり。
〘257㌻〙
12 キリストは死人しにんうちよりよみがへりたまへりと宣傳のべつたふるに、なんぢのうちに、死人しにん復活よみがへりなしともののあるはなにぞや。 13 もし死人しにん復活よみがへりなくば、キリストもまたよみがへりたまはざりしならん。 14 もしキリストよみがへりたまはざりしならば、われらの宣敎せんけう空󠄃むなしく、なんぢらの信仰しんかうもまた空󠄃むなしからん、 15 かつわれらはかみ僞證ぎしょうにん認󠄃みとめられん。われかみはキリストをよみがへらせたまへりとあかししたればなり。もし死人しにんよみがへることなくば、かみはキリストをよみがへらせたまはざりしならん。 16 もし死人しにんよみがへることなくば、キリストもよみがへりたまはざりしならん。 17 しキリストよみがへりたまはざりしならば、なんぢらの信仰しんかう空󠄃むなしく、なんぢなほつみらん。 18 ればキリストにりてねむりたるものほろびしならん。 19 我等われらこのにあり、キリストにりて空󠄃むなしき望󠄇のぞみいだくに過󠄃ぎずば、われらはすべてのひとうちにてもっとあはれむべきものなり。

20 れどまさしくキリストは死人しにんうちよりよみがへり、ねむりたるもの初穗はつほとなりたまへり。 21 それひとによりてきたりしごとく、死人しにん復活よみがへりもまたひとりてきたれり。 22 すべてのひと、アダムにりてぬるごとく、すべてのひと、キリストにりてくべし。 23 しかして各人おのおのその順序じゅんじょしたがふ。まづ初穗はつほなるキリスト、つぎはそのきたたまふときキリストにぞくするものなり。 24 つぎには終󠄃をはりきたらん、そのときキリストは、もろもろの權能けんのう權威けんゐ權力けんりょくほろぼして、くに父󠄃ちちなるかみわたたまふべし。 25 かれすべてのてきをそのあししたたまふまで、わうたらざるをざるなり。 26 最後いやはててきなるもまたほろぼされん。 27かみよろづものかれあしした服󠄃したがはせたまひ』たればなり。よろづものかれ服󠄃したがはせたりとのたまふときは、よろづもの服󠄃したがはせたまひしもののそのうちになきことあきらかなり。 28 よろづものかれに服󠄃したがふときは、またみづからよろづものおのれ服󠄃したがはせたまひしもの服󠄃したがはん。これかみよろづものおいよろづこととなりたまはんためなり。

 356㌻ 
29 もし復活よみがへりなくば、死人しにんためにバプテスマをくるものなにをなすか、死人しにんよみがへること全󠄃まったくなくば、死人しにんのためにバプテスマをくるはなにためぞ。 30 またわれらが何時いつ危險あやふきをかすはなにためぞ。 31 兄弟きゃうだいよ、われらのしゅイエス・キリストにりて、なんぢにつきてるほこりによりてちかひ、われ日々ひゞすとふ。 32 がエペソにてけものたゝかひしこと、ひとのごときおもひにてししならば、なにえきあらんや。死人しにんもしよみがへることなくば『我等われらいざ飮食󠄃のみくひせん、明日あすぬべければなり』〘258㌻〙 33 なんぢらあざむかるな、しき交際まじはり風儀ならはし害󠄅そこなふなり。 34 なんぢらめてただしうせよ、つみをかすな。なんぢのうちにかみらぬものあり、ふはなんぢらをはづかしめんとてなり。

35 れどひとあるひははん、死人しにんいかにしてよみがへるべきか、如何いかなるたいをもてきたるべきかと。 36 おろかなるものよ、なんぢの所󠄃ところのものなずばきず。 37 又󠄂またその所󠄃ところのものはのちるべきたいくにあらず、むぎにても、ほかこくにても、ただ種粒たねつぶのみ。 38 しかるにかみ御意󠄃みこゝろしたがひてこれたいあたへ、おのおののたねにそのたいあたへたまふ。 39 すべてのにく、おなじにくにあらず、ひとにくあり、けものにくあり、とりにくあり、うをにくあり。 40 天上てんじゃうたいあり、地上ちじゃうたいあり、されど天上てんじゃうもの光榮くわうえい地上ちじゃうものことなり。 41 光榮くわうえいあり、つき光榮くわうえいあり、ほし光榮くわうえいあり、ほしほし光榮くわうえいことにす。 42 死人しにん復活よみがへりもまたかくのごとし。つるものにてかれ、ちぬものによみがへらせられ、 43 いやしきものにてかれ、光榮くわうえいあるものによみがへらせられ、弱󠄃よわきものにてかれ、つよきものによみがへらせられ、 44 血氣けっきたいにてかれ、れいたいよみがへらせられん。血氣けっきたいあるごとく、またれいたいあり。 45 しるして、はじめひとアダムは、けるものとなれるとあるがごとし。しかして終󠄃をはりのアダムは、生命いのちあたふるれいとなれり。
 357㌻ 
46 れいのものは前󠄃さきにあらず、かへつて血氣けっきのもの前󠄃さきにありてれいのもののちにあり。 47 第一だいいちひとよりでてつちぞくし、第二だいにひとてんよりでたるものなり。 48 このつちぞくするものに、すべてつちぞくするもの、このてんぞくするものに、すべててんぞくするものるなり。 49 われつちぞくするものかたちてるごとく、てんぞくするものかたちをもつべし。 50 兄弟きゃうだいよ、われこれはん、血肉けつにくかみくにぐことあたはず、つるものはちぬものをぐことなし。 51 よ、われなんぢらに奧義おくぎげん、われらはことごとくねむるにはあらず、 52 終󠄃をはりのラッパのらんときみなたちま瞬間またゝくまくわせん。ラッパりて死人しにんちぬものよみがへり、われらはくわするなり。 53 そはつるものちぬものを、このぬるものなぬものをるべければなり。 54 つるものはちぬものを、このぬるものなぬものをんとき『勝󠄃かちまれたり』としるされたることば成就じゃうじゅすべし。 55よ、なんぢの勝󠄃かち何處いづこにかある。よ、なんぢのはり何處いづこにかある』 56 はりつみなり、つみちから律法おきてなり。 57 されど感謝かんしゃすべきかな、かみわれらのしゅイエス・キリストによりて勝󠄃かちあたへたまふ。〘259㌻〙 58 ればあいする兄弟きゃうだいよ、かたくしてうごくことなく、つねはげみてしゅわざつとめよ、なんぢそのらうの、しゅにありて空󠄃むなしからぬをればなり。

第16章

1 聖󠄄徒せいとたちのためにする寄附きふこときては、なんぢらもがガラテヤのしょ敎會けうくわいめいぜしごとくよ。 2 一週󠄃ひとまはりはじめごとに、各人おのおのその所󠄃ところにしたがひておのいへたくはけ、これいたらんときはじめて寄附きふあつむることなからんためなり。 3 われいたらば、なんぢらが選󠄄えらぶところの人々ひとびと添書そへぶみをあたへ、なんぢらのめぐものをエルサレムにたづさかしめん。
 358㌻ 
4 もしわれくべきならば、かれらはわれともくべし。 5 われマケドニヤを通󠄃とほらんとすれば、マケドニヤを過󠄃ぎてのちに、なんぢらのもとにゆかん。 6 かくなんぢらのうちとゞまりゐてあるひふゆ過󠄃すごすこともあらん、これわが何處いづこくもなんぢらに送󠄃おくられんためなり。 7 われいまなんぢらを途󠄃みちついでることをほっせず、しゅゆるしたまはば、しばらなんぢらとともとゞまらんことを望󠄇のぞむ。 8 われ五旬節ごじゅんせつまではエペソにとゞまらんとす。 9 そは活動はたらきのためにおほいなるもん、わが前󠄃まへにひらけ、また逆󠄃さからものおほければなり。

10 テモテもしいたらばつゝしみてなんぢのうちにおそれなくらしめよ、かれわれおなじくしゅわざつとむるものなり。 11 さればたれこれいやしむることなく、やすらかに送󠄃おくりてもときたらしめよ、われかれが兄弟きゃうだいたちとともきたるをてるなり。 12 兄弟きゃうだいアポロにきてはわれかれに兄弟きゃうだいたちとともなんぢらにいたらんことをねんごろにすゝめたりしが、いまくことをさらほっせず、れどをりくべし。

13 さまし、かた信仰しんかうち、雄々をゝしく、かつつよかれ。 14 一切すべてのことあいをもておこなへ。

15 兄弟きゃうだいよ、ステパナのいへはアカヤの初穗はつほにして、かれらがゆだねて聖󠄄徒せいとつかへたることは、なんぢらの所󠄃ところなり。 16 われなんぢらにすゝむ、かくのごとき人々ひとびとまたすべこれとともにはたらきてらうするもの服󠄃ふくせよ。 17 われステパナとポルトナトとアカイコとのきたるをよろこぶ。かれらはなんぢらのらぬをおぎなひたればなり。 18 かれらはこゝろなんぢらのこゝろとをやすんじたり、かくのごときもの認󠄃みとめよ。

 359㌻ 
19 アジヤのしょ敎會けうくわいなんぢらに安否あんぴふ。アクラとプリスカおよびそのいへ敎會けうくわいしゅりてねんごろになんぢらに安否あんぴふ。 20 すべての兄弟きゃうだいなんぢらに安否あんぴふ。なんぢら潔󠄄きよ接吻くちつけをもてたがひ安否あんぴへ。

21 われパウロ自筆じひつをもてなんぢらに安否あんぴふ。 22 もしひとしゅあいせずばのろはるべし、われらのしゅきたりたまふ。〘260㌻〙 23 ねがはくはしゅイエスの恩惠めぐみ、なんぢらとともにあらんことを。 24 わがあいはキリスト・イエスにりてなんぢすべてのものとともにるなり。〘261㌻〙
 360㌻