〘1572㌻〙
第1章
1 ダリヨスの二年八月のヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く
2 ヱホバいたく汝らの父󠄃等を怒りたまへり
3 萬軍のヱホバかく言ふと汝かれらに吿よ萬軍のヱホバ言ふ汝ら我に歸れ萬軍のヱホバいふ我も汝らに歸らん
4 汝らの父󠄃等のごとくならざれ前󠄃の預言者等かれらに向ひて呼はりて言り萬軍のヱホバかく言たまふ請󠄃ふ汝らその惡き道󠄃を離れその惡き行を棄てて歸れと然るに彼等は聽ず耳を我に傾けざりきヱホバこれを言ふ
5 汝らの父󠄃等は何處にありや預言者たち永遠󠄄に生んや
6 然ながら我僕なる預言者等に我が命じたる吾言とわが法度とは汝らの父󠄃等に追󠄃及たるに非ずや然ゆゑに彼らかへりて言り萬軍のヱホバ我らの道󠄃に循ひ我らの行に循ひて我らに爲んと思ひたまひし事を我らに爲たまへりと
7 ダリヨスの二年十一月すなはちセバテといふ月の二十四日にヱホバの言イドの子ベレキヤの子なる預言者ゼカリヤに臨めり云く
8 我夜觀しに一箇の人赤馬に乘て谷の裏なる鳥拈樹の中に立ちその後に赤馬駁馬白馬をる
9 我わが主よ是等は何ぞやと問けるに我と語ふ天の使われにむかひて是等の何なるをわれ汝に示さんと言り
10 鳥拈樹の中に立る人答へて言けるは是等は地上を遍󠄃く步かしめんとてヱホバの遣󠄃したまひし者なりと
11 彼ら答へて鳥拈樹の中に立るヱホバの使に言けるは我ら地上を行めぐり觀しに全󠄃地は穩にして安し
12 ヱホバの使こたへて言ふ萬軍のヱホバよ汝いつまでヱルサレムとユダの邑々を恤みたまはざるか汝はこれを怒りたまひてすでに七十年になりぬと
13 ヱホバ我と語ふ天の使に嘉事慰事をもて答へたまへり
14 かくて我と語ふ天の使我に言けるは汝呼はりて言へ萬軍のヱホバかく言たまふ我ヱルサレムのためシオンのために甚だしく心を熱して嫉妬おもひ
1572㌻
15 安居せる國々の民を太く怒る其は我すこしく怒りしに彼ら力を出して之に害󠄅を加へたればなり
16 ヱホバかく言ふ是故に我憐憫をもてヱルサレムに歸る萬軍のヱホバのたまふ我室その中に建られ量繩ヱルサレムに張られん
17 汝また呼はりて言へ萬軍のヱホバかく宣ふ我邑々には再び嘉物あふれんヱホバふたゝびシオンを慰め再びヱルサレムを簡びたまふべしと
〘1205㌻〙
18 かくて我目を擧て觀しに四の角ありければ
19 我に語ふ天の使に是等は何なるやと問しに彼われに答へけるは是等はユダ、イスラエルおよびヱルサレムを散したる角なりと
20 時にヱホバ四箇の鍛冶を我に見し給へり
21 我是等は何を爲んとて來れるやと問しに斯こたへ給へり是等の角はユダを散して人にその頭を擧しめざりし者なるが今この四箇の者來りて之を威しかのユダの地にむかひて角を擧て之を散せし諸國の角を擲たんとす
第2章
1 茲に我目を擧て觀しに一箇の人量繩を手に執居ければ
2 汝は何處へ徃くやと問しにヱルサレムを量りてその廣と長の幾何なるを觀んとすと我に答ふ
3 時に我に語ふ天の使出行たりしが又󠄂一箇の天の使出きたりて之に會ひ
4 之に言けるは走ゆきてこの少き人に吿て言へヱルサレムはその中に人と畜と饒なるによりて野原のごとくに廣く亘るべし
5 ヱホバ言たまふ我その四周󠄃にて火の垣となりその中にて榮光とならん
6 ヱホバいひたまふ來れ來れ北の地より逃󠄄きたれ我なんぢらを四方の天風のごとくに行わたらしむればなりヱホバこれを言ふ
1573㌻
7 來れバビロンの女子とともに居るシオンよ遁れ來れ
8 萬軍のヱホバかく言たまふヱホバ汝等を擄へゆきし國々へ榮光のために我儕を遣󠄃したまふ汝らを打つ者は彼の目の珠を打なればなり
9 即ち我手をかれらの上に搖ん彼らは己に事へし者の俘虜となるべし汝らは萬軍のヱホバの我を遣󠄃したまへるなるを知ん
10 ヱホバ言たまふシオンの女子よ喜び樂め我きたりて汝の中に住󠄃ばなり
11 その日には許多の民ヱホバに附て我民とならん我なんぢの中に住󠄃べし汝は萬軍のヱホバの我を遣󠄃したまへるなるを知ん
12 ヱホバ聖󠄄地の中にてユダを取て己の分󠄃となし再びヱルサレムを簡びたまふべし
13 ヱホバ起󠄃てその聖󠄄住󠄃所󠄃よりいでたまへば凡そ血肉ある者ヱホバの前󠄃に肅然たれ
第3章
1 彼祭司の長ヨシユアがヱホバの使の前󠄃に立ちサタンのその右に立てこれに敵しをるを我に見す
2 ヱホバ、サタンに言たまひけるはサタンよヱホバ汝をせむべし即ちヱルサレムを簡びしヱホバ汝をいましむ是は火の中より取いだしたる燃柴ならずやと
3 ヨシユア汚なき衣服󠄃を衣て使の前󠄃に立をりしが
4 ヱホバ己の前󠄃に立る者等に吿て汚なき衣服󠄃を之に脱せよと宣ひまたヨシユアに向ひて觀よ我なんぢの罪を汝の身より取のぞけり汝に美服󠄃を衣すべしと宣へり〘1206㌻〙
5 我また潔󠄄き冠冕をその首に冠らせよと言り是において潔󠄄き冠冕をその首に冠らせ衣服󠄃をこれに衣すヱホバの使は立をる
6 ヱホバの使證してヨシユアに言ふ
7 萬軍のヱホバかく言たまふ汝もし我道󠄃を步みわが職守を守らば我家を司どり我庭を守ることを得ん我また此に立る者等の中に徃來する路を汝に與ふべし
8 祭司の長ヨシユアよ請󠄃ふ汝と汝の前󠄃に坐する汝の同僚とともに聽べし彼らは即ち前󠄃表となるべき人なり我かならず我僕たる枝を來らすべし
1574㌻
9 ヨシユアの前󠄃に我が立るところの石を視よ此一箇の石の上に七箇の目あり我自らその彫刻をなす萬軍のヱホバこれを言ふなり我この地の罪を一日の內に除くべし
10 萬軍のヱホバ言たまふ其日には汝等おのおの互に相招きて葡萄の樹の下無花果の樹の下にあらん
第4章
1 我に語へる天の使また來りて我を呼醒せり我は睡れる人の呼醒されしごとくなりき
2 彼我にむかひて汝何を見るやと言ければ我いへり我觀に惣金の燈臺一箇ありてその頂に油を容る噐ありまた燈臺の上に七箇の燭盞ありその燭盞は燈臺の頂にありて之に各七本づつの管あり
3 また燈臺の側に橄欖の樹二本ありて一は油を容る噐の右にあり一はその左にあり
4 我答へて我と語ふ天の使の問言けるは我主よ是等は何ぞやと
5 我と語ふ天の使我に答へて汝是等の何なるを知ざるかと言しにより我主よ知ずとわれ言り
6 彼また答へて我に言けるはゼルバベルにヱホバの吿たまふ言は是のごとし萬軍のヱホバ宣ふ是は權勢に由らず能力に由らず我靈に由るなり
7 ゼルバベルの前󠄃にあたれる大山よ汝は何者ぞ汝は平󠄃地とならん彼は恩惠あれ之に恩惠あれと呼はる聲をたてて頭石を曵いださん
8 ヱホバの言われに臨めり云く
9 ゼルバベルの手この室の石礎を置たり彼の手これを成終󠄃ん汝しらん萬軍のヱホバ我を汝等に遣󠄃したまひしと
10 誰か小き事の日を藐視むる者ぞ夫の七の者は遍󠄃く全󠄃地に徃來するヱホバの目なり準繩のゼルバベルの手にあるを見て喜ばん
11 我また彼に問て燈臺の右左にある此二本の橄欖の樹は何なるやと言ひ
12 重ねてまた彼に問て此二本の金の管によりて金の油をその中より斟ぎ出す二枝の橄欖は何ぞやと言しに〘1207㌻〙
1575㌻
13 彼われに答へて汝是等の何なるを知ざるかと言ければ我主よ知ずと言けるに
14 彼言らく是等は油の二箇の子にして全󠄃地の主の前󠄃に立つ者なり
第5章
1 我また目を擧て觀しに卷物の飛あり
2 彼われに汝何を見るやと言ければ我言ふ我卷物の飛ぶを見る其長は二十キユビトその寛は十キユビト
3 彼またわれに言けるは是は全󠄃地の表面を徃めぐる呪詛の言なり凡て竊む者は卷物のこの面に照して除かれ凡て誓ふ者は卷物の彼の面に照して除かるべし
4 萬軍のヱホバのたまふ我これを出せり是は竊盜者の家に入りまた我名を指て僞り誓ふ者の家に入てその家の中に宿りその木と石とを並せて盡く之を燒べしと
5 我に語へる天の使進󠄃み來りて我に言けるは請󠄃ふ目を擧てこの出きたれる物の何なるを見よ
6 これは何なるやと我言ければ彼言ふ此出來れる者はエパ舛なり又󠄂言ふ全󠄃地において彼等の形狀は是のごとしと
7 かくて鉛の圓き蓋を取あぐれば一人の婦󠄃人エパ舛の中に坐し居る
8 彼是は罪惡なりと言てその婦󠄃人をエパ舛の中に投いれ鉛の錘をその舛の口に投かぶらせたり
9 我また目を擧て觀しに婦󠄃人二人出きたれり之に鶴の翼のごとき翼ありてその翼風を含む彼等そのエパ舛を天地の間に持擧ぐ
10 我すなはち我に語ふ天の使にむかひて彼等エパ舛を何處へ携へゆくなるやと言けるに
11 彼我に言ふシナルの地にて之がために家を建んとてなり是は彼處に置られてその臺の上に立ん
第6章
1 我また目を擧て觀しに四輌の車二の山の間より出きたれりその山は銅の山なり
2 第一の車には赤馬を着け第二の車には黑馬を着け
3 第三の車には白馬を着け第四の車には白點なる强馬を着く
1576㌻
4 我すなはち我に語ふ天の使に問て我主よ是等は何なるやと言けるに
5 天の使こたへて我に言ふ是は四の天風にして全󠄃地の主の前󠄃より罷り出たる者なり
6 黑馬は北の地をさして進󠄃み行き白馬その後に從ふ又󠄂白點馬は南の地をさして進󠄃みゆき
7 强馬は進󠄃み出て地を徧く行めぐらんとす彼汝ら徃き地を徧くめぐれと言たまひければ則ち地を行めぐれり
8 彼われを呼て我に吿て言ふこの北の地に徃る者等は北の地にて我靈を安んず
9 ヱホバの言われに臨めり曰く
10 汝かの囚虜人の中の者ヘルダイ、トビヤおよびヱダヤより取ことをせよ即ちその日に汝かれらがバビロンより歸りて宿りをるゼパニヤの子ヨシヤの家に到り〘1208㌻〙
11 金銀を取て冠冕を造󠄃りヨザダクの子なる祭司の長ヨシユアの首にこれを冠らせ
12 彼に語りて言べし萬軍のヱホバ斯言たまふ視よ人ありその名を枝といふ彼おのれの處より生いでてヱホバの宮を建ん
13 即ち彼者ヱホバの宮を建て尊󠄅榮を帶びその位に坐して政事を施しその位にありて祭司とならん此二の者の間に平󠄃和の計議あるべし
14 偖またその冠冕はヘレム、トビヤ、ユダヤおよびゼパニヤの子ヘンの記念のために之をヱホバの殿に納󠄃むべし
15 遠󠄄き處の者等來りてヱホバの殿を建ん而して汝らは萬軍のヱホバの我を遣󠄃したまひしなるを知にいたらん汝らもし汝らの神ヱホバの聲に聽したがはば是のごとくなるべし
第7章
1 ダリヨス王の四年の九月すなはちキスリウといふ月の四日にヱホバの言ゼカリヤに臨めり
2 ベテルかの時シヤレゼル、レゲンメレクおよびその從者を遣󠄃してヱホバを和めさせ
3 かつ萬軍のヱホバの室にをる祭司に問しめ且預言者に問しめて言けらく我今まで年久しく爲きたりしごとく尙五月をもて哭きかつ齋戒すべきやと
1577㌻
4 ここにおいて萬軍のヱホバの言我に臨めり云く
5 國の諸民および祭司に吿て言へ汝らは七十年のあひだ五月と七月とに斷食󠄃しかつ哀哭せしがその斷食󠄃せし時果して我にむかひて斷食󠄃せしや
6 汝ら食󠄃ひかつ飮は全󠄃く己のために食󠄃ひ己のために飮ならずや
7 在昔ヱルサレムおよび周󠄃圍の邑々人の住󠄃ふありて平󠄃安なりし時南の地および平󠄃野にも人の住󠄃ひをりし時に已徃の預言者によりてヱホバの宣ひたりし言を汝ら知ざるや
8 ヱホバの言ゼカリヤに臨めり云く
9 萬軍のヱホバかく宣へり云く正義き審判󠄄を行ひ互に相愛しみ相憐め
10 寡婦󠄃孤兒旅客および貧󠄃者を虐󠄃ぐるなかれ人を害󠄅せんと心に圖る勿れと
11 然るに彼等は肯て耳を傾けず背を向け耳を鈍くして聽ず
12 且その心を金剛石のごとくし萬軍のヱホバがその御靈をもて已徃の預言者に由て傳へたまひし律法と言詞に聽したがはざりき是をもて大なる怒萬軍のヱホバより出て臨めり
13 彼かく呼はりたれども彼等聽ざりき其ごとく彼ら呼はるとも我聽じ萬軍のヱホバこれを言ふ
14 我かれらをその識ざる諸の國に吹散すべし其後にてこの地は荒て徃來する者なきに至らん彼等かく美しき國を荒地となす〘1209㌻〙
第8章
1 萬軍のヱホバの言われに臨めり曰く
2 萬軍のヱホバかく言たまふ我シオンのために甚だしく心を熱して妬く思ひ大なる忿怒を起󠄃して之がために妬く思ふ
3 ヱホバかく言たまふ今我シオンに歸れり我ヱルサレムの中に住󠄃んヱルサレムは誠實ある邑と稱へられ萬軍のヱホバの山は聖󠄄山と稱へらるべし
4 萬軍のヱホバかく言たまふヱルサレムの街衢には再び老たる男老たる女坐せん皆年高くして各々杖を手に持べし
1578㌻
5 またその邑の街衢には男の兒女の兒滿て街衢に遊󠄃び戯れん
6 萬軍のヱホバかく言たまふこの事その日には此民の遺󠄃餘者の目に奇といふとも我目に何の奇きこと有んや萬軍のヱホバこれを言ふ
7 萬軍のヱホバかく言たまふ視よ我わが民を日の出る國より日の入る國より救ひ出し
8 かれらを携へ來りてヱルサレムの中に住󠄃しめん彼らは我民となり我は彼らの神となりて共に誠實と正義に居ん
9 萬軍のヱホバかく言たまふ汝ら萬軍のヱホバの室なる殿を建んとて其基礎を置たる日に起󠄃りし預言者等の口の言詞を今日聞く者よ汝らの腕を强くせよ
10 此日の先には人も工の價を得ず獸畜も工の價を得ず出者も入者も仇の故をもて安然ならざりき即ち我人々をして互に相攻しめたり
11 然れども今は我此民の遺󠄃餘者に對すること曩の日の如くならずと萬軍のヱホバ言たまふ
12 即ち平󠄃安の種子あるべし葡萄の樹は果を結び地は產物を出し天は露を與へん我この民の遺󠄃餘者にこれを盡く獲さすべし
13 ユダの家およびイスラエルの家よ汝らが國々の中に呪詛となりしごとく此度は我なんぢらを救ふて祝言とならしめん懼るる勿れ汝らの腕を强くせよ
14 萬軍のヱホバかく言たまふ在昔汝らの先祖我を怒らせし時に我これに災禍を降さんと思ひて之を悔ざりき萬軍のヱホバこれを言ふ
15 是のごとく我また今日ヱルサレムとユダの家に福祉を降さんと思ふ汝ら懼るる勿れ
16 汝らの爲べき事は是なり汝ら各々たがひに眞實を言べし又󠄂汝等の門にて審判󠄄する時は眞實を執て平󠄃和の審判󠄄を爲べし
17 汝等すべて人の災害󠄅を心に圖る勿れ僞の誓を好む勿れ是等はみな我が惡む者なりとヱホバ言たまふ
1579㌻
18 萬軍のヱホバの言われに臨めり云く
19 萬軍のヱホバかく言たまふ四月の斷食󠄃五月の斷食󠄃七月の斷食󠄃十月の斷食󠄃かへつてユダの家の宴樂となり欣喜となり佳節󠄄となるべし惟なんぢら眞實と平󠄃和を愛すべし〘1210㌻〙
20 萬軍のヱホバかく言たまふ國々の民および衆多の邑の居民來り就ん
21 即ちこの邑の居民徃てかの邑の者に向ひ我儕すみやかに徃てヱホバを和め萬軍のヱホバを求めんと言んに我も徃べしと答へん
22 衆多の民强き國民ヱルサレムに來りて萬軍のヱホバを求めヱホバを和めん
23 萬軍のヱホバかく言たまふ其日には諸の國語の民十人にてユダヤ人一箇の裾を拉へん即ち之を拉へて言ん我ら汝らと與に徃べし其は我ら神の汝らと偕にいますを聞たればなり
第9章
1 ヱホバの言詞の重負󠄅ハデラクの地に臨むダマスコはその止る所󠄃なりヱホバ世の人を眷みイスラエルの一切の支派を眷みたまへばなり
2 之に界するハマテも然りツロ、シドンも亦はなはだ怜悧ければ同じく然るべし
3 ツロは自己のために城郭を構へ銀を塵のごとくに積み金を街衢の土のごとくに積めり
4 視よ主これを攻取り海にて之が力を打ほろぼしたまふべし是は火にて焚うせん
5 アシケロンこれを見て懼れガザもこれを見て太く慄ふエクロンもその望󠄇む所󠄃の者辱しめらるるに因て亦然りガザには王絕えアシケロンには住󠄃者なきに至らん
6 アシドドにはまた雜種の民すまん我ペリシテ人が誇る所󠄃の者を絕べし
7 我これが口より血を取除き之が齒の間より憎むべき物を取除かん是も遺󠄃りて我儕の神に歸しユダの牧伯のごとくに成べしまたエクロンはヱブス人のごとくになるべし
8 我わが家のために陣を張て敵軍に當り之をして徃來すること無らしめん虐󠄃遇󠄃者かさねて逼ること無るべし我いま我目をもて親ら見ればなり
1580㌻
9 シオンの女よ大に喜べヱルサレムの女よ呼はれ視よ汝の王汝に來る彼は正義して拯救を賜り柔和にして驢馬に乘る即ち牝驢馬の子なる駒に乘るなり
10 我エフライムより車を絕ちヱルサレムより馬を絕ん戰爭弓も絕るべし彼國々の民に平󠄃和を諭さん其政治は海より海に及び河より地の極におよぶべし
11 汝についてはまた汝の契󠄅約の血のために我かの水なき坑より汝の被俘人を放ち出さん
12 望󠄇を懷く被俘人よ汝等城に歸れ我今日もなほ吿て言ふ我かならず倍して汝等に賚ふべし
13 我ユダを張て弓となしエフライムを矢となして之につがへんシオンよ我汝の人々を振起󠄃してギリシヤの人々を攻しめ汝をして大丈夫の劍のごとくならしむべし〘1211㌻〙
14 ヱホバこれが上に顯れてその箭を電光のごとくに射いだしたまはん主ヱホバ喇叭を吹ならし南の暴風に乘て出來まさん
15 萬軍のヱホバ彼らを護りたまはん彼等は食󠄃ふことを爲し投石器の石を踏つけん彼等は飮ことを爲し酒に醉るごとくに聲を擧ん其これに盈さるることは血を盛る鉢のごとく祭壇の隅のごとくなるべし
16 彼らの神ヱホバ當日に彼らを救ひその民を羊のごとくに救ひたまはん彼等は冠冕の玉のごとくになりて其地に輝くべし
17 その福祉は如何計ぞや其美麗は如何計ぞや穀物は童男を長ぜしめ新酒は童女を長ぜしむ
第10章
1 汝ら春の雨の時に雨をヱホバに乞へヱホバは電光を造󠄃り大雨を人々に賜ひ田野において草蔬を各々に賜ふべし
2 夫テラピムは空󠄃虛き事を言ひ卜筮師はその見る所󠄃眞實ならずして虛僞の夢を語る其慰むる所󠄃は徒然なり是をもて民は羊のごとくに迷󠄃ひ牧者なきに因て惱む
3 我牧者にむかひて怒を發す我牡山羊を罰せん萬軍のヱホバその群なるユダの家を顧󠄃み之をしてその美しき軍馬のごとくならしめたまふ
1581㌻
4 隅石彼より出で釘かれより出で軍弓かれより出で宰たる者みな齊く彼より出ん
5 彼等戰ふ時は勇士のごとくにして街衢の泥の中に敵を蹂躪らんヱホバかれらとともに在せば彼ら戰はん馬に騎れる者等すなはち媿を抱くべし
6 我ユダの家を强くしヨセフの家を救はん我かれらを恤むが故に彼らをして歸り住󠄃しめん彼らは我に棄られし事なきが如くなるべし我は彼らの神ヱホバなり我かれらに聽べし
7 エフライム人は勇士に等しくして酒を飮たるごとく心に歡ばん其子等は見て喜びヱホバに因て心に樂しまん
8 我かれらに向ひて嘯きて之を集めん其は我これを贖ひたればなり彼等は昔殖增たる如くに殖增ん
9 我かれらを國々の民の中に捲ん彼等は遠󠄄き國において我をおぼへん彼らは其子等とともに生ながらへて歸り來るべし
10 我かれらをエジプトの國より携へかへりアッスリヤより彼等を集めギレアデの地およびレバノンに彼らを携へゆかんその居處も無きほどなるべし
11 彼艱難の海を通󠄃り海の浪を擊破りたまふナイルの淵は盡く涸るアッスリヤの傲慢は卑くせられエジプトの杖は移り去ん
12 我彼らをしてヱホバに由て强くならしめん彼等はヱホバの名をもて步まんヱホバこれを言たまふ〘1212㌻〙
第11章
1 レバノンよ汝の門を啓き火をして汝の香柏を焚しめよ
2 松よ叫べ香柏は倒れ威嚴樹はそこなはれたりバシヤンの橡よ叫べ高らかなる林は倒れたり
3 牧者の叫ぶ聲あり其榮そこなはれたればなり猛き獅子の吼る聲ありヨルダンの叢そこなはれたればなり
1582㌻
4 我神ヱホバかく言たまふ宰らるべき羔を牧へ
5 之を買ふ者は之を宰るとも罪なし之を賣る者は言ふ我富を得ればヱホバを祝すべしと其牧者もこれを惜まざるなり
6 ヱホバ言たまふ我かさねて地の居民を惜まじ視よ我人を各々その隣人の手に付しその王の手に付さん彼ら地を荒すべし我これを彼らの手より救ひ出さじ
7 我すなはち其宰らるべき羊を牧り是は最も憫然なる羊なり我みづから二本の杖を取り一を恩と名け一を結と名けてその羊を牧り
8 我一月に牧者三人を絕り我心に彼らを厭ひしが彼等も心に我を惡めり
9 我いへり我は汝らを飼はじ死る者は死に絕るる者は絕れ遺󠄃る者は互にその肉を食󠄃ひあふべし
10 我恩といふ杖を取て之を折れり是諸の民に立し我契󠄅約を廢せんとてなりき
11 是は其日に廢せられたり是に於てかの我に聽したがひし憫然なる羊は之をヱホバの言なりしと知れり
12 我彼らに向ひて汝等もし善と視なば我價を我に授けよ若しからずば止めよと言ければ彼等すなはち銀三十を權りて我價とせり
13 ヱホバ我に言たまひけるは彼等に我が估價せられしその善價を陶人に投あたへよと我すなはち銀三十を取てヱホバの室に投いれて陶人に歸せしむ
14 我また結といふ杖を折れり是ユダとイスラエルの間の和好を絕んとてなりき
15 ヱホバ我に言たまはく汝また愚なる牧者の器を取れ
16 視よ我地に一人の牧者を興さん彼は亡ぶる者を顧󠄃みず迷󠄃へる者を尋󠄃ねず傷つける者を醫さず健剛なる者を飼はず肥たる者の肉を食󠄃ひ且その蹄を裂ん
17 其羊の群を棄る惡き牧者は禍なるかな劍その腕に臨みその右の目に臨まん其腕は全󠄃く枯えその右の目は全󠄃く盲れん
第12章
1 イスラエルにかかはるヱホバの言詞の重負󠄅 ヱホバ即ち天を舒べ地の基を置ゑ人のうちの靈魂を造󠄃る者言たまふ
2 視よ我ヱルサレムをしてその周󠄃圍の國民を蹌踉はする杯とならしむべしヱルサレムの攻圍まるる時是はユダにも及ばん〘1213㌻〙
1583㌻
3 其日には我ヱルサレムをして諸の國民に對ひて重石とならしむべし之を持擧る者は大傷を受ん地上の諸國みな集りて之に攻寄べし
4 ヱホバ言たまふ當日には我一切の馬を擊て駭かせその騎手を擊て狂はせん而して我ユダの家の上に我目を開き諸の國民の馬を擊て盲になすべし
5 ユダの牧伯等その心の中に謂んヱルサレムの居民はその神萬軍のヱホバに由て我力となるべしと
6 當日には我ユダの牧伯等をして薪の下にある火盤のごとく麥束の下にある炬火のごとくならしむべし彼等は右左にむかひその周󠄃圍の國民を盡く焚んヱルサレム人はなほヱルサレムにてその本の處に居ことを得べし
7 ヱホバまづユダの幕屋を救ひたまはん是ダビデの家の榮およびヱルサレムの居民の榮のユダに勝󠄃ること無らんためたり
8 當日ヱホバ、ヱルサレムの居民を護りたまはん彼らの中の弱󠄃き者もその日にはダビデのごとくなるべしまたダビデの家は神のごとく彼らに先だつヱホバの使のごとくなるべし
9 その日には我ヱルサレムに攻きたる國民をことごとく滅すことを務むべし
10 我ダビデの家およびヱルサレムの居民に恩惠と祈禱の靈をそそがん彼等はその刺たりし我を仰ぎ觀獨子のため哭くがごとく之がために哭き長子のために悲しむがごとく之がために痛く悲しまん
11 その日にはヱルサレムに大なる哀哭あらん是はメギドンの谷なるハダデリンモンに在し哀哭のごとくなるべし
12 國中の族おのおの別れ居て哀哭べし即ちダビデの族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きナタンの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭かん
13 レビの家の族別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭きシメイの族別れ居て哀哭きその妻等わかれ居て哀哭かん
14 その他の族も凡て然りすなはち族おのおの別れ居て哀哭きその妻等別れ居て哀哭くべし
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第13章
1 その日罪と汚穢を淸むる一の泉ダビデの家とヱルサレムの居民のために開くべし
2 萬軍のヱホバ言たまふ其日には我地より偶像の名を絕のぞき重て人に記憶らるること無らしむべし我また預言者および汚穢の靈を地より去しむべし
3 人もしなほ預言することあらば其生の父󠄃母これに言ん汝は生べからず汝はヱホバの名をもて虛僞を語るなりと而してその生の父󠄃母これが預言しをるを刺ん
4 その日には預言者等預言するに方りてその異象を羞ん重て人を欺かんために毛衣を纒はじ〘1214㌻〙
5 彼言ん我は預言者にあらず地を耕へす者なり即ち我は若き時より人に買れたりと
6 若これに向ひて然らば汝の兩手の間の傷は何ぞやと言あらば是は我が愛する者の家にて受たる傷なりと答へん
7 萬軍のヱホバ言たまふ劍よ起󠄃て我牧者わが伴󠄃侶なる人を攻よ牧者を擊て然らばその羊散らん我また我手を小き者等の上に伸べし
8 ヱホバ言たまふ全󠄃地の人二分󠄃は絕れて死に三分󠄃の一はその中に遺󠄃らん
9 我その三分󠄃の一を携へて火にいれ銀を熬分󠄃るごとくに之を熬分󠄃け金を試むるごとくに之を試むべし彼らわが名を呼ん我これにこたへん我これは我民なりと言ん彼等またヱホバは我神なりと言ん
第14章
1 視よヱホバの日來る汝の貨財奪はれて汝の中にて分󠄃たるべし
2 我萬國の民を集めてヱルサレムを攻擊しめん邑は取られ家は掠められ婦󠄃女は犯され邑の人は半󠄃は擄へられてゆかん然どその餘の民は邑より絕れじ
3 その時ヱホバ出きたりて其等の國人を攻擊たまはん在昔その軍陣の日に戰ひたまひしごとくなるべし
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4 其日にはヱルサレムの前󠄃に當りて東にあるところの橄欖山の上に彼の足立たん而して橄欖山その眞中より西東に裂て甚だ大なる谷を成しその山の半󠄃は北に半󠄃は南に移るべし
5 汝らは我山の谷に逃󠄄いらん其山の谷はアザルにまで及ぶべし汝らはユダの王ウジヤの世に地震を避󠄃て逃󠄄しごとくに逃󠄄ん我神ヱホバ來りたまはん諸の聖󠄄者なんぢとともなるべし
6 その日には光明なかるべく輝く者消󠄃うすべし
7 茲に只一の日あるべしヱホバこれを知たまふ是は晝にもあらず夜にもあらず夕暮の頃に明くなるべし
8 その日に活る水ヱルサレムより出でその半󠄃は東の海にその半󠄃は西の海に流れん夏も冬も然あるべし
9 ヱホバ全󠄃地の王となりたまはん其日には只ヱホバのみ只その御名のみにならん
10 全󠄃地はアラバのごとくなりてゲバよりヱルサレムの南のリンモンまでの間のごとくなるべし而してヱルサレムは高くなりてその故の處に立ちベニヤミンの門より第一の門の處に及び隅の門にいたりハナニエルの戍樓より王の酒榨倉までに渉るべし
11 その中には人住󠄃ん重て呪詛あらじヱルサレムは安然に立べし
12 ヱルサレムを攻擊し諸の民にヱホバ災禍を降してこれを擊なやましたまふこと是のごとくなるべし即ち彼らその足にて立をる中に肉腐れ目その孔の中にて腐れ舌その口の中にて腐れん〘1215㌻〙
13 その日にはヱホバかれらをして大に狼狽しめたまはん彼らは各々人の手を執へん此手と彼手擊あふべし
14 ユダもまたヱルサレムに於て戰ふべしその四周󠄃の一切の國人の財寳金銀衣服󠄃など甚だ多く聚められん
15 また馬騾駱駝驢馬およびその諸營の一切の家畜の蒙る災禍もこの災禍のごとくなるべし
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16 ヱルサレムに攻きたりし諸の國人の遺󠄃れる者はみな歳々に上りきてその王なる萬軍のヱホバを拜み結茅の節󠄄を守るにいたるべし
17 地上の諸族の中その王なる萬軍のヱホバを拜みにヱルサレムに上らざる者の上には凡て雨ふらざるべし
18 例ばエジプトの族もし上り來らざる時はその上に雨ふらじヱホバその結茅の節󠄄を守りに上らざる一切の國人を擊なやます災禍を之に降したまふべし
19 エジプトの罪凡て結茅の節󠄄を守りに上り來らざる國人の罪是のごとくなるべし
20 その日には馬の鈴にまでヱホバに聖󠄄としるさん又󠄂ヱホバの家の鍋は壇の前󠄃の鉢と等しかるべし
21 ヱルサレムおよびユダの鍋は都て萬軍のヱホバの聖󠄄物となるべし凡そ犧牲を獻ぐる者は來りてこれを取り其中にて祭肉を煮ん其日には萬軍のヱホバの室に最早カナン人あらざるべし〘1216㌻〙
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