前に戻る エレミヤ哀歌 🔝

 

〘1378㌻〙

第1章

1 ああかなしいかな古昔むかしひとのみちみちたりしこの都邑みやこ いまはさびしきさまにて寡婦󠄃やもめのごとくになれり あゝもろもろのたみうちにておほいなりしもの もろもろのくになか女王によわうたりしもの いまはかへつてみつぎをいるるものとなりぬ 2 かれよもすがらいたきかなしみてなみだかほにながる そのこひびとなかにはこれをなぐさむるものひとりだにく そのともこれにそむきてそのあだとなれり 3 ユダは艱難なやみゆゑによりまたおほいなる苦役くえきのゆゑによりてとらはれゆき もろもろのくに住󠄃すまひて安息やすみず これを追󠄃ふものみな狹隘はざまにてこれに追󠄃おひしきぬ 4 シオンの道󠄃路みち節󠄄會せちゑのぼものなきがためにかなしみ そのもんはことごとくれ その祭司さいしなげき その處女をとめうれへ シオンもまたみづからくるしむ 5 そのあだかしらとなり そのてきさかゆ そのとがおほきによりてヱホバこれをなやませたまへるなり そのわかき子等こらとらはれてあだ前󠄃まへにゆけり 6 シオンのむすめよりはその榮華さかえことごとくはなれされり またその牧伯等きみたちくさざる鹿しかのごとくにり おのれを追󠄃ふものの前󠄃まへちからつかれてあゆみゆけり 7 ヱルサレムはその艱難なやみ窘迫󠄃くるしみときむかしのにありしもろもろのたのしきものおもづ そのたみあだにおちいりたれもこれをたすくるものなきとき 仇人あだびとこれをてそのあらはてたるをわら 8 ヱルサレムははなはだしくつみををかしたれば汚穢けがれたるもののごとくになれり 前󠄃さきにこれを尊󠄅たふとびたるものもその裸體はだかしによりてみなこれをいやしむ これもまたみづからなげをそむけて退󠄃しりぞけり 9 その汚穢けがれこれがもすそにあり かれその終󠄃局をはりをおもはざりき 此故このゆゑおどろくまでに零落おちぶれたり 一人ひとりなぐさむるものだにし ヱホバよわが艱難なやみをかへりみたまへ てき勝󠄃かちほこれり 10 てきすでにのべてその財寳たからをことごとくうばひたり なんぢさきに異邦人ことくにびとはなんぢの公會こうくわいにいるべからずとめいじおきたまひしに かれらが聖󠄄所󠄃せいじよをかしいるをシオンはたり
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11 そのたみはみななげきて食󠄃物くひものをもとめ その生命いのちさゝへんがために財寳たからいだして食󠄃しよくにかへたり ヱホバよそなはしわれのいやしめらるるを顧󠄃かへりみたまへ 12 すべて行路人みちゆくひとよ なんぢらなにともおもはざるか ヱホバそのはげしき震怒いかりわれをなやましてわれにくだしたまへるこの憂苦うれひにひとしき憂苦うれひまたにあるべきやかんがへ 13 ヱホバうへよりをくだしわがほねにいれてこれ克服󠄃かちふくせしめ あみりわがあしをとらへてわれうしろにむかしめ われをして終󠄃日ひねもすこゝろさびしくかつやみわづらはしめたまふ〘1056㌻〙 14 わが愆尤とがくびきしゆ御手みてにてむすばれもろ〳〵とがあひまつはりてわがくびにのれり これはわがちからをしておとろへしむ しゆわれをあたたりがたきものにわたしたまへり 15 しゆわれのうちなる勇士ますらををことごとくのぞ節󠄄會せちゑをもよほしてわれめ わがわかひとうちほろぼしたまへり しゆ酒榨さかぶねをふむがごとくにユダの處女をとめをふみたまへり 16 これがためにわれなげく わがやわがにはみづながる わがたましひをいかすべきなぐさむるものわれに遠󠄄とほければなり わが子等こらてき勝󠄃かてるによりてほろびうせにき 17 シオンはをのぶれどもたれもこれをなぐさむるものなし ヤコブにつきてはヱホバめいをくだしてその周󠄃圍まはりたみをこれがてきとならしめたまふ ヱルサレムはかれらのなかにありてけがれたるもののごとくなりぬ 18 ヱホバはたゞわれその命令おふせにそむきたるなり 一切すべてたみよわれにけ わが憂苦うれひをかへりみよ わが處女をとめもわかきをとこ俘囚とらはれゆけ 19 われわが戀人こひびとよびたれどもかれらはわれをあざむけり わが祭司さいしおよびわが長老としより生命いのちつながんとて食󠄃物くひものもとむる都邑まちうちにて氣息いきたえたり 20 ヱホバよかへりみたまへ われはなやみてをり わがはらわたわきかへり わがこゝろわがうち顚倒てんたうわれはなはだしくもとりたればなり そとにはつるぎありてわがころうちにはのごときものあり
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21 かれらはわが嗟歎なげくをきけり われをなぐさむるもの一人ひとりだにし わがてきみなわが艱難なやみをききおよび なんぢのこれをなしたまひしをよろこべり なんぢはさきにつぐしらせしそのきたらせたまはん しかしてかれらもつひにわがごとくにるべし 22 ねがはくは彼等かれらあたへし艱難なやみをことごとくなんぢの御前󠄃みまへにあらはし 前󠄃さきにわがもろもろの罪愆つみとがのためにわれにおこなひしごとかれらにもおこなひたまへ わが嗟歎なげきおほくわがこゝろはうれひかなしむなり

第2章

1 ああヱホバ震怒いかりをおこし 黑雲くろくもをもてシオンのむすめおほひたまひ イスラエルの榮光さかえてんよりにおとし その震怒いかりおのれ足凳あしだいこゝろにとめたまはざりき 2 しゆヤコブのすべての住󠄃居すみかのみつくしてあはれまず 震怒いかりによりてユダのむすめ保砦とりでこぼち これをにたふし そのくにとその牧伯等きみたちはづかしめ 3 はげしき震怒いかりをもてイスラエルのすべてのつのてき前󠄃まへにておのれみぎをひきちぢめ 四面あたりきつくすもゆのごとくヤコブを 4 てきのごとくゆみあだのごとくみぎのべすべよろこばしきものをほろぼし シオンのむすめ幕屋まくやのごとくそのいかりをそそぎたまへり 5 しゆてきのごとくになりたまひてイスラエルをのみほろぼし そのもろ〳〵殿とののみほろぼし そのもろもろの保砦とりでをこぼち ユダのむすめうへ憂愁うれひ悲哀かなしみましくはへ〘1057㌻〙 6 そののごとくおのれ幕屋まくやあらし その集會あつまり所󠄃ところをほろぼしたまへり ヱホバ節󠄄會せちゑ安息日あんそくにちとをシオンにわすれしめ はげしきいかりによりてわう祭司さいしとをいやしめすてたまへり 7 しゆその祭壇さいだん忌棄いみすて その聖󠄄所󠄃せいじよ嫌󠄃きら憎にくみて そのもろ〳〵殿との石垣いしがきてきにわたしたまへり かれらは節󠄄會せちゑのごとくヱホバのいへにてこゑをたつ 8 ヱホバ、シオンのむすめ石垣いしがきこぼたんとおもひさだめ なはり こぼち進󠄃すゝみてそのをひかず ほり石垣いしがきとをしてかなしましめたまふ これらはともうれ
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9 そのもんうづもれ ヱホバその關木くわんぬきをこぼちくだき そのわうともろもろの牧伯きみ律法おきてなき國人くにびとなかにあり その預言者よげんしやはヱホバより異象いしやうかうむらず 10 シオンのむすめ長老等としよりたちすわりてもくかうべ灰󠄃はひをかむり 麻󠄃あさをまとふ ヱルサレムの處女をとめかうべ 11 わがなみだためつぶれんとし わがはらわたわきかへり わがきもまみる わがたみむすめほろぼされ 幼少をさなきものや乳󠄃哺子ちのみごつかれはててまち街衢ちまた氣息いきたへなんとすればなり 12 かれらはきず負󠄅おへものごとまちのちまたにて氣息いきたえなんとし はゝふところにその靈魂たましひをそそがんとし はゝにむかひて穀物こくもつさけとはいづくにあるやと 13 ヱルサレムのむすめわれなにをもてなんぢにあかしし なにをもてなんぢにならべんや シオンの處女をとめよ われなにをもてなんぢになぞらへてなんぢをなぐさめんや なんぢのやぶれはうみのごとくおほいなり あゝたれかなんぢいやさんや 14 なんぢの預言者よげんしやむなしきことおろかなることとなんぢに預言よげんし かつてなんぢ不義ふぎをあらはしてその俘囚とらはれをまぬかれしめんとはせざりき その預言よげんするところはたゞむなしき重荷おもにおよび追󠄃放おひはなたるる根本もととなるべきことのみ 15 すべて徃來ゆききひとなんぢにむかひてち ヱルサレムのむすめにむかひてあざけりわらひ かつかうべをふりて美麗うるはしききはみ全󠄃地ぜんち欣喜よろこびととなへたりしまちこれなるかと 16 なんぢのもろもろのてきはなんぢにむかひてくちけ あざけりわらひて切齒はがみをなす かくふわれらこれのみつくしたり これわれらが望󠄇のぞみたりしなり われすでこれにあへり われらすでにこれたりと 17 ヱホバはそのさだめたまへることをし いにしへよりそのめいじたまひしことばはたしたまへり ヱホバはほろぼしてあはれれまず てきをしてなんぢにかちほこらしめなんぢあだつのをたかくしたまへり 18 かれらのこゝろしゆにむかひてよばはれり シオンのむすめ墻垣かきよ なんぢひるかはごとなみだをながせ みづからやすんずることをせず なんぢ瞳子ひとみやすむることなかれ〘1058㌻〙
 1381㌻ 
19 なんぢ初更しよかう起󠄃おきいでてよびさけべ しゆ御前󠄃おんまへなんぢこゝろみづのごとくそゝ街衢ちまたのほとりにうゑたふるるなんぢの幼兒をさなご生命いのちのためにしゆにむかひて兩手もろてをあげよ 20 ヱホバよたまへ なんぢこれをたれにおこなひしか ねがはくは顧󠄃かへりみたまへ 婦󠄃人をんなおのがなるそのいだそだてし孩兒をさなご食󠄃くらふべけんや 祭司さいし預言者よげんしやしゆ聖󠄄所󠄃せいじよにおいてころさるべけんや 21 をさなきもおいたるも街衢ちまたにてし わが處女をとめわかをとこやいばにかかりてたふれたり なんぢはその震怒いかりにこれをころし これをほふりてあはれみたまはざりき 22 なんぢ節󠄄會せちゑのごとくわがおそるるところのもの四方よもよりよびあつめたまへり ヱホバの震怒いかりにはのがれたるものなく又󠄂またのこりたるものなかりき わがいだそだてしものはみなわがてきのためにほろぼされたり

第3章

1 われはかれの震怒いかりしもとによりて艱難なやみ遭󠄃あひたるひとなり 2 かれはわれをひきて黑暗󠄃くらきをあゆませ光明ひかりにゆかしめたまはず 3 まことに屢々しば〳〵そのをむけて終󠄃日ひねもすわれをせめなやまし 4 わがにく肌膚はだへをおとろへしめ わがほねくだ 5 われにむかひて患苦くるしみ艱難なやみきづきこれをもてわれかこ 6 われをして長久とこしなへしにもののごとく暗󠄃くらところ住󠄃すましめ 7 われをかこみていづることあたはざらしめわが鏈索くさりおもくしたまへり 8 われさけびてたすけをもとめしときかれわが祈禱いのりをふせぎ 9 きりたるいしをもてわが道󠄃みちふさぎわが途󠄃みちをまげたまへり 10 そのわれたいすることはふしうかがふくまのごとくひそみかくるる獅子しゝのごとし 11 われにみちはなれしめ われをひきさきてひとりくるしましめ 12 ゆみりてわれをさきまととなし 13 矢筒えびらをもてわがこしぬきたまへり 14 われはわがすべてのたみのあざけりとなり 終󠄃日ひねもすうたひそしらる
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15 かれわれをしてにがもの飽󠄄あかしめ茵蔯いんちんのましめ 16 小石こいしをもてわがくだ灰󠄃はひをもてわれおほひたまへり 17 なんぢわが靈魂たましひをして平󠄃和へいわ遠󠄄とほくはなれしめたまへばわれ福祉さいはひをわすれたり 18 こゝにおいてわれみづからいへり わが氣力ちからうせゆきぬ ヱホバよりなに望󠄇のぞむべきところしと 19 ねがはくは艱難なやみ苦楚くるしみ茵蔯いんちん膽汁たんじふとをこゝろとめたまへ 20 わがたましひはいまなほこれらのことおもひてわがうちふさ 21 われこのことこゝろにおもひ起󠄃おこせり このゆゑ望󠄇のぞみをいだくなり 22 われらのなほほろびざるはヱホバの仁愛いつくしみによりその憐憫あはれみつきざるに 23 これは朝󠄃あさごとにあらたなり なんぢの誠實まことはおほいなるかな 24 わが靈魂たましひふ ヱホバはわが分󠄃ぶんなり このゆゑにわれかれ望󠄇のぞまん 25 ヱホバはおのれを望󠄇のぞものとおのれを尋󠄃たづねもとむるひと恩惠めぐみをほどこしたまふ〘1059㌻〙 26 ヱホバの救拯すくひをのぞみてしづかにこれをまつ 27 ひとわかきときくびき負󠄅おふ 28 ヱホバこれを負󠄅おはせたまふなればひとりしてもくすべし 29 くちちりにつけよ あるひは望󠄇のぞみあらん 30 おのれをものほゝをむけ 充足みちたれるまでに恥辱はづかしめをうけよ 31 そはしゆ永久とこしなへすつることをなしたまはざるべければなり 32 かれは患難なやみあたたまふといへどもその慈悲あはれみおほいなればまた憐憫あはれみくはへたまふなり 33 こゝろよりひとをなやましかつくるしめたまふにはあらざるなり 34 のもろもろの俘囚人とらはれびとあししたにふみにじり 35 至高者いとたかきものかほ前󠄃まへにてひと 36 ひと詞訟うつたへかがむることはしゆのよろこびたまはざるところなり 37 しゆめいじたまふにあらずばたれこと述󠄃のべんにそのことすなはならんや 38 わざはひさいはひもともに至高者いとたかきものくちよりいづるにあらずや 39 いけひとなんぞ怨言つぶやくべけんや ひとおのれのつみばつせらるるをつぶやくべけんや 40 我等われらみづからのおこなひをしらべかつかへりみてヱホバにかへるべし 41 われてんにいますかみにむかひてとともにこゝろをもあぐべし
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42 われらはつみををかしわれらはそむきたり なんぢこれをゆるしたまはざりき 43 なんぢ震怒いかりをもてみづからおほわれらを追󠄃攻おひせころしてあはれまず 44 くもをもてみづからおほ祈禱いのりをして通󠄃つうぜざらしめ 45 もろもろのたみなかにわれらを塵埃ちりあくたとなしたまへり 46 てきみなわれらにむかひてくちれり 47 恐懼おそれ陷阱おとしあなまた暴行あらび滅亡ほろびわれらにきたれり 48 わがたみむすめ滅亡ほろびによりてわがにはなみだかはながる 49 わがたえなみだをそそぎてやま 50 てんよりヱホバののぞ顧󠄃かへりみたまふときにまでいたらん 51 わがまち一切すべて女等むすめどもゆゑによりてわがはわがこゝろをいたましむ 52 ゆゑなくしてわれてきするものどもとり追󠄃おふごとくにいたくわれをおひ 53 わが生命いのちあななかにほろぼし わがうへいしなげかけ 54 またみづわがかしらうへ溢󠄃あふわれみづからいへほろびうせぬと 55 ヱホバよ われふかあなそこよりなんぢよべ 56 なんぢこゑきゝたまへり わが哀歎なげき祈求いのりみゝをおほひたまふなかれ 57 わがなんぢよびたりしときなんぢは近󠄃ちかよりたまひておそるるなかれとのたまへり 58 しゆよなんぢはわが靈魂たましひうつたへたすべ わが生命いのちあがなたまへり 59 ヱホバよ なんぢはがかうむりたる不義ふぎたまへり ねがはくはわれたゞしき審判󠄄さばきあたへたまへ 60 なんぢはかれらがわれうらみ われを害󠄅がいせんとはかるをすべたまへり 61 ヱホバよなんぢはかれらがわれののしわれ害󠄅がいせんとはかるをすべきゝたまへり 62 かのたちわれ逆󠄃さからふ者等ものども言語ことばおよびその終󠄃日ひねもすわれをせめんとて運󠄃めぐらす謀計はかりごともまたなんぢこれをきゝたまへり〘1060㌻〙 63 ねがはくはかれらの起󠄃居たちゐをかんがみたまへ われはかれらにうたひそしらる 64 ヱホバよ なんぢはかれらがすところにしたがひてむくいをなし 65 かれらをしてこゝろくらからしめたまはん なんぢの呪詛のろひかれらにせよ 66 なんぢは震怒いかりをもてかれらを追󠄃ひ ヱホバのてんしたよりかれらをほろぼしたちたまはん
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第4章

1 ああ黄金わうごんひかりをうしなひ純金じゆんきんいろへん聖󠄄所󠄃せいじよいしはもろもろの街衢ちまたくちなげすてられたり 2 ああ精金せいきんにもくらぶべきシオンの愛子等あいしら陶噐師すゑものしさくなるつちうつはのごとくに見做みなさ 3 やまいぬさへも乳󠄃房ちぶさをたれてその乳󠄃ちゝのましかるにわがたみむすめ殘忍󠄄むごく荒野あれの鴕鳥だてうのごとくなれり 4 乳󠄃哺兒ちのみごしたかわきて上顎うはあごにひたと幼兒をさなごはパンをもとむるもさきてあたふるものなし 5 肥甘物うまきものをくらひりしものはおちぶれて街衢ちまたにあり くれなゐ衣服󠄃ころもにてそだてられしものいま塵堆ちりづかいだ 6 いま我民わがたみむすめのうくるとがばつはソドムのつみばつよりもおほいなり ソドムは古昔むかしひとくはへらるることなくしてまたたあひだにほろぼされしなり 7 わがたみうちなるたふとひと從前󠄃さきには雪󠄃ゆきよりも咬潔󠄄きよらか乳󠄃ちゝよりもしろ珊瑚さんごよりもからだ紅色くれなゐにしてその形貌かたちのうるはしきこと藍玉あをだまのごとくなりしが 8 いまはそのかほくろきがうへくろ街衢ちまたにあるともひとにしられず そのかはほねにひたとかわきてかれのごとくなれり 9 つるぎにてしねものうゑしねものよりもさいはひなり そはかゝもの田圃たはた產物なりいでものつくるによりて漸々やう〳〵におとろへゆきさゝれしもののごとくになればなり 10 わがたみむすめのほろぶるときには情󠄃愛なさけふかき婦󠄃人等をんなたちさへもづからおのれ子等こども食󠄃しよくとなせり 11 ヱホバその憤恨いきどほりをことごとくもらはげしきいかりをそそぎたまひ シオンにをもやしてその基礎いしづゑまでもやかしめたまへり 12 しよわうのもろもろのたみもすべてヱルサレムのもんあだてきうちいらんとはしんぜざりき 13 かくなりしはその預言者よげんしやつみによりその祭司さいしとがによれり かれらはすなはたゞしきものをそのまちなかにながしたりき 14 いまかれらは盲人めくらのごとく街衢ちまたにさまよひ にてけがれをればひとその衣服󠄃ころもにふるるあたはず 15 ひとかれらにむかひてよばはりれよけがらはし ふるるなかれと かれらはしりりて流離さすらへ異邦人いはうじん中間なかにても人々ひと〴〵またかれらはこゝやどるべからずと
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16 ヱホバいかれるおもてをもてこれをちらたまへり ふたゝびこれを顧󠄃かへりみたまはじ 人々ひと〴〵祭司さいしかほをも尊󠄅たふとばず長老としよりをもあはれまざりき 17 われらはたのまれぬ救援たすけ望󠄇のぞみてつかれおとろふ われらはまちゐたりしが救拯すくひをなすことあたはざる國人くにびとまちをりぬ〘1061㌻〙 18 てきわれらのあしをうかがへばわれらはおのれの街衢ちまたをもあるくことあたはず われらの終󠄃をはりちかづけり われらのつきたり すなはわれらの終󠄃をはりきたりぬ 19 われらを追󠄃ふものは天空󠄃そらゆくわしよりも迅󠄄はややまにてわれらを追󠄃ふしてわれらをうかが 20 かのわれらがはな氣息いきたるものヱホバにあぶらそそがれたるものは陷阱おとしあなにてとらへられにき これはわれらが異邦ことくににありてもこのかげ住󠄃すまんとおもひたりしものなり 21 ウズの住󠄃むエドムのむすめよろこたのしめ なんぢにもまたつひにさかづきめぐりゆかん なんぢもゑひはだかになるべし 22 シオンのむすめよ なんぢがとがばつはをはれり かさねてなんぢをとらへゆきたまはじ エドムのむすめよ なんぢのとがばつしたまはん なんぢつみあらはしたまはん

第5章

1 ヱホバよわれらにありし所󠄃ところことをおもひたまへ われらの恥辱はづかしめをかへりみたまへ 2 われらの產業もちもの外國人とつくにびとし われらの家屋いへ他國人あだしくにびとものとなれり 3 われらは孤子みなしごとなりて父󠄃ちゝあらず われらのはゝ寡婦󠄃やもめにひとし 4 われらはかねいだして自己おのれみづみ おのれのたきゞるにもあたひをはらふ 5 われらを追󠄃ものわれらのくび迫󠄃せまわれらはつかれてやすむことを 6 食󠄃物くひものうゑしのがんとてエジプトびとおよびアッスリヤびとあたへたり 7 われらの父󠄃ちゝつみををかしてすでにあらず われらそのつみ負󠄅ふなり 8 奴僕等しもべどもわれらをせいするにたれありてわれらをこれよりすくひいだすものなし 9 荒野あれの刀兵つるぎゆゑによりてわれをかして食󠄃物くひもの 10 饑饉ききんはげしきねつによりてわれらの皮膚はだへかまどのごとくねつ
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11 シオンにて婦󠄃人をんなたちをかされユダの邑々まち〳〵にて處女等をとめらけがさる 12 侯伯きみたるものてきにてつるされ おいたるものかほ尊󠄅たふとばれず 13 わかもの石磨いしうすになはせられ 童子わらべたきゞ負󠄅ふてよろめき 14 長老としよりもんにあつまることをわかものはその音󠄃おんがくはいせり 15 われらがこゝろ快樂たのしみはすでにみ われらの跳舞をどりはかはりて悲哀かなしみとなり 16 われらの冠冕かんむりかうべよりおちたり われらつみををかしたればわざはひなるかな 17 これがためわれらのこゝろうれへ これらのためにわれらがくらくなれり 18 シオンのやまあれはて やまいぬはそのうへあるくなり 19 ヱホバよなんぢは永遠󠄄とこしなへいます なんぢの御位みくらゐ世々よゝかぎりなし 20 なにとてわれらをながわすれ われらをかくひさしくすておきたまふや 21 ヱホバよねがはくはわれらをしてなんぢかへらしめたまへ われらかへるべし われらのあらたにして昔日むかしのごとくならしめたまへ 22 さりともなんぢまつたくわれらをてたまひしや いたくわれらをいかりゐたまふや〘1062㌻〙
 1387㌻