〘1169㌻〙
第1章
1 アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤのときに示されたるユダとヱルサレムとに係る異象
2 天よきけ地よ耳をかたぶけよ ヱホバの語りたまふ言あり 曰く われ子をやしなひ育てしにかれらは我にそむけり
3 牛はその主をしり驢馬はそのあるじの廐をしる 然どイスラエルは識ず わが民はさとらず
4 ああ罪ををかせる國人よこしまを負󠄅ふたみ 惡をなす者のすゑ 壞りそこなふ種族 かれらはヱホバをすてイスラエルの聖󠄄者をあなどり之をうとみて退󠄃きたり
5 なんぢら何ぞかさねがさね悖りて猶撻れんとするか その頭はやまざる所󠄃なくその心はつかれはてたり
6 足のうらより頭にいたるまで全󠄃きところなくただ創痍と打傷と腫物とのみなり 而してこれを合すものなく包むものなく亦あぶらにて軟らぐる者もなし
7 なんぢらの國はあれすたれなんぢらの諸邑は火にてやかれなんぢらの田畑はその前󠄃にて外人にのまれ旣にあだし人にくつがへされて荒廢れたり
8 シオンの女はぶだうぞのの廬のごとく瓜田の假舍のごとくまた圍をうけたる城のごとく唯ひとり遺󠄃れり
9 萬軍のヱホバわれらに少しの遺󠄃をとどめ給ふことなくば我儕はソドムのごとく又󠄂ゴモラに同じかりしならん
10 なんぢらソドムの有司よヱホバの言をきけ なんぢらゴモラの民よ われらの神の律法に耳をかたぶけよ
11 ヱホバ言たまはくなんぢらが獻ぐるおほくの犧牲はわれに何の益あらんや 我はをひつじの燔祭とこえたるけものの膏とにあけり われは牡牛あるひは小羊あるひは牡山羊の血をよろこばず
1169㌻
12 なんぢらは我に見えんとてきたる このことを誰がなんぢらに要󠄃めしや 徒らにわが庭をふむのみなり
13 むなしき祭物をふたゝび携ふることなかれ 燻物はわがにくむところ 新月および安息日また會衆をよびあつむることも我がにくむところなり なんぢらは聖󠄄會に惡を兼󠄄ぬ われ容すにたへず
14 わが心はなんぢらの新月と節󠄄會とをきらふ 是わが重荷なり われ負󠄅にうみたり
15 我なんぢらが手をのぶるとき目をおほひ 汝等がおほくの祈禱をなすときも聞ことをせじ なんぢらの手には血みちたり
16 なんぢら己をあらひ己をきよくしわが眼前󠄃よりその惡業をさり 惡をおこなふことを止め
17 善をおこなふことをならひ 公平󠄃をもとめ 虐󠄃げらるる者をたすけ 孤子に公平󠄃をおこなひ 寡婦󠄃の訟をあげつらへ
〘900㌻〙
18 ヱホバいひたまはく 率󠄃われらともに論らはん なんぢらの罪は緋のごとくなるも雪󠄃のごとく白くなり紅のごとく赤くとも羊の毛のごとくにならん
19 若なんぢら肯ひしたがはば地の美產をくらふことを得べし
20 もし汝等こばみそむかば劍にのまるべし 此はヱホバその御口よりかたりたまへるなり
21 忠信なりし邑いかにして妓女とはなれる 昔しは公平󠄃にてみち正義その中にやどりしに今は人をころす者ばかりとなりぬ
22 なんぢの白銀は滓となり なんぢの葡萄酒は水をまじへ
23 なんぢの長輩はそむきて盜人の伴󠄃侶となり おのおの賄賂をよろこび 贓財をおひもとめ 孤子に公平󠄃をおこなはず 寡婦󠄃の訟はかれらの前󠄃にいづること能はず
1170㌻
24 このゆゑに主萬軍のヱホバ、イスラエルの全󠄃能者のたまはく 唉われ敵にむかひて念をはらし仇にむかひて報をすべし
25 我また手をなんぢの上にそへ なんぢの滓をことごとく淨くし なんぢの鉛をすべて取去り
26 なんぢの審士を舊のごとく なんぢの議官を始のごとくに復すべし 然るのちなんぢは正義の邑忠信の邑ととなへられん
27 シオンは公平󠄃をもてあがなはれ 歸來るものも正義をもて贖はるべし
28 されど愆ををかすものと罪人とはともに敗れ ヱホバをすつる者もまた亡びうせん
29 なんぢらはその喜びたる橿樹によりて恥をいだき そのえらびたる園によりて慙赧むべし
30 なんぢらは葉のかるる橿樹のごとく水なき園のごとくならん
31 權勢あるものは麻󠄃のごとく その工は火花のごとく 二つのもの一同もえてこれを撲滅すものなし
第2章
1 アモツの子イザヤが示されたるユダとヱルサレムとにかかる言
2 すゑの日にヱホバの家の山はもろもろの山のいただきに堅立ち もろもろの嶺よりもたかく擧り すべての國は流のごとく之につかん
3 おほくの民ゆきて相語いはん 率󠄃われらヱホバの山にのぼりヤコブの神の家にゆかん 神われらにその道󠄃ををしへ給はん われらその路をあゆむべしと そは律法はシオンよりいでヱホバの言はヱルサレムより出べければなり
4 ヱホバはもろもろの國のあひだを鞫き おほくの民をせめたまはん 斯てかれらはその劒をうちかへて鋤となし その鎗をうちかへて鎌となし 國は國にむかひて劍をあげず 戰鬪のことを再びまなばざるべし
〘901㌻〙
5 ヤコブの家よきたれ 我儕ヱホバの光にあゆまん
6 主よなんぢはその民ヤコブの家をすてたまへり 此はかれらのなかに東のかたの風俗みち 皆ペリシテ人のごとく陰陽師となり 異邦人のともがらと手をうちて盟をたてしが故なり
1171㌻
7 かれらの國には黄金白銀みちて財寶の數かぎりなし かれらの國には馬みちて戰車のかず限りなし
8 かれらの國には偶像みち 皆おのが手の工その指のつくれる者ををがめり
9 賤しきものは屈められ尊󠄅きものは卑せらる かれらを容したまふなかれ
10 なんぢ岩間にいり また土にかくれて ヱホバの畏るべき容貌とその稜威の光輝とをさくべし
11 この日には目をあげて高ぶるもの卑せられ 驕る人かがめられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん
12 そは萬軍のヱホバの一の日あり すべて高ぶる者おごる者みづからを崇るものの上にのぞみて之をひくくし
13 またレバノンのたかく聳たるすべての香柏バシヤンのすべての橿樹
14 もろもろの高山もろもろの聳えたる嶺
15 すべてのたかき櫓すべての堅固なる石垣
16 およびタルシシのすべての舟すべての慕ふべき美はしきものに臨むべし
17 この日には高ぶる者はかがめられ 驕る人はひくくせられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん
18 かくて偶像はことごとく亡びうすべし
19 ヱホバたちて地を震動したまふとき人々そのおそるべき容貌とその稜威の光輝とをさけて巖の洞と地の穴󠄄とにいらん
20 その日人々おのが拜せんとて造󠄃れる白銀のぐうざうと黄金のぐうざうとを鼹鼠のあな蝙蝠の穴󠄄になげすて
21 岩々の隙けはしき山峽にいり ヱホバの起󠄃て地をふるひうごかしたまふその畏るべき容貌と稜威のかがやきとを避󠄃ん
22 なんぢら鼻より息のいでいりする人に倚ることをやめよ斯るものは何ぞかぞふるに足らん
1172㌻
第3章
1 みよ主ばんぐんのヱホバ、ヱルサレムおよびユダの賴むところ倚ところなる凡てその賴むところの糧 すべてその賴むところの水
2 勇士 戰士 審士 預言者 卜筮者 長老
3 五十人の首 貴顯者 議官 藝に長たる者および言語たくみなるものを除去りたまはん
4 われ童子をもてかれらの君とし嬰兒にかれらを治めしめん
5 民たがひに相虐󠄃げ 人おのおのその隣をしへたげ 童子は老たる者にむかひて高ぶり 賤しきものは貴きものに對ひてたかぶらん
6 そのとき人ちちの家にて兄弟にすがりていはん 汝なほ衣あり われらの有司となりてこの荒敗をその手にてをさめよと〘902㌻〙
7 その日かれ聲をあげていはん 我なんぢらを愈すものとなるを得じ わが家に糧なくまた衣なし 我をたてて民の有司とすることなかれと
8 是かれらの舌と行爲とはみなヱホバにそむきてその榮光の目ををかししが故に ヱルサレムは敗れユダは仆れたればなり
9 かれらの面色はその惡きことの證をなし ソドムのごとくその罪をあらはして隱すことをせざるなり かれらの靈魂はわざはひなるかな自らその惡の報をとれり
10 なんぢら義人にいへ かならず福祉をうけんと 彼等はそのおこなひの實をくらふべければなり
11 惡者はわざはひなる哉かならず災禍をうけん その手の報きたるべければなり
12 わが民はをさなごに虐󠄃げられ婦󠄃女にをさめらる 唉わが民よなんぢを導󠄃くものは反てなんぢを迷󠄃はせ汝のゆくべき途󠄃を絕つ
13 ヱホバ立いでて公理をのべ起󠄃てもろもろの民を審判󠄄し給ふ
14 ヱホバ來りておのが民の長老ともろもろの君とをさばきて言給はん なんぢらは葡萄園をくひあらせり 貧󠄃きものより掠めとりたる物はなんぢらの家にあり
15 いかなれば汝等わが民をふみにじり貧󠄃きものの面をすりくだくやと これ主萬軍のヱホバのみことばなり
1173㌻
16 ヱホバまた言給はくシオンの女輩はおごり 項をのばしてあるき 眼にて媚をおくり 徐々としてあゆみゆくその足にはりんりんと音󠄃あり
17 このゆゑに主シオンのむすめらの頭をかぶろにしヱホバ彼らの醜所󠄃をあらはし給はん
18 その日主かれらが足にかざれる美はしき釧をとり 瓔珞 半󠄃月飾󠄃
19 耳環 手釧 面帕
20 華冠 脛飾󠄃 紳 香盒 符嚢
21 指環 鼻環
22 公服󠄃 上衣 外帔 金嚢
23 鏡 細布の衣 首帕 被衣などを取除きたまはん
24 而して馨はしき香はかはりて臭穢となり 紳はかはりて繩となり 美はしく編たる髮はかぶろとなり 華かなる衣はかはりて麁布のころもとなり 麗顏はかはりて烙鐵せられたる痕とならん
25 なんぢの男はつるぎにたふれ なんぢの勇士はたたかひに仆るべし
26 その門はなげきかなしみ シオンは荒廢れて地にすわらん
第4章
1 その日七人のをんな一人の男にすがりていはん 我儕おのれの糧をくらひ己のころもを着るべし ただ我儕になんぢの名をとなふることを許してわれらの恥をとりのぞけと
2 その日ヱホバの枝はさかえて輝かん 地よりなりいづるものの實はすぐれ並うるはしくして逃󠄄れのこれるイスラエルの益となるべし〘903㌻〙
3 而してシオンに遣󠄃れるもの ヱルサレムにとゞまれる者 すべて此等のヱルサレムに存ふる者のなかに錄されたるものは聖󠄄ととなへられん
4 そは主さばきするみたまと燒つくす靈とをもてシオンのむすめらの汚をあらひ ヱルサレムの血をその中よりのぞきたまふ期きたるべければなり
5 爰にヱホバはシオンの山のすべての住󠄃所󠄃と もろもろの聚會とのうへに 晝は雲と烟とをつくり夜はほのほの光をつくり給はん あまねく榮のうへに覆庇あるべし
6 また一つの假廬ありて 晝はあつさをふせぐ陰となり 暴風と雨とをさけてかくるる所󠄃となるべし
1174㌻
第5章
1 われわが愛する者のために歌をつくり 我があいするものの葡萄園のことをうたはん わが愛するものは土肥たる山にひとつの葡萄園をもてり
2 彼その園をすきかへし石をのぞきて嘉ぶだうをうゑ そのなかに望󠄇樓をたて酒榨をほりて嘉葡萄のむすぶを望󠄇みまてり 然るに結びたるものは野葡萄なりき
3 さればヱルサレムに住󠄃るものとユダの人よ 請󠄃なんぢら我とわがぶだうぞのとの間をさばけ
4 わが葡萄園にわれの作たるほか何のなすべき事ありや 我はよきぶだうの結ぶをのぞみまちしに 何なれば野葡萄をむすびしや
5 然ばわれわが葡萄園になさんとすることを汝等につげん 我はぶだうぞのの籬芭をとりさりてその食󠄃あらさるるにまかせ その垣をこぼちてその踐あらさるるにまかせん
6 我これを荒してふたゝび剪ことをせず耕すことをせず棘と荊とをはえいでしめん また雲に命せてそのうへに雨ふることなからしめん
7 それ萬軍のヱホバの葡萄園はイスラエルの家なり その喜びたまふところの植物はユダの人なり これに公平󠄃をのぞみたまひしに反りて血をながし これに正義をのぞみ給ひしにかへりて號呼あり
8 禍ひなるかな彼らは家に家をたてつらね 田圃に田圃をましくはへて 餘地をあまさず 己ひとり國のうちに住󠄃んとす
9 萬軍のヱホバ我耳につげて宣はく 實におほくの家はあれすたれ大にして美しき家は人のすむことなきにいたらん
10 十段のぶだうぞの僅かに一バテをみのり一ホメルの穀種はわづかに一エパを實るべし
11 禍ひなるかなかれらは朝󠄃つとにおきて濃酒をおひもとめ 夜のふくるまで止まりてのみ 酒にその身をやかるるなり
12 かれらの酒宴には琴あり 瑟あり 鼓あり 笛あり 葡萄酒あり されどヱホバの作爲をかへりみずその手のなしたまふところに目をとめず
〘904㌻〙
1175㌻
13 斯るが故にわが民は無知にして虜にせられ その貴顯者はうゑ そのもろもろの民は渇によりて疲れはてん
14 また陰府はその欲望󠄇をひろくし その度られざる口をはる かれらの榮華 かれらの群衆 かれらの饒富 および喜びたのしめる人みなその中におつべし
15 賤しき者はかがめられ 貴きものは卑くせられ 目をあげて高ぶる者はひくくせらるべし
16 されど萬軍のヱホバは公平󠄃によりてあがめられ 聖󠄄なる神は正義によりて聖󠄄とせられ給ふべし
17 而して小羊おのが牧場にあるごとくに草をはみ 豐かなるものの田はあれて旅客にくらはれん
18 禍ひなるかな彼等はいつはりを繩となして惡をひき 索にて車をひくごとく罪をひけり
19 かれらは云 その成んとする事をいそぎて速󠄃かになせ 我儕これを見ん イスラエルの聖󠄄者のさだむることを逼來らせよ われらこれを知んと
20 禍ひなるかな かれらは惡をよびて善とし善をよびて惡とし 暗󠄃をもて光とし光をもて暗󠄃とし 苦をもて甘とし甘をもて苦とする者なり
21 わざはひなる哉 かれらは己をみて智しとし自らかへりみて聰とする者なり
22 禍ひなるかな かれらは葡萄酒をのむに丈夫なり 濃酒を和するに勇者なり
23 かれらは賄賂によりて惡きものを義となし 義人よりその義をうばふ
24 此によりて火舌の刈株をくらふがごとく また枯草の火焰のなかにおつるがごとく その根はくちはてその花は塵のごとくに飛さらん かれらは萬軍のヱホバの律法をすててイスラエルの聖󠄄者のことばを蔑したればなり
25 この故にヱホバその民にむかひて怒をはなち 手をのべてかれらを擊たまへり 山はふるひうごきかれらの屍は衢のなかにて糞土のごとくなれり 然はあれどヱホバの怒やまずして尙その手を伸したまふ
26 かくて旗をたててとほき國々をまねき彼等をよびて地の極より來らしめたまはん 視よかれら趨りて速󠄃かにきたるべし
1176㌻
27 その中には疲れたふるるものなく眠りまたは寢るものなし その腰の帶はとけずその履の紐はきれず
28 その矢は鋭その弓はことごとく張り その馬のひづめは石のごとくその車の輪は疾風のごとしと稱へられん
29 その嘷ること獅のごとく また小獅のごとく嘷うなりつつ獲物をつかみて掠去れども之をすくふ者なし
30 その日かれらが嘯響めくこと海のなりどよめくがごとし もし地をのぞまば暗󠄃と難とありて光は黑雲のなかにくらくなりたるを見ん〘905㌻〙
第6章
1 ウジヤ王のしにたる年われ高くあがれる御座にヱホバの坐し給ふを見しにその衣裾は殿にみちたり
2 セラピムその上にたつ おのおの六の翼あり その二をもて面をおほひ その二をもて足をおほひ 其二をもて飛翔り
3 たがひに呼いひけるは聖󠄄なるかな聖󠄄なるかな聖󠄄なるかな萬軍のヱホバ その榮光は全󠄃地にみつ
4 斯よばはる者の聲によりて閾のもとゐ搖うごき家のうちに烟みちたり
5 このとき我いへり 禍ひなるかな我ほろびなん 我はけがれたる唇の民のなかにすみて穢たるくちびるの者なるに わが眼ばんぐんのヱホバにまします王を見まつればなりと
6 爰にかのセラピムのひとり鉗をもて壇の上よりとりたる熱炭を手にたづさへて我にとびきたり
7 わが口に觸ていひけるは 視よこの火なんぢの唇にふれたれば旣になんぢの惡はのぞかれ なんぢの罪はきよめられたりと
8 我またヱホバの聲をきく曰く われ誰をつかはさん誰かわれらのために徃べきかと そのとき我いひけるはわれ此にあり我をつかはしたまへ
9 ヱホバいひたまはく徃てこの民にかくのごとく吿よ なんぢら聞てきけよ然どさとらざるべし 見てみよ然どしらざるべしと
1177㌻
10 なんぢこの民のこころを鈍くしその耳をものうくし その眼をおほへ 恐らくは彼らその眼にて見その耳にてきき その心にてさとり飜へりて醫さるることあらん
11 ここに我いひけるは 主よいつまで如此あらんか 主こたへたまはく 邑はあれすたれて住󠄃むものなく 家に人なく 邦ことごとく荒土となり
12 人々ヱホバに遠󠄄方までうつされ 廢りたるところ國中におほくならん時まで 如此あるべし
13 そのなかに十分󠄃の一のこる者あれども此もまた呑つくされん されど聖󠄄裔のこりてこの地の根となるべし彼のテレビントまたは橿樹がきらるることありともその根ののこるがごとし
第7章
1 ウジヤの子ヨタムその子ユダヤ王アハズのとき アラムの王レヂンとレマリヤの子イスラエル王ペカと上りきたりてヱルサレムを攻しがつひに勝󠄃ことあたはざりき
2 ここにアラムとエフライムと結合なりたりとダビデの家につぐる者ありければ 王のこころと民の心とは林木の風にうごかさるるが如くに動けり
〘906㌻〙
3 その時ヱホバ、イザヤに言たまひけるは今なんぢと汝の子シヤルヤシユブと共にいでて布をさらす野の大路のかたはらなる上池の樋口にゆきてアハズを迎󠄃へ
4 これに吿べし なんぢ 謹みて靜かなれ アラムのレヂン及びレマリヤの子はげしく怒るとも二の燼餘りたる烟れる片柴のごとし 懼るるなかれ心をよわくするなかれ
5 アラム、エフライム及びレマリヤの子なんぢにむかひて惡き謀ごとを企てていふ
6 われらユダに攻上りて之をおびやかし我儕のためにこれを破りとり タビエルの子をその中にたてて王とせんと
7 されど主ヱホバいひたまはく この事おこなはれずまた成ことなし
8 アラムの首はダマスコ、ダマスコの首はレヂンなり エフライムは六十五年のうちに敗れて國をなさざるべし
1178㌻
9 またエフライムの首はサマリヤ、サマリヤの首はレマリヤの子なり 若なんぢら信ぜずばかならず立ことを得じと
10 ヱホバ再びアハズに吿ていひたまはく
11 なんぢの神ヱホバに一の豫兆をもとめよ 或はふかき處あるひは上のたかき處にもとめよ
12 アハズいひけるは我これを求めじ 我はヱホバを試むることをせざるべし
13 イザヤいひけるは ダビデのいへよ請󠄃なんぢら聞 なんぢら人をわづらはしこれを小事として亦わが神をも煩はさんとするか
14 この故に主みづから一の豫兆をなんぢらに賜ふべし 視よをとめ孕みて子をうまん その名をインマヌエルと稱ふべし
15 かれ惡をすて善をえらぶことを知ころほひにいたりて乳󠄃酥と蜂蜜とをくらはん
16 そはこの子いまだ惡をすて善をえらぶことを知ざるさきになんぢが忌きらふ兩の王の地はすてらるべし
17 ヱホバはエフライムがユダを離れし時よりこのかた臨みしことなき日を汝となんぢの民となんぢの父󠄃の家とにのぞませ給はん是アツスリヤの王なり
18 其日ヱホバ、エジプトなる河々のほとりの蠅をまねきアツスリヤの地の蜂をよびたまはん
19 皆きたりて荒たるたに岩穴󠄄すべての荊棘すべての牧場のうへに止まるべし
20 その日主はかはの外ふより雇へるアツスリヤの王を剃刀として首と足の毛とを剃たまはん また髯をも除きたまふべし
21 その日人わかき牝犢ひとつと羊ふたつとを飼をらん
22 その出すところの乳󠄃おほきによりて乳󠄃酥をくらふことを得ん すべて國のうちに遺󠄃れるものは乳󠄃酥と蜂蜜とをくらふべし
〘907㌻〙
1179㌻
23 その日千株に銀一千の價をえたる葡萄ありし處もことごとく荊と棘はえいづべし
24 荊とおどろと地にあまねきがゆゑに人々矢と弓とをもて彼處にゆくなり
25 鋤をもて掘たがへしたる山々もいばらと棘のために人おそれてその中にゆくことを得じ その地はただ牛をはなち羊にふましむる處とならん
第8章
1 ヱホバ我にいひたまひけるは一の大なる牌をとり そのうへに平󠄃常の文字にてマヘル シャラル ハシ バズと錄せ
2 われ信實の證者なる祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤをもてその證をなさしむ
3 われ預言者の妻にちかづきしとき彼はらみて子をうみければ ヱホバ我にいひたまはく その名をマヘル シャラル ハシ バズと稱へよ
4 そはこの子いまだ我が父󠄃わが母とよぶことを知らざるうちに ダマスコの富とサマリヤの財寳はうばはれてアツスリヤ王のまへに到るべければなり
5 ヱホバまた重て我につげたまへり云く
6 この民はゆるやかに流るるシロアの水をすててレヂンとレマリヤの子とをよろこぶ
7 此によりて主はいきほひ猛くみなぎりわたる大河の水をかれらのうへに堰入たまはん 是はアツスリヤ王とそのもろもろの威勢とにして 百の支流にはびこり もろもろの岸をこえ
8 ユダにながれいり 溢󠄃れひろごりてその項にまで及ばん インマヌエルよ そののぶる翼はあまねくなんぢの地にみちわたらん
9 もろもろの民よ さばめき騷げなんぢら摧かるべし 遠󠄄きくにぐにの者よ きけ 腰におびせよ 汝等くだかるべし 腰に帶せよ なんぢら摧かるべし
10 なんぢら互にはかれ つひに徒勞ならん なんぢら言をいだせ遂󠄅におこなはれじ そは神われらとともに在せばなり
11 ヱホバつよき手をもて此如われに示し この民の路にあゆまざらんことを我にさとして言給はく
12 此民のすべて叛逆󠄃ととなふるところの者をなんぢら叛逆󠄃ととなふるなかれ 彼等のおそるるところを汝等おそるるなかれ慴くなかれ
1180㌻
13 なんぢらはただ萬軍のヱホバを聖󠄄としてこれを畏みこれを恐るべし
14 然らばヱホバはきよき避󠄃所󠄃となりたまはん 然どイスラエルの兩の家には躓く石となり妨ぐる磐とならん ヱルサレムの民には網罟となり機濫とならん
15 おほくの人々これによりて蹶きかつ仆れやぶれ 網せられまた捕へらるべし
16 證詞をつかね律法をわが弟子のうちに封べし
17 いま面をおほひてヤコブの家をかへりみ給はずといへども 我そのヱホバを待そのヱホバを望󠄇みまつらん〘908㌻〙
18 視よわれとヱホバが我にたまひたる子輩とはイスラエルのうちの豫兆なり奇しき標なり 此はシオンの山にいます萬軍のヱホバの與へたまふ所󠄃なり
19 もし人なんぢらにつげて巫女および魔󠄃術者のさえづるがごとく細語がごとき者にもとめよといはば民はおのれの神にもとむべきにあらずや いかで活者のために死者にもとむることを爲んといへ
20 ただ律法と證詞とを求むべし 彼等のいふところ此言にかなはずば晨光あらじ
21 かれら國をへあるきて苦みうゑん その饑るとき怒をはなち己が王おのが神をさして誼ひかつその面をうへに向ん
22 また地をみれば艱難と幽暗󠄃とくるしみの闇とあり かれらは昏黑におひやられん
第9章
1 今くるしみを受れども後には闇なかるべし 昔しはゼブルンの地ナフタリの地をあなどられしめ給ひしかど 後には海にそひたる地ヨルダンの外の地 ことくに人のガリラヤに榮をうけしめ給へり
2 幽暗󠄃をあゆめる民は大なる光をみ 死蔭の地にすめる者のうへに光てらせり
3 なんぢ民をましその歡喜を大にしたまひければ かれらは收穫時によろこぶがごとく掠物をわかつときに樂むがごとく汝の前󠄃によろこべり
1181㌻
4 そは汝かれらがおへる軛とその肩の笞と虐󠄃ぐるものの杖とを折り これを折りてミデアンの日のごとくなし給ひたればなり
5 すべて亂れたたかふ兵士のよろひと血にまみれたる衣とはみな火のもえくさとなりて焚るべし
6 ひとりの嬰兒われらのために生れたり 我儕はひとりの子をあたへられたり 政事はその肩にあり その名は奇妙また議士 また大能の神とこしへのちち 平󠄃和の君ととなへられん
7 その政事と平󠄃和とはましくははりて窮りなし 且ダビデの位にすわりてその國ををさめ今よりのちとこしへに公平󠄃と正義とをもてこれを立これを保ちたまはん 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし
8 主一言をヤコブにおくり之をイスラエルの上にのぞませ給へり
9 すべてのこの民エフライムとサマリヤに居るものとは知ならん かれらは高ぶり誇る心をもていふ
10 瓦くづるるともわれら斫石をもて建 くはの木きらるるともわれら香柏をもて之にかへんと
11 この故にヱホバ、レヂンの敵をあげもちゐてイスラエルを攻しめ その仇をたけび勇しめたまはん
12 前󠄃にアラム人あり後にペシリテ人あり 口をはりてイスラエルを呑んとす 然はあれどヱホバの怒やまずして尙その手をのばしたまふ
〘909㌻〙
13 然どこの民はおのれをうつものに歸らず萬軍のヱホバを求めず
14 斯るゆゑにヱホバ一日のうちに首と尾と椶櫚のえだと葦とをイスラエルより斷切たまはん
15 その首とは老たるもの尊󠄅きもの その尾とは謊言をのぶる預言者をいふなり
16 この民をみちびく者はこれを迷󠄃はせその引導󠄃をうくる者はほろぶるなり
17 このゆゑに主はその少壯者をよろこびたまはず その孤兒と寡婦󠄃とを憐みたまはざるべし 是その民はことごとく邪まなり惡をおこなふ者なり おのおのの口は愚かなる言をかたればなり 然はあれどヱホバの怒やまずして尙その手をのばしたまふ
1182㌻
18 惡は火のごとくもえ棘と荊とを食󠄃つくし茂りあふ林をやくべければみな烟となりむらがりて上騰らん
19 萬軍のヱホバの怒によりて地はくろく燒 その民は火のもえくさとなり人々たがひに相憐むことなし
20 人みぎに攫めどもなほ饑 ひだりに食󠄃へども尙あかず おのおのその腕の肉をくらふべし
21 マナセはエフライムを エフライムはマナセをくらひ 又󠄂かれら相合てユダを攻めん 然はあれどヱホバの怒やまずして尙その手をのばしたまふ
第10章
1 不義のおきてをさだめ暴虐󠄃のことばを錄すものは禍ひなるかな
2 かれらは乏きものの訴をうけず わが民のなかの貧󠄃しきものの權利をはぎ寡婦󠄃の資產をうばひ孤兒のものを掠む
3 なんぢら懲しめらるる日きたらば何をなさんとするか 敗壞とほきより來らんとき何をなさんとするか なんぢら逃󠄄れゆきて誰にすくひを求めんとするか また何處になんぢらの榮をのこさんとするか
4 ただ縛められたるものの下にかがみ 殺されたるもののしたに伏仆れんのみ 然はあれどヱホバのいかり止ずして尙ほその手をのばしたまふ
5 咄アツスリヤ人 なんぢはわが怒の杖なり その手の笞はわが忿恚なり
6 われ彼をつかはして邪曲なる國をせめ我かれに命じて我がいかれる民をせめてその所󠄃有をかすめその財寶をうばはしめ かれらを街の泥のごとくに蹂躪らしめん
7 されどアツスリヤ人のこころざしは斯のごとくならず その心の念もまた斯のごとくならず そのこころは敗壞をこのみ あまたの國をほろぼし絕ん
1183㌻
8 かれ云 わが諸侯はみな王にあらずや
9 カルノはカルケミシの如く ハマテはアルパデの如く サマリヤはダマスコの如きにあらずや
10 わが手は偶像につかふる國々を得たり その彫たる像はヱルサレムおよびサマリヤのものに勝󠄃れたり〘910㌻〙
11 われ旣にサマリヤとその偶像とに行へるごとく亦ヱルサレムとその偶像とにおこなはざる可んやと
12 このゆゑに主いひたまふ 我シオンの山とヱルサレムとに爲んとする事をことごとく遂󠄅をはらんとき 我アツスリヤ王のおごれる心の實とその高ぶり仰ぎたる眼とを罰すべし
13 そは彼いへらく われ手の力と智慧󠄄とによりて之をなせり 我はかしこし 國々の境をのぞき その獲たるものをうばひ 又󠄂われは丈夫にしてかの位に坐するものを下したり
14 わが手もろもろの民のたからを得たりしは巢をとるが如く また天が下を取收めたりしは遺󠄃しすてたる卵をとりあつむるが如くなりき あるひは翼をうごかし あるひは口をひらき あるひは喃々する者もなかりしなりと
15 斧はこれをもちゐて伐ものにむかひて己みづから誇ることをせんや 鋸は これを動かす者にむかひて己みづから高ぶることをせんや 此はあだかも笞がおのれを擧るものを動かし杖みづから木にあらざるものを擧んとするにひとし
16 このゆゑに主萬軍のヱホバは肥たるものを瘠しめ 且その榮光のしたに火のもゆるが如き火焰をおこし給はん
17 イスラエルの光は火のごとく その聖󠄄者はほのほの如くならん 斯て一日のうちに荊とおどろとを燒ほろぼし
18 又󠄂かの林と土肥たる田圃の榮をうせしめ 靈魂をも身をもうせしめて病るものの衰へたるが如くなさん
19 かつ林のうちに殘れる木わづかにして童子も算へうるが如くになるべし
1184㌻
20 その日イスラエルの遺󠄃れる者とヤコブの家ののがれたる者とは再びおのれを擊し者にたよらず誠意󠄃をもてイスラエルの聖󠄄者ヱホバにたよらん
21 その遺󠄃れるものヤコブの遺󠄃れるものは大能の神にかへるべし
22 ああイスラエルよ なんぢの民は海の沙のごとしといへども遺󠄃りて歸りきたる者はただ僅少ならん そは敗壞すでにさだまり義にて溢󠄃るべければなり
23 主萬軍のヱホバの定めたまへる敗壞はこれを徧く國內におこなひ給ふべし
24 このゆゑに主萬軍のヱホバいひたまはく シオンに住󠄃るわが民よアツスリヤ人エジプトの例にならひ笞をもて汝をうち杖をあげて汝をせむるとも懼るるなかれ
25 ただ頃刻にして忿恚はやまん 我がいかりは彼等をほろぼして息ん
26 萬軍のヱホバむかしミデアン人をオレブの巖のあたりにて擊たまひしごとくに禍害󠄅をおこして之をせめ 又󠄂その杖を海のうへに伸しエジプトの例にしたがひてこれを擧たまはん〘911㌻〙
27 その日かれの重荷はなんぢの肩より下 かれの軛はなんぢの頸よりはなれ その軛はあぶらの故をもて壞れん
28 かれアイにきたりミグロンを過󠄃ミクマシにてその輜重をとどめ
29 渡口をすぎてゲバに宿る ここに於てラマはをののきサウルギべア人は逃󠄄れはしれり
30 ガリムの女よなんぢ聲をあげて叫べ ライシよ耳をかたぶけて聽け アナトテよなんぢも聲をあげよ
31 マデメナはさすらひゲビムの民はのがれ走れり
32 この日かれノブに立とゞまり シオンのむすめの山ヱルサレムの岡にむかひて手をふりたり
33 主ばんぐんのヱホバは雄々しくたけびてその枝を斷たまはん 丈高きものは伐おとされ聳えたる者はひくくせらるべし
34 また銕をもて茂りあふ林をきり給はん レバノンは能力あるものに倒さるべし
1185㌻
第11章
1 ヱツサイの株より一つの芽いで その根より一つの枝はえて實をむすばん
2 その上にヱホバの靈とゞまらん これ智慧󠄄聰明の靈 謀略才能の靈 知識の靈 ヱホバをおそるるの靈なり
3 かれはヱホバを畏るるをもて歡樂とし また目みるところによりて審判󠄄をなさず 耳きくところによりて斷定をなさず
4 正義をもて貧󠄃しき者をさばき 公平󠄃をもて國のうちの卑しき者のために斷定をなし その口の杖をもて國をうちその口唇の氣息をもて惡人をころすべし
5 正義はその腰の帶となり 忠信はその身のおびとならん
6 おほかみは小羊とともにやどり 豹は小山羊とともにふし 犢 をじし 肥たる家畜ともに居てちひさき童子にみちびかれ
7 牝牛と熊とはくひものを同にし 熊の子と牛の子とともにふし 獅はうしのごとく藁をくらひ
8 乳󠄃兒は毒蛇のほらにたはふれ 乳󠄃ばなれの兒は手をまむしの穴󠄄にいれん
9 斯てわが聖󠄄山のいづこにても害󠄅ふことなく傷ることなからん そは水の海をおほへるごとくヱホバをしるの知識地にみつべければなり
10 その日ヱツサイの根たちてもろもろの民の旂となり もろもろの邦人はこれに服󠄃ひきたり榮光はそのとゞまる所󠄃にあらん
11 その日主はまたふたゝび手をのべてその民ののこれる僅かのものをアツスリヤ、エジプト、パテロス、エテオピア、エラム、シナル、ハマテおよび海のしまじまより贖ひたまふべし〘912㌻〙
12 ヱホバは國々の爲に旂をたててイスラエルの逐󠄃やられたる者をあつめ地の四極よりユダの散失たるものを集へたまはん
13 またエフライムの猜はうせ ユダを惱ますものは斷れ エフライムはユダをそねまず ユダはエフライムを惱ますことなかるべし
14 かれらは西なるペリシテ人の境にとびゆき相共にひがしの子輩をかすめ その手をエドムおよびモアブにのべアンモンの子孫をおのれに服󠄃はしめん
1186㌻
15 ヱホバ、エジプトの海汊をからし河のうへに手をふりて熱風をふかせ その河をうちて七の小流となし 履をはきて渉らしめたまはん
16 斯てその民ののこれる僅かのものの爲にアツスリヤより來るべき一つの大路あり 昔しイスラエルがエジプトの地よりいでし時のごとくなるべし
第12章
1 その日なんぢ言ん ヱホバよ我なんぢに感謝すべし 汝さきに我をいかり給ひしかどその怒はやみて我をなぐさめたまへり
2 視よ神はわが救なり われ依賴ておそるるところなし 主ヱホバはわが力わが歌なり ヱホバは亦わが救となりたまへりと
3 此故になんぢら欣喜をもて救の井より水をくむべし
4 その日なんぢらいはん ヱホバに感謝せよ その名をよべ その行爲をもろもろの民の中につたへよ その名のあがむべきことを語りつげよと
5 ヱホバを頌うたへ そのみわざは高くすぐれたればなり これを全󠄃地につたへよ
6 シオンに住󠄃るものよ聲をあげてよばはれ イスラエルの聖󠄄者はなんぢの中にて大なればなり
第13章
1 アモツの子イザヤが示されたるバビロンにかかる重負󠄅の預言
2 なんぢらかぶろの山に旂をたて聲をあげ手をふり彼等をまねきて貴族の門にいらしめよ
3 われ旣にきよめ別ちたるものに命じ わが丈夫ほこりかにいさめる者をよびて わが怒をもらさしむ
4 山におほくの人の聲きこゆ大なる民あるがごとし もろもろの國民のよりつどひて喧めく聲きこゆ これ萬軍のヱホバたたかひの軍兵を召したまふなり
5 かれらはとほき國より天の極よりきたる これヱホバとその忿恚をもらす器とともに全󠄃國をほろぼさんとて來るなり
1187㌻
6 なんぢら泣號ぶべしヱホバの日ちかづき全󠄃能者よりいづる敗亡きたるべければなり
7 この故にすべての手はたれ凡の人のこころは消󠄃ゆかん
8 かれら慴きおそれ艱難と憂とにせまられ 子をうまんとする婦󠄃のごとく苦しみ互におどろき 相みあひてその面は燄のごとくならん〘913㌻〙
9 視よヱホバの日苛くして忿恚とはげしき怒とをもて來り この國をあらしその中よりつみびとを絕滅さん
10 天のもろもろの星とほしの宿は光をはなたず 日はいでてくらく月は その光をかがやかさざるべし
11 われ惡ことのために世をつみし 不義のために惡きものをばつし 驕れるものの誇をとどめ 暴ぶるものの傲慢をひくくせん
12 われ人をして精金よりもすくなくオフルの黄金よりも少なからしめん
13 かくて亦われ萬軍のヱホバの忿恚のとき烈しき怒りの日に天をふるはせ地をうごかしてその處をうしなはしむべし
14 かれらは逐󠄃るる鹿のごとく集むるものなき羊のごとくなりて各自おのれの民にかへりおのれの國にのがれゆかん
15 すべて其處にあるもの見出さるれば 刺れ 拘留らるるものは劍にたふされ
16 彼等の嬰兒はその目前󠄃にてなげくだかれ その家財はかすめうばはれ その妻はけがさるべし
17 視よわれ白銀をもかへりみず黄金をもよろこばざるメデア人をおこして之にむかはしめん
18 かれらは弓をもて若きものを射くだき腹の實をあはれむことなく小子をみてをしむことなし
19 すべての國の中にてうるはしくカルデヤ人がほこり飾󠄃となせるバビロンはむかし神にほろぼされたるソドム、ゴモラのごとくならん
20 ここに住󠄃むもの永くたえ世々にいたるまで居ものなく アラビヤ人もかしこに幕屋をはらず牧人もまたかしこにはその群をふさすることなく
1188㌻
21 ただ猛獸かしこにふし 吼るものその家にみち 鴕鳥かしこにすみ 牡山羊かしこに躍󠄃らん
22 豺狼その城のなかになき野犬えいぐわの宮にさけばん その時のいたるは近󠄃きにあり その日は延ることなかるべし
第14章
1 ヱホバ、ヤコブを憐みイスラエルをふたゝび撰びて之をおのれの地におきたまはん 異邦人これに加りてヤコブの家にむすびつらなるべし
2 もろもろの民はかれらをその處にたづさへいたらん而してイスラエルの家はヱホバの地にてこれを奴婢となし曩におのれを虜にしたるものを虜にし おのれを虐󠄃げたるものを治めん
3 ヱホバなんぢの憂と艱難とをのぞき 亦なんぢが勤むるからき役をのぞきて安息をたまふの日
4 なんぢこの歌をとなへバビロン王をせめていはん虐󠄃ぐる者いかにして息みしや 金をはたる者いかにして息みしやと
5 ヱホバあしきものの笞ともろもろの有司の杖とををりたまへり〘914㌻〙
6 かれらは怒をもてもろもろの民をたえず擊てはうち 忿恚をもてもろもろの國ををさむれど その暴虐󠄃をとどむる者なかりき
7 今は全󠄃地やすみを得おだやかを得 ことごとく聲をあげてうたふ
8 實にまつの樹およびレバノンの香柏さへもなんぢの故により歡びていふ 汝すでに仆たれば樵夫のぼりきたりてわれらを攻ることなしと
9 下の陰府はなんぢの故により動きて汝のきたるをむかへ世のもろもろの英雄の亡靈をおこし國々のもろもろの王をその位より起󠄃おこらしむ
10 かれらは皆なんぢに吿ていはん 汝もわれらのごとく弱󠄃くなりしや 汝もわれらと同じくなりしやと
11 なんぢの榮華となんぢの琴の音󠄃はすでに陰府におちたり 蛆なんぢの下にしかれ蚯蚓なんぢをおほふ
1189㌻
12 あしたの子明星よいかにして天より隕しや もろもろの國をたふしし者よいかにして斫れて地にたふれしや
13 汝さきに心中におもへらく われ天にのぼり我くらゐを神の星のうへにあげ北の極なる集會の山にざし
14 たかき雲漢にのぼり至上者のごとくなるべしと
15 然どなんぢは陰府におとされ坑の最下にいれられん
16 なんぢを見るものは熟々なんぢを視なんぢに目をとめていはん この人は地をふるはせ列國をうごかし
17 世を荒野のごとくし もろもろの邑をこぼち 捕へたるものをその家にときかへさざりしものなるかと
18 もろもろの國の王たちはことごとく皆たふとき狀にておのおのその家にねぶる
19 然どなんぢは忌きらふべき枝のごとく おのが墓のそとにすてられその周󠄃圍には劍にて刺ころされ坑におろされ 石におほはれたる者ありて踐つけらるる屍にことならず
20 汝おのれの國をほろぼし おのれの民をころししが故に かれらとおなじく葬らるることあたはず それ惡をおこなふものの裔はとこしへに名をよばるることなかるべし
21 先祖のよこしまの故をもて その子孫のために戮場をそなへ 彼等をしてたちて地をとり世界のおもてに邑をみたすことなからしめよ
22 萬軍のヱホバのたまはく 我立てかれらを攻めバビロンよりその名と遺󠄃りたるものとを絕滅し その子その孫をたちほろぼさんと これヱホバの聖󠄄言なり
23 われバビロンを刺蝟のすみかとし沼とし且ほろびの箒をもてこれを掃除かんと これ萬軍のヱホバのみことばなり
24 萬軍のヱホバ誓をたてて言給はくわがおもひし事はかならず成 わがさだめし事はかならず立ん〘915㌻〙
25 われアツスリヤ人をわが地にてうちやぶり わが山々にてふみにじらん ここにおいて彼がおきし軛はイスラエル人よりはなれ 彼がおはせし重負󠄅はイスラエル人の肩よりはなるべし
26 これは全󠄃地のことにつきて定めたる謀略なり 是はもろもろの國のうへに伸したる手なり
1190㌻
27 萬軍のヱホバさだめたまへり誰かこれを破ることを得んや その手をのばしたまへり誰かこれを押返󠄄すことを得んや
28 アハズ王の死たる年おもにの預言ありき
29 曰く ペリシテの全󠄃地よなんぢをうちし杖をれたればとて喜ぶなかれ 蛇の根より蝮いでその果はとびかける巨󠄃蛇となるべければなり
30 いと貧󠄃しきものはものくひ乏しきものは安然にふさん われ饑饉をもてなんぢの根をしなせ汝がのこれる者をころすべし
31 門よなげけ邑よさけべ ペリシテよなんぢの全󠄃地きえうせたり そはけぶり北よりいできたり その軍兵の列におくるるものなし
32 その國の使者たちに何とこたふべきや 答へていはん ヱホバ、シオンの基をおきたまへり その民のなかの苦しむものは避󠄃所󠄃をこの中にえん
第15章
1 モアブにかかる重負󠄅のよげん 曰く
モアブのアルは一夜の間にあらされて亡びうせ モアブのキルは一夜のまに荒されてほろびうせん
2 かれバイテおよびデボンの高所󠄃にのぼりて哭き モアブはネボ及びメデバの上にてなげきさけぶ おのおのその頭を禿にしその鬚をことごとく剃たり
3 かれら麁服󠄃をきてその衢にあり 屋蓋または廣きところにて皆なきさけび悲しむこと甚だし
4 ヘシボンとエレアレと叫びてその聲ヤハズにまで聞ゆ この故にモアブの軍兵こゑをあげ その靈魂うちに在てをののけり
5 わが心モアブのために叫びよばはれり その貴族はゾアルおよびヱグラテシリシヤにのがれ 哭つつルヒテの坂をのぼり ホロナイムの途󠄃にて敗亡の聲をあぐ
6 ニムリムの水はかわき草はかれ苗はつきて緑蔬あらず
1191㌻
7 このゆゑに彼等はその獲たる富とその藏めたる物をたづさへて柳の河をわたらん
8 その泣號のこゑはモアブの境をめぐり 悲歎のこゑはエグライムにいたり なげきの聲はべエルエリムにいたる
9 デモンの水は血にて充 われデモンの上にひとしほ禍害󠄅をくはへ モアブの遁れたる者とこの地の遺󠄃りたるものとに獅をおくらん〘916㌻〙
第16章
1 なんぢら荒野のセラより羔羊をシオンの女の山におくりて國の首にをさむべし
2 モアブの女輩はアルノンの津にありてさまよふ鳥のごとく巢をおはれたる雛のごとくなるべし
3 相謀りて審判󠄄をおこなひ 亭午にもなんぢの蔭を夜のごとくならしめ 驅逐󠄃人をかくし 遁れきたるものを顯はすなかれ
4 わが驅逐󠄃人をなんぢとともに居しめ 汝モアブの避󠄃所󠄃となりて之をそこなふ者のまへより脱れしめよ 勒索者はうせ害󠄅ふものはたえ暴虐󠄃者は地より絕れん
5 ひとつの位あはれみをもて堅くたち眞實をおこなふ者そのうへに坐せん 彼ダビデの幕屋にをりて審判󠄄をなし公平󠄃をもとめて義をおこなふに速󠄃し
6 われらモアブの傲慢をきけり その高ぶること甚だし われらその誇とたかぶりと忿恚とをきけり その大言はむなし
7 この故にモアブはモアブの爲になきさけび民みな哭さけぶべし なんぢら必らず甚だしく心をいためてキルハレステの乾葡萄のためになげくべし
8 そはヘシボンの畑とシブマのぶだうの樹とは凋みおとろへたり その枝さきにはヤゼルにまでいたりて荒野にはびこりのびて海をわたりしが 國々のもろもろの主その美はしき枝ををりたり
9 この故にわれヤゼルの哭とひとしくシブマの葡萄の樹のためになかん ヘシボンよエレアレよわが淚なんぢをひたさん そは鬨聲なんぢが果物なんぢが收穫の實のうへにおちきたればなり
10 欣喜とたのしみとは土肥たる畑より取さられ 葡萄園には謳ふことなく歡呼ばふことなく酒醡にはふみて酒をしぼるものなし 我そのよろこびたつる聲をやめしめたり
1192㌻
11 このゆゑにわが心腸はモアブの故をもて琴のごとく鳴ひびき キルハレスの故をもてわが衷もまた然り
12 モアブは高處にいでて倦つかれその聖󠄄所󠄃にきたりて祈るべけれど驗あらじ
13 こはヱホバが曩にモアブに就てかたりたまへる聖󠄄言なり
14 されど今ヱホバかたりて言たまはくモアブの榮はその大なる群衆とともに傭人の期にひとしく 三年のうちに恥かしめをうけ 遺󠄃れる者はなはだ少なくして力なからん
第17章
1 ダマスコにかかはる重負󠄅の預言 いはく
視よダマスコは邑のすがたをうしなひて荒墟となるべし
2 アロエルの諸邑はすてられん獸畜のむれそこにすみてその伏やすめるをおびやかす者もなからん
3 エフライムの城はすたりダマスコの政治はやみ スリアの遺󠄃れる者はイスラエルの子輩のさかえのごとく消󠄃うせん 是は萬軍のヱホバの聖󠄄言なり
〘917㌻〙
4 その日ヤコブの榮はおとろへその肥たる肉はやせて
5 あだかも收穫人の麥をかりあつめ腕をもて穗をかりたる後のごとくレパイムの谷に穗をひろひたるあとの如くならん
6 されど橄欖樹をうつとき二つ三の核を杪にのこし あるひは四つ五をみのりおほき樹の外面のえだに遺󠄃せるが如く採のこさるるものあるべし 是イスラエルの神ヱホバの聖󠄄言なり
7 その日人おのれを造󠄃れるものを仰ぎのぞみイスラエルの聖󠄄者に目をとめん
8 斯ておのれの手の工なる祭壇をあふぎ望󠄇まず おのれの指のつくりたるアシラの像と日の像とに目をとめじ
9 その日かれが堅固なるまちまちは 昔イスラエルの子輩をさけてすてさりたる森のなか嶺のうへに今のこれる荒跡のごとく荒地となるべし
1193㌻
10 そは汝おのがすくひの神をわすれ 己がちからとなるべき磐を心にとめざりしによる このゆゑになんぢ美くしき植物をうゑ異やうの枝をさし
11 かつ植たる日に籬をまはし朝󠄃に芽をいださしむれども 患難の日といたましき憂の日ときたりて收穫の果はとびさらん
12 唉おほくの民はなりどよめけり海のなりどよめく如くかれらも鳴動めけり もろもろの國はなりひびけり大水のなりひびくが如くかれらも鳴響けり
13 もろもろの國はおほくの水のなりひびくがごとく鳴響かん されど神かれらを攻たまふべし かれら遠󠄄くのがれて風にふきさらるる山のうへの粃糠のごとく また旋風にふきさらるる塵のごとくならん
14 視よゆふぐれに恐怖あり いまだ黎明にいたらずして彼等は亡たり これ我儕をかすむる者のうくべき報われらを奪ふもののひくべき䰗なり
第18章
1 唉エテオピアの河の彼方なるさやさやと羽音󠄃のきこゆる地
2 この地蒹のふねを水にうかべ海路より使者をつかはさんとてその使者にいへらく 疾走る使よなんぢら河々の流のわかるる國にゆけ丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人を踐にじる民にゆけ
3 すべて世にをるもの地にすむものよ 山のうへに旗のたつとき汝等これを見ラッパの鳴響くときなんぢら之をきけ
4 そはヱホバわれに如此いひ給へりいはく 空󠄃はれわたり日てり收穫の熱むしてつゆけき雲のたるる間 われわが居所󠄃にしづかに居てながめん
5 收穫のまへにその芽またく生その花ぶだうとなりて熟せんとするとき かれ鎌をもて蔓をかり枝をきり去ん〘918㌻〙
6 斯てみな山のたけきとりと地の獸とになげあたへらるべし 猛鳥そのうへにて夏をすごし地のけものその上にて冬をわたらん
1194㌻
7 そのとき河々の流のわかるる國の丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人をふみにじる民より 萬軍のヱホバにささぐる禮物をたづさへて 萬軍のヱホバの聖󠄄名のところシオンの山にきたるべし
第19章
1 エジプトにかかる重負󠄅のよげん いはく
ヱホバははやき雲にのりてエジプトに來りたまふ エジプトのもろもろの偶像はその前󠄃にふるひをののき エジプト人のこころはその衷にて消󠄃ゆかん
2 我エジプト人をたけび勇ましめてエジプト人を攻しめん斯てかれら各自その兄弟をせめおのおのその鄰をせめ 邑は邑をせめ國はくにを攻べし
3 エジプト人の靈魂うせてその中むなしくならん われその謀略をほろぼすべし かれらは偶像および呪文をとなふるもの巫女魔󠄃術者にもとむることを爲ん
4 われエジプト人を苛酷なる主人の手にわたさん あらあらしき王かれらを治むべし是主萬軍のヱホバの聖󠄄言なり
5 海の水はつき河もまた涸てかわかん
6 また河々はくさき臭をはなちエジプトの堭はみな漸次にへりてかわき葦と蘆とかれはてん
7 ナイルのほとりの草原ナイルの岸にほどちかき所󠄃すべてナイルの最寄にまきたる者はことごとく枯てちりうせん
8 漁者もまた歎き すべてナイルに釣をたるる者はかなしみ網を水のうへに施ものはおとろふべし
9 練たる麻󠄃にて物つくるもの白布を織ものは恥あわて
10 その柱はくだけ一切のやとはれたる者のこころ憂ひかなしまん
11 誠やゾアンの諸侯は愚なりパロの最もかしこき議官のはかりごとは癡鈍べし 然ばなんぢら何でパロにむかひて我はかしこきものの子 われは古への王の子なりといふを得んや
1195㌻
12 なんぢの智者いづくにありや 彼らもし萬軍のヱホバの定めたまひしエジプトに係はることを曉得ばこれをなんぢに吿るこそよけれ
13 ゾアンのもろもろの諸侯は愚かなり ノフの諸侯は惑ひたり かれらはエジプトのもろもろの支派の隅石なるに却てエジプトをあやまらせたり
14 ヱホバ曲れる心をその中にまじへ給ひしにより 彼等はエジプトのすべて作ところを謬らせ恰かも醉る人の哇吐ときによろめくが如くならしめたり〘919㌻〙
15 エジプトにて或は首あるひは尾あるひは椶櫚のえだまたは葦すべてその作ところの工なかるべし
16 その日エジプトは婦󠄃女のごとくならん 萬軍のヱホバの動かしたまふ手のその上にうごくが故におそれをののくべし
17 ユダの地はエジプトに懼れらる この事をかたりつぐれば聽くもの皆おそる これ萬軍のヱホバ、エジプトに對ひて定めたまへる謀略の故によるなり
18 その日エジプトの地に五の邑あり カナンの方言をかたりまた萬軍のヱホバに誓ひをたてん その中のひとつは日邑ととなへらるべし
19 その日エジプトの地の中にヱホバをまつる一つの祭壇あり その境にヱホバをまつる一柱あらん
20 これエジプトの地にて萬軍のヱホバの徴となり證となるなり かれら暴虐󠄃者の故によりてヱホバに號求むべければ ヱホバは救ふもの護るものを遣󠄃してこれを助けたまはん
21 ヱホバおのれをエジプトに知せたまはん その日エジプト人はヱホバをしり犧牲と祭物とをもて之につかへん 誓願をヱホバにたてて成とぐべし
22 ヱホバ、エジプトを擊たまはん ヱホバこれを擊これを醫したまふ この故にかれらヱホバに歸らん ヱホバその懇求をいれて之をいやし給はん
1196㌻
23 その日エジプトよりアツスリヤにかよふ大路ありて アツスリヤ人はエジプトにきたり エジプト人はアツスリヤにゆき エジプト人とアツスリヤ人と相共につかふることをせん
24 その日イスラエルはエジプトとアツスリヤとを共にし三あひならび地のうへにて福祉をうくる者となるべし
25 萬軍のヱホバこれを祝して言たまはく わが民なるエジプトわが手の工なるアツスリヤわが產業なるイスラエルは福ひなるかな
第20章
1 アツスリヤのサルゴン王タルタンを遣󠄃してアシドドにゆかしむ 彼がアシドドを攻てとりし年にあたり
2 この時ヱホバ、アモツの子イザヤに托てかたりたまはく 徃なんぢの腰よりあらたへの衣をとき汝の足より履をぬげ ここに於てかれその如くなし赤裸跣足にて步めり
3 ヱホバ言給く わが僕イザヤは三年の間はだかはだしにてあゆみ エジプトとエテオピアとの豫兆となり奇しき標となりたり
4 斯のごとくエジプトの虜とエテオピアの俘囚とはアツスリヤの王にひきゆかれ その若きも老たるもみな赤裸跣足にて臀までもあらはしエジプトの恥をしめすべし〘920㌻〙
5 かれらはその恃とせるエテオピアその誇とせるエジプトのゆゑをもて懼れはぢん
6 その日この濱邊の民いはん 視よ われらの恃とせる國われらが遁れゆきて助をもとめアツスリヤ王の手より救出されんとせし國すでに斯のごとし 我儕はいかにして脱かるるを得んやと
第21章
1 うみべの荒野にかかる重負󠄅のよげん いはく
荒野よりおそるべき地より南のかたの暴風のふきすぐるが如くきたれり
2 われ苛き默示をしめされたり 欺騙者はあざむき荒すものはあらすべし エラムよ上れメデアよかこめ 我すでにすべての歎息をやめしめたり
1197㌻
3 この故にわが腰は甚だしくいたみ 產にのぞめる婦󠄃人の如き苦しみ我にせまれり われ悶へ苦しみて聞ことあたはず我をののきて見ことあたはず
4 わが心みだれまどひて慴き怖ること甚だし わが樂しめる夕はかはりて懼れとなりぬ
5 彼らは席をまうけ筵をしきてくひのみす もろもろの君よたちて盾にあぶらぬれ
6 ヱホバかく我にいひ給へり 汝ゆきて斥候をおきその見るところを吿しめよ
7 かれ馬にのりて二列にならび來るものを見 また驢馬にのりたると駱駝にのりたるとをみば 耳をかたぶけて詳細にきくことをせしめよと
8 かれ獅の如く呼はりて曰けるは わが主よわれ終󠄃日やぐらに立よもすがら斥候の地にたつ
9 馬にのりて二列にならびたる者きたれり 彼こたへていはくバビロンは倒れたり 倒れたりそのもろもろの神の像はくだけて地にふしたり
10 蹂躪らるるわが民よわが打場のたなつものよ 我イスラエルの神萬軍のヱホバに聞るところのものを汝につげたり
11 ドマに係るおもにの預言 いはく
人ありセイルより我をよびていふ 斥候よ夜はなにのときぞ 斥候よ夜はなにの時ぞ
12 ものみ答へていふ 朝󠄃きたり夜またきたる 汝もしとはんとおもはば問 なんぢら歸りきたるべし
13 アラビヤにかかる重負󠄅のよげん 曰く
デダンの客商よなんぢらはアラビヤの林にやどらん
14 テマの地のたみよ水をたづさへて渇ける者をむかへ 糧をもて逃󠄄遁れたるものを迎󠄃へよ
15 かれらは刃󠄃をさけ 旣にぬきたる劍すでに張たる弓およびたたかひの艱難をさけて逃󠄄きたれり〘921㌻〙
1198㌻
16 そは主われにいひたまはく 傭人の期にひとしく一年のうちにケダルのすべての榮華はつきはてん
17 そののこれる弓士のかずとケダルの子孫のますらをとは少なかるべし 此はイスラエルの神ヱホバのかたり給へるなり
第22章
1 異象の谷にかかる重負󠄅のよげん 曰く
なんぢら何故にみな屋蓋にのぼれるか
2 汝はさわがしく喧すしき邑ほこりたのしむ邑 なんぢのうちの殺されたるものは劍をもて殺されしにあらず 亦たたかひにて死しにもあらず
3 なんぢの有司はみな共にのがれゆきしかど弓士にいましめられ 汝の民はとほくにげゆきしかど見出されて皆ともに縛められたり
4 この故にわれいふ回顧󠄃てわれを見るなかれ 我いたく哭かなしまん わが民のむすめの害󠄅はれたるによりて我をなぐさめんと勉むるなかれ
5 そは主萬軍のヱホバ異象のたにに騷亂ふみにじり惶惑の日をきたらせたまふ 垣はくづれ號呼のこゑは山々にきこゆ
6 エラムは箙をおひたり 步兵と騎兵とありキルは盾をあらはせり
7 かくて戰車はなんぢの美しき谷にみち 騎兵はその門にむかひてつらなれり
8 ユダの庇護はのぞかる その日なんぢは林のいへの武具󠄄をあふぎのぞめり
9 なんぢらダビデのまちの壞おほきを見る なんぢら下のいけの水をあつめ
10 またヱルサレムの家をかぞへ且その家をこぼちて垣をかたくし
11 一つの水坑をかきとかきとの間につくりて古池の水をひけりされどこの事をなし給へるものを仰望󠄇まず この事をむかしより營みたまへる者をかへりみざりき
12 その日主萬軍のヱホバ命じて哭かなしみ首をかぶろにし麁服󠄃をまとへと仰せたまひしかど
13 なんぢらは喜びたのしみ牛をほふり羊をころし肉をくらひ酒をのみていふ 我儕くらひ且のむべし明日はしぬべければなりと
1199㌻
14 萬軍のヱホバ默示をわが耳にきかしめたまはく まことにこの邪曲はなんぢらが死にいたるまで除き淸めらるるを得ずと これ主萬軍のヱホバのみことばなり
15 主ばんぐんのヱホバ如此のたまふ ゆけ宮ををさめ庫をつかさどるセブナにゆきていへ
16 なんぢここに何のかかはりありや また茲にいかなる人のありとして己がために墓をほりしや 彼はたかきところに墓をほり磐をうがちて己がために住󠄃所󠄃をつくれり
17 視よヱホバはつよき人のなげうつ如くに汝をなげうち給はん
18 なんぢを包みかためふりまはして闊かなる地に球のごとくなげいだしたまはん 主人のいへの恥となるものよ汝そこにて死そのえいぐわの車もそこにあらん〘922㌻〙
19 我なんぢをその職よりおひその位よりひきおとさん
20 その日われわが僕ヒルキヤの子エリアキムを召て
21 なんぢの衣をきせ汝の帶をもて固め なんぢの政權をその手にゆだぬべし 斯て彼ヱルサレムの民とユダの家とに父󠄃とならん
22 我またダビデのいへの鑰をその肩におかん 彼あくればとづるものなく彼とづればあくるものなし
23 我かれをたてて堅處にうちし釘のごとくすべし 而してかれはその父󠄃の家のさかえの位とならん
24 その父󠄃の家のもろもろの榮は彼がうへに懸る その子その孫およびすべての器のちひさきもの皿より瓶子にいたるまでも然らざるなし
25 萬軍のヱホバのたまはくその日かたき處にうちたる釘はぬけいで斫れておちん そのうへにかかれる負󠄅もまた絕るべし こはヱホバ語り給へるなり
第23章
1 ツロに係るおもにの預言 いはく
タルシシのもろもろの舟よなきさけべ ツロは荒廢れて屋なく入べきところなければなり かれら此事をキツテムの地にて吿しらせらる
1200㌻
2 うみべの民よもだせ 曩には海をゆきかふシドンの商賣くさぐさの物をかしこに充せたり
3 ツロは大なる水をわたりくるシホルの種物とナイルがはの穀物とによりて收納󠄃をえたり ツロはもろもろの國のつどふ市なりき
4 シドンよはづべし そは海すなはち海城かくいへり曰く われ苦しまずうまず壯男をやしなはず處女をそだてざりきと
5 この音󠄃信のエジプトにいたるとき彼等ツロのおとづれによりて甚くうれふべし
6 なんぢらタルシシにわたれ 海邊のたみよ汝等なきさけぶべし
7 これは上れる世いにしへよりありし邑おのが足にてうつり遠󠄄くたびずまひせる邑なんぢらの樂しみの邑なりしや
8 斯のごとくツロに對ひてはかりしは誰なるか ツロは冕をさづけし邑 その中のあきうどは君 その中の貿易するものは地のたふとき者なりき
9 これ萬軍のヱホバの定め給ふところにして すべて華美にかざれる驕奢をけがし地のもろもろの貴者をひくくしたまはんが爲なり
10 タルシシの女よナイルのごとく己が地にあふれよ なんぢを結びかたむる帶ふたゝびなかるべし
11 ヱホバその手を海の上にのべて國々をふるひうごかし給へり ヱホバ、カナンにつきて詔命をいだしその保砦をこぼたしめたまふ
12 彼いひたまはく虐󠄃げられたる處女シドンのむすめよ 汝ふたゝびよろこぶことなかるべし 起󠄃てキツテムにわたれ彼處にてなんぢまた安息をえじ
〘923㌻〙
13 カルデヤ人のくにを視よ この民はふたゝびあることなし アツスリヤ人この國を野のけものの居所󠄃にさだめたり かれら櫓をたてもろもろの殿をこぼちて荒墟となせり
14 タルシシのもろもろの舟よなきさけべ なんぢの保砦はくだかれたり
15 その日ツロは七十年のあひだ忘れらるべし ひとりの王のながらふる日のかずなり七十年終󠄃りてのちツロは妓女のうたの如くならん
16 さきに忘れられたるうかれめよ琴をとりて城市をへめぐり 巧に彈じておほくの歌をうたひ人にふたゝび記念らるべし
1201㌻
17 七十年をはりてヱホバまたツロを顧󠄃みたまはん ツロはふたゝびその利潤をえて地のおもてにあるもろもろの國と淫をおこなふべし
18 その貿易とその獲たる利潤とはきよめてヱホバに獻ぐべければ之をたくはへず積ことをせざるなり その貿易はヱホバの前󠄃にをるものの用となり飽󠄄くらふ料となり華美なるころもの料とならん
第24章
1 視よヱホバこの地をむなしからしめ荒廢れしめこれを覆へしてその民をちらしたまふ
2 かくて民も祭司もひとしく 僕も主もひとしく 下婢も主婦󠄃もひとしく 買ものも賣ものもひとしく 貸ものも借ものもひとしく 利をはたるものも利をいだす者もひとしくこの事にあふべし
3 地はことごとく空󠄃しくことごとく掠められん こはヱホバの言たまへるなり
4 地はうれへおとろへ世は萎おとろへ地のたふときものも萎はてたり
5 民おきてにそむき法ををかし とこしへの契󠄅約をやぶりたるがゆゑに 地はその下にけがされたり
6 このゆゑに呪詛は地をのみつくしそこに住󠄃るものは罪をうけまた地の民はやかれて僅かばかり遺󠄃れり
7 あたらしき酒はうれへ葡萄はなえ 心たのしめるものはみな歎息せざるはなし
8 鼓のおとは寂まり歡ぶものの聲はやみ琴の音󠄃もまたしづまれり
9 彼等はふたゝび歌うたひ酒のまず濃酒はこれをのむものに苦くなるべし
10 騷ぎみだれたる邑はすでにやぶられ每家はことごとく閉て人のいるなし
11 街頭には酒の故によりて叫ぶこゑあり すべての歡喜はくらくなり地のたのしみは去ゆけり
12 邑はあれすたれたる所󠄃のみのこり その門もこぼたれて破れぬ
13 地のうちにてもろもろの民のなかにて遺󠄃るものは橄欖の樹のうたれしのちの果の如く葡萄の收穫はてしのちの實のごとし
〘924㌻〙
1202㌻
14 これらのもの聲をあげてよばはん ヱホバの稜威のゆゑをもて海より歡びよばはん
15 この故になんぢら東にてヱホバをあがめ 海のしまじまにてイスラエルの神ヱホバの名をあがむべし
16 われら地の極より歌をきけり いはく榮光はただしきものに歸すと
われ云らく我やせおとろへたり我やせおとろへたり 我はわざはひなるかな 欺騙者はあざむき欺騙者はいつはりをもて欺むけり
17 地にすむものよ恐怖と陷阱と罟とはなんぢに臨めり
18 おそれの聲をのがるる者はおとしあなに陷り おとしあなの中よりいづるものは罟にかかるべし そは高處の窓ひらけ地の基ふるひうごけばなり
19 地は碎けにくだけ地はやぶれにやぶれ地は搖にゆれ
20 地はゑへる者のごとく蹌きによろめき假廬のごとくふりうごく その罪はそのうへにおもく遂󠄅にたふれて再びおくることなし
21 その日ヱホバはたかき處にて高きところの軍兵を征め 地にて地のもろもろの王を征めたまはん
22 かれらは囚人が阱にあつめらるるごとく集められて 獄中にとざされ多くの日をへてのち刑せらるべし
23 かくて萬軍のヱホバ、シオンの山およびヱルサレムにて統治め かつその長老たちのまへに榮光あるべければ 月は面あからみ日ははぢて色かはるべし
第25章
1 ヱホバよ汝はわが神なり 我なんぢを崇めなんぢの名をほめたたへん 汝さきに妙なる事をおこなひ 古時より定めたることを眞實をもて成たまひたればなり
2 なんぢ邑をかへて石堆となし 堅固なる城を荒墟となし 外人の京都を邑とならしめず永遠󠄄にたつることを得ざらしめたまへり
3 この故につよき民はなんぢをあがめ 暴びたる國々の城はなんぢをおそるべし
4 そはなんぢ弱󠄃きものの保砦となり 乏しきものの難のときの保砦となり 雨風のふききたりて垣をうつごとく暴ぶるものの荒きたるときの避󠄃所󠄃となり 熱をさくる蔭となりたまへり
1203㌻
5 なんぢ外人の喧嘩をおさへて旱ける地より熱をとりのぞく如くならしめ 暴ぶるものの凱歌をとどめて雪󠄃の陰をもて熱をとどむる如くならしめたまはん
6 萬軍のヱホバこの山にてもろもろの民のために肥たるものをもて宴をまうけ 久しくたくはへたる葡萄酒をもて宴をまうく 膸おほき肥たるもの久しくたくはへたる淸るぶだう酒の宴なり
7 又󠄂この山にてもろもろの民のかぶれる面帕と もろもろの國のおほへる外帔をとりのぞき〘925㌻〙
8 とこしへまで死を呑たまはん 主ヱホバはすべての面より淚をぬぐひ 全󠄃地のうへよりその民の凌辱をのぞき給はん これはヱホバの語りたまへるなり
9 その日此如いはん これはわれらの神なり われら俟望󠄇めり 彼われらを救ひたまはん 是ヱホバなり われらまちのぞめり 我儕そのすくひを歡びたのしむべしと
10 ヱホバの手はこの山にとゞまり モアブはその處にてあくたの水のなかにふまるる藁のごとく蹂躪られん
11 彼そのなかにて游者のおよがんとして手をのばすが如く己が手をのばさん 然どヱホバその手の脆計とともにその傲慢を伏たまはん
12 なんぢの垣たかき堅固なる城はヱホバかたぶけたふし 地におとして塵にまじへたまはん
第26章
1 その日ユダの國にてこの歌をうたはん われらに堅固なる邑あり 神すくひをもてその垣その藩となしたまふべし
2 なんぢら門をひらきて忠信を守るただしき國民をいれよ
3 なんぢは平󠄃康にやすきをもて心志かたき者をまもりたまふ 彼はなんぢに依賴めばなり
4 なんぢら常盤にヱホバによりたのめ 主ヱホバはとこしへの巖なり
5 たかきに居るものを仆し そびえたる城をふせしめ 地にふせしめて塵にまじへ給へり
1204㌻
6 かくて足これをふまん 苦しむものは足にて之をふみ 貧󠄃しき者はその上をあゆまん
7 義きものの道󠄃は直からざるなし なんぢ義きものの途󠄃を直く平󠄃らかにし給ふ
8 ヱホバよ審判󠄄をおこなひたまふ道󠄃にてわれら汝をまちのぞめり われらの心はなんぢの名となんぢの記念の名とをしたふなり
9 わがこころ夜なんぢを慕ひたり わがうちなる靈あしたに汝をもとめん そは汝のさばき地におこなはるるとき世にすめるもの正義をまなぶべし
10 惡者はめぐまるれども公義をまなばず 直き地にありてなほ不義をおこなひヱホバの稜威を見ることをこのまず
11 ヱホバよなんぢの手たかく擧れどもかれら顧󠄃みず 然どなんぢが民をすくひたまふ熱心を見ばはぢをいだかん 火なんぢの敵をやきつくすべし
12 ヱホバよ汝はわれらのために平󠄃和をまうけたまはん 我儕のおこなひしことは皆なんぢの成たまへるなり
13 ヱホバわれらの神よなんぢにあらぬ他の主ども曩にわれらを治めたり 然どわれらはただ汝によりて汝の名をかたりつげん
14 かれら死たればまたいきず 亡靈となりたればまた復らず なんぢかれらを糺してこれを滅ぼし その記念の名をさへ悉くうせしめたまへり〘926㌻〙
15 ヱホバよなんぢこの國民をましたまへり此くにびとを增たまへり なんぢは尊󠄅ばれたまふ なんぢ地の界をことごとく擴めたまへり
16 ヱホバよかれら苦難のときに汝をあふぎのぞめり 彼等なんぢの懲罰にあへるとき切になんぢに禱吿せり
17 ヱホバよわれらは孕める婦󠄃のうむとき近󠄃づきてくるしみ その痛みによりて叫ぶがごとく汝のまへに然ありき
18 われらは孕みまた苦しみたれどその產るところは風ににたり われら救を地にほどこさず世にすむ者うまれいでざりき
19 なんぢの死者はいきわが民の屍はおきん 塵にふすものよ醒てうたうたふべし なんぢの露は草木をうるほす露のごとく地はなきたまをいださん
1205㌻
20 わが民よゆけ なんぢの室にいり汝のうしろの戶をとぢて忿恚のすぎゆくまで暫時かくるべし
21 視よヱホバはその處をいでて地にすむものの不義をただしたまはん 地はその上なる血をあらはにして殺されたるものをまた掩はざるべし
第27章
1 その日ヱホバは硬く大いなるつよき劍をもて 疾走るへびレビヤタン曲りうねる蛇レビヤタンを罰しまた海にある鱷をころし給ふべし
2 その日如此うたはん うるはしき葡萄園あり之をうたへよ
3 われヱホバこれを護り をりをり水そそぎ 夜も晝もまもりて害󠄅ふものあらざらしめん
4 我にいきどほりなし願はくは荊棘のわれと戰はんことを 然ばわれすすみ迎󠄃へて皆もろともに焚盡さん
5 寧ろわが力にたよりて我とやはらぎを結べ われと平󠄃和をむすぶべし
6 後にいたらばヤコブは根をはりイスラエルは芽をいだして花さきその實せかいの面にみちん
7 ヤコブ主にうたるるといへども彼をうちしものの主にうたるるが如きことあらんや ヤコブの殺さるるは彼をころししものの殺さるるが如きことあらんや
8 汝がヤコブを逐󠄃たまへる懲罰は度にかなひぬ 東風のふきし日なんぢあらき風をもてこれをうつし給へり
9 斯るがゆゑにヤコブの不義はこれによりて潔󠄄められん これに因てむすぶ果は罪をのぞくことをせん 彼は祭壇のもろもろの石を碎けたる石灰󠄃のごとくになし アシラの像と日の像とをふたゝび建ることなからしめん
10 堅固なる邑はあれてすさまじく棄去れたる家のごとく また荒野のごとし 犢このところにて草をはみ此所󠄃にてふし 且そこなる樹のえだをくらはん〘927㌻〙
11 その枝かるるとき折とらる 婦󠄃人きたりてこれを燒ん これは無知の民なるが故に之をつくれる者あはれまず これを形づくれるもの惠まざるべし
1206㌻
12 その日なんぢらイスラエルの子輩よ ヱホバは打落したる果をあつむるごとく 大河の流よりエジプトの川にいたるまでなんぢらを一つ一つにあつめたまふべし
13 その日大なるラッパ鳴ひびきアツスリヤの地にさすらひたる者 エジプトの地におひやられたる者 きたりてヱルサレムの聖󠄄山にてヱホバを拜むべし
第28章
1 醉るものなるエフライム人よなんぢらの誇の冠はわざはひなるかな 酒におぼるるものよ肥たる谷の首にある凋んとする花のうるはしき飾󠄃はわざはひなるかな
2 みよ主はひとりの力ある强剛者をもち給へり それは雹をまじへたる暴風のごとく壞りそこなふ狂風のごとく大水のあぶれ漲るごとく烈しくかれを地になげうつべし
3 醉るものなるエフライム人のほこりの冠は足にて踐にじられん
4 肥たる谷のかしらにある凋んとする花のうるはしきかざりは 夏こぬに熟したる初結の無花果のごとし 見るものこれをみて取る手おそしと呑いるるなり
5 その日萬軍のヱホバその民ののこれる者のために榮のかんむりとなり美しき冠となり給はん
6 さばきの席にざするものには審判󠄄の靈をあたへ軍を門よりおひかへす者には力をあたへ給ふべし
7 然どかれらも酒によりてよろめき濃酒によりてよろぼひたり 祭司と預言者とは濃酒によりてよろめき 酒にのまれ濃酒によりてよろぼひ 而して默示をみるときにもよろめき審判󠄄をおこなふときにも躓けり
8 すべて膳には吐たるものと穢とみちて潔󠄄きところなし
1207㌻
9 かれは誰にをしへて知識をあたへんとするか 誰にしめして音󠄃信を曉らせんとするか 乳󠄃をたち懷をはなれたる者にするならんか
10 そは誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にもすこしく敎ふ
11 このゆゑに神あだし唇と異なる舌とをもてこの民にかたりたまはん
12 曩にかれらに言たまひけるは此は安息なり疲困者にやすみをあたへよ 此は安慰なりと されど彼らは聞ことをせざりき
13 斯るがゆゑにヱホバの言かれらにくだりて 誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にも少しくをしへん 之によりて彼等すすみてうしろに仆れそこなはれ罟にかかりて捕へらるべし
〘928㌻〙
14 なんぢら此ヱルサレムにある民ををさむるところの輕慢者よヱホバの言をきけ
15 なんぢらは云り 我ら死と契󠄅約をたて陰府とちぎりをむすべり 漲りあふるる禍害󠄅のすぐるときわれらに來らじ そはわれら虛僞をもて避󠄃所󠄃となし欺詐をもて身をかくしたればなりと
16 このゆゑに神ヱホバかくいひ給ふ 視よわれシオンに一つの石をすゑてその基となせり これは試をへたる石たふとき隅石かたくすゑたる石なり これに依賴むものはあわつることなし
17 われ公平󠄃を準繩とし正義を錘とす 斯て雹はいつはりにてつくれる避󠄃所󠄃をのぞきさり水はその匿れたるところに漲りあふれん
18 汝らが死とたてし契󠄅約はきえうせ陰府とむすべるちぎりは成ことなし されば漲り溢󠄃るるわざはひのすぐるとき汝等はこれに踐たふさるべし
19 その過󠄃るごとになんぢらを捕へん 朝󠄃々にすぎ晝も夜もすぐ この音󠄃信をきき わきまふるのみにても慴きをるなり
20 その狀は床みじかくして身をのぶることあたはず 衾せまくして身をおほふこと能はざるが如し
21 そはヱホバ徃昔ペラヂムの山にて起󠄃たまひしがごとくにたち ギベオンの谷にて忿恚をはなちたまひしが如くにいきどほり 而してその所󠄃爲をおこなひ給はん 奇しき所󠄃爲なり その工を成たまはん 異なる工なり
1208㌻
22 この故になんぢら侮るなかれ 恐くはなんぢらの縲絏きびしくならん 我すでに全󠄃地のうへにさだまれる敗亡あるよしを主萬軍のヱホバより聞たればなり
23 なんぢら耳をかたぶけてわが聲をきけ懇ろにわが言をきくべし
24 農夫たねをまかんに何で日々たがへし日々その地をすき その土塊をくだくことのみを爲んや
25 もし地の面をたひらかにせばいかで罌粟をまき 馬芹の種をおろし 小麥をうねにうゑ 大麥をさだめたる處にうゑ 粗麥を畔にうゑざらんや
26 斯のごときはかれの神これに智慧󠄄をあたへて敎へたまへるなり
27 けしは連󠄃耞にてうたず 馬芹はそのうへに車輪をきしらせず罌栗をうつには杖をもちひ 馬芹をうつには棒をもちふ
28 麥をくだくか否くるまにきしらせ馬にふませて落すことはすれども斷ずしかするにあらず これを碎くことをせざるべし
29 此もまた萬軍のヱホバよりいづ その謀略はくすしくその智慧󠄄はすぐれたり〘929㌻〙
第29章
1 ああアリエルよアリエルよ ああダビデの營をかまへたる邑よ としに年をくはへ節󠄄會まはりきたらば
2 われアリエルをなやまし之にかなしみと歎息とあらしめん 彼をアリエルのごとき者となすべし
3 われ汝のまはりに營をかまへ保砦をきづきて汝をかこみ櫓をたててなんぢを攻べし
4 かくてなんぢは卑くせられ 地にふしてものいひ塵のなかより低聲をいだしてかたらん 汝のこゑは巫女のこゑのごとく地よりいで汝のことばは塵のなかより囀づるがごとし
5 然どなんぢのあだの群衆はこまやかなる塵の如く あらぶるものの群衆はふきさらるる粃糠の如くならん 俄にまたたく間にこの事あるべし
1209㌻
6 萬軍のヱホバはいかづち 地震 おほごゑ 暴風 つむじかぜ及びやきつくす火の燄をもて臨みたまふべし
7 斯てアリエルを攻てたたかふ國々のもろもろ アリエルとその城とをせめたたかひて難ますものは みな夢のごとく夜のまぼろしの如くならん
8 饑たるものの食󠄃ふことを夢みて醒きたればその心なほ空󠄃しきがごとく 渇けるものの飮ことを夢みて醒きたれば疲れかつ頻にのまんことを欲するがごとく シオンの山をせめて戰ふくにぐにの群衆もまた然あらん
9 なんぢらためらへ而しておどろかん なんぢら放肆にせよ而して目くらまん かれらは醉りされど酒のゆゑにあらず かれらはよろめけりされど濃酒のゆゑにあらず
10 そはヱホバ酣睡の靈をなんぢらの上にそそぎ 而してなんぢらの目をとぢ なんぢらの面をおほひたまへり その目は預言者そのかほは先知者なり
11 かかるが故にすべての默示はなんぢらには封じたる書のことばのごとくなり 文字しれる人にわたして請󠄃これを讀といはんに答へて封じたるがゆゑによむこと能はずといはん
12 また文字しらぬ人にわたして請󠄃これをよめといはんにこたへて文字しらざるなりといはん
13 主いひ給はく この民は口をもて我にちかづき口唇をもてわれを敬へども その心はわれに遠󠄄かれり そのわれを畏みおそるるは人の誡命によりてをしへられしのみ
14 この故にわれこの民のなかにて再びくすしき事をおこなはん そのわざは奇しくしていとあやし かれらの中なる智者のちゑはうせ聰明者のさときはかくれん
15 己がはかりごとをヱホバに深くかくさんとする者はわざはひなるかな 暗󠄃中にありて事をおこなひていふ 誰かわれを見んや たれか我をしらんやと〘930㌻〙
16 なんぢらは曲れり いかで陶工をみて土塊のごとくおもふ可んや 造󠄃られし者おのれを作れるものをさして我をつくれるにあらずといふをえんや 形づくられたる器はかたちづくりし者をさして智慧󠄄なしといふを得んや
1210㌻
17 暫くしてレバノンはかはりて良田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたるならずや
18 その日聾者はこの書のことばをきき盲者の目はくらきより闇よりみることを得べし
19 謙󠄃だるものはヱホバによりてその歡喜をまし 人のなかの貧󠄃きものはイスラエルの聖󠄄者によりて快樂をうべし
20 暴るものはたえ 侮慢者はうせ 邪曲の機をうかがふ者はことごとく斷滅さるべければなり
21 かれらは訟をきく時まげて人をつみし 邑門にていさむるものを謀略におとしいれ 虛しき語をかまへて義人をしりぞく
22 この故にむかしアブラハムを贖ひたまひしヱホバはヤコブの家につきて如此いひたまふ ヤコブは今より恥をかうむらず その面はいまより色をうしなはず
23 かれの子孫はその中にわがおこなふ手のわざをみん その時わが名を聖󠄄としヤコブの聖󠄄者を聖󠄄としてイスラエルの神をおそるべし
24 心あやまれるものも知識をえ つぶやけるものも敎誨をまなばん
第30章
1 ヱホバのたまはく 悖るる子輩はわざはひなるかな かれら謀略をすれども我によりてせず 盟をむすべどもわが靈にしたがはず ますます罪につみをくはへん
2 かれらわが口にとはずしてエジプトに下りゆきパロの力をかりておのれを强くしエジプトの蔭によらん
3 パロのちからは反てなんぢらの恥となり エジプトの蔭によるは反てなんぢらの辱かしめとなるべし
4 かれの君たちはゾアンにあり かれの使者たちはハネスにきたれり
1211㌻
5 かれらは皆おのれを益することあたはざる民によりて恥をいだく かの民はたすけとならず益とならず かへりて恥となり謗となれり
6 南のかたの牲畜にかかる重負󠄅のよげん 曰く
かれらその財貨を若き驢馬のかたにおはせ その寳物を駱駝の背におはせて 牝獅 牡獅 まむし及びとびかける蛇のいづる苦しみと艱難との國をすぎて 己をえきすること能はざる民にゆかん
7 そのエジプトの助はいたづらにして虛し このゆゑに我はこれを休みをるラハブとよべり
8 いま徃てこれをその前󠄃にて牌にしるし書にのせ 後の世に傳へてとこしへに證とすべし〘931㌻〙
9 これは悖れる民いつはりをいふ子輩ヱホバの律法をきくことをせざる子輩なり
10 かれら見るものに對ひていふ見るなかれと 默示をうる者にむかひていふ直きことを示すなかれ 滑かなることをかたれ虛僞をしめせ
11 なんぢら大道󠄃をさり逕をはなれ われらが前󠄃にイスラエルの聖󠄄者をあらしむるなかれと
12 此によりてイスラエルの聖󠄄者かくいひ給ふ なんぢらこの言をあなどり暴虐󠄃と邪曲とをたのみて之にたよれり
13 斯るがゆゑにこの不義なんぢらには凸出ておちんとするたかき垣のさけたるところのごとく その破壞にはかに暫しが間にきたらんと
14 主これを破りあだかも陶工の瓶をくだきやぶるがごとくして惜みたまはず その碎のなかに爐より火をとり池より水をくむほどの一片だに見出すことなからん
15 主ヱホバ、イスラエルの聖󠄄者かくいひたまへり なんぢら立かへりて靜かにせば救をえ 平󠄃穩にして依賴まば力をうべしと 然どなんぢらこの事をこのまざりき
16 なんぢら反ていへり 否われら馬にのりて逃󠄄走らんと この故になんぢら逃󠄄走らん 又󠄂いへりわれら疾きものに乘んと この故になんぢらを追󠄃もの疾かるべし
1212㌻
17 ひとり叱咤すれば千人にげはしり 五人しつたすればなんぢら逃󠄄走りて その遺󠄃るものは僅かに山嶺にある杆のごとく 岡のうへにある旗のごとくならん
18 ヱホバこれにより俟てのち恩惠を汝等にほどこし これにより上りてのちなんぢらを憐れみたまはん ヱホバは公平󠄃の神にましませり 凡てこれを俟望󠄇むものは福ひなり
19 シオンにをりヱルサレムにをる民よ なんぢは再びなくことあらじ そのよばはる聲に應じて必ずなんぢに惠をほどこしたまはん 主ききたまふとき直にこたへたまふべし
20 主はなんぢらになやみの糧とくるしみの水とをあたへ給はん なんぢを敎るもの再びかくれじ 汝の目はその敎るものを恒にみるべし
21 なんぢ右にゆくも左にゆくもその耳に これは道󠄃なりこれを步むべしと後邊にてかたるをきかん
22 又󠄂なんぢら白銀をおほひし刻める像 こがねをはりし鑄たる像をけがれとし 穢物のごとく打棄ていはん 去れと
23 なんぢが地にまく種に主は雨をあたへ また地になりいづる糧をたまふ その土產こえて豐かならん その日なんぢの家畜はひろき牧場に草をはむべし
24 地をたがへす牛と驢馬とは團扇にてあふぎ箕にてとほし鹽をくはへたる飼料をくらはん
25 大なる殺戮の日やぐらのたふるる時もろもろのたかき山もろもろのそびえたる嶺に河とみづの流とあるべし〘932㌻〙
26 かくてヱホバその民のきずをつつみ そのうたれたる創痍をいやしたまふ日には月のひかりは日の光のごとく日のひかりは七倍をくはへて七の日のひかりの如くならん
27 視よヱホバの名はとほき所󠄃よりきたり そのはげしき怒はもえあがる焰のごとく その唇はいきどほりにてみち その舌はやきつくす火のごとく
1213㌻
28 その氣息はみなぎりて項にまでいたる流のごとし 且ほろびの篩にてもろもろの國をふるひ又󠄂まどはす韁をもろもろの民の口におきたまはん
29 なんぢらは歌うたはん節󠄄會をまもる夜のごとし なんぢらは心によろこばん笛をならしヱホバの山にきたりイスラエルの磐につくときの如し
30 ヱホバはその稜威のこゑをきかしめ 烈しき怒をはなちて燒つくす火のほのほと暴風と大雨と雹とをもて その臂のくだることを示したまはん
31 ヱホバのこゑによりてアツスリヤ人はくじけん 主はこれを笞にてうち給ふべし
32 ヱホバの豫じめさだめたまへる杖をアツスリヤのうへにくはへたまふごとに 鼓をならし琴をひかん 主はうごきふるふ戰鬪をもてかれらとたたかひ給ふべし
33 トペテは徃古よりまうけられ また王のために備へられたり これを深くしこれを廣くしここに火とおほくの薪とをつみおきたり ヱホバの氣息これを硫黄のながれのごとくに燃さん
第31章
1 助をえんとてエジプトにくだり馬によりたのむものは禍ひなるかな 戰車おほきが故にこれにたのみ騎兵はなはだ强きがゆゑに之にたのむ されどイスラエルの聖󠄄者をあふがずヱホバを求ることをせざるなり
2 然はあれどもヱホバもまた智慧󠄄あるべし かならず禍害󠄅をくだしてその言をひるがへしたまはず 起󠄃てあしきものの家をせめ また不義を行ふ者の助をせめ給はん
3 かのエジプト人は人にして神にあらずその馬は肉にして靈にあらず ヱホバその手をのばしたまはば助くるものも蹟き たすけらるる者もたふれてみなひとしく亡びん
4 ヱホバ如此われにいひたまふ 獅のほえ壯獅の獲物をつかみてほえたけれるとき 許多のひつじかひ相呼つどひてむかひゆくとも その聲によりて挫けずその喧譁しきによりて臆せざるごとく 萬軍のヱホバくだりてシオンの山およびその岡にて戰ひ給ふべし
1214㌻
5 鳥の雛をまもるがごとく萬軍のヱホバはヱルサレムをまもりたまはん これを護りてこれをすくひ踰越てこれを援けたまはん〘933㌻〙
6 イスラエルの子輩よなんぢらさきには甚だしく主にそむけり 今たちかへるべし
7 なんぢらおのが手につくりて罪ををかしし白銀のぐうざう黄金の偶像をその日おのおのなげすてん
8 爰にアツスリヤびとは劍にてたふれん されど人のつるぎにあらず 劍かれらをほろぼさん されど世の人のつるぎにあらず かれら劍のまへより逃󠄄はしりその壯きものは役丁とならん
9 かれらの磐はおそれによりて逝󠄃去り その君たちは旗をみてくじけん こはヱホバの御言なり ヱホバの火はシオンにありヱホバの爐はヱルサレムにあり
第32章
1 茲にひとりの王あり 正義をもて統治め その君たちは公平󠄃をもて宰さどらん
2 また人ありて風のさけどころ暴雨ののがれどころとなり 旱ける地にある水のながれのごとく 倦つかれたる地にある大なる岩陰の如くならん
3 見るものの目はくらまず 聞ものの耳はかたぶけきくをうべし
4 躁がしきものの心はさとりて知識をえ 吃者の舌はすみやけくあざやかに語るをうべし
5 愚かなる者はふたゝび尊󠄅貴とよばるることなく 狡猾なる者はふたゝび大人とよばるることなかるべし
6 そは愚なるものは愚なることをかたり その心に不義をかもし邪曲をおこなひ ヱホバにむかひて妄なることをかたり 饑たる者のこころを空󠄃しくし渇けるものの飮料をつきはてしむ
7 狡猾なるものの用ゐる器はあしし 彼あしき企圖をまうけ虛僞のことばをもて苦しむ者をそこなひ 乏しき者のかたること正理なるも尙これを害󠄅へり
8 たふとき人はたふとき謀略をまうけ恒にたふとき事をおこなふ
1215㌻
9 安逸にをる婦󠄃等よおきてわが聲をきけ 思煩ひなき女等よわが言に耳を傾けよ
10 思煩ひなきをんなたちよ一年あまりの日をすぎて摺きあわてん そは葡萄の收穫むなしく果ををさむる期きたるまじければなり
11 やすらかにをる婦󠄃等よふるひおそれよ おもひわづらひなき者よをののきあわてよ 衣をぬぎ裸體になりて腰に麁服󠄃をまとへ
12 かれら良田のため實りゆたかなる葡萄の樹のために胸をうたん
13 棘と荊わが民の地にはえ 樂みの邑なるよろこびの家々にもはえん
14 そは殿はすてられ にぎはひたる邑はあれすたれ オペルと櫓とはとこしへに洞穴󠄄となり 野の驢馬のたのしむところ羊のむれの草はむところとなるべし
15 されど遂󠄅には靈うへより我儕にそそぎて 荒野はよき田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたらん〘934㌻〙
16 そのとき公平󠄃はあれのにすみ 正義はよき田にをらん
17 かくて正義のいさをは平󠄃和 せいぎのむすぶ果はとこしへの平󠄃隱とやすきなり
18 わが民はへいわの家にをり 思ひわづらひなき住󠄃所󠄃にをり 安らかなる休息所󠄃にをらん
19 されどまづ雹ふりて林くだけ邑もことごとくたふるべし
20 なんぢらもろもろの水のほとりに種をおろし 牛および驢馬の足をはなちおく者はさいはひなり
第33章
1 禍ひなるかななんぢ害󠄅はれざるに人をそこなひ 欺かれざるに人をあざむけり なんぢが害󠄅ふこと終󠄃らば汝そこなはれ なんぢが欺くことはてなば汝あざむかるべし
2 ヱホバよわれらを惠み給へわれらなんぢを俟望󠄇めり なんぢ朝󠄃ごとにわれらの臂となり また患難のときにわれらの救となりたまへ
3 なりとどろく聲によりてもろもろの民にげはしり なんぢの起󠄃たまふによりてもろもろの國はちりうせぬ
4 蟊賊のものをはみつくすがごとく人なんぢらの財をとり盡さん また蝗のとびつどふがごとく人なんぢらの財にとびつどふべし
1216㌻
5 ヱホバは最たかし高處にすみたまふなり ヱホバはシオンに公正と正義とを充せたまひたり
6 なんぢの代はかたくたち 救と智惠と知識とはゆたかにあらん ヱホバをおそるるは國の寳なり
7 視よかれらの勇士は外にありてさけび 和をもとむる使者はいたく哭く
8 大路あれすたれて旅客たえ 敵は契󠄅約をやぶり諸邑をなみし人をもののかずとせず
9 地はうれへおとろへ レバノンは恥らひて枯れ シヤロンはアラバの如くなり バシヤンとカルメルとはその葉をおとす
10 ヱホバ言給はく われ今おきん今たたん 今みづからを高くせん
11 なんぢらの孕むところは枇糠のごとく なんぢらの生ところは藁のごとし なんぢらの氣息は火となりてなんぢらを食󠄃ひつくさん
12 もろもろの民はやかれて灰󠄃のごとくなり 荊のきられて火にもやされたるが如くならん
13 なんぢら遠󠄄にあるものよ わが行ひしことをきけ なんぢら近󠄃にあるものよ わが能力をしれ
14 シオンの罪人はおそる 戰慄はよこしまなる者にのぞめり われらの中たれか燒つくす火に止ることを得んや 我儕のうち誰かとこしへに燒るなかに止るをえんや
15 義をおこなふもの直をかたるもの虐󠄃げてえたる利をいとひすつるもの手をふりて賄賂をとらざるもの 耳をふさぎて血をながす謀略をきかざるもの 目をとぢて惡をみざる者〘935㌻〙
16 かかる人はたかき處にすみ かたき磐はその櫓となり その糧はあたへられその水はともしきことなからん
17 なんぢの目はうるはしき狀なる王を見 とほくひろき國をみるべし
18 汝の心はかの懼しかりしことどもを思ひいでん 會計せし者はいづくにありや 貢をはかりし者はいづくにありや 櫓をかぞへし者はいづくにありや
1217㌻
19 汝ふたゝび暴民をみざるべし かの民の言語はふかくして悟りがたくその舌は異にして解がたし
20 われらの節󠄄會の邑シオンを見よ なんぢの目はやすらかなる居所󠄃となれるヱルサレムを見ん ヱルサレムはうつさるることなき幕屋にして その杙はとこしへにぬかれず その繩は一すぢだに斷れざるなり
21 ヱホバ我らとともに彼處にいまして稜威をあらはし給はん 斯てそのところはひろき川ひろき流あるところとなりて その中には漕舟もいらず巨󠄃艦もすぐることなかるべし
22 ヱホバはわれらを鞫きたまふもの ヱホバはわれらに律法をたてたまひし者 ヱホバはわれらの王にましまして我儕をすくひ給ふべければなり
23 なんぢの船纜はとけたり その桅杆のもとを結びかたむることあたはず 帆をあぐることあたはず その時おほくの財をわかち跛者までも掠物あらん
24 かしこに住󠄃るものの中われ病りといふ者なし彼處にをる民の咎はゆるされん
第34章
1 もろもろの國よちかづきてきけ もろもろの民よ耳をかたぶけよ 地と地にみつるもの世界とせかいより出るすべての者きけ
2 ヱホバはよろづの國にむかひて怒り そのよろづの軍にむかひて忿恚り かれらをことごとく滅し かれらを屠らしめたまふ
3 かれらは殺されて抛棄られ その屍の臭氣たちのぼり山はその血にて融されん
4 天の萬象はきえうせ もろもろの天は書卷のごとくにまかれん その萬象のおつるは葡萄の葉のおつるがごとく無花果のかれたる葉のおつるが如くならん
5 わが劍は天にてうるほひたり 視よエドムの上にくだり滅亡に定めたる民のうへにくだりて之をさばかん
6 ヱホバの劍は血にてみち脂にてこえ小羊と山羊との血 牡羊の腎のあぶらにて肥ゆ ヱホバはボズラにて牲のけものをころしエドムの地にて大にほふることをなし給へり
7 その屠場には野牛 こうし 牡牛もともに下る そのくには血にてうるほされ その塵はあぶらにて肥さるべし
〘936㌻〙
1218㌻
8 こはヱホバの仇をかへしたまふ日にしてシオンの訟のために報をなしたまふ年なり
9 エドムのもろもろの河はかはりて樹脂となり その塵はかはりて硫磺となり その土はかはりてもゆる樹脂となり
10 晝も夜もきえずその烟つくる期なく上騰らん かくて世々あれすたれ永遠󠄄までもその所󠄃をすぐる者なかるべし
11 鵜と刺猬とそこを己がものとなし鷺と鴉とそこにすまん ヱホバそのうへに亂をおこす繩をはり空󠄃虛をきたらする錘をさげ給ふべし
12 國をつぐべき者をたてんとて貴者ふたゝび呼集ることをせじ もろもろの諸侯はみな失てなくなるべし
13 その殿にはことごとく荊はえ 城にはことごとく刺草と薊とはえ 野犬のすみか駝鳥の場とならん
14 野のけものと豺狼とここにあひ 牡山羊その友をよび 鴟鴞もまた宿りてここを安所󠄃とせん
15 蛇ここに穴󠄄をつくり卵をうみてこれを孚しおのれの影の下に子をあつむ 鳶もまたその偶とともに此處にあつまらん
16 なんぢらヱホバの書をつまびらかにたづねて讀べし これらのもの一つも缺ることなく又󠄂ひとつもその偶をかくものあらじ そはヱホバの口このことを命じ その靈これらを集めたまふべければなり
17 ヱホバこれらのものに䰗をひかせ手づから繩をもて量り この地をわけあたへて永くかれらに保たしめ 世々にいたるまでここに住󠄃しめたまはん
第35章
1 荒野とうるほひなき地とはたのしみ 沙漠はよろこびて番紅の花のごとくに咲かがやかん
2 盛に咲かがやきてよろこび且よろこび且うたひ レバノンの榮をえカルメルおよびシヤロンの美しきを得ん かれらはヱホバのさかえを見われらの神のうるはしきを見るべし
1219㌻
3 なんぢら萎たる手をつよくし弱󠄃りたる膝をすこやかにせよ
4 心さわがしきものに對ていへ なんぢら雄々しかれ懼るるなかれ なんぢらの神をみよ 刑罰きたり神の報きたらん 神きたりてなんぢらを救ひたまふべし
5 そのとき瞽者の目はひらけ聾者の耳はあくことを得べし
6 そのとき跛者は鹿の如くにとびはしり啞者の舌はうたうたはん そは荒野に水わきいで沙漠に川ながるべければなり
7 やけたる沙は池となり うるほひなき地はみづの源となり 野犬のふしたるすみかは蘆葦のしげりあふ所󠄃となるべし
8 かしこに大路あり そのみちは聖󠄄道󠄃ととなへられん 穢れたるものはこれを過󠄃ることあたはず ただ主の民のために備へらる これを步むものはおろかなりとも迷󠄃ふことなし〘937㌻〙
9 かしこに獅をらず あらき獸もその路にのぼることなし 然ばそこにて之にあふ事なかるべし ただ贖はれたる者のみそこを步まん
10 ヱホバに贖ひすくはれし者うたうたひつつ歸てシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただき樂とよろこびとをえん 而して悲哀となげきとは逃󠄄さるべし
第36章
1 ヒゼキヤ王の十四年にアツスリヤの王セナケリブ上りきたりてユダのもろもろの堅固なる邑をせめとれり
2 アツスリヤ王ラキシよりラブシヤケをヱルサレムに遣󠄃はし大軍をひきゐてヒゼキヤ王のもとに徃しむ ラブシヤケ漂工の野のおほぢの傍なる上の池の樋にそひてたてり
3 この時ヒルキヤの子なる家司エリアキム 書記セブナ、アサフの子なる史官ヨア出てこれを迎󠄃ふ
4 ラブシヤケかれらにいひけるは なんぢら今ヒゼキヤにいへ大王アツスリヤの王かくいへり なんぢの恃とするその恃むところは何なるか
5 我いふ なんぢが説ところの軍のはかりごととその能力とはただ口唇のことばのみ 今なんぢ誰によりたのみて我にさかふことをなすや
6 視よなんぢエジプトに依賴めり これ傷める葦の杖によりたのめるがごとし もし人これに倚もたれなばその手をつきさされん エジプト王パロがすべて己によりたのむものに對するは斯のごとし
1220㌻
7 汝われらはわれらの神ヱホバに依賴めりと我にいはんかそは曩にヒゼキヤが高きところと祭壇とをみな取去てユダとヱルサレムとにむかひ汝等ここなる一つの祭壇のまへにて拜すべしといへる夫ならずや
8 いま請󠄃わが君アツスリヤ王に賭をせよ われ汝に二千の馬を與ふべければ汝よりこれに乘ものをいだせ 果して出しうべしや
9 然ばいかで我君のいとちひさき僕の長一人をだに退󠄃くることを得んや なんぞエジプトによりたのみて戰車と騎兵とをえんとするや
10 いま我のぼりきたりてこの國をせめほろぼすはヱホバの旨にあらざるべけんや ヱホバわれにいひたまはく のぼりゆきてこの國をせめほろぼせと
11 爰にエリアキムとセブナとヨアと共にラブシヤケにいひけるは請󠄃スリアの方言にて僕輩にかたれ我儕これをさとりうるなり石垣のうへなる民のきくところにてはユダヤの方言をもてわれらに語るなかれ
12 ラブシヤケいひけるは わが君はこれらのことをなんぢの君となんぢとにのみ語らんために我をつかはししならんや なんぢらと共におのが糞をくらひおのが溺をのまんとする石垣のうへに坐する人々にも我をつかはししならずや
〘938㌻〙
13 斯てラブシヤケたちてユダヤの方言もて大聲によばはりいひけるは なんぢら大王アツスリヤ王のことばをきくべし
14 王かくのたまへり なんぢらヒゼキヤに惑はさるるなかれ 彼なんぢらを救ふことあたはず
15 ヒゼキヤがなんぢらをヱホバに賴しめんとする言にしたがふなかれ 彼いへらく ヱホバかならず我儕をすくひこの邑はアツスリヤ王の手にわたさるることなしと
16 ヒゼキヤに聽從ふなかれ アツスリヤ王かくのたまへり なんぢらわれと親和をなし出できたりて我にくだれ おのおのその葡萄とその無花果とをくらひ おのおのその井の水をのむことを得べし
1221㌻
17 遂󠄅には我きたりて汝等をほかの國にたづさへゆかん その國はなんぢの國のごとき國にして 穀物 ぶだう酒 パンおよび葡萄園あり
18 おそらくはをヒゼキヤなんぢらに説てヱホバわれらを救ふべしといはん 然どももろもろの國の神等のなかにその國をアツスリヤ王の手より救へる者ありしや
19 ハマテ、アルバデの神等いづこにありや セバルワイムの神等いづこにありや 又󠄂わが手よりサマリヤを救出しし神ありや
20 これらの國のもろもろの神のなかに誰かその國をわが手よりすくひいだしし者ありや さればヱホバも何でわが手よりヱルサレムを救ひいだし得んと
21 如此ありければ民は默して一言をもこたへざりき そは之にこたふるなかれとの王のおほせありつればなり
22 そのときヒルキヤの子なる家司エリアキム書記セブナおよびアサフの子なる史官ヨアころもを裂てヒゼキヤにゆき之にラブシヤケの言をつげたり
第37章
1 ヒゼキヤ王これをききてその衣をさき麁衣をまとひてヱホバの家にゆき
2 家司エリアキム書記セブナおよび祭司のなかの長老等をして皆あらたへをまとはせてアモツの子預言者イザヤのもとにゆかしむ
3 かれらイザヤにいひけるは ヒゼキヤ如此いへり けふは患難と責と辱かしめの日なり そは子うまれんとして之をうみいだすの力なし
4 なんぢの神ヱホバあるひはラブシヤケがもろもろの言をききたまはん 彼はその君アツスリヤ王につかはされて活る神をそしれり なんぢの神ヱホバその言をききて或はせめたまふならん されば請󠄃なんぢこの遺󠄃れるもののために祈禱をささげよと
〘939㌻〙
5 かくてヒゼキヤ王の諸僕イザヤにいたる
6 イザヤかれらに言けるは なんぢらの君につげよ ヱホバ斯いひたまへり曰く アツスリヤ王のしもべら我をののしりけがせり なんぢらその聞しことばによりて懼るるなかれ
1222㌻
7 視よわれかれが意󠄃をうごかすべければ 一つの風聲をききておのが國にかへらん かれをその國にて劍にたふれしむべし
8 爰にラブシヤケはアツスリヤ王がラキシを離れさりしとききて歸りけるとき際しも王はリブナを攻をれり
9 このときエテオピアの王テルハカの事についてきけり云く かれいでて汝とたたかふべしと このことをききて使者をヒゼキヤに遣󠄃していふ
10 なんぢらユダの王ヒゼキヤにつげて如此いへ なんぢが賴める神なんぢを欺きてヱルサレムはアツスリヤ王の手にわたされじといふを聽ことなかれ
11 視よアツスリヤの王等もろもろの國にいかなることをおこなひ如何してこれを悉くほろぼししかを汝ききしならん されば汝すくはるることを得んや
12 わが先祖たちの滅ぼししゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルなるエデンの族など此等のくにぐにの神はその國をすくひたりしや
13 ハマテの王アルバデの王セバルワイムの都の王ヘナの王およびイワの王はいづこにありやと
14 ヒゼキヤつかひの手より書をうけて之を讀り しかしてヒゼキヤ、ヱホバの宮にのぼりゆきヱホバの前󠄃にこのふみを展ぶ
15 ヒゼキヤ、ヱホバに祈ていひけるは
16 ケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバ、イスラエルの神よ ただ汝のみ地のうへなるよろづの國の神なり なんぢは天地をつくりたまへり
17 ヱホバよ耳をかたむけて聽たまへ ヱホバよ目をひらきて視たまへ セナケリブ使者して活る神をそしらしめし言をことごとくききたまへ
18 ヱホバよ實にアツスリヤの王等はもろもろの國民とその地とをあらし毀ち
19 かれらの神たちを火になげいれたり これらのものは神にあらず 人の手の工にして あるひは木あるひは石なり 斯るがゆゑに滅ぼされたり
1223㌻
20 さればわれらの神ヱホバよ 今われらをアツスリヤ王の手より救ひいだして 地のもろもろの國にただ汝のみヱホバなることを知しめたまへ
21 ここにアモツの子イザヤ人をつかはしてヒゼキヤにいはせけるは イスラエルの神ヱホバかくいひたまふ 汝はアツスリヤ王セナケリブのことにつきて我にいのれり〘940㌻〙
22 ヱホバが彼のことにつきて語り給へるみことばは是なり いはくシオンの處女はなんぢを侮りなんぢをあざけり ヱルサレムの女子はなんぢの背後より頭をふれり
23 汝がそしりかつ罵れるものは誰ぞ なんぢが聲をあげ目をたかく向てさからひたるものはたれぞ イスラエルの聖󠄄者ならずや
24 なんぢその使者によりて主をそしりていふ 我はおほくの戰車をひきゐて山々のいただきに登りレバノンの奧にまでいりぬ 我はたけたかき香柏とうるはしき松樹とをきり またその境なるたかき處にゆき腴たる地の林にゆかん
25 我は井をほりて水をのみたり われは足跖をもてエジプトの河々をからさんと
26 なんぢ聞ずや これらのことはわが昔よりなす所󠄃 いにしへの日よりさだめし所󠄃なり 今なんぢがこの堅城をこぼちあらして石堆となすも亦わがきたらしし所󠄃なり
27 そのなかの民はちから弱󠄃くをののきて恥をいだき 野草のごとく靑き菜のごとく屋蓋の草のごとく未だそだたざる苗のごとし
28 我なんぢが居ること出入すること又󠄂われにむかひて怒りさけべることをしる
29 なんぢが我にむかひて怒りさけべると汝がほこれる言とわが耳にいりたれば我なんぢの鼻に環をはめ汝のくちびるに鑣をつけて汝がきたれる路よりかへらしめん
30 ヒゼキヤよ我がなんぢにたまふ徴はこれなり なんぢら今年は落穗より生たるものを食󠄃ひ 明年は糵生より出たるものを食󠄃はん 三年にあたりては種ことをなし收ことをなし 葡萄ぞのを作りてその果を食󠄃ふべし
31 ユダの家ののがれて遺󠄃れる者はふたゝび下は根をはり上は果を結ぶべし
1224㌻
32 そは遺󠄃るものはヱルサレムよりいで脱るるものはシオンの山よりいづるなり 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし
33 この故にヱホバ、アツスリヤの王については如此いひたまふ 彼はこの城にいらず ここに箭をはなたず盾を城のまへにならべず 壘をきづきて攻ることなし
34 かれはそのきたりし道󠄃よりかへりてこの城にいらず
35 我おのれの故によりて僕ダビデの故によりて この城をまもり この城をすくはん これヱホバ宣給るなり
36 ヱホバの使者いできたりアツスリヤの陣營のなかにて十八萬五千人をうちころせり早晨におきいでて見ればみな死てかばねとなれり
37 アツスリヤ王セナケリブ起󠄃てかへりゆきニネベにとゞまる
38 一日おのが神ニスロクのみやにて禮拜をなし居しにその子アデランメレクとシヤレゼルと劍をもて彼をころし而してアララテの地ににげゆけり かれが子エサルハドンつぎて王となりぬ〘941㌻〙
第38章
1 そのころヒゼキヤやみて死んとせしにアモツの子預言者イザヤきたりて彼にいふ ヱホバ如此いひたまはく なんぢ家に遺󠄃言をとどめよ 汝しにて活ることあたはざればなり
2 爰にヒゼキヤ面を壁にむけてヱホバに祈りいひけるは
3 ああヱホバよ 願くはわがなんぢの前󠄃に眞實をもて一心をもてあゆみ なんぢの目によきことを行ひたるをおもひいでたまへ 斯てヒゼキヤ甚くなきぬ
4 ヱホバの言イザヤにのぞみて曰く
5 なんぢ徃てヒゼキヤにいへ なんぢの祖ダビデの神ヱホバかくいひ給はく 我なんぢの禱吿をききなんぢの淚をみたり 我なんぢの齡を十五年ましくはへ
6 且なんぢとこの城とを救ひてアツスリヤわうの手をのがれしめん又󠄂われこの城をまもるべし
7 ヱホバ語りたまひたる此事を成たまふ證にこの徴をなんぢに賜ふ
8 視よわれアハズの日晷にすすみたる日影を十度しりぞかしめんといひければ乃ちひばかりにすすみたる日影十度しりぞきぬ
1225㌻
9 ユダの王ヒゼキヤ病にかかりてその病のいえしのち記しし書は左のごとし
10 我いへり わが齡ひの全󠄃盛のとき陰府の門にいりわが餘年をうしなはんと
11 我いへり われ再びヱホバを見奉ることあらじ再びいけるものの地にてヱホバを見奉ることあらじ われは無ものの中にいりてふたゝび人を見ることあらじ
12 わが住󠄃所󠄃はうつされて牧人の幕屋をとりさるごとくに我をはなる わがいのちは織工の布をまきをはりて機より翦はなすごとくならん なんぢ朝󠄃夕のあひだに我をたえしめたまはん
13 われは天明におよぶまで己をおさへてしづめたり 主は獅のごとくに我もろもろの骨を碎きたまふ なんぢ朝󠄃夕の間にわれを絕しめたまはん
14 われは燕のごとく鶴のごとくに哀みなき鳩のごとくにうめき わが眼はうへを視ておとろふ ヱホバよわれは迫󠄃りくるしめらる 願くはわが中保となりたまへ
15 主はわれとものいひ且そのごとくみづから成たまへり われ何をいふべきか わが世にある間わが靈魂の苦しめる故によりて愼みてゆかん
16 主よこれらの事によりて人は活るなり わが靈魂のいのちも全󠄃くこれらの事によるなり 願くはわれを醫しわれを活したまへ
17 視よわれに甚しき艱苦をあたへたまへるは我に平󠄃安をえしめんがためなり 汝わがたましひを愛して滅亡の穴󠄄をまぬかれしめ給へり そはわが罪をことごとく背後にすてたまへり〘942㌻〙
18 陰府はなんぢに感謝せず 死はなんぢを讃美せず 墓にくだる者はなんぢの誠實をのぞまず
19 唯いけるもののみ活るものこそ汝にかんしやするなれ わが今日かんしやするが如し 父󠄃はなんぢの誠實をその子にしらしめん
20 ヱホバ我を救ひたまはん われら世にあらんかぎりヱホバのいへにて琴をひきわが歌をうたはん
1226㌻
21 イザヤいへらく無花果の一團をとりきたりて腫物のうへにつけよ 王かならずいえん
22 ヒゼキヤも亦いへらく わがヱホバの家にのぼることにつきては何の兆あらんか
第39章
1 そのころバラダンの子バビロン王メロダクバラダン、ヒゼキヤが病をうれへて愈しことをききければ書と禮物とをおくれり
2 ヒゼキヤその使者のきたるによりて喜びこれに財物 金銀 香料 たふとき油ををさめたる家およびすべての軍器ををさめたる家また庫のなかなる物をことごとく見す おほよそヒゼキヤのいへの裏にあるものと全󠄃國のうちにあるものと 見せざるものは一もあらざりき
3 ここに預言者イザヤ、ヒゼキヤ王のもとに來りていひけるは この人々はなにをいひしや何處よりなんぢのもとに來りしや ヒゼキヤ曰けるは かれらはとほき國よりバビロンより我にきたれり
4 イザヤいふ 彼等はなんぢの家にてなにを見たりしや ヒゼキヤ答ふ かれらはわが家にあるものを皆みたり又󠄂わが庫のなかにあるものは一つをもかれらに見せざるものなかりき
5 イザヤ、ヒゼキヤにいふ なんぢ萬軍のヱホバの言をきけ
6 みよ日きたらん なんぢの家のものなんぢの列祖がけふまで蓄へたるものは皆バビロンにたづさへゆかれて遺󠄃るもの一もなかるべし 是はヱホバのみことばなり
7 なんぢの身より生れいでん者もとらはれ寺人とせられてバビロン王の宮のうちにあらん
8 ヒゼキヤ、イザヤにいひけるは 汝がかたるヱホバのみことばは善し また云 わが世にあるほどは太平󠄃と眞理とあるべしと
第40章
1 なんぢらの神いひたまはく なぐさめよ汝等わが民をなぐさめよ
2 懇ろにヱルサレムに語り之によばはり吿よ その服󠄃役の期すでに終󠄃り その咎すでに赦されたり そのもろもろの罪によりてヱホバの手よりうけしところは倍したりと
1227㌻
3 よばはるものの聲きこゆ云く なんぢら野にてヱホバの途󠄃をそなへ沙漠にわれらの神の大路をなほくせよと〘943㌻〙
4 もろもろの谷はたかくもろもろの山と岡とはひくくせられ 曲りたるはなほく崎嶇はたひらかにせらるべし
5 斯てヱホバの榮光あらはれ人みな共にこれを見ん こはヱホバの口より語りたまへるなり
6 聲きこゆ云く よばはれ答へていふ何とよばはるべきか いはく人はみな草なり その榮華はすべて野の花のごとし
7 草はかれ花はしぼむ ヱホバの息そのうへに吹ければなり 實に民はくさなり
8 草はかれ花はしぼむ 然どわれらの神のことばは永遠󠄄にたたん
9 よき音󠄃信をシオンにつたふる者よ なんぢ高山にのぼれ 嘉おとづれをヱルサレムにつたふる者よ なんぢ强く聲をあげよ こゑを揚ておそるるなかれ ユダのもろもろの邑につけよ なんぢらの神きたり給へりと
10 みよ主ヱホバ能力をもちて來りたまはん その臂は統治めたまはん 賞賜はその手にあり はたらきの値はその前󠄃にあり
11 主は牧者のごとくその群をやしなひ その臂にて小羊をいだき之をその懷中にいれてたづさへ乳󠄃をふくまする者をやはらかに導󠄃きたまはん
12 たれか掌心をもてもろもろの水をはかり指をのばして天をはかり また地の塵を量器にもり天秤をもてもろもろの山をはかり權衡をもてもろもろの岡をはかりしや
13 誰かヱホバの靈をみちびきその議士となりて敎しや
14 ヱホバは誰とともに議りたまひしや たれかヱホバを聰くしこれに公平󠄃の道󠄃をまなばせ知識をあたへ明通󠄃のみちを示したりしや
15 視よもろもろの國民は桶のひとしづくのごとく 權衡のちりのごとくに思ひたまふ島々はたちのぼる塵埃のごとし
1228㌻
16 レバノンは柴にたらずそのなかの獸は燔祭にたらず
17 ヱホバの前󠄃にはもろもろの國民みななきにひとし ヱホバはかれらを無もののごとく空󠄃きもののごとく思ひたまふ
18 然ばなんぢら誰をもて神にくらべ いかなる肖像をもて神にたぐふか
19 偶像はたくみ鑄てつくり 金工こがねをもて之をおほひ白銀をもて之がために鏈をつくれり
20 かかる寳物をそなへえざる貧󠄃しきものは朽まじき木をえらみ良匠をもとめてうごくことなき像をたたしむ
21 なんぢら知ざるか なんぢら聞ざるか 始よりなんぢらに傳へざりしか なんぢらは地の基をおきしときより悟らざりしか
22 ヱホバは地のはるか上にすわり地にすむものを蝗のごとく視たまふ おほぞらを薄絹のごとく布き これを住󠄃ふべき幕屋のごとくはり給ふ〘944㌻〙
23 又󠄂もろもろの君をなくならしめ地の審士をむなしくせしむ
24 かれらは僅かに植られ僅かに播れ その幹わづかに地に根ざししに 神そのうへを吹たまへば即ちかれて藁のごとく暴風にまきさらるべし
25 聖󠄄者いひ給はく さらばなんぢら誰をもて我にくらべ我にたぐふか
26 なんぢら眼をあげて高をみよ たれか此等のものを創造󠄃せしやをおもへ 主は數をしらべてその萬象をひきいだしおのおのの名をよびたまふ 主のいきほひ大なり その力のつよきがゆゑに一も缺ることなし
27 ヤコブよなんぢ何故にわが途󠄃はヱホバにかくれたりといふや イスラエルよ汝なにゆゑにわが訟はわが神の前󠄃をすぎされりとかたるや
28 汝しらざるか聞ざるかヱホバはとこしへの神地のはての創造󠄃者にして倦たまふことなく また疲れたまふことなく その聰明こと測りがたし
29 疲れたるものには力をあたへ勢力なきものには强きをまし加へたまふ
30 年少きものもつかれてうみ壯んなるものも衰へおとろふ
31 然はあれどヱホバを俟望󠄇むものは新なる力をえん また鷲のごとく翼をはりてのぼらん 走れどもつかれず步めども倦ざるべし
1229㌻
第41章
1 もろもろの島よわがまへに默せ もろもろの民よあらたなる力をえて近󠄃づききたれ 而して語れ われら寄集ひて諭らはん
2 たれか東より人をおこししや われは公義をもて之をわが足下に召し その前󠄃にもろもろの國を服󠄃せしめ また之にもろもろの王ををさめしめ かれらの劍をちりのごとくかれらの弓をふきさらるる藁のごとくならしむ
3 斯て彼はこれらのものを追󠄃 その足いまだ行ざる道󠄃をやすらかに過󠄃ゆけり
4 このことは誰がおこなひしや たが成しや たが太初より世々の人をよびいだししや われヱホバなり 我ははじめなり終󠄃なり
5 もろもろの島はこれを見ておそれ地の極はをののきて寄集ひきたれり
6 かれら互にその隣をたすけ その兄弟にいひけるは なんぢ雄々しかれ
7 木匠は鐵工をはげまし鎚をもて平󠄃らぐるものは鐵碪をうつものを勵ましていふ 接合せいとよしと また釘をもて堅うして搖くことなからしむ
8 然どわが僕イスラエルよ わが選󠄄めるヤコブわが友アブラハムの裔よ
9 われ地のはてより汝をたづさへきたり地のはしよりなんぢを召 かくて汝にいへり 汝はわが僕われ汝をえらみて棄ざりきと〘945㌻〙
10 おそるるなかれ 我なんぢとともにあり 驚くなかれ我なんぢの神なり われなんぢを强くせん 誠になんぢを助けん 誠にわがただしき右手なんぢを支へん
11 視よなんぢにむかひて怒るものはみな恥をえて惶てふためかん なんぢと爭ふものは無もののごとくなりて滅亡せん
12 なんぢ尋󠄃ぬるとも汝とたたかふ人々にあはざるべし 汝といくさする者はなきものの如くなりて虛しくなるべし
13 そは我ヱホバなんぢの神はなんぢの右手をとりて汝にいふ 懼るるなかれ我なんぢを助けんと
1230㌻
14 またヱホバ宣給ふ なんぢ虫にひとしきヤコブよイスラエルの人よ おそるるなかれ我なんぢをたすけん汝をあがなふものはイスラエルの聖󠄄者なり
15 視よわれ汝をおほくの鋭齒ある新しき打麥の器となさん なんぢ山をうちて細微にし岡を粃糠のごとくにすべし
16 なんぢ簸げば風これを卷さり 狂風これを吹ちらさん 汝はヱホバによりて喜びイスラエルの聖󠄄者によりて誇らん
17 貧󠄃しきものと乏しきものと水を求めて水なくその舌かわきて衰ふるとき われヱホバ聽てこたへん 我イスラエルの神かれらを棄ざるなり
18 われ河をかぶろの山にひらき泉を谷のなかにいだし また荒野を池となし乾ける地を水の源と變ん
19 我あれのに香柏 合歎樹 もちの樹 および油の樹をうゑ沙漠に松 杉 及び黄楊をともに置ん
20 かくて彼等これを見てヱホバの手の作たまふところイスラエルの聖󠄄者の造󠄃り給ふ所󠄃なるをしり且こころをとめ且ともどもにさとらん
21 ヱホバ言給く なんぢらの道󠄃理をとり出せ ヤコブの王いひたまはく 汝等のかたき證をもちきたれ
22 これを持來りてわれらに後ならんとする事をしめせ そのいやさきに成るべきことを示せ われら心をとめてその終󠄃をしらん 或はきたらんとする事をわれらに聞すべし
23 なんぢら後ならんとすることをしめせ我儕なんぢらが神なることを知らん なんぢら或はさいはひし或はわざはひせよ 我儕ともに見ておどろかん
24 視よなんぢらは無もののごとし なんぢらの事はむなし なんぢらを撰ぶものは憎むべきものなり
25 われ一人を起󠄃して北よりきたらせ我が名をよぶものを東よりきたらしむ 彼きたりもろもろの長をふみて泥のごとくにし陶工のつちくれを踐がごとくにせん
26 たれか初よりこれらの事をわれらに吿てしらしめたりや たれか上古よりわれらに吿てこは是なりといはしめたりや 一人だに吿るものなし一人だに聞するものなし 一人だになんぢらの言をきくものなし〘946㌻〙
1231㌻
27 われ豫じめシオンにいはん なんぢ視よ かれらを見よと われ又󠄂よきおとづれを吿るものをヱルサレムに予へん
28 われ見るに一人だになし かれらのなかに謀略をまうくるもの一人だになし 我かれらに問どこたふるもの一人だになし
29 かれらの爲はみな徒然にして無もののごとし その偶像は風なりまた空󠄃しきなり
第42章
1 わが扶くるわが僕わが心よろこぶわが撰人をみよ 我わが靈をかれにあたへたり かれ異邦人に道󠄃をしめすべし
2 かれは叫ぶことなく聲をあぐることなくその聲を街頭にきこえしめず
3 また傷める蘆ををることなくほのくらき燈火をけすことなく 眞理をもて道󠄃をしめさん
4 かれは衰へず喪膽せずして道󠄃を地にたてをはらん もろもろの島はその法言をまちのぞむべし
5 天をつくりてこれをのべ 地とそのうへの產物とをひらき そのうへの民に息をあたへ その中をあゆむものに靈をあたへたまふ神ヱホバかく言給ふ
6 云くわれヱホバ公義をもてなんぢを召たり われなんぢの手をとり汝をまもり なんぢを民の契󠄅約とし異邦人のひかりとなし
7 而して瞽の目を開き俘囚を獄よりいだし 暗󠄃にすめるものを檻のうちより出さしめん
8 われはヱホバなり是わが名なり 我はわが榮光をほかの者にあたへず わがほまれを偶像にあたへざるなり
9 さきに預言せるところはや成れり 我また新しきことをつげん 事いまだ兆さざるさきに我まづなんぢらに聞せんと
1232㌻
10 海にうかぶもの 海のなかに充るもの もろもろの島およびその民よ ヱホバにむかひて新しき歌をうたひ 地の極よりその頌美をたたへまつれ
11 荒野とその中のもろもろの邑とケダル人のすめるもろもろの村里はこゑをあげよ セラの民はうたひて山のいただきよりよばはれ
12 榮光をヱホバにかうぶらせ その頌美をもろもろの島にて語りつげよ
13 ヱホバ勇士のごとく出たまふ また戰士のごとく熱心をおこし 聲をあげてよばはり大能をあらはして仇をせめ給はん
14 われ久しく聲をいださず默して己をおさへたり 今われ子をうまんとする婦󠄃人のごとく叫ばん 我いきづかしくかつ喘がん
15 われ山と岡とをあらし且すべてその上の木草をからし もろもろの河を島としもろもろの池を涸さん
16 われ瞽者をその未だしらざる大路にゆかしめ その未だしらざる徑をふましめ 暗󠄃をその前󠄃に光となし 曲れるをその前󠄃になほくすべし 我これらの事をおこなひて彼らをすてじ〘947㌻〙
17 刻みたる偶像にたのみ鑄たる偶像にむかひて汝等はわれらの神なりといふものは退󠄃けられて大に恥をうけん
18 聾者よきけ 瞽者よ眼をそそぎてみよ
19 瞽者はたれぞ わが僕にあらずや 誰かわがつかはせる使者の如き瞽者あらんや 誰かわが友の如きめしひあらんや 誰かヱホバの僕のごときめしひあらんや
20 汝おほくのことを見れども顧󠄃みず 耳をひらけども聞ざるなり
21 ヱホバおのれ義なるがゆゑに大にしてたふとき律法をたまふをよろこび給へり
22 然るにこの民はかすめられ奪はれて みな穴󠄄中にとらはれ獄のなかに閉こめらる 斯てその掠めらるるを助くる者なく その奪はれたるを償へといふ者なし
23 なんぢらのうち誰かこのことに耳をかたぶけん たれか心をもちゐて後のために之をきかん
24 ヤコブを奪はせしものは誰ぞ かすむる者にイスラエルをわたしし者はたれぞ 是ヱホバにあらずや われらヱホバに罪ををかし その道󠄃をあゆまず その律法にしたがふことを好まざりき
1233㌻
25 この故にヱホバ烈しき怒をかたぶけ 猛きいくさをきたらせ その烈しきこと火の如く四圍にもゆれども彼しらず その身に焚せまれども心におかざりき
第43章
1 ヤコブよなんぢを創造󠄃せるヱホバいま如此いひ給ふ イスラエルよ汝をつくれるもの今かく言給ふ おそるるなかれ我なんぢを贖へり 我なんぢの名をよべり汝はわが有なり
2 なんぢ水中をすぐるときは我ともにあらん河のなかを過󠄃るときは水なんぢの上にあふれじ なんぢ火中をゆくとき焚るることなく火焰もまた燃つかじ
3 我はヱホバなんぢの神イスラエルの聖󠄄者 なんぢの救主なり われエジプトを予えてなんぢの贖代となし エテオピアとセバとをなんぢに代ふ
4 われ看てなんぢを寶とし尊󠄅きものとして亦なんぢを愛す この故にわれ人をもてなんぢにかへ 民をなんぢの命にかへん
5 懼るるなかれ我なんぢとともにあり 我なんぢの裔を東よりきたらせ西より汝をあつむべし
6 われ北にむかひて釋せといひ南にむかひて留るなかれといはん わが子輩を遠󠄄きよりきたらせ わが女らを地の極よりきたらせよ
7 すべてわが名をもて稱へらるる者をきたらせよ 我かれらをわが榮光のために創造󠄃せり われ曩にこれを造󠄃りかつ成をはれり
〘948㌻〙
8 目あれども瞽者のごとく耳あれど聾者のごとき民をたづさへ出よ
9 國々はみな相集ひもろもろの民はあつまるべし 彼等のうち誰かいやさきに成るべきことをつげ之をわれらに聞することを得んや その證人をいだして己の是なるをあらはすべし 彼等ききて此はまことなりといはん
10 ヱホバ宣給くなんぢらはわが證人わがえらみし僕なり 然ばなんぢら知てわれを信じわが主なるをさとりうべし 我よりまへにつくられし神なく我よりのちにもあることなからん
1234㌻
11 ただ我のみ我はヱホバなり われの外にすくふ者あることなし
12 われ前󠄃につげまた救をほどこし また此事をきかせたり 汝等のうちには他神なかりき なんぢらはわが證人なり 我は神なり これヱホバ宣給るなり
13 今よりわれは主なりわが手より救ひいだし得るものなし われ行はば誰かとどむることを得んや
14 なんぢらを贖ふものイスラエルの聖󠄄者ヱホバかく言たまふ なんぢらの爲にわれ人をバビロンにつかはし彼處にあるカルデヤ人をことごとく下らせ その宴樂の船にのりてのがれしむ
15 われはヱホバなんぢらの聖󠄄者イスラエルを創造󠄃せしもの又󠄂なんぢらの王なり
16 ヱホバは海のなかに大路をまうけ大なる水のなかに徑をつくり
17 戰車および馬 軍兵 武士をいできたらせ ことごとく仆れて起󠄃ることあたはず 皆ほろびて燈火のきえうするが如くならしめ給へり
18 ヱホバ言給く なんぢら徃昔のことを思ひいづるなかれ また上古のことをかんがふるなかれ
19 視よわれ新しき事をなさん頓ておこるべし なんぢら知ざるべけんや われ荒野に道󠄃をまうけ沙漠に河をつくらん
20 野の獸われを崇むべし 野犬および駝鳥もまた然り われ水を荒野にいだし河を沙漠にまうけてわが民わがえらびたる者にのましむべければなり
21 この民はわが頌美をのべしめんとて我おのれのために造󠄃れるなり
22 然るにヤコブよ汝われを呼たのまざりき イスラエルよ汝われを厭ひたり
23 なんぢ燔祭のひつじを我にもちきたらず犧牲をもて我をあがめざりき われ汝にそなへものの荷をおはせざりき また乳󠄃香をもて汝をわづらはせざりき
1235㌻
24 なんぢは銀貨をもて我がために菖蒲をかはず 犧牲のあぶらをもて我をあかしめず 反てなんぢの罪の荷をわれに負󠄅せ なんぢの邪曲にて我をわづらはせたり
25 われこそ我みづからの故によりてなんぢの咎をけし汝のつみを心にとめざるなれ
26 なんぢその是なるをあらはさんがために己が事をのべて我に記念せしめよ われら相共にあげつらふべし〘949㌻〙
27 なんぢの遠󠄄祖つみををかし汝のをしへの師われにそむけり
28 この故にわれ聖󠄄所󠄃の長たちを汚さしめヤコブを詛はしめイスラエルをののしらしめん
第44章
1 されどわが僕ヤコブよわが撰みたるイスラエルよ今きけ
2 なんぢを創造󠄃し なんぢを胎內につくり又󠄂なんぢを助くるヱホバ如此いひたまふ わがしもベヤコブよわが撰みたるヱシュルンよおそるるなかれ
3 われ渇けるものに水をそそぎ乾たる地に流をそそぎ わが靈をなんぢの子輩にそそぎ わが恩惠をなんぢの裔にあたふべければなり
4 斯てかれらは草のなかにて川のほとりの柳のごとく生そだつべし
5 ある人はいふ我はヱホバのものなりと ある人はヤコブの名をとなへん ある人はヱホバの有なりと手にしるしてイスラエルの名をなのらん
6 ヱホバ、イスラエルの王イスラエルをあがなふもの萬軍のヱホバ如此いひたまふ われは始なりわれは終󠄃なり われの外に神あることなし
7 我いにしへの民をまうけしより以來 たれかわれのごとく後事をしめし又󠄂つげ又󠄂わが前󠄃にいひつらねんや 試みに成んとすること來らんとすることを吿よ
8 なんぢら懼るるなかれ慴くなかれ 我いにしへより聞せたるにあらずや吿しにあらずや なんぢらはわが證人なり われのほか神あらんや 我のほかには磐あらず われその一つだに知ことなし
1236㌻
9 偶像をつくる者はみな空󠄃しく かれらが慕ふところのものは益なし その證を見るものは見ことなく知ことなし 斯るがゆゑに恥をうくべし
10 たれか神をつくり又󠄂えきなき偶像を鑄たりしや
11 視よその伴󠄃侶はみなはぢん その匠工らは人なり かれら皆あつまりて立ときはおそれてもろともに恥るなるべし
12 鐵匠は斧をつくるに炭の火をもてこれをやき鎚もてこれを鍛へつよき碗をもてこれをうちかたむ 饑れば力おとろへ水をのまざればつかれはつべし
13 木匠はすみなはをひきはり朱にてゑがき鐁にてけづり文回をもて畫き 之を人の形にかたどり人の美しき容にしたがひて造󠄃り 而して家のうちに安置す
14 あるひは香柏をきりあるひは槲をとり あるひは橿をとり 或ははやしの樹のなかにて一をえらび あるひは杉をうゑ雨をえて長たしむ
15 而して人これを薪となし之をもておのが身をあたため又󠄂これを燃してパンをやき又󠄂これを神につくりてをがみ偶像につくりてその前󠄃にひれふす〘950㌻〙
16 その半󠄃は火にもやしその半󠄃は肉をにて食󠄃ひ あるひは肉をあぶりてくひあき また身をあたためていふ ああ我あたたまれり われ熱きをおぼゆ
17 斯てその餘をもて神につくり偶像につくりてその前󠄃にひれふし之ををがみ之にいのりていふ なんぢは吾神なり我をすくへと
18 これらの人は知ことなく悟ることなし その眼ふさがりて見えず その心とぢてあきらかならず
19 心のうちに思ふことをせず智識なく明悟なきがゆゑに我そのなかばを火にもやしその炭火のうへにパンをやき肉をあぶりて食󠄃ひ その木のあまりをもて我いかで憎むべきものを作るべけんや 我いかで木のはしくれに俯伏すことをせんやといふ者もなし
1237㌻
20 かかる人は灰󠄃をくらひ 迷󠄃へる心にまどはされて己がたましひを救ふあたはず またわが右手にいつはりあるにあらずやとおもはざるなり
21 ヤコブよ イスラエルよ 此等のことを心にとめよ 汝はわが僕なり 我なんぢを造󠄃れり なんぢわが僕なり イスラエルよ我はなんぢを忘れじ
22 我なんぢの愆を雲のごとくに消󠄃し なんぢの罪を霧のごとくにちらせり なんぢ我にかへれ我なんぢを贖ひたればなり
23 天よ うたうたへヱホバこのことを成たまへり 下なる地よよばはれ もろもろの山よ林およびその中のもろもろの木よ こゑを發ちてうたふべし ヱホバはヤコブを贖へり イスラエルのうちに榮光をあらはし給はん
24 なんぢを贖ひなんぢを胎內につくれるヱホバかく言たまふ 我はヱホバなり我よろづのものを創造󠄃し ただ我のみ天をのべ みづから地をひらき
25 いつはるものの豫兆をむなしくし卜者をくるはせ智者をうしろに退󠄃けてその知識をおろかならしむ
26 われわが僕のことばを遂󠄅しめ わが使者のはかりごとを成しめ ヱルサレムについては民また住󠄃はんといひ ユダのもろもろの邑については重ねて建らるべし我その荒廢たるところを舊にかへさんといふ
27 また淵に命ず かわけ我なんぢのもろもろの川をほさんと
28 又󠄂クロスについては彼はわが牧者すべてわが好むところを成しむる者なりといひ ヱルサレムについてはかさねて建られその宮の基すゑられんといふ
第45章
1 われヱホバわが受膏者クロスの右手をとりてもろもろの國をそのまへに降らしめ もろもろの王の腰をとき扉をその前󠄃にひらかせて門をとづるものなからしめん〘951㌻〙
2 われ汝のまへにゆきて崎嶇をたひらかにし 銅の門をこぼち くろがねの關木をたちきるべし
1238㌻
3 われなんぢに暗󠄃ところの財貨とひそかなるところに藏せるたからとを予へ なんぢに我はヱホバなんぢの名をよべるイスラエルの神なるを知しめん
4 わが僕ヤコブわが撰みたるイスラエルのために我なんぢの名をよべり 汝われを知ずといへどわれ名をなんぢに賜ひたり
5 われはヱホバなり 我のほかに神なし 一人もなし 汝われをしらずといへども我なんぢを固うせん
6 而して日のいづるところより西のかたまで人々我のほかに神なしと知べし 我はヱホバなり他にひとりもなし
7 われは光をつくり又󠄂くらきを創造󠄃す われは平󠄃和をつくりまた禍害󠄅をさうざうす 我はヱホバなり 我すべてこれらの事をなすなり
8 天ようへより滴らすべし 雲よ義をふらすべし 地はひらけて救を生じ義をもともに萌いだすべし われヱホバ之を創造󠄃せり
9 世人はすゑものの中のひとつの陶器なるに己をつくれる者とあらそふはわざはひなるかな 泥塊はすゑものつくりにむかひて汝なにを作るかといふべけんや 又󠄂なんぢの造󠄃りたる者なんぢを手なしといふべけんや
10 父󠄃にむかひて汝なにゆゑに生むことをせしやといひ 婦󠄃にむかひて汝なにゆゑに產のくるしみをなししやといふ者はわざはひなるかな
11 ヱホバ、イスラエルの聖󠄄者イスラエルを造󠄃れるもの如此いひたまふ 後きたらんとすることを我にとへ またわが子女とわが手の工とにつきて汝等われに言せよ
12 われ地をつくりてそのうへに人を創造󠄃せり われ自らの手をもて天をのべ その萬象をさだめたり
1239㌻
13 われ義をもて彼のクロスを起󠄃せり われそのすべての道󠄃をなほくせん 彼はわが邑をたてわが俘囚を價のためならず報のためならずして釋すべし これ萬軍のヱホバの聖󠄄言なり
14 ヱホバ如此いひたまふ エジプトがはたらきて得しものとエテオピアがあきなひて得しものとはなんぢの有とならん また身のたけ高きセバ人きたりくだりて汝にしたがひ繩につながれて降り なんぢのまへに伏しなんぢに祈りていはん まことに神はなんぢの中にいませり このほかに神なし一人もなしと
15 救をほどこし給ふイスラエルの神よ まことに汝はかくれています神なり
16 偶像をつくる者はみな恥をいだき辱かしめをうけ諸共にはぢあわてて退󠄃かん
17 されどイスラエルはヱホバにすくはれて永遠󠄄の救をえん なんぢらは世々かぎりなく恥をいだかず辱かしめをうけじ
〘952㌻〙
18 ヱホバは天を創造󠄃したまへる者にしてすなはち神なり また地をもつくり成てこれを堅くし徒然にこれを創造󠄃し給はず これを人の住󠄃所󠄃につくり給へり ヱホバかく宣給ふ われはヱホバなり我のほかに神あることなしと
19 われは隱れたるところ地のくらき所󠄃にてかたらず 我はヤコブの裔になんぢらが我をたづぬるは徒然なりといはず 我ヱホバはただしき事をかたり直きことを吿ぐ
20 汝等もろもろの國より脱れきたれる者よ つどひあつまり共にすすみききたれ 木の像をになひ救ふことあたはざる神にいのりするものは無智なるなり
21 なんぢらその道󠄃理をもちきたりて述󠄃よ また共にはかれ 此事をたれか上古より示したりや 誰かむかしより吿たりしや 此はわれヱホバならずや 我のほかに神あることなし われは義をおこなひ救をほどこす神にして我のほかに神あることなし
1240㌻
22 地の極なるもろもろの人よ なんぢら我をあふぎのぞめ然ばすくはれん われは神にして他に神なければなり
23 われは己をさして誓ひたり この言はただしき口よりいでたれば反ることなし すべての膝はわがまへに屈み すべての舌はわれに誓をたてん
24 人われに就ていはん正義と力とはヱホバにのみありと 人々ヱホバにきたらん すべてヱホバにむかひて怒るものは恥をいだくべし
25 イスラエルの裔はヱホバによりて義とせられ且ほこらん
第46章
1 ベルは伏しネボは屈む かれらの像はけものと家畜とのうへにあり なんぢらが擡げあるきしものは荷となりて疲れおとろへたるけものの負󠄅ところとなりぬ
2 かれらは屈みかれらは共にふし その荷となれる者をすくふこと能はずして己とらはれゆく
3 ヤコブの家よイスラエルのいへの遺󠄃れるものよ 腹をいでしより我におはれ胎をいでしより我にもたげられしものよ 皆われにきくべし
4 なんぢらの年老るまで我はかはらず白髮となるまで我なんぢらを負󠄅ん 我つくりたれば擡ぐべし我また負󠄅ひかつ救はん
5 なんぢら我をたれに比べ たれに配ひ たれに擬らへ かつ相くらぶべきか
6 人々ふくろより黄金をかたぶけいだし權衡をもて白銀をはかり金工をやとひてこれを神につくらせ之にひれふして拜む
7 彼等はこれをもたげて肩にのせ 負󠄅ひゆきてその處に安置す すなはち立てその處をはなれず 人これにむかひて呼はれども答ふること能はず 又󠄂これをすくひて苦難のうちより出すことあたはず
〘953㌻〙
8 なんぢら此事をおもひいでて堅くたつべし 悖逆󠄃者よこのことを心にとめよ
9 汝等いにしへより以來のことをおもひいでよ われは神なり我のほかに神なし われは神なり我のごとき者なし
1241㌻
10 われは終󠄃のことを始よりつげ いまだ成ざることを昔よりつげ わが謀畧はかならず立つといひ すべて我がよろこぶことを成んといへり
11 われ東より鷲をまねき遠󠄄國よりわが定めおける人をまねかん 我このことを語りたれば必らず來らすべし 我このことを謀りたればかならず成すべし
12 なんぢら心かたくなにして義にとほざかるものよ我にきけ
13 われわが義をちかづかしむ可ればその來ること遠󠄄からず わが救おそからず 我すくひをシオンにあたへ わが榮光をイスラエルにあたへん
第47章
1 バビロンの處女よ くだりて塵のなかにすわれ カルデヤ人のむすめよ座にすわらずして地にすわれ 汝ふたゝび婀娜にして嬌なりととなへらるることなからん
2 礱をとりて粉をひけ 面帕をとりさり袿をぬぎ髓をあらはして河をわたれ
3 なんぢの肌はあらはれなんぢの恥はみゆべし われ仇をむくいて人をかへりみず
4 われらを贖ひたまふ者はその名を萬軍のヱホバ、イスラエルの聖󠄄者といふ
5 カルデヤ人のむすめよ なんぢ口をつぐみてすわれ 又󠄂くらき所󠄃にいりてをれ 汝ふたゝびもろもろの國の主母ととなへらるることなからん
6 われわが民をいきどほりわが產業をけがして之をなんぢの手にあたへたり 汝これに憐憫をほどこさず年老たるもののうへに甚だおもき軛をおきたり
7 汝いへらく我とこしへに主母たらんと 斯てこれらのことを心にとめず亦その終󠄃をおもはざりき
8 なんぢ歡樂にふけり安らかにをり 心のうちにただ我のみにして我のほかに誰もなく我はやもめとなりてをらず また子をうしなふことを知まじとおもへる者よなんぢ今きけ
1242㌻
9 子をうしなひ寡婦󠄃となるこの二つのこと一日のうちに俄になんぢに來らん汝おほく魔󠄃術をおこなひひろく呪詛をほどこすと雖もみちみちて汝にきたるべし
10 汝おのれの惡によりたのみていふ 我をみるものなしと なんぢの智慧󠄄となんぢの聰明とはなんぢを惑せたり なんぢ心のうちにおもへらくただ我のみにして我のほかに誰もなしと〘954㌻〙
11 この故にわざはひ汝にきたらん なんぢ呪ひてこれを除くことをしらず 艱難なんぢに落きたらん 汝これをはらふこと能はず なんぢの思ひよらざる荒廢にはかに汝にきたるべし
12 今なんぢわかきときより勤めおこなひたる呪詛とおほくの魔󠄃術とをもて立むかふべしあるひは益をうることあらん あるひは敵をおそれしむることあらん
13 なんぢは謀畧おほきによりて倦つかれたり かの天をうらなふもの星をみるもの新月をうらなふ者もし能はば いざたちて汝をきたらんとする事よりまぬかれしむることをせよ
14 彼らは藁のごとくなりて火にやかれん おのれの身をほのほの勢力よりすくひいだすこと能はず その火は身をあたたむべき炭火にあらず又󠄂その前󠄃にすわるべき火にもあらず
15 汝がつとめて行ひたる事は終󠄃にかくのごとくならん 汝のわかきときより汝とうりかひしたる者おのおのその所󠄃にさすらひゆきて一人だになんぢを救ふものなかるべし
第48章
1 ヤコブの家よなんぢら之をきけ 汝らはイスラエルの名をもて稱へられ ユダの根源よりいでヱホバの名によりて誓ひイスラエルの神をかたりつぐれども 眞實をもてせず正義をもてせざるなり
2 かれらはみづから聖󠄄京のものととなへイスラエルの神によりたのめり その名は萬軍のヱホバといふ
3 われ今よりさきに成しことを旣にいにしへより吿たり われ口よりいだして旣にのべつたへたり 我にはかにこの事をおこなひ而して成ぬ
1243㌻
4 われ汝がかたくなにして項の筋はくろがねその額はあかがねなるを知れり
5 このゆゑに我はやくよりかの事をなんぢにつげ その成ざるさきに之をなんぢに聞しめたり 恐くはなんぢ云ん わが偶像これを成せり刻みたるざう鑄たる像これを命じたりと
6 なんぢ旣にきけり 凡てこれを視よ 汝ら之をのべつたへざるか われ今より新なる事なんぢが未だしらざりし祕事をなんぢに示さん
7 これらの事はいま創造󠄃せられしにて上古よりありしにあらず この日よりさきに汝これを聞ざりき 然らずば汝いはん視よわれこれを知れりと
8 汝これを聞こともなく知こともなく なんぢの耳はいにしへより開けざりき 我なんぢが欺きあざむきて生れながら悖逆󠄃者ととなへられしを知ればなり
9 わが名のゆゑによりて我いかりを遲くせん わが頌美のゆゑにより我しのびてなんぢを絕滅すことをせじ
10 視よわれなんぢを煉たり されど白銀の如くせずして患難の爐をもてこころみたり〘955㌻〙
11 われ己のため我おのれの爲にこれを成ん われ何でわが名をけがさしむべき 我わが榮光をほかの者にあたることをせじ
12 ヤコブよわが召たるイスラエルよ われにきけ われは是なり われは始また終󠄃なり
13 わが手は地のもとゐを置わが右の手は天をのべたり 我よべば彼等はもろともに立なり
14 汝ら皆あつまりてきけ ヱホバの愛するものヱホバの好みたまふ所󠄃をバビロンに成し その腎はカルデヤ人のうへにのぞまん 彼等のうち誰かこれらの事をのべつげしや
15 ただ我のみ我かたれり 我かれをめし我かれをきたらせたり その道󠄃さかゆべし
16 なんぢら我にちかよりて之をきけ 我はじめより之をひそかに語りしにあらず その成しときより我はかしこに在り いま主ヱホバわれとその靈とをつかはしたまへり
1244㌻
17 なんぢの贖主イスラエルの聖󠄄者ヱホバかく言給く われはなんぢの神ヱホバなり 我なんぢに益することを敎へ なんぢを導󠄃きてそのゆくべき道󠄃にゆかしむ
18 願くはなんぢわが命令にききしたがはんことを もし然らばなんぢの平󠄃安は河のごとく 汝の義はうみの波のごとく
19 なんぢの裔はすなのごとく 汝の體よりいづる者は細沙のごとくになりて その名はわがまへより絕るることなく亡さるることなからん
20 なんぢらバビロンより出てカルデヤ人よりのがれよ なんらぢ歡の聲をもてのべきかせ地のはてにいたるまで語りつたへ ヱホバはその僕ヤコブをあがなひ給へりといへ
21 ヱホバかれらをして沙漠をゆかしめ給へるとき彼等はかわきたることなかりき ヱホバ彼等のために磐より水をながれしめ また磐をさきたまへば水ほどばしりいでたり
22 ヱホバいひたまはく惡きものには平󠄃安あることなし
第49章
1 もろもろの島よ我にきけ 遠󠄄きところのもろもろの民よ耳をかたむけよ 我うまれいづるよりヱホバ我を召し われ母の胎をいづるよりヱホバわが名をかたりつげたまへり
2 ヱホバわが口を利劍となし我をその手のかげにかくし 我をとぎすましたる矢となして箙にをさめ給へり
3 また我にいひ給はく 汝はわが僕なり わが榮光のあらはるべきイスラエルなりと
4 されど我いへり われは徒然にはたらき益なくむなしく力をつひやしぬと 然はあれど誠にわが審判󠄄はヱホバにあり わが報はわが神にあり
〘956㌻〙
1245㌻
5 ヤコブをふたゝび己にかへらしめイスラエルを己のもとにあつまらせんとて 我をうまれいでしより立ておのれの僕となし給へるヱホバいひ給ふ(我はヱホバの前󠄃にたふとくせらる 又󠄂わが神はわが力となりたまへり)
6 その聖󠄄言にいはく なんぢわが僕となりてヤコブのもろもろの支派をおこし イスラエルのうちののこりて全󠄃うせしものを歸らしむることはいと輕し 我また汝をたてて異邦人の光となし 我がすくひを地のはてにまで到らしむ
7 ヱホバ、イスラエルの贖主イスラエルの聖󠄄者は人にあなどらるるもの 民にいみきらはるるもの 長たちに役せらるる者にむかひて如此いひたまふ もろもろの王は見てたちもろもろの君はみて拜すべし これ信實あるヱホバ、イスラエルの聖󠄄者なんぢを選󠄄びたまへるが故なり
8 ヱホバ如此いひたまふ われ惠のときに汝にこたへ救の日になんぢを助けたり われ汝をまもりて民の契󠄅約とし國をおこし荒すたれたる地をまた產業としてかれらにつがしめん
9 われ縛しめられたる者にいでよといひ暗󠄃にをるものに顯れよといはん かれら途󠄃すがら食󠄃ふことをなし もろもろの禿なる山にも牧草をうべし
10 かれらは饑ずかわかず 又󠄂やけたる砂もあつき日もうつことなし 彼等をあはれむもの之をみちびきて泉のほとりに和かにみちびき給ければなり
11 我わがもろもろの山を路とし わが大路をたかくせん
12 視よ人々あるひは遠󠄄きよりきたり あるひは北また西よりきたらん 或はまたシニムの地よりきたるべし
13 天ようたへ地よよろこべ もろもろの山よ聲をはなちてうたへ ヱホバはその民をなぐさめその苦むものを憐みたまへばなり
14 然どシオンはいへりヱホバ我をすて主われをわすれたまへりと
15 婦󠄃その乳󠄃兒をわすれて己がはらの子をあはれまざることあらんや 縱ひかれら忘るることありとも我はなんぢを忘るることなし
16 われ掌になんぢを彫刻めり なんぢの石垣はつねにわが前󠄃にあり
1246㌻
17 なんぢの子輩はいそぎ來り なんぢを毀つもの汝をあらす者は汝より出さらん
18 なんぢ目をあげて環視せよ これらのもの皆あひあつまりて汝がもとに來るべし ヱホバ宣給く われは活なんぢ此等をみな身によそほひて飾󠄃となし 新婦󠄃の帶のごとくに之をまとふべし
19 なんぢの荒かつ廢れたるところ毀たれたる地は こののち住󠄃ふもの多くして狹きをおぼえん なんぢを呑つくししもの遙にはなれ去るべし
20 むかし別れたりしなんぢの子輩はのちの日なんぢの耳のあたりにて語りあはん云く ここは我がために狹し なんぢ外にゆきて我にすむべき所󠄃をえしめよと〘957㌻〙
21 その時なんぢ心裏にいはん 誰かわがために此等のものを生しや われ子をうしなひて獨居りかつ俘れ且さすらひたり 誰かこれを育てしや 視よわれ一人のこされたり 此等はいづこに居しや
22 主ヱホバいひたまはく 視よわれ手をもろもろの國にむかひてあげ 旗をもろもろの民にむかひてたてん 斯てかれらはその懷中になんぢの子輩をたづさへ その肩になんぢの女輩をのせきたらん
23 もろもろの王はなんぢの養󠄄父󠄃となり その后妃はなんぢの乳󠄃母となり かれらはその面を地につけて汝にひれふし なんぢの足の塵をなめん 而して汝わがヱホバなるをしり われを俟望󠄇むものの恥をかうぶることなきを知るならん
24 勇士がうばひたる掠物をいかでとりかへし 强暴者がかすめたる虜をいかで救いだすことを得んや
25 されどヱホバ如此いひたまふ云く ますらをが掠めたる虜もとりかへされ 强暴者がうばひたる掠物もすくひいださるべし そは我なんぢを攻るものをせめてなんぢの子輩をすくふべければなり
26 我なんぢを虐󠄃ぐるものにその肉をくらはせ またその血をあたらしき酒のごとくにのませて醉しめん 而して萬民はわがヱホバにして汝をすくふ者なんぢを贖ふものヤコブの全󠄃能者なることを知るべし
1247㌻
第50章
1 ヱホバかくいひ給ふ わがなんぢらの母をさりたる離書はいづこにありや 我いづれの債主になんぢらを賣わたししや 視よなんぢらはその不義のために賣られ なんぢらの母は汝らの咎戻のために去られたり
2 わがきたりし時なにゆゑ一人もをらざりしや 我よびしとき何故ひとりも答ふるものなかりしや わが手みぢかくして贖ひえざるか われ救ふべき力なからんや 視よわれ叱咤すれば海はかれ河はあれのとなりそのなかの魚は水なきによりかわき死て臭氣をいだすなり
3 われ黑きころもを天にきせ麁布をもて蔽となす
4 主ヱホバは敎をうけしものの舌をわれにあたへ言をもて疲れたるものを扶支ふることを知得しめたまふ また朝󠄃ごとに醒しわが耳をさまして敎をうけし者のごとく聞ことを得しめたまふ
5 主ヱホバわが耳をひらき給へり われは逆󠄃ふことをせず退󠄃くことをせざりき
6 われを撻つものにわが背をまかせわが鬚をぬくものにわが頬をまかせ 恥と唾とをさくるために面をおほふことをせざりき〘958㌻〙
7 主ヱホバわれを助けたまはん この故にわれ恥ることなかるべし 我わが面を石の如くして恥しめらるることなきを知る
8 われを義とするもの近󠄃きにあり たれか我とあらそはんや われら相共にたつべし わが仇はたれぞや近󠄃づききたれ
9 主ヱホバわれを助け給はん 誰かわれを罪せんや 視よかれらはみな衣のごとくふるび蠧のためにくひつくされん
10 汝等のうちヱホバをおそれその僕の聲をきくものは誰ぞや 暗󠄃をあゆみて光をえざるともヱホバの名をたのみおのれの神にたよれ
11 火をおこし火把を帶るものよ汝等みなその火のほのほのなかをあゆめ 又󠄂なんぢらの燃したる火把のなかをあゆめ なんぢら斯のごとき事をわが手よりうけて悲みのうちに臥べし
1248㌻
第51章
1 義をおひ求めヱホバを尋󠄃ねもとむるものよ我にきけ なんぢらが斫出されたる磐となんぢらの掘出されたる穴󠄄とをおもひ見よ
2 なんぢらの父󠄃アブラハム及びなんぢらを生たるサラをおもひ見よ われ彼をその唯一人なりしときに召しこれを祝してその子孫をまし加へたり
3 そはヱホバ、シオンを慰め またその凡てあれたる所󠄃をなぐさめて その荒野をエデンのごとくその沙漠をヱホバの園のごとくなしたまへり 斯てその中によろこびと歡樂とあり感謝とうたうたふ聲とありてきこゆ
4 わが民よわが言にこころをとめよ わが國人よわれに耳をかたぶけよ 律法はわれより出づ われわが途󠄃をかたく定めてもろもろの民の光となさん
5 わが義はちかづきわが救はすでに出たり わが臂はもろもろの民をさばかん もろもろの島はわれを俟望󠄇み わがかひなに依賴ん
6 なんぢら目をあげて天を觀また下なる地をみよ 天は烟のごとくきえ地は衣のごとくふるびその中にすむ者これとひとしく死ん されどわが救はとこしへにながらへ わが義はくだくることなし
7 義をしるものよ心のうちにわが律法をたもつ民よ われにきけ 人のそしりをおそるるなかれ人のののしりに慴くなかれ
8 そはかれら衣のごとく蠧にはまれ羊の毛のごとく蟲にはまれん されどわが義はとこしへに存らへ わがすくひ萬代におよぶべし
9 さめよ醒よヱホバの臂よちからを着よ さめて古への時むかしの代にありし如くなれ ラハブをきりころし鱷をさしつらぬきたるは汝にあらずや
1249㌻
10 海をかわかし大なる淵の水をかわかし また海のふかきところを贖はれたる人のすぐべき路となししは汝にあらずや〘959㌻〙
11 ヱホバに贖ひすくはれしもの歌うたひつつ歸りてシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただきて快樂とよろこびとをえん 而してかなしみと歎息とはにげさるべし
12 我こそ我なんぢらを慰むれ 汝いかなる者なれば死べき人をおそれ草の如くなるべき人の子をおそるるか
13 いかなれば天をのべ地の基をすゑ汝をつくりたまへるヱホバを忘れしや 何なれば汝をほろぼさんとて豫備する虐󠄃ぐるものの憤れるをみて常にひねもす懼るるか 虐󠄃ぐるものの忿恚はいづこにありや
14 身をかがめゐる俘囚はすみやかに解れて 死ることなく穴󠄄にくだることなく その食󠄃はつくること無るべし
15 我は海をふるはせ波をなりどよめかする汝の神ヱホバなり その御名を萬軍のヱホバといふ
16 我わが言をなんぢの口におきわが手のかげにて汝をおほへり かくてわれ天をうゑ地の基をすゑ シオンにむかひて汝はわが民なりといはん
17 ヱルサレムよさめよさめよ起󠄃よ なんぢ前󠄃にヱホバの手よりその忿恚のさかづきをうけて飮み よろめかす大杯をのみ且すひほしたり
18 なんぢの生るもろもろの子のなかに汝をみちびく者なく 汝のそだてたるもろもろの子の中にてなんぢの手をたづさふる者なし
19 この二のこと汝にのぞめり誰かなんぢのために歎んや 荒廢の饑饉ほろびの劍なんぢに及べり我いかにして汝をなぐさめんや
20 なんぢの子らは息たえだえにして網にかかれる羚羊のごとくし街衢の口にふす ヱホバの忿恚となんぢの神のせめとはかれらに滿たり
21 このゆゑに苦しめるもの酒にあらで醉たるものよ之をきけ
22 なんぢの主ヱホバおのが民の訟をあげつらひ給ふ なんぢの神かくいひ給ふ 我よろめかす酒杯をなんぢの手より取除き わがいきどほりの大杯をとりのぞきたり 汝ふたゝびこれを飮ことあらじ
1250㌻
23 我これを汝をなやますものの手にわたさん 彼らは曩になんぢの靈魂にむかひて云らく なんぢ伏せよわれら越ゆかんと 而してなんぢその背を地のごとくし衢のごとくし彼等のこえゆくに任せたり
第52章
1 シオンよ醒よさめよ汝の力を衣よ 聖󠄄都ヱルサレムよなんぢの美しき衣をつけよ 今より割󠄅禮をうけざる者および潔󠄄からざるものふたゝび汝にいること無るべければなり
2 なんぢ身の塵をふりおとせ ヱルサレムよ起󠄃よすわれ 俘れたるシオンのむすめよ汝がうなじの繩をときすてよ
〘960㌻〙
3 そはヱホバかく言給ふ なんぢらは價なくして賣られたり 金なくして贖はるべし
4 主ヱホバ如此いひ給ふ 曩にわが民エジプトにくだりゆきて彼處にとゞまれり アツスリヤ人ゆゑなくして彼等をしへたげたり
5 ヱホバ宣給く わが民はゆゑなくして俘れたり されば我ここに何をなさん ヱホバのたまはく 彼等をつかさどる者さけびよばはり わが名はつねに終󠄃日けがさるるなり
6 この故にわが民はわが名をしらん このゆゑにその日には彼らこの言をかたるものの我なるをしらん 我ここに在り
7 よろこびの音󠄃信をつたへ平󠄃和をつげ 善おとづれをつたへ救をつげ シオンに向ひてなんぢの神はすべ治めたまふといふものの足は山上にありていかに美しきかな
8 なんぢが斥候の聲きこゆ かれらはヱホバのシオンに歸り給ふを目と目とあひあはせて視るが故にみな聲をあげてもろともにうたへり
9 ヱルサレムの荒廢れたるところよ聲をはなちて共にうたふべし ヱホバその民をなぐさめヱルサレムを贖ひたまひたればなり
10 ヱホバそのきよき手をもろもろの國人の目のまへにあらはしたまへり 地のもろもろの極までもわれらの神のすくひを見ん
1251㌻
11 なんぢら去よされよ 彼處をいでて汚れたるものに觸るなかれ その中をいでよ ヱホバの器をになふ者よ なんぢら潔󠄄くあれ
12 なんぢら急󠄃ぎいづるにあらず趨りゆくにあらず ヱホバはなんぢらの前󠄃にゆきイスラエルの神はなんぢらの軍後となり給ふべければなり
13 視よわがしもべ智慧󠄄をもておこなはん 上りのぼりて甚だたかくならん
14 曩にはおほくの人かれを見ておどろきたり(その面貌はそこなはれて人と異なりその形容はおとろへて人の子とことなれり)
15 後には彼おほく國民にそそがん 王たち彼によりて口を緘まん そはかれら未だつたへられざることを見いまだ聞ざることを悟るべければなり
第53章
1 われらが宣るところを信ぜしものは誰ぞや ヱホバの手はたれにあらはれしや
2 かれは主のまへに芽えのごとく 燥きたる土よりいづる樹株のごとくそだちたり われらが見るべきうるはしき容なく うつくしき貌はなく われらがしたふべき艶色なし
3 かれは侮られて人にすてられ 悲哀の人にして病患をしれり また面をおほひて避󠄃ることをせらるる者のごとく侮られたり われらも彼をたふとまざりき
〘961㌻〙
4 まことに彼はわれらの病患をおひ我儕のかなしみを擔へり 然るにわれら思へらく彼はせめられ神にうたれ苦しめらるるなりと
5 彼はわれらの愆のために傷けられ われらの不義のために碎かれ みづから懲罰をうけてわれらに平󠄃安をあたふ そのうたれし痍によりてわれらは癒󠄄されたり
1252㌻
6 われらはみな羊のごとく迷󠄃ひておのおの己が道󠄃にむかひゆけり 然るにヱホバはわれら凡てのものの不義をかれのうへに置たまへり
7 彼はくるしめらるれどもみづから謙󠄃だりて口をひらかず 屠場にひかるる羔羊の如く毛をきる者のまへにもだす羊の如くしてその口をひらかざりき
8 かれは虐󠄃待と審判󠄄とによりて取去れたり その代の人のうち誰か彼が活るものの地より絕れしことを思ひたりしや 彼はわが民のとがの爲にうたれしなり
9 その墓はあしき者とともに設けられたれど 死るときは富るものとともになれり かれは暴をおこなはずその口には虛僞なかりき
10 されどヱホバはかれを碎くことをよろこびて之をなやましたまへり 斯てかれの靈魂とがの献物をなすにいたらば彼その末をみるを得その日は永からん かつヱホバの悅び給ふことは彼の手によりて榮ゆべし
11 かれは己がたましひの煩勞をみて心たらはん わが義しき僕はその知識によりておほくの人を義とし又󠄂かれらの不義をおはん
12 このゆゑに我かれをして大なるものとともに物をわかち取しめん かれは强きものとともに掠物をわかちとるべし 彼はおのが靈魂をかたぶけて死にいたらしめ愆あるものとともに數へられたればなり 彼はおほくの人の罪をおひ愆あるものの爲にとりなしをなせり
第54章
1 なんぢ孕まず子をうまざるものよ歌うたふべし 產のくるしみなきものよ聲をはなちて謳ひよばはれ 夫なきものの子はとつげるものの子よりおほしと 此はヱホバの聖󠄄言なり
2 汝が幕屋のうちを廣くし なんぢが住󠄃居のまくをはりひろげて吝むなかれ 汝の綱をながくしなんぢの杙をかたくせよ
3 そはなんぢが右に左にひろごり なんぢの裔はもろもろの國をえ 荒廢れたる邑をもすむべき所󠄃となさしむべし
1253㌻
4 懼るるなかれなんぢ恥ることなからん 惶てふためくことなかれ汝はぢしめらるることなからん 若きときの恥をわすれ寡婦󠄃たりしときの恥辱をふたゝび覺ることなからん〘962㌻〙
5 なんぢを造󠄃り給へる者はなんぢの夫なり その名は萬軍のヱホバ なんぢを贖ひ給ふものはイスラエルの聖󠄄者なり 全󠄃世界の神ととなへられ給ふべし
6 ヱホバ汝をまねきたまふ 棄られて心うれふる妻また若きとき嫁てさられたる妻をまねくがごとしと 此はなんぢの神のみことばなり
7 我しばし汝をすてたれど大なる憐憫をもて汝をあつめん
8 わが忿恚あふれて暫くわが面をなんぢに隱したれど 永遠󠄄のめぐみをもて汝をあはれまんと 此はなんぢをあがなひ給ふヱホバの聖󠄄言なり
9 このこと我にはノアの洪水のときのごとし 我むかしノアの洪水をふたゝび地にあふれ流るることなからしめんと誓ひしが そのごとく我ふたゝび汝をいきどほらず 再びなんぢを責じとちかひたり
10 山はうつり岡はうごくとも わが仁慈はなんぢよりうつらず 平󠄃安をあたふるわが契󠄅約はうごくことなからんと 此はなんぢを憐みたまふヱホバのみことばなり
11 なんぢ苦しみをうけ暴風にひるがへされ 安慰をえざるものよ 我うるはしき彩色をなしてなんぢの石をすゑ 靑き玉をもてなんぢの基をおき
12 くれなゐの玉をもてなんぢの櫓をつくり むらさきの玉をもてなんぢの門をつくり なんぢの境內はあまねく寳石にてつくるべし
13 又󠄂なんぢの子輩はみなヱホバに敎をうけ なんぢの子輩のやすきは大ならん
14 なんぢ義をもて堅くたち 虐󠄃待よりとほざかりて慴ることなく また恐懼よりとほざかるべし そは恐懼なんぢに近󠄃づくことなければなり
15 縱ひかれら群集ふとも我によるにあらず 凡てむれつどひて汝をせむる者はなんぢの故にたふるべし
1254㌻
16 みよ炭火をふきおこして用ゐべき器をいだす鐵工はわが創造󠄃するところ 又󠄂あらし滅ぼす者もわが創造󠄃するところなり
17 すべてなんぢを攻んとてつくられしうつはものは利あることなし 興起󠄃ちてなんぢとあらそひ訴ふる舌はなんぢに罪せらるべし これヱホバの僕等のうくる產業なり 是かれらが我よりうくる義なりとヱホバのたまへり
第55章
1 噫なんぢら渇ける者ことごとく水にきたれ 金なき者もきたるべし 汝等きたりてかひ求めてくらへ きたれ金なく價なくして葡萄酒と乳󠄃とをかへ
2 なにゆゑ糧にもあらぬ者のために金をいだし 飽󠄄ことを得ざるもののために勞するや われに聽從へ さらばなんぢら美物をくらふをえ脂をもてその靈魂をたのしまするを得ん
3 耳をかたぶけ我にきたりてきけ 汝等のたましひは活べし われ亦なんぢらととこしへの契󠄅約をなしてダビデに約せし變らざる惠をあたへん〘963㌻〙
4 視よわれ彼をたててもろもろの民の證とし又󠄂もろもろの民の君となし命令する者となせり
5 なんぢは知ざる國民をまねかん 汝をしらざる國民はなんぢのもとに走りきたらん 此はなんぢの神ヱホバ、イスラエルの聖󠄄者のゆゑによりてなり ヱホバなんぢを尊󠄅くしたまへり
6 なんぢら遇󠄃ことをうる間にヱホバを尋󠄃ねよ 近󠄃くゐたまふ間によびもとめよ
7 惡きものはその途󠄃をすて よこしまなる人はその思念をすててヱホバに反れ さらば憐憫をほどこしたまはん 我等の神にかへれ豐に赦をあたへ給はん
8 ヱホバ宣給くわが思はなんぢらの思とことなり わが道󠄃はなんぢらのみちと異なれり
9 天の地よりたかきがごとく わが道󠄃はなんぢらの道󠄃よりも高く わが思はなんぢらの思よりもたかし
10 天より雨くだり雪󠄃おちて復かへらず 地をうるほして物をはえしめ 萌をいださしめて播ものに種をあたへ 食󠄃ふものに糧をあたふ
1255㌻
11 如此わが口よりいづる言もむなしくは我にかへらず わが喜ぶところを成し わが命じ遣󠄃りし事をはたさん
12 なんぢらは喜びて出きたり平󠄃穩にみちびかれゆくべし山と岡とは聲をはなちて前󠄃にうたひ野にある樹はみな手をうたん
13 松樹はいばらにかはりてはえ岡拈樹は棘にかはりてはゆべし 此はヱホバの頌美となり並とこしへの徴となりて絕ることなからん
第56章
1 ヱホバ如此いひ給ふ なんぢら公平󠄃をまもり正義をおこなふべし わが救のきたるはちかく わが義のあらはるるは近󠄃ければなり
2 安息日をまもりて汚さず その手をおさへて惡きことをなさず 斯おこなふ人かく堅くまもる人の子はさいはひなり
3 ヱホバにつらなれる異邦人はいふなかれ ヱホバ必ず我をその民より分󠄃ち給はんと 寺人もまたいふなかれ われは枯たる樹なりと
4 ヱホバ如此いひたまふ わが安息日をまもり わが悅ぶことをえらみて我が契󠄅約を堅くまもる寺人には
5 我わが家のうちにてわが垣のうちにて子にも女にもまさる記念のしるしと名とをあたへ 並とこしへの名をたまふて絕ることなからしめん
6 またヱホバにつらなりこれに事へ ヱホバの名を愛しその僕となり 安息日をまもりて汚すことなく凡てわが契󠄅約をかたくまもる異邦人は
7 我これをわが聖󠄄山にきたらせ わが祈の家のうちにて樂ましめん かれらの燔祭と犧牲とはわが祭壇のうへに納󠄃めらるべし わが家はすべての民のいのりの家ととなへらるべければなり〘964㌻〙
8 イスラエルの放逐󠄃れたるものを集めたまふ主ヱホバのたまはく 我さらに人をあつめて旣にあつめられたる者にくはへん
1256㌻
9 野獸よみなきたりてくらへ 林にをるけものよ皆きたりてくらへ
10 斥候はみな瞽者にしてしることなし みな啞なる犬にして吠ることあたはず みな夢みるもの臥ゐるもの眠ることをこのむ者なり
11 この犬はむさぼること甚だしくして飽󠄄ことをしらず かれらは悟ることを得ざる牧者にして皆おのが道󠄃にむかひゆき 何れにをる者もおのおの己の利をおもふ
12 かれら互にいふ請󠄃われ酒をたづさへきたらん われら濃酒にのみあかん かくて明日もなほ今日のごとく大にみち足はせんと
第57章
1 義者ほろぶれども心にとむる人なく 愛しみ深き人々とりさらるれども義きものの禍害󠄅のまへより取去るるなるを悟るものなし
2 かれは平󠄃安にいり 直きをおこなふ者はその寐床にやすめり
3 なんぢら巫女の子 淫人また妓女の裔よ 近󠄃ききたれ
4 なんぢら誰にむかひて戯れをなすや 誰にむかひて口をひらき舌をのばすや なんぢらは悖逆󠄃の子輩いつはりの黨類にあらずや
5 なんぢらは橿樹のあひだ緑りなる木々のしたに心をこがし 谷のなか岩の狹間に子をころせり
6 なんぢは谷のなかの滑かなる石をうくべき嗣業とし これをなんぢが所󠄃有とす なんぢ亦これに灌祭をなし之にそなへものを献げたり われ之によりていかで心をなだむべしや
7 なんぢは高くそびえたる山の上になんぢの床をまうけ かつ其處にのぼりゆきて犧牲をささげたり
8 また戶および柱のうしろに汝の記念をおけり なんぢ我をはなれて他人に身をあらはし 登りゆきてその床をひろくし かれらと誓をなし 又󠄂かれらの床を愛し これがためにその所󠄃をえらびたり
9 なんぢ香膏とおほくの薫物とをたづさへて王にゆき 又󠄂なんぢの使者をとほきにつかはし陰府にまで己をひくくせり
1257㌻
10 なんぢ途󠄃のながきに疲れたれどなほ望󠄇なしといはず なんぢ力をいきかへされしによりて衰弱󠄃ざりき
11 なんぢ誰をおそれ誰のゆゑに慴きていつはりをいひ 我をおもはず亦そのことを心におかざりしや われ久しく默したれど汝かへりて我をおそれざりしにあらずや
12 我なんぢの義をつげしめさん なんぢの作はなんぢに益せじ〘965㌻〙
13 なんぢ呼るときその集めおきたるもの汝をすくへ 風はかれらを悉くあげさり 息はかれらを吹さらん 然どわれに依賴むものは地をつぎわが聖󠄄山をうべし
14 また人いはん 土をもり土をもりて途󠄃をそなへよ わが民のみちより躓礙をとりされと
15 至高く至上なる永遠󠄄にすめるもの聖󠄄者となづくるもの如此いひ給ふ 我はたかき所󠄃きよき所󠄃にすみ 亦こころ碎けてへりくだる者とともにすみ 謙󠄃だるものの靈をいかし碎けたるものの心をいかす
16 われ限なくは爭はじ我たえずは怒らじ 然らずば人のこころ我がまへにおとろへん わが造󠄃りたる靈はみな然らん
17 彼のむさぼりの罪により我いかりて之をうちまた面をおほひて怒りたり 然るになほ悖りて己がこころの途󠄃にゆけり
18 されど我その途󠄃をみたり 我かれを愈すべし 又󠄂かれを導󠄃きてふたゝび安慰をかれとその中のかなしめる者とにかへすべし
19 我くちびるの果をつくれり 遠󠄄きものにも近󠄃きものにも平󠄃安あれ平󠄃安あれ 我かれをいやさん 此はヱホバのみことばなり
20 然はあれど惡者はなみだつ海のごとし 靜かなること能はずしてその水つねに濁と泥とをいだせり
21 わが神いひたまはく惡きものには平󠄃安あることなしと
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第58章
1 大によばはりて聲ををしむなかれ 汝のこゑをラッパのごとくあげ わが民にその愆をつげヤコブの家にその罪をつげしめせ
2 かれらは日々われを尋󠄃求めわが途󠄃をしらんことをこのむ 義をおこなひ神の法をすてざる國のごとく義しき法をわれにもとめ神と相近󠄃づくことをこのめり
3 かれらはいふ われら斷食󠄃するになんぢ見たまはず われら心をくるしむるになんぢ知たまはざるは何ぞやと 視よなんぢらの斷食󠄃の日にはおのがこのむ作をなし その工人をことごとく惱めつかふ
4 視よなんぢら斷食󠄃するときは相あらそひ相きそひ惡の拳をもて人をうつ なんぢらの今のだんじきはその聲をうへに聞えしめんとにあらざるなり
5 斯のごとき斷食󠄃はわが悅ぶところのものならんや かくのごときは人その靈魂をなやますの日ならんや その首を葦のごとくにふし麁服󠄃と灰󠄃とをその下にしくをもて斷食󠄃の日またヱホバに納󠄃らるる日ととなふべけんや
6 わが悅ぶところの斷食󠄃はあくの繩をほどき 軛のつなをとき虐󠄃げらるるものを放ちさらしめ すべての軛ををるなどの事にあらずや
7 また饑たる者になんぢのパンを分󠄃ちあたへ さすらへる貧󠄃民をなんぢの家にいれ裸かなるものを見てこれに衣せ おのが骨肉に身をかくさざるなどの事にあらずや〘966㌻〙
8 しかる時はなんぢのひかり曉の如くにあらはれいで 汝すみやかに愈さるることを得 なんぢの義はなんぢの前󠄃にゆき ヱホバの榮光はなんぢの軍後となるべし
9 また汝よぶときはヱホバ答へたまはん なんぢ叫ぶときは我ここに在りといひ給はん
もし汝のなかより軛をのぞき指點をのぞき惡きことをかたるを除き
10 なんぢの靈魂の欲するものをも饑たる者にほどこし 苦しむものの心を滿足しめば なんぢの光くらきにてりいで なんぢの闇は晝のごとくならん
11 ヱホバは常になんぢをみちびき 乾けるところにても汝のこころを滿足しめ なんぢの骨をかたうし給はん なんぢは潤ひたる園のごとく水のたえざる泉のごとくなるべし
1259㌻
12 汝よりいづる者はひさしく荒廢れたる所󠄃をおこし なんぢは累代やぶれたる基をたてん 人なんぢをよびて破隙をおぎなふ者といひ 市街をつくろひてすむべき所󠄃となす者といふべし
13 もし安息日になんぢの步行をとどめ 我聖󠄄日になんぢの好むわざをおこなはず 安息日をとなへて樂日となし ヱホバの聖󠄄日をとなへて尊󠄅むべき日となし 之をたふとみて己が道󠄃をおこなはず おのが好むわざをなさず おのが言をかたらずば
14 その時なんぢヱホバを樂しむべし ヱホバなんぢを地のたかき處にのらしめ なんぢが先祖ヤコブの產業をもて汝をやしなひ給はん こはヱホバ口より語りたまへるなり
第59章
1 ヱホバの手はみぢかくして救ひえざるにあらず その耳はにぶくして聞えざるにあらず
2 惟なんぢらの邪曲なる業なんぢらとなんぢらの神との間をへだてたり 又󠄂なんぢらの罪その面をおほひて聞えざらしめたり
3 そはなんぢらの手は血にてけがれ なんぢらの指はよこしまにて汚れ なんぢらのくちびるは虛僞をかたり なんぢらの舌は惡をささやき
4 その一人だに正義をもてうつたへ眞實をもて論らふものなし 彼らは虛浮をたのみ虛僞をかたり 惡しきくはだてをはらみ不義をうむ
5 かれらは蝮の卵をかへし蛛網をおる その卵をくらふものは死るなり 卵もし踐るればやぶれて毒蛇をいだす
6 その織るところは衣になすあたはず その工をもて身をおほふこと能はず かれらの工はよこしまの工なり かれらの手には暴虐󠄃のおこなひあり
7 かれらの足はあくにはしり罪なき血をながすに速󠄃し かれらの思念はよこしまの思念なり 殘害󠄅と滅亡とその路徑にのこれり
8 彼らは平󠄃穩なる道󠄃をしらず その過󠄃るところに公平󠄃なく又󠄂まがれる小徑をつくる 凡てこれを踐ものは平󠄃穩をしらず
〘967㌻〙
1260㌻
9 このゆゑに公平󠄃はとほくわれらをはなれ正義はわれらに追󠄃及ず われら光をのぞめど暗󠄃をみ 光輝をのぞめど闇をゆく
10 われらは瞽者のごとく牆をさぐりゆき目なき者のごとく模りゆき正午にても日暮のごとくにつまづき 强壯なる者のなかにありても死るもののごとし
11 我儕はみな熊のごとくにほえ鴿のごとくに甚くうめき 審判󠄄をのぞめどもあることなく 救をのぞめども遠󠄄くわれらを離る
12 われらの愆はなんぢの前󠄃におほく われらのつみは證してわれらを訟へ われらのとがは我らとともに在り われらの邪曲なる業はわれら自らしれり
13 われら罪ををかしてヱホバを棄われらの神にはなれてしたがはず 暴虐󠄃と悖逆󠄃とをかたり虛僞のことばを心にはらみて説出すなり
14 公平󠄃はうしろに退󠄃けられ正義ははるかに立り そは 眞實は衢間にたふれ 正直はいることを得ざればなり
15 眞實はかけてなく惡をはなるるものは掠めうばはる
ヱホバこれを見てその公平󠄃のなかりしを悅びたまはざりき
16 ヱホバは人なきをみ中保なきを奇しみたまへり 斯てその臂をもてみづから助け その義をもてみづから支たまへり
17 ヱホバ義をまとひて護胸とし救をその頭にいただきて兜となし 仇をまとひて衣となし 熱心をきて外服󠄃となしたまへり
18 かれらの作にしたがひて報をなし敵にむかひていかり仇にむかひて報をなし また島々にむくいをなし給はん
19 西方にてヱホバの名をおそれ 日のいづる所󠄃にてその榮光をおそるべし ヱホバは堰ぎとめたる河のその氣息にふき潰えたるがごとくに來りたまふ可ればなり
20 ヱホバのたまはく贖者シオンにきたりヤコブのなかの愆をはなるる者につかんと
21 ヱホバいひ給く なんぢの上にあるわが靈なんぢの口におきたるわがことばは 今よりのち永遠󠄄になんぢの口よりなんぢの裔の口より汝のすゑの裔の口よりはなれざるべし わがかれらにたつる契󠄅約はこれなりと此はヱホバのみことばなり
1261㌻
第60章
1 起󠄃よひかりを發て なんぢの光きたりヱホバの榮光なんぢのうへに照出たればなり
2 視よくらきは地をおほひ闇はもろもろの民をおほはん されど汝の上にはヱホバ照出たまひてその榮光なんぢのうへに顯はるべし
3 もろもろの國はなんぢの光にゆき もろもろの王はてり出るなんぢが光輝にゆかん
4 なんぢの目をあげて環視せ かれらは皆つどひて汝にきたり 汝の子輩はとほきより來り なんぢの女輩はいだかれて來らん〘968㌻〙
5 そのときなんぢ視てよろこびの光をあらはし なんぢの心おどろきあやしみ且ひろらかになるべし そは海の富はうつりて汝につき もろもろの國の貨財はなんぢに來るべければなり
6 おほくの駱駝ミデアンおよびエバのわかき駱駝なんぢの中にあまねくみち シバのもろもろの人こがね乳󠄃香をたづさへきたりてヱホバの譽をのべつたへん
7 ケダルのひつじの群はみな汝にあつまりきたり ネバヨテの牡羊はなんぢに事へ わが祭壇のうへにのぼりて受納󠄃られん 斯てわれわが榮光の家をかがやかすべし
8 雲のごとくにとび鳩のその窠にとびかへるが如くしてきたる者はたれぞ
9 もろもろの島はわれを俟望󠄇み タルシシのふねは首先になんぢの子輩をとほきより載きたり 並かれらの金銀をともにのせきたりてなんぢの神ヱホバの名にささげ イスラエルの聖󠄄者にささげん ヱホバなんぢを輝かせたまひたればなり
10 異邦人はなんぢの石垣をきづき かれらの王等はなんぢに事へん そは我いかりて汝をうちしかどまた惠をもて汝を憐みたればなり
1262㌻
11 なんぢの門はつねに開きて夜も日もとざすことなし こは人もろもろの國の貨財をなんぢに携へきたり その王等をひきゐ來らんがためなり
12 なんぢに事へざる國と民とはほろび そのくにぐには全󠄃くあれすたるべし
13 レバノンの榮はなんぢにきたり 松 杉 黄楊はみな共にきたりて我が聖󠄄所󠄃をかがやかさん われ亦わが足をおく所󠄃をたふとくすべし
14 汝を苦しめたるものの子輩はかがみて汝にきたり 汝をさげしめたる者はことごとくなんぢの足下にふし 斯て汝をヱホバの都イスラエルの聖󠄄者のシオンととなへん
15 なんぢ前󠄃にはすてられ憎まれてその中をすぐる者もなかりしが 今はわれ汝をとこしへの華美よよの歡喜となさん
16 なんぢ亦もろもろの國の乳󠄃をすひ王たちの乳󠄃房をすひ 而して我ヱホバなんぢの救主なんぢの贖主ヤコブの全󠄃能者なるを知るべし
17 われ黄金をたづさへきたりて赤銅にかへ 白銀をたづさへきたりて鐵にかへ 赤銅を木にかへ鐵を石にかへ なんぢの施政者をおだやかにし なんぢを役するものを義うせん
18 强暴のこと再びなんぢの地にきこえず 殘害󠄅と敗壞とはふたゝびなんぢの境にきこえず 汝その石垣をすくひととなへ その門を譽ととなへん
19 晝は日ふたゝびなんぢの光とならず 月もまた輝きてなんぢを照さず ヱホバ永遠󠄄になんぢの光となり なんぢの神はなんぢの榮となり給はん
20 なんぢの日はふたゝび落ず なんぢの月はかくることなかるべし そはヱホバ永遠󠄄になんぢの光となり 汝のかなしみの日畢るべければなり〘969㌻〙
21 汝の民はことごとく義者となりてとこしへに地を嗣ん かれはわが植たる樹株わが手の工わが榮光をあらはす者となるべし
22 その小きものは千となり その弱󠄃きものは强國となるべし われヱホバその時いたらば速󠄃かにこの事をなさん
1263㌻
第61章
1 主ヱホバの靈われに臨めり こはヱホバわれに膏をそそぎて貧󠄃きものに福音󠄃をのべ傳ふることをゆだね 我をつかはして心の傷める者をいやし俘囚にゆるしをつげ 縛められたるものに解放をつげ
2 ヱホバのめぐみの年とわれらの神の刑罰の日とを吿しめ 又󠄂すべて哀むものをなぐさめ
3 灰󠄃にかへ冠をたまひてシオンの中のかなしむ者にあたへ 悲哀にかへて歡喜のあぶらを予へ うれひの心にかへて讃美の衣をかたへしめたまふなり かれらは義の樹 ヱホバの植たまふ者 その榮光をあらはす者ととなへられん
4 彼等はひさしく荒たる處をつくろひ 上古より廢れたる處をおこし 荒たる邑々をかされて新にし世々すたれたる處をふたゝび建べし
5 外人はたちてなんぢらの群をかひ 異邦人はなんぢらの畑をたがへす者となり 葡萄をつくる者とならん
6 然どなんぢらはヱホバの祭司ととなへられ われらの神の役者とよばれ もろもろの國の富をくらひ かれらの榮をえて自らほこるべし
7 曩にうけし恥にかへ倍して賞賜をうけ凌辱にかへ嗣業をえて樂むべし 而してその地にありて倍したる賞賜をたもち永遠󠄄によろこびを得ん
8 われヱホバは公平󠄃をこのみ邪曲なるかすめごとをにくみ 眞實をもて彼等にむくいをあたへ 彼等ととこしへの契󠄅約をたつべければなり
9 かれらの裔はもろもろの國のなかに知れ かれらの子輩はもろもろの民のなかに知れん すべてこれを見るものはそのヱホバの祝したまへる裔なるを辨ふべし
10 われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服󠄃をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦󠄃が玉こがねの飾󠄃をつくるが如くなしたまへばなり
11 地は芽をいだし畑はまけるものを生ずるがごとく 主ヱホバは義と譽とをもろもろの國のまへに生ぜしめ給ふべし
1264㌻
第62章
1 われシオンの義あさ日の光輝のごとくにいで ヱルサレムの救もゆる松火のごとくになるまではシオンのために默さずヱルサレムのために休まざるべし〘970㌻〙
2 もろもろの國はなんぢの義を見 もろもろの王はみななんぢの榮をみん 斯てなんぢはヱホバの口にて定め給ふ新しき名をもて稱へらるべし
3 また汝はうるはしき冠のごとくヱホバの手にあり 王の冕のごとくなんぢの神のたなごころにあらん
4 人ふたゝび汝をすてられたる者といはず 再びなんぢの地をあれたる者といはじ 却てなんぢをヘフジバ(わが悅ぶところ)ととなへ なんぢの地をベウラ(配偶)ととなふべし そはヱホバなんぢをよろこびたまふ なんぢの地は配偶をえん
5 わかきものの處女をめとる如くなんぢの子輩はなんぢを娶らん 新郎の新婦󠄃をよろこぶごとくなんぢの神なんぢを喜びたまふべし
6 ヱルサレムよ我なんぢの石垣のうへに斥候をおきて終󠄃日終󠄃夜たえず默すことなからしむ なんぢらヱホバに記念したまはんことを求むるものよ 自らやすむなかれ
7 ヱホバ、ヱルサレムをたてて全󠄃地に譽をえしめ給ふまでは息め奉るなかれ
8 ヱホバその右手をさしその大能の臂をさし誓ひて宣給く われ再びなんぢの五穀をなんぢの敵にあたへて食󠄃はせず 異邦人はなんぢが勞したる酒をのまざるべし
9 收穫せしものは之をくらひてヱホバを讃たたへ 葡萄をあつめし者はわが聖󠄄所󠄃の庭にて之をのむべし
10 門よりすすみゆけ進󠄃みゆけ 民の途󠄃をそなへ土をもり土をもりて大路をまうけよ 石をとりのぞけ もろもろの民に旗をあげて示せ
11 ヱホバ地の極にまで吿てのたまはく 汝等シオンの女にいへ 視よなんぢらの救きたる 視よ主の手にその恩賜あり はたらきの價はその前󠄃にあり
1265㌻
12 而してかれらはきよき民またヱホバにあがなはれたる者ととなへられん なんぢは人にもとめ尋󠄃らるるもの棄られざる邑ととなへらるべし
第63章
1 このエドムよりきたり緋衣をきてボヅラよりきたる者はたれぞ その服󠄃飾󠄃はなやかに大なる能力をもて嚴しく步みきたる者はたれぞ これは義をもてかたり大にすくひをほどこす我なり
2 なんぢの服󠄃飾󠄃はなにゆゑに赤くなんぢの衣はなにゆゑに酒榨をふむ者とひとしきや
3 我はひとりにて酒榨をふめり もろもろの民のなかに我とともにする者なし われ怒によりて彼等をふみ忿恚によりてかれらを蹈にじりたれば かれらの血わが衣にそそぎわが服󠄃飾󠄃をことごとく汚したり
4 そは刑罰の日わが心の中にあり 救贖の歳すでにきたれり
5 われ見てたすくる者なく扶る者なきを奇しめり この故にわが臂われをすくひ我いきどほり我をささへたり〘971㌻〙
6 われ怒によりてもろもろの民をふみおさへ 忿恚によりてかれらを醉しめ かれらの血を地に流れしめたり
7 われはヱホバのわれらに施したまへる各種のめぐみとその譽とをかたりつげ 又󠄂その憐憫にしたがひ其おほくの恩惠にしたがひてイスラエルの家にほどこし給ひたる大なる恩寵をかたり吿ん
8 ヱホバいひたまへり 誠にかれらはわが民なり 虛僞をせざる子輩なりと 斯てヱホバはかれらのために救主となりたまへり
9 かれらの艱難のときはヱホバもなやみ給ひてその面前󠄃の使をもて彼等をすくひ その愛とその憐憫とによりて彼等をあがなひ彼等をもたげ昔時の日つねに彼等をいだきたまへり
10 然るにかれらは悖りてその聖󠄄靈をうれへしめたる故にヱホバ飜然かれらの仇となりて自らこれを攻たまへり
1266㌻
11 爰にその民いにしへのモーセの日をおもひいでて曰けるは かれらとその群の牧者とを海より携へあげし者はいづこにありや 彼等のなかに聖󠄄靈をおきしものは何處にありや
12 榮光のかひなをモーセの右にゆかしめ 彼等のまへに水をさきて自らとこしへの名をつくり
13 彼等をみちびきて馬の野をはしるがごとく躓かで淵をすぎしめたりし者はいづこに在りや
14 谷にくだる家畜の如くにヱホバの靈かれらをいこはせ給へり 主よなんぢは斯おのれの民をみちびきて榮光の名をつくり給へり
15 ねがはくは天より俯觀なはし その榮光あるきよき居所󠄃より見たまへ なんぢの熱心となんぢの大能あるみわざとは今いづこにありや なんぢの切なる仁慈と憐憫とはおさへられて我にあらはれず
16 汝はわれらの父󠄃なり アブラハムわれらを知ず イスラエルわれらを認󠄃めず されどヱホバよ汝はわれらの父󠄃なり 上古よりなんぢの名をわれらの贖主といへり
17 ヱホバよ何故にわれらをなんぢの道󠄃より離れまどはしめ我儕のこころを頑固にして汝を畏れざらしめたまふや 願くはなんぢの僕等のためになんぢの產業なる支派のために歸りたまへ
18 汝のきよきたみ地をえて久しからざるにわれらの敵なんぢの聖󠄄所󠄃をふみにじれり
19 我儕はなんぢに上古より治められざる者のごとく なんぢの名をもて稱られざる者のごとくなりぬ
第64章
1 願くはなんぢ天を裂てくだり給へ なんぢのみまへに山々ふるひ動かんことを
2 火の柴をもやし火の水を沸すがごとくして降りたまへ かくて名をなんぢの敵にあらはし もろもろの國をなんぢのみまへに戰慄かしめたまへ〘972㌻〙
3 汝われらが逆󠄃料あたはざる懼るべき事をおこなひ給ひしときに降りたまへり 山々はその前󠄃にふるひうごけり
1267㌻
4 上古よりこのかた汝のほかに何なる神ありて俟望󠄇みたる者にかかる事をおこなひしや いまだ聽ず いまだ耳にいらず いまだ目にみしことなし
5 汝はよろこびて義をおこなひなんぢの途󠄃にありてなんぢを紀念するものを迎󠄃へたまふ 視よなんぢ怒りたまへり われらは罪ををかせり かかる狀なること旣にひさし 我儕いかで救はるるを得んや
6 我儕はみな潔󠄄からざる物のごとくなり われらの義はことごとく汚れたる衣のごとし 我儕はみな木葉のごとく枯れ われらのよこしまは暴風のごとく我らを吹去れり
7 なんぢの名をよぶ者なく みづから勵みて汝によりすがる者なし なんぢ面をおほひてわれらを顧󠄃みたまはず われらが邪曲をもてわれらを消󠄃失せしめたまへり
8 されどヱホバよ汝はわれらの父󠄃なり われらは泥塊にしてなんぢは陶工なり 我らは皆なんぢの御手のわざなり
9 ヱホバよいたく怒りたまふなかれ 永くよこしまを記念したまふなかれ 願くは顧󠄃みたまへ 我儕はみななんぢの民なり
10 汝のきよき諸邑は野となりシオンは野となりヱルサレムは荒廢れたり
11 我らの先祖が汝を讃たたへたる榮光ある我儕のきよき宮は火にやかれ 我儕のしたひたる處はことごとく荒はてたり
12 ヱホバよこれらの事あれども汝なほみづから制へたまふや なんぢなほ默してわれらに深くくるしみを受しめたまふや
第65章
1 我はわれを求めざりしものに問もとめられ 我をたづねざりしものに見出され わが名をよばざりし國にわれ曰らく われは此にあり我はここに在と
2 善らぬ途󠄃をあゆみおのが思念にしたがふ悖れる民をひねもす手をのべて招けり
3 この民はまのあたり恒にわが怒をひき 園のうちにて犧牲をささげ 瓦の壇にて香をたき
1268㌻
4 墓のあひだにすわり隱密なる處にやどり 猪の肉をくらひ憎むべきものの羮をその器皿にもりて
5 人にいふなんぢ其處にたちて我にちかづくなかれ そは我なんぢよりも聖󠄄しと 彼らはわが鼻のけぶり終󠄃日もゆる火なり
6 視よこの事わが前󠄃にしるされたり われ默さずして報いかへすべし 必ずかれらの懷中に報いかへすべし
7 ヱホバいひ給く なんぢらの邪曲となんぢらが列祖のよこしまとはともに報いかへすべし かれらは山上にて香をたき岡のうへにて我を汚ししがゆゑに 我まづその作をはかりてその懷中にかへすべし
〘973㌻〙
8 ヱホバ如此いひたまふ 人ぶだうのなかに汁あるを見ばいはん これを壞るなかれ福祉その中にあればなりと 我わが僕等のために如此おこなひてことごとくは壞らじ
9 ヤコブより一裔をいだしユダよりわれ山々をうけつぐべき者をいださん わが撰みたる者はこれをうけつぎ我がしもべらは彼處にすむべし
10 シヤロンは羊のむれの牧場となりアコルの谷はうしの群のふす所󠄃となりて我をたづねもとめたるわが民の有とならん
11 然どなんぢらヱホバを棄わがきよき山をわすれ 机をガド(禍福の神)にそなへ雜合せたる酒をもりてメニ(運󠄃命の神)にささぐる者よ
12 われ汝らを劍にわたすべく定めたり なんぢらは皆かがみて屠らるべし 汝等はわが呼しときこたへず わが語りしとききかず わが目にあしき事をおこなひ わが好まざりし事をえらみたればなり
13 このゆゑに主ヱホバかく言給ふ わが僕等はくらへども汝等はうゑ わが僕等はのめども汝等はかわき 我しもべらは喜べどもなんぢらははぢ
14 わが僕等はこころ樂きによりて歌うたへども汝等はこころ哀きによりて叫び また靈魂うれふるによりて泣嗁ぶべし
15 なんぢらが遺󠄃名はわが撰みたるものの呪詛の料とならん 主ヱホバなんぢらを殺したまはん 然どおのれの僕等をほかの名をもて呼たまふべし
1269㌻
16 斯るがゆゑに地にありて己のために福祉をねがふものは眞實の神にむかひて福祉をもとめ 地にありて誓ふものは眞實の神をさして誓ふべし さきの困難は忘れられてわが目よりかくれ失たるに因る
17 視よわれ新しき天とあたらしき地とを創造󠄃す 人さきのものを記念することなく之をその心におもひ出ることなし
18 然どなんぢらわが創造󠄃する者によりて永遠󠄄にたのしみよろこべ 視よわれはヱルサレムを造󠄃りてよろこびとしその民を快樂とす
19 われヱルサレムを喜びわが民をたのしまん 而して泣聲とさけぶ聲とはふたゝびその中にきこえざるべし
20 日數わづかにして死る嬰兒といのちの日をみたさざる老人とはその中にまたあることなかるべし 百歳にて死るものも尙わかしとせられ 百歳にて死るものを詛れたる罪人とすべし
21 かれら家をたてて之にすみ葡萄園をつくりてその果をくらふべし
22 かれらが建るところにほかの人すまず かれらが造󠄃るところの果はほかの人くらはず そはわが民のいのちは樹の命の如く 我がえらみたる者はその手の工ふるびうするとも存ふべければなり〘974㌻〙
23 かれらの勤勞はむなしからず その生ところの者はわざはひにかからず 彼等はヱホバの福祉をたまひしものの裔にしてその子輩もあひ共にをる可ればなり
24 かれらが呼ざるさきにわれこたへ 彼らが語りをへざるに我きかん
25 豺狼とこひつじと食󠄃物をともにし 獅は牛のごとく藁をくらひ 蛇はちりを糧とすべし 斯てわが聖󠄄山のいづこにても害󠄅ふことなく傷ることなからん これヱホバの聖󠄄言なり
第66章
1 ヱホバ如此いひたまふ 天はわが位地はわが足臺なり なんぢら我がために如何なる家をたてんとするか 又󠄂いかなる處かわが休憩の場とならん
2 ヱホバ宣給く 我手はあらゆる此等のものを造󠄃りてこれらの物ことごとく成れり 我はただ苦しみまた心をいため我がことばを畏れをののくものを顧󠄃みるなりと
1270㌻
3 牛をほふるものは人をころす者のごとく 羔を犧牲とするものは狗をくびりころす者のごとく 祭物をささぐるものは豕の血をささぐる者のごとく 香をたくものは偶像をほむる者のごとし 彼等はおのが途󠄃をえらみその心ににくむべき者をたのしみとせり
4 我もまた災禍をえらびて彼等にあたへ その懼るるところの事を彼らに臨ましめん そは我よびしとき應ふるものなく我かたりしとき聽ことをせざりき わが目にあしき事をおこなひわが好まざる事をえらみたればなり
5 なんぢらヱホバの言をおそれをののく者よヱホバの言をきけ なんぢらの兄弟なんぢらを憎みなんぢらをわが名のために逐󠄃出していふ 願くはヱホバその榮光をあらはして我儕になんぢらの歡喜を見せしめよと 然どかれらは恥をうけん
6 騷亂るこゑ邑よりきこえ聲ありて宮よりきこゆ 此はヱホバその仇にむくいをなしたまふ聲なり
7 シオンは產のなやみを知ざるさきに生 その劬勞きたらざるさきに男子をうみいだせり
8 誰がかかる事をききしや誰がかかる類をみしや 一の國はただ一日のくるしみにて成べけんや 一つの國民は一時にうまるべけんや 然どシオンはくるしむ間もなく直にその子輩をうめり
9 ヱホバ言給く われ產にのぞましめしに何でうまざらしめんや なんぢの神いひたまはく 我はうましむる者なるにいかで胎をとざさんや
〘975㌻〙
10 ヱルサレムを愛するものよ皆かれとともに喜べ かれの故をもてたのしめ 彼のために悲めるものよ皆かれとともに喜びたのしめ
11 そはなんぢら乳󠄃をすふ如くヱルサレムの安慰をうけて飽󠄄ことを得ん また乳󠄃をしぼるごとくその豐なる榮をうけておのづから心さわやかならん
1271㌻
12 ヱホバ如此いひたまふ 視よわれ河のごとく彼に平󠄃康をあたへ 漲ぎる流のごとく彼にもろもろの國の榮をあたへん 而して汝等これをすひ背におはれ膝におかれて樂しむべし
13 母のその子をなぐさむるごとく我もなんぢらを慰めん なんぢらはヱルサレムにて安慰をうべし
14 なんぢら見て心よろこばん なんぢらの骨は若草のさかゆるごとくだるべし ヱホバの手はその僕等にあらはれ又󠄂その仇をはげしく怒りたまはん
15 視よヱホバは火中にあらはれて來りたまふその 車輦ははやちのごとし 烈しき威勢をもてその怒をもらし火のほのほをもてその譴をほどこし給はん
16 ヱホバは火をもて劍をもてよろづの人を刑ひたまはん ヱホバに刺殺さるるもの多かるべし
17 ヱホバ宣給く みづからを潔󠄄くしみづからを別ちて園にゆき その中にある木の像にしたがひ 豕の肉けがれたる物および鼠をくらふ者はみな共にたえうせん
18 我かれらの作爲とかれらの思念とをしれり 時きたらばもろもろの國民ともろもろの族とをあつめん 彼等きたりてわが榮光をみるべし
19 我かれらのなかに一つの休徴をたてて逃󠄄れたる者をもろもろの國すなはちタルシシよく弓をひくブル、ルデおよびトバル、ヤワン又󠄂わが聲名をきかずわが榮光をみざる遙かなる諸島につかはさん 彼等はわが榮光をもろもろの國にのべつたふべし
20 ヱホバいひ給ふ かれらはイスラエルの子輩がきよき器にそなへものをもりてヱホバの家にたづさへきたるが如く なんぢらの兄弟をもろもろの國の中よりたづさへて馬 車 轎 騾 駱駝にのらしめ わが聖󠄄山ヱルサレムにきたらせてヱホバの祭物とすべし
21 ヱホバいひ給ふ 我また彼等のうちより人をえらびて祭司としレビ人とせんと
1272㌻
22 ヱホバ宣給く わが造󠄃らんとする新しき天とあたらしき地とわが前󠄃にながくとゞまる如く なんちの裔となんぢの名はながくとゞまらん
23 ヱホバいひ給ふ新月ごとに安息日ごとによろづの人わが前󠄃にきたりて崇拜をなさん
24 かれら出てわれに逆󠄃きたる人の屍をみん その蛆しなずその火きえず よろづの人にいみきらはるべし〘976㌻〙
1273㌻