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〘1161㌻〙

第1章

1 これはソロモンの雅歌がかなり 2 ねがはしきはかれそのくち接吻くちつけをもてわれにくちつけせんことなり なんぢあいさけよりもまさりぬ 3 なんぢの香膏にほひあぶらその香味かをりたへにかぐはしくなんぢのはそそがれたる香膏にほひあぶらのごとし こゝをもて女子むすめなんぢをあい 4 われをひきたまへ われらなんぢにしたがひてはしらん わうわれをたづさへてその後宮こうきうにいれたまへり われらはなんぢによりてよろこたのしみさけよりも勝󠄃まさりてなんぢのあいをほめたたふ かれらはなほきこころをもてなんぢあい 5 ヱルサレムの女子等をうなごらよ われはくろけれどもなほうるはし ケダルのてんまくのごとく またソロモンの帷帳とばりたり 6 われいろくろきがゆゑのわれをやきたるがゆゑわれるなかれ わがはゝ子等こらわれをいかりてわれ葡萄園ぶだうぞのをまもらしめたり われはおのが葡萄園ぶだうぞのをまもらざりき 7 わがこゝろあいするものよなんぢは何處いづくにてなんぢのむれやしな午時ひるどきいづこにてこれやすまするや請󠄃ふわれにつげよ なんぞかほおほへるものごとくしてなんぢが伴󠄃侶ともむれのかたはらにをるべけんや 8 婦󠄃女をんないとうるはしきものよ なんぢもししらずばむれあしあとにしたがひていでゆき 牧羊者ひつじかひてんまくのかたはらにてなんぢ羔山羊こやぎ 9 わが佳耦ともわれなんぢをパロのくるまむまたぐ 10 なんぢのほゝには鏈索くさりれ なんぢのくびには珠玉たまつらねていとうるはし 11 われら白銀しろかねほしをつけたる黄金こがね鏈索くさりをなんぢのために造󠄃つくらん 12 わうそのせきにつきたまふとき わがナルダその香味かをりをいだせり 13 わがあいするものわれにとりてはわがむねのあひだにおきたる沒藥もつやくの袋のごとし 14 わがあいするものはわれにとりてはエンゲデのそのにあるコペルの英華はなぶさのごとし 15 ああうるはしきかな わが佳耦ともよ ああうるはしきかな なんぢの鴿はとのごとし 16 わがあいするものよ ああなんぢはうるはしくまたたのしきかな われらのとこ靑緑みどりなり 17 われらのいへ棟梁うつばり香柏かうはく その垂木たるきまつなり
 1161㌻ 

第2章

1 われはシャロンの野花のばな たに百合花ゆりなり 2 女子等をうなごらなかにわが佳耦とものあるは荊棘いばらなか百合花ゆりのあるがごとし 3 わがあいするもの男子等をのこらなかにあるははやしなか林檎りんごのあるがごとし われふかくよろこびてそのかげにすわれり そのはわがくちあまかりき 4 かれわれをたづさへて酒宴さかもりいへにいれたまへり そのわがうへにひるがへしたるはたあいなりき 5 請󠄃ふ なんぢら乾葡萄ほしぶだうをもてわがちからをおぎなへ 林檎りんごをもてわれちからをつけよ われあいによりてやみわづらふ〘894㌻〙 6 かれひだりはわがかしらしたにあり そのみぎをもてわれいだ 7 ヱルサレムの女子等をうなごらわれなんぢらにしか鹿しかとをさしちかひて請󠄃あいのおのづから起󠄃おこるときまでは殊更ことさら喚起󠄃よびおこさますなかれ 8 わがあいするものこゑきこゆ やまをとび をか躍󠄃をどりこえてきた 9 わがあいするものしかのごとくまた小鹿こじかのごとし かれわれらのかべのうしろにまどよりのぞ格子かうしよりうかゞ 10 わがあいするものわれにかたりてふ わが佳耦ともよ わがうるはしきもの起󠄃たちていできたれ 11 ふゆすでに過󠄃あめもやみてはやさりぬ 12 もろもろのはなにあらはれ とりのさへづるときすでにいた班鳩やまばとこゑわれらのにきこゆ 13 無花果いちじくのはそのあをあからめ 葡萄ぶだうはなさきてそのかぐはしき香氣にほひをはなつ わが佳耦ともよ わがうるはしきもの起󠄃たちいできたれ 14 磐間いはまにをり 斷崖がけ匿處かくれどころにをるわが鴿はとよ われになんぢかほさせよ なんぢのこゑをきかしめよ なんぢのこゑあいらしく なんぢのかほはうるはし 15 われらのためにきつねをとらへよ 葡萄園ぶだうぞのをそこなふ小狐こぎつねをとらへよ 我等われら葡萄園ぶだうぞの花盛はなさかりなればなり 16 わがあいするものわれにつきわれはかれにつく かれ百合花ゆりなかにてそのむれ 17 わがあいするものすずしくなるまで かげ消󠄃きゆるまでをかへしていでゆき あら山々やま〳〵うへにありてしかのごとく 小鹿こじかのごとくせよ
 1162㌻ 

第3章

1 よるわれとこにありてわがこゝろあいするものをたづねしが尋󠄃たづねたれども 2 われおもへらくいまおきてまちをまはりありき わがこゝろあいするもの街衢ちまたあるひは大路おほぢにてたづねんと すなはちこれを尋󠄃たづねたれどもざりき 3 まちをまはりありく夜巡󠄃者よまはりらわれに遇󠄃あひければ なんぢらわがこゝろあいするものしやと 4 これにわかれて過󠄃すぎゆきもなくわがこゝろあいするもの遇󠄃あひたれば これをひきとめてはなさず 遂󠄅つひにわがはゝいへにともなひゆき われうみものしつにいりぬ 5 ヱルサレムの女子等をうなごらわれなんぢらにしか鹿しかとをさしちかひて請󠄃あいのおのづから起󠄃おこときまで殊更ことさら喚起󠄃よびおこさますなかれ 6 この沒藥もつやく乳󠄃香にうかうなど商人あきうどのもろもろの薫物かをりものをもてをかをらせ けむりはしらのごとくして荒野あれのよりきたものたれぞや 7 よ こはソロモンの乘輿のりものにして 勇士ますらを六十にんその周󠄃圍まはりにあり イスラエルの勇士ますらをなり 8 みな刀劍つるぎ戰鬪たたかひよく各人おの〳〵こし刀劍つるぎおびよる警誡いましめそな 9 ソロモンわうレバノンのをもておのれのために輿こしをつくれり〘895㌻〙 10 そのはしら白銀しろかね その欄杆らんかん黄金こがね その紫色むらさきにてつくり その內部なかにはイスラエルの女子等をうなごらあいをもてぬひたるものはりつく 11 シオンの女子等をうなごらいできたりてソロモンわうよ かれは婚姻こんいん こゝろよろこべるにそのはゝおのれにかうぶらしし冠冕かんむりいただけり

第4章

1 ああなんぢうるはしきかな わが佳耦ともよ ああなんぢうるはしきかな なんぢの面帕かほおほひのうしろにありて鴿はとのごとし なんぢのかみはギレアデやまこしふしたる山羊やぎむれたり 2 なんぢのきりたるひつじ浴塲あらひばよりいでたるがごとし おのおの雙子ふたごをうみてひとつもなきものはなし 3 なんぢのくちびる紅色くれなゐ線維いとすぢのごとく そのくちうるはし なんぢのほゝ面帕かほおほひのうしろにありて石榴ざくろ半󠄃片かたわれたり 4 なんぢの頸項うなじ武器庫ぶきぐらにとてたてたるダビデの戍樓やぐらのごとし そのうへには一千のたてかけつらぬ みな勇士ますらを大楯おほだてなり
 1163㌻ 
5 なんぢの兩乳󠄃房もろちぶさ牝獐めじか雙子ふたごなる二箇ふたつ小鹿こじか百合花ゆりなかくさはみをるにたり 6 すずしくなるまで かげ消󠄃きゆるまでわれ沒藥もつやくやままた乳󠄃香にうかうをかゆくべし 7 わが佳耦ともよ なんぢはことごとくうるはしくしてすこしのきずもなし 8 新婦󠄃はなよめよ レバノンよりわれにともなへ レバノンよりわれとともにきたれ アマナのいただきセニルまたヘルモンのいただきより望󠄇のぞ獅子しゝ穴󠄄あなまたへうやまより望󠄇のぞ 9 わがいもわが新婦󠄃はなよめよ なんぢはわがこゝろうばへり なんぢはたゞ一目ひとめをもてまた頸玉くびたまひとつをもてわがこゝろをうばへり 10 わがいもわが新婦󠄃はなよめよ なんぢのあいたのしきかな なんぢのあいさけよりもはるかにすぐれ なんぢの香膏にほひあぶらかをり一切すべて香物かうものよりもすぐれたり 11 新婦󠄃はなよめよ なんぢのくちびるみつしたたらす なんぢのしたそこにはみつ乳󠄃ちゝとあり なんぢの衣裳ころも香氣かをりはレバノンの香氣かをりのごとし 12 わがいもわがはなよめよ なんぢはとぢたるその とぢたる水源みなもと ふうじたる泉水いづみのごとし 13 なんぢのそのなかおひいづるもの石榴ざくろおよびもろもろの佳果よきみまたコペルおよびナルダのくさ 14 ナルダ 番紅花さふらん 菖蒲しやうぶ 桂枝けいしさまざまの乳󠄃香にうかうおよび沒藥もつやく 蘆薈ろくわい一切すべてたふとき香物かうもつなり 15 なんぢはその泉水いづみ いけみづ レバノンよりいづる流水ながれなり 16 きたかぜ起󠄃おこみなみかぜきたわがそのふきてその香氣かをりあげよ ねがはくはわがあいするもののおのがそのにいりきたりてその食󠄃くらはんことを

第5章

1 わがいもわがはなよめよ われはわがそのにいり わが沒藥もつやく薫物かをりものとをり わが蜜房みつぶさみつとを食󠄃くらひ わがさけとわが乳󠄃ちゝとをのめり わが伴󠄃侶等ともだち請󠄃食󠄃くらへ わがあいする人々ひと〴〵請󠄃のみあけよ〘896㌻〙 2 われはねむりたれどもわがこゝろさまゐたり ときにわがあいするものこゑあり すなはちかどをたたきていふ わがいもわが佳耦とも わが鴿はと わがまたきものよ われのためにひらけ わがかうべにはつゆ滿ち わがかみには點滴しづくみてりと 3 われすでにわが衣服󠄃ころもぬげり いかでまたるべき すでにわがあしをあらへり いかでまたけがすべき
 1164㌻ 
4 わがあいするもの穴󠄄あなよりをさしいれしかば わがこゝろかれのためにうごきたり 5 やがて起󠄃おきいでてわがあいするものためひらかんとせしとき 沒藥もつやくわがより沒藥もつやくしるわがゆびよりながれて關木くわんのき把柄とりてのうへにしたたれり 6 われわがあいするものためひらきしに わがあいするものすで退󠄃しりぞりぬ さきにそのものいひしときはわがこゝろさわぎたり われかれをたづねたれども遇󠄃あはよびたれども答應こたへなかりき 7 まちをまはりありく夜巡󠄃者よまはりわれをてうちてきずつけ 石垣いしがきをまもるものらはわが上衣うはぎをはぎとれり 8 ヱルサレムの女子等をうなごらわれなんぢらにかたく請󠄃ふ もしわがあいするものにあはばなんぢなにとこれにつぐべきや われあいによりてやみわづらふとつげ 9 なんぢのあいするものほかひとあいするものなに勝󠄃まされるところありや 婦󠄃女をんなうちのいとうるはしきものよ なんぢがあいするものほかひとあいするものなに勝󠄃まされるところありてかくわれらにかた請󠄃ふや 10 わがあいするものしろくかつくれなゐにして萬人まんにんうへ 11 そのかしら純金じゆんきんのごとく そのかみはふさやかにしてくろきことからすのごとし 12 そのたにがはみづのほとりにをる鴿はとのごとく 乳󠄃ちゝにてあらはれてうるはしくはまれり 13 そのほゝかぐはしきはなとこのごとく 香草かをりぐさだんのごとし そのくちびる百合花ゆりのごとくにして沒藥もつやくしるをしたたらす 14 そのはきばみたる碧玉みどりだまはめ黄金こがねくしろのごとく そのむくろ靑玉あをだまをもておほひたる象牙ざうげ彫刻物ほりもののごとし 15 そのはぎ蝋石らうせきはしら黄金こがねだいにてたてたるがごとく その相貌すがたはレバノンのごとく そのすぐれたるさまは香柏かうはくのごとし 16 そのくちははなはだあままことかれにはひとつだにうつくしからぬ所󠄃ところなし ヱルサレムの女子等をうなごらよ これぞわがあいするもの これぞわが伴󠄃侶ともなる

第6章

1 婦󠄃女をんなのいとうるはしきものよ なんぢあいするもの何處いづこへゆきしや なんぢのあいするものはいづこへおもむきしや われらなんぢとともにたづねん 2 わがあいするものはおのれそのにくだり かぐはしきはなとこにゆき そのなかにてむれひ また百合花ゆり
 1165㌻ 
3 われはわがあいするものにつき わがあいするものはわれにつく かれ百合花ゆりなかにてそのむれ〘897㌻〙 4 わが佳耦ともよ なんぢはうるはしきことテルザのごとく はなやかなることヱルサレムのごとく おそるべきことはたをあげたる軍旅つはもののごとし 5 なんぢのわれをおそれしむ 請󠄃われよりはなれしめよ なんぢのかみはギレアデやまこしふしたる山羊やぎむれたり 6 なんぢのきりたるひつじ浴塲あらひばよりいでたるがごとし おのおの雙子ふたごをうみてひとつもなきものはなし 7 なんぢのほゝ面帕かほおほひうしろにありて石榴ざくろ半󠄃片かたわれたり 8 きさき六十にん 妃嬪をむなめ八十にん かずしられぬ處女をとめあり 9 わが鴿はとわがまたものはただ一人ひとりのみ かれはそのはゝ獨子ひとりごにしてうみたるものよろこぶところのものなり 女子等をうなごらかれ幸福さいはひなるものととなへ 后等きさきたち妃嬪等をむなめたちかれ 10 この晨光しののめのごとくにえわたり つきのごとくにうるはしく のごとくにかがやき おそるべきことはたをあげたる軍旅つはもののごときものたれぞや 11 われ胡桃くるみそのにくだりゆき たにあを草木くさき 葡萄ぶだうめざしし石榴ざくろはなさきしとまはしをりしに 12 意󠄃おもはずしらこゝろわれをしてわがたふときたみくるま中間なかにあらしむ 13 かへかへれシユラミの婦󠄃をんなかへかへれ われらなんぢんことをねがふ なんぢらなんとてマハナイムの跳舞をどりるごとくにシユラミの婦󠄃をんなんとねがふや

第7章

1 きみむすめよ なんぢのあしくつなかにありて如何いかうるはしきかな なんぢもゝはまろらかにしてたまのごとく 巧匠たくみにてつくりたるがごとし 2 なんぢのほぞ美酒よきさけかくることあらざるまる杯盤さかづきのごとく なんぢのはらつみかさねたるむぎのまはりを百合花ゆりもてかこめるがごと 3 なんぢの兩乳󠄃房もろちぶさ鹿じか雙子ふたごなるふたつ小鹿こじかのごとし 4 なんぢのうなじ象牙ざうげ戍樓やぐらごとなんぢはヘシボンにてバテラビムのもんのほとりにあるいけのごとく なんぢのはなはダマスコにむかへるレバノンの戍樓やぐらのごとし
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5 なんぢのかしらはカルメルのごとく なんぢのかしら紫花むらさきのごとし わうそのたれたるにつながれたり 6 あああいよ もろもろの快樂たのしみうちにありてなんぢは如何いかうるはしく如何いかよろこばしきものなるかな 7 なんぢのたけ棕櫚しゆろひとしく なんぢの乳󠄃房ちぶさ葡萄ぶだうのふさのごとし 8 われおもふこの棕櫚しゆろにのぼり そのえだとりつかんと なんぢの乳󠄃房ちぶさ葡萄ぶだうのふさのごとく なんぢのはな氣息いき林檎りんごのごとくにほはん 9 なんぢのくち美酒よきさけのごとし わがあいするもののためになめらかにながれくだり ねむれるものくちをしてうごかしむ 10 われはわがあいするものにつき かれはわれをこひしたふ〘898㌻〙 11 わがあいするものよ われら田舍いなかにくだり 村里むらざと宿やどらん 12 われらつとにおきて葡萄ぶだうめざししつぼみやいでし石榴ざくろはなやさきし いざ葡萄園ぶだうぞのにゆきてん かしこにてわれわがあいをなんぢにあたへん 13 戀茄こひなすかぐはしき香氣にほひはなち もろもろの果物くだものふるあたらしきともにわがうへにあり わがあいするものわれこれをなんぢのためにたくはへたり

第8章

1 ねがはくはなんぢわがはゝ乳󠄃ちゝをのみしわが兄弟きやうだいのごとくならんことを われ戶外そとにてなんぢに遇󠄃ふとき接吻くちつけせん しかするともたれありてわれをいやしむるものあらじ 2 われなんぢをひきてわがはゝいへにいたり なんぢより敎晦をしへをうけん われかぐはしきさけ 石榴ざくろのあまきしるをなんぢにのましめん 3 かれがひだりはわがかしらしたにあり そのみぎをもてわれいだ 4 ヱルサレムの女子等をうなごらわれなんぢちかひて請󠄃あいのおのづから起󠄃おこときまで殊更ことさら喚起󠄃よびおこさますなかれ 5 おのれのあいするものよりかかりて荒野あれのよりのぼりきたるものたれぞや
  林檎りんごしたにてわれなんぢをよびさませり なんぢのはゝかしこにてなんぢのために劬勞くるしみをなし なんぢをうみものかしこにて劬勞くるしみをなしぬ
6 われをなんぢこゝろにおきておしでのごとくし なんぢのうでにおきておしでのごとくせよ あいつよくしてのごとく 嫉妬ねたみかたくして陰府よみにひとし そのほのほのほのほのごとし いともはげしきほのほなり
 1167㌻ 
7 あい大水おほみづ消󠄃けすことあたはず 洪水こうずゐおぼらすことあたはず ひとそのいへ一切すべてものをことごとくあたへてあいかへんとするともなほいやしめらるべし 8 われらちひさき妹子いもうとあり いま乳󠄃房ちぶさあらず われらの妹子いもうと問聘いひこみをうくるにはこれなにをなしてあたへんや 9 かれもし石垣いしがきならんにはわれ白銀しろかねしろをそのうへにたてん かれもしならんには香柏かうはくいたをもてこれをかこまん 10 われは石垣いしがきわが乳󠄃房ちぶさ戍樓やぐらのごとし こゝをもてわれは情󠄃なさけをかうむれるもののごとくかれ前󠄃まへにありき 11 バアルハモンにソロモンの葡萄園ぶだうぞのをもてり これをそのまも者等ものどもにあづけおき 彼等かれらをしておのおのぎん一千をそののために納󠄃をさめしむ 12 われみずからのものなる葡萄園ぶだうぞのわれのにあり ソロモンなんぢは一千をよ そのをまもるものも二百をべし 13 なんぢそのなか住󠄃もの伴󠄃侶等ともたちなんぢのこゑみゝをかたむく 請󠄃われにこれをきかしめよ 14 わがあいするもの請󠄃急󠄃いそぎはしれ かぐはしき山々やま〳〵うへにありてしかのごとく 小鹿こじかのごとくあれ〘899㌻〙
 1168㌻