〘963㌻〙
第1篇
1 惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途󠄃にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり
2 かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ
3 かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん
4 あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし
5 然ばあしきものは審判󠄄にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり
6 そはヱホバはただしきものの途󠄃をしりたまふ されど惡きものの途󠄃はほろびん
第2篇
1 何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや
2 地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ
3 われらその械をこぼち その繩をすてんと
4 天に坐するもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし
5 かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ
6 しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと
7 われ詔命をのべんヱホバわれに宣まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り
8 われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ地の極をなんぢの有としてあたへん
9 汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打碎かんと
10 されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ
11 畏をもてヱホバにつかへ戰慄をもてよろこべ
12 子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途󠄃にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依賴むものは福ひなり
963㌻
第3篇
[ ダビデその子アブサロムを避󠄃しときのうた ]
1 ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからひて起󠄃りたつもの多し
2 わが靈魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほき セラ
3 されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり
4 われ聲をあげてヱホバによばはればその聖󠄄山より我にこたへたまふ セラ
5 われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり
6 われをかこみて立かまへたる千萬の人をも我はおそれじ〘745㌻〙
7 ヱホバよねがはくは起󠄃たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの齒ををりたまへり
8 救はヱホバにあり ねがはくは恩惠なんぢの民のうへに在んことを セラ
第4篇
[ 琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 ]
1 わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ
2 人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虛僞をしたひていくそのときを經んとするか セラ
3 然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聽たまはん
4 なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて默せ セラ
5 なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依賴め
6 おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖󠄄顏の光をわれらの上にのぼらせたまへ
964㌻
7 なんぢのわが心にあたへたまひし歡喜はかれらの穀物と酒との豐かなる時にまさりき
8 われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
第5篇
[ 簫にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ
2 わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり
3 ヱホバよ朝󠄃になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望󠄇むべし
4 なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり
5 たかぶる者はなんぢの目前󠄃にたつをえず なんぢはすべて邪曲をおこなふものを憎みたまふ
6 なんぢは虛僞をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり
7 然どわれは豐かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖󠄄宮にむかひて拜まん
8 ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途󠄃をわが前󠄃になほくしたまへ
9 かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり
10 神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり〘746㌻〙
11 されど凡てなんぢに依賴む者をよろこばせ永遠󠄄によろこびよばはらせたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歡喜をえしめたまへ
12 ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩惠をもて之をかこみたまはん
965㌻
第6篇
[ 八音󠄃ある琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ
2 ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ
3 わが靈魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや
4 ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ
5 そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん
6 われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ淚をもてわが衾をひたせり
7 わが目うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ
8 なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり
9 ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん
10 わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ
第7篇
[ ベニヤミンの人クシの言につきダビデ、ヱホバに對ひてうたへるシガヨンの歌 ]
1 わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐󠄃せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ
2 おそらくはかれ獅の如くわが靈魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん
3 わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纒りをらんには
4 故なく仇するものをさへ助けしに禍害󠄅をもてわが友にむくいしならんには
5 よし仇人わがたましひを逐󠄃とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよ セラ
6 ヱホバよなんぢの怒をもて起󠄃わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判󠄄をおほせ出したまへり
7 もろもろの國人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまへ
966㌻
8 ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全󠄃とにしたがひて我をさばきたまへ〘747㌻〙
9 ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ
10 わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり
11 神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり
12 人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまへ
13 これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん
14 視よその人はよこしまを產んとしてくるしむ 殘害󠄅をはらみ虛僞をうむなり
15 また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり
16 その殘害󠄅はおのが首にかへり その强暴はおのが頭上にくだらん
17 われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん
第8篇
[ ギデトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 ]
1 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊󠄅きかな その榮光を天におきたまへり
2 なんぢは嬰兒ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭靜めんがためなり
3 我なんぢの指のわざなる天を觀なんぢの設けたまへる月と星とをみるに
4 世人はいかなるものなればこれを聖󠄄念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧󠄃みたまふや
5 只すこしく人を神よりも卑つくりて榮と尊󠄅貴とをかうぶらせ
6 またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり
7 すべての羊うしまた野の獸
8 そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり
967㌻
9 われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊󠄅きかな
第9篇
[ ムツラベン(調子の名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん
2 われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん
3 わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前󠄃にほろぶ
4 なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判󠄄をしつつ寳座にすわりたまへり
5 またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり
6 仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし
7 ヱホバはとこしへに聖󠄄位にすわりたまふ 審判󠄄のためにその寳座をまうけたまひたり〘748㌻〙
8 ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判󠄄をおこなひたまはん
9 ヱホバは虐󠄃げらるるものの城また難みのときの城なり
10 聖󠄄名をしるものはなんぢに依賴ん そはヱホバよなんぢを尋󠄃るものの棄られしこと斷てなければなり
11 シオンに住󠄃たまふヱホバに對ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ
12 血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず
13 ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ
14 さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん
15 もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる
16 ヱホバは己をしらしめ審判󠄄をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン セラ
17 あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん
968㌻
18 貧󠄃者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望󠄇はとこしへに滅ぶるにあらず
19 ヱホバよ起󠄃たまへ ねがはくは勝󠄃を人にえしめたまふなかれ御前󠄃にてもろもろのくにびとに審判󠄄をうけしめたまヘ
20 ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘ セラ
第10篇
1 ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや
2 あしき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまへ
3 あしきひとは己がこころの欲望󠄇をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ
4 あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり
5 かれの途󠄃はつねに堅く なんぢの審判󠄄はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く
6 かくて己がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害󠄅なかるべしと
7 その口にはのろひと虛僞としへたげとみち その舌のしたには殘害󠄅とよこしまとあり
8 かれは村里のかくれたる處にをり隱やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ
9 窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧󠄃しきものをその網にひきいれてとらふ〘749㌻〙
10 また身をかがめて蹲まるその强勁によりて依仗なきものは仆る
11 かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと
12 ヱホバよ起󠄃たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ
13 いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや
14 なんぢは鍳たまへりその殘害󠄅と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり
969㌻
15 ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまへ
16 ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の國より跡をたちたり
17 ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき
18 孤子と虐󠄃げらる者とのために審判󠄄をなし地につける人にふたゝび恐嚇をもちひざらしめ給はん
第11篇
[ うたのかみに謳はしめたるダビデのうた ]
1 われヱホバに依賴めり なんぢら何ぞわが靈魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや
2 視よあしきものは暗󠄃處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ
3 基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや
4 ヱホバはその聖󠄄宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ
5 ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと强暴をこのむ者とをにくみ
6 羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫磺ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり
7 ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖󠄄顏をあふぎみん
第12篇
[ 八音󠄃にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ああヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消󠄃失るなり
2 人はみな虛僞をもてその隣とあひかたり滑なるくちびると貳心とをもてものいふ
3 ヱホバはすべての滑かなるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん
970㌻
4 かれらはいふ われら舌をもて勝󠄃をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと
5 ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧󠄃しきもの歎くがゆゑに我いま起󠄃てこれをその慕ひもとむる平󠄃安におかん〘750㌻〙
6 ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる爐にてねり七次きよめたる白銀のごとし
7 ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん
8 人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり
第13篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をわすれたまふや 聖󠄄顏をかくしていくそのときを歷たまふや
2 われ心のうちに終󠄃日かなしみをいだき籌畫をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか
3 わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん
4 おそらくはわが仇いはん 我かれに勝󠄃りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん
5 されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん
6 ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん
第14篇
[ うたのかみに謳はしめたるダビデのうた ]
1 愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし
2 ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに
3 みな逆󠄃きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし
4 不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり
971㌻
5 視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり
6 なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避󠄃所󠄃なり
7 ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返󠄄したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第15篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖󠄄山にすまはんものは誰ぞ
2 直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる
3 かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむる言をあげもちひず〘751㌻〙
4 惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害󠄅となるも變ることなし
5 貨をかして過󠄃たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠󠄄にうごかさるることなかるべし
第16篇
[ ダビデがミクタムの歌 ]
1 神よねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依賴む
2 われヱホバにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと
3 地にある聖󠄄徒はわが極めてよろこぶ勝󠄃れしものなり
4 ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ
5 ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所󠄃領をまもりたまはん
6 準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな
972㌻
7 われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ
8 われ常にヱホバをわが前󠄃におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし
9 このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平󠄃安にをらん
10 そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖󠄄者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり
11 なんぢ生命の道󠄃をわれに示したまはん なんぢの前󠄃には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり
第17篇
[ ダビデの祈禱 ]
1 ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ
2 ねがはくはわが宣吿みまへよりいでてなんぢの目公平󠄃をみたまはんことを
3 なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん
4 人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途󠄃をさけたり
5 わが步はかたくなんぢの途󠄃にたちわが足はよろめくことなかりき
6 神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ
7 なんぢに依賴むものを右手をもて仇するものより救ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ
8 願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし〘752㌻〙
9 我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ
10 かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり
973㌻
11 いづこにまれ徃ところにてわれらを打圍み われらを地にたふさんと目をとむ
12 かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隱やかなるところに潜みまつ壯獅のごとし
13 ヱホバよ起󠄃たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが靈魂をすくひたまへ
14 ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺󠄃す
15 されどわれは義にありて聖󠄄顏をみ目さむるとき容光をもて飽󠄄足ることをえん
第18篇
[ 伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデの歌、このうたの詞はもろもろの仇およびサウルの手より救れしときヱホバに對ひてうたへるなり 云く ]
1 ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ
2 ヱホバはわが巖 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり
3 われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん
4 死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり
5 陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり
6 われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又󠄂わが神にさけびたり ヱホバはその宮よりわが聲をききたまふ その前󠄃にてわがよびし聲はその耳にいれり
7 このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり
8 烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり
9 ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし
10 かくてケルブに乘りてとび風のつばさにて翔り
11 闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり
12 そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり
974㌻
13 ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり
14 ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり
15 ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり〘753㌻〙
16 ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ
17 わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最强かりき
18 かれらはわが災害󠄅の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき
19 ヱホバはわれを悅びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり
20 ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり
21 われヱホバの道󠄃をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり
22 そのすべての審判󠄄はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり
23 われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり
24 この故にヱホバはわがただしきとその目前󠄃にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり
25 なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全󠄃ものには全󠄃きものとなり
26 きよきものには潔󠄄きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ
27 そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり
28 なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗󠄃をてらしたまはん
29 我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ
30 神はしもその途󠄃またくヱホバの言はきよし ヱホバはすべて依賴むものの盾なり
31 そはヱホバのほかに神はたれぞや われらの神のほかに巖はたれぞや
32 神はちからをわれに帶しめ わが途󠄃を全󠄃きものとなしたまふ
33 神はわが足を麀のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ
975㌻
34 神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ
35 又󠄂なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙󠄃卑われを大ならしめたまへり
36 なんぢわが步むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき
37 われ仇をおひてこれに追󠄃及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ
38 われかれらを擊てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし
39 そはなんぢ戰爭のために力をわれに帶しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり
40 我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり
41 かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき
42 我かれらを風のまへの塵のごとくに搗碎き ちまたの坭のごとくに打棄たり〘754㌻〙
43 なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん
44 かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん
45 ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん
46 ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな
47 わがために讎をむくい異邦人をわれに服󠄃はせたまふはこの神なり
48 神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起󠄃りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ
49 この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん
50 ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ
976㌻
第19篇
[ うたのかみに謳はしめたるダビデのうた ]
1 もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手のわざをしめす
2 この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる
3 語らずいはずその聲きこえざるに
4 そのひびきは全󠄃地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり
5 日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり
6 そのいでたつや天の涯よりし その運󠄃りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし
7 ヱホバの法はまたくして靈魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ
8 ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ
9 ヱホバを惶みおそるる道󠄃はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し
10 これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌增りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し
11 なんぢの僕はこれらによりて儆戒をうく これらをまもらば大なる報賞あらん
12 たれかおのれの過󠄃失をしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ
13 願くはなんぢの僕をひきとめて故意󠄃なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆をまぬかるるをえん
14 ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悅ばるることを得しめたまへ〘755㌻〙
第20篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ
2 聖󠄄所󠄃より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ
977㌻
3 汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことを セラ
4 ねがはくはなんちがこころの願望󠄇をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂󠄅しめたまはんことを
5 我儕なんぢの救によりて歡びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを
6 われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右手なるすくひの力にてかれに應へたまはん
7 あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん
8 かれらは屈みまた仆るわれらは起󠄃てかたくたてり
9 ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ
第21篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歡喜をなさん
2 なんぢ彼がこころの願望󠄇をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりき セラ
3 そはよきたまものの惠をもてかれを迎󠄃へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり
4 かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齡の日を世々かぎりなからしめ給へり
5 なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊󠄅貴と稜威とをかれに衣せたまふ
6 そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖󠄄顏のまへの歡喜をもて樂しませたまへばなり
7 王はヱホバに依賴み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん
8 なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし
9 なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食󠄃つくさん
978㌻
10 汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん
11 かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂󠄅がたき謀略をおもひまはせばなり
12 汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん
13 ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん〘756㌻〙
第22篇
[ あけぼのの鹿の調にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌 ]
1 わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠󠄄くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか
2 ああわが神われ晝よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平󠄃安をえず
3 然はあれイスラエルの讃美のなかに住󠄃たまふものよ汝はきよし
4 われらの列祖はなんぢに依賴めり かれら依賴みたればこれを助けたまへり
5 かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき
6 然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる
7 すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ
8 かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悅びたまふが故にたすくべしと
9 されど汝はわれを胎內よりいだし給へるものなり わが母のふところにありしとき旣になんぢに依賴ましめたまへり
10 我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり
11 われに遠󠄄ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又󠄂すくふものなければなり
12 おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり
13 かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし
14 われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり
15 わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり
979㌻
16 そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり
17 わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる
18 かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを䰗にす
19 ヱホバよ遠󠄄くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速󠄃きたりてわれを授けたまへ
20 わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ
21 われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり
22 われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん
23 ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め〘757㌻〙
24 ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖󠄄顏をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり
25 大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん
26 謙󠄃遜者はくらひて飽󠄄ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを
27 地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前󠄃にふしをがむべし
28 國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ
29 地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくだるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拜跪かん
30 たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし
31 かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん
980㌻
第23篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ
2 ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ
3 ヱホバはわが靈魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ
4 たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害󠄅をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む
5 なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり
6 わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん
第24篇
[ ダビデのうた ]
1 地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり
2 ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり
3 ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖󠄄所󠄃にたつべき者はたれぞ
4 手きよく心いさぎよき者そのたましひ虛きことを仰ぎのぞまず僞りの誓をせざるものぞ その人なる
5 かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん
6 斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖󠄄顏をもとむる者なり セラ
7 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戶よあがれ 榮光の王いりたまはん
8 えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戰鬪にたけきヱホバなり〘758㌻〙
9 門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戶よあがれ 榮光の王いりたまはん
10 この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なる セラ
981㌻
第25篇
[ ダビデのうた ]
1 ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望󠄇む
2 わが神よわれなんぢに依賴めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝󠄃誇ることなからしめたまへ
3 實になんぢを俟望󠄇むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん
4 ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ
5 我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終󠄃日なんぢを俟望󠄇む
6 なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絕ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ
7 わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまへ
8 ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道󠄃をつみびとにをしへ
9 謙󠄃だるものを正義にみちびきたまはん その道󠄃をへりくだる者にしめしたまはん
10 ヱホバのもろもろの道󠄃はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり
11 わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまへ
12 ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道󠄃をしめしたまはん
13 かかる人のたましひは平󠄃安にすまひ その裔はくにをつぐべし
14 ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契󠄅約をかれらに示したまはん
15 わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり
16 ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり
17 願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ
18 わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ
982㌻
19 わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情󠄃なき憾をもてわれをにくめり
20 わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依賴めばなり
21 われなんぢを挨望󠄇むねがはくは完全󠄃と正直とわれをまもれかし
22 神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ〘759㌻〙
第26篇
[ ダビデの歌 ]
1 ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全󠄃によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依賴めり
2 ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを鍊きよめたまへ
3 そは汝のいつくしみわが眼前󠄃にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり
4 われは虛しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ
5 惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ
6 われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり
7 感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん
8 ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとゞまる處とをいつくしむ
9 願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ
10 かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ
11 されどわれはわが完全󠄃によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ
12 わがあしは平󠄃坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん
第27篇
[ ダビデの歌 ]
1 ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや
983㌻
2 われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり
3 縱ひいくさびと營をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戰ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり
4 われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ
5 ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巖のうへに我をたかく置たまふべければなり
6 今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歡喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん
7 わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ
8 なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖󠄄言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖󠄄顏をたづねんといへり
9 ねがはくは聖󠄄顏をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ〘760㌻〙
10 わが父󠄃母われをすつるともヱホバわれを迎󠄃へたまはん
11 ヱホバよなんぢの途󠄃をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途󠄃にみちびきたまへ
12 いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起󠄃りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ
13 われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや
14 ヱホバを俟望󠄇ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ
第28篇
[ ダビデの歌 ]
1 ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗󠄃啞となりたまふなかれ なんぢ默したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん
984㌻
2 われ汝にむかひてさけび聖󠄄所󠄃の奧にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ
3 あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には殘害󠄅をいだけり
4 その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與へこれにその受べきものを報いたまへ
5 かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん
6 ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをききたまひたり
7 ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依賴みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん
8 ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり
9 なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懷きたすけたまへ
第29篇
[ ダビデの歌 ]
1 なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ
2 その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拜みまつれ
3 ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり
4 ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり
5 ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ
6 これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ〘761㌻〙
7 ヱホバのみこゑは火焔をわかつ
985㌻
8 ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ
9 ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ
10 ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠󠄄に王なり
11 ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平󠄃安をもてその民をさきはひたまはん
第30篇
[ 殿をささぐるときに謳へるダビデのうた ]
1 ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり
2 わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり
3 ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき
4 ヱホバの聖󠄄徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ
5 その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝󠄃にはよろこびうたはん
6 われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと
7 ヱホバよなんぢ惠をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり
8 ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり
9 われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや
10 ヱホバよ聽たまへ われを憐みたまへ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ
11 なんぢ踴躍󠄃をもてわが哀哭にかへわが麁服󠄃をとき歡喜をもてわが帶としたまへり
12 われ榮をもてほめうたひつつ默すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠󠄄になんぢに感謝せん
986㌻
第31篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ
2 なんぢの耳をかたぶけて速󠄃かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ
3 なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導󠄃きたまへ
4 なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり
5 われ靈魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり
6 われはいつはりの虛きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり〘762㌻〙
7 我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害󠄅をしり
8 われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり
9 われ迫󠄃りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 靈魂も身もまた衰へぬ
10 わが生命はかなしみによりて消󠄃えゆき わが年華はなげきによりて消󠄃ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり
11 われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避󠄃てのがる
12 われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり
13 そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり
14 されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり
15 わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追󠄃迫󠄃るものより助けいだしたまへ
16 なんぢの僕のうへに聖󠄄顏をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまへ
987㌻
17 ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ
18 傲慢と輕侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ
19 汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依賴むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな
20 汝かれらを御前󠄃なるひそかなる所󠄃にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん
21 讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顯したまへり
22 われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絕れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり
23 なんぢらもろもろの聖󠄄徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ
24 すべてヱホバを俟望󠄇むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ
第32篇
[ ダビデの訓諭のうた ]
1 その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり〘763㌻〙
2 1不義をヱホバに負󠄅せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり
3 我いひあらはさざりしときは終󠄃日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり
4 なんぢの手はよるも晝もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれり セラ
5 斯てわれなんぢの前󠄃にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへり セラ
6 されば神をうやまふ者はなんぢに遇󠄃ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ
988㌻
7 汝はわがかくるべき所󠄃なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはん セラ
8 われ汝ををしへ汝をあゆむべき途󠄃にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん
9 汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具󠄄をもてひきとめずば近󠄃づききたることなし
10 惡者はかなしみ多かれどヱホバに依賴むものは憐憫にてかこまれん
11 ただしき者よヱホバを喜びたのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし
第33篇
1 ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適󠄄はしきなり
2 琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ
3 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歡喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ
4 ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり
5 ヱホバは義と公平󠄃とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ
6 もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり
7 ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ
8 全󠄃地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし
9 そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり
10 ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虛くし もろもろの民のおもひを徒勞にしたまふ
11 ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ
12 ヱホバをおのが神とする國はさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり
13 ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見
14 その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ
15 ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ〘764㌻〙
989㌻
16 王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり
17 馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん
18 視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり
19 此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり
20 われらのたましひはヱホバを侯望󠄇めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり
21 われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん
22 ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ
第34篇
[ ダビデ、アビメレクのまへにて狂へる狀をなし逐󠄃れていでさりしときに作れるうた ]
1 われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ
2 わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙󠄃だるものは之をききてよろこばん
3 われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん
4 われヱホバを尋󠄃ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり
5 かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし
6 この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり
7 ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに營をつらねてこれを援く
8 なんぢらヱホバの恩惠ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり
9 ヱホバの聖󠄄徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり
10 わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ
11 子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん
990㌻
12 福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや
13 なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虛僞をいはざらしめよ
14 惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ
15 ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの號呼にかたぶく
16 ヱホバの聖󠄄顏はあくをなす者にむかひてその跡を地より斷滅したまふ
17 義者さけびたればヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり
18 ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ〘765㌻〙
19 ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ
20 ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし
21 惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし
22 ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依賴むものは一人だにつみなはるることなからん
第35篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戰ひたまへ
2 干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ
3 戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途󠄃をふさぎ且わが靈魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ
4 願くはわが靈魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退󠄃けられて惶てふためかんことを
5 ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを
6 願くはかれらの途󠄃をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追󠄃ゆかしめたまはんことを
991㌻
7 かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが靈魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり
8 願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを
9 然ときわが靈魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん
10 わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧󠄃しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと
11 こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ
12 かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり
13 然どわれかれらが病しときには麁服󠄃をつけ糧をたちてわが靈魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり
14 わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり
15 然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき
16 かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて齒をかみならせり
17 主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ〘766㌻〙
18 われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん
19 虛僞をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ
20 かれらは平󠄃安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國內におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る
21 然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり
22 ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは默したまふなかれ主よわれに遠󠄄ざかりたまふなかれ
992㌻
23 わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判󠄄をなしわが訟ををさめたまへ
24 わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歡喜をえしめたまふなかれ
25 かれらにその心裡にて ああここちよきかな觀よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又󠄂われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ
26 願くはわが害󠄅なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを
27 わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悅びたまふと恒にいはしめたまへ
28 わが舌は終󠄃日なんぢの義となんぢの譽とをかたらん
第36篇
[ 伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデのうた ]
1 あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ
2 かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る
3 その口のことばは邪曲と虛僞となり智をこばみ善をおこなふことを息たり
4 かつその寢床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途󠄃にたちとまりて惡をきらはず
5 ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
6 汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判󠄄はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ
7 神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得
8 なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽󠄄ことをえん なんぢはその歡樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん
9 そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん
993㌻
10 ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ〘767㌻〙
11 たかぶるものの足われをふみ惡きものの手われを逐󠄃去ふをゆるし給ふなかれ
12 邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起󠄃ことあたはざるべし
第37篇
[ ダビデのうた ]
1 惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ
2 かれらはやがて草のごとくかりとられ靑菜のごとく打萎るべければなり
3 ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとゞまり眞實をもて糧とせよ
4 ヱホバによりて歡喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん
5 なんぢの途󠄃をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ
6 光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん
7 なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍󠄄びてこれを俟望󠄇め おのが途󠄃をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ
8 怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん
9 そは惡をおこなふものは斷滅され ヱホバを俟望󠄇むものは國をつぐべければなり
10 あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん
11 されど謙󠄃だるものは國をつぎ また平󠄃安のゆたかなるを樂まん
12 惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切齒す
13 主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり
14 あしきものは劍をぬき弓をはりて苦しむものと貧󠄃しきものとをたふし行ひなほきものを殺さんとせり
994㌻
15 されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし
16 義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豐かなるにまされり
17 そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり
18 ヱホバは完全󠄃もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん
19 かれらは禍害󠄅にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん
20 あしき者はほろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消󠄃ゆかん
21 あしき者はものかりて償はず 義きものは惠ありて施しあたふ
22 神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は斷滅さるべし
23 人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途󠄃をヱホバよろこびたまへり〘768㌻〙
24 縱ひその人たふるることありとも全󠄃くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへばなり
25 われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし
26 ただしきものは終󠄃日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり
27 惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住󠄃居とこしへならん
28 ヱホバは公平󠄃をこのみ その聖󠄄徒をすてたまはざればなり かれらは永遠󠄄にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは斷滅さるべし
29 ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん
30 ただしきものの口は智慧󠄄をかたり その舌は公平󠄃をのぶ
31 かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一步だにすべることあらじ
32 あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる
33 ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判󠄄のときに罰ひたまふことなし
34 ヱホバを俟望󠄇みてその途󠄃をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん
995㌻
35 我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし
36 然れどもかれは逝󠄃ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき
37 完人に目をそそぎ直人をみよ 和平󠄃なる人には後あれど
38 罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず斷るべければなり
39 ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり
40 ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避󠄃所󠄃とすればなり
第38篇
[ 記念のためにつくれるダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給ふなかれ
2 なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり
3 なんぢの怒によりてわが肉には全󠄃きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし
4 わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負󠄅がたければなり
5 われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり
6 われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終󠄃日かなしみありく
7 わが腰はことごとく燒るがごとく肉に全󠄃きところなければなり〘769㌻〙
8 我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやすからざるによりて欷歔さけべり
9 ああ主よわがすべての願望󠄇はなんぢの前󠄃にあり わが嘆息はなんぢに隱るることなし
10 わが胸をどりわが力おとろへ わが眼のひかりも亦われをはなれたり
11 わが友わが親めるものはわが痍をみて遙にたち わが隣もまた遠󠄄かりてたてり
12 わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終󠄃日たばかりを謀る
13 然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ啞者のごとし
996㌻
14 如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり
15 ヱホバよ我なんぢを俟望󠄇めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり
16 われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと
17 われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前󠄃にあり
18 そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり
19 わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし
20 惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり
21 ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠󠄄かりたまふなかれ
22 主わがすくひよ速󠄃きたりて我をたすけたまへ
第39篇
[ 伶長エドトンにうたはしめたるダビデのうた ]
1 われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途󠄃をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと
2 われ默して啞となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり
3 わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく
4 ヱホバよ願くはわが終󠄃とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ
5 觀よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前󠄃にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなし セラ
6 人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄ふるものはたが手にをさまるをしらず
7 主よわれ今なにをかまたん わが望󠄇はなんぢにあり
8 ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ
997㌻
9 われは默して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なればなり〘770㌻〙
10 願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ
11 なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消󠄃うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなし セラ
12 ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが淚をみて默したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列祖のごとく宿れるものなり
13 我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ
第40篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 我たへしのびてヱホバを俟望󠄇みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり
2 また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが步をかたくしたまへり
3 ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり おほくの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん
4 ヱホバをおのが賴となし高るものによらず虛僞にかたぶく者によらざる人はさいはひなり
5 わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず
6 なんぢ犧牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず
7 そのとき我いへらく 觀よわれきたらんわがことを書の卷にしるしたり
8 わが神よわれは聖󠄄意󠄃にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと
998㌻
9 われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ
10 われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞實となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき
11 ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ
12 そはかぞへがたき禍害󠄅われをかこみ わが不義われに追󠄃及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髮にもまさり わが心きえうするばかりなればなり
13 ヱホバよ願くはわれをすくひたまへ ヱホバよ急󠄃ぎきたりて我をたすけたまへ
14 願くはわが靈魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害󠄅はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを〘771㌻〙
15 われにむかひて ああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを
16 願くはなんぢを尋󠄃求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを
17 われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ
第41篇
[ うたのかみに謳はしめたるダビデのうた ]
1 よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん
2 ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ
3 ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん
4 我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと
999㌻
5 わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと
6 かれ又󠄂われを見んとてきたるときは虛僞をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述󠄃ぶ
7 すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る
8 かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたゝび起󠄃ることなからんと
9 わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり
10 然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起󠄃したまへ されば我かれらに報ることをえん
11 わが仇われに打勝󠄃てよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛いつくしみたまふを我しりぬ
12 わが事をいはば なんぢ我をわが完全󠄃うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ
13 イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠󠄄までほむべきかな アーメン アーメン
第42篇
[ 伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌 ]
1 ああ神よしかの溪水をしたひ喘ぐがごとく わが靈魂もなんぢをしたひあへぐなり
2 わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん
3 かれらが終󠄃日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが淚のみ晝夜そそぎてわが糧なりき〘772㌻〙
4 われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歡喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追󠄃想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり
5 ああわが靈魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖󠄄顏のたすけありて我なほわが神をほめたたふべければなり
6 わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ
1000㌻
7 なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり
8 然はあれど晝はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり
9 われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや
10 わが骨もくだくるばかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひののしりつつ我をそしれり
11 ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尙わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり
第43篇
1 神よねがはくは我をさばき 情󠄃しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭計おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ
2 なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐󠄃によりてかなしみありくや
3 願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖󠄄山とその帷幄とにゆかしめたまへ
4 さらばわれ神の祭壇にゆき又󠄂わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん
5 ああわが靈魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望󠄇をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり
第44篇
[ 伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌 ]
1 ああ神よむかしわれらの列祖の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列祖われらに語れり
1001㌻
2 なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列祖をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列祖をはびこらせたまひき
3 かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝󠄃をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを惠みたまひたればなり〘773㌻〙
4 神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ
5 われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起󠄃りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし
6 そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざればなり
7 なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり
8 われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠󠄄になんぢの名に感謝せん セラ
9 しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず
10 われらを敵のまへより退󠄃かしめたまへり われらを惡むものその任意󠄃にわれらを掠めうばへり
11 なんぢわれらを食󠄃にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし
12 得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき
13 汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり
14 又󠄂もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり
15 わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり
16 こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり
17 これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契󠄅約をいつはりまもらざりき
18 われらの心しりぞかずわれらの步履なんぢの道󠄃をはなれず
1002㌻
19 然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり
20 われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには
21 神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隱れたることをも知たまふ
22 われらは終󠄃日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり
23 主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起󠄃たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ
24 いかなれば聖󠄄顏をかくしてわれらがうくる苦難と虐󠄃待とをわすれたまふや
25 われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり
26 ねがはくは起󠄃てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ〘774㌻〙
第45篇
[ 百合花のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のをしへのうた 愛のうた ]
1 わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり
2 なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり
3 英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし
4 なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝󠄃をえて乘すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん
5 なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる
6 神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平󠄃のつゑなり
7 なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり
8 なんぢの衣はみな沒藥蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の音󠄃ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこばしめたり
9 なんぢがたふとき婦󠄃のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ
1003㌻
10 女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父󠄃の家とをわすれよ
11 さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拜め
12 ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの惠をこひもとめん
13 王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり
14 かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん
15 かれらは歡喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん
16 なんぢの子らは列祖にかはりてたち なんぢはこれを全󠄃地に君となさん
17 我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし
第46篇
[ 女音󠄃のしらべにしたがひて伶長にうたはしめたるコラの子のうた ]
1 神はわれらの避󠄃所󠄃また力なり なやめるときの最ちかき助なり
2 さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ
3 よしその水はなりとどろきてさわぐとも その溢󠄃れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらん セラ
4 河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖󠄄所󠄃をよろこばしむ〘775㌻〙
5 神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝󠄃つとにこれを助けたまはん
6 もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その聲をいだしたまへば地はやがてとけぬ
7 萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なり セラ
8 きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり
9 ヱホバは地のはてまでも戰鬪をやめしめ弓ををり戈をたち戰車を火にてやきたまふ
1004㌻
10 汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全󠄃地にあがめらるべし
11 萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなり セラ
第47篇
[ 伶長にうたはしめたるコラの子のうた ]
1 もろもろのたみよ手をうち歡喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ
2 いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめす大なる王にてましませばなり
3 ヱホバはもろもろの民をわれらに服󠄃はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ
4 又󠄂そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選󠄄びたまはん セラ
5 神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり
6 ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ
7 かみは地にあまねく王なればなり 敎訓のうたをうたひてほめよ
8 神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ
9 もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 地のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし
第48篇
[ コラの子のうたなり讃美なり ]
1 ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし
2 シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悅を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり
3 そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり
4 みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ
5 かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり
6 戰慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦󠄃のごとし
1005㌻
7 なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ
8 曩にわれらが聞しごとく今われらは萬軍のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはん セラ
9 神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり〘776㌻〙
10 神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り
11 なんぢのもろもろの審判󠄄によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし
12 シオンの周󠄃圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ
13 その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり
14 そはこの神はいや遠󠄄長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん
第49篇
[ 伶長にうたはしめたるコラの子のうた ]
1 -2 もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧󠄃きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ
3 わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん
4 われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん
5 わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの日もいかで懼るることあらんや
6 おのが富をたのみ財おほきを誇るもの
7 たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ
8 -9 之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(靈魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり)
10 そは智きものも死 おろかものも獸心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり
11 かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり
12 されど人は譽のなかに永くとゞまらず亡びうする獸のごとし
1006㌻
13 斯のごときは愚かなるものの途󠄃なり 然はあれど後人はその言をよしとせん セラ
14 かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝󠄃にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし
15 されど神われを接たまふべければわが靈魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはん セラ
16 人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ
17 かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり
18 かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも
19 なんぢ列祖の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし〘777㌻〙
20 尊󠄅貴なかにありて曉らざる人はほろびうする獸のごとし
第50篇
[ アサフのうた ]
1 ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり
2 かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり
3 われらの神はきたりて默したまはじ火その前󠄃にものをやきつくし暴風その四周󠄃にふきあれん
4 神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり
5 いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖󠄄徒をわがもとに集めよと
6 もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなり セラ
7 わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり
8 わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前󠄃にあり
1007㌻
9 我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず
10 林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり
11 われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獸はみなわがものなり
12 世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縱ひわれ饑るともなんぢに吿じ
13 われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや
14 感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ
15 なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし
16 -17 然はあれど神あしきものに言給く なんぢは敎をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや
18 なんぢ盜人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴󠄃侶となれり
19 なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は詭計をくみなせり
20 なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり
21 汝これらの事をなししをわれ默しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前󠄃につらぬべし
22 神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ
23 感謝のそなへものを獻るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん
第51篇
[ ダビデがバテセバにかよひしのち預言者ナタンの來れるときよみて伶長にうたはしめたる歌 ]
1 ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ〘778㌻〙
2 わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ
3 われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前󠄃にあり
4 我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖󠄄前󠄃にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ
1008㌻
5 視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき
6 なんぢ眞實をこころの衷にまでのぞみ わが隱れたるところに智慧󠄄をしらしめ給はん
7 なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ淨まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪󠄃よりも白からん
8 なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが碎きし骨をよろこばせたまへ
9 ねがはくは聖󠄄顏をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ
10 ああ神よわがために淸心をつくり わが衷になほき靈をあらたにおこしたまへ
11 われを聖󠄄前󠄃より棄たまふなかれ 汝のきよき靈をわれより取りたまふなかれ
12 なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の靈をあたへて我をたもちたまへ
13 さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途󠄃ををしへん罪人はなんぢに歸りきたるべし
14 神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん
15 主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん
16 なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悅びたまはず
17 神のもとめたまふ祭物はくだけたる靈魂なり 神よなんぢは碎けたる悔しこころを藐しめたまふまじ
18 ねがはくは聖󠄄意󠄃にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ
19 その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全󠄃きはんさいとを悅びたまはん かくて人々なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし
第52篇
[ エドム人ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの家にきぬと吿しときダビデがよみて伶長にうたはしめたる敎訓のうた ]
1009㌻
1 猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり
2 なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ
3 なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虛僞をいふをこのむ セラ
4 たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ
5 されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはん セラ〘779㌻〙
6 義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん
7 神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと
8 然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依賴まん
9 なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖󠄄徒のまへにて聖󠄄名をまちのぞまん こは宜しきことなればなり
第53篇
[ マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの敎訓のうた ]
1 愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし
2 神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに
3 みな退󠄃ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし
4 不義をおこなふものは知覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり
5 かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて營をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり
6 願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返󠄄したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
1010㌻
第54篇
[ ジフ人のサウルにきたりてダビデはわれらの處にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる敎訓のうた ]
1 神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ
2 神よわが祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ
3 そは外人はわれにさからひて起󠄃りたち强暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前󠄃におかざりき セラ
4 みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり
5 主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ
6 我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり〘780㌻〙
7 そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望󠄇をみたり
第55篇
[ ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる敎訓のうた ]
1 神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ
2 われに聖󠄄意󠄃をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり
3 これ仇のこゑと惡きものの暴虐󠄃とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負󠄅せ いきどほりて我におひせまるなり
4 わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり
5 おそれと戰慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり
6 われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平󠄃安をえん
7 みよ我はるかにのがれさりて野にすまん セラ
8 われ速󠄃かにのがれて暴風と狂風とをはなれん
9 われ都のうちに强暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ
1011㌻
10 彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり
11 また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし
12 われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尙しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨たりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし
13 されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり
14 われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき
15 死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その住󠄃處にありその中にあればなり
16 されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし
17 夕にあしたに晝にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし
18 ヱホバは我をせむる戰鬪よりわが靈魂をあがなひいだして平󠄃安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり
19 太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべし セラ かれらには變ることなく神をおそるることなし
20 かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契󠄅約をけがしたり
21 その口はなめらかにして乳󠄃酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝󠄃りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず〘781㌻〙
22 なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ
23 かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半󠄃にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん
1012㌻
第56篇
[ ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て「遠󠄄きところにをる音󠄃をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 ]
1 ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終󠄃日たたかひて我をしへたぐ
2 わが仇ひねもす急󠄃喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし
3 われおそるるときは汝によりたのまん
4 われ神によりてその聖󠄄言をほめまつらん われ神に依賴みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや
5 かれらは終󠄃日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす
6 かれらは群つどひて身をひそめ わが步に目をとめてわが靈魂をうかがひもとむ
7 かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ
8 汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが淚をたくはへたまへ こは皆なんぢの册にしるしあるにあらずや
9 わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る
10 われ神によりてその聖󠄄言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん
11 われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや
12 神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん
13 汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや
第57篇
[ ダビデが洞にいりてサウルの手をのがれしとき詠て「ほろぼすなかれ」にといふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた ]
1013㌻
1 我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが靈魂はなんぢを避󠄃所󠄃とす われ禍害󠄅のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避󠄃所󠄃とせん
2 我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん〘782㌻〙
3 神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはん セラ 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん
4 わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その齒は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ
5 神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全󠄃地のうへに擧たまへ
6 かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが靈魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれり セラ
7 わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん
8 わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん
9 主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん
10 そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる
11 神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに擧たまへ
第58篇
[ ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた ]
1 なんぢら默しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判󠄄をおこなふや
2 否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の强暴をこの地にはかりいだすなり
3 あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷󠄃ひていつはりをいふ
4 -5 かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし
1014㌻
6 神よかれらの口の齒ををりたまヘ ヱホバよ壯獅の牙をぬきくだきたまへ
7 願くはかれらを流れゆく水のごとくに消󠄃失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを
8 また融てきえゆく蝸牛のごとく婦󠄃のときならず產たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ
9 なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに靑をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん
10 義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん
11 かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと
第59篇
[ サウル、ダビデを殺さんとし人をおくりてその家をうかがはしめし時ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 ]〘783㌻〙
1 わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起󠄃立つものより脱かれしめたまへ
2 邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ
3 視よかれらは潜みかくれてわが靈魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず
4 かれら趨りまはりて過󠄃失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ
5 なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれ セラ
6 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく
7 視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと
8 されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん
9 わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり
1015㌻
10 憐憫をたまふ神はわれを迎󠄃へたまはん 神はわが仇につきての願望󠄇をわれに見させたまはん
11 願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ
12 かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虛僞とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ
13 忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまへ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまへ セラ
14 かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし
15 かれらはゆききして食󠄃物をあさり もし飽󠄄ことなくば終󠄃夜とゞまれり
16 されど我はなんぢの大能をうたひ淸晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫󠄃りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避󠄃所󠄃となりたまひたればなり
17 わがちからよ我なんぢにむかひて頌辭をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり
第60篇
[ ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき鹽谷にてエドム人一萬二千をころししとき敎訓をなさんとてダビデがよみて「證詞の百合花」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌 ]〘784㌻〙
1 神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ
2 なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり
3 なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり
4 なんぢ眞理のために擧しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへり セラ
1016㌻
5 ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
6 神はその聖󠄄をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん
7 ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖
8 モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ペリシテよわが故によりて聲をあげよと
9 たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか
10 神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず
11 ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空󠄃しければなり
12 われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり
第61篇
[ 琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ
2 わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ
3 なんぢはわが避󠄃所󠄃われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり
4 われ永遠󠄄になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれん セラ
5 神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり
6 なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん
7 王はとこしへに神のみまへにとゞまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ
8 さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん
1017㌻
第62篇
[ エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]〘785㌻〙
1 わがたましひは默してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり
2 神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ
3 なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく搖ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか
4 かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふ セラ
5 わがたましひよ默してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ
6 神こそはわが磐わがすくひなれ 又󠄂わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ
7 わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり
8 民よいかなる時にも神によりたのめ その前󠄃になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避󠄃所󠄃なり セラ
9 實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虛しきものよりも輕きなり
10 暴虐󠄃をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ
11 ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり
12 ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり
第63篇
[ ユダの野にありしときに詠るダビデのうた ]
1 ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが靈魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ
2 曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖󠄄所󠄃にありて目をなんぢより離れしめざりき
1018㌻
3 なんぢの仁慈はいのちにも勝󠄃れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん
4 斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん
5 -6 われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽󠄄ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん
7 そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん
8 わがたましひはなんぢを慕追󠄃ふ みぎの手はわれを支ふるなり
9 然どわがたましひを滅さんとて尋󠄃ねもとむるものは地のふかきところにゆき
10 又󠄂つるぎの刃󠄃にわたされ野犬の獲るところとなるべし
11 しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虛僞をいふものの口はふさがるべければなり〘786㌻〙
第64篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ
2 ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ
3 かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち
4 隱れたるところにて全󠄃者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし
5 また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと
6 かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終󠄃れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし
7 然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん
8 斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂󠄅にかれらは蹟かん これを見るものみな逃󠄄れさるべし
1019㌻
9 もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし
10 義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん
第65篇
[ 伶長にうたはしめたる歌ダビデの讃美なり ]
1 ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん
2 祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん
3 不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん
4 汝にえらばれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽󠄄ことをえん
5 われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠󠄄ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん
6 かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ
7 海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎭めたまへり
8 されば極遠󠄄にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝󠄃夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ
9 なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり
10 なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し〘787㌻〙
11 また恩惠をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途󠄃には膏したたれり
12 その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歡びにかこまる
13 牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ
1020㌻
第66篇
[ 伶長にうたはしめたる讃美なり 歌なり ]
1 全󠄃地よ神にむかひて歡びよばはれ
2 その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ
3 かみに吿まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ
4 全󠄃地はなんぢを拜みてうたひ名をほめうたはんと セラ
5 來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな
6 神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと步行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり
7 神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからず セラ
8 もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ
9 神はわれらの靈魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず
10 神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを鍊たまひたればなり
11 汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき
12 人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豐盛なる處にいたらしめたまへり
13 -14 われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫󠄃りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん
15 われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらん セラ
16 神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん
17 われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ
18 然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ
19 されどまことに神はききたまへり聖󠄄意󠄃をわがいのりの聲にとめたまへり
20 神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき
1021㌻
第67篇
[ 琴にあはせて伶長にうたはしめたる歌なり 讃美なり ]
1 ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖󠄄顏をわれらのうへに照したまはんことを セラ〘788㌻〙
2 此はなんぢの途󠄃のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり
3 かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
4 もろもろの國はたのしみ又󠄂よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなり セラ
5 神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
6 地は產物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん
7 神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん
第68篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美なり ]
1 ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前󠄃よりにげさらんことを
2 烟のおひやらるるごとくかれらを驅逐󠄃たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし
3 されど義きものには歡喜あり かれら神の前󠄃にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ばん
4 神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乘て野をすぐる者のために大道󠄃をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前󠄃によろこびをどれ
5 きよき住󠄃居にまします神はみなしごの父󠄃やもめの審士なり
6 神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆󠄃者はうるほひなき地にすめり
7 神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひき セラ
8 そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前󠄃にふるひうごけり
1022㌻
9 神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豐かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり
10 曩になんぢの公會はその中にとゞまれり 神よなんぢは惠をもて貧󠄃きもののために預備をなしたまひき
11 主みことばを賜ふ その佳音󠄃をのぶる婦󠄃女はおほくして群をなせり
12 もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃󠄄去りたれば家なる婦󠄃女はその掠物をわかつ
13 なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし
14 全󠄃能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪󠄃ふりたるがごとくなりき
15 バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり
16 峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住󠄃所󠄃にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠󠄄にこの山にすみたまはん〘789㌻〙
17 神の戰車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖󠄄所󠄃にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし
18 なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ禮物を人のなかよりも叛逆󠄃者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住󠄃たまはんが爲なり
19 日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかな セラ
20 神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る
21 神はその仇のかうべを擊やぶりたまはん 愆のなかにとゞまるものの髮おほき顱頂をうちやぶりたまはん
22 主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所󠄃よりたづさへ歸らん
23 斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん
24 神よすべての人はなんぢの進󠄃行きたまふをみたり わが神わが王の聖󠄄所󠄃にすすみゆきたまふを見たり
25 鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前󠄃にゆき琴ひくものは後にしたがへり
1023㌻
26 なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ
27 彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり
28 なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ
29 ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに禮物をささげん
30 ねがはくは葦間の獸むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服󠄃ふことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり
31 諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん
32 地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたへ セラ
33 上古よりの天の天にのりたまふ者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを發したまふ勢力ある聲をいだしたまふ
34 なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとゞまり その大能は雲のなかにあり
35 神のおそるべき狀はきよき所󠄃よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢力とをあたへたまふ 神はほむべきかな
第69篇
[ 百合花にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり〘790㌻〙
2 われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ
3 われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ
4 故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髮よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも償はせらる
1024㌻
5 神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり
6 萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるることなからしめたまへ イスラエルの神よねがはくはなんぢを求むる者をわが故によりて恥をおはしめらるることなからしめたまへ
7 我はなんぢのために謗をおひ恥はわが面をおほひたればなり
8 われわが兄弟には旅人のごとく わが母の子には外人のごとくなれり
9 そはなんぢの家をおもふ熱心われをくらひ汝をそしるものの謗われにおよべり
10 われ淚をながして食󠄃をたち わが靈魂をなげかすれば反てこれによりて謗をうく
11 われ麁布をころもとなししにかれらが諺語となりぬ
12 門にすわる者はわがうへをかたる われは醉狂たるものに謳ひはやされたり
13 然はあれどヱホバよわれは惠のときに汝にいのる ねがはくは神よなんぢの憐憫のおほきによりて汝のすくひの眞實をもて我にこたへたまへ
14 ねがはくは泥のなかより我をたすけいだして沈まざらしめたまへ 我をにくむものより深水よりたすけいだしたまへ
15 大水われを淹ふことなく淵われをのむことなく坑その口をわがうへに閉ることなからしめたまへ
16 ヱホバよねがはくは我にこたへたまへ なんぢの仁慈うるはしければなり なんぢの憐憫はおほしわれに歸りきたりたまへ
17 面をなんぢの僕にかくしたまふなかれ われ迫󠄃りくるしめり ねがはくは速󠄃かに我にこたへたまへ
18 わがたましひに近󠄃くよりて之をあがなひわが仇のゆゑに我をすくひたまへ
19 汝はわがうくる謗とはぢと侮辱とをしりたまへり わが敵はみな汝のみまへにあり
20 譭謗わが心をくだきぬれば我いたくわづらへり われ憐憫をあたふる者をまちたれど一人だになく慰むるものを俟たれど一人をもみざりき
21 かれら苦草をわがくひものにあたへ わが渇けるときに醋をのませたり
1025㌻
22 ねがはくは彼等のまへなる筵は網となり そのたのむ安逸はつひに羂となれ
23 その目をくらくして見しめず その腰をつねにふるはしめたまへ〘791㌻〙
24 願くはなんぢの忿恚をかれらのうへにそそぎ汝のいかりの猛烈をかれらに追󠄃及せたまへ
25 かれらの屋をむなしくせよ その幕屋に人をすまはするなかれ
26 かれらはなんぢが擊たまひたる者をせめ なんぢが傷けたまひたるものの痛をかたりふるればなり
27 ねがはくはれらの不義に不義をくはへてなんぢの義にあづからせ給ふなかれ
28 かれらを生命の册よりけして義きものとともに記さるることなからしめたまへ
29 斯てわれはくるしみ且うれひあり 神よねがはくはなんぢの救われを高處におかんことを
30 われ歌をもて神の名をほめたたへ 感謝をもて神をあがめまつらん
31 此はをうしまたは角と蹄とある力つよき牡牛にまさりてヱホバよろこびたまはん
32 謙󠄃遜者はこれを見てよろこべり 神をしたふ者よなんぢらの心はいくべし
33 ヱホバは乏しきものの聲をきき その俘囚をかろしめたまはざればなり
34 天地はヱホバをほめ蒼海とその中にうごくあらゆるものとはヱホバを讃まつるべし
35 神はシオンをすくひユダのもろもろの邑を建たまふべければなり かれらは其處にすみ且これをおのが有とせん
36 その僕のすゑも亦これを嗣その名をいつくしむ者その中にすまん
第70篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデが記念のうた ]
1 神よねがはくは我をすくひたまヘ ヱホバよ速󠄃きたりて我をたすけたまへ
2 わが靈魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害󠄅はるるをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを
3 ああ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを
1026㌻
4 すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを
5 われは苦しみ且ともし神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ
第71篇
1 ヱホバよ我なんぢに依賴む ねがはくは何の日までも恥うくることなからしめ給へ
2 なんぢの義をもて我をたすけ我をまぬかれしめたまへ なんぢの耳をわれに傾けて我をすくひたまへ
3 ねがはくは汝わがすまひの磐となりたまへ われ恒にそのところに徃ことを得ん なんぢ我をすくはんとて勅命をいだしたまへり そは汝はわが磐わが城なり
4 わが神よあしきものの手より不義殘忍󠄄なる人のてより 我をまぬかれしめたまへ〘792㌻〙
5 主ヱホバよなんぢはわが望󠄇なり わが幼少よりの恃なり
6 われ胎をはなるるより汝にまもられ母の腹にありしときより汝にめぐまれたり 我つねに汝をほめたたへん
7 我おほくの人にあやしまるるごとき者となれり 然どなんぢはわが堅固なる避󠄃所󠄃なり
8 なんぢの頌辭となんぢの頌美とは終󠄃日わが口にみちん
9 わが年老ぬるとき我をすてたまふなかれ わが力おとろふるとき我をはなれたまなかれ
10 わが仇はわがことを論ひ ひわが靈魂をうかがふ者はたがひに議ていふ
11 神かれを離れたり彼をたすくる者なし かれを追󠄃てとらへよと
12 神よわれに遠󠄄ざかりたまふなかれ わが神よとく來りて我をたすけたまへ
13 わがたましひの敵ははぢ且おとろへ我をそこなはんとするものは謗と辱とにおほはれよ
14 されど我はたえず望󠄇をいだきていやますます汝をほめたたへん
15 わが口はひねもす汝の義となんぢの救とをかたらん われその數をしらざればなり
1027㌻
16 われは主ヱホバの大能の事跡をたづさへゆかん われは只なんぢの義のみをかたらん
17 神よなんぢわれを幼少より敎へたまへり われ今にいたるまで汝のくすしき事跡をのべつたへたり
18 神よねがはくはわれ老て頭髮しろくなるとも我がなんぢの力を次代にのべつたへ なんぢの大能を世にうまれいづる凡のものに宣傳ふるまで我をはなれ給ふなかれ
19 神よなんぢの義もまた甚たかし なんぢは大なることをなしたまへり 神よたれか汝にひとしき者あらんや
20 汝われらを多のおもき苦難にあはせたまへり なんぢ再びわれらを活しわれらを地の深所󠄃よりあげたまはん
21 ねがはくは我をいよいよ大ならしめ歸りきたりて我をなぐさめ給へ
22 わが神よさらばわれ筝をもて汝をほめ なんぢの眞實をほめたたへん イスラエルの聖󠄄者よわれ琴をもてなんぢを讃うたはん
23 われ聖󠄄前󠄃にうたときわが口唇よろこびなんぢの贖ひたまへるわが靈魂おほいに喜ばん
24 わが舌もまた終󠄃日なんぢの義をかたらん われを害󠄅はんとするもの愧惶つればなり
第72篇
[ ソロモンのうた ]
1 神よねがはくは汝のもろもろの審判󠄄を王にあたへ なんぢの義をわうの子にあたへたまへ
2 かれは義をもてなんぢの民をさばき公平󠄃をもて苦しむものを鞫かん
3 義によりて山と岡とは民に平󠄃康をあたふべし
4 かれは民のくるしむ者のために審判󠄄をなし乏しきものの子輩をすくひ虐󠄃ぐるものを壞きたまはん〘793㌻〙
5 かれらは日と月とのあらんかぎり世々おしなべて汝をおそるべし
6 かれは苅とれる牧にふる雨のごとく地をうるほす白雨のごとくのぞまん
7 かれの世にただしき者はさかえ平󠄃和は月のうするまで豐かならん
8 またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし
1028㌻
9 野にをる者はそのまへに屈み そり仇は塵をなめん
10 タルシシおよび島々の王たちは貢ををさめ シバとセバの王たちは禮物をささげん
11 もろもろの王はそのまへに俯伏し もろもろの國はかれにつかへん
12 かれは乏しき者をその叫ぶときにすくひ 助けなき苦しむ者をたすけ
13 弱󠄃きものと乏しき者とをあはれみ乏しきものの靈魂をすくひ
14 かれらのたましひを暴虐󠄃と强暴とよりあがなひたまふ その血はみまへに貴かるべし
15 かれらは存ふべし 人はシバの黄金をささげてかれのために恒にいのり終󠄃日かれをいははん
16 國のうち五穀ゆたかにしてその實はレバノンのごとく山のいただきにそよぎ 邑の人々は地の草のごとく榮ゆべし
17 かれの名はつねにたえず かれの名は日の久しきごとくに絕ることなし 人はかれによりて福祉をえん もろもろの國はかれをさいはひなる者ととなへん
18 ただイスラエルの神のみ奇しき事跡をなしたまへり 神ヱホバはほむべきかな
19 その榮光の名はよよにほむべきかな全󠄃地はその榮光にて滿べしアーメン アーメン
20 ヱッサイの子ダビデの祈はをはりぬ
第73篇
[ アサフのうた ]
1 神はイスラエルにむかひ心のきよきものに對ひてまことに惠あり
2 然はあれどわれはわが足つまづくばかりわが步すべるばかりにてありき
3 こはわれ惡きものの榮ゆるを見てその誇れる者をねたみしによる
4 かれらは死るに苦しみなくそのちからは反てかたし
5 かれらは人のごとく憂にをらず人のごとく患難にあふことなし
6 このゆゑに傲慢は妝飾󠄃のごとくその頸をめぐり强暴はころものごとく彼等をおほへり
7 かれら肥ふとりてその目とびいで心の欲にまさりて物をうるなり
8 また嘲笑をなし惡をもて暴虐󠄃のことばをいだし高ぶりてものいふ
1029㌻
9 その口を天におきその舌を地にあまねく徃しむ
10 このゆゑにかれの民はここにかへり水のみちたる杯をしぼりいだして
11 いへらく神いかで知たまはんや至上者に知識あらんやと
12 視よかれらは惡きものなるに常にやすらかにしてその富ましくははれり〘794㌻〙
13 誠に我はいたづらに心をきよめ罪ををかさずして手をあらひたり
14 そはわれ終󠄃日なやみにあひ朝󠄃ごとに責をうけしなり
15 われもし斯ることを述󠄃んといひしならば我なんぢが子輩の代をあやまらせしならん
16 われこれらの道󠄃理をしらんとして思ひめぐらししにわが眼いたく痛たり
17 われ神の聖󠄄所󠄃にゆきてかれらの結局をふかく思へるまでは然りき
18 誠になんぢはかれらを滑かなるところにおきかれらを滅亡におとしいれ給ふ
19 かれらは瞬間にやぶれたるかな彼等は恐怖をもてことごとく滅びたり
20 主よなんぢ目をさましてかれらが像をかろしめたまはんときは夢みし人の目さめたるがごとし
21 わが心はうれへ わが腎はさされたり
22 われおろかにして知覺なし聖󠄄前󠄃にありて獸にひとしかりき
23 されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり
24 なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん
25 汝のほかに我たれをか天にもたん地にはなんぢの他にわが慕ふものなし
26 わが身とわが心とはおとろふ されど神はわがこころの磐わがとこしへの嗣業なり
27 視よなんぢに遠󠄄きものは滅びん 汝をはなれて姦淫をおこなふ者はみななんぢ之をほろぼしたまひたり
28 神にちかづき奉るは我によきことなり われは主ヱホバを避󠄃所󠄃としてそのもろもろの事跡をのべつたへん
第74篇
[ アサフの敎訓のうた ]
1030㌻
1 神よいかなれば汝われらをかぎりなく棄たまひしや 奈何ばなんぢの草苑の羊にみいかりの烟あがれるや
2 ねがはくは徃昔なんぢが買求めたまへる公會ゆづりの支派となさんとて贖ひたまへるものを思ひいでたまへ又󠄂なんぢが住󠄃たまふシオンの山をおもひいで給へ
3 とこしへの滅亡の跡にみあしを向たまへ仇は聖󠄄所󠄃にてもろもろの惡きわざをおこなへり
4 なんぢの敵はなんぢの集のなかに吼たけびおのが旗をたてて誌とせり
5 かれらは林のしげみにて斧をあぐる人の狀にみゆ
6 いま鉞と鎚とをもて聖󠄄所󠄃のなかなる彫刻めるものをことごとく毀ちおとせり
7 かれらはなんぢの聖󠄄所󠄃に火をかけ名の居所󠄃をけがして地におとしたり
8 かれら心のうちにいふ われらことごとく之をこぼちあらさんと かくて國內なる神のもろもろの會堂をやきつくせり
9 われらの誌はみえず預言者も今はなし 斯ていくその時をかふべき われらのうちに知るものなし〘795㌻〙
10 神よ敵はいくその時をふるまでそしるや 仇はなんぢの名をとこしへに汚すならんか
11 いかなれば汝その手みぎの手をひきたまふや ねがはくは手をふところよりいだしてかれらを滅したまへ
12 神はいにしへよりわが王なり すくひを世の中におこなひたまへり
13 なんぢその力をもて海をわかち水のなかなる龍󠄇の首をくだき
14 鰐のかうべをうちくだき野にすめる民にあたへて食󠄃となしたまへり
15 なんぢは泉と水流とをひらき又󠄂もろもろの大河をからしたまへり
16 晝はなんぢのもの夜も又󠄂汝のものなり なんぢは光と日とをそなへ
17 あまねく地のもろもろの界をたて夏と冬とをつくりたまへり
18 ヱホバよ仇はなんぢをそしり愚かなる民はなんぢの名をけがせり この事をおもひいでたまへ
19 願くはなんぢの鴿のたましひを野のあらき獸にわたしたまふなかれ 苦しむものに命をとこしへに忘れたまふなかれ
1031㌻
20 契󠄅約をかへりみたまへ地のくらきところは强暴の宅にて充たればなり
21 ねがはくは虐󠄃げらるるものを慚退󠄃かしめ給ふなかれ 惱るものと苦しむものとに聖󠄄名をほめたたへしめたまへ
22 神よおきてなんぢの訟をあげつらひ愚かなるものの終󠄃日なんぢを謗れるをみこころに記たまへ
23 なんぢの敵の聲をわすれたまふなかれ 汝にさからひて起󠄃りたつ者のかしがましき聲はたえずあがれり
第75篇
[ 「滅すなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり ]
1 神よわれら汝にかんしやす われら感謝すなんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり
2 定りたる期いたらば我なほき審判󠄄をなさん
3 地とすべての之にすむものと消󠄃去しとき我そのもろもろの柱をたてたり セラ
4 われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり
5 なんぢらの角をたかく擧るなかれ頸をかたくして高りいふなかれ
6 擧ることは東よりにあらず西よりにあらずまた南よりにもあらざるなり
7 ただ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ
8 ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそそぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし
9 されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん
10 われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし〘796㌻〙
第76篇
[ 琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり ]
1 神はユダにしられたまへり その名はイスラエルに大なり
2 またサレムの中にその幕屋あり その居所󠄃はシオンにあり
3 彼所󠄃にてかれは弓の火矢ををり盾と劍と戰陣とをやぶりたまひき セラ
4 なんぢ榮光あり掠めうばふ山よりもたふとし
1032㌻
5 心のつよきものは掠めらる かれらは睡にしづみ勇ましきものは皆その手を見うしなへり
6 ヤコブの神よなんぢの叱咤によりて戰車と馬とともに深睡につけり
7 神よなんぢこそ懼るべきものなれ 一たび怒りたまふときは誰かみまへに立えんや
8 -9 なんぢ天より宣吿をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて默したり セラ
10 實に人のいかりは汝をほむべし 怒のあまりは汝おのれの帶としたまはん
11 なんぢの神ヱホバにちかひをたてて償へ そのまはりなるすべての者はおそるべきヱホバに禮物をささぐべし
12 ヱホバはもろもろの諸侯のたましひを絕たまはん ヱホバは地の王たちのおそるべき者なり
第77篇
[ エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるアサフのうた ]
1 我わがこゑをあげて神によばはん われ聲を神にあげなばその耳をわれにかたぶけたまはん
2 わがなやみの日にわれ主をたづねまつれり 夜わが手をのべてゆるむることなかりき わがたましひは慰めらるるをいなみたり
3 われ神をおもひいでて打なやむ われ思ひなげきてわが靈魂おとろへぬ セラ
4 なんぢはわが眼をささへて閉がしめたまはず 我はものいふこと能はぬほどに惱みたり
5 われむかしの日いにしへの年をおもへり
6 われ夜わが歌をむもひいづ 我わが心にてふかくおもひわが靈魂はねもころに尋󠄃ねもとむ
7 主はとこしへに棄たまふや 再びめぐみを垂たまはざるや
8 その憐憫はのこりなく永遠󠄄にさり そのちかひは世々ながく廢れたるや
9 神は恩をほどこすことを忘れたまふや 怒をもてそのあはれみを絨たまふや セラ
1033㌻
10 斯るときに我いへらく此はただわが弱󠄃きがゆゑのみいで至上者のみぎの手のもろもろの年をおもひいでん
11 われヤハの作爲をのべとなへん われ徃古よりありし汝がくすしきみわざを思ひいたさん
12 また我なんぢのすべての作爲をおもひいで汝のなしたまへることを深くおもはん〘797㌻〙
13 神よなんぢの途󠄃はいときよし 神のごとく大なる神はたれぞや
14 なんぢは奇きみわざをなしたまへる神なり もろもろの民のあひだにその大能をしめし
15 その臂をもてヤコブ、ヨセフの子輩なんぢの民をあがなひたまへり セラ
16 かみよ大水なんぢを見たり おほみづ汝をみてをののき淵もまたふるへり
17 雲はみづをそそぎいだし空󠄃はひびきをいだし なんぢの矢ははしりいでたり
18 なんぢの雷鳴のこゑは暴風のうちにありき 電光は世をてらし地はふるひうごけり
19 なんぢの大道󠄃は海のなかにあり なんぢの徑はおほみづの中にあり なんぢの蹤跡はたづねがたかりき
20 なんぢその民をモーセとアロンとの手によりて羊の群のごとくみちびきたまへり
第78篇
[ アサフの敎訓のうた ]
1 わが民よわが敎訓をきき、わが口のことばになんぢらの耳をかたぶけよ
2 われ口をひらきて譬喩をまうけ いにしへの玄幽なる語をかたりいでん
3 是われらが曩にききしところ知しところ又󠄂われらが列祖のかたりつたへし所󠄃なり
4 われら之をその子孫にかくさずヱホバのもろもろの頌美と能力とそのなしたまへる奇しき事跡とをきたらんとする世につげん
5 そはヱホバ證詞をヤコブのうちにたて律法をイスラエルのうちに定めてその子孫にしらすべきことをわれらの列祖におほせたまひたればなり
6 これ來らんとする代のちに生るる子孫がこれを知みづから起󠄃りてそのまた子孫につたへ
1034㌻
7 かれらをして神によりたのみ神のみわざを忘れずその誡命をまもらしめん爲なり
8 またその列祖のごとく頑固にしてそむくものの類となり そのこころ修まらず そのたましひ神に忠ならざる類とならざらん爲なり
9 エフライムのこらは武具󠄄ととのへ弓をたづさへしに戰ひの日にうしろをそむけたり
10 かれら神のちかひをまもらず そのおきてを履ことをいなみ
11 ヱホバのなしたまへることとかれらに示したまへる奇しき事跡とをわすれたり
12 神はエジプトの國にてゾアンの野にて妙なる事をかれらの列祖のまへになしたまへり
13 すなはち海をさきてかれらを過󠄃ぎしめ水をつみて堆かくしたまへり
14 ひるは雲をもてかれらをみちびき夜はよもすがら火の光をもてこれを導󠄃きたまへり
15 神はあれのにて磐をさき大なる淵より汲がごとくにかれらに飮しめ
16 また磐より流をひきて河のごとくに水をながれしめたまへり〘798㌻〙
17 然るにかれら尙たえまなく罪ををかして神にさからひ荒野にて至上者にそむき
18 またおのが慾のために食󠄃をもとめてその心のうちに神をこころみたり
19 然のみならずかれらは神にさからひていへり 神は荒野にて筵をまうけたまふを得んや
20 みよ神いはを擊たまへば水ほどばしりいで流あぶれたり 糧をもあたへたまふを得んや神はその民のために肉をそなへたまはんやと
21 この故にヱホバこれを聞ていきどほりたまひき 火はヤコブにむかひてもえあがり怒はイスラエルにむかひて立騰れり
22 こはかれら神を信ぜずその救にたのまざりし故なり
23 されどなほ神はうへなる雲に命じて天の戶をひらき
24 彼等のうへにマナをふらせて食󠄃はしめ天の穀物をあたへたまへり
25 人みな勇士の糧をくらへり 神はかれらに食󠄃物をおくりて飽󠄄足らしめたまふ
1035㌻
26 神は天に東風をふかせ大能もて南の風をみちびきたまへり
27 神はかれらのうへに塵のごとく肉をふらせ海の沙のごとく翼ある鳥をふらせて
28 その營のなかその住󠄃所󠄃のまはりに落したまへり
29 斯てかれらは食󠄃ひて飽󠄄たりぬ 神はこれにその欲みしものを與へたまへり
30 かれらが未だその慾をはなれず食󠄃物のなほ口のうちにあるほどに
31 神のいかり旣にかれらに對ひてたちのぼり彼等のうちにて最もこえたる者をころしイスラエルのわかき男をうちたふしたまへり
32 これらの事ありしかど彼等はなほ罪ををかしてその奇しきみわざを信ぜざりしかば
33 神はかれらの日を空󠄃しくすぐさせ その年をおそれつつ過󠄃させたまへり
34 神かれらを殺したまへる時かれら神をたづね歸りきたりて懇ろに神をもとめたり
35 かくて神はおのれの磐いとたかき神はおのれの贖主なることをおもひいでたり
36 然はあれど彼等はただその口をもて神にへつらひその舌をもて神にいつはりをいひたりしのみ
37 そはかれらのこころは神にむかひて堅からず その契󠄅約をまもるに忠信ならざりき
38 されど神はあはれみに充たまへばかれらの不義をゆるして亡したまはず屡ばそのみいかりを轉してことごとくは忿恚をふりおこし給はざりき
39 又󠄂かれがただ肉にして過󠄃去ばふたゝび歸りこぬ風なるをおもひいで給へり
40 かれらは野にて神にそむき荒野にて神をうれへしめしこと幾次ぞや
41 かれらかへすがへす神をこころみイスラエルの聖󠄄者をはづかしめたり
42 かれらは神の手をも敵より贖ひたまひし日をもおもひいでざりき
43 神はそのもろもろの豫兆をエジプトにあらはしその奇しき事をゾアンの野にあらはし〘799㌻〙
44 かれらの河を血にかはらせてその流を飮あたはざらしめ
45 また蠅の群をおくりてかれらをくはしめ蛙をおくりてかれらを亡させたまへり
1036㌻
46 神はかれらの田產を蟊賊にわたし かれらの勤勞を蝗にあたへたまへり
47 神は雹をもてかれらの葡萄の樹をからし霜をもてかれらの桑の樹をからし
48 その家畜をへうにわたしその群をもゆる閃電にわたし
49 かれらの上にはげしき怒といきどほりと怨恨となやみと禍害󠄅のつかひの群とをなげいだし給へり
50 神はその怒をもらす道󠄃をまうけ かれらのたましひを死よりまぬかれしめず そのいのちを疫癘にわたし
51 エジプトにてすべての初子をうちハムの幕屋にてかれらの力の始をうちたまへり
52 されどおのれの民を羊のごとくに引いだし かれらを曠野にてけだものの群のごとくにみちびき
53 かれらをともなひておそれなく安けからしめ給へり されど海はかれらの仇をおほへり
54 神はその聖󠄄所󠄃のさかひ その右の手にて購たまへるこの山に彼らを携へたまへり
55 又󠄂かれらの前󠄃にてもろもろの國人をおもひいだし準繩をもちゐ その地をわかちて嗣業となし イスラエルの族をかれらの幕屋にすまはせたまへり
56 然はあれど彼等はいとたかき神をこころみ之にそむきてそのもろもろの證詞をまもらず
57 叛きしりぞきてその列祖の如く眞實をうしなひ くるへる弓のごとくひるがへりて逸ゆけり
58 高處をまうけて神のいきどほりをひき刻める像にて神の嫉妬をおこしたり
59 神ききたまひて甚だしくいかり大にイスラエルを憎みたまひしかば
60 人々の間におきたまひし幕屋なるシロのあげばりを棄さり
61 その力をとりことならしめ その榮光を敵の手にわたし
62 その民を劍にあたへ その嗣業にむかひて甚だしく怒りたまへり
63 火はかれらのわかき男をやきつくし かれらの處女はその婚姻の歌によりて譽らるることなく
64 かれらの祭司はつるぎにて仆れ かれらの寡婦󠄃は喪のなげきだにせざりき
65 斯るときに主はねぶりし者のさめしごとく勇士の酒によりてさけぶがごとく目さめたまひて
1037㌻
66 その敵をうちしりぞけ とこしへの辱をかれらに負󠄅せたまへり
67 またヨセフの幕屋をいなみエフライムの族をえらばず
68 ユダの族そのいつくしみたまふシオンの山をえらびたまへり
69 その聖󠄄所󠄃を山のごとく永遠󠄄にさだめたまへる地のごとくに立たまへり〘800㌻〙
70 またその僕ダビデをえらびて羊の牢のなかよりとり
71 乳󠄃をあたふる牝羊にしたがひゆく勤のうちより携へきたりてその民ヤコブその嗣業イスラエルを牧はせたまへり
72 斯てダビデはそのこころの完全󠄃にしたがひてかれらを牧ひ その手のたくみをもて之をみちびけり
第79篇
[ アサフのうた ]
1 ああ神よもろもろの異邦人はなんぢの嗣業の地ををかし なんぢの聖󠄄宮をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆となし
2 なんぢの僕のしかばねをそらの鳥に與へて餌となし なんぢの聖󠄄徒の肉を地のけものにあたへ
3 その血をヱルサレムのめぐりに水のごとく流したりされど之をはうむる人なし
4 われらは隣人にそしられ四周󠄃のひとびとに侮られ嘲けらるるものとなれり
5 ヱホバよ斯て幾何時をへたまふや 汝とこしへに怒たまふや なんぢのねたみは火のごとく燃るか
6 願くはなんぢを識ざることくにびと聖󠄄名をよばざるもろもろの國のうへに烈怒をそそぎたまへ
7 かれらはヤコブを呑その住󠄃處をあらしたればなり
8 われらにむかひて先祖のよこしまなるわざを記念したまふなかれ願くはなんぢの憐憫をもて速󠄃かにわれらを迎󠄃へたまへ われらは貶されて甚だしく卑くなりたればなり
9 われらのすくひの神よ名のえいくわうのために我儕をたすけ名のためにわれらを救ひ われらの罪をのぞきたまへ
1038㌻
10 いかなれば異邦人はいふ かれらの神はいづくにありやと 願くはなんぢの僕等がながされし血の報をわれらの目前󠄃になして異邦人にしらしめたまへ
11 ねがはくは汝のみまへにとらはれびとの嘆息のとどかんことを なんぢの大なる能力により死にさだめられし者をまもりて存へしめたまへ
12 主よわれらの隣人のなんぢをそしりたる謗を七倍ましてその懷にむくいかへしたまへ
13 然ばわれらなんぢの民なんぢの草苑のひつじは永遠󠄄になんぢに感謝しその頌辭を世々あらはさん
第80篇
[ 證詞の百合花といへる調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌 ]
1 イスラエルの牧者よひつじの群のごとくヨセフを導󠄃きたまものよ 耳をかたぶけたまへ ケルビムのうへに坐したまふものよ 光をはなちたまへ
2 エフライム、ベニヤミン、マナセの前󠄃になんぢの力をふりおこし來りてわれらを救ひたまへ
3 神よふたゝびわれらを復し なんぢの聖󠄄顏のひかりをてらしたまへ 然ばわれら救をえん〘801㌻〙
4 ばんぐんの神ヱホバよなんぢその民の祈にむかひて何のときまで怒りたまふや
5 汝かれらになみだの糧をくらはせ淚を量器にみちみつるほどあたへて飮しめ給へり
6 汝われらを隣人のあひあらそふ種料となしたまふ われらの仇はたがひにあざわらへり
7 萬軍の神よふたゝびわれらを復したまへ 汝のみかほの光をてらしたまへ さらばわれら救をえん
8 なんぢ葡萄の樹をエジプトより携へいだしもろもろの國人をおひしりぞけて之をうゑたまへり
9 汝そのまへに地をまうけたまひしかば深く根して國にはびこれり
10 その影はもろもろの山をおほひ そのえだは神の香柏のごとくにてありき
11 その樹はえだを海にまでのべ その若枝を河にまでのべたり
1039㌻
12 汝いかなればその垣をくづして路ゆくすべての人に嫡取らせたまふや
13 はやしの猪はこれをあらし野のあらき獸はこれをくらふ
14 ああ萬軍の神よねがはくは歸りたまへ 天より俯視てこの葡萄の樹をかへりみ
15 なんぢが右の手にてうゑたまへるもの自己のために强くなしたまへる枝をまもりたまへ
16 その樹は火にて燒れまた斫たふさる かれらは聖󠄄顏のいかりにて亡ぶ
17 ねがはくはなんぢの手をその右の手の人のうへにおき自己のためにつよくなしたまへる人の子のうへにおきたまへ
18 さらばわれら汝をしりぞき離るることなからん 願くはわれらを活したまへ われら名をよばん
19 ああ萬軍の神ヱホバよふたゝび我儕をかへしたまへ なんぢの聖󠄄顏のひかりを照したまへ 然ばわれら救をえん
第81篇
[ ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフのうた ]
1 われらの力なる神にむかひて高らかにうたひヤコブの神にむかひてよろこびの聲をあげよ
2 歌をうたひ鼓とよき音󠄃のことと筝とをもちきたれ
3 新月と滿月とわれらの節󠄄會の日とにラッパをふきならせ
4 これイスラエルの律法ヤコブのかみの格なり
5 神さきにエジプトを攻たまひしときヨセフのなかに之をたてて證となしたまへり 我かしこにて未だしらざりし方言をきけり
6 われかれの肩より重荷をのぞき かれの手を籃よりまぬかれしめたり
7 汝なやめるとき呼しかば我なんぢをすくへり われ雷鳴のかくれたるところにて汝にこたへメリバの水のほとりにて汝をこころみたり セラ
8 わが民よきけ我なんぢに證せん イスラエルよ汝がわれに從はんことをもとむ〘802㌻〙
9 汝のうちに他神あるべからず なんぢ他神ををがむべからず
10 われはエジプトの國よりなんぢを携へいでたる汝の神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん
11 されどわが民はわか聲にしたがはず イスラエルは我をこのまず
1040㌻
12 このゆゑに我かれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意󠄃にゆくにまかせたり
13 われはわが民のわれに從ひイスフルのわが道󠄃にあゆまんことを求む
14 さらば我すみやかにかれらの仇をしたがへ わが手をかれらの敵にむけん
15 斯てヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつづかん
16 神はむぎの最嘉をもてかれらをやしなひ 磐よりいでたる蜜をもて汝をあかしむべし
第82篇
[ アサフのうた ]
1 かみは神のつどひの中にたちたまふ 神はもろもろの神のなかに審判󠄄をなしたまふ
2 なんぢらは正からざる審判󠄄をなし あしきものの身をかたよりみて幾何時をへんとするや セラ
3 よわきものと孤兒とのためにさばき苦しむものと乏しきものとのために公平󠄃をほどこせ
4 弱󠄃きものと貧󠄃しきものとをすくひ彼等をあしきものの手よりたすけいだせ
5 かれらは知ることなく悟ることなくして暗󠄃中をゆきめぐりぬ 地のもろもろの基はうごきたり
6 我いへらく なんぢらは神なりなんぢらはみな至上者の子なりと
7 然どなんぢらは人のごとくに死もろもろの侯のなかの一人のごとく仆れん
8 神よおきて全󠄃地をさばきたまへ 汝もろもろの國を嗣たまふべければなり
第83篇
[ アサフの歌なり讃美なり ]
1 神よもだしたまふなかれ神よものいはで寂靜たまふなかれ
2 視よなんぢの仇はかしがきしき聲をあげ汝をにくむものは首をあげたり
1041㌻
3 かれらはたくみなる謀略をもてなんぢの民にむかひ相共にはかりて汝のかくれたる者にむかふ
4 かれらいひたりき 來かれらを斷滅してふたゝび國をたつることを得ざらしめイスラエルの名をふたゝび人にしられざらしめんと
5 かれらは心を一つにしてともにはかり互にちかひをなしてなんぢに逆󠄃ふ
6 こはエドムの幕屋にすめる人イシマエル人モアブ、ハガル人
7 ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテおよびツロの民などなり
8 アッスリヤも亦かれらにくみせり 斯てロトの子輩のたすけをなせり セラ
9 なんぢ曩にミデアンになしたまへる如くキションの河にてシセラとヤビンとに作たまへるごとく彼等にもなしたまへ〘803㌻〙
10 かれらはエンドルにてほろび地のために肥料となれり
11 かれらの貴人をオレブ、ゼエブのごとくそのもろもろの侯をゼバ、ザルムンナのごとくなしたまへ
12 かれらはいへり われら神の草苑をえてわが有とすべしと
13 わが神よかれらをまきあげらるる塵のごとく風のまへの藁のごとくならしめたまへ
14 林をやく火のごとく山をもやす熖のごとく
15 なんぢの暴風をもてかれらを追󠄃ひなんぢの旋風をもてかれらを怖れしめたまへ
16 かれらの面に恥をみたしめたまへ ヱホバよ然ばかれらなんぢの名をもとめん
17 かれらをとこしへに恥おそれしめ惶てまどひて亡びうせしめたまへ
18 然ばかれらはヱホバてふ名をもちたまふ汝のみ全󠄃地をしろしめす至上者なることを知るべし
第84篇
[ ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうた ]
1 萬軍のヱホバよなんぢの帷幄はいかに愛すべきかな
2 わが靈魂はたえいるばかりにヱホバの大庭をしたひ わが心わが身はいける神にむかひて呼ふ
3 誠やすずめは窩をえ燕子はその雛をいるる巢をえたり萬軍のヱホバわが王わが神よ これなんぢの祭壇なり
1042㌻
4 なんぢの家にすむものは福ひなり かかるひとはつねに汝をたたへまつらん セラ
5 その力なんぢにあり その心シオンの大路にある者はさいはひなり
6 かれらは淚の谷をすぐれども其處をおほくの泉あるところとなす また前󠄃の雨はもろもろの惠をもて之をおほへり
7 かれらは力より力にすすみ遂󠄅におのおのシオンにいたりて神にまみゆ
8 ばんぐんの神ヱホバよわが祈をききたまへ ヤコブの神よ耳をかたぶけたまへ セラ
9 われらの盾なる神よ みそなはして なんぢの受膏者の顏をかへりみたまへ
10 なんぢの大庭にすまふ一日は千日にもまされり われ惡の幕屋にをらんよりは 寧ろわが神のいへの門守とならんことを欲ふなり
11 そは神ヱホバは日なり盾なり ヱホバは恩とえいくわうとをあたへ直くあゆむものに善物をこばみたまふことなし
12 萬軍のヱホバよなんぢに依賴むものはさいはひなり
第85篇
[ 伶長にうたはしめたるコラの子のうた ]
1 ヱホバよなんぢは御國にめぐみをそそぎたまへり なんぢヤコブの俘囚をかへしたまひき〘804㌻〙
2 なんぢおのが民の不義をゆるしそのもろもろの罪をおほひたまひき セラ
3 汝すべての怒をすてその烈しきいきどほりを遠󠄄けたまへり
4 われらのすくひの神よかへりきたり我儕にむかひて忿怒をやめたまへ
5 なんぢ永遠󠄄にわれらをいかり萬世にみいかりをひきのべたまふや
6 汝によりてなんぢの民の喜悅をえんが爲に我儕を活したまはざるか
7 ヱホバよなんぢの憐憫をわれらにしめし汝のすくひを我儕にあたへたまへ
8 わが神ヱホバのいたりたまふ事をきかん ヱホバはその民その聖󠄄徒に平󠄃和をかたりたまへばなり さればかれらは愚かなる行爲にふたゝび歸るなかれ
1043㌻
9 實にそのすくひは神をおそるる者にちかし かくて榮光はわれらの國にとゞまらん
10 あはれみと眞實とともにあひ義と平󠄃和とたがひに接吻せり
11 まことは地よりはえ義は天よりみおろせり
12 ヱホバ善物をあたへたまへばわれらの國は物產をいださん
13 義はヱホバのまへにゆきヱホバのあゆみたまふ跡をわれに踏しめん
第86篇
[ ダビデの祈禱 ]
1 ヱホバよなんぢ耳をかたぶけて我にこたへたまへ 我はくるしみかつ乏しければなり
2 ねがはくはわが靈魂をまもりたまへ われ神をうやまふ者なればなり わが神よなんぢに依賴める汝のしもべを救ひ給へ
3 主よわれを憐みたまへ われ終󠄃日なんぢによばふ
4 なんぢの僕のたましひを悅ばせたまへ 主よわが靈魂はなんぢを仰ぎのぞむ
5 主よなんぢは惠ふかくまた赦をこのみたまふ 汝によばふ凡てのものを豐かにあはれみたまふ
6 ヱホバよわがいのりに耳をかたぶけ わが懇求のこゑをききたまへ
7 われわが患難の日になんぢに呼はん なんぢは我にこたへたまふべし
8 主よもろもろの神のなかに汝にひとしきものはなく汝のみわざに侔しきものはなし
9 主よなんぢの造󠄃れるもろもろの國はなんぢの前󠄃にきたりて伏拜まん かれらは聖󠄄名をあがむべし
10 なんぢは大なり奇しき事跡をなしたまふ 唯なんぢのみ神にましませり
11 ヱホバよなんぢの道󠄃をわれに敎へたまへ我なんぢの眞理をあゆまん ねがはくは我をして心ひとつに聖󠄄名をおそれしめたまへ
12 主わが神よ我心をつくして汝をほめたたへ とこしへに聖󠄄名をあがめまつらん
13 そはなんぢの憐憫はわれに大なり わがたましひを陰府のふかき處より助けいだしたまへり
1044㌻
14 神よたかぶれるものは我にさからひて起󠄃りたち暴ぶる人の會はわがたましひをもとめ 斯てなんぢを己がまへに置ざりき〘805㌻〙
15 されど主よなんぢは憐憫とめぐみとにとみ怒をおそくし愛しみと眞實とにゆたかなる神にましませり
16 我をかへりみ我をあはれみたまへ ねがはくは汝のしもべに能力を與へ汝のはしための子をすくひたまへ
17 我にめぐみの憑據をあらはしたまへ 然ばわれをにくむ者これをみて恥をいだかん そはヱホバよなんぢ我をたすけ我をなぐさめたまへばなり
第87篇
[ コラの子のうたなり讃美なり ]
1 ヱホバの基はきよき山にあり
2 ヱホバはヤコブのすべての住󠄃居にまさりてシオンのもろもろの門を愛したまふ
3 神の都よなんぢにつきておほくの榮光のことを語りはやせり セラ
4 われはラハブ、バビロンをも我をしるものの中にあげん ペリシテ、ツロ、エテオピアを視よこの人はかしこに生れたりといはん
5 シオンにつきては如此いはん 此もの彼ものその中にうまれたり至上者みづからシオンを立たまはんと
6 ヱホバもろもろの民をしるしたまふ時このものは彼處にうまれたりと算へあげたまはん セラ
7 うたふもの踴るもの皆いはん わがもろもろの泉はなんぢの中にありと
第88篇
[ マハラテ、レアノテの調にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうたなり 讃美なり、エズフ人ヘマンのをしへの歌なり ]
1 わがすくひの神ヱホバよわれ晝も夜もなんぢの前󠄃にさけべり
2 願くはわが祈をみまへにいたらせ汝のみみをわが號呼のこゑにかたぶけたまへ
3 わがたましひは患難にてみち我がいのちは陰府にちかづけり
1045㌻
4 われは穴󠄄にいるものとともにかぞへられ依仗なき人のごとくなれり
5 われ墓のうちなる殺されしもののごとく死者のうちにすてらる汝かれらを再びこころに記たまはず かれらは御手より斷滅されしものなり
6 なんぢ我をいとふかき穴󠄄 くらき處 ふかき淵におきたまひき
7 なんぢの怒はいたくわれにせまれり なんぢそのもろもろの浪をもて我をくるしめ給へり セラ
8 わが相識ものを我よりとほざけ我をかれらに憎ませたまへり われは錮閉されていづることあたはず
9 わが眼はなやみの故をもておとろへぬ われ日ごとに汝をよべり ヱホバよなんぢに向ひてわが兩手をのべたり
10 なんぢ死者にくすしき事跡をあらはしたまはんや 亡にしもの立てなんぢを讃たたへんや セラ〘806㌻〙
11 汝のいつくしみは墓のうちに汝のまことは滅亡のなかに宣傳へられんや
12 汝のくすしきみわざは幽暗󠄃になんぢの義は忘失のくにに知るることあらんや
13 されどヱホバよ我なんぢに向ひてさけべり わがいのりは朝󠄃にみまへに達󠄃らん
14 ヱホバよなんぢ何なればわが靈魂をすてたまふや何なればわれに面をかくしたまふや
15 われ幼稚よりなやみて死るばかりなり我なんぢの恐嚇にあひてくるしみまどへり
16 汝のはげしき怒わがうへをすぐ汝のおびやかし我をほろぼせり
17 これらの事ひねもす大水のごとく我をめぐり ことごとく來りて我をかこみふさげり
18 なんぢ我をいつくしむ者とわが友とをとほざけ わが相識るものを幽暗󠄃にいれたまへり
第89篇
[ エズラ人エタンのをしへの歌 ]
1 われヱホバの憐憫をとこしへにうたはん われ口もてヱホバの眞實をよろづ代につげしらせん
1046㌻
2 われいふ あはれみは永遠󠄄にたてらる 汝はその眞實をかたく天にさだめたまはんと
3 われわが撰びたるものと契󠄅約をむすびわが僕ダビデにちかひたり
4 われなんぢの裔をとこしへに固うしなんぢの座位をたてて代々におよばしめん セラ
5 ヱホバよもろもろの天はなんぢの奇しき事跡をほめん なんぢの眞實もまた潔󠄄きものの會にてほめらるべし
6 蒼天にてたれかヱホバに類ふものあらんや 神の子のなかに誰かヱホバのごとき者あらんや
7 神はきよきものの公會のなかにて畏むべきものなり その四周󠄃にあるすべての者にまさりて懼るべきものなり
8 萬軍の神ヱホバよヤハよ汝のごとく大能あるものは誰ぞや なんぢの眞實はなんぢをめぐりたり
9 なんぢ海のあるるををさめ その浪のたちあがらんときは之をしづめたまふなり
10 なんぢラハブを殺されしもののごとく擊碎きおのれの仇どもを力ある腕をもて打散したまへり
11 もろもろの天はなんぢのもの地もまた汝のものなり世界とその中にみつるものとはなんぢの基したまへるなり
12 北と南はなんぢ造󠄃りたまへり タボル、ヘルモンはなんぢの名によりて歡びよばふ
13 なんぢは大能のみうでをもちたまふ なんぢの手はつよく汝のみぎの手はたかし
14 義と公平󠄃はなんぢの寳座のもとゐなり あはれみと眞實とは聖󠄄顏のまへにあらはれゆく
15 よろこびの音󠄃をしる民はさいはひなり ヱホバよかれらはみかほの光のなかをあゆめり
16 かれらは名によりて終󠄃日よろこび 汝の義によりて高くあげられたり〘807㌻〙
17 かれらの力の榮光はなんぢなり 汝の惠によりてわれらの角はたかくあげられん
18 そはわれらの盾はヱホバに屬われらの王はイスラエルの聖󠄄者につけり
19 そのとき異象をもてなんぢの聖󠄄徒につげたまはく われ佑助をちからあるものに委ねたり わが民のなかより一人をえらびて高くあげたり
1047㌻
20 われわが僕ダビデをえて之にわが聖󠄄膏をそそげり
21 わが手はかれとともに堅くわが臂はかれを强くせん
22 仇かれをしへたぐることなし惡の子かれを苦しむることなからん
23 われかれの前󠄃にそのもろもろの敵をたふし彼をにくめるものを擊ん
24 されどわが眞實とわが憐憫とはダビデとともに居り わが名によりてその角はたかくあげられん
25 われ亦かれの手を海のうへにおき そのみぎの手を河のうへにおかん
26 ダビデ我にむかひて汝はわが父󠄃わが神わがすくひの岩なりとよばん
27 われまた彼をわが初子となし地の王たちのうち最もたかき者となさん
28 われとこしへに憐憫をかれがためにたもち 之とたてし契󠄅約はかはることなかるべし
29 われまたその裔をとこしへに存へ そのくらゐを天の日數のごとくながらへしめん
30 もしその子わが法をはなれ わが審判󠄄にしたがひて步まず
31 わが律法をやぶりわが誡命をまもらずば
32 われ杖をもてかれらの愆をただし鞭をもてその邪曲をただすべし
33 されど彼よりわが憐憫をことごとくはとりさらず わが眞實をおとろへしむることなからん
34 われおのれの契󠄅約をやぶらず己のくちびるより出しことをかへじ
35 われ曩にわが聖󠄄をさして誓へり われダビデに虛僞をいはじ
36 その裔はとこしへにつづきその座位は日のごとく恒にわが前󠄃にあらん
37 また月のごとく永遠󠄄にたてられん空󠄃にある證人はまことなり セラ
38 されどその受膏者をとほざけて棄たまへり なんぢ之をいきどほりたまへり
39 なんぢ己がしもべの契󠄅約をいみ 其かんむりをけがして地にまでおとし給へり
40 またその垣をことごとく倒し その保砦をあれすたれしめたまへり
41 その道󠄃をすぐるすべての者にかすめられ隣人にののしらる
42 なんぢかれが敵のみぎの手をたかく擧そのもろもろの仇をよろこばしめたまへり
1048㌻
43 なんぢかれの劍の刃󠄃をふりかへして戰鬪にたつに堪へざらしめたまひき
44 またその光輝をけしその座位を地になげおとし
45 その年若き日をちぢめ恥をそのうへに覆たまへり セラ
46 ヱホバよかくて幾何時をへたまふや自己をとこしへに隱したまふや忿怒は火のもゆるごとくなるべきか〘808㌻〙
47 ねがはくはわが時のいかに短かきかを思ひたまへ 汝いたづらにすべての人の子をつくりたまはんや
48 誰かいきて死をみず又󠄂おのがたましひを陰府より救ひうるものあらんや セラ
49 主よなんぢが眞實をもてダビデに誓ひたまへる昔日のあはれみはいづこにありや
50 -51 主よねがはくはなんぢの僕のうくる謗をみこころにとめたまへ ヱホバよ汝のもろもろの仇はわれをそしりなんぢの受膏者のあしあとをそしれり 我もろもろの民のそしりをわが懷中にいだく
52 ヱホバは永遠󠄄にほむべきかな アーメン アーメン
第90篇
[ 神の人モーセの祈禱 ]
1 主よなんぢは徃古より世々われらの居所󠄃にてましませり
2 山いまだ生いでず汝いまだ地と世界とをつくりたまはざりしとき 永遠󠄄よりとこしへまでなんぢは神なり
3 なんぢ人を塵にかへらしめて宣はく 人の子よなんぢら歸れと
4 なんぢの目前󠄃には千年もすでにすぐる昨日のごとく また夜間のひとときにおなじ
5 なんぢこれらを大水のごとく流去らしめたまふ かれらは一夜の寢のごとく朝󠄃にはえいづる靑草のごとし
6 朝󠄃にはえいでてさかえ夕にはかられて枯るなり
7 われらはなんぢの怒によりて消󠄃うせ 汝のいきどほりによりて怖まどふ
8 汝われらの不義をみまへに置 われらの隱れたるつみを聖󠄄顏のひかりのなかにおきたまへり
9 われらのもろもろの日はなんぢの怒によりて過󠄃去り われらがすべての年のつくるは一息のごとし
10 われらが年をふる日は七十歳にすぎず あるひは壯やかにして八十歳にいたらん されどその誇るところはただ勤勞とかなしみとのみ その去ゆくこと速󠄃かにしてわれらもまた飛去れり
1049㌻
11 誰かなんぢの怒のちからを知らんや たれか汝をおそるる畏にたくらべて汝のいきどほりをしらんや
12 願くはわれらにおのが日をかぞふることををしへて智慧󠄄のこころを得しめたまへ
13 ヱホバよ歸りたまへ斯ていくそのときを歷たまふや ねがはくは汝のしもべらに係れるみこころを變へたまへ
14 ねがはくは朝󠄃にわれらを汝のあはれみにてあきたらしめ 世をはるまで喜びたのしませたまへ
15 汝がわれらを苦しめたまへるもろもろの日と われらが禍害󠄅にかかれるもろもろの年とにたくらべて我儕をたのしませたまへ
16 なんぢの作爲をなんぢの僕等に なんぢの榮光をその子等にあらはしたまへ
17 斯てわれらの神ヱホバの佳美をわれらのうへにのぞましめ われらの手のわざをわれらのうへに確からしめたまへ 願くはわれらの手のわざを確からしめたまへ〘809㌻〙
第91篇
1 至上者のもとなる隱れたるところにすまふその人は全󠄃能者の蔭にやどらん
2 われヱホバのことを宣て ヱホバはわが避󠄃所󠄃わが城わがよりたのむ神なりといはん
3 そは神なんぢを狩人のわなと毒をながす疫癘よりたすけいだしたまふべければなり
4 かれその翮をもてなんぢを庇ひたまはん なんぢその翼の下にかくれん その眞實は盾なり干なり
5 夜はおどろくべきことあり晝はとびきたる矢あり
6 幽暗󠄃にはあゆむ疫癘あり日午にはそこなふ勵しき疾あり されどなんぢ畏るることあらじ
7 千人はなんぢの左にたふれ萬人はなんぢの右にたふる されどその災害󠄅はなんぢに近󠄃づくことなからん
8 なんぢの眼はただこの事をみるのみ なんぢ惡者のむくいを見ん
9 なんぢ曩にいへりヱホバはわが避󠄃所󠄃なりと なんぢ至上者をその住󠄃居となしたれば
1050㌻
10 災害󠄅なんぢにいたらず苦難なんぢの幕屋に近󠄃づかじ
11 そは至上者なんぢのためにその使者輩におほせて 汝があゆむもろもろの道󠄃になんぢを守らせ給へばなり
12 彼ら手にてなんぢの足の石にふれざらんために汝をささへん
13 なんぢは獅と蝮とをふみ壯獅と蛇とを足の下にふみにじらん
14 彼その愛をわれにそそげるがゆゑに我これを助けん かれわが名をしるがゆゑに我これを高處におかん
15 かれ我をよはば我こたへん 我その苦難のときに偕にをりて之をたすけ之をあがめん
16 われ長壽をもてかれを足はしめ且わが救をしめさん
第92篇
[ 安息日にもちゐる歌なり 讃美なり ]
1 いとたかき者よヱホバにかんしやし聖󠄄名をほめたたふるは善かな
2 あしたに汝のいつくしみをあらはし 夜々なんぢの眞實をあらはすに
3 十絃のなりものと筝とをもちゐ 琴の妙なる音󠄃をもちゐるはいと善かな
4 そはヱホバよ なんぢその作爲をもて我をたのしませたまへり 我なんぢの手のわざをよろこびほこらん
5 ヱホバよ汝のみわざは大なるかな汝のもろもろの思念はいとふかし
6 無知者はしることなく愚なるものは之をさとらず
7 惡きものは草のごとくもえいで 不義をおこなふ衆庶はさかゆるとも 遂󠄅にはとこしへにほろびん
8 されどヱホバよ汝はとこしへに高處にましませり
9 ヱホバよ吁なんぢの仇ああなんぢの仇はほろびん 不義をおこなふ者はことごとく散されん〘810㌻〙
10 されど汝わが角をたかくあげて 野の牛のつののごとくならしめたまへり 我はあたらしき膏をそそがれたり
11 又󠄂わが目はわが仇につきて願へることを見わが耳はわれにさからひておこりたつ惡をなすものにつきて願へることをききたり
12 義しきものは棕櫚の樹のごとく榮え レバノンの香柏のごとくそだつべし
1051㌻
13 ヱホバの宮にうゑられしものはわれらの神の大庭にさかえん
14 かれらは年老てなほ果をむすび豐かにうるほひ緑の色みちみちて
15 ヱホバの直きものなることを示すべし ヱホバはわが巖なりヱホバには不義なし
第93篇
1 ヱホバは統治たまふ ヱホバは稜威をきたまへり ヱホバは能力をころもとなし帶となしたまへり さればまた世界もかたくたちて動かさるることなし
2 なんぢの寳座はいにしへより堅くたちぬ 汝はとこしへより在せり
3 大水はこゑをあげたり ヱホバよおほみづは聲をあげたり おほみづは浪をあぐ
4 ヱホバは高處にいましてその威力はおほくの水のこゑ海のさかまくにまさりて盛んなり
5 なんぢの證詞はいとかたし ヱホバよ聖󠄄潔󠄄はなんぢの家にとこしへまでも適󠄄應なり
第94篇
1 ヱホバよ仇をかへすは汝にあり神よあたを報すはなんぢにあり ねがはくは光をはなちたまへ
2 世をさばきたまふものよ 願くは起󠄃てたかぶる者にそのうくべき報をなしたまへ
3 ヱホバよ惡きもの幾何のときを經んとするや あしきもの勝󠄃誇りていくそのとしを經るや
4 かれらはみだりに言をいだして誇りものいふ すべて不義をおこなふ者はみづから高ぶれり
5 ヱホバよ彼等はなんぢの民をうちくだき なんぢの業をそこなふ
6 かれらは嫠婦󠄃と旅人との生命をうしなひ孤子をころす
7 かれらはいふ ヤハは見ずヤコブの神はさとらざるべしと
8 民のなかなる無知よ なんぢらさとれ 愚かなる者よ いづれのときにか智からん
9 みみを植るものきくことをせざらんや 目をつくれるもの見ることをせざらんや
10 もろもろの國ををしふる者ただすことを爲ざらんや 人に知識をあたふる者しることなからんや
11 ヱホバは人の思念のむなしきを知りたまふ
1052㌻
12 ヤハよなんぢの懲めたまふ人なんぢの法ををしへらるる人は さいはひなるかな
13 かかる人をわざはひの日よりのがれしめ 惡きもののために坑のほらるるまで これに平󠄃安をあたへたまはん〘811㌻〙
14 そはヱホバその民をすてたまはず その嗣業をはなれたまはざるなり
15 審判󠄄はただしきにかへり心のなほき者はみなその後にしたがはん
16 誰かわがために起󠄃りたちて惡きものを責んや 誰か我がために立て不義をおこなふ者をせめんや
17 もしヱホバ我をたすけたまはざりせば わが靈魂はとくに幽寂ところに住󠄃ひしならん
18 されどわが足すべりぬといひしとき ヱホバよなんぢの憐憫われをささへたまへり
19 わがうちに憂慮のみつる時 なんぢの安慰わがたましひを喜ばせたまふ
20 律法をもて害󠄅ふことをはかる惡の位はなんぢに親むことを得んや
21 彼等はあひかたらひて義人のたましひをせめ罪なき血をつみに定む
22 然はあれどヱホバはわがたかき櫓 わが神はわが避󠄃所󠄃の磐なりき
23 神はかれらの邪曲をその身におはしめ かれらをその惡き事のなかに滅したまはん われらの神ヱホバはこれを滅したまはん
第95篇
1 率󠄃われらヱホバにむかひてうたひ すくひの磐にむかひてよろこばしき聲をあげん
2 われら感謝をもてその前󠄃にゆき ヱホバにむかひ歌をもて歡ばしきこゑをあげん
3 そはヱホバは大なる神なり もろもろの神にまされる大なる王なり
4 地のふかき處みなその手にあり 山のいただきもまた神のものなり
5 うみは神のものその造󠄃りたまふところ旱ける地もまたその手にて造󠄃りたまへり
6 いざわれら拜みひれふし我儕をつくれる主ヱホバのみまへに曲跪くべし
7 彼はわれらの神なり われらはその草苑の民その手のひつじなり 今日なんぢらがその聲をきかんことをのぞむ
1053㌻
8 なんぢらメリバに在りしときのごとく 野なるマサにありし日の如く その心をかたくなにするなかれ
9 その時なんぢらの列祖われをこころみ我をためし 又󠄂わがわざをみたり
10 われその代のためにうれへて四十年を歷 われいへり かれらは心あやまれる民わが道󠄃を知ざりきと
11 このゆゑに我いきどほりて彼等はわが安息にいるべからずと誓ひたり
第96篇
1 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ 全󠄃地よヱホバにむかひて謳ふべし
2 ヱホバに向ひてうたひその名をほめよ 日ごとにその救をのべつたへよ
3 もろもろの國のなかにその榮光をあらはし もろもろの民のなかにその奇しきみわざを顯すべし
4 そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなり もろもろの神にまさりて畏るべきものなり〘812㌻〙
5 もろもろの民のすべての神はことごとく虛し されどヱホバはもろもろの天をつくりたまへり
6 尊󠄅貴と稜威とはその前󠄃にあり能と善美とはその聖󠄄所󠄃にあり
7 もろもろの民のやからよ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ
8 その聖󠄄名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ 献物をたづさへてその大庭にきたれ
9 きよき美しきものをもてヱホバををがめ 全󠄃地よその前󠄃にをののけ
10 もろもろの國のなかにいへ ヱホバは統治たまふ世界もかたくたちて動かさるることなし ヱホバは正直をもてすべての民をさばきたまはんと
11 天はよろこび地はたのしみ海とそのなかに盈るものとはなりどよみ
12 田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前󠄃によろこびうたはん
13 ヱホバ來りたまふ地をさばかんとて來りたまふ 義をもて世界をさばきその眞實をもてもろもろの民をさばきたまはん
1054㌻
第97篇
1 ヱホバは統治たまふ 全󠄃地はたのしみ多くの島々はよろこぶべし
2 雲とくらきとはそり周󠄃環にあり 義と公平󠄃とはその寳座のもとゐなり
3 火ありそのみまへにすすみ その四周󠄃の敵をやきつくす
4 ヱホバのいなびかりは世界をてらす 地これを見てふるへり
5 もろもろの山はヱホバのみまへ全󠄃地の主のみまへにて蝋のごとくとけぬ
6 もろもろの天はその義をあらはし よろづの民はその榮光をみたり
7 すべてきざめる像につかへ虛しきものによりてみづから誇るものは恥辱をうくべし もろもろの神よみなヱホバをふしをがめ
8 ヱホバよなんぢの審判󠄄のゆゑによりシオンはききてよろこびユダの女輩はみな樂しめり
9 ヱホバよなんぢ全󠄃地のうへにましまして至高く なんぢもろもろの神のうへにましまして至貴とし
10 ヱホバを愛しむものよ惡をにくめ ヱホバはその聖󠄄徒のたましひをまもり 之をあしきものの手より助けいだしたまふ
11 光はただしき人のためにまかれ 欣喜はこころ直きもののために播れたり
12 義人よヱホバにより喜べ そのきよき名に感謝せよ
第98篇
[ 歌なり ]
1 あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ そは妙なる事をおこなひその右の手そのきよき臂をもて 己のために救をなし畢たまへり
2 ヱホバはそのすくひを知しめ その義をもろもろの國人の目のまへにあらはし給へり〘813㌻〙
3 又󠄂その憐憫と眞實とをイスラエルの家にむかひて記念したまふ 地の極もことごとくわが神のすくひを見たり
1055㌻
4 全󠄃地よヱホバにむかひて歡ばしき聲をあげよ 聲をはなちてよろこびうたへ讃うたへ
5 琴をもてヱホバをほめうたへ 琴の音󠄃と歌のこゑとをもてせよ
6 ラッパと角笛をふきならし 王ヱホバのみまへによろこばしき聲をあげよ
7 海とそのなかに盈るもの 世界とせかいにすむものと鳴響むべし
8 大水はその手をうち もろもろの山はあひともにヱホバの前󠄃によろこびうたふべし
9 ヱホバ地をさばかんために來りたまへばなり ヱホバ義をもて世界をさばき 公平󠄃をもてもろもろの民をさばきたまはん
第99篇
1 ヱホバは統治たまふ もろもろの民はをののくべし ヱホバはケルビムの間にいます 地ふるはん
2 ヱホバはシオンにましまして大なり もろもろの民にすぐれてたふとし
3 かれらは汝のおほいなる畏るべき名をほめたたふべし ヱホバは聖󠄄なるかな
4 王のちからは審判󠄄をこのみたまふ 汝はかたく公平󠄃をたてヤコブのなかに審判󠄄と公義とをおこなひたまふ
5 われらの神ヱホバをあがめ その承足のもとにて拜みまつれ ヱホバは聖󠄄なるかな
6 その祭司のなかにモーセとアロンとあり その名をよぶ者のなかにサムエルあり かれらヱホバをよびしに應へたまへり
7 ヱホバ雲の柱のうちにましましてかれらに語りたまへり かれらはその證詞とその賜はりたる律法とを守りたりき
8 われらの神ヱホバよなんぢ彼等にこたへたまへり かれらのなしし事にむくいたまひたれど また赦免をあたへたまへる神にてましませり
9 われらの神ヱホバを崇めそのきよき山にてをがみまつれ そはわれらの神ヱホバは聖󠄄なるなり
第100篇
[ 感謝のうた ]
1056㌻
1 全󠄃地よヱホバにむかひて歡ばしき聲をあげよ
2 欣喜をいだきてヱホバに事へ うたひつつその前󠄃にきたれ
3 知れヱホバこそ神にますなれ われらを造󠄃りたまへるものはヱホバにましませば我儕はその屬なり われらはその民その草苑のひつじなり
4 感謝しつつその門にいり ほめたたへつつその大庭にいれ 感謝してその名をほめたたへよ
5 ヱホバはめぐみふかくその憐憫かぎりなく その眞實よろづ世におよぶべければなり〘814㌻〙
第101篇
[ ダビデのうた ]
1 われ憐憫と審判󠄄とをうたはん ヱホバよ我なんぢを讃うたはん
2 われ心をさとくして全󠄃き道󠄃をまもらん なんぢいづれの時われにきたりたまふや 我なほき心をもてわが家のうちをありかん
3 われわが眼前󠄃にいやしき事をおかず われ叛くものの業をにくむ そのわざは我につかじ
4 僻めるこころは我よりはなれん 惡きものを知ることをこのまず
5 隱にその友をそしるものは我これをほろぼさん 高ぶる眼また驕れる心のものは我これをしのばじ
6 わが眼は國のうちの忠なる者をみて之をわれとともに住󠄃はせん 全󠄃き道󠄃をあゆむ人はわれに事へん
7 欺くことをなす者はわが家のうちに住󠄃むことをえず 虛僞をいふものはわが目前󠄃にたつことを得じ
8 われ朝󠄃な朝󠄃なこの國のあしき者をことごとく滅し ヱホバの邑より不義をおこなふ者をことごとく絕除かん
第102篇
[ なやみたる者おもひくづほれてその歎息をヱホバの前󠄃にそそぎいだせるときの祈禱 ]
1 ヱホバよわが祈をききたまへ 願くはわが號呼のこゑの御前󠄃にいたらんことを
2 わが窮苦の日みかほを蔽ひたまふなかれ なんぢの耳をわれにかたぶけ 我がよぶ日にすみやかに我にこたへたまへ
3 わがもろもろの日は烟のごとくきえ わが骨はたきぎのごとく焚るるなり
1057㌻
4 わがこころは草のごとく擊れてしほれたり われ糧をくらふを忘れしによる
5 わが歎息のこゑによりてわが骨はわが肉につく
6 われは野の鸅鸕のごとく荒たる跡のふくろふのごとくになりぬ
7 われ醒てねぶらず ただ友なくして屋蓋にをる雀のごとくなれり
8 わが仇はひねもす我をそしる 猖狂ひて我をせむるもの我をさして誓ふ
9 われは糧をくらふごとくに灰󠄃をくらひ わが飮ものには淚をまじへたり
10 こは皆なんぢの怒と忿恚とによりてなり なんぢ我をもたげてなげすて給へり
11 わが齡はかたぶける日影のごとし またわれは草のごとく萎れたり
12 されどヱホバよなんぢは永遠󠄄にながらへ その名はよろづ世にながらへん
13 なんぢ起󠄃てシオンをあはれみたまはん そはシオンに恩惠をほどこしたまふときなり そのさだまれる期すでに來れり
14 なんぢの僕はシオンの石をもよろこび その塵をさへ愛しむ
15 もろもろの國はヱホバの名をおそれ 地のもろもろの王はその榮光をおそれん
16 ヱホバはシオンをきづき榮光をもてあらはれたまへり
17 ヱホバは乏しきものの祈をかへりみ彼等のいのりを藐しめたまはざりき〘815㌻〙
18 來らんとするのちの世のためにこの事をしるさん 新しくつくられたる民はヤハをほめたたふべし
19 ヱホバその聖󠄄所󠄃のたかき所󠄃よりみおろし天より地をみたまへり
20 こは俘囚のなげきをきき死にさだまれる者をときはなち
21 人々のシオンにてヱホバの名をあらはしヱルサレムにてその頌美をあらはさんが爲なり
22 かかる時にもろもろの民もろもろの國つどひあつまりてヱホバに事へまつらん
23 ヱホバはわがちからを途󠄃にておとろへしめ わが齡をみじかからしめ給へり
24 我いへりねがはくはわが神よわがすべての日のなかばにて我をとりさりたまふなかれ 汝のよはひは世々かぎりなし
1058㌻
25 汝いにしへ地の基をすゑたまへり 天もまたなんぢの手の工なり
26 これらは亡びん されど汝はつねに存らへたまはん これらはみな衣のごとくふるびん 汝これらを袍のごとく更たまはん されば彼等はかはらん
27 然れども汝はかはることなし なんぢの齡はをはらざるなり
28 汝のしもべの子輩はながらへん その裔はかたく前󠄃にたてらるべし
第103篇
[ ダビデのうた ]
1 わが靈魂よヱホバをほめまつれ わが衷なるすべてのものよそのきよき名をほめまつれ
2 わがたましひよヱホバを讃まつれ そのすべての恩惠をわするるなかれ
3 ヱホバはなんぢがすべての不義をゆるし汝のすべての疾をいやし
4 なんぢの生命をほろびより贖ひいだし 仁慈と憐憫とを汝にかうぶらせ
5 なんぢの口を嘉物にてあかしめたまふ 斯てなんぢは壯ぎて鷲のごとく新になるなり
6 ヱホバはすべて虐󠄃げらるる者のために公義と審判󠄄とをおこなひたまふ
7 おのれの途󠄃をモーセにしらしめ おのれの作爲をイスラエルの子輩にしらしめ給へり
8 ヱホバはあはれみと恩惠にみちて怒りたまふことおそく仁慈ゆたかにましませり
9 恒にせむることをせず永遠󠄄にいかりを懷きたまはざるなり
10 ヱホバはわれらの罪の量にしたがひて我儕をあしらひたまはず われらの不義のかさにしたがひて報いたまはざりき
11 ヱホバをおそるるものにヱホバの賜ふそのあはれみは大にして 天の地よりも高きがごとし
12 そのわれらより愆をとほざけたまふことは東の西より遠󠄄きがごとし
13 ヱホバの己をおそるる者をあはれみたまふことは父󠄃がその子をあはれむが如し〘816㌻〙
14 ヱホバは我儕のつくられし狀をしり われらの塵なることを念ひ給へばなり
1059㌻
15 人のよはひは草のごとく その榮はのの花のごとし
16 風すぐれば失てあとなくその生いでし處にとへど尙しらざるなり
17 然はあれどヱホバの憐憫はとこしへより永遠󠄄まで ヱホバをおそるるものにいたり その公義は子孫のまた子孫にいたらん
18 その契󠄅約をまもりその訓諭を心にとめて行ふものぞその人なる
19 ヱホバはその寳座をもろもろの天にかたく置たまへり その政權はよろづのもののうへにあり
20 ヱホバにつかふる使者よ ヱホバの聖󠄄言のこゑをきき その聖󠄄言をおこなふ勇士よ ヱホバをほめまつれ
21 その萬軍よ その聖󠄄旨をおこなふ僕等よ ヱホバをほめまつれ
22 その造󠄃りたまへる萬物よ ヱホバの政權の下なるすべての處にてヱホバをほめよ わがたましひよヱホバを讃まつれ
第104篇
1 わが靈魂よヱホバをほめまつれ わが神ヱホバよなんぢは至大にして尊󠄅貴と稜威とを衣たまへり
2 なんぢ光をころものごとくにまとひ天を幕のごとくにはり
3 水のなかにおのれの殿の棟梁をおき 雲をおのれの車となし 風の翼にのりあるき
4 かぜを使者となし熖のいづる火を僕となしたまふ
5 ヱホバは地を基のうへにおきて 永遠󠄄にうごくことなからしめたまふ
6 衣にておほふがごとく大水にて地をおほひたまへり 水たたへて山のうへをこゆ
7 なんぢ叱咤すれば水しりぞき 汝いかづちの聲をはなてば水たちまち去ぬ
8 あるひは山にのぼり或ひは谷にくだりて 汝のさだめたまへる所󠄃にゆけり
9 なんぢ界をたてて之をこえしめず ふたゝび地をおほふことなからしむ
10 ヱホバはいづみを谷にわきいだし給ふ その流は山のあひだにはしる
11 かくて野のもろもろの獸にのましむ 野の驢馬もその渇をやむ
12 空󠄃の鳥もそのほとりにすみ 樹梢の間よりさえづりうたふ
1060㌻
13 ヱホバはその殿よりもろもろの山に灌漑たまふ 地はなんぢのみわざの實によりて飽󠄄足ぬ
14 ヱホバは草をはえしめて家畜にあたへ 田產をはえしめて人の使用にそなへたまふ かく地より食󠄃物をいだしたまふ
15 人のこころを歡ばしむる葡萄酒 ひとの顏をつややかならしむるあぶら 人のこころを强からしむる糧どもなり
16 ヱホバの樹とその植たまへるレバノンの香柏とは飽󠄄足ぬべし
17 鳥はそのなかに巢をつくり鶴は松をその棲とせり
18 たかき山は山羊のすまひ磐石は山鼠のかくるる所󠄃なり〘817㌻〙
19 ヱホバは月をつくりて時をつかさどらせたまへり 日はその西にいることをしる
20 なんぢ黑暗󠄃をつくりたまへば夜あり そのとき林のけものは皆しのびしのびに出きたる
21 わかき獅ほえて餌をもとめ神にくひものをもとむ
22 日いづれば退󠄃きてその穴󠄄にふす
23 人はいでて工をとりその勤勞はゆふべにまでいたる
24 ヱホバよなんぢの事跡はいかに多なる これらは皆なんぢの智慧󠄄にてつくりたまへり 汝のもろもろの富は地にみつ
25 かしこに大なるひろき海あり そのなかに數しられぬ匍ふもの小なる大なる生るものあり
26 舟そのうへをはしり汝のつくりたまへる鰐そのうちにあそびたはぶる
27 彼ら皆なんぢを俟望󠄇む なんぢ宜時にくひものを之にあたへたまふ
28 彼等はなんぢの予へたまふ物をひろふ なんぢ手をひらきたまへばかれら嘉物にあきたりぬ
29 なんぢ面をおほひたまへば彼等はあわてふためく 汝かれらの氣息をとりたまへばかれらは死て塵にかへる
30 なんぢ靈をいだしたまへば百物みな造󠄃らるなんぢ地のおもてを新にしたまふ
31 願くはヱホバの榮光とこしへにあらんことを ヱホバそのみわざを喜びたまはんことを
32 ヱホバ地をみたまへば地ふるひ山にふれたまへば山は烟をいだす
33 生るかぎりはヱホバに向ひてうたひ 我ながらふるほどはわが神をほめうたはん
1061㌻
34 ヱホバをおもふわが思念はたのしみ深からん われヱホバによりて喜ぶべし
35 罪人は地より絕滅され あしきものは復あらざるべし わが靈魂よヱホバをほめまつれヱホバを讃稱へよ
第105篇
1 ヱホバに感謝してその名をよび そのなしたまへる事をもろもろの民輩のなかにしらしめよ
2 ヱホバにむかひてうたへヱホバを讃うたへ そのもろもろの妙なる事跡をかたれ
3 そのきよき名をほこれ ヱホバをたづねもとむるものの心はよろこぶべし
4 ヱホバとその能力とをたづねもとめよ つねにその聖󠄄顏をたづねよ
5 -6 その僕アブラムの裔よヤコブの子輩よ そのえらびたまひし所󠄃のものよ そのなしたまへる妙なるみわざと奇しき事跡とその口のさばきとを心にとむれ
7 彼はわれらの神ヱホバなり そのみさばきは全󠄃地にあり
8 ヱホバはたえずその契󠄅約をみこころに記たまへり 此はよろづ代に命じたまひし聖󠄄言なり
9 アブラハムとむすびたまひし契󠄅約イサクに與へたまひし誓なり〘818㌻〙
10 之をかたくしヤコブのために律法となし イスラエルのためにとこしへの契󠄅約となして
11 言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分󠄃となさん
12 この時かれらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり
13 この國よりかの國にゆき この國よりほかの民にゆけり
14 人のかれらを虐󠄃ぐるをゆるし給はず かれらの故によりて王たちを懲しめて
15 宣給くわが受膏者たちにふるるなかれ わが預言者たちをそこなふなかれ
16 ヱホバは饑饉を地にまねき 人の杖とする糧をことごとく碎きたまへり
17 又󠄂かれらの前󠄃にひとりを遣󠄃したまへり ヨセフはうられて僕となりぬ
1062㌻
18 かれら足械をもてヨセフの足をそこなひ くろかねの鏈をもてその靈魂をつなげり
19 斯てそのことばの驗をうるまでに及ぶ ヱホバのみことば彼をこころみたまへり
20 王は人をつかはしてこれを解き もろもろの民の長はこれをゆるし
21 之をその家司となし その財寶をことごとく司どらせ
22 その心のままにかの國のきみたちを縛しめ 長老たちに智慧󠄄ををしへしむ
23 イスラエルも亦エジプトにゆき ヤコブはハムの地にやどれり
24 ヱホバはその民を大にましくはへ之をその敵よりも强くしたまへり
25 また敵のこころをかへておのれの民をにくましめ おのれの僕輩をあざむき待さしめたまへり
26 又󠄂そのしもべモーセとその選󠄄びたまへるアロンとを遣󠄃したまへり
27 かれらはヱホバの預兆をハムの地におこなひ またその國にくすしき事をおこなへり
28 ヱホバは闇をつかはして暗󠄃くしたまへり かれらその聖󠄄言にそむくことをせざりき
29 彼等のすべての水を血にかへてその魚をころしたまへり
30 かれらの國は蛙むれいでて王の殿のうちにまでみちふさがりぬ
31 ヱホバいひたまへば蠅むらがり蚤そのすべての境にいりきたりぬ
32 また雨にかへて霰をかれらに與へもゆる火をかれらの國にふらし
33 かれらの葡萄の樹といちじくの樹とをうちその境のもろちろの樹ををりくだきたまへり
34 ヱホバいひたまへば算しられぬ蝗と蟊賊きたり
35 かれらの國のすべての田產をはみつくしその地のすべての實を食󠄃つくせり
36 ヱホバはかれらの國のすべての首出者をうち かれらのすべての力の始をうちたまへり
37 しろかね黄金をたづさへて彼等をいでゆかしめたまへり その家族のうちに一人のよわき者もなかりき
38 エジプトはかれらの出るをよろこべり かれらをおそるるの念そのうちにおこりたればなり〘819㌻〙
1063㌻
39 ヱホバは雲をしきて蓋となし夜は火をもて照したまへり
40 又󠄂かれらの求によりて鶉をきたらしめ天の餅にてかれらを飽󠄄しめたまへり
41 磐をひらきたまへば水ほどばしりいで 潤ひなきところに川をなして流れいでたり
42 ヱホバそのきよき聖󠄄言とその僕アブラハムとをおもひいでたまひたればなり
43 その民をみちびきて歡びつついでしめ そのえらべる民をみちびきて謳ひつついでしめたまへり
44 もろもろの國人の地をかれらに與へたまひしかば 彼等もろもろのたみの勤勞をおのが有とせり
45 こは彼等がその律にしたがひその法をまもらんが爲なり ヱホバをほめたたへよ
第106篇
1 ヱホバをほめたたへヱホバに感謝せよ そのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし
2 たれかヱホバの力ある事跡をかたり その讃べきことを悉とくいひあらはし得んや
3 審判󠄄をまもる人々つねに正義をおこなふ者はさいはひなり
4 ヱホバよなんぢの民にたまふ惠をもて我をおぼえ なんぢの救をもてわれに臨みたまへ
5 さらば我なんぢの撰びたまへる者のさいはひを見 なんぢの國の歡喜をよろこび なんぢの嗣業とともに誇ることをせん
6 われら列祖とともに罪ををかせり 我儕よこしまをなし惡をおこなへり
7 われらの列祖はなんぢがエジプトにてなしたまへる奇しき事跡をさとらず 汝のあはれみの豐かなるを心にとめず 海のほとり即ち紅海のほとりにて逆󠄃きたり
8 されどヱホバはその名のゆゑをもて彼等をすくひたまへり こは大なる能力をしらしめんとてなり
9 また紅海を叱咤したまひたれば乾きたり かくて民をみちびきて野をゆくがごとくに淵をすぎしめ
10 恨むるものの手よりかれらをすくひ 仇の手よりかれらを贖ひたまへり
11 水その敵をおほひたればその一人だにのこりし者なかりき
1064㌻
12 このとき彼等そのみことばを信じその頌美をうたへり
13 彼等しばしがほどにその事跡をわすれその訓誨をまたず
14 野にていたくむさぼり荒野にて神をこころみたりき
15 ヱホバはかれらの願欲をかなへたまひしかど その靈魂をやせしめたまへり
16 たみは營のうちにてモーセを嫉みヱホバの聖󠄄者アロンをねたみしかば
17 地ひらけてダタンを呑みアビラムの黨類をおほひ
18 火はこのともがらの中にもえおこり熖はあしき者をやきつくせり
19 かれらはホレブの山にて犢をつくり鑄たる像ををがみたり
20 かくの如くおのが榮光をかへて草をくらふ牛のかたちに似す〘820㌻〙
21 救主なる神はエジプトにて大なるわざをなし
22 ハムの地にて奇しき事跡をなし紅海のほとりにて懼るべきことを爲たまへり かれは斯る神をわすれたり
23 この故にヱホバかれらを亡さんと宣まへり されど神のえらみたまへる者モーセやぶれの間隙にありてその前󠄃にたちその烈怒をひきかへして滅亡をまぬかれしめたり
24 かれら美しき地を蔑しそのみことばを信ぜず
25 剩さへその幕屋にてつぶやきヱホバの聲をもきかざりき
26 この故に手をあげて彼等にむかひたまへり これ野にてかれらを斃れしめんとし
27 又󠄂もろもろの國のうちにてその裔をたふれしめ もろもろの地にかれらを散さんとしたまへるなり
28 彼らはバアルベオルにつきて死るものの祭物をくらひたり
29 斯のごとくその行爲をもてヱホバの烈怒をひきいだしければえやみ侵しいりたり
30 そのときピネハスたちて裁判󠄄をなせり かくて疫癘はやみぬ
31 ピネハスは萬代までとこしへにこのことを義とせられたり
32 民メリバの水のほとりにてヱホバの烈怒をひきおこししかば かれらの故によりてモーセも禍害󠄅にあへり
33 かれら神の靈にそむきしかばモーセその口唇にて妄にものいひたればなり
1065㌻
34 かれらはヱホバの命じたまへる事にしたがはずしてもろもろの民をほろぼさず
35 反てもろもろの國人とまじりをりてその行爲にならひ
36 おのが羂となりしその偶像につかへたり
37 かれらはその子女を鬼にささぐ
38 罪なき血すなはちカナンの偶像にささげたる己がむすこむすめの血をながしぬ 斯てくには血にてけがされたり
39 またそのわざは自己をけがし そのおこなふところは姦淫なり
40 このゆゑにヱホバの怒その民にむかひて起󠄃り その嗣業をにくみて
41 かれらをもろもろの國の手にわたしたまへり 彼等はおのれを恨むるものに制へられ
42 おのれの仇にしへたげられ その手の下にうちふせられたり
43 ヱホバはしばしば助けたまひしかどかれらは謀略をまうけて逆󠄃き そのよこしまに卑くせられたり
44 されどヱホバはかれらの哭聲をききたまひしとき その患難をかへりみ
45 その契󠄅約をかれらの爲におもひいだし その憐憫のゆたかなるにより聖󠄄意󠄃をかへさせ給ひて
46 かれらを己がとりこにせられたる者どもに憐まるることを得しめたまへり
47 われらの神ヱホバよ われらをすくひて列邦のなかより取集めたまへ われらは聖󠄄名に謝し なんぢのほむべき事をほこらん〘821㌻〙
48 イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠󠄄までほむべきかな すべての民はアーメンととなふべし ヱホバを讃稱へよ
第107篇
1 ヱホバに感謝せよ ヱホバは惠ふかくましましてその憐憫かぎりなし
2 ヱホバの救贖をかうぶる者はみな然いふべきなり
3 ヱホバは敵の手よりかれらを贖ひもろもろの地よ東西北南よりとりあつめたまへり
4 かれら野にてあれはてたる路にさまよひその住󠄃ふべき邑にあはざりき
5 かれら饑また渇きそのうちの靈魂おとろへたり
1066㌻
6 斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりたすけいだし
7 住󠄃ふべき邑にゆかしめんとて直き路にみちびきたまへり
8 願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
9 ヱホバは渇きしたふ靈魂をたらはせ饑たるたましひを嘉物にてあかしめ給へばなり
10 くらきと死の蔭とに居るもの患難とくろがねとに縛しめらるるもの
11 神の言にそむき至高者のをしへを蔑しめければ
12 勤勞をもてその心をひくうしたまへり かれら仆れたれど助くるものもなかりき
13 斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりすくひ
14 くらきと死のかげより彼等をみちびき出してその械をこぼちたまへり
15 願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
16 そはあかがねの門をこぼち くろがねの關木をたちきりたまへり
17 愚かなる者はおのが愆の道󠄃により己がよこしまによりて惱めり
18 かれらの靈魂はすべての食󠄃物をきらひて死の門にちかづく
19 かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりすくひたまふ
20 その聖󠄄言をつかはして之をいやし之をその滅亡よりたすけいだしたまふ
21 願くはすべての人ヱホバのめぐみにより人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
22 かれらは感謝のそなへものをささげ喜びうたひてその事跡をいひあらはすべし
23 舟にて海にうかび大洋にて事をいとなむ者は
24 ヱホバのみわざを見また淵にてその奇しき事跡をみる
25 ヱホバ命じたまへばあらき風おこりてその浪をあぐ
1067㌻
26 かれら天にのぼりまた淵にくだり患難によりてその靈魂とけさり
27 左た右たにかたぶき醉たる者のごとく踉蹌てなす所󠄃をしらず
28 かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりたづさへいで〘822㌻〙
29 狂風をしづめて浪をおだやかになし給へり
30 かれらはおのが靜かなるをよろこぶ 斯てヱホバはかれらをその望󠄇むところの湊にみちびきたまふ
31 願くはすべての人ヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
32 かれら民の會にてこれをあがめ長老の座にてこれを讃稱ふべし
33 ヱホバは河を野にかはらせ泉をかわける地に變らせ
34 また豐かなる地にすめる民の惡によりてそこを鹵の地にかはらせ給ふ
35 野を池にかはらせ乾ける地をいづみにかはらせ
36 ここに餓󠄃たるものを住󠄃はせたまふ されば彼らは己がすまひの邑をたて
37 畠にたねをまき葡萄園をまうけてそのむすべる實をえたり
38 ヱホバはかれらの甚くふえひろごれるまでに惠をあたへ その牲畜のへることをも許したまはず
39 されどまた虐󠄃待くるしみ悲哀によりて減ゆき且うなたれたり
40 ヱホバもろもろの君に侮辱をそそぎ道󠄃なき荒地にさまよはせたまふ
41 然はあれど貧󠄃しきものを患難のうちより擧てその家族をひつじの群のごとくならしめたまふ
42 直きものは之をみて喜びもろもろの不義はその口をふさがん
43 すべて慧󠄄者はこれらのことに心をよせヱホバの憐憫をさとるべし
第108篇
[ ダビデの歌なり讃美なり ]
1 神よわが心はさだまれり われ謳ひまつらん 稱まつらん わが榮をもてたたへまつらん
2 筝よ琴よさむべし われ黎明をよびさまさん
3 ヱホバよ我もろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにてなんぢをほめうたはん
1068㌻
4 そは汝のあはれみは大にして天のうへにあがり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
5 神よねがはくはみづからを天よりもたかくし榮光を全󠄃地のうへに擧たまへ
6 ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
7 神はその聖󠄄をもていひたまへり われ甚くよろこばん我シケムをわかちスコテの谷をはからん
8 ギレアデはわがものマナセはわが有なりエフライムも亦わが首のまもりなりユダはわが杖
9 モアブはわが足盥なりエドムにはわが履をなげんペリシテよわが故によりて聲をあげよと
10 誰かわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきしや
11 神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともに出ゆきたまはず〘823㌻〙
12 ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空󠄃しければなり
13 われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をふみたまふものは神なればなり
第109篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 わが讃たたふる神よもだしたまふなかれ
2 かれらは惡の口とあざむきの口とをあけて我にむかひ いつはりの舌をもて我にかたり
3 うらみの言をもて我をかこみ ゆゑなく我をせめて鬪ふことあればなり
4 われ愛するにかれら反りてわが敵となる われただ祈るなり
5 かれらは惡をもてわが善にむくい恨をもてわが愛にむくいたり
6 ねがはくは彼のうへに惡人をたてその右方に敵をたたしめたまへ
7 かれが鞫かるるときはその罪をあらはにせられ又󠄂そのいのりは罪となり
8 その日はすくなく その職はほかの人にえられ
9 その子輩はみなしごとなり その妻はやもめとなり
10 その子輩はさすらひて乞丐 そのあれたる處よりいできたりて食󠄃をもとむべし
1069㌻
11 彼のもてるすべてのものは債主にうばはれ かれの勤勞は外人にかすめらるべし
12 かれに惠をあたふる人ひとりだになく かれの孤子をあはれむ者もなく
13 その裔はたえその名はつぎの世にきえうすべし
14 その父󠄃等のよこしまはヱホバのみこころに記され その母のつみはきえざるべし
15 かれらは恒にヱホバの前󠄃におかれ その名は地より斷るべし
16 かかる人はあはれみを施すことをおもはず反りて貧󠄃しきもの乏しきもの心のいためる者をころさんとして攻たりき
17 かかる人は詛ふことをこのむ この故にのろひ己にいたる惠むことをたのしまず この故にめぐみ己にとほざかれり
18 かかる人はころものごとくに詛をきる この故にのろひ水のごとくにおのれの衷にいり油のごとくにおのれの骨にいれり
19 ねがはくは詛をおのれのきたる衣のごとく帶のごとくなして恒にみづから纒はんことを
20 これらの事はわが敵とわが靈魂にさからひて惡言をいふ者とにヱホバのあたへたまふ報なり
21 されど主ヱホバよなんぢの名のゆゑをもて我をかへりみたまへ なんぢの憐憫はいとふかし ねがはくは我をたすけたまへ
22 われは貧󠄃しくして乏し わが心うちにて傷をうく
23 わがゆく狀はゆふ日の影のごとく また蝗のごとく吹さらるるなり
24 わが膝は斷食󠄃によりてよろめき わが肉はやせおとろふ〘824㌻〙
25 われは彼等にそしらるる者となれり かれら我をみるときは首をふる
26 わが神ヱホバよねがはくは我をたすけその憐憫にしたがひて我をすくひたまへ
27 ヱホバよこれらは皆なんぢの手よりいで 汝のなしたまへることなるを彼等にしらしめたまへ
28 かれらは詛へども汝はめぐみたまふ かれらの立ときは恥かしめらるれどもなんぢの僕はよろこばん
29 わがもろもろの敵はあなどりを衣おのが恥を外袍のごとくにまとふべし
1070㌻
30 われはわが口をもて大にヱホバに謝し おほくの人のなかにて讃まつらむ
31 ヱホバはまづしきものの右にたちてその靈魂を罪せんとする者より之をすくひたまへり
第110篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバわが主にのたまふ 我なんぢの仇をなんぢの承足とするまではわが右にざすべし
2 ヱホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん 汝はもろもろの仇のなかに王となるべし
3 なんぢのいきほひの日になんぢの民は聖󠄄なるうるはしき衣をつけ 心よりよろこびて己をささげん なんぢは朝󠄃の胎よりいづる壯きものの露をもてり
4 ヱホバ誓をたてて聖󠄄意󠄃をかへさせたまふことなし 汝はメルキセデクの狀にひとしくとこしへに祭司たり
5 主はなんぢの右にありてそのいかりの日に王等をうちたまへり
6 主はもろもろの國のなかにて審判󠄄をおこなひたまはん 此處にも彼處にも屍をみたしめ 寛濶なる地をすぶる首領をうちたまへり
7 かれ道󠄃のほとりの川より汲てのみ斯てかうべを擧ん
第111篇
1 ヱホバを讃たたへよ 我はなほきものの會あるひは公會にて心をつくしてヱホバに感謝せん
2 ヱホバのみわざは大なりすべてその事跡をしたふものは之をかんがへ究む
3 その行ひたまふところは榮光ありまた稜威あり その公義はとこしへに失することなし
4 ヱホバはその奇しきみわざを人のこころに記しめたまへり ヱホバはめぐみと憐憫とにて充たまふ
5 ヱホバは己をおそるるものに糧をあたへたまへり またその契󠄅約をとこしへに心にとめたまはん
6 ヱホバはもろもろの國の所󠄃領をおのれの民にあたへてその作爲のちからを之にあらはしたまへり
1071㌻
7 その手のみわざは眞實なり公義なり そのもろもろの訓諭はかたし
8 これらは世々かぎりなく堅くたち眞實と正直とにてなれり
9 ヱホバはそのたみに救贖をほどこし その契󠄅約をとこしへに立たまへり ヱホバの名は聖󠄄にしてあがむべきなり〘825㌻〙
10 ヱホバをおそるるは智慧󠄄のはじめなり これらを行ふものは皆あきらかなる聰ある人なり ヱホバの頌美はとこしへに失ることなし
第112篇
1 ヱホバを讃まつれヱホバを畏れてそのもろもろの誡命をいたく喜ぶものはさいはひなり
2 かかる人のすゑは地にてつよく直きものの類はさいはひを得ん
3 富と財とはその家にあり その公義はとこしへにうすることなし
4 直き者のために暗󠄃きなかにも光あらはる 彼は惠ゆたかに憐憫にみつる義しきものなり
5 惠をほどこし貸ことをなす者はさいはひなり かかる人は審判󠄄をうくるときおのが訴をささへうべし
6 又󠄂とこしへまで動かさるることなからん義者はながく忘れらるることなかるべし
7 彼はあしき音󠄃信によりて畏れず その心ヱホバに依賴みてさだまれり
8 その心かたくたちて懼るることなく敵につきての願望󠄇をつひに見ん
9 彼はちらして貧󠄃者にあたふ その正義はとこしへにうすることなし その角はあがめをうけて擧られん
10 惡者はこれを見てうれへもだえ切齒しつつ消󠄃さらん また惡きものの願望󠄇はほろぶべし
第113篇
1 ヱホバをほめまつれ汝等ヱホバの僕よほめまつれヱホバの名をほめまつれ
2 今より永遠󠄄にいたるまでヱホバの名はほむべきかな
3 日のいづる處より日のいる處までヱホバの名はほめらるべし
4 ヱホバはもろもろの國の上にありてたかく その榮光は天よりもたかし
5 -6 われらの神ヱホバにたぐふべき者はたれぞや 寳座をその高處にすゑ己をひくくして天と地とをかへりみ給ふ
1072㌻
7 まづしきものを塵よりあげ乏しきものを糞土よりあげて
8 もろもろの諸侯とともにすわらせ その民のきみたちと共にすわらせたまはん
9 又󠄂はらみなき婦󠄃に家をまもらせ おほくの子女のよろこばしき母たらしめたまふ ヱホバを讃まつれ
第114篇
1 イスラエルの民エジプトをいで ヤコブのいへ異言の民をはなれしとき
2 ユダはヱホバの聖󠄄所󠄃となりイスラエルはヱホバの所󠄃領となれり
3 海はこれを見てにげヨルダンは後にしりぞき
4 山は牡羊のごとくをどり小山はこひつじのごとく躍󠄃れり
5 海よなんぢ何とてにぐるやヨルダンよなんぢ何とて後にしりぞくや
6 山よなにとて牡羊のごとくをどるや小山よなにとて小羊のごとく躍󠄃るや〘826㌻〙
7 地よ主のみまへヤコブの神の前󠄃にをののけ
8 主はいはを池にかはらせ石をいづみに變らせたまへり
第115篇
1 ヱホバよ榮光をわれらに歸するなかれ われらに歸するなかれ なんぢのあはれみと汝のまこととの故によりてただ名にのみ歸したまへ
2 もろもろの國人はいかなればいふ 今かれらの神はいづくにありやと
3 然どわれらの神は天にいます 神はみこころのままにすべての事をおこなひ給へり
4 かれらの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
5 その偶像は口あれどいはず目あれどみず
6 耳あれどきかず鼻あれどかがず
7 手あれどとらず脚あれどあゆまず喉より聲をいだすことなし
8 此をつくる者とこれに依賴むものとは皆これにひとしからん
9 イスラエルよなんぢヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
10 アロンの家よなんぢらヱホバによりたのめ ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
11 ヱホバを畏るるものよヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
1073㌻
12 ヱホバは我儕をみこころに記たまへり われらを惠みイスラエルの家をめぐみアロンのいへをめぐみ
13 また小なるも大なるもヱホバをおそるる者をめぐみたまはん
14 願くはヱホバなんぢらを增加へ なんぢらとなんぢらの子孫とをましくはへ給はんことを
15 なんぢらは天地をつくりたまへるヱホバに惠まるる者なり
16 天はヱホバの天なり されど地は人の子にあたへたまへり
17 死人も幽寂ところに下れるものもヤハを讃稱ふることなし
18 然どわれらは今より永遠󠄄にいたるまでヱホバを讃まつらむ 汝等ヱホバをほめたたへよ
第116篇
1 われヱホバを愛しむ そはわが聲とわが願望󠄇とをききたまへばなり
2 ヱホバみみを我にかたぶけたまひしが故に われ世にあらんかぎりヱホバを呼まつらむ
3 死の繩われをまとひ陰府のくるしみ我にのぞめり われは患難とうれへとにあへり
4 その時われヱホバの名をよべり ヱホバよ願くはわが靈魂をすくひたまへと
5 ヱホバは恩惠ゆたかにして公義ましませり われらの神はあはれみ深し
6 ヱホバは愚かなるものを護りたまふ われ卑くせられしがヱホバ我をすくひたまへり
7 わが靈魂よなんぢの平󠄃安にかへれ ヱホバは豐かになんぢを待ひたまへばなり
8 汝はわがたましひを死より わが目をなみだより わが足を顚蹶よりたすけいだしたまひき
9 われは活るものの國にてヱホバの前󠄃にあゆまん
10 われ大になやめりといひつつもなほ信じたり
11 われ惶てしときに云らく すべての人はいつはりなりと
12 我いかにしてその賜へるもろもろの恩惠をヱホバにむくいんや
13 われ救のさかづきをとりてヱホバの名をよびまつらむ
14 我すべての民のまへにてヱホバにわが誓をつくのはん
15 ヱホバの聖󠄄徒の死はそのみまへにて貴とし
16 ヱホバよ誠にわれはなんぢの僕なり われはなんぢの婢女の子にして汝のしもべなり なんぢわが縲絏をときたまへり
1074㌻
17 われ感謝をそなへものとして汝にささげん われヱホバの名をよばん
18 我すべての民のまへにてヱホバにわがちかひを償はん〘827㌻〙
19 ヱルサレムよ汝のなかにてヱホバのいへの大庭のなかにて此をつくのふべし ヱホバを讃まつれ
第117篇
1 もろもろの國よなんぢらヱホバを讃まつれ もろもろの民よなんぢらヱホバを稱へまつれ
2 そはわれらに賜ふその憐憫はおほいなり ヱホバの眞實はとこしへに絕ることなし ヱホバをほめまつれ
第118篇
1 ヱホバに感謝せよヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絕ることなし
2 イスラエルは率󠄃いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
3 アロンの家はいざ言ふべし そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなしと
4 ヱホバを畏るるものは率󠄃いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
5 われ患難のなかよりヱホバをよべば ヱホバこたへて我をひろき處におきたまへり
6 ヱホバわが方にいませばわれにおそれなし 人われに何をなしえんや
7 ヱホバはわれを助くるものとともに我がかたに坐す この故にわれを憎むものにつきての願望󠄇をわれ見ることをえん
8 ヱホバに依賴むは人にたよるよりも勝󠄃りてよし
9 ヱホバによりたのむはもろもろの侯にたよるよりも勝󠄃りてよし
10 もろもろの國はわれを圍めり われヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
11 かれらは我をかこめり我をかこめりヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
12 かれらは蜂のごとく我をかこめり かれらは荊の火のごとく消󠄃たり われはヱホバの名によりてかれらを滅さん
13 汝われを倒さんとしていたく剌つれど ヱホバわれを助けたまへり
1075㌻
14 ヱホバはわが力わが歌にしてわが救となりたまへり〘828㌻〙
15 歡喜とすくひとの聲はただしきものの幕屋にあり ヱホバのみぎの手はいさましき動作をなしたまふ
16 ヱホバのみぎの手はたかくあがりヱホバの右の手はいさましき動作をなしたまふ
17 われは死ることなからん 存へてヤハの事跡をいひあらはさん
18 ヤハはいたく我をこらしたまひしかど死には付したまはざりき
19 わがために義の門をひらけ 我そのうちにいりてヤハに感謝せん
20 こはヱホバの門なりただしきものはその內にいるべし
21 われ汝に感謝せん なんぢ我にこたへてわが救となりたまへばなり
22 工師のすてたる石はすみの首石となれり
23 これヱホバの成たまへる事にしてわれらの目にあやしとする所󠄃なり
24 これヱホバの設けたまへる日なり われらはこの日によろこびたのしまん
25 ヱホバよねがはくはわれらを今すくひたまへ ヱホバよねがはくは我儕をいま榮えしめたまヘ
26 ヱホバの名によりて來るものは福ひなり われらヱホバの家よりなんぢらを祝せり
27 ヱホバは神なり われらに光をあたへたまへり 繩をもて祭壇の角にいけにへをつなげ
28 なんぢはわが神なり我なんぢに感謝せん なんぢはわが神なり我なんぢを崇めまつらん
29 ヱホバにかんしやせよ ヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絕ることなし
第119篇
[ アレフ ]
1 おのが道󠄃をなほくしてヱホバの律法をあゆむ者はさいはひなり
2 ヱホバのもろもろの證詞をまもり 心をつくしてヱホバを尋󠄃求むるものは福ひなり
3 かかる人は不義をおこなはずしてヱホバの道󠄃をあゆむなり
1076㌻
4 ヱホバよなんぢ訓諭をわれらに命じてねんごろに守らせたまふ
5 なんぢわが道󠄃をかたくたててその律法をまもらせたまはんことを
6 われ汝のもろもろの誡命にこころをとむるときは恥ることあらじ
7 われ汝のただしき審判󠄄をまなばば 直き心をもてなんぢに感謝せん
8 われは律法をまもらん われを棄はてたまふなかれ
[○ベテ ]
9 わかき人はなにによりてかその道󠄃をきよめん 聖󠄄言にしたがひて愼むのほかぞなき
10 われ心をつくして汝をたづねもとめたり 願くはなんぢの誡命より迷󠄃ひいださしめ給ふなかれ
11 われ汝にむかひて罪ををかすまじき爲になんぢの言をわが心のうちに藏へたり
12 讃べきかなヱホバよねがはくは律法をわれに敎へたまへ〘829㌻〙
13 われわが口唇をもてなんぢの口よりいでしもろもろの審判󠄄をのべつたへたり
14 我もろもろの財貨をよろこぶごとくに汝のあかしの道󠄃をよろこべり
15 我なんぢの訓諭をおもひ汝のみちに心をとめん
16 われは律法をよろこび聖󠄄言をわするることなからん
[○ギメル ]
17 ねがはくは汝のしもべを豐にあしらひて存へしめたまへ さらばわれ聖󠄄言をまもらん
18 なんぢわが眼をひらき なんぢの法のうちなる奇しきことを我にみせたまへ
19 われは世にある旅客なり 我になんぢの誡命をかくしたまふなかれ
20 斷るときなくなんぢの審判󠄄をしたふが故にわが靈魂はくだくるなり
21 汝はたかぶる者をせめたまへり なんぢの誡命よりまよひづる者はのろはる
22 我なんぢの證詞をまもりたり 我より謗とあなどりとを取去たまへ
1077㌻
23 又󠄂もろもろの侯は坐して相語りわれをそこなはんとせり 然はあれど汝のしもべは律法をふかく思へり
24 汝のもろもろの證詞はわれをよろこばせわれをさとす者なり
[○ダレテ ]
25 わが靈魂は塵につきぬ なんぢの言にしたがひて我をいかしたまへ
26 我わがふめる道󠄃をあらはししかば汝こたへを我になしたまへり なんぢの律法をわれに敎へたまへ
27 なんぢの訓諭のみちを我にわきまへしめたまへ われ汝のくすしき事跡をふかく思はん
28 わがたましひ痛めるによりてとけゆく ねがはくは聖󠄄言にしたがひて我にちからを予へたまへ
29 願くはいつはりの道󠄃をわれより遠󠄄ざけ なんぢの法をもて我をめぐみたまへ
30 われは眞實のみちをえらび 恒になんぢのもろもろの審判󠄄をわが前󠄃におけり
31 我なんぢの證詞をしたひて離れず ヱホバよねがはくは我をはづかしめ給ふなかれ
32 われ汝のいましめの道󠄃をはしらん その時なんぢわが心をひろく爲たまふべし
[○へ ]
33 ヱホバよ願くはなんぢの律法のみちを我にをしへたまへ われ終󠄃にいたるまで之をまもらん
34 われに智慧󠄄をあたへ給へ さらば我なんぢの法をまもり心をつくして之にしたがはん
35 われに汝のいましめの道󠄃をふましめたまへ われその道󠄃をたのしめばなり
36 わが心をなんぢの證詞にかたぶかしめて 貪利にかたぶかしめ給ふなかれ
37 わが眼をほかにむけて虛しきことを見ざらしめ 我をなんぢの途󠄃にて活し給へ〘830㌻〙
38 ひたすらに汝をおそるる汝のしもべに 聖󠄄言をかたくしたまへ
1078㌻
39 わがおそるる謗をのぞきたまへ そはなんぢの審判󠄄はきはめて善し
40 我なんぢの訓諭をしたへり 願くはなんぢの義をもて我をいかしたまへ
[○ワウ ]
41 ヱホバよ聖󠄄言にしたがひてなんぢの憐憫なんぢの拯救を我にのぞませたまへ
42 さらば我われを謗るものに答ふることをえん われ聖󠄄言によりたのめばなり
43 又󠄂わが口より眞理のことばをことごとく除き給ふなかれ われなんぢの審判󠄄をのぞみたればなり
44 われたえずいや永久になんぢの法をまもらん
45 われなんぢの訓諭をもとめたるにより障なくしてあゆまん
46 われまた王たちの前󠄃になんぢの證詞をかたりて恥ることあらじ
47 我わが愛するなんぢの誡命をもて己をたのしましめん
48 われ手をわがあいする汝のいましめに擧げ なんぢの律法をふかく思はん
[○ザイン ]
49 ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖󠄄言をおもひいだしたまへ 汝われに之をのぞましめ給へり
50 なんぢの聖󠄄言はわれを活ししがゆゑに 今もなほわが艱難のときの安慰なり
51 高ぶる者おほいに我をあざわらへり されど我なんぢの法をはなれざりき
52 ヱホバよわれ汝がふるき徃昔よりの審判󠄄をおもひいだして自から慰めたり
53 なんぢの法をすつる惡者のゆゑによりて 我はげしき怒をおこしたり
54 なんぢの律法はわが旅の家にてわが歌となれり
55 ヱホバよわれ夜間になんぢの名をおもひいだして なんぢの法をまもれり
56 われ汝のさとしを守りしによりてこの事をえたるなり
1079㌻
[○ヘテ ]
57 ヱホバはわがうくべき有なり われ汝のもろもろの言をまもらんといへり
58 われ心をつくして汝のめぐみを請󠄃求めたり ねがはくは聖󠄄言にしたがひて我をあはれみたまへ
59 我わがすべての途󠄃をおもひ 足をかへしてなんぢの證詞にむけたり
60 我なんぢの誡命をまもるに速󠄃けくしてたゆたはざりき
61 惡きものの繩われに纒ひたれども 我なんぢの法をわすれざりき
62 我なんぢのただしき審判󠄄のゆゑに 夜半󠄃におきてなんぢに感謝せん
63 われは汝をおそるる者 またなんぢの訓諭をまもるものの侶なり
64 ヱホバよ汝のあはれみは地にみちたり 願くはなんぢの律法をわれにをしへたまへ〘831㌻〙
[○テテ ]
65 ヱホバよなんぢ聖󠄄言にしたがひ惠をもてその僕をあしらひたまへり
66 われ汝のいましめを信ず ねがはくはわれに聰明と智識とををしへたまへ
67 われ苦しまざる前󠄃にはまよひいでぬ されど今はわれ聖󠄄言をまもる
68 なんぢは善にして善をおこなひたまふ ねがはくは汝のおきてを我にをしへたまへ
69 高ぶるもの虛僞をくはだてて我にさからへり われ心をつくしてなんぢの訓諭をまもらん
70 かれらの心はこえふとりて脂のごとし されど我はなんぢの法をたのしむ
71 困苦にあひたりしは我によきことなり 此によりて我なんぢの律法をまなびえたり
72 なんぢの口の法はわがためには千々のこがね白銀にもまされり
[○ヨーデ ]
73 なんぢの手はわれを造󠄃りわれを形づくれり ねがはくは智慧󠄄をあたへて我になんぢの誡命をまなばしめたまへ
1080㌻
74 なんぢを畏るるものは我をみて喜ばん われ聖󠄄言によりて望󠄇をいたきたればなり
75 ヱホバよ我はなんぢの審判󠄄のただしく又󠄂なんぢが眞實をもて我をくるしめたまひしを知る
76 ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖󠄄言にしたがひて 汝の仁慈をわが安慰となしたまへ
77 なんぢの憐憫をわれに臨ませたまへ さらばわれ生ん なんぢの法はわが樂しめるところなり
78 高ぶるものに恥をかうぷらせたまへ かれらは虛僞をもて我をくつがへしたればなり されど我なんぢの訓諭をふかくおもはん
79 汝をおそるる者となんぢの證詞をしるものとを我にかへらしめたまへ
80 わがこころを全󠄃くして汝のおきてを守らしめたまへ さらばわれ恥をかうぶらじ
[○カフ ]
81 わが靈魂はなんぢの救をしたひてたえいるばかりなり 然どわれなほ聖󠄄言によりて望󠄇をいだく
82 なんぢ何のとき我をなぐさむるやといひつつ 我みことばを慕ふによりて眼おとろふ
83 我は烟のなかの革嚢のごとくなりぬれども 尙なんぢの律法をわすれず
84 汝のしもべの日は幾何ありや 汝いづれのとき我をせむるものに審判󠄄をおこなひたまふや
85 たかぶる者われを害󠄅はんとて阱をほれり かれらはなんぢの法にしたがはず
86 なんぢの誡命はみな眞實なり かれらは虛僞をもて我をせむ ねがはくは我をたすけたまへ
87 かれらは地にてほとんど我をほろぼせり されど我はなんぢの訓諭をすてざりき〘832㌻〙
88 願くはなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ 然ばわれ御口よりいづる證詞をまもらん
1081㌻
[○ラメテ ]
89 ヱホバよみことばは天にてとこしえに定まり
90 なんぢの眞實はよろづ世におよぶ なんぢ地をかたく立たまへば地はつねにあり
91 これらのものはなんぢの命令にしたがひ 恒にありて今日にいたる 萬のものは皆なんぢの僕なればなり
92 なんぢの法わがたのしみとならざりしならば我はつひに患難のうちに滅びたるならん
93 われ恒になんぢの訓諭をわすれじ 汝これをもて我をいかしたまへばなり
94 我はなんぢの有なりねがはくは我をすくひたまへ われ汝のさとしを求めたり
95 惡きものは我をほろぼさんとして窺ひぬ われは唯なんぢのもろもろの證詞をおもはん
96 我もろもろの純全󠄃に限あるをみたり されど汝のいましめはいと廣し
[○メム ]
97 われなんぢの法をいつくしむこといかばかりぞや われ終󠄃日これを深くおもふ
98 なんぢの誡命はつねに我とともにありて 我をわが仇にまさりて慧󠄄からしむ
99 我はなんぢの證詞をふかくおもふが故に わがすべての師にまさりて智慧󠄄おほし
100 我はなんぢの訓諭をまもるがゆゑに 老たる者にまさりて事をわきまふるなり
101 われ聖󠄄言をまもらんために わが足をとどめてもろもろのあしき途󠄃にゆかしめず
102 なんぢ我ををしへたまひしによりて 我なんぢの審判󠄄をはなれざりき
103 みことばの滋味はわが腭にあまきこといかばかりぞや 蜜のわが口に甘きにまされり
104 我なんぢの訓諭によりて智慧󠄄をえたり このゆゑに虛僞のすべての途󠄃をにくむ
[○ヌン ]
105 なんぢの聖󠄄言はわがあしの燈火わが路のひかりなり
106 われなんぢのただしき審判󠄄をまもらんことをちかひ且かたくせり
107 われ甚いたく苦しめり ヱホバよねがはくは聖󠄄言にしたがひて我をいかしたまヘ
108 ヱホバよねがはくは誠意󠄃よりするわが口の献物をうけて なんぢの審判󠄄ををしへたまへ
1082㌻
109 わが靈魂はつねに危險ををかす されど我なんぢの法をわすれず
110 あしき者わがために羂をまうけたり されどわれ汝のさとしより迷󠄃ひいでざりき
111 われ汝のもろもろの證詞をとこしへにわが嗣業とせり これらの證詞はわが心をよろこばしむ〘833㌻〙
112 われ汝のおきてを終󠄃までとこしへに守らんとて之にこころを傾けたり
[○サメク ]
113 われ二心のものをにくみ汝のおきてを愛しむ
114 なんぢはわが匿るべき所󠄃わが盾なり われ聖󠄄言によりて望󠄇をいだく
115 惡きをなすものよ我をはなれされ われわが神のいましめを守らん
116 聖󠄄言にしたがひ我をささへて生存しめたまへ わが望󠄇につきて恥なからしめたまへ
117 われを支へたまへ さらばわれ安けかるべし われ恒になんぢの律法にこころをそそがん
118 すべて律法よりまよひいづるものを汝かろしめたまへり かれらの欺詐はむなしければなり
119 なんぢは地のすべての惡きものを渣滓のごとく除きさりたまふ この故にわれ汝のあかしを愛す
120 わが肉體なんぢを懼るるによりてふるふ 我はなんぢの審判󠄄をおそる
[○アイン ]
121 われは審判󠄄と公義とをおこなふ 我をすてて虐󠄃ぐるものに委ねたまふなかれ
122 汝のしもべの中保となりて福祉をえしめたまへ 高ぶるものの我をしへたぐるを容したまふなかれ
123 わが眼はなんぢの救となんぢのただしき聖󠄄言とをしたふによりておとろふ
124 ねがはくはなんぢの憐憫にしたがひてなんぢの僕をあしらひ 我になんぢの律法ををしへたまへ
1083㌻
125 我はなんぢの僕なり われに智慧󠄄をあたへてなんぢの證詞をしらしめたまへ
126 彼等はなんぢの法をすてたり 今はヱホバのはたらきたまふべき時なり
127 この故にわれ金よりもまじりなき金よりもまさりて汝のいましめを愛す
128 この故にもろもろのことに係るなんぢの一切のさとしを正しとおもふ 我すべてのいつはりの途󠄃をにくむ
[○べ ]
129 汝のあかしは妙なり かかるが故にわが靈魂これをまもる
130 聖󠄄言うちひらくれば光をはなちて 愚かなるものをさとからしむ
131 我なんぢの誡命をしたふが故に わが口をひろくあけて喘ぎもとめたり
132 ねがはくは聖󠄄名を愛するものに恒になしたまふごとく身をかへして我をあはれみたまへ
133 聖󠄄言をもてわが步履をととのへ もろもろの邪曲をわれに主たらしめたまふなかれ
134 われを人のしへたげより贖ひたまへ さらばわれ訓諭をまもらん
135 ねがはくは聖󠄄顏をなんぢの僕のうへにてらし 汝のおきてを我にをしへ給へ〘834㌻〙
136 人なんぢの法をまもらざるによりて わが眼のなみだ河のごとくに流る
[○ツァデー ]
137 ヱホバよなんぢは義しくなんぢの審判󠄄はなほし
138 汝ただしきと此上なき眞實とをもて その證詞を命じ給へり
139 わが敵なんぢの聖󠄄言をわすれたるをもて わが熱心われをほろぼせり
140 なんぢの聖󠄄言はいときよし 此故になんぢの僕はこれを愛す
141 われは微なるものにて人にあなどらるれども汝のさとしを忘れず
142 なんぢの義はとこしへの義なり汝ののりは眞理なり
1084㌻
143 われ患難と憂とにかかれども 汝のいましめはわが喜樂なり
144 なんぢの證詞はとこしへに義し ねがはくはわれに智慧󠄄をたまへ 我ながらふることを得ん
[○コフ ]
145 われ心をつくしてよばはれり ヱホバよ我にこたへたまへ 我なんぢの律法をまもらん
146 われ汝をよばはれり ねがはくはわれを救ひ給へ 我なんぢの證詞をまもらん
147 われ詰朝󠄃おきいでて呼はれり われ聖󠄄言によりて望󠄇をいだけり
148 夜の更のきたらぬに先だち わが眼はさめて汝のみことばを深くおもふ
149 ねがはくはなんぢの仁慈にしたがひてわが聲をききたまへ ヱホバよなんぢの審判󠄄にしたがひて我をいかしたまへ
150 惡をおひもとむるものは我にちかづけり 彼等はなんぢの法にとほくはなる
151 ヱホバよ汝はわれに近󠄃くましませり なんぢのすべての誡命はまことなり
152 われ早くよりなんぢの證詞によりて汝がこれを永遠󠄄にたてたまへることを知れり
[○レシ ]
153 ねがはくはわが患難をみて我をすくひたまへ 我なんぢの法をわすれざればなり
154 ねがはくはわが訟をあげつらひて我をあがなひ 聖󠄄言にしたがひて我をいかしたまへ
155 すくひは惡きものより遠󠄄くはなる かれらはなんぢの律法をもとめざればなり
156 ヱホバよなんぢの憐憫はおほいなり 願くはなんぢの審判󠄄にしたがひて我をいかしたまへ
157 我をせむる者われに敵するものおほし 我なんぢの證詞をはなるることなかりき
158 虛僞をおこなふもの汝のみことばを守らざるにより 我かれらを見てうれへたり
159 ねがはくはわが汝のさとしを愛すること幾何なるをかへりみたまへ ヱホバよなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ〘835㌻〙
160 なんぢのみことばの總計はまことなり 汝のただしき審判󠄄はとこしへにいたるまで皆たゆることなし
1085㌻
[○シン ]
161 もろもろの侯はゆゑなくして我をせむ 然どわが心はただ汝のみことばを畏る
162 われ人のおほいなる掠物をえたるごとくに 汝のみことばをよろこぶ
163 われ虛僞をにくみ之をいみきらへども 汝ののりを愛す
164 われ汝のただしき審判󠄄のゆゑをもて 一日に七次なんぢを讃稱ふ
165 なんぢの法をあいするものには大なる平󠄃安あり かれらには躓礙をあたふる者なし
166 ヱホバよ我なんぢの救をのぞみ汝のいましめをおこなへり
167 わが靈魂はなんぢの證詞をまもれり 我はいたく之をあいす
168 われなんぢの訓諭となんぢの證詞とをまもりぬ わがすべての道󠄃はみまへにあればなり
[○タウ ]
169 ヱホバよ願くはわがよぶ聲をみまへにちかづけ 聖󠄄言にしたがひて我にちゑをあたへたまへ
170 わが願をみまへにいたらせ 聖󠄄言にしたがひて我をたすけたまへ
171 わがくちびるは讃美をいだすべし 汝われに律法ををしへ給へばなり
172 わが舌はみことばを謳ふべし なんぢの一切のいましめは義なればなり
173 なんぢの手をつねにわが助となしたまへ われなんぢの訓諭をえらび用ゐたればなり
174 ヱホバよ我なんぢの救をしたへり なんぢの法はわがたのしみなり
175 願くはわが靈魂をながらへしめたまへ さらば汝をほめたたへん 汝のさばきの我をたすけんことを
176 われは亡はれたる羊のごとく迷󠄃ひいでぬ なんぢの僕をたづねたまへ われ汝のいましめを忘れざればなり
1086㌻
第120篇
[ 京詣のうた ]
1 われ困苦にあひてヱホバをよびしかば我にこたへたまへり
2 ヱホバよねがはくは虛僞のくちびる欺詐の舌よりわが靈魂をたすけいだしたまへ
3 あざむきの舌よなんぢに何をあたへられ 何をくはへらるべきか
4 ますらをの利き箭と金萑花のあつき炭となり
5 わざはひなるかな我はメセクにやどりケダルの幕屋のかたはらに住󠄃めり
6 わがたましひは平󠄃安をにくむものと偕にすめり
7 われは平󠄃安をねがふ されど我ものいふときにかれら戰爭をこのむ〘836㌻〙
第121篇
[ 京まうでの歌 ]
1 われ山にむかひて目をあぐ わが扶助はいづこよりきたるや
2 わがたすけは天地をつくりたまへるヱホバよりきたる
3 ヱホバはなんぢの足のうごかさるるを容したまはず 汝をまもるものは微睡たまふことなし
4 視よイスラエルを守りたまふものは微睡こともなく寢ることもなからん
5 ヱホバは汝をまもる者なり ヱホバはなんぢの右手をおほふ蔭なり
6 ひるは日なんぢをうたず夜は月なんぢを傷じ
7 ヱホバはなんぢを守りてもろもろの禍害󠄅をまぬかれしめ並なんぢの靈魂をまもりたまはん
8 ヱホバは今よりとこしへにいたるまで 汝のいづると入るとをまもりたまはん
第122篇
[ ダビデがよめる京まうでの歌 ]
1 人われにむかひて率󠄃ヱホバのいへにゆかんといへるとき我よろこべり
2 ヱルサレムよわれらの足はなんぢの門のうちにたてり
3 ヱルサレムよなんぢは稠くつらなりたる邑のごとく固くたてり
4 もろもろのやから即ちヤハの支派かしこに上りきたり イスラエルにむかひて證詞をなし またヱホバの名にかんしやをなす
1087㌻
5 彼處にさばきの寳座まうけらる これダビデの家のみくらなり
6 ヱルサレムのために平󠄃安をいのれ ヱルサレムを愛するものは榮ゆべし
7 ねがはくはなんぢの石垣のうちに平󠄃安あり なんぢの諸殿のうちに福祉あらんことを
8 わが兄弟のためわが侶のために われ今なんぢのなかに平󠄃安あれといはん
9 われらの神ヱホバのいへのために我なんぢの福祉をもとめん
第123篇
[ 京まうでの歌 ]
1 天にいますものよ我なんぢにむかひて目をあぐ
2 みよ僕その主の手に目をそそぎ 婢女その主母の手に目をそそぐがごとく われらはわが神ヱホバに目をそそぎて そのわれを憐みたまはんことをまつ
3 ねがはくはわれらを憐みたまヘ ヱホバよわれらを憐みたまへ そはわれらに輕侮はみちあふれぬ
4 おもひわづらひなきものの凌辱と たかぶるものの輕侮とはわれらの靈魂にみちあふれぬ
第124篇
[ ダビデのよめる京まうでの歌 ]
1 今イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの方にいまさず
2 人々われらにさからひて起󠄃りたつとき ヱホバもし我儕のかたに在さざりしならんには
3 かれらの怒のわれらにむかひておこりし時 われらを生るままにて呑しならん〘837㌻〙
4 また水はわれらをおほひ 流はわれらの靈魂をうちこえ
5 高ぶる水はわれらの靈魂をうちこえしならん
6 ヱホバはほむべきかな我儕をかれらの齒にわたして噛くらはせたまはざりき
7 我儕のたましひは捕鳥者のわなをのがるる鳥のごとくにのがれたり 羅はやぶれてわれらはのがれたり
8 われらの助は天地をつくりたまへるヱホバの名にあり
1088㌻
第125篇
[ みやこ詣のうた ]
1 ヱホバに依賴むものはシオンの山のうごかさるることなくして永遠󠄄にあるがごとし
2 ヱルサレムを山のかこめるごとくヱホバも今よりとこしへにその民をかこみたまはん
3 惡の杖はただしきものの所󠄃領にとゞまることなかるべし斯てただしきものはその手を不義にのぶることあらじ
4 ヱホバよねがはくは善人とこころ直きものとに福祉をほどこしたまへ
5 されどヱホバは轉へりておのが曲れる道󠄃にいるものを惡きわざをなすものとともに去しめたまはん 平󠄃安はイスラエルのうへにあれ
第126篇
[ 京まうでの歌 ]
1 ヱホバ、シオンの俘囚をかへしたまひし時 われらは夢みるもののごとくなりき
2 そのとき笑はわれらの口にみち歌はわれらの舌にみてり ヱホバかれらのために大なることを作たまへりといへる者もろもろの國のなかにありき
3 ヱホバわれらのために大なることをなしたまひたれば我儕はたのしめり
4 ヱホバよ願くはわれらの俘囚をみなみの川のごとくに歸したまへ
5 淚とともに播くものは歡喜とともに穫らん
6 その人は種をたづさへ淚をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん
第127篇
[ ソロモンがよめる京まうでのうた ]
1 ヱホバ家をたてたまふにあらずば 建るものの勤勞はむなしく ヱホバ城をまもりたまふにあらずば衞士のさめをるは徒勞なり
2 なんぢら早くおき遲くいねて辛苦の糧をくらふはむなしきなり 斯てヱホバその愛しみたまふものに寢をあたへたまふ
1089㌻
3 みよ子輩はヱホバのあたへたまふ嗣業にして 胎の實はその報のたまものなり
4 年壯きころほひの子はますらをの手にある矢のごとし
5 矢のみちたる箙をもつ人はさいはひなり かれら門にありて仇とものいふとき恥ることあらじ〘838㌻〙
第128篇
[ 京まうでの歌 ]
1 ヱホバをおそれその道󠄃をあゆむものは皆さいはひなり
2 そはなんぢおのが手の勤勞をくらふべければなり なんぢは福祉をえまた安處にをるべし
3 なんぢの妻はいへの奧にをりておほくの實をむすぶ葡萄の樹のごとく汝の子輩はなんぢの筵に圓居してかんらんの若樹のごとし
4 見よヱホバをおそるる者はかく福祉をえん
5 ヱホバはシオンより惠をなんぢに賜はん なんぢ世にあらんかぎりヱルサレムの福祉をみん
6 なんぢおのが子輩の子をみるべし 平󠄃安はイスラエルの上にあり
第129篇
[ 京まうでのうた ]
1 今イスラエルはいふべし彼等はしばしば我をわかきときより惱めたり
2 かれらはしばしば我をわかきときより惱めたり されどわれに勝󠄃ことを得ざりき
3 耕すものはわが背をたがへしてその畎をながくせり
4 ヱホバは義し あしきものの繩をたちたまへり
5 シオンをにくむ者はみな恥をおびてしりぞかせらるべし
6 かれらは長たざるさきにかるる屋上の草のごとし
7 これを刈るものはその手にみたず 之をつかぬるものはその束ふところに盈ざるなり
8 かたはらを過󠄃るものはヱホバの惠なんぢの上にあれといはず われらヱホバの名によりてなんぢらを祝すといはず
1090㌻
第130篇
[ 京まうでの歌 ]
1 ああヱホバよわれふかき淵より汝をよべり
2 主よねがはくはわが聲をきき汝のみみをわが懇求のこゑにかたぶけたまへ
3 ヤハよ主よなんぢ若もろもろの不義に目をとめたまはば誰たれかよく立ことをえんや
4 されどなんぢに赦あれば人におそれかしこまれ給ふべし
5 我ヱホバを俟望󠄇む わが靈魂はまちのぞむ われはその聖󠄄言によりて望󠄇をいだく
6 わがたましひは衞士があしたを待にまさり 誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり
7 イスラエルよヱホバによりて望󠄇をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖あり
8 ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲よりあがなひたまはん
第131篇
[ ダビデのよめる京まうでのうた ]
1 ヱホバよわが心おごらずわが目たかぶらず われは大なることと我におよばぬ奇しき事とをつとめざりき
2 われはわが靈魂をもださしめまた安からしめたり 乳󠄃をたちし嬰兒のその母にたよるごとく 我がたましひは乳󠄃をたちし嬰兒のごとくわれに恃れり〘839㌻〙
3 イスラエルよ今よりとこしへにヱホバにたよりて望󠄇をいだけ
第132篇
[ 京まうでの歌 ]
1 ヱホバよねがはくはダビデの爲にそのもろもろの憂をこころに記たまへ
2 ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全󠄃能者にうけひていふ
3 -5 われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全󠄃能者のために居所󠄃をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと
1091㌻
6 われらエフラタにて之をききヤアルの野にて見とめたり
7 われらはその居所󠄃にゆきて その承足のまへに俯伏さん
8 ヱホバよねがはくは起󠄃きて なんぢの稜威の櫃とともになんぢの安居所󠄃にいりたまへ
9 なんぢの祭司たちは義を衣 なんぢの聖󠄄徒はみな歡びよばふべし
10 なんぢの僕ダビデのためになんぢの受膏者の面をしりぞけたまふなかれ
11 ヱホバ眞實をもてダビデに誓ひたまひたれば之にたがふことあらじ 曰くわれなんぢの身よりいでし者をなんぢの座位にざせしめん
12 なんぢの子輩もしわがをしふる契󠄅約と證詞とをまもらばかれらの子輩もまた永遠󠄄になんぢの座位にざすべしと
13 ヱホバはシオンを擇びておのが居所󠄃にせんとのぞみたまへり
14 曰くこれは永遠󠄄にわが安居處なり われここに住󠄃ん そはわれ之をのぞみたればなり
15 われシオンの糧をゆたかに祝し くひものをもてその貧󠄃者をあかしめん
16 われ救をもてその祭司たちに衣せん その聖󠄄徒はみな聲たからかによろこびよばふべし
17 われダビデのためにかしこに一つの角をはえしめん わが受膏者のために燈火をそなへたり
18 われかれの仇にはぢを衣せん されどかれはその冠弁さかゆべし
第133篇
[ ダビデがよめる京まうでの歌 ]
1 視よはらから相睦てともにをるはいかに善いかに樂きかな
2 首にそそがれたる貴きあぶら鬚にながれ アロンの鬚にながれ その衣のすそにまで流れしたたるるがごとく
3 またヘルモンの露くだりてシオンの山にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉をくだし窮なき生命をさへあたへたまへり
1092㌻
第134篇
[ 京まうでの歌 ]
1 夜間ヱホバの家にたちヱホバに事ふるもろもろの僕よ ヱホバをほめまつれ〘840㌻〙
2 なんぢら聖󠄄所󠄃にむかひ手をあげてヱホバをほめまつれ
3 ねがはくはヱホバ天地をつくりたまへるもの シオンより汝をめぐみたまはんことを
第135篇
1 なんぢらヱホバを讃稱へよ ヱホバの名をほめたたへよ ヱホバの僕等ほめたたへよ
2 ヱホバの家われらの神のいへの大庭にたつものよ讃稱へよ
3 ヱホバは惠ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖󠄄名はうるはし讃うたへ
4 そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみてその珍寳となしたまへり
5 われヱホバの大なるとわれらの主のもろもろの神にまされるとをしれり
6 ヱホバその聖󠄄旨にかなふことを天にも地にも海にも淵にもみなことごとく行ひ給ふなり
7 ヱホバは地のはてより霧をのぼらせ 雨のために電光をつくりその庫より風をいだしたまふ
8 ヱホバは人より畜類にいたるまでエジプトの首出をうちたまへり
9 エジプトよヱホバはなんぢの中にしるしと奇しき事跡とをおくりて パロとその僕とに臨ませ給へり
10 ヱホバはおほくの國々をうち 又󠄂いきほひある王等をころし給へり
11 アモリ人のわうシホン、バシヤンの王オグならびにカナンの國々なり
12 かれらの地をゆづりとしその民イスフルの嗣業としてあたへ給へり
13 ヱホバよなんぢの名はとこしへに絕ることなし ヱホバよなんぢの記念はよろづ世におよばん
14 ヱホバはその民のために審判󠄄をなしその僕等にかかはれる聖󠄄意󠄃をかへたまふ可ればなり
15 もろもろのくにの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
1093㌻
16 そのぐうざうは口あれどいはず目あれど見ず
17 耳あれどきかず またその口に氣息あることなし
18 これを造󠄃るものと之によりたのむものとは皆これにひとしからん
19 イスラエルの家よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ
20 レビの家よヱホバをほめまつれ ヱホバを畏るるものよヱホバをほめまつれ
21 ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて讃まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ
第136篇
1 ヱホバに感謝せよヱホバはめぐみふかし その憐憫はとこしへに絕ることなければなり
2 もろもろの神の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
3 もろもろの主の主にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり〘841㌻〙
4 ただ獨りおほいなる奇跡なしたまふものに感謝せよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
5 智慧󠄄をもてもろもろの天をつくりたまへるものに感謝せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり
6 地を水のうへに布たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
7 巨󠄃大なる光をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絕ることなければなり
8 晝をつかさどらするために日をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
9 夜をつかさどらするために月ともろもろの星とをつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
10 もろもろの首出をうちてエジプトを責たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
11 イスラエルを率󠄃てエジプト人のなかより出したまへる者にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに絕ることなければなり
12 臂をのばしつよき手をもて之をひきいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
1094㌻
13 紅海をふたつに分󠄃たまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
14 イスラエルをしてその中をわたらしめ給へるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
15 パロとその軍兵とを紅海のうちに仆したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
16 その民をみちびきて野をすぎしめたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
17 大なる王たちを擊たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
18 名ある王等をころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絕ることなければなり
19 アモリ人のわうシホンをころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
20 バシヤンのわうオグを誅したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
21 かれらの地を嗣業としてあたへたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
22 その僕イスラエルにゆづりとして之をあたへたまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠󠄄にたゆることなければなり
23 われらが微賤かりしときに記念したまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絕ることなければなり〘842㌻〙
24 わが敵よりわれらを助けいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絕ることなければなり
25 すべての生るものに食󠄃物をあたへたまふものに感謝せよ そのあはれみはとこしへに絕ることなければなり
26 天の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絕ることなければなり
第137篇
1 われらバビロンの河のほとりにすわり シオンをおもひいでて淚をながしぬ
2 われらそのあたりの柳にわが琴をかけたり
1095㌻
3 そはわれらを虜にせしものわれらに歌をもとめたり 我儕をくるしむる者われらにおのれを歡ばせんとて シオンのうた一つうたへといへり
4 われら外邦にありていかでヱホバの歌をうたはんや
5 エルサレムよもし我なんぢをわすれなばわが右の手にその巧をわすれしめたまへ
6 もしわれ汝を思ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歡喜の極となさずばわが舌をわが腭につかしめたまヘ
7 ヱホバよねがはくはヱルサレムの日にエドムの子輩がこれを掃除けその基までもはらひのぞけといへるを聖󠄄意󠄃にとめたまへ
8 ほろぼさるべきバビロンの女よ なんぢがわれらに作しごとく汝にむくゆる人はさいはひなるべし
9 なんぢの嬰兒をとりて岩のうへになげうつものは福ひなるべし
第138篇
[ ダビデのうた ]
1 われはわが心をつくしてなんぢに感謝し もろもろの神のまへにて汝をほめうたはん
2 我なんぢのきよき宮にむかひて伏拜み なんぢの仁慈とまこととの故によりて聖󠄄名にかんしやせん そは汝そのみことばをもろもろの聖󠄄名にまさりて高くしたまひたればなり
3 汝わがよばはりし日にわれにこたへ わが靈魂にちからをあたへて雄々しからしめたまへり
4 ヱホバよ地のすべての王はなんぢに感謝せん かれらはなんぢの口のもろもろの言をききたればなり
5 かれらはヱホバのもろもろの途󠄃についてうたはん ヱホバの榮光おほいなればなり
6 ヱホバは高くましませども卑きものを顧󠄃みたまふ されど亦おごれるものを遠󠄄よりしりたまへり
7 縱ひわれ患難のなかを步むとも汝われをふたゝび活し その手をのばしてわが仇のいかりをふせぎ その右の手われをすくひたまふべし
8 ヱホバはわれに係れることを全󠄃うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫はとこしへにたゆることなし願くはなんぢの手のもろもろの事跡をすてたまふなかれ〘843㌻〙
1096㌻
第139篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデの歌 ]
1 ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり
2 なんぢはわが坐るをも立をもしり 又󠄂とほくよりわが念をわきまへたまふ
3 なんぢはわが步むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途󠄃をことごとく知たまへり
4 そはわが舌に一言ありとも觀よヱホバよなんぢことごとく知たまふ
5 なんぢは前󠄃より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり
6 かかる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず
7 我いづこにゆきてなんぢの聖󠄄靈をはなれんや われいづこに徃てなんぢの前󠄃をのがれんや
8 われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 觀よなんぢ彼處にいます
9 我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも
10 かしこにて尙なんぢの手われをみちびき汝のみぎの手われをたもちたまはん
11 暗󠄃はかならす我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも
12 汝のみまへには暗󠄃ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし
13 汝はわがはらわたをつくり 又󠄂わがははの胎にわれを組成たまひたり
14 われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが靈魂はいとつばらに之をしれり
15 われ隱れたるところにてつくられ地の底所󠄃にて妙につづりあはされしとき わが骨なんぢにかくるることなかりき
16 わが體いまだ全󠄃からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの册にしるされたり
17 神よなんぢのもろもろの思念はわれに寶きこといかばかりぞや そのみおもひの總計はいかに多きかな
1097㌻
18 我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尙なんぢとともにをる
19 神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ
20 かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖󠄄名をとなふるなり
21 ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆󠄃ひておこりたつものを厭ふにあらずや
22 われ甚くかれらをにくみてわが仇とす
23 神よねがはくは我をさぐりてわが心をしり 我をこころみてわがもろもろの思念をしりたまへ〘844㌻〙
24 ねがはくは我によこしまなる途󠄃のありやなしやを見て われを永遠󠄄のみちに導󠄃きたまへ
第140篇
[ 伶長にうたはしめたるダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくは惡人よりわれを助けいだし 我をまもりて强暴人よりのがれしめたまへ
2 かれらは心のうちに殘害󠄅をくはだて たえず戰鬪をおこす
3 かれらは蛇のごとくおのが舌を利す そのくちびるのうちに蝮の毒あり セラ
4 ヱホバよ願くはわれを保ちてあしきひとの手よりのがれしめ 我をまもりてわが足をつまづかせんと謀るあらぶる人よりのがれしめ給へ
5 高ぶるものはわがために羂と索とをふせ 路のほとりに網をはり かつ機をまうけたり セラ
6 われヱホバにいへらく汝はわが神なり ヱホバよねがはくはわが祈のこゑをきき給へ
7 わが救のちからなる主の神よ なんぢはたたかひの日にわが首をおほひたまへり
8 ヱホバよあしきひとの欲のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企圖をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等みづから誇らん セラ
9 われを圍むものの首はおのれのくちびるの殘害󠄅におほはるべし
10 もえたる炭はかれらのうへにおち かれらは火になげいれられ ふかき穴󠄄になげいれられて再びおきいづることあたはざるべし
1098㌻
11 惡言をいふものは世にたてられず 暴ぶるものはわざはひに追󠄃及れてたふさるべし
12 われは苦しむものの訴とまづしきものの義とをヱホバの守りたまふを知る
13 義者はかならず聖󠄄名にかんしやし直者はみまへに住󠄃ん
第141篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバよ我なんぢを呼ふ ねがはくは速󠄃かにわれにきたりたまへ われ汝をよばふときわが聲に耳をかたぶけたまへ
2 われは薫物のごとくにわが祈をみまへにささげ 夕のそなへものの如くにわが手をあげて聖󠄄前󠄃にささげんことをねがふ
3 ヱホバよねがはくはわが口に門守をおきて わがくちびるの戶をまもりたまへ
4 惡事にわがこころを傾かしめて邪曲をおこなふ者とともに惡きわざにあづからしめ給ふなかれ 又󠄂かれらの珍饈をくらはしめたまふなかれ
5 義者われをうつとも我はこれを愛しみとしその我をせむるを頭のあぶらとせん わが頭はこれを辭まず かれらが禍害󠄅にあふときもわが祈はたえじ
6 その審士ははほの崕になげられん かれらわがことばの甘美によりて聽ことをすべし〘845㌻〙
7 人つちを耕しうがつがごとく我儕のほねははかの口にちらさる
8 されど主ヱホバよわが目はなほ汝にむかふ 我なんぢに依賴めり ねがはくはわが靈魂をともしきままに捨おきたまなかれ
9 我をまもりてかれらがわがためにまうくる羂とよこしまを行ふものの機とをまぬかれしめたまへ
10 われは全󠄃くのがれん あしきものをおのれの網におちいらしめたまへ
第142篇
[ ダビデが洞にありしときよみたる敎へのうたなり祈なり ]
1 われ聲をいだしてヱホバによばはり 聲をいだしてヱホバにこひもとむ
2 われはその聖󠄄前󠄃にわが歎息をそそぎいだし そのみまへにわが患難をあらはす
1099㌻
3 わが靈魂わがうちにきえうせんとするときも汝わがみちを識たまへり 人われをとらへんとてわがゆくみちに羂をかくせり
4 願くはわがみぎの手に目をそそぎて見たまへ 一人だに我をしるものなし われには避󠄃所󠄃なくまたわが靈魂をかへりみる人なし
5 ヱホバよわれ汝をよばふ 我いへらく汝はわがさけどころ有生の地にてわがうべき分󠄃なりと
6 ねがはくはわが號呼にみこころをとめたまへ われいたく卑くせられたればなり 我をせむる者より助けいだしたまへ 彼等はわれにまさりて强ければなり
7 願くはわがたましひを囹圄よりいだし われに聖󠄄名を感謝せしめたまへ なんぢ豐かにわれを待ひたまふべければ 義者われをめぐらん
第143篇
[ ダビデのうた ]
1 ヱホバよねがはくはわが祈をきき わが懇求にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞實なんぢの公義をもて我にこたへたまへ
2 汝のしもべの審判󠄄にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人だにみまへに義とせらるるはなし
3 仇はわがたましひを迫󠄃めわが生命を地にうちすて 死てひさしく世を經たるもののごとく我をくらき所󠄃にすまはせたり
4 又󠄂わがたましひはわが衷にきえうせんとし わが心はわがうちに曠さびれたり
5 われはいにしへの日をおもひいで 汝のおこなひたまひし一切のことを考へ なんぢの手のみわざをおもふ
6 われ汝にむかひてわが手をのべ わがたましひは燥きおとろへたる地のごとく汝をしたへり セラ
7 ヱホバよ速󠄃かにわれにこたへたまへ わが靈魂はおとろふ われに聖󠄄顏をかくしたまふなかれ おそらくはわれ穴󠄄にくだるもののごとくならん〘846㌻〙
8 朝󠄃になんぢの仁慈をきかしめたまへ われ汝によりたのめばなり わが步むべき途󠄃をしらせたまへ われわが靈魂をなんぢに擧ればなり
1100㌻
9 ヱホバよねがはくは我をわが仇よりたすけ出したまへ われ匿れんとして汝にはしりゆく
10 汝はわが神なり われに聖󠄄旨をおこなふことををしへたまへ 惠ふかき聖󠄄靈をもて我をたひらかなる國にみちびきたまへ
11 ヱホバよねがはくは聖󠄄名のために我をいかし なんぢの義によりてわがたましひを患難よりいだしたまへ
12 又󠄂なんぢの仁慈によりてわが仇をたち 靈魂をくるしむる者をことごとく滅したまへ そは我なんぢの僕なり
第144篇
[ ダビデのうた ]
1 戰することをわが手にをしへ 鬪ふことをわが指にをしへたまふ わが磐ヱホバはほむべきかな
2 ヱホバはわが仁慈わが城なり わがたかき櫓われをすくひたまふ者なり わが盾わが依賴むものなり ヱホバはわが民をわれにしたがはせたまふ
3 ヱホバよ人はいかなる者なれば之をしり 人の子はいかなる者なれば之をみこころに記たまふや
4 人は氣息にことならず その存らふる日はすぎゆく影にひとし
5 ヱホバよねがはくはなんぢの天をたれてくだり 手を山につけて烟をたたしめたまへ
6 電光をうちいだして彼等をちらし なんぢの矢をはなちてかれらを敗りたまへ
7 上より手をのべ我をすくひて 大水より外人の手よりたすけいだしたまへ
8 かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
9 神よわれ汝にむかひて新らしき歌をうたひ 十絃の琴にあはせて汝をほめうたはん
10 なんぢは王たちに救をあたへ 僕ダビデをわざはひの劍よりすくひたまふ神なり
11 ねがはくは我をすくひて外人の手よりたすけいだしたまへ かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
1101㌻
12 われらの男子はとしわかきとき育ちたる草木のごとくわれらの女子は宮のふりにならひて刻みいだしし隅の石のごとくならん
13 われらの倉はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの羊は野にて千萬の子をうみ
14 われらの牡牛はよく物をおひ われらの衢にはせめいることなく亦おしいづることなく叫ぶこともなからん
15 かかる狀の民はさいはひなり ヱホバをおのが神とする民はさいはひなり〘847㌻〙
第145篇
[ ダビデの讃美のうた ]
1 わがかみ王よわれ汝をあがめ 世かぎりなく聖󠄄名をほめまつらん
2 われ日ごとに汝をほめ世々かぎりなく聖󠄄名をほめたゝへん
3 ヱホバは大にましませば最もほむべきかな その大なることは尋󠄃ねしることかたし
4 この代はかの代にむかひてなんぢの事跡をほめたたへ なんぢの大能のはたらきを宣つたへん
5 われ汝のほまれの榮光ある稜威となんぢの奇しきみわざとを深くおもはん
6 人はなんぢのおそるべき動作のいきほひをかたり 我はなんぢの大なることを宣つたへん
7 かれらはなんぢの大なる惠の跡をいひいで なんぢの義をほめうたはん
8 ヱホバは惠ふかく憐憫みち また怒りたまふことおそく憐憫おほいなり
9 ヱホバはよろづの者にめぐみあり そのふかき憐憫はみわざの上にあまねし
10 ヱホバよ汝のすべての事跡はなんぢに感謝し なんぢの聖󠄄徒はなんぢをほめん
11 かれらは御國のえいくわうをかたり汝のみちからを宣つたへて
12 その大能のはたらきとそのみくにの榮光あるみいづとを人の子輩にしらすべし
13 なんぢの國はとこしへの國なり なんぢの政治はよろづ代にたゆることなし
14 ヱホバはすべて倒れんとする者をささへ かがむものを直くたたしめたまふ
1102㌻
15 よろづのものの目はなんぢを待 なんぢは時にしたがひてかれらに糧をあたへ給ふ
16 なんぢ手をひらきてもろもろの生るものの願望󠄇をあかしめたまふ
17 ヱホバはそのすべての途󠄃にただしく そのすべての作爲にめぐみふかし
18 すべてヱホバをよぶもの 誠をもて之をよぶものに ヱホバは近󠄃くましますなり
19 ヱホバは己をおそるるものの願望󠄇をみちたらしめ その號呼をききて之をすくひたまふ
20 ヱホバはおのれを愛しむものをすべて守りたまへど 惡者をことごとく滅したまはん
21 わが口はヱホバの頌美をかたり よろづの民は世々かぎりなくそのきよき名をほめまつるべし
第146篇
1 ヱホバを讃稱へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ
2 われ生るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが神をほめうたはん
3 もろもろの君によりたのむことなく 人の子によりたのむなかれ かれらに助あることなし
4 その氣息いでゆけばかれ土にかへる その日かれがもろもろの企圖はほろびん
5 ヤコブの神をおのが助としその望󠄇をおのが神ヱホバにおくものは福ひなり〘848㌻〙
6 此はあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造󠄃り とこしへに眞實をまもり
7 虐󠄃げらるるもののために審判󠄄をおこなひ 饑ゑたるものに食󠄃物をあたへたまふ神なり ヱホバはとらはれたる人をときはなちたまふ
8 ヱホバはめしひの目をひらき ヱホバは屈者をなほくたたせ ヱホバは義しきものを愛しみたまふ
9 ヱホバは他邦人をまもり 孤子と寡婦󠄃とをささへたまふ されど惡きものの徑はくつがへしたまふなり
10 ヱホバはとこしへに統治めたまはん シオンよなんぢの神はよろづ代まで統治めたまはん ヱホバをほめたたへよ
1103㌻
第147篇
1 ヱホバをほめたたへよ われらの神をほめうたふは善ことなり樂しきことなり 稱へまつるはよろしきに適󠄄へり
2 ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる者をあつめたまふ
3 ヱホバは心のくだけたるものを醫しその傷をつつみたまふ
4 ヱホバはもろもろの星の數をかぞへてすべてこれに名をあたへたまふ
5 われらの主はおほいなりその能力もまた大なりその智慧󠄄はきはまりなし
6 ヱホバは柔和なるものをささへ惡きものを地にひきおとし給ふ
7 ヱホバに感謝してうたへ琴にあはせてわれらの神をほめうたヘ
8 ヱホバは雲をもて天をおほひ地のために雨をそなへ もろもろの山に草をはえしめ
9 くひものを獸にあたへ並なく小鴉にあたへたまふ
10 ヱホバは馬のちからを喜びたまはず 人の足をよみしたまはず
11 ヱホバはおのれを畏るるものと おのれの憐憫をのぞむものとを好したまふ
12 ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの神をほめたたへよ
13 ヱホバはなんぢの門の關木をかたうし 汝のうちなる子輩をさきはひ給ひたればなり
14 ヱホバは汝のすべての境にやはらぎをあたへ いと嘉麥をもて汝をあかしめたまふ
15 ヱホバはそのいましめを地にくだしたまふ その聖󠄄言はいとすみやかにはしる
16 ヱホバは雪󠄃をひつじの毛のごとくふらせ霜を灰󠄃のごとくにまきたまふ
17 ヱホバは氷をつちくれのごとくに擲ちたまふ たれかその寒冷にたふることをえんや
18 ヱホバ聖󠄄言をくだしてこれを消󠄃し その風をふかしめたまへばもろもろの水はながる
19 ヱホバはそのみことばをヤコブに示し そのもろもろの律法とその審判󠄄とをイスラエルにしめしたまふ
20 ヱホバはいづれの國をも如此あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判󠄄をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ〘849㌻〙
1104㌻
第148篇
1 ヱホバをほめたたへよ もろもろの天よりヱホバをほめたたへよ もろもろの高所󠄃にてヱホバをほめたたへよ
2 その天使よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍よみなヱホバをほめたたへよ
3 日よ月よヱホバをほめたたへよ ひかりの星よみなヱホバをほめたたへよ
4 もろもろの天のてんよ 天のうへなる水よ ヱホバをほめたたへよ
5 これらはみなヱホバの聖󠄄名をほめたたふべし そはヱホバ命じたまひたればかれらは造󠄃られたり
6 ヱホバまた此等をいやとほながに立たまひたり 又󠄂すぎうすまじき詔命をくだしたまへり
7 龍󠄇よ すべての淵よ地よりヱホバをほめたたへよ
8 火よ霰よ雪󠄃よ霧よみことばにしたがふ狂風よ
9 もろもろの山もろもろのをか實をむすぶ樹すべての香柏よ
10 獸もろもろの牲畜はふもの翼ある鳥よ
11 地の王たち もろもろのたみ 地の諸侯よ 地のもろもろの審士よ
12 少きをのこ 若きをみな 老たる人 をさなきものよ
13 みなヱホバの聖󠄄名をほめたたふべし その聖󠄄名はたかくして類なく そのえいくわうは地よりも天よりもうへにあればなり
14 ヱホバはその民のために一つの角をあげたまへり こはそもろもろの聖󠄄徒のほまれ ヱホバにちかき民なるイスラエルの子輩のほまれなり ヱホバを讃稱へよ
第149篇
1 ヱホバをほめたたへよ ヱホバに對ひてあたらしき歌をうたへ 聖󠄄徒のつどひにてヱホバの頌美をうたへ
2 イスラエルはおのれを造󠄃りたまひしものをよろこび シオンの子輩は己が王のゆゑによりて樂しむべし
3 かれらをどりつつその聖󠄄名をほめたたへ 琴鼓にてヱホバをほめうたべし
4 ヱホバはおのが民をよろこび 救にて柔和なるものを美しくしたまへばなり
1105㌻
5 聖󠄄徒はえいくわうの故によりてよろこび その寢牀にてよろこびうたふべし
6 その口に神をほむるうたあり その手にもろはの劍あり
7 こはもろもろの國に仇をかへし もろもろの民をつみなひ
8 かれらの王たちを鏈にてかれらの貴人をくろかねの械にていましめ
9 錄したる審判󠄄をかれらに行ふべきためなり 斯るほまれはそのもろもろの聖󠄄徒にあり ヱホバをほめたたへよ
第150篇
1 ヱホバをほめたたへよ その聖󠄄所󠄃にて神をほめたたへよ その能力のあらはるる穹蒼にて神をほめたたへよ
2 その大能のはたらきのゆゑをもて神をほめたたへよ その秀ておほいなることの故によりてヱホバをほめたたへよ〘850㌻〙
3 ラッパの聲をもて神をほめたたへよ 筝と琴とをもて神をほめたたへよ
4 つづみと蹈舞とをもて神をほめたたへよ 絃簫をもて神をほめたたへよ
5 音󠄃のたかき鐃鈸をもて神をほめたたへよ なりひびく鐃鈸をもて神をほめたたへよ
6 氣息あるものは皆ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ〘851㌻〙
1106㌻