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〘616㌻〙

第1章

1 こゝにダビデわう年邁としすすみて寢衣よぎするもあたたまらざりければ 2 その臣僕しもべかれにいひけるはわうわがしゆのために一人ひとりわか處女をとめもとめしめてこれをしてわうのまへにたちてわう左右ともとなりなんぢふところふしわうわがしゆあたためしめんと 3 彼等かれらすなはちイスラエルの四方よもさかひうつくし童女をとめもとめてシユナミびとアビシヤグをこれわうつれきたれり 4 これ童女をとめはなはうつくしくしてわう左右ともとなりわうつかへたりされわうこれまじはらざりき

5 ときにハギテのアドニヤみづかたかくしわれわうとならんといひおのれのために戰車いくさぐるま騎兵きへいおよび自己おのれのまへにかけもの五十にんそなへたり 6 その父󠄃ちゝかれうまれてより已來このかたなんぢ何故なにゆゑしかするやといひてかれをいたましめしことなかりきアドニヤもまた容貌かたちはなはものにてアブサロムのつぎうまれたり 7 かれゼルヤのヨアブおよび祭司さいしアビヤタルと商議かたらひしかば彼等かれらこれしたがひゆきてたすけたり 8 されど祭司さいしザドクとヱホヤダのベナヤと預言者よげんしやナタンおよびシメイとレイならびにダビデにぞくしたる勇士ゆうしはアドニヤにくみせざりき 9 アドニヤ、エンロゲルの近󠄃邊ほとりなるゾヘレテのいしかたはらにてひつじうしこえたるものほふりてわうなるおのれ兄弟きやうだいおよびわう臣僕けらいなるユダのひとこと〴〵請󠄃まねけり 10 されども預言者よげんしやナタンとベナヤと勇士ゆうしとおのれの兄弟きやうだいソロモンとをばまねかざりき

11 こゝにナタン、ソロモンのはゝバテシバにかたりていひけるはなんぢハギテのアドニヤがわうとなれるをきかざるかしかるにわれらのしゆダビデはこれをしらざるなり 12 されば請󠄃きたわれなんぢはかりごとさづけなんぢをしておのれ生命いのちなんぢソロモンの生命いのちすくはしめん 13 なんぢゆきてダビデわう所󠄃ところこれにいへわうわがしゆなんぢしもめちかひてなんぢソロモンはわれついわうとなりわがくらゐせんといひたまひしにあらずやしかるにアドニヤ何故なにゆゑわうとなれるやと
 616㌻ 
14 われまたなんぢなほ其處そこにてわうものいうちなんぢつづいなんぢことばかたうすべしと

15 こゝにおいてバテシバ寢室ねやりてわう所󠄃ところにいたるにわうはなはおいてシユナミびとアビシヤグわうつかたり 16 バテシバかがわうはいわういふなになるや 17 かれわうにいひけるはわがしゆなんぢなんぢかみヱホバをさししもめなんぢソロモンはわれついわうとなりわがくらゐせんとちかひたまへり〘473㌻〙 18 しかるにいまアドニヤわうとなれりしかしわうわがしゆなんぢしりたまはず 19 かれうしこえたるものひつじおほほふりてわう諸子みこたちおよび祭司さいしアビヤタルとぐんかしらヨアブをまねけりされどなんぢしもべソロモンをばまねかざりき 20 なんぢわうわがしゆよイスラエルのみななんぢそゝなんぢ彼等かれらなんぢついわうわがしゆくらゐすべきをつぐるを望󠄇のぞ 21 わうわがしゆその父󠄃祖せんぞともねむりたまはんときわれとわがソロモンは罪人ざいにん見做みなさるるにいたらんと

22 バテシバなほわうものいふうちに預言者よげんしやナタンもまたいりきたりければ 23 人々ひと〴〵わうつげ預言者よげんしやナタンこゝにありとかれわうのまへにふしわうはいせり 24 しかしてナタンいひけるはわうわがしゆなんぢはアドニヤわれついわうとなりわがくらゐすべしといひたまひしや 25 かれ今日こんにちくだりてうしこえたるものひつじおほほふりてわう諸子みこたちぐんかしらたち祭司さいしアビヤタルをまねけりしかして彼等かれらはアドニヤのまへにのみ食󠄃くひしてアドニヤわういのちながかれと 26 されどなんぢしもべなるわれ祭司さいしザドクとヱホヤダのベナヤとなんぢしもべソロモンとはかれ請󠄃まねかざるなり 27 此事このことわうわがしゆなしたまふ所󠄃ところなるかしかるになんぢなんぢついわうわがしゆくらゐすべきをしもべしらせたまはざるなりと

28 ダビデわうこたへていふバテシバをわがもとせとかれすなはわうのまへにいりわうのまへにたつに 29 わうちかひていひけるはわが生命いのちもろ〳〵艱難かんなんうちすくひたまひしヱホバは 30 わがイスラエルのかみヱホバをさしちかひてなんぢソロモンわれついわうとなりわれかはりてわがくらゐすべしといひしごとくにわれ今日こんにちすべしと
 617㌻ 
31 こゝにおいてバテシバかがふしわうはいねがはくはわがしゆダビデわう長久とこしなへいきながらへたまへといふ

32 ダビデわういひけるはわがもと祭司さいしザドクと預言者よげんしやナタンおよびヱホヤダのベナヤをめせ彼等かれらすなはわうのまへにきた 33 わう彼等かれらにいひけるは汝等なんぢらしゆ臣僕けらい伴󠄃ともなひわがソロモンをわがむまかれをギホンに導󠄃みちびくだ 34 彼處かしこにて祭司さいしザドクと預言者よげんしやナタンはかれあぶらをそそぎてイスラエルのうへわうすべししかしてなんぢ喇叭らつぱふきてソロモンわういのちながかれと 35 かくしてなんぢかれしたがひてのぼきたるべしかれきたりてわがくらゐわれかはりてわうとなるべしわれかれたててイスラエルとユダのうへ主君きみとなせりと 36 ヱホヤダのベナヤわうこたへていひけるはアメンねがはくはわうわがしゆかみヱホバしかいひたまはんことを〘474㌻〙 37 ねがはくはヱホバわうわがしゆとともにいませしごとくソロモンとともにいましてそのくらゐをわがしゆダビデわうくらゐよりもおほいならしめたまはんことを

38 かく祭司さいしザドクと預言者よげんしやナタンおよびヱホヤダのベナヤならびにケレテびととペレテびとくだりソロモンをダビデわうむませてこれをギホンに導󠄃みちびきいたれり 39 しかして祭司さいしザドク幕屋まくやうちよりあぶらつのとりてソロモンにあぶらそそげりかくて喇叭らつぱきならし 40 たみみなソロモンわういのちながかれといへたみみなかれにしたがのぼりてふえおほいよろこびいははかれらのこゑにてさけたり

41 アドニヤおよびかれとともにたる賓客きやくその食󠄃しよく終󠄃をへたるときみなこれをきけりヨアブ喇叭らつぱこゑきゝていひけるは城邑まちうち聲音󠄃こゑなん喧囂かまびすしきやと 42 かれいひをるうち祭司さいしアビヤタルのヨナタンきたるアドニヤかれにいひけるはいれなんぢゆうあるひとなりよき音󠄃おとづれもちきたれるならん 43 ヨナタンこたへてアドニヤにいひけるはまことにわがしゆダビデわうソロモンをわうとなしたまへり
 618㌻ 
44 わう祭司さいしザドクと預言者よげんしやナタンおよびヱホヤダのベナヤならびにケレテびととペレテびとをソロモンとともに遣󠄃つかはしたまふすなは彼等かれらはソロモンをわうむませてゆき 45 祭司さいしザドクと預言よげんしやナタン、ギホンにてかれあぶらをそそぎてわうとなせりしかして彼等かれら其處そこよりよろこびのぼるがゆゑ城邑まち諠囂かまびすなんぢらがきけ聲音󠄃こゑこれなり 46 又󠄂またソロモンくにくらゐ 47 かつわう臣僕けらいきたりてわれらのしゆダビデわういはひのべねがはくはなんぢかみソロモンのなんぢよりもよくそのくらゐなんぢくらゐよりもおほいたらしめたまへといへりしかしてわうとこうへにてはいせり 48 わうまたかくいへりイスラエルのかみヱホバはほむべきかなヱホバ今日こんにちわがくらゐするものあたへたまひてわがまたこれをるなりと

49 アドニヤとともにある賓客きやくみな驚愕おどろ起󠄃たちおの〳〵その途󠄃みちりゆけり 50 こゝにアドニヤ、ソロモンのかほおそ起󠄃たちだんつのとらへたり 51 あるひとソロモンにつげていふアドニヤ、ソロモンわうおそかれだんつのとらへねがはくはソロモンわう今日けふわれかたなをもてしもべころさじとちかたまへといひたりと 52 ソロモンいひけるはかれもしぜんにんとなるならばそのかみひとすぢもにおちざるべしされかれうちあくみゆるあらばしなしむべしと 53 ソロモンわうすなはひと遣󠄃やりかれだんよりたづさへくだらしむかれきたりてソロモンわうはいしければソロモンかれなんぢいへゆけといへり〘475㌻〙

第2章

1 ダビデぬる近󠄃ちかよりければそのソロモンにめいじていふ 2 われ世人みな途󠄃みちゆかんとすなんぢつよ丈夫をとこのごとく 3 なんぢかみヱホバの職守つとめまもその道󠄃みち步行あゆその法憲のりその誡命いましめその律例さだめその證言あかしとをモーセの律法おきてしるされたるごとくまもるべししからばなんぢすべなんぢなすところとすべなんぢむかふところにてさかゆべし 4 又󠄂またヱホバはそのさきわれことつきかたりてもしなんぢ子等こらその道󠄃みちつゝしこゝろつく精神せいしんつくして眞實まことをもてわが前󠄃まへあゆまばイスラエルのくらゐのぼひとなんぢかくることなかるべしといひたまひしことばかたうしたまはん 5 又󠄂またなんぢはゼルヤのヨアブがわれなしたることすなはかれがイスラエルの二人ふたりぐんかしらネルのアブネルとヱテルのアマサになしたることかれこの二人ふたりきりころ太平󠄃たいへいときいくさながいくさおのれこし周󠄃圍まはりおびそのあしくつつけたり
 619㌻ 
6 ゆゑなんぢ智慧󠄄ちゑにしたがひてことその白髮しらが安然やすらかはかくだらしむるなかれ 7 たゞしギレアデびとバルジライの子等こらには恩惠めぐみほどこし彼等かれらをしてなんぢせきにて食󠄃くらものうちにあらしめよ彼等かれらはわがなんぢ兄弟きやうだいアブサロムのかほ避󠄃さけ逃󠄄にげときわれつきたるなり 8 又󠄂またバホリムのベニヤミンびとゲラのシメイなんぢとともにかれはわがマナハイムにゆきときはげしきのろひことばをもてわれのろへりしかれどもかれヨルダンにくだりてわれ迎󠄃むかへたればわれヱホバをさしちかひてわれかたなをもてなんぢころさじといへり 9 しかりといへどもかれつみなきものとするなかなんぢ智慧󠄄ちゑあるひとなればかれなすべきことるなりながしてその白髮しらがはかくだすべしと

10 かくてダビデはその父󠄃祖せんぞともねむりてダビデのまちはうむらる 11 ダビデのイスラエルにわうたりしは四十ねんなりきすなはちヘブロンにてわうたりしことねんエルサレムにてわうたりしこと三十三ねん 12 ソロモンその父󠄃ちゝダビデのくらゐそのくに堅固かたさだまりぬ

13 こゝにハギテのアドニヤ、ソロモンのはゝバテシバの所󠄃ところきたりければバテシバいひけるはなんぢ平󠄃穩おだやかなることのためにきたるやかれいふ平󠄃穩おだやかたることのためなり 14 かれ又󠄂またいふわれなんぢまをさんとすることありとバテシバいふまうされよ 15 かれいひけるはなんぢしるごとくくにわれものにしてイスラエルみなそのかほわれむけわうとなさんとりしかるにくにうつりてわが兄弟きやうだいものとなれりそのかれものとなれるはヱホバよりいでたるなり 16 いまわれひとつねがひなんぢもと請󠄃ふわがかほしりぞくるなかれバテシバかれにいひけるはまをされよ
 620㌻ 
17 かれいひけるは請󠄃ふソロモンわういひかれをしてシエナミびとアビシヤグをわれあたへつまとなさしめよかれなんぢかほしりぞけざるべければなり〘476㌻〙 18 バテシバいふわれなんぢのためにわういはんと

19 かくてバテシバ、アドニヤのためにいはんとてソロモンわうもといたりければわう起󠄃たちてかれを迎󠄃むかかれはいしてそのくらゐなほりわうのためにまうけしむすなはそのみぎせり 20 しかしてバテシバいひけるはわれひとつ細小ちひさねがひなんぢもとむわがかほしりぞくるなかれわうかれにいひけるははゝうへもとめたまへわれなんぢかほしりぞけざるなり 21 かれいひけるは請󠄃ふシユナミびとアビシヤグをアドニヤにあたへつまとなさしめよ 22 ソロモンわうこたへそのはゝにいひけるはなんぞアドニヤのためにシユナミびとアビシヤグをもとめらるるやかれのためにくにをももとめられよかれわれあになればなりかれ祭司さいしアビヤタルとゼルヤのヨアブのためにもとめられよと 23 ソロモンわうすなはちヱホバをさしちかひていふかみわれかくなし又󠄂またかさねてかくなしたまへアドニヤはその生命いのちうしなはんとてこのことばいひいだせり 24 われたててわが父󠄃ちゝダビデのくらゐのぼらしめそのやくせしごとくわれいへたてたまひしヱホバはくアドニヤは今日けふころさるべしと 25 ソロモンわうヱホヤダのベナヤを遣󠄃つかはしければかれアドニヤをうちしなしめたり

26 わうまた祭司さいしアビヤタルにいひけるはなんぢでんアナトテにいたれなんぢあたものなれどもさきにわが父󠄃ちゝダビデのまへにかみヱホバのはこ又󠄂またすべてわが父󠄃ちゝ艱難かんなんうけたるところにてなんぢ艱難かんなんうけたればわれ今日けふなんぢころさじと 27 ソロモン、アビヤタルを逐󠄃おひいだしてヱホバの祭司さいしたらしめざりきかくヱホバがシロにてエリのいへにつきていひたまひしことばとけたり

 621㌻ 
28 こゝその風聞きこえヨアブに達󠄃いたりければヨアブ、ヱホバの幕屋まくやのがれてだんつのとらへたりはヨアブはひるがへりてアブサロムにはしたがはざりしかどもアドニヤにしたがひたればなり 29 ヨアブがヱホバの幕屋まくやのがれてだんかたはらることソロモンにきこえければソロモン、ヱホヤダのベナヤを遣󠄃つかはしいひけるはゆきかれてと 30 ベナヤすなはちヱホバの幕屋まくやにいたりかれにいひけるはわうかくいできたかれいひけるはいなわれこゝしなんとベナヤかへりわうつげてヨアブかくかくわれこたへたりと 31 わうベナヤにいひけるはかれふごとくかれうちはうむりヨアブがゆゑなくしてながしたるわれとわが父󠄃ちゝいへよりのぞきさるべし 32 又󠄂またヱホバはヨアブのそのかうべしたまふべしかれおのれよりもただしかつよかりしふたりひとかたなをもてこれをころしたればなりすなはちイスラエルのぐんかしらネルのアブネルとユダのぐんかしらヱテルのアマサをころせりしかるにわが父󠄃ちゝダビデはあづかしらざりき〘477㌻〙 33 されば彼等かれら長久とこしなへにヨアブのかうべその苗裔すゑかうべすべしされどダビデとその苗裔すゑそのいへそのくらゐにはヱホバよりの平󠄃安へいあん永久とこしなへにあるべし 34 ヱホヤダのベナヤすなはちのぼりてかれかれころせりかれにあるおのれいへはうむらる 35 わうすなはちヱホヤダのベナヤをヨアブにかへぐんかしらとなせりわうまた祭司さいしザドクをしてアビヤタルにかはらしめたり

36 又󠄂またわうひと遣󠄃やりてシメイをめしこれいひけるはエルサレムにおいなんぢためいへたて其處そこ住󠄃其處そこよりこゝにもかしこにもいづるなかれ 37 なんぢいでてキデロンがはわたにはなんぢたしかなんぢかならころさるべしなんぢなんぢかうべせん 38 シメイわうにいひけるはこのことばわうわがしゆいひたまへるごとくしもべしかなすべしとかくシメイひさしくエルサレムに住󠄃すめ

39ねんのちシメイの二人ふたりしもべガテのわうマアカのアキシの所󠄃ところ逃󠄄にげされり人々ひと〴〵シメイにつげていふなんぢしもべはガテにありと
 622㌻ 
40 シメイすなは起󠄃たちその驢馬ろばくらきガテにゆきてアキシにいたそのしもべ尋󠄃たづねたりすなはちシメイゆきそのしもべをガテよりひききたりしが 41 シメイのエルサレムよりガテにゆきてかへりしことソロモンにきこえければ 42 わうひと遣󠄃やりてシメイをめしこれにいひけるはわれなんぢをしてヱホバをさしちかはしめかつなんぢいましめてなんぢたしかなんぢいで此彼ここかしこあるにはなんぢかならころさるべしといひしにあらずや又󠄂またなんぢわれわがきけ言葉ことばしといへり 43 しかるになんぢなんぞヱホバのちかひとわがなんぢめいじたる命令めいれいまもらざりしや 44 わう又󠄂またシメイにいひけるはなんぢすべなんぢこゝろもろ〳〵あくすなはなんぢがわが父󠄃ちゝダビデになしたる所󠄃ところるヱホバなんぢあくなんぢかうべしたまふ 45 されどソロモンわう福祉さいはひかうむらんまたダビデのくらゐ永久とこしなへにヱホバのまへにかたたつべしと 46 わうヱホヤダのベナヤにめいじければかれいでてシメイをちてしなしめたりしかしてくにはソロモンのかたたて

第3章

1 ソロモン、エジプトのわうパロとえんむすびパロのむすめめとりこれつれきた自己おのれいへとヱホバのいへとエルサレムの周󠄃圍まはり石垣いしがき建築たつることを終󠄃をはるまでダビデのまちおけ 2 當時そのころまでヱホバののためにたてたるいへなかりければたみ崇邱たかきところにてまつりなせ 3 ソロモン、ヱホバをあいその父󠄃ちゝダビデの法憲のりあゆめりたゞかれ崇邱たかきところにてまつりかうたけ

4 こゝわうギベオンにゆき其處そこまつりなさんとせり彼處かしこおほいなる崇邱たかきところなればなりすなはちソロモンいちせん燔祭はんさいそのだんさゝげたり〘478㌻〙 5 ギベオンにてヱホバよるゆめにソロモンにあらはれたまへりかみいひたまひけるはわれなになんぢあたふべきかなんぢもとめよ 6 ソロモンいひけるはなんぢなんぢしもべわが父󠄃ちゝダビデが誠實まこと公義ただしき正心まごころなんぢともなんぢ前󠄃まへあゆみしによりおほいなる恩惠めぐみかれしめしたまへり又󠄂またなんぢかれのためにこのおほいなる恩惠めぐみたくはへ今日こんにちのごとくかれのくらゐするかれたまへり
 623㌻ 
7 わがかみヱホバなんぢしもべをしてわが父󠄃ちゝダビデにかはりわうとならしめたまへりしかるにわれちひさにしていりすることをしら 8 かつしもべなんぢ選󠄄えらみたまひしなんぢたみうちにありすなはおほいなるたみにてそのかずおほくしてかぞふることもしるすこともあたはざるものなり 9 是故このゆえわくこゝろしもべあたへてなんぢたみさばかしめわれをしてよしあし辨別わきまふることをさしめたまへたれなんぢこれ夥多おびただしたみさばくことをんと

10 ソロモン此事このこともとめければそのことばしゆこゝろにかなへり 11 こゝにおいてかみかれにいひたまひけるはなんぢ此事このこともとめておのれため長壽ながいきもとめず又󠄂またおのれのために富有とみをももとめず又󠄂またおのれてき生命いのちをももとめずしてたゞうつたへわく才智さいちもとめたるにより 12 われなんぢことばしたがひてなせわれなんぢ賢明かしこ聰慧󠄄さとこゝろあたふればなんぢさきにはなんぢごとものなくなんぢあとにもなんぢごとものおこらざるべし 13 われまたなんぢもとめざるものすなはとみたふときとをもなんぢあたふればなんぢいのちかぎり王等わうたちうちなんぢごとものあらざるべし 14 又󠄂またなんぢもしなんぢ父󠄃ちゝダビデのあゆみごと吾道󠄃わがみちあゆみてわが法憲のり命令めいれいまもらばわれなんぢながうせんと 15 ソロモンめさるにゆめなりきかくてソロモン、エルサレムにいたりヱホバの契󠄅約けいやくはこ前󠄃まへ燔祭はんさいさゝ酬恩祭しうおんさいしてそのすべて臣僕しもべ饗宴ふるまひなせ

16 こゝ娼妓あそびめなる二人ふたり婦󠄃をんなわう所󠄃もときたりてその前󠄃まへちしが 17 一人ひとり婦󠄃をんないひけるはわがしゆわれこの婦󠄃をんなひとついへ住󠄃われこの婦󠄃をんなともいへにありてうめ 18 しかるにわがうみのち第三日みつかめこの婦󠄃をんなもまたうめりしかして我儕われらともにありきいへには他人たにんわれらとともりしものなしいへにはたゞ我儕われら二人ふたりのみ 19 しかるにこの婦󠄃をんなそのうへふしたるによりてうちそのしにたれば 20 中夜よなか起󠄃たちしもめねむれるあひだにわがをわれのかたはらよりりてこれおのれふところふさしめおのれしにたるをわがふところふさしめたり
 624㌻ 
21 朝󠄃あさおよびてわれわが乳󠄃ちゝのませんとておきるにしにゐたりわれ朝󠄃あさにいたりてそのたるにはわがうめるわがにはあらざりしと 22 いま一人ひとり婦󠄃をんないふいないけるはわがしねるはなんぢなりとこの婦󠄃をんないふいなしねるはなんぢいけるはわがなりと彼等かれらかくわうのまへにいへ
〘479㌻〙
23 ときわういひけるは一人ひとりこのいけるはわがしねるはなんぢなりと又󠄂また一人ひとりいなしねるはなんぢいけるはわがなりといふと 24 わうすなはかたなわれもちきたれといひければかたなわう前󠄃まへもちきたれり 25 わういひけるはいけふたつ分󠄃わかちその半󠄃なかばこれ半󠄃なかばかれあたへよと 26 ときそのいけるはゝなる婦󠄃人をんなこゝろそののためにやくがごとくなりてわうまをしていひけるは請󠄃ふわがしゆいけかれあたへたまへかならころしたまふなかれとしかれどもほか一人ひとりこれわれのにもなんぢのにもならしめず判󠄄わかたせよといへ 27 わうこたへていひけるはいけるかれあたへよかならころすなかれかれそのはゝなるなりと 28 イスラエルみなわう審理さばき所󠄃ところ判󠄄決さばききゝわうおそれたりかみ智慧󠄄ちゑかれうちにありて審理さばきなさしむるをたればなり

第4章

1 ソロモンわうはイスラエルの全󠄃地ぜんちわうたり 2 そのもて群卿きみたちごとしザドクのアザリヤはしやうこく 3 シシヤのエリホレフとアヒヤは書記しよきくわんアヒルデのヨシヤパテはくわん 4 ヱホヤダのベナヤはぐんかしらザドクとアビヤタルは祭司さいし 5 ナタンのアザリヤはだいくわんちやうナタンのザブデは大臣だいじんにしてわうともたり 6 アヒシヤルは宮內くないきやうアブダのアドニラムは徴募ちようぼのかしらなり

7 ソロモン又󠄂またイスラエルの全󠄃地ぜんちに十二のだいくわんおけその人々ひと〴〵わうそのいへのために食󠄃物しよくもつそなへたりすなはおの〳〵いちねん一月ひとつきづつ食󠄃物しよくもつそなへたり 8 そののごとしエフライムの山地やまちにはベンホル 9 マカヅとシヤラビムとベテシメシとエロンベテハナンにはベンデケル 10 アルポテにはベンヘセデありシヨコとヘベルの全󠄃地ぜんちとはかれ擔任うけもて 11 ドルのかう全󠄃ぜんにはベンアヒナダブありかれはソロモンのむすめタパテをつまとせり
 625㌻ 
12 アルヒデのバアナはタアナクとメギドとヱズレルのしもにザルタナのほとりにあるベテシヤンの全󠄃地ぜんちとを擔任うけもちてベテシヤンよりアベルメホラにいたりヨクネアムのさきにまでおよ 13 ギレアデのラモテにはベンゲベルありかれはギレアデにあるマナセのヤイルの諸村むら〳〵擔任うけも又󠄂またバシヤンなるアルゴブのにある石垣いしがきあかがねくわんもておほいなるまち六十を擔任うけもて 14 イドのアヒナダブはマハナイムを擔任うけもて 15 ナフタリにはアヒマアズありかれもソロモンのむすめバスマテをつまめとれり 16 アセルとアロテにはホシヤイのバアナあり 17 イツサカルにはパルアのヨシヤパテあり 18 ベニヤミンにはエラのシメイあり〘480㌻〙 19 アモリびとわうシホンのおよびバシヤンのわうオグのなるギレアデのにはウリのゲベルありそのにありしだいくわんたゞかれ一人ひとりのみ

20 ユダとイスラエルのひとおほくしてはまいさごおほきがごとくなりしがのみ食󠄃くひしてたのしめり 21 ソロモンはかはよりペリシテびとにいたるまでとエジプトのさかひおよぶまでの諸國しよこくをさめたればみな禮物れいもつおくりてソロモンのいつしやうあひだつかへたり 22 さてソロモンのいちにち食󠄃物しよくもつこまかきむぎこ三十こくあらきむぎこ六十こく 23 こえたるうしとを牧場まきばうし二十ひつじいつぴやくそのほか鹿じか羚羊かもしか小鹿こじかおよびこえたるとりあり 24 はソロモンかは此方こなたをテフサよりガザまでこと〴〵をさめたればなりすなはかは此方こなた諸王わうたちこと〴〵統治すべをさめたりかれ四方しはう臣僕しんより平󠄃安へいあんたりき 25 ソロモンのいつしやうあひだユダとイスラエルはダンよりベエルシバにいたるまで安然やすらかおの〳〵その葡萄樹ぶだうのきした無花果いちじくのした住󠄃すめ 26 ソロモン戰車いくさぐるまむまむまや四千騎兵きへいまんせんもて 27 かのだいくわんおの〳〵そのつきにソロモンわうのためおよびすべてソロモンわうせききたものため食󠄃しよくそなへてかくるとこるなからしめたり 28 又󠄂また彼等かれらおの〳〵そのつとめしたがひてむまおよびはやあしむま食󠄃くはするおほむぎ蒭蕘わらそのむまところたづさきたれり

 626㌻ 
29 かみソロモンに智慧󠄄ちゑ聰明さとりはなはおほたま又󠄂また廣大ひろこゝろたま海濱はまいさごのごとし 30 ソロモンの智慧󠄄ちゑ東洋ひがし人々ひと〴〵智慧󠄄ちゑとエジプトのすべて智慧󠄄ちゑよりもおほいなりき 31 かれすべてひとよりもかしこくエズラびとエタンよりも又󠄂またマホルのなるヘマンとカルコルおよびダルダよりもかしこくしてその四方よも諸國くにぐにきこえたり 32 かれ箴言しんげん三千をとけ又󠄂またその詩歌うたは一せんしゆあり 33 かれ又󠄂また草木くさきことろんじてレバノンの香柏かうはくよりかきいづこけまでおよべりかれまたけものとり匐行はふものうをことろんじたり 34 もろ〳〵くに人々ひと〴〵ソロモンの智慧󠄄ちゑきかんとてきたてんもろ〳〵わうソロモンの智慧󠄄ちゑきゝおよびてひと遣󠄃つかはせり

第5章

1 ツロのわうヒラム、ソロモンのあぶらそそがれてその父󠄃ちゝにかはりてわうとなりしをきゝその臣僕けらいをソロモンに遣󠄃つかはせりヒラムはつねにダビデをあいしたるものなりければなり 2 こゝおいてソロモン、ヒラムに言遣󠄃いひつかはしけるは 3 なんぢしるごとくわれ父󠄃ちゝダビデはその周󠄃圍まはりにありし戰爭いくさよりそのかみヱホバののためにいへたつることあたはずしてヱホバが彼等かれらそのあしうらしたおきまたふをまて 4 しかるにいまわがかみヱホバわれ四方しはう太平󠄃たいへいたまひててきもなくわざはひもなければ 5 われはヱホバのわが父󠄃ちゝダビデにかたりてわがなんぢかはりなんぢくらゐのぼらしむるなんぢ其人そのひとはわがのためにいへたつべしといひたまひしにしたがひてわがかみヱホバののためにいへたてんとす〘481㌻〙 6 さればなんぢめいじてわがためにレバノンより香柏かうはくきりいださしめよわがしもべなんぢしもべともにあるべし又󠄂またわれすべなんぢふごとくなんぢしもべちんぎんなんぢわたすべしなんぢしるごとく我儕われらうちにはシドンびとごときるたくみみなるひとなければなりと

 627㌻ 
7 ヒラム、ソロモンのことばきゝおほいよろこいひけるは今日けふヱホバに稱譽ほまれあれヱホバ、ダビデにこれ夥多おびただしきたみをさむるかしこあたへたまへりと 8 かくてヒラム、ソロモンに言遣󠄃いひおくりけるはわれなんぢ遣󠄃したる所󠄃ところこときけわれ香柏かうはく材木ざいもくまつの材木ざいもくとについてはすべなんぢ望󠄇のぞむごとくすべし 9 わがしもべレバノンよりうみもちくだらんしかしてわれこれをうみよりいかだにくみてなんぢわれ遣󠄃つかはところにおくり其處そこにてこれをくづすべしなんぢこれうけ又󠄂またなんぢはわがいへのために食󠄃物しよくもつあたへてわが望󠄇のぞみせと 10 かくてヒラムはソロモンにそのすべ望󠄇のぞむごとく香柏かうはく材木ざいもくまつ材木ざいもくあたへたり 11 又󠄂またソロモンはヒラムにそのいへ食󠄃物しよくもつとして小麥こむぎまんごくあたへまたすみあぶら二十こくをあたへたりかくソロモン年々とし〴〵ヒラムにあたへたり 12 ヱホバそのいひたまひしごとくソロモンに智慧󠄄ちゑたまへりまたヒラムとソロモンのあひだむつましくして二人ふたりとも契󠄅約けいやくむすべり

13 こゝにソロモンわうイスラエルの全󠄃地ぜんちちようにんおこせりそのちようにんかずは三萬人まんにんなり 14 ソロモンかれらを一月ひとつき交代がはりに一萬人まんにんづつレバノンに遣󠄃つかはせりすなは彼等かれら一月ひとつきレバノンに二月ふたつきいへにありアドニラムはちようにん督者かみなりき 15 ソロモン負󠄅載におひびと萬人まんにんやまおいいしもの萬人まんにんあり 16 ほか又󠄂またその工事こうじかしらなる官吏くわんりぜんびやくにんありて工事こうじはたらたみすべたり 17 かくてわうめいじておほいなるいしたふといしきりいださしめきりいしいへ基礎もとゐきづかしむ 18 ソロモンの建築者いへづくりとヒラムの建築者いへづくりおよびゲバルびとこれきれかく彼等かれら材木ざいもくいしいへたつるにそなへたり

第6章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵のエジプトのいでたるのちひやく八十ねんソロモンのイスラエルにわうたるだいねんジフのつきすなはち二ぐわつにソロモン、ヱホバのためにいへたつることをはじめたり 2 ソロモンわうのヱホバのためたてたるいへながさ六十キユビトひろさ二十キユビトたかさ三十キユビトなり 3 いへ拜殿はいでんらういへひろさしたがひてながさ二十キユビトいへ前󠄃まへそのひろさ十キユビトなり
 628㌻ 
4 かれいへ造󠄃つくつけ格子かうしあるまどつけたり〘482㌻〙 5 又󠄂またいへ墻壁かべつけ四周󠄃まはり連󠄃接つけいへ墻壁かべすなは拜殿はいでん神殿しんでん墻壁かべ周󠄃圍まはりめぐらせり又󠄂また四周󠄃まはりわき造󠄃つくれり 6 下層した連󠄃接つけひろさ五キユビト中層なかのはひろさ六キユビトを第三層みつめのはひろさ七キユビトなりすなはいへそと階級きだ造󠄃つくめぐらしてなにものをもいへ墻壁かべ挿入さしいらざらしむ 7 いへたつとき鑿石きりいし所󠄃どころにて預備ととのへたるいしにて造󠄃つくりたれば造󠄃つくれるあひだいへうちにはつちのみそのほかてつきこえざりき 8 中層なかわきいへみぎかたにありねじ旋梯ばしごより中層なかにのぼり中層なかより第三層みつめにいたるべし 9 かくかれいへたて終󠄃をは香柏かうはくたるきいたをもていへふけ 10 又󠄂またいへつけて五キユビトのたかさたる連󠄃接つけたてめぐら香柏かうはくをもていへ交接つづけたり

11 こゝにヱホバのことばソロモンにのぞみていは 12 なんぢいまこのいへなんぢわが法憲のりあゆみわが律例さだめおこなひわがすべて誡命いましめまもりてこれにしたがひてあゆまばわれはがなんぢ父󠄃ちゝダビデにいひことばなんぢかたうすべし 13 われイスラエルの子孫ひと〴〵うち住󠄃すみわがたみイスラエルをすてざるべし

14 かくソロモンいへたて終󠄃をはれり 15 かれ香柏かうはくいたいへ墻壁かべ裏面うちつくれりすなはいへ牀板ゆかより頂格てんじやう墻壁かべまでをもてその裏面うちをはりまたまついたをもていへ牀板ゆかをはれり 16 又󠄂またいへおくに二十キユビトの牀板ゆかより墻壁かべまで香柏かうはくをもて造󠄃つくれりすなはいへうち聖󠄄所󠄃せいじよなる神殿しんでん造󠄃つくれり 17 いへすなは前󠄃まへにある拜殿はいでんは四十キユビトなり 18 いへうち香柏かうはくひさごさけはな雕刻きざめるものなりみな香柏かうはくにしていしえざりき 19 神殿しんでんかれ其處そこにヱホバの契󠄅約けいやくはこおかんとていへうちなかまうけたり 20 神殿しんでんうちながさ二十キユビトひろさ二十キユビトたかさ二十キユビトなり純金じゆんきんをもてこれおほ又󠄂また香柏かうはくだんおほへり 21 又󠄂またソロモン純金じゆんきんをもていへうちおほ神殿しんでん前󠄃まへきんくさりをもて間隔へだて造󠄃つくきんをもてこれおほへり
 629㌻ 
22 又󠄂またきんをもてのこるところなくいへおほ遂󠄅つひいへ飾󠄃かざることをこと〴〵終󠄃をへたりまた神殿しんでんかたはらにあるだんみなきんをもておほへり

23 神殿しんでんうち橄欖かんらんをもてふたつのケルビムを造󠄃つくれりそのたかさ十キユビト 24 そのケルブのひとつつばさは五キユビト又󠄂またそのケルブのほかつばさも五キユビトなりひとつつばさはじよりほかつばさはじまでは十キユビトあり 25 ほかのケルブも十キユビトなりそのケルビムはともおなじりやうおなじかたちなり 26 このケルブのたかさ十キユビトかのケルブもまたしかり 27 ソロモンいへうちなかにケルビムをゑケルビムのつばさのばしければこのケルブのつばさこの墻壁かべおよかのケルブのつばさ墻壁かべおよびてそのふたつのつばさいへなかにてあひまじはれり〘483㌻〙 28 かれきんをもてケルビムをおほへり

29 いへ周󠄃圍まはり墻壁かべにはみな內外うちそとともにケルビムと棕櫚しゆろさけはなかたちきざ 30 いへ牀板ゆかには內外うちそとともにきんおほへり 31 神殿しんでんいりくちには橄欖かんらん造󠄃つくれりその木匡わく門柱はしらは五分󠄃ぶんの一なり 32 そのふたつとびらまた橄欖かんらんなりソロモンそのうへにケルビムと棕櫚しゆろさけはなかたち雕刻きざきんをもておほへりすなはちケルビムと棕櫚しゆろうへきんきせたり 33 かくソロモンまた拜殿はいでんのために橄欖かんらん門柱はしら造󠄃つくれりすなはち四分󠄃ぶんの一なり 34 そのふたつまつにしてこのふたつのとびらたゝむべくかのふたつのとびらたゝむべし 35 ソロモンそのうへにケルビムと棕櫚しゆろさけはな雕刻きざきんをもてこれをおほひてその雕工ほりもの適󠄄かなはしむ 36 また鑿石きりいし三層みかさね香柏かうはくあついたひとかさねをもてうちには造󠄃つくれり

37 だいねんのジフのつきにヱホバのいへ基礎もとゐきづ 38 だい十一ねんのブルのつきすなはち八ぐわつすべその箇條かでうのごとくその定例ならはしのごとくにいへりぬかくソロモンこれたつるに七ねんわたれり

第7章

1 ソロモンおのれいへたてしが十三ねん全󠄃まつたそのいへたて終󠄃をへたり 2 かれレバノンもりいへたてたりそのながさは百キユビトそのひろさは五十キユビトそのたかさは三十キユビトなり香柏かうはくはしら四行よならびありてはしらうへ香柏かうはくはりあり
 630㌻ 
3 四十五ほんはしらうへなるはりうへ香柏かうはくにておほへりはしら一行ひとならびに十五ほんあり 4 またまど三行みならびありてまどまどと三だん相對あひむか 5 ばしらみなたいぼくをもてかく造󠄃つくまどまどと三だん相對あひむかへり 6 又󠄂またはしららう造󠄃つくれりそのながさ五十キユビトそのひろさ三十キユビトなりはしらのまへにひとつらうありまたそのはしらのまへにはしらきだはしあり 7 又󠄂またソロモン審判󠄄さばきすためにくらゐらうすなは審判󠄄さばきらう造󠄃つく牀板ゆかより牀板ゆかまで香柏かうはくをもておほへり 8 ソロモンの居住󠄃すめいへそのらううしろほかにはにありてその工作つくりおなじかりきソロモンまたそのめとりたるパロのむすめのためにいへたてしがこのらうおなじかりき

9 是等これら內外うちそととも基礎もとゐよりのきにいたるまで又󠄂また外面そとにては大庭おほにはにいたるまでみな鑿石きりいしりやうにしたがひてのこぎりにてひきたるたふといしをもて造󠄃つくれるものなり 10 又󠄂また基礎もとゐたふといしおほいなるいしすなはち十キユビトのいし八キユビトのいしなり 11 そのうへには鑿石きりいしりやうしたがひてたふといし香柏かうはくあり 12 又󠄂また大庭おほには周󠄃圍まはりにに三層みかさね鑿石きりいし一層ひとかさね香柏かうはくあついたありヱホバのいへうちにはいへらうにおけるがごと

13 こゝにソロモンひと遣󠄃つかはしてヒラムをツロよりきたれり〘484㌻〙 14 かれはナフタリの支派わかれなる嫠婦󠄃やもめにしてその父󠄃ちゝはツロのひとにてあかがね細工さいくにんなりヒラムはあかがねもろ〳〵細工さいくすの智慧󠄄ちゑ慧󠄄悟さとり知識ちしきちたるものなりしがソロモンわう所󠄃ところきたりてそのすべて細工さいくなせ 15 かれあかがねはしらふたつたりそのたかさおの〳〵十八キユビトにしておの〳〵十二キユビトのなはめぐらすべし 16 又󠄂またあかがねとかしてはしらのかしらはしらうへかしらたかさも五キユビトかしらたかさも五キユビトなり 17 はしらうへにあるかしらためくみものあみくさりなりよりもの造󠄃つくれりこのかしらなゝかのかしらなゝつあり 18 又󠄂またふたならび石榴ざくろひとつあみものうへ四周󠄃まはり造󠄃つくりてはしらうへにあるかしらおほほかかしらをもまたしかせり 19 はしらうへにあるかしらは四キユビトの百合花ゆりかたちにしてらうにおけるがごとし
 631㌻ 
20 ふたつはしらかしらうへにはまたあみものそとなるはら所󠄃ところつづきて石榴ざくろありほかはしら四周󠄃まはりにも石榴ざくろひやくありてあひならべり 21 このはしら拜殿はいでんらうすなはみぎはしらたてそのをヤキンとなづひだりはしらそのをボアズとなづ 22 そのはしらうへ百合花ゆりかたちありかくそのはしらさくなれ

23 又󠄂またうみなせりこのふちよりかのふちまで十キユビトにしてその四周󠄃まはりまろそのたかさ五キユビトなりその四周󠄃まはりは三十キユビトのなはめぐらすべし 24 そのふちしたには四周󠄃まはり匏瓜ひさごありてこれめぐれりすなはち一キユビトにとをづつありてうみ周󠄃圍まはりかこめその匏瓜ひさごうみたるときふたならびたるなり 25 そのうみは十二のうしうへたてそのみつきたむかみつ西にしむかみつみなみむかみつひがしむかうみそのうへにありてうしうしろみなうちむか 26 うみあつさはばにしてそのふち百合花ゆりにてさかづきふちごとくにつくれりうみは二せんいれたり

27 又󠄂またあかがねだいとを造󠄃つくれりひとつだいながさ四キユビトそのひろさ四キユビトそのたかさ三キユビトなり 28 そのだい製作つくりのごとしだいにはかがみいたありかがみいたふちなかにあり 29 ふちうちにあるかがみいたうへ獅子しゝうしとケルビムあり又󠄂またふちうへあり獅子しゝうししたはな飾󠄃かざり垂下さげものあり 30 そのだいにはおの〳〵よつあかがねあかがねじくありそのよつあしにはかたのごときものありそのかたのごときもの洗盤はちしたにありてすべてはな飾󠄃かざりかたはらつけたり 31 そのくちかしらうちよりうへは一キユビトなりそのくちまろく一キユビト半󠄃はんにしてつくりごと又󠄂またそのくちには雕工ほりものありそのかがみいた四角しかくにしてまろからず 32 よつかがみいたしたにありだいうちにありおの〳〵たかさ一キュビト半󠄃はん 33 工作つくり戰車いくさぐるま工作つくりごとそのふちこしきとはみなものなり 34 だいすみよつかたごとものありそのかたのごときものだいより〘485㌻〙 35 だいうへ所󠄃ところたかさ半󠄃はんキユビトはその周󠄃圍まはりまろ又󠄂まただいうへ所󠄃ところかがみいただいより 36 そのいたかがみいたにはそのおの〳〵隙處あきしたがひてケルビムと獅子しゝ棕櫚しゆろ雕刻きざ又󠄂またその四周󠄃まはりはな飾󠄃かざり造󠄃つくれり
 632㌻ 
37 かくのごとくとをだい造󠄃つくれりそのかたりやうかたちみなおな

38 又󠄂またあかがね洗盤はちとを造󠄃つくれり洗盤はちおの〳〵四十洗盤はちおの〳〵四キユビトなりとをだいうへにはおの〳〵ひとつ洗盤はちあり 39 そのだいいつついへみぎかたいつついへかたいへみぎひがしみなみそのうみおけ 40 ヒラム又󠄂またなべ火鏟じふのうはちとを造󠄃つくれりかくヒラム、ヱホバのいへためにソロモンわうなせもろ〳〵細工さいく成終󠄃なしをへたり 41 すなはふたつゆかそのはしらうへなるかしらふたつたまはしらうへなるそのかしらふたつたまおほふたつ網工あみもの 42 そのふたつあみものため石榴ざくろ四百これひとつあみもの石榴ざくろふたならびありてはしらうへなるふたつたまおほ 43 又󠄂またとをだいそのだいうへとを洗盤はち 44 ひとつうみそのうみしたの十二のうし 45 およなべ火鏟じふのうはちこれなりヒラムがソロモンわうにヱホバのいへのために造󠄃つくりしこれうつはみな光明あかりあるあかがねなりき 46 わうヨルダンの低地くぼちおいてスコテとザレタンのあひだねばつちにてこれたり 47 ソロモンそのうつははなはだしくおほかりければみなはからずにおけそのあかがねおもさしれざりき

48 又󠄂またソロモン、ヱホバのいへもろ〳〵うつは造󠄃つくれりすなはかねだん供前󠄃そなへのパンをのすきんつくゑ 49 および純金じゆんきんとうだいこれ神殿しんでんのまへにいつつみぎいつつひだりにあり又󠄂またきんはなともしびざら燈鉗しんかき 50 純金じゆんきん盆󠄃ほとぎ剪刀はさみはちさら滅燈器しんとり聖󠄄所󠄃せいじよなるうちいへのためおよ拜殿はいでんなるいへのためなるきん肘鈕ひぢつぼこれなり

51 かくソロモンわうのヱホバのいへのためになせもろ〳〵細工さいく終󠄃をはれりこゝにおいてソロモンその父󠄃ちゝダビデが奉納󠄃をさめたるものすなは金銀きんぎんおよびうつはたづさへいりてヱホバのいへはうもつうちおけ

第8章

1 こゝにソロモン、ヱホバの契󠄅約けいやくはこをダビデのまちすなはちシオンよりかきのぼらんとてイスラエルの長老としよりすべて支派わかれかしらイスラエルの子孫ひと〴〵いへ長等きみたちをエルサレムにてソロモンわう所󠄃もと召集よびあつ 2 イスラエルのひとみなエタニムのつきすなはち七ぐわつ節󠄄筵いはひあたりてソロモンわう所󠄃ところあつまれり
 633㌻ 
3 イスラエルの長老としよりみないた祭司さいしはこりあげて 4 ヱホバのはこ集會あつまり幕屋まくや幕屋まくやにありしもろ〳〵聖󠄄きようつはかきのぼれりすなは祭司さいしとレビのびとこれかきのぼれり 5 ソロモンわうおよびそのもとあつまれるイスラエルの會衆くわいしうみなかれともはこ前󠄃まへにありてひつじうしさゝげたりしがそのかずおほくしてしるすこともかぞふることもあたはざりき〘486㌻〙 6 祭司さいしヱホバの契󠄅約けいやくはこそのところかきいれたりすなはいへ神殿しんでんなる聖󠄄所󠄃せいじようちのケルビムのつばさしたおさめたり 7 ケルビムはつばさはこ所󠄃ところかつケルビムうへよりはこそのさをおほへり 8 さをながかりければさをはし神殿しんでん前󠄃まへ聖󠄄所󠄃せいじよよりえたりしかれどもそとにはえざりきそのさを今日けふまで彼處かしこにあり 9 はこうちにはふたついしのいたほかなにもあらざりきこれはイスラエルの子孫ひと〴〵のエジプトのよりいでたるときヱホバの彼等かれら契󠄅約けいやくむすびたまへるときにモーセがホレブにて其處そこおさめたるものなり 10 かく祭司さいし聖󠄄所󠄃せいじよよりいでけるにくもヱホバのいへみちたれば 11 祭司さいしくものためにたち供事つかふることあたはざりきはヱホバの榮光えいくわうヱホバのいへみちたればなり

12 こゝにおいてソロモンいひけるはヱホバはあつくもうちんといひたまへり 13 われまことなんぢのために住󠄃むべきいへ永久とこしなへをるべき所󠄃ところたてたりと 14 わうそのかほふりむけてイスラエルのすべて會衆くわいしうしゆくせりときにイスラエルの會衆くわいしうみなたちゐたり 15 かれいひけるはイスラエルのかみヱホバはほむべきかなヱホバはそのくちをもてわが父󠄃ちゝダビデにそのをもてこれ遂󠄅げたまへり 16 すなはわれわがたみイスラエルをエジプトより導󠄃みちびいだせしよりわがおくべきいへたてしめんためにイスラエルのもろ〳〵支派わかれうちよりいづれの城邑まちをも選󠄄えらみしことなしたゞダビデを選󠄄えらみてわがたみイスラエルのうへたゝしめたりといひたまへり 17 それイスラエルのかみヱホバののためにいへたつることはわが父󠄃ちゝダビデのこゝろにありき 18 しかるにヱホバわが父󠄃ちゝダビデにいひたまひけるはわがのためにいへたつることなんぢこゝろにありなんぢこゝろ此事このことあるは
 634㌻ 
19 しかれどもなんぢそのいへたつべからずなんぢこしよりいづなんぢ其人そのひとわがのためにいへたつべしと 20 しかしてヱホバそのいひたまひしことばおこなひたまへりすなはわれわが父󠄃ちゝダビデにかはりてちヱホバのいひたまひしごとくイスラエルのくらゐしイスラエルのかみヱホバののためにいへたてたり 21 われ又󠄂また其處そこにヱホバの契󠄅約けいやくをさめたるはこのためにひとつ所󠄃ところまうけたりすなは我儕われら父󠄃祖せんぞをエジプトのより導󠄃みちびいだしたまひしとき彼等かれらしたまひしものなりと

22 ソロモン、イスラエルのすべて會衆くわいしう前󠄃まへにてヱホバのだんのまへにそのてんのべ 23 いひけるはイスラエルのかみヱホバようへてんにもしたにもなんぢごとかみなしなんぢ契󠄅約けいやくたもちたまひこゝろ全󠄃まつたうしてなんぢのまへにあゆむところのなんぢしもべ恩惠めぐみほどこしたまふ 24 なんぢなんぢしもべわが父󠄃ちゝダビデにいふたまへる所󠄃ところたもちたまへりなんぢくちをもてをもて遂󠄅とげたまへること今日こんにちのごとし〘487㌻〙 25 イスラエルのかみヱホバよされなんぢしもべわが父󠄃ちゝダビデにかたりてなんぢ子孫しそんその道󠄃みちつゝしみてなんぢがわが前󠄃まへあゆめるごとくわが前󠄃まへあゆまばイスラエルのくらゐするひとわがまへにてなんぢかくることなかるべしといひたまひしことをダビデのためにたもちたまへ 26 さればイスラエルのかみなんぢしもべわが父󠄃ちゝダビデにいひたまへるなんぢことば效驗しるしあらしめたまへ

27 かみはたしてうへ住󠄃すみたまふやてんもろ〳〵てんてんなんぢいるるにたらましたてたるこのいへをや 28 しかれどもわがかみヱホバよしもべ祈禱いのり懇願ねがひ顧󠄃かへりみてその號呼よばはりしもべ今日こんにちなんぢのまへにいの祈禱いのりきゝたまへ 29 ねがはくはなんぢよるひるこのいへすなはなんぢわが彼處そこあるべしといひたまへるところむかひてひらきたまへねがはくはしもべ此處このところむかひていのらん祈禱いのりきゝたまへ 30 ねがはくはしもべなんぢたみイスラエルがこのところむかひていのときなんぢその懇願ねがひきゝたまへなんぢなんぢ居處すみかなるてんにおいてきゝゆるしたまへ

 635㌻ 
31 ひとその隣人となりびとむかひてをかせることありて其人そのひとちかひをもてちかふことを要󠄃もとめられんにきたりてこのいへにおいてなんぢだんのまへにちかひなば 32 なんぢてんにおいてきゝおこななんぢしもべさばあしものつみしてその道󠄃みちそのかうべたゞしきものとしてそのただしきしたがひてこれむくいたまへ

33 もしなんぢたみイスラエルなんぢつみをかしたるがためにてき前󠄃まへやぶられんになんぢかへりてなんぢあがこのいへにてなんぢいのねがひなば 34 なんぢてんにおいてなんぢたみイスラエルのつみゆるして彼等かれらなんぢその父󠄃祖せんぞあたへしかへらしめたまへ

35 もし彼等かれらなんぢつみをかしたるがためてんとぢあめなからんに彼等かれらもし此處このところにむかひていのなんぢあがなんぢ彼等かれらくるしめたまふときにそのつみはなれなば 36 なんぢてんにおいてなんぢしもべなんぢたみイスラエルのつみゆるしたまへなんぢ彼等かれらそのあゆむべきよき道󠄃みちをしへたまふときなんぢなんぢたみあたへて產業さんげふとなさしめたまひしなんぢあめくだしたまへ

37 もしくに饑饉ききんあるかもしくは疫病やきびやう枯死ふけ朽腐くさりくひほろぼす蝗蟲いなごあるかもしくはそのてきくににいりて彼等かれらそのもんかこむか如何いかなる災害󠄅わざはひ如何いかなる病疾やまひあるも 38 もし一人ひとりあるひなんぢたみイスラエルみなおの〳〵おのれこゝろわざはひしりこのいへむかひてのべなば其人そのひと如何いかなる祈禱いのり如何いかなる懇願ねがひなすとも 39 なんぢ居處すみかなるてんおいきゝゆるおこなおの〳〵ひと其心そのこころしりたまごとその道󠄃々みち〳〵にしたがひてむくたまなんぢのみすべてひとこゝろしりたまへばなり〘488㌻〙 40 なんぢかく彼等かれらをしてなんぢ彼等かれら父󠄃祖せんぞあたへたまへるつねなんぢおそれしめたまへ

41 かつ又󠄂またなんぢたみイスラエルのものにあらずしてなんぢのために遠󠄄とほくによりきた異邦人ことくにびと 42彼等かれらなんぢおほいなるつよのべたるうできゝおよぶべければなり)もしきたりてこのいへにむかひていのらば
 636㌻ 
43 なんぢ居處すみかなるてんおいすべ異邦人ことくにびとなんぢよびもとむるごとなしたまへなんぢかくすべてたみをしてなんぢをしらしめなんぢたみイスラエルのごとくなんぢおそれしめ又󠄂またたてたるこのいへなんぢをもて稱呼となへらるるといふことをしらしめたま

44 なんぢたみそのてきたゝかはんとてなんぢ遣󠄃つかはしたまふ所󠄃ところいでたるとき彼等かれらもしなんぢ選󠄄えらみたまへるまちとわがなんぢのためにたてたるいへかたむかひてヱホバにいのらば 45 なんぢてんにおいて彼等かれら祈禱いのり懇願ねがひきゝ彼等かれらたすけたまへ

46 ひとつみをかさざるものなければ彼等かれらなんぢつみをかすことありてなんぢ彼等かれらいか彼等かれらそのてきわたてきかれらをとりことして遠󠄄とほき近󠄃ちかきいはてきひきゆかんとき 47 もし彼等かれらとらはれゆきしにおいてみづか顧󠄃かへりみておのれとらへゆきしものにてなんぢねがひて我儕われらつみをかもとれることなしたり我儕われらあくおこなひたりと 48 おのれとらへゆきしてきにていつしんいちねんなんぢかへなんぢその父󠄃祖せんぞあたへたまへるなんぢ選󠄄えらみたまへるまちとわがなんぢのためにたてたるいへかたむかひてなんぢいのらば 49 なんぢ居處すみかなるてんにおいてなんぢ彼等かれら祈禱いのり懇願ねがひきゝてかれらをたす 50 なんぢたみなんぢむかひをかしたることなんぢむかひ過󠄃あやまてるそのすべて罪過󠄃あやまちゆる彼等かれらとらへゆけるもの前󠄃まへにて彼等かれらあはれみさせその人々ひと〴〵をして彼等かれらあはれましめたまへ 51 彼等かれらなんぢがエジプトよりすなはてつかまどうちよりいだしたまひしなんぢたみなんぢ產業さんげふなればなり 52 ねがはくはしもべ祈禱ねがひなんぢたみイスラエルの祈願ねがひなんぢひらきてすべそのなんぢよびもとむる所󠄃ところきゝたまへ 53 なんぢ彼等かれらすべてたみうちよりわかちてなんぢ產業さんげふとなしたまへばなりかみヱホバなんぢ我儕われら父󠄃祖せんぞをエジプトより導󠄃みちびいだせしときモーセによりていひたまひしごと

54 ソロモンこの祈禱いのり祈願ねがひこと〴〵くヱホバにいの終󠄃をはりしときそのてんにむかひてひざかがめたるをやめてヱホバのだんのまへより起󠄃たちあがり
 637㌻ 
55 たちおほいなるこゑにてイスラエルのすべて會衆くわいしうしゆくしていひけるは 56 ヱホバはほむべきかなヱホバはすべそのいひたまひしごとそのたみイスラエルに太平󠄃たいへいあたへたまへりそのしもべモーセによりていひたまひしその善言よきことばみなひとつ違󠄇たがはざりき〘489㌻〙 57 ねがはくは我儕われらかみヱホバ我儕われら父󠄃祖せんぞともいませしごとく我儕われらとともにいま我儕われらはなれたまふなかれ我儕われらすてたまふなかれ 58 ねがはくは我儕われらこゝろをおのれにかたむけたまひてそのすべて道󠄃みちあゆましめその我儕われら父󠄃祖せんぞめいじたまひし誡命いましめ法憲のり律例さだめまもらしめたまへ 59 ねがはくはヱホバの前󠄃まへにわがねがひ是等これらことば日夜よるひるわれらのかみヱホバに近󠄃ちかくあれしかしてヱホバ日々ひびことしもべたすそのたみイスラエルをたすけたまへ 60 かくしてもろ〳〵たみにヱホバのかみなることとほかかみなきことをしらしめたまへ 61 されば爾等なんぢら我儕われらかみヱホバとともにありて今日こんにちごとなんぢらのこゝろ完全󠄃まつたうしヱホバの法憲のりあゆその誡命いましめまもるべしと

62 かくわうおよびわうともにありしイスラエルみなヱホバのまへに犧牲いけにへさゝげたり 63 ソロモン酬恩祭しうおんさい犧牲いけにへさゝげたりすなはこれをヱホバにさゝそのうしまんせんひつじ十二まんなりきかくわうとイスラエルの子孫ひと〴〵みなヱホバのいへひらけり 64 そのわうヱホバのいへ前󠄃まへなるにはなか聖󠄄別きよ其處そこにて燔祭はんさい禴󠄁祭やくさい酬恩祭しうおんさいあぶらとをさゝげたりはヱホバの前󠄃まへなるあかがねだんちひさくして燔祭はんさい禴󠄁祭やくさい酬恩祭しうおんさいあぶらとをうくるにたらざりしがゆゑなり 65 其時そのときソロモン七日なぬか七日なぬかあはせじふよつ我儕われらかみヱホバのまへに節󠄄筵いはひなせりイスラエルのおほいなる會衆くわいしうハマテの入處いりくちよりエジプトのかはにいたるまでこと〴〵かれともにありき 66 第八日やうかめにソロモンたみかへせりたみわうしゆくしヱホバがそのしもべダビデとそのたみイスラエルにほどこしたまひしもろ〳〵恩惠めぐみのためによろこかつこゝろたのしみてそのてんまくゆけ
 638㌻ 

第9章

1 ソロモン、ヱホバのいへわういへたつこと終󠄃かつすべてソロモンがなさんとほつ望󠄇のぞみ遂󠄅とげとき 2 ヱホバふたゝびソロモンにかつてギベオンにて顯現あらはれたまひしごとくあらはれたまひて 3 かれいひたまひけるはわれなんぢわれまへにねがひ祈禱いのり祈願ねがひきゝたりわれなんぢたてたるこのいへ聖󠄄別きよめてわがなが其處そこおくべしかつわがとわがこゝろつね其處そこにあるべし 4 なんぢもしなんぢ父󠄃ちゝダビデのあゆみしごとこゝろまつたうしてたゞしくわが前󠄃まへあゆみわがなんぢめいじたるごとすべおこなひてわが憲法のり律例さだめまもらば 5 われなんぢ父󠄃ちゝダビデにつげてイスラエルのくらゐのぼひとなんぢかくることなかるべしといひしごとくなんぢのイスラエルにわうたるくらゐかたうすべし 6 もし爾等なんぢら又󠄂また爾等なんぢら子孫しそん全󠄃まつたそむきてわれにしたがはずわが爾等なんぢらのまへにおきたるわが誡命いましめ法憲のりまもらずしてゆきほかかみつかこれをがまば 7 われイスラエルをわがあたへたるおもてよりたゝ又󠄂またわがのために聖󠄄別きよめたるこのいへをばわれわがまへよりすてんしかしてイスラエルはもろ〳〵たみうち諺語ことわざとなり嘲笑あざけりとなるべし〘490㌻〙 8 かつ又󠄂またこのいへたかくあれどもそのかたはら過󠄃すぐものみなこれおどろうそぶきていはんヱホバ何故なにゆゑこのこのいへかくなしたまひしやと 9 ひとこたへて彼等かれらおのれ父󠄃祖せんぞをエジプトのより導󠄃みちびいだせしそのかみヱホバをすてほかかみつきしたがこれをがこれつかへしによりてヱホバすべて害󠄅がいあくそのうへくだせるなりといは

10 ソロモン二十ねんふたついへすなはちヱホバのいへわういへたてをはりヒウムにガリラヤの城邑まち二十をあたへたり 11 はツロのわうヒラムはソロモンにすべその望󠄇のぞみしたがひて香柏かうはくまつきん供給おくりたればなり 12 ヒラム、ツロよりいでてソロモンがおのれあたへたる諸邑まち〳〵しめしにそのよからざりければ 13 わが兄第きやうだいなんぢわれあたへたるこれ城邑まちなになるやといひてこれをカブルのとなづけたりその今日こんにちまでのこる 14 かつてヒラムはきんひやく二十タラントをわう遣󠄃おくれり

 639㌻ 
15 ソロモンわう徴募ちようぼにんおこせしことこれなりすなはちヱホバのいへ自己おのれいへとミロとエルサレムの石垣いしがきとハゾルとメギドンとゲゼルをたてんがためなりき 16 エジプトのわうパロかつのぼりてゲゼルをこれそのまち住󠄃すめるカナンびところこれをソロモンのつまなるそのむすめあたへて粧奩おくりものなせ 17 ソロモン、ゲゼルとしもベテホロンと 18 バアラとくににあるタデモル 19 およびソロモンのたもてる府庫くら諸邑まち〳〵その戰車いくさぐるま諸邑まち〳〵その騎兵きへい諸邑まち〳〵ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべて領地りやうちおいたてんとねがひものこと〴〵たてたり 20 すべてイスラエルの子孫しそんあらざるアモリびとヘテびとペリジびとヒビびとヱブスびと遺󠄃存のこれもの 21 そのあり彼等かれらあと遺󠄃存のこれ子孫しそんすなはちイスラエルの子孫ひと〴〵ほろぼつくすことをざりしものにソロモン奴隸どれい徴募ちようぼおこなひて今日こんにちいた 22 しかれどもイスラエルの子孫ひと〴〵をばソロモン一人ひとり奴隸どれいなさざりき彼等かれら軍人いくさびとかれ臣僕けらい牧伯つかさ大將たいしやうたりいくさぐるま騎兵きへいかしらたればなり

23 ソロモンの工事こうじ管理つかさどれるかしらなる官吏くわんりは五ひやく五十にんにして工事こうじはたらたみをさめたり

24 こゝにパロのむすめダビデのまちよりのぼりてソロモンがかれのためにたてたるいへいた其時そのときにソロモン、ミロをたてたり

25 ソロモン、ヱホバにきづきたるだんうへとし三次みたび燔祭はんさい酬恩祭しうおんさいさゝ又󠄂またヱホバの前󠄃まへなるだんかうたけりソロモンかくいへ全󠄃まつたうせり
〘491㌻〙
26 ソロモンわうエドムの紅海こうかいはまおいてエラテのほとりなるエジオンゲベルにてふねすうさう造󠄃つくれり 27 ヒラムうみことれるふなびとなるそのしもべをソロモンのしもべともそのふねにて遣󠄃つかはせり 28 彼等かれらオフルにいた其處そこよりきんひやく二十タラントをとりてこれをソロモンわう所󠄃ところもちきた
 640㌻ 

第10章

1 シバの女王によわうヱホバのかかはるソロモンの風聞うはさおよ難問なんもんてソロモンをこゝろみんとてきたれり 2 かれはなはおほくの部從ともまはり香物かうもつはなはおほくのきん寶石たま負󠄅駱駝らくだしたがへてエルサレムにいたかれソロモンのもときた其心そのこころにある所󠄃ところこと〴〵これいひたるに 3 ソロモンかれそのすべてことつげたりわうしらずしてかれつげざることなかりき 4 シバの女王によわうソロモンのもろ〳〵智慧󠄄ちゑそのたてたるいへ 5 そのせき食󠄃物しよくもつその臣僕けらいなみことその侍臣そばつかへ伺候たちをることおよび彼等かれら衣服󠄃ころもその酒人さかびとそのヱホバのいへのぼ階級はしごとを全󠄃まつたそのうばはれたり 6 かれわうにいひけるは自己おのれくににてなんぢ行爲わざなんぢ智慧󠄄ちゑついきゝたることば眞實まことなりき 7 されわれきたりてるまではそのことばしんぜざりしがいまるにその半󠄃なかばわれきこえざりしなりなんぢ智慧󠄄ちゑ昌盛さかえはわがきゝたる風聞うはさ 8 つねなんぢ前󠄃まへたちなんぢ智慧󠄄ちゑ是等これらひとなんぢ臣僕けらい幸福さいはひなるかな 9 なんぢかみヱホバはほむべきかなヱホバなんぢよろこなんぢをイスラエルのくらゐのぼらせたまへりヱホバ永久とこしなへにイスラエルをあいしたまふによりなんぢわうとなして公道󠄃おほやけただしきおこなはしめたまふなりと 10 かれすなはきん百二十タラントおよはなはおほくの香物かうもつ寶石たまとをわうおくれりシバの女王によわうのソロモンわうおくりたるがごとおほくの香物かうもつかさねいたらざりき

11 オフルよりきんのせきたりたるヒラムのふねまたオフルよりおほくの白檀びやくだんの寶石たまとを運󠄃はこきたりければ 12 わう白檀びやくだんのてヱホバのいへわういへとに欄干らんかん造󠄃つくうたうたふもののためにことしつ造󠄃つくれりかくごと白檀びやくだんのいたらざりきまた今日こんにちまでもたることなし

13 ソロモンわうわうならはししたがひてシバの女王によわうものおくりたるほか又󠄂またかれ望󠄇のぞみまかせてすべそのもとむるものおくれりかくかれその臣僕しもべとともにかへりてそのくにゆけ

 641㌻ 
14 さてねんにソロモンの所󠄃ところいたれるきん重量めかたは六ぴやく六十六タラントなり 15 ほか又󠄂また商買あきうどおよび商旅たびあきうど交易かうえきならびにアラビヤの王等わうたちくに知事つかさたちよりもいたれり 16 ソロモンわうのべきん大楯おほだてひやく造󠄃つくれりその大楯おほだてにはおの〳〵ぴやくシケルのきんもちひたり 17 又󠄂またのべきんたてびやく造󠄃つくれりひとつたてに三ぎんきんもちひたりわう是等これらをレバノン森林もりいへおけ〘492㌻〙 18 わう又󠄂また象牙ざうげをもておほいなる寳座くらゐ造󠄃つく純金じゆんきんこれおほへり 19 その寳座くらゐむつ階級きだあり寳座くらゐうしろまろあたまありするところりやうはう扶手てかけありて扶手てかけわきふたつ獅子しゝてり 20 又󠄂またそのむつ階級きだに十二の獅子しゝ此旁こなた彼旁かなたたてかくごとものつくれるくにはあらざりき 21 ソロモンわうもちひてのめうつはみなきんなり又󠄂またレバノン森林もりいへうつはみな純金じゆんきんにしてぎんものなかりきぎんはソロモンのにはたふとまざりしなり 22 わううみにタルシシのふねもちてヒラムのふねともにあらしめタルシシのふねをしてさんねんひとたび金銀きんぎん象牙ざうげ猿猴さるおよび孔雀くじやくのせきたらしめたればなり

23 そも〳〵ソロモンわう富有とみ智慧󠄄ちゑおいてんすべてわうよりもおほいなりければ 24 てんみなかみがソロモンのこゝろさづけたまへる智慧󠄄ちゑきかんとてソロモンのかほんことをもとめたり 25 人々ひと〴〵おの〳〵その禮物れいもつたづさきたすなはぎんうつはきんうつは衣服󠄃ころも甲冑よろひ香物かうもつむま每歳としどし定分󠄃さだまりありき

26 ソロモン戰車いくさぐるま騎兵きへいあつめたるに戰車いくさぐるま千四ひやくりやう騎兵きへいいちまんせんありきソロモンこれ戰車いくさぐるま城邑まちあるひはエルサレムにてわう所󠄃ところおけ 27 わうエルサレムにおいぎんいしごとくに香柏かうはく平󠄃地ひらちくはのごとくにしておほもちひたり 28 ソロモンのむまたるはエジプトとコアよりなりすなはわう商賣あきうどコアより價値あたひとれ 29 エジプトよりのぼいづ戰車いくさぐるまいちりやうぎんぴやくにしてむまひやく五十なりきかくのごとくヘテびとすべて王等わうたちおよびスリアの王等わうたちのためにそのをもてとりいだせり
 642㌻ 

第11章

1 ソロモンわうパロのむすめほかおほく外國ことくに婦󠄃をんな寵愛ちようあいせりすなはちモアブびとアンモニびとエドミびとシドンびとヘテびと婦󠄃をんな寵愛ちようあいせり 2 ヱホバかつ是等これら國民くにたみについてイスラエルの子孫ひと〴〵いひたまひけらく爾等なんぢら彼等かれらまじはるべからず彼等かれらまた爾等なんぢらまじはるべからず彼等かれらかなら爾等なんぢらこゝろうつして彼等かれら神々かみ〴〵したがはしめんとしかるにソロモン彼等かれらあいしてはなれざりき 3 かれ妃公つまひめみやひやくにんおもひものびやくにんありそのひめたちかれこゝろうつせり 4 ソロモンのとしおいたるときつまたち其心そのこころ轉移うつしてほかかみしたがはしめければかれこゝろその父󠄃ちゝダビデのこゝろごとそのかみヱホバに全󠄃まつたからざりき 5 はソロモン、シドンびとかみアシタロテにしたがひアンモニびとにくむべきものなるモロクにしたがひたればなり 6 ソロモンかくヱホバののまへにあくおこなその父󠄃ちゝダビデのごと全󠄃まつたくはヱホバにしたがはざりき 7 こゝにソロモン、モアブの憎にくむべきものなるケモシのため又󠄂またアンモンの子孫ひと〴〵憎にくむべきものなるモロクのためにエルサレムの前󠄃まへなるやま崇邱たかきところきづけり〘493㌻〙 8 かれ又󠄂またその異邦ことくにすべてつまためにもしかせしかば彼等かれらかうたき己々おのれおのれかみまつれり

9 ソロモンのこゝろうつりてイスラエルのかみヱホバをはなれしによりてヱホバかれいかりたまふヱホバかつ兩次ふたゝびかれあらは 10 此事このことついかれほかかみしたがふべからずとめいじたまひけるにかれヱホバのめいじたまひしことまもらざりしなり 11 ヱホバ、ソロモンにいひたまひけるは此事このことなんぢにありしに又󠄂またなんぢわが契󠄅約けいやくとわがなんぢめいじたる法憲のりまもらざりしによりわれかならなんぢよりくにきはなしてこれなんぢ臣僕けらいあたふべし 12 されなんぢ父󠄃ちゝダビデのためなんぢにはこれなさざるべしわれなんぢよりこれきはなさん 13 たゞわれくにこと〴〵くはきはなさずしてわがしもべダビデのために又󠄂またわが選󠄄えらみたるエルサレムのためにひとつ支派わかれなんぢあたへんと

14 こゝおいてヱホバ、エドミびとハダデをおこしてソロモンのてきしたまふかれはエドムわうすゑなり 15 さきにダビデ、エドムにことありしときぐんかしらヨアブのぼりてその戰死うちじにせしものはうむりエドムのをとここと〴〵うちころしけるときあたりて
 643㌻ 
16 (ヨアブはエドムのをとここと〴〵たつまでイスラエルの群衆ぐんしうともつき其處そことゞまれり) 17 ハダデその父󠄃ちゝしもべなる數人すうにんのエドミびととも逃󠄄にげてエジブトにゆかんとせりときにハダデはなほ童子わらべなりき 18 彼等かれらミデアンを起󠄃たちいでてバランにいたりパランよりひと伴󠄃ともなひてエジプトにきエジプトのわうパロにいたるにバロかれいへあた食󠄃糧しよくりやうさだかつ土地とちあたへたり 19 ハダデおほいにパロのこゝろにかなひしかばパロおのれつまいもうとすなは王妃きさきタペネスのいもうとかれめあはせり 20 タペネスのいもうとかれ男子をとこのこゲヌバテをうみければタペネスこれをパロのいへうちにて乳󠄃ばなれせしむゲヌバテ、パロのいへにてパロのうちにありき 21 ハダデ、エジプトにありてダビデのその先祖せんぞともねむりたるとぐんかしらヨアブのしにたるをきゝしかばハダデ、パロにいひけるはわれさらしめてわがくにゆかしめよと 22 パロかれにいひけるはなんぢわれとともにありてなにかけたるところありてかなんぢくにゆかこともとむるかれなにされどもねがはくはわれさらしめよさらしめよ

23 かみ父󠄃ちゝエリアダのレゾンをおこしてソロモンのてきとなせりかれその主人しゆじんゾバのわうハダデゼルのもと逃󠄄にげさりたるものなり 24 ダビデがゾバのひところしたるときかれひと自己おのれあつめて一隊ひとくみ首領かしらとなりしが彼等かれらダマスコにゆき彼處そこ住󠄃みダマスコををさめたり〘494㌻〙 25 ハダデがなしたる害󠄅がいほかにレゾン、ソロモンのいつしやうあひだイスラエルのてきとなれりかれイスラエルをにくみてスリアにわうたりき

26 ゼレダのヱフラタびとネバテのヤラベアムはソロモンのけらいなりしがそのはゝはゼルヤといひやもめ婦󠄃をんななりきかれまたそのあげわうてき 27 かれあげわうてきせしゆゑこれなりソロモン、ミロをきづその父󠄃ちゝダビデのまち損缺やぶれふさたり 28 其人そのひとヤラベアムはおほいなる能力ちからあるものなりしかばソロモンこの少者わかきものことつとむるをこれたててヨセフのいへすべてつとめつかさどらしむ 29 そのころヤラベアム、エルサレムをいでときシロびとなる預言者よげんしやアヒヤみちにてかれ遭󠄃へりかれあたらしき衣服󠄃ころもゐたりしが彼等かれら二人ふたりのみにありき
 644㌻ 
30 アヒヤそのたるあたらしき衣服󠄃ころもとらへてこれじふきれ 31 ヤラベアムにいひけるはなんぢみづかきれれイスラエルのかみヱホバかくいひたまふわれくにをソロモンのよりきはなしてなんぢとを支派わかれあたへん 32たゞかれはわがしもべダビデのゆゑ又󠄂またわがイスラエルのすべて支派わかれうちより選󠄄えらみたるまちエルサレムのゆゑりてひとつ支派わかれたもつべし) 33 彼等かれらわれすててシドンびとかみアシタロテとモアブのかみケモシとアンモンの子孫ひと〴〵かみモロクををがその父󠄃ちゝダビデのごとくわが道󠄃みちあゆみてわが適󠄄かなことわがのりとわが律例さだめおこなはざればなり 34 しかれどもわれくにこと〴〵くはかれよりとらざるべし選󠄄えらみたるわがしもべダビデわが命令めいれいとわが法憲のりまもりたるによりわれかれためにソロモンをいつしやうあひだきみたらしむべし 35 されわれそのよりくにとりそのとを支派わかれなんぢあたへん 36 そのにはわれひとつ支派わかれあたへてわがしもべダビデをしてわがおのれおかんとてわがためにえらみたるまちエルサレムにてわが前󠄃まへつねひとつ光明ひかりたもたしめん 37 われなんぢとらなんぢすべなんぢこゝろ望󠄇のぞ所󠄃ところをさめイスラエルのうへわうとなるべし 38 なんぢもしわがなんぢめいずるすべてこときゝ道󠄃みちあゆみわが適󠄄かなことしわがしもべダビデがなせごと法憲のり誡命いましめまもらばわれなんぢともにありてわがダビデのためにたてしごとくなんぢのために鞏固かたいへたててイスラエルをなんぢあたふべし 39 われこれがためにダビデのすゑくるしめんされど永遠󠄄とこしなへにはあらじと 40 ソロモン、ヤラベアムをころさんともとめければヤラベアム起󠄃たちてエジプトに逃󠄄遁のがれエジプトのわうシシヤクにいたりてソロモンのぬるまでエジプトにたり
〘495㌻〙
41 ソロモンのそのほか行爲わざすべかれなしたることおよびその智慧󠄄ちゑはソロモンの行爲わざしよしるさるるにあらすや 42 ソロモンのエルサレムにてイスラエルの全󠄃地ぜんちをさめたるは四十ねんなりき 43 ソロモンその父󠄃祖せんぞともねむりてその父󠄃ちゝダビデのまちはうむらるそのレハベアムこれかはりわうとなれり
 645㌻ 

第12章

1 こゝにレハベアム、シケムにゆけはイスラエルみなかれわうなさんとてシケムにいたりたればなり 2 ネバテのヤラベアムなほエジブトにありきけりヤラベアムはソロモンわうかほをさけて逃󠄄にげさりエジプトに住󠄃居すみゐたるなり 3 とき人衆ひと〴〵ひと遣󠄃つかはしてかれまねけりかくてヤラベアムとイスラエルの會衆くわいしうみなきたりてレハベアムにつげいひけるは 4 なんぢ父󠄃ちゝ我儕われらくびきかたくせりしかれどもなんぢいまなんぢ父󠄃ちゝかたつとめなんぢ父󠄃ちゝ我儕われらかうむらせたるおもくびきかろくせよしから我儕われらなんぢつかへん 5 レハベアム彼等かれらいひけるはさり三日みつかふたゝわれきたれとたみすなはされ

6 レハベアムわうその父󠄃ちゝソロモンのいけあひだその前󠄃まへたちたる老人らうじんたちはかりていひけるは爾等なんぢら如何いかをしへてこれたみこたへしむるや 7 彼等かれらレハベアムにつげいひけるはなんぢもし今日こんにちこのたみしもべとなりこれつかへてこれこたことばこれかたらば彼等かれらながなんぢしもべとなるべしと 8 しかるかれ老人らうじんをしへしをしへ自己おのれとも生長そだちおのれのまへに少年せうねんはかれり 9 すなは彼等かれらいひけるは爾等なんぢらなにをしへて我儕われらをしてこのわれつげなんぢ父󠄃ちゝ我儕われらかうむらせしくびきかろくせよとたみこたへしむるやと 10 かれとも生長そだちたる少年せうねんかれつげていひけるはなんぢつげなんぢ父󠄃ちゝ我儕われらくびきおもくしたれどなんぢこれを我儕われらのためにかろくせよといひたるこのたみなんぢかくいふベしゆびはわが父󠄃ちゝこしよりもふと 11 またわが父󠄃ちゝ爾等なんぢらおもくびき負󠄅おはせたりしがわれさら爾等なんぢらくびきおもくせんわが父󠄃ちゝむちにて爾等なんぢらこらしたれどもわれさそりをもて爾等なんぢらこらさんとなんぢかく彼等かれらつぐべしと

12 ヤラベアムとたみみなわうつげ第三日みつかめふたゝわれきたれといひしごとく第三日みつかめにレハベアムにいたりしに 13 わう荒々あら〳〵しくたみこた老人らうじんをしへしをしへ 14 少年せいねんをしへごと彼等かれらつげいひけるはわが父󠄃ちゝ爾等なんぢらくびきおもくしたりしがわれさら爾等なんぢらくびきおもくせんわが父󠄃ちゝむち爾等なんぢらこらしたれどもわれさそりをもて爾等なんぢらこらさんと
 646㌻ 
15 わうかくたみきかざりき此事このことはヱホバよりいでたるものなりはヱホバそのかつてシロびとアヒヤによりてネバテのヤラベアムにつげことばをおこなはんとてなしたまへるなり
〘496㌻〙
16 かくイスラエルみなわうおのれきかざるをたりこゝにおいてたみわうこたへていひけるは我儕われらダビデのうちなに分󠄃ぶんあらんやヱサイのうち產業さんげふなしイスラエルよ爾等なんぢらてんまくかへれダビデよいまなんぢいへよとしかしてイスラエルはそのてんまくりゆけり 17 しかれどもユダの諸邑まち〳〵住󠄃すめるイスラエルの子孫ひと〴〵うへにはレハベアムそのわうとなれり 18 レハベアムわう徴募ちやうぼがしらなるアドラムを遣󠄃つかはしけるにイスラエルみないしにてかれうちしなしめたればレハベアムわう急󠄃いそぎてそのくるまのぼりエルサレムに逃󠄄にげたり 19 かくイスラエル、ダビデのいへそむきて今日こんにちにいたる 20 こゝにイスラエルみなヤラベアムのかへりしをきゝひと遣󠄃つかはしてかれ集會しふくわいまねかれをイスラエルの全󠄃家ぜんかうへわうなせりユダの支派わかれほかはダビデのいへしたがものなし

21 ソロモンのレハベアム、エルサレムにいたりてユダの全󠄃家ぜんかとベニヤミンの支派わかれものすなは壯年さかり武夫つはもの十八まんあつかくしてレハベアムくにおのれかへさんがためにイスラエルのいへたゝかはんとせしが 22 かみことばかみひとシマヤにのぞみていは 23 ソロモンのユダのわうレハベアムおよびユダとベニヤミンの全󠄃家ぜんかならびそのほかたみつげいふべし 24 ヱホバかく爾等なんぢらのぼるべからず爾等なんぢら兄弟きやうだいなるイスラエルの子孫ひと〴〵たゝかふべからず各人おの〳〵そのいへかへ此事このことわれよりいでたるなりと彼等かれらヱホバのことばきヱホバのことばしたがひてかへりぬ

25 ヤラベアムはエフライムの山地やまちにシケムをたて其處そこ住󠄃又󠄂また其所󠄃そこよりいでてペヌエルをたてたり 26 こゝにヤラベアム其心そのこころいひけるはくにいまダビデのいへかへらん
 647㌻ 
27 もしこのたみエルサレムにあるヱホバのいへ禮物そなへものさゝげんとてのぼらばこのたみこゝろユダのわうなるそのしゆレハベアムにかへりてわれころしユダのわうレハベアムにかへらんと 28 こゝおいわう計議はかりふたつきんこうし造󠄃つく人々ひと〴〵いひけるはなんぢらのエルサレムにのぼることすでたれりイスラエルよなんぢをエジブトのより導󠄃みちびのぼりしなんぢかみよと 29 しかしてかれひとつをベテルにひとつをダンにおけ 30 此事このことつみとなれりそはたみダンにまでゆきそのひとつ前󠄃まへまうでたればなり 31 かれ又󠄂また崇邱たかきところいへたててレビの子孫ひと〴〵にあらざるそのつねのたみ祭司さいしとなせり 32 ヤラベアム八ぐわつ節󠄄期いはひさだめたりすなはそのつきの十五にちなりユダにある節󠄄期いはひひとしかしてだんうへのぼりたりベテルにてかれかくそのつくりたるこうし禮物そなへものさゝげたり又󠄂またかれその造󠄃つくりたる崇邱たかきところ祭司さいしをベテルにたてたり 33 かくかれそのベテルに造󠄃つくれるだんうへに八ぐわつの十五にちのぼれりこれかれおのれこゝろより造󠄃つくいだしたるつきなりしかしてイスラエルの人々ひと〴〵のために節󠄄期いはひさだだんうへにのぼりてかうたけ〘497㌻〙

第13章

1 こゝかみひとヱホバのことばよりてユダよりベテルにきたれりときにヤラベアムはだんうへたちかうたきゐたり 2 かみひとすなはちヱホバのことばだんむかひてよばはりいひけるはだんだんよヱホバかくいひたまふよダビデのいへにヨシアとなづくる一人ひとりうまるべしかれなんぢうへかう所󠄃ところ崇邱たかきところ祭司さいしなんぢうへさゝげんかつひとほねなんぢうへやかれんと 3 このかれ異蹟しるししめしていひけるはこれはヱホバのいひたまへること異蹟しるしなりだんそのうへにある灰󠄃はひ傾出こぼれんと 4 ヤラベアムわうかみひとがベテルにあるだんむかひてよばはりたることばきけときそのだんよりのばかれとらへよといひけるがそのかれむかひてのばしたるかれふたゝ屈縮ちぢむることをざりき 5 しかしてかみひとがヱホバのことばしめしたる異蹟しるしごとだん灰󠄃はひだんより傾出こぼれたり 6 わうこたへかみひといひけるは請󠄃なんぢかみヱホバのかほなごめわがためいのりてわがもとかへらしめよかみひとすなはちヱホバのかほなごめければわうもとかへりて前󠄃まへのごとくになれ
 648㌻ 
7 こゝにおいてわうかみひといひけるはわれともいへきたりてやすめよわれなんぢ禮物れいもつあたへんと 8 かみひとわういひけるはなんぢ假令たとひなんぢいへ半󠄃なかばわれあたふるもわれなんぢとともにいら又󠄂またこの所󠄃ところにてパンを食󠄃くはみづのまざるべし 9 はヱホバのことばわれにパンを食󠄃くらふなかれみづのむなかれ又󠄂またなんぢゆけ途󠄃みちよりかへるなかれとめいじたればなりと 10 かくかれほかの途󠄃みち自己おのれがベテルにきたれる途󠄃みちよりはかへらざりき

11 こゝにベテルに一人ひとりおいたる預言よげんしや住󠄃すみゐたりしがその子等こらきたりてこのかみひとがベテルにてなしたる諸事ことどもかれのべたりまたかみひとわういひたることばをもその父󠄃ちゝのべたり 12 その父󠄃ちゝ彼等かれらかれいづれ途󠄃みちゆきしやといふその子等こらユダよりきたりしかみひとゆきたる途󠄃みちたればなり 13 かれその子等こらいひけるはわがために驢馬ろばくらおけと彼等かれら驢馬ろばくらおきければかれこれ 14 かみひとあときてかししたするをこれにいひけるはなんぢはユダよりきたれるかみひとなるか其人そのひとしかりと 15 かれ其人そのひとにいひけるはわれともいへゆきてパンを食󠄃くら 16 其人そのひといふわれなんぢともかへあたはずなんぢともいるあたはず又󠄂またわれ此處このところにてなんぢともにパンを食󠄃くはみづのま 17 はヱホバのことばわれなんぢ彼處かしこにてパンを食󠄃くらふなかれみづのむなかれ又󠄂またなんぢいたれる所󠄃ところ途󠄃みちよりかへゆくなかれといひたればなりと〘498㌻〙 18 かれ其人そのひとにいひけるはわれまたなんぢごと預言者よげんしやなるがてん使つかひヱホバのことばわれつげかれなんぢともなんぢいへつれかへりかれにパンを食󠄃くらはしめみづのましめよといへりとこれ其人そのひとあざむけるなり 19 こゝにおいて其人そのひとかれともかへそのいへにてパンを食󠄃くらみづのめ

20 彼等かれらせきいませしときヱホバのことば其人そのひとつれかへり預言者よげんしやのぞみければ 21 かれユダよりきたれるかみひとむかひてよばはりいひけるはヱホバかくいひたまふなんぢヱホバのくち違󠄇そむなんぢかみヱホバのなんぢめいじたまひし命令めいれいまもらずしてかへ
 649㌻ 
22 ヱホバのなんぢにパンを食󠄃くらふなかれみづのむなかれといひたまひしところにてパンを食󠄃くらみづのみたればなんぢしかばねなんぢ父󠄃祖ふそはかいたらざるべしと 23 其人そのひとのパンを食󠄃くらみづのみのちかれ其人そのひとのためすなはおのれつれかへりたる預言者よげんしやのために驢馬ろばくらおけり 24 かく其人そのひとゆきけるが獅子しゝ途󠄃みちにてこれ遇󠄃ひてこれころせりしかしてそのしかばね途󠄃みちすてられ驢馬ろばそのかたはら獅子しゝまたそのしかばねかたはらたて 25 人々ひと〴〵經過󠄃とほり途󠄃みちすてられたるしかばねそのしかばねかたはらたて獅子しゝきたかのおいたる預言者よげんしや住󠄃すめまちにてかたれり

26 彼人かのひと途󠄃みちよりつれかへりたる預言者よげんしやきゝいひけるはそれはヱホバのくち違󠄇そむきたるかみひとなりヱホバのかれいひたまひしことばごとくヱホバかれ獅子しゝわたしたまひて獅子しゝかれころせりと 27 しかしてその子等こらかたりていひけるはわがために驢馬ろばくらおけと彼等かれらくらおきければ 28 かれゆきそのしかばね途󠄃みちすてられ驢馬ろば獅子しゝそのしかばねかたはらたてるをたり獅子しゝしかばね食󠄃くらはず驢馬ろばをもさかざりき 29 預言者よげんしやすなはかみひとしかばねとりあげてこれ驢馬ろばせてもちかへれりしかしてそのおいたる預言者よげんしやまち哀哭かなしみてこれはうむれり 30 すなはそのしかばね自己おのれはかをさみなこれがために嗚呼あゝわが兄弟きやうだいよといひて哀哭かなしめ 31 彼人かのひとはうむりしのちかれその子等こらかたりていひけるはしにたるときかみひとはうむりたるはかわれはうむりわがほねかれほねそばをさめよ 32 かれがヱホバのことばてベテルにあるだんにむかひ又󠄂またサマリアの諸邑まち〳〵崇邱たかきところすべていへむかひてよばはりたることばかならなるべければなり

33 このことのちヤラベアムそのあし途󠄃みちはなかへらずしてまたよのつねたみ崇邱たかきところ祭司さいしなせすなはたれにてもこのものこれてければ其人そのひと崇邱たかきところ祭司さいしなれ 34 此事このことヤラベアムのいへ罪戻つみとなりて遂󠄅つひこれをして表面おもてより消󠄃失きえう滅亡ほろぶるいたらしむ〘499㌻〙
 650㌻ 

第14章

1 當時そのころヤラベアムのアビヤやみゐたり 2 ヤラベアムそのつまいひけるは請󠄃起󠄃たちすがたひとをしてなんぢがヤラベアムのつまなるをしらしめずしてシロに彼處かしこにわがこのたみわうとなるべきをわれつげたる預言者よげんしやアヒヤをる 3 なんぢとをのパンおよくわいちびんみつとりかれ所󠄃ところかれなんぢこの如何いかになるかをしめすべしと 4 ヤラベアムのつまかく起󠄃たちてシロにきアヒヤのいへいたりしがアヒヤは年齡としのためにそのかたまりることをざりき 5 ヱホバ、アヒヤにいひたまひけるはよヤラベアムのつまそのやめるによりそれつきなんぢひとつことたづねんとてきたなんぢ斯々かく〳〵かれいふべしかれきたときそのほかひととすべければなり

6 かれ所󠄃ところいりきたれるときアヒヤそのあしおときゝいひけるはヤラベアムのつまいれなんぢなんそのほかひととするやわれなんぢ嚴酷きびしことつぐるをめいぜらる 7 ゆきてヤラベアムにつぐべしイスラエルのかみヱホバかくいひたまふわれなんぢたみうちより我民わがたみイスラエルのうへなんぢきみとなし 8 くにをダビデのいへよりはなしてこれなんぢあたへたるになんぢわがしもべダビデの命令めいれいまもりていつしんわれしたがたゞわが適󠄄かなことのみをなせしがごとくならずして 9 なんぢ前󠄃まへありすべてものよりもあくゆきなんぢのためにほかかみたるざう造󠄃つくいかりおこわれなんぢ背後うしろすてたり 10 是故このゆえわれヤラベアムのいへ災害󠄅わざはひくだしヤラベアムにぞくするをとこはイスラエルにありてつながれたるものつながれざるものこと〴〵ひと塵埃あくたのこりなくのぞくがごとくヤラベアムのいへあとのぞくべし 11 ヤラベアムにぞくするものまちしぬるをばいぬこれ食󠄃くらぬるをば天空󠄃そらとりこれ食󠄃くらはんヱホバこれいひたまへばなり 12 なんぢ起󠄃たちなんぢいへなんぢあしまちときぬべし 13 しかしてイスラエルみなかれのためにかなしみてかれはうむらんヤラベアムにぞくするものたゞこれのみはかるべしはヤラベアムのいへうちにてかれはイスラエルのかみヱホバにむかひて意󠄃おもひいだけばなり 14 ヱホバ、イスラエルうへ一人ひとりわうおこさんかれそのにヤラベアムのいへ斷絕たつべしたゞいづれのときなるかいますなはこれなり
 651㌻ 
15 又󠄂またヱホバ、イスラエルをうちみづ搖撼ゆるあしごとくになしたまひイスラエルをその父󠄃祖せんぞたまひしこのよきよりりてこれかはさきちらしたまはん彼等かれらそのアシラざう造󠄃つくりてヱホバのいかりおこしたればなり 16 ヱホバ、ヤラベアムのつみためにイスラエルをすてたまふべしかれつみをか又󠄂またイスラエルにつみをかさしめたりと
〘500㌻〙
17 ヤラベアムのつま起󠄃たちさりテルザにいたりていへしきゐいたれるときしね 18 イスラエルみなかれはうむかれためかなしめりヱホバのそのしもべ預言者よげんしやアヒヤによりていひたまへることばごと

19 ヤラベアムのそのほか行爲わざかれ如何いかたゝかひしか如何いかをさめしかはよイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさ 20 ヤラベアムのわうたりしは二十二ねんなりきかれその父󠄃祖せんぞともねむりてそのナダブこれかはりてわうとなれり

21 ソロモンのレハベアムはユダにわうたりきレハベアムはわうなれとき四十一さいなりしがヱホバのそのおかんとてイスラエルのすべて支派わかれうちより選󠄄えらみたまひしまちなるエルサレムにて十七ねんわうたりきそのはゝはナアマといひてアンモニびとなり 22 ユダその父󠄃祖せんぞなしたるすべてことこえてヱホバの前󠄃まへあくそのをかしたるつみよりてヱホバの震怒いかりおこせり 23 彼等かれらすべて高山たかやまうへすべてあをした崇邱たかきところとアシラざうたてたればなり 24 そのくににはまたなんしよくおこなものありき彼等かれらはヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひし國民くにたみうちにありしすべて憎にくむべきことならおこなへり

25 レハベアムわうだいねんにエジプトのわうシシヤク、エルサレムにせめのぼ 26 ヱホバのいへ寶物たからわういへ寶物たからうばひたりすなはこと〴〵これうばまたソロモンの造󠄃つくりたるきんたてみなうばひたり
 652㌻ 
27 レハベアムわうそのかはりあかがねたて造󠄃つくりてわういへもんまも侍衞じゑいかしらわたせり 28 わうのヱホバのいへごと侍衞じゑいこれ負󠄅またこれ侍衞じゑいいへもちかへれり

29 レハベアムのそのほか行爲わざそのすべなしたることはユダのわう歷代れきだいしよしるさるるにあらずや 30 レハベアムとヤラベアムのあひだ戰爭いくさありき 31 レハベアムその父󠄃祖せんぞともねむりてその父󠄃祖せんぞともにダビデのまちはうむらるそのはゝのナアマといひてアンモニびとなりそのアビヤムこれかはりてわうなれ

第15章

1 ネバテのヤラベアムわうだい十八ねんにアビヤム、ユダのわうとなり 2 エルサレムにて三ねんをさめたりそのはゝはマアカといひてアブサロムのむすめなり 3 かれその父󠄃ちゝおのれのさきになしたるもろ〳〵つみおこな其心そのこころその父󠄃ちゝダビデのこゝろごとそのかみヱホバに完全󠄃まつたからざりき 4 しかるそのかみヱホバ、ダビデのためにエルサレムにおいかれひとつ燈明あかりあたそのそのあとおこしエルサレムをかたたゝしめたまへり 5 はダビデはヘテびとウリヤのことそといつしやうあひだヱホバの適󠄄かなことなしそのおのれめいじたまへるすべてことそむかざりければなり〘501㌻〙 6 レハベアムとヤラベアムのなかにはそのいつしやうあひだ戰爭いくさありき

7 アビヤムのそのほか行爲わざすべそのなしたることはユダのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずやアビヤムとヤラベアムのあひだ戰爭いくさありき 8 アビヤムその先祖せんぞともねむりしかばこれをダビデのまちはうむりぬそのアサこれかはりてわうなれ

9 イスラエルのわうヤラベアムのだい二十ねんにアサ、ユダのわうとなり 10 エルサレムにて四十一ねんをさめたりそのはゝはマアカといひてアブサロムのむすめなり
 653㌻ 
11 アサはその父󠄃ちゝダビデのごとくヱホバの適󠄄かなこと 12 なんしよくおこなものくにより逐󠄃いだその父󠄃祖せんぞたち造󠄃つくりたるもろ〳〵偶像ぐうざうのぞけり 13 かれまたそのはゝマアカのアシラのざう造󠄃つくりしがためにこれおとしておほきさきたらしめざりきしかしてアサそのざうこぼちてキデロンのたにやきすてたり 14 たゞ崇邱たかきところのぞかざりきされどアサのこゝろ一生いつしやうあひだヱホバに完全󠄃まつたかりき 15 かれその父󠄃ちゝ献納󠄃をさめたるものおのれのをさめたるもの金銀きんぎんのうつはをヱホバのいへたづさへいりぬ

16 アサとイスラエルのわうバアシヤのなか一生いつしやうあひだ戰爭いくさありき 17 イスラエルのわうバアシヤ、ユダにせめのぼりユダのわうアサの所󠄃ところたれをも徃來ゆききせざらしめんためにラマをきづけり 18 こゝおいてアサわうヱホバのいへ府庫くらわういへ府庫くらのこれる所󠄃ところ金銀きんぎんこと〴〵とりこれその臣僕しもべわたこれをダマスコに住󠄃すめるスリアのわうヘジヨンのタブリモンのなるベネハダデに遣󠄃つかはしていひけるは 19 わが父󠄃ちゝなんぢ父󠄃ちゝあひだごとわれなんぢあひだやくたてわれなんぢ金銀きんぎん禮物おくりものおくれりゆきなんぢとイスラエルのわうバアシヤとのやくやぶかれをしてわれはなれてのぼらしめよ 20 ベネハダデ、アサわうきて自己おのれ軍勢ぐんぜいかしらたち遣󠄃つかはしてイスラエルの諸邑まち〳〵めイヨンとダンとアベルベテマアカおよびキンネレテの全󠄃地ぜんちとナフタリの全󠄃地ぜんちとをうて 21 バアシヤきゝおよびラマをきづくことをやめてテルザにとゞま 22 こゝおいてアサわうれいをユダ全󠄃國ぜんこくくだしたり一人ひとりまぬかれしものなしかくしてすなはちバアシヤがもちひてラマをきづきたるいし材木ざいもくとりきたらしめアサわうこれもちてべニヤミンのゲバとミズパをきづけり

23 アサのそのほか行爲わざそのすべて功業いさをすべそのなしたることおよびそのたてたる城邑まちはユダのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずやたゞかれとしおゆるにおよびてそのあしやみたり 24 アサその父󠄃祖せんぞともねむりてその父󠄃ちゝダビデのまちその父󠄃祖せんぞともはうむらるそのヨシヤパテこれかはりてわうなれ
〘502㌻〙
 654㌻ 
25 ユダのわうアサのだいねんにヤラベアムのナダブ、イスラエルのわうり二ねんイスラエルををさめたり 26 かれヱホバののまへにあくなしその父󠄃ちゝ道󠄃みち步行あゆそのイスラエルにをかさせたるつみおこなへり 27 こゝにイツサカルのいへのアヒヤのバアシヤかれてきしてたうむすびペリシテびとぞくするギベトンにてかれうてはナダブとイスラエルみなギベトンをかこたればなり 28 ユダのわうアサのだいねんにバアシヤかれころかれかはりてわうとなれり 29 バアシヤわうとなれるときヤラベアムの全󠄃家ぜんか氣息いきあるもの一人ひとりもヤラベアムにのこさずしてこと〴〵これほろぼせりヱホバのそのしもべシロびとアヒヤによりいひたまへることばごと 30 はヤラベアムがをか又󠄂またイスラエルにをかさせたるつみ又󠄂またかれがイスラエルのかみヱホバのいかり起󠄃おこしたることるなり

31 ナダブのそのほか行爲わざすべそのなしたることはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや 32 アサとイスラエルのわうバアシヤのなかいつしやうのあひだ戰爭いくさありき

33 ユダのわうアサのだいねんにアヒヤのバアシヤ、テルザにおいてイスラエルの全󠄃地ぜんちわうとなりて二十四ねんたり 34 かれヱホバののまへにあくしヤラベアムの道󠄃みちにあゆみそのイスラエルにをかさせたるつみおこなへり

第16章

1 こゝにヱホバのことばハナニのヱヒウにのぞみバアシヤをせめいは 2 われなんぢちりうちよりあげ我民わがたみイスラエルのうへきみとなしたるになんぢはヤラベアムの道󠄃みち步行あゆみわがたみイスラエルにつみをかさせてそのつみをもてわがいかりおこしたり 3 さればわれバアシヤののちそのいへあとのぞなんぢいへをしてネバテのヤラベアムのいへごとくならしむべし 4 バアシヤにぞくするもの城邑まちしぬるをばいぬこれ食󠄃くらかれぞくするものしぬるをば天空󠄃そらとりこれを食󠄃くらはんと

 655㌻ 
5 バアシヤのそのほか行爲わざそのなしたることその功績いさをはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや 6 バアシヤその父󠄃祖せんぞともねむりてテルザにはうむらるそのエラこれかはりてわうとなれり 7 ヱホバのことばまたハナニのヱヒウによりのぞみバアシヤとそのいへかれがヱホバののまへにもろ〳〵惡事あくじおこなその所󠄃爲わざてヱホバのいかりおこしてヤラベアムのいへならひたるに又󠄂またそのナダブをころしたるによりてなり

8 ユダのわうアサのだい二十六ねんにバアシヤのエラ、テルザにおいてイスラエルのわうとなりて二ねんたり〘503㌻〙 9 かれがテルザにありてテルザの宮殿いへつかさアルザのいへにおいてゑひたるときそのけらいジムリ戰車いくさぐるま半󠄃なかばつかさどるものこれてきしてたうむすべり 10 すなはちユダのわうアサのだい二十七ねんにジムリいりかれかれころかれにかはりてわうとなれり 11 かれわうとなりてそのくらゐのぼれるときバアシヤの全󠄃家ぜんかころ男子をとこそのしんぞくにもあれ朋友はういうにもあれ一人ひとりこれ遺󠄃のこさゞりき 12 ジムリかくバアシヤの全󠄃家ぜんかほろぼせりヱホバが預言者よげんしやヱヒウによりてバアシヤをせめいひたまへることばごと 13 はバアシヤのもろ〳〵つみそのエラのつみのためなり彼等かれらつみをか又󠄂またイスラエルをしてつみをかそのむなしきものてイスラエルのかみヱホバのいかりおこさしめたり 14 エラのそのほか行爲わざすべそのなしたることはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや

15 ユダのわうアサのだい二十七ねんにジムリ、テルザにて七日なぬかあひだわうたりきたみはペリシテびとぞくするギベトンにむかひてぢんどりたりしが 16 ぢんどれるたみジムリはたうむすまたわうころしたりといふきけこゝおいてイスラエルみなそのぢんえいにてぐんかしらオムリをイスラエルのわうとなせり 17 オムリすなはちイスラエルのひと〴〵ともにギベトンよりのぼりてテルザをかこめ
 656㌻ 
18 ジムリそのまちおちいるをわういへてんしゆわういへをかけてそのうちしね 19 そのをかしたるつみによりてなりかれヱホバののまへにあくしヤラベアムの道󠄃みちにあゆみヤラベアムがイスラエルにつみをかさせてしたるところのつみおこなひたり 20 ジムリのそのほか行爲わざそのなしたるたうはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや

21 其時そのときにイスラエルのたみふたつ分󠄃わかたみ半󠄃なかばはギナラのテブニにしたがひてこれわうとなさんとし半󠄃なかばはオムリにしたがへり 22 オムリにしたがへるたみギナテのテブニにしたがへるたみ勝󠄃かちてテブニはしにてオムリわうとなれり 23 ユダのわうアサのだい三十一ねんにオムリ、イスラエルのわうとなりて十二ねんたりかれテルザにて六ねんわうたりき 24 かれぎん二タラントをてセメルよりサマリアやまそのうへまちそのたてたるまちそのやま故主もちぬしなりしセメルのしたがひてサマリアとよべ 25 オムリ、ヱホバののまへにあくそのさきありすべてものよりもあしことおこなへり 26 かれはネバテのヤラベアムのすべて道󠄃みちにあゆみヤラベアムがイスラエルをしてつみをかそのむなしきものてイスラエルのかみヱホバのいかりをおこさしめたるそのつみおこなへり〘504㌻〙 27 オムリのなしたるそのほか行爲わざそのなしたる功績いさをはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや 28 オムリその父󠄃祖せんぞともねむりてサマリアにはうむらるそのアハブこれかはりてわうとなれり

29 ユダのわうアサのだい三十八ねんにオムリのアハブ、イスラエルのわうとなれりオムリのアハブ、サマリアにおいて二十二ねんイスラエルにわうたりき 30 オムリのアハブはそのさきありすべてものよりもおほくヱホバののまへにあくなせ 31 かれはネバテのヤラベアムのつみおこなことかろこととなせしがシドンびとわうエテバアルのむすめイゼベルをつまめとゆきてバアルにつかこれをがめり 32 かれそのサマリアにたてたるバアルのいへうちにバアルのためにだんきづけり
 657㌻ 
33 アハブ又󠄂またアシラざうつくれりアハブはそのさきにありしイスラエルのすべてわうよりもはなはだしくイスラエルのかみヱホバのいかりおこすことをなせ 34 そのにベテルびとヒエル、ヱリコをたてたりかれそのもとゐすゆとき長子うひごアビラムをうしなそのもんたつとき季子すゑのこセグブをうしなへりヌンのヨシユアによりてヱホバのいひたまへるがごとし

第17章

1 ギレアデに居住󠄃とゞまれるテシベびとエリヤ、アハブにわがつかふるイスララエルのかみヱホバはくわがことばなきときすうねんあめつゆあらざるべしと 2 ヱホバのことばかれのぞみていは 3 なんぢこゝよりゆきひがしおもむきヨルダンの前󠄃まへにあるケリテがはかく 4 なんぢそのかはみづのむべしわれからすめいじて彼處かしこにてなんぢ養󠄄やしなはしむと 5 かれゆきてヱホバのことばごとなせすなはゆきてヨルダンの前󠄃まへにあるケリテがは住󠄃すめ 6 かれ所󠄃ところからす朝󠄃あしたにパンとにくまたゆふべにパンとにく運󠄃はこべりかれかはのめ 7 しかるにくにあめなかりければ數日すうじつのちそのかはかれ

8 ヱホバのことばかれのぞみていはく 9 起󠄃たちてシドンにぞくするザレバテにゆき其處そこ住󠄃われ彼處かしこやもめ婦󠄃をんなめいじてなんぢ養󠄄やしなはしむと 10 かれ起󠄃たちてザレパテにゆきけるがまちもんいたれるとき一人ひとりやもめ婦󠄃をんな其處そこたきゞひろふをたりすなはこれよびいひけるは請󠄃うつは少許すこしみづわれもちきたりてわれのませよと 11 かれこれもちきたらんとてゆけときエリヤかれよびいひけるは請󠄃なんぢひとくちのパンをわれとりきたれと 12 かれいひけるはなんぢかみヱホバはわれはパンたゞおけ一握ひとつかみこなびん少許すこしあぶらあるのみわれふたつたきゞひろわれいりてわれとわがのために調理ととのへこれをくらひてしなんとす 13 エリヤかれおそるるなかれゆきなんぢがいへるごとくせよたゞまづそれをもてわがためちひさきパンひとつつくりてわれもちきたりそののちなんぢのためとなんぢのためにつくるべし〘505㌻〙 14 はヱホバのあめおもてくだしたまふまではそのおけこなつきそのびんあぶらたえずとイスラエルのかみヱホバいひたまへばなりと 15 かれゆきてエリヤのいへるごとくなしかれそのいへおよびエリヤひさし食󠄃くらへり
 658㌻ 
16 ヱホバのエリヤによりいひたまひしことばのごとくおけこなつきびんあぶらたえざりき

17 是等これらことのちそのいへ主母あるじなる婦󠄃をんなやまひかかりしがそのやまひはなははげしくして氣息いきそのうちたえきにいたれり 18 婦󠄃をんなエリアにいひけるはかみひとなんぢなんぞわがこと關渉たづさはるべけんやなんぢはわがつみおもいださしめんため又󠄂またわがしなしめんためにわれきたれるか 19 エリヤかれなんぢわれわたせといひこれそのふところよりこれおのれにかいかかへのぼりておのれとこふさしめ 20 ヱホバによばはりていひけるはわがかみヱホバよなんぢまたわがともに宿やどやもめわざはひをくだしてそのしなしめたまふやと 21 しかしてたびのばしてそのうへしヱホバによばはりてふわがかみヱホバねがはくはこのたましひうちかへらしめたまへと 22 ヱホバ、エリヤのこゑきゝいれたまひしかばそのたましひうちにかへりていきたり 23 エリヤすなはそのとりこれにかいよりいへつれくだりそのはゝわたしていひけるはなんぢくと 24 婦󠄃をんなエリヤにいひけるはこれよりわれなんぢかみひとにしてなんぢくちにあるヱホバのことば眞實まことなるをると

第18章

1 衆多おほくたるのち第三年さんねんめにヱホバのことばエリヤにのぞみていはゆきなんぢをアハブにしめわれあめおもてくださんと 2 エリヤそのをアハブにしめさんとてゆけとき饑饉ききんサマリアにはなはだしかりき 3 こゝにアハブ家宰いへづかさなるオバデヤをめしたり 4 (オバデヤはおほいにヱホバをかしこみたるものにてイゼベルがヱホバの預言者よげんしやたちたるときにオバデヤひやくにん預言者よげんしやとりこれを五十にんづつ洞穴󠄄ほらあなかくしパンとみづをもてこれ養󠄄やしなへり) 5 アハブ、オバデヤにいひけるはくにちうみづすべてみなもとすべてかはむま生活いかしむるくさることあらんしから我儕われら牲畜けものこと〴〵くはうしなふにいたらじと 6 彼等かれら巡󠄃めぐるべき二人ふたり分󠄃わかちアハブはひとりにてこの途󠄃みちきオバデヤはひとりにてかの途󠄃みちけり

7 オバデヤ途󠄃みちにありしときよエリヤかれ遭󠄃あへかれエリヤをしりふしいひけるはわれしゆエリヤなんぢこゝたまふや 8 エリヤかれいひけるはしかゆきなんぢしゆにエリヤはこゝにありとつげ 9 かれいひけるはわれなにつみをかしたればなんぢしもべをアハブのわたしてわれころさしめんとする〘506㌻〙
 659㌻ 
10 なんぢかみヱホバはくわがしゆひと遣󠄃つかはしてなんぢ尋󠄃たづねざるたみはなくくにはなししエリヤはをらずといふときそのくにそのたみをしてなんぢずといふちかひなさしめたり 11 なんぢいまゆきなんぢしゆにエリヤはこゝにありとつげよと 12 されわがなんぢをはなれてゆくときヱホバのみたまわれしらざるところなんぢたづさへゆかんわがいたりてアハブにつげかれなんぢ尋󠄃たづねざるときかれわれころさんさりながらしもべはわが幼少いとけなきよりヱホバをかしこむなり 13 イゼベルがヱホバの預言者よげんしやころしたるときわがなしたることすなはがヱホバの預言者よげんしやうちひやくにんを五十にんづつ洞穴󠄄ほらあなかくしてパンとみづこれ養󠄄やしなひしことわがしゆきこえざりしや 14 しかるにいまなんぢゆきなんぢしゆにエリヤはこゝにありとつげよとしからばかれわれころすならん 15 エリヤいひけるはつかふる萬軍ばんぐんのヱホバはわれかなら今日けふわがかれしめすべしと

16 オバデヤすなはゆきてアハブにこれつげければアハブはエリヤにあはんとてゆききけるが 17 アハブ、エリヤをときアハブ、エリヤにいひけるはなんぢイスラエルをなやますものこゝにをるか 18 かれこたへけるはわれはイスラエルをなやまさずたゞなんぢなんぢ父󠄃ちゝいへこれなやますなりすなは汝等なんぢらはヱホバの命令めいれいかつなんぢはバアルにしたがひたり 19 さればひと遣󠄃やりてイスラエルのすべてひとおよびバアルの預言者よげんしやひやく五十にんならびにアシラざう預言者よげんしやひやくにんイゼベルのせき食󠄃くらものをカルメルざんあつめてわれいたらしめよと

20 こゝにおいてアハブ、イスラエルのすべて子孫ひと〴〵うちひと遣󠄃預言者よげんしやをカルメルざんあつめたり 21 ときにエリヤすべてたみ近󠄃ちかづきていひけるは汝等なんぢら何時いつまでふたつものあひだにまよふやヱホバかみならばこれしたがへされどバアルかみならばこれしたがへとたみひとことかれこたへざりき 22 エリヤたみいひけるはたゞわれ一人ひとりのこりてヱホバの預言者よげんしやたりされどバアルの預言者よげんしやは四ひやく五十にんあり 23 されふたつこうし我儕われらあたへよ彼等かれらそのひとつこうし選󠄄えらみてこれたきゞうへのせせてはなたずにおきべしわれそのひとつうし調理ととのたきゞうへせてはなたずにおくべし
 660㌻ 
24 かくして汝等なんぢら汝等なんぢらかみわれはヱホバのよばしかしてをもてこたふかみかみなすべしとたみみなこたへこのことばよしいへ

25 エリヤ、バアルの預言者よげんしやいひけるは汝等なんぢらおほければひとつうし選󠄄えらみて最初さき調理ととの汝等なんぢらかみぶべしたゞはなつなかれと 26 彼等かれらすなはそのあたへられたるうしとり調理ととの朝󠄃あさよりひるにいたるまでバアルのよびてバアルよ我儕われらこたへたまへといへされなんこゑもなく又󠄂またなにこたふものもなかりければ彼等かれらその造󠄃つくりたるだんのまはりにをどれり〘507㌻〙 27 日中ひるにおよびてエリヤ彼等かれらあざけりていひけるはおほごゑをあげてかれかみなればなりかれ默想かんがへをるか他處わきゆきしか又󠄂またたびにあるかあるひ假寐ねむりおこさるべきかと 28 こゝにおいて彼等かれらおほごゑよばはりそのさだめしたがひて刀劍かたなやりそのきづつけそのながすにいたれり 29 かくして午時ひるすぐるにいたりしが彼等かれらなほ預言よげんひてばん祭物そなへものさゝぐるときにまでおよべりしかれどもなんこゑもなく又󠄂またなんこたふるもの又󠄂またなん顧󠄃かへりみものもなかりき

30 ときにエリヤすべてたみにむかひてわれ近󠄃ちかよれといひければたみみなかれ近󠄃ちかよれりかれすなは破壞くづれたるヱホバのだん修理つくろヘり 31 エリヤ、ヤコブの子等こら支派わかれかずしたがひて十二のいしれり(ヱホバのことばむかしヤコブにのぞみてイスラエルをなんぢとすべしといへり) 32 かれそのいしにてヱホバのだんきづだん周󠄃圍まはり種子たね二セヤをいるべきみぞつくれり 33 又󠄂またたきゞ陳列ならうしきりさきたきゞうへせていひけるはよつおけみづ滿みて燔祭はんさいたきゞうへそゝ 34 又󠄂またいひけるはふたゝこれせとふたゝびこれをなせしかば又󠄂また三次みたびこれをせと三次みたびこれをなせり 35 みづだん周󠄃迴まはりながるまたみぞにもみづをみたしたり 36 ばん祭物そなへものさゝぐるときおよば預言者よげんしやエリヤ近󠄃ちかよりていひけるはアブラハム、イサク、イスラエルのかみヱホバよなんぢのイスラエルにおいてかみなることおよびなんぢしもべにしてなんぢことばしたがひて是等これらすべてことせることを今日こんにちしらしめたまへ
 661㌻ 
37 ヱホバよわれこたへたまへわれこたへたまへこのたみをしてなんぢヱホバはかみなることおよびなんぢ彼等かれらこゝろひるがへしたまふといふことをしらしめたまへと 38 ときにヱホバのくだりて燔祭はんさいたきゞいしちりとをやきつくせりまたみぞみづすひからせり 39 たみみなふしていひけるはヱホバはかみなりヱホバはかみなり 40 エリヤ彼等かれらいひけるはバアルの預言者よげんしやとらへよその一人ひとりをも逃󠄄遁のがれしむるなかれとすなはこれとらへたればエリヤこれをキシヨンがはひきくだりて彼處かしここれころせり

41 かくてエリヤ、アハブにいひけるはおほあめおとあればなんぢのぼりて食󠄃くひのみすべしと 42 アハブすなは食󠄃くひのみせんとてのぼれりされどエリヤはカルメルのいただきのぼふしそのかほひざあひだいれゐたりしが 43 その少者わかものにいひけるは請󠄃のぼりてうみかた望󠄇のぞめとかれのぼ望󠄇のぞみてなにもなしといひければふたゝけといひて遂󠄅つひなゝたびおよべり〘508㌻〙 44 第七次ななたびめおよびてかれいひけるはうみよりひとのごとくすこしくも起󠄃おこるとエリヤいふのぼりてアハブにあめとどめられざるやうくるまととのへてくだりたまへとふべしと 45 にはかくもかぜおこり霄漢そらくろくなりておほあめありきアハブはヱズレルにゆけ 46 ヱホバの能力ちからエリヤにのぞみてかれそのこし束帶むすびヱズレルのいりくちまでアハブの前󠄃まへはしりゆけり

第19章

1 アハブ、イゼベルにエリヤのすべなしたることおよその如何いかすべて預言者よげんしや刀劍かたなにてころしたるかをつげしかば 2 イゼベル使つかひをエリヤに遣󠄃つかはしていひけるはかみたちかくなしまたかさねかくなしたまへわれかなら明日あくるひいま時分󠄃ごろなんぢいのちかの人々ひと〴〵一人ひとり生命いのちのごとくせんと 3 かれおそれて起󠄃その生命いのちのために逃󠄄ゆきてユダにぞくするベエルシバにいた少者わかもの其處そこ遺󠄃のこして 4 みづかいちにちほど曠野あらのゆき金雀花えにしだもとそのしなんことをもとめていふヱホバよたれいまわが生命いのちとりたまへわれはわが父󠄃祖せんぞよりもよきにはあらざるなりと 5 かれ金雀花えにしだもとしてねむりしがてん使つかひかれさはおき食󠄃くらへといひければ
 662㌻ 
6 かれしにそのあたまそばすみきたるパンといちびんみづありきすなは食󠄃くらのみまた偃臥ふしたり 7 ヱホバの使者つかひまたふたゝきたりてかれさはりていひけるはおき食󠄃くら途󠄃みちながくしてなんぢ勝󠄃たふべからざればなりと 8 かれおき食󠄃くらかつその食󠄃しよくちからよりて四十にち四十ゆきかみやまホレブにいた

9 彼處かしこにてかれ洞穴󠄄ほらあなりて其處そこ宿やどりしがしゆことばかれのぞみてかれいひけるはエリヤよなんぢこゝにてなになす 10 かれいふわれ萬軍ばんぐんかみヱホバのためにはなは熱心ねつしんなりはイスラエルの子孫ひと〴〵なんぢ契󠄅約けいやくなんぢだんこぼ刀劍かたななんぢ預言者よげんしやころしたればなりたゞわれ一人ひとりのこれるに彼等かれらわが生命いのちとらんことをもとむと 11 ヱホバいひたまひけるはいでてヱホバの前󠄃まへやまうへてとこゝにヱホバ過󠄃すぎゆきたまふにヱホバのまへにあたりておほいなるつよかぜやま岩石いはくだきしがかぜうちにはヱホバいまさざりきかぜのちしんありしがしんうちにはヱホバいまさざりき 12 又󠄂またしんのちありしがうちにはヱホバいまさざりきのちしづかなる細微ほそこゑありき 13 エリヤきゝかほ外套うはぎつゝいで洞穴󠄄ほらあなくちちけるにこゑありてかれのぞみエリヤよなんぢこゝにてなにをなすやといふ 14 かれいふわれ萬軍ばんぐんかみヱホバのためはなは熱心ねつしんなりはイスラエルの子孫ひと〴〵なんぢ契󠄅約けいやくなんぢだんこぼ刀劍かたななんぢ預言者よげんしやころしたればなりたゞわれ一人ひとりのこれるに彼等かれら生命いのちとらんことをもとむと
〘509㌻〙
15 ヱホバかれにいひたまひけるはゆきなんぢ途󠄃みち返󠄄かへりダマスコの曠野あらのいたゆきてハザエルにあぶらそゝぎてスリアのわうとなせ 16 又󠄂またなんぢニムシのエヒウにあぶらそゝぎてイスラエルのわうとなすべし又󠄂またアベルメホラのシヤパテのエリシヤにあぶらをそそぎなんぢかはりて預言者よげんしやとならしむべし 17 ハザエルの刀劍かたな逃󠄄のがるるものをばエヒウころさんエヒウの刀劍かたな逃󠄄のがるるものをばエリシヤころさん 18 又󠄂またわれイスラエルのうちに七せんにん遺󠄃のこさんみなそのひざをバアルにかがめずそのくちこれつけざるものなりと

 663㌻ 
19 エリヤ彼處かしこよりゆきてシヤパテのエリシヤに遭󠄃かれは十二くびきうしその前󠄃まへゆかしめておのれそのだい十二のうしともにありてたがへたりエリヤかれ所󠄃ところにわたりゆきて外套うはぎそのうへにかけたれば 20 うしすててエリヤのあとはせゆきていひけるは請󠄃われをしてわが父󠄃母ちちはは接吻くちつけせしめよしかるのちわれなんぢにしたがはんとエリヤかれにいひけるは還󠄃かへわれなんぢなにをなしたるやと 21 エリシヤかれをはなれて還󠄃かへひとくびきうしをとりてこれをころしうし器具󠄄うつはたきそのにくたみにあたへて食󠄃くらはしめ起󠄃たちきエリヤにしたがひてこれつかへたり

第20章

1 スリアのわうベネハダデその軍勢ぐんぜいこと〴〵あつわう三十二にんかれともにあり又󠄂またむま戰車いくさぐるまとありすなはのぼりてサマリアをかここれ 2 かれ使つかひをイスラエルのわうアハブに遣󠄃つかはまちいたりてかれいはしめけるはベネハダデかく 3 なんぢ金銀きんぎんわれ所󠄃有ものなりまたなんぢつまたちなんぢ子等こら美秀よきものわれ所󠄃有ものなり 4 イスラエルのわうこたへていひけるはわうわがしゆなんぢことばごとわれものみななんぢ所󠄃有ものなり 5 使者つかひふたゝきたりていひけるはベネハダデかくかたりわれなんぢなんぢわれなんぢ金銀きんぎんさいわたすべしと言遣󠄃いひおくれり 6 され明日あすいまごろしもべなんぢ遣󠄃つかはさん彼等かれらなんぢいへなんぢ臣僕けらいいへ探索さぐりてすべなんぢこのましくゆるものそのいれるべしと

7 こゝにおいてイスラエルのわうくに長老としよりみなめしいひけるは請󠄃爾等なんぢら此人このひと害󠄅がいをなさんともとむるをかれひとわれ遣󠄃おくりてさいとわが金銀きんぎんもとめたりしかるにわれこれ謝絕こばまざりしと 8 すべて長老としよりおよびたみみなかれいひけるはなんぢきくなかれゆるすなかれと 9 是故このゆえかれベネハダデの使者つかひいひけるはわうわがしゆつげなんぢ最初はじめしもべいひつかはしたることみなわれなすべしされこのことわれなすあたはずと使者つかひゆきかへりごとをなせり 10 ベネハダデかれいひつかはしけるはかみたちわれかくなしまたかさねかくなしたまへサマリアのちりわれしたがすべてたみ滿みつるにたらざるべしと〘510㌻〙
 664㌻ 
11 イスラエルのわうこたへておぶものものごとほこるべからずとつげよといへ 12 ベネハダデてんまくにありて王等わうたちのみゐたりしが此事このこときゝその臣僕けらいいひけるは爾等なんぢら陣列そなへせとすなはまちむかひて陣列そなへをなせり

13 とき一人ひとり預言者よげんしやイスラエルのわうアハブのもといたりていひけるはヱホバかくいひたまふなんぢこのすべて大軍たいぐんるやわれ今日けふこれなんぢわたさんなんぢがヱホバなるをしるにいたらんと 14 アハブいひけるはたれてせんかかれいひけるはヱホバかくいひたまふ諸省くにぐに牧伯つかさ少者わかものてすべしアハブたれ戰爭たたかひはじむべきかれこたへけるはなんぢなりと 15 アハブすなは諸省くにぐに牧伯つかさ少者わかものしらぶるに二ひやく三十二にんありつぎすべてたみすなはちイスラエルのすべて子孫ひと〴〵しらぶるに七せんにんあり

16 彼等かれら日中ひるごろいでたちたりしがベネハダデはてんまくにて王等わうたちすなはおのれたすくる三十二にん王等わうたちとともにのみゑひたり 17 諸省くにぐに牧伯つかさ少者わかものさきいでたりベネハダデびといだすにサマリアより人衆ひと〴〵いできたるとかれつげければ 18 かれいひけるは和睦わぼくのためにいできたるもこれ生擒いけどるべし又󠄂また戰爭たたかひのためにいできたるもこれ生擒いけどるべしと 19 諸省くにぐに牧伯つかさ是等これら少者わかものおよびこれしたが軍勢ぐんぜいまちよりいできたり 20 おの〳〵その敵手あひてころしければスリアびと逃󠄄にげたりイスラエルこれ追󠄃ふスリアのわうベネハダデはむま騎兵きへいしたがへて逃󠄄遁のがれたり 21 イスラエルのわういでむま戰車いくさぐるま又󠄂またおほいにスリアびとうちころせり

22 こゝかの預言者よげんしやイスラエルのわうもといたりかれいひけるはゆきなんぢちから養󠄄やしななんぢすべきことわきまふべしとしかへらばスリアのわうなんぢせめのぼるべければなりと 23 スリアのわう臣僕しもべわういひけるは彼等かれらかみたち山崗やまかみなるがゆゑ彼等かれら我等われらよりもつよかりしなりされども我等われらもし平󠄃地へいちおい彼等かれらたゝかはばかなら彼等かれらよりもつよかるべし 24 たゞ此事このことすなは王等わうたちのぞきておの〳〵そのところはなれしめ方伯つかさおきこれかふべし 25 又󠄂またなんぢうしなひたる軍勢ぐんぜいひとし軍勢ぐんぜいなんぢのためにそなむまむま戰車いくさぐるま戰車いくさぐるまをもておぎなふべしかくして我儕われら平󠄃地へいちにおいて彼等かれらたゝかはばかなら彼等かれらよりもつよかるべしとかれそのことばきゝいれてしかなせり

 665㌻ 
26 としかへるにおよびてベネハダデ、スリアびとあつめてアペクにのぼりイスラエルとたゝかはんとす 27 イスラエルの子孫ひと〴〵あつめられひやうらううけ彼等かれらいであはんとてけりイスラエルの子孫ひと〴〵山羊やぎふたつむれごと彼等かれら前󠄃まへぢんどりしがスリアびとその充滿みちたり 28 ときかみひといたりてイスラエルのわうつげていひけるはヱホバかくいひたまふスリアびとヱホバは山獄やまかみにして谿谷たにかみにあらずとふによりてわれこのすべて大軍たいぐんなんぢわたすべし爾等なんぢらがヱホバなるをしるいたらんと〘511㌻〙 29 彼等かれら七日なぬかたがひ相對あひむかひぢんどり第七日なぬかめにおよびて戰爭いくさ交接まじへしがイスラエルの子孫ひと〴〵いちにちにスリアびとへい萬人まんにんころしければ 30 そのほかものはアベクに逃󠄄にぐまちいりしかるにその石垣いしがき崩󠄃くづれてそののこれる二まんせんにんうへにたふれたりベネハダデは逃󠄄にげまちにいたりおくいり

31 その臣僕しもべかれにいひけるは我儕われらイスラエルのいへ王等わうたち仁慈あはれみあるわうなりときけ請󠄃我儕われら粗麻󠄃布あさぬのこしにつけなはくびにつけてイスラエルのわう所󠄃ところにいたらんかれなんぢいのちいかしむることあらんと 32 かく彼等かれら粗麻󠄃布あさぬのこしにまきなはくびにまきてイスラエルのわう所󠄃ところにいたりていひけるはなんぢしもべベネハダデ請󠄃生命いのちいかしめたまへとふとアハブいひけるはかれなほいきをるやかれはわが兄弟きやうだいなりと 33 その人々ひと〴〵これを吉兆しるし速󠄃すみやかかれことばうけなんぢ兄弟きやうだいベネハダデといへりかれいひけるは爾等なんぢらゆきてかれ導󠄃みちびききたるべしとこゝにおいてベネハダデかれ所󠄃ところいできたりしかばかれこれくるまのぼらしめたり 34 ベネハダデかれいひけるはわが父󠄃ちゝなんぢ父󠄃ちゝよりとりたる諸邑まち〳〵われ返󠄄かへすべし又󠄂また父󠄃ちゝのサマリアに造󠄃つくりたるごとなんぢダマスコにおいなんぢのために街衢まちつくるべしアハブわれこの契󠄅約けいやくなんぢかへさんとかくかれ契󠄅約けいやくなしかれかへせり
 666㌻ 
35 こゝ預言者よげんしやともがら一人ひとりヱホバのことばによりてその同儕とも請󠄃こふわれてといひけるが其人そのひとかれつことをがへんぜざりしかば 36 かれ其人そのひとなんぢヱホバのことばきかざりしによりてなんぢわれをはなれてとき獅子しゝなんぢをころさんと其人そのひとかれそばはなれてきけるに獅子しゝこれ遇󠄃あひこれころせり 37 かれまたほかひと遭󠄃あひ請󠄃われうてといひければ其人そのひとこれうちきずつけたり 38 預言よげんしやゆきわう途󠄃みちその掩巾おひをあてて儀容すがたかへゐたりしが 39 わう經過󠄃すぐときわうよばはりていひけるはしもべ戰爭いくさなかいでしにひとかへりりて一箇ひとりひとわれ所󠄃ところひききたりていひけるは此人このひとまももしかれうせゆくことあらばなんぢ生命いのちかれ生命いのちかふべしあるひなんぢぎん一タラントをいだすべしと 40 しかるにしもべ此彼ここかしこことをなしゐたればかれ遂󠄅つひうせたりとイスラエルのわうかれにいひけるはなんぢ擬定さばきしかなるべしなんぢこれさだめたり 41 かれ急󠄃いそぎてその掩巾おひとりのけたればイスラエルのわうかれ預言者よげんしや一人ひとりなるをしれ 42 かれわういひけるはヱホバかくいひたまふなんぢはわが殲滅ほろぼさんとさだめたるひとなんぢよりはなちたればなんぢいのちかれ生命いのちかはなんぢたみかれたみかはるべしと〘512㌻〙 43 イスラエルのわううれかついかりそのいへおもむきサマリアにいたれり

第21章

1 是等これらことのちヱズレルびとナボテ、ヱズレルに葡萄園ぶだうばたけちゐたりしがサマリアのわうアハブの殿みやそばりければ 2 アハブ、ナボテにかたりいひけるはなんぢ葡萄園ぶだうばたけ近󠄃ちかくわがいへそばにあればわれあたへて蔬采あをものはたけとなさしめよわれこれがためにそのよりも葡萄園ぶだうばたけなんぢあたへんなんぢこゝろにかなはばそのあたひぎんにてなんぢあたへんと 3 ナボテ、アハブにいひけるはわが父󠄃祖せんぞ產業さんげふなんぢあたふることきはめなすべからずヱホバきんじたまふと 4 アハブはヱズレルびとナボテのおのれいひことばのためにうれかついかりてそのいへいりかれわが父󠄃祖せんぞ產業さんげふなんぢあたへじといひたればなりアハブとこそのかほそむけて食󠄃しよくをなさざりき

 667㌻ 
5 そのつまイゼベルかれところにいりてかれいひけるはなんぢこゝろなにうれへてなんぢ食󠄃しよくなさざるや 6 かれこれいひけるはわれヱズレルびとナボテにかたりてなんぢ葡萄園ぶだうばたけぎんかへわれあたへよもしまたなんぢこのまわれそれかへ葡萄園ぶだうばたけなんぢあたへんとかれいひたるにかれこたへて葡萄園ぶだうばたけなんぢあたへじといひたればなりと 7 そのつまイゼベルかれいひけるはなんぢいまイスラエルのくにをさむることをすやおき食󠄃しよくなんぢこゝろたのしましめよわれヱズレルびとナボテの葡萄園ぶだうばたけなんぢあたへんと 8 かれアハブのをもてふみかれいんそのまちにナボテとともに住󠄃すめ長老としよりたふとひとそのふみをおくれり 9 かれそのふみにしるして斷食󠄃だんじき宣傳ふれてナボテをたみうちたかせしめよ 10 又󠄂またよこしまなるひと二人ふたりかれのまへにせしめかれむかひてあかししてなんぢかみわうのろひたりといはしめよかくしてかれひきいだいしにてうちしなしめよと

11 そのまちひとすなはそのまち住󠄃すめ長老としよりおよびたふと人等ひとらイゼベルがおのれいひつかはしたるごとすなはかれおのれ遣󠄃おくりたるふみしるしたるごとなせ 12 彼等かれら斷食󠄃だんじき宣達󠄃ふれてナボテをたみうちたかせしめたり 13 とき二人ふたりよこしまなるひといりきたりてその前󠄃まへそのよこしまなるひとたみのまへにてナボテにむかひあかしをなしてふナボテかみわうのろひたりと人衆ひと〴〵かれまちそとひきいだいしにてこれうちしなしめたり 14 かくてイゼベルにナボテうたれてしにたりと言遣󠄃いひおくれり 15 イゼベル、ナボタのうたれてしにたるをきゝしかばイゼベル、アハブにいひけるは起󠄃たちかのヱズレルびとナボテがぎんかへなんぢあたへることをこばみし葡萄園ぶだうばたけとるべしはナボテはいきをらずしにたればなりと〘513㌻〙 16 アハブ、ナボテのしにたるをきゝしかばアハブ起󠄃ちヱズレルびとナボテの葡萄園ぶだうばたけとらんとてこれくだれり

17 ときにヱホバのことばテシベびとエリヤにのぞみて 18 起󠄃たちくだりサマリアにあるイスラエルのわうアハブにふべしかれはナボテの葡萄園ぶだうばたけとらんとて彼處かしこくだりをるなり 19 なんぢかれつげいふべしヱホバかくなんぢころまたとりたるやと又󠄂またなんぢかれつげふべしヱホバかくいぬナボテのなめところにていぬなんぢなむべしと
 668㌻ 
20 アハブ、エリヤにいひけるはわがてきなんぢわれ遇󠄃あふかれわれ遇󠄃なんぢヱホバの前󠄃まへあくことゆだねしに 21 われ災害󠄅わざはひなんぢくだなんぢ後裔あとのぞきアハブにぞくするをとこはイスラエルにありてつながれたるものつながれざるものこと〴〵たゝ 22 又󠄂またなんぢいへをネバテのヤラベアムのいへごとくなしアヒヤのバアシヤのいへのごとくなすべしなんぢわれいかり惹起󠄃ひきおこしイスラエルをしてつみをかさせたるによりてなり 23 イゼベルについてヱホバまたかたりいひたまいぬヱズレルのほりにてイゼベルを食󠄃くらはん 24 アハブにぞくするものまちしぬるをばいぬこれ食󠄃くらしぬるをば天空󠄃そらとりこれ食󠄃くらはんと 25 まことにアハブのごとくヱホバの前󠄃まへあくをなすことをゆだねしものはあらざりきそのつまイゼベルこれ慫憊すすめたるなり 26 かれはヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵のまへより逐󠄃おひ退󠄃しりぞけたまひしアモリびとすべてなせしごと偶像ぐうざうしたがひてはなはにくむべきことなせ

27 アハブこれことばきゝけるときそのころも粗麻󠄃布あさぬのにまとひ食󠄃しよく粗麻󠄃布あさぬの遲々しづか步行あゆめ 28 こゝにヱホバのことばテシベびとエリヤにのぞみて 29 なんぢアハブのわが前󠄃まへへりくだるをるやかれわがまへにへりくだるによりわれ災害󠄅わざはひかれくださずしてその災害󠄅わざはひかれいへくだすべし

第22章

1 スリアとイスラエルのあひだ戰爭いくさなくして三ねんたり 2 第三年さんねんめにユダのわうヨシヤパテ、イスラエルのわう所󠄃ところくだれり 3 イスラエルのわうその臣僕けらいいひけるはギレアデのラモテは我儕われら所󠄃有ものなるをなんぢしるしかるに我儕われらはスリアのわうよりこれることをせずしてもくしをるなり 4 かれヨシヤパテにいひけるはなんぢわれともにギレアデのラモテにたゝかひにゆくやヨシヤパテ、イスラエルのわうにいひけるはわれなんぢのごとくわがたみなんぢたみごとくわがむまなんぢむまごとしと
〘514㌻〙
 669㌻ 
5 ヨシヤパテ、イスラエルのわういひけるは請󠄃今日けふヱホバのことば 6 こゝにおいてイスラエルのわう預言よげんしやひやくにんばかりあつめてこれいひけるはわれギレアデのラモテにたゝかひにゆくべきや又󠄂またやむべきや彼等かれらいひけるはのぼるべししゆこれわうわたしたまふべしと 7 ヨシヤパテいひけるはほか我儕われらよりとふべきヱホバの預言者よげんしやこゝにあらざるや 8 イスラエルのわうヨシヤパテにいひけるはほかにイムラのミカヤ一人ひとりありこれよりてヱホバにふことをされかれわれつい善事よきこと預言よげんせずたゞ惡事あしきことのみを預言よげんすればわれかれにくむなりとヨシヤパテいひけるはわうしかいひたまふなかれと 9 これによりてイスラエルのわう一箇ひとり官吏くわんりよびてイムラのミカヤを急󠄃いそきたらしめよといへ 10 イスラエルのわうおよびユダのわうヨシヤパテ朝󠄃わうのころもてサマリアのもんいりくちひろおの〳〵そのくらゐしゐたり預言者よげんしやみなその前󠄃まへ預言よげんせり 11 ケナアナのゼデキヤてつつの造󠄃つくりていひけるはヱホバかくいひたまなんぢ是等これらてスリアびと抵觸つきこれつくすべしと 12 預言者よげんしやみなかく預言よげんしてふギレアデのラモテにのぼりて勝󠄃利かちたまへヱホバこれわうわたしたまふべしと

13 こゝにミカヤをめさんとてゆきたる使者つかひこれかたりていひけるは預言者よげんしやたちことばひとつくちごとくにしてわう請󠄃なんぢことば彼等かれら一人ひとりことばごとくならしめて善事よきことへと 14 ミカヤいひけるはヱホバはくヱホバのわれいひたまふことわれこれいはんと 15 かくてかれわういたるにわうかれいひけるはミカヤよ我儕われらギレアデのラモテにたゝかひにくべきや又󠄂またやむべきやかれわういひけるはのぼりて勝󠄃利かちたまへヱホバこれわうわたしたまふべしと 16 わうかれいひけるはわれ幾度いくたびなんぢちかはせたらばなんぢヱホバのたゞ眞實まことのみをわれつぐるや 17 かれいひけるはわれイスラエルのみな牧者かふものなきひつじのごとくやまちりをるをたるにヱホバ是等これらものしゆなしおの〳〵安然やすらかそのいへかへるべしといひたまへりと 18 イスラエルのわうヨシヤパテにいひけるはわれなんぢかれわれについてこと預言よげんせずたゞあしことのみを預言よげんすとつげたるにあらずやと
 670㌻ 
19 ミカヤいひけるはされなんぢヱホバのことばきくべしわれヱホバのそのくらゐしゐたまひててん萬軍ばんぐんそのかたはら右左みぎひだりつをたるに 20 ヱホバいひたまひけるはたれかアハブをいざなひてかれをしてギレアデのラモテにのぼりてたふれしめんかとすなはひとりごとくせんとひとりごとくせんといへり 21 遂󠄅つひひとつれい進󠄃すゝいでてヱホバの前󠄃まへわれかれいざなはんといひければ 22 ヱホバかれなにてするかといひたまふにわれいで虛言いつはりれいとなりてそのすべて預言者よげんしやくちにあらんといへりヱホバいひたまひけるはなんぢいざなまたこれ遂󠄅とげいでしかなすべしと〘515㌻〙 23 ゆゑよヱホバ虛言いつはりれいなんぢこのすべて預言者よげんしやくちいれたまへり又󠄂またヱホバなんぢつい災禍わざはひあらんことをいひたまへりと

24 ケナアナのゼデキヤ近󠄃ちかよりてミカヤのほううちいひけるはヱホバのみたま何途󠄃いづくよりわれはなれゆきてなんぢものいふや 25 ミカヤいひけるはなんぢおくいりかくるにいたらん 26 イスラエルのわういひけるはミカヤをとりこれまちつかさアモンとわうヨアシにひきかへりてふべし 27 わうかくこれひとやれて苦惱なやみのパンと苦惱なやみみづこれ養󠄄やしな平󠄃安やすらかきたるをてと 28 ミカヤいひけるはなんぢもしまこと平󠄃安やすらかかへるならばヱホバわれによりていひたまはざりしならん又󠄂またいひけるは爾等なんぢらたみみなきくべし

29 かくてイスラエルのわうとユダのわうヨシヤパテ、ギレアデのラモテにのぼれり 30 イスラエルのわうヨシヤパテにいひけるはわれすがたかへ戰陣たたかひなからんされなんぢわうのころもるべしとイスラエルのわうすがたかへ戰陣たたかひなかにいりぬ 31 スリアのわうその戰車いくさぐるまかしら三十二にんめいじていひけるは爾等なんぢらちひさきものともおほいなるものともたゝかふなかれたゞイスラエルのわうとのみたゝかへと 32 いくさぐるまかしらたちヨシヤパテをこれかならずイスラエルのわうならんとをめぐらしてこれたゝかはんとしければヨシヤパテ號呼よばはれり 33 戰車いくさぐるまかしらかれがイスラエルのわうにあらざるをしかばこれ追󠄃ふことをやめて返󠄄かへれり
 671㌻ 
34 こゝ一個ひとりひと偶然なにごころなくゆみひきてイスラエルのわうむねあてくさずりあひだたりければかれそのぎよしやいひけるはわれきずうけたればなんぢめぐらしてわれ軍中ぐんちうよりいだすべしと 35 この戰爭いくさきびしくなりぬわうくるまうち扶持たすけられてちスリアびとむかひをりしが晩景ゆふべにいたりてしにたりきづくるまうちなが 36 ころ軍中ぐんちうよばはりてふありおの〳〵そのまちおの〳〵そのさとかへるべしと

37 わうしにたづさへられてサマリアにいたりたれば衆人ひと〴〵わうをサマリアにはうむれり 38 又󠄂またそのくるまをサマリアのいけ濯󠄄あらひけるにいぬそのなめたり又󠄂また遊󠄃女あそびめ其所󠄃そこをあらへりヱホバのいひたまへることばごと 39 アハブのそのほか行爲わざすべそのなしたることそのたてたる象牙ざうげいへそのたてたるすべてまちはイスラエルのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや 40 アハブその父󠄃祖せんぞともねむりてそのアハジアこれにかはりてわうとなれり
〘516㌻〙
41 アサのヨシヤパテ、イスラエルのわうアハブのだいねんにユダのわうとなれり 42 ヨシヤパテわうとなりしとき三十五さいなりしがエルサレムにおいて二十五ねんわうたりきそのはゝはアズバといひてシルヒのむすめなり 43 ヨシヤパテその父󠄃ちゝアサのすべて道󠄃みち步行あゆうつりこれはなれずヱホバの適󠄄かなことをなせりたゞ崇邱たかきところのぞかざりきたみなほ崇邱たかきところ犧牲いけにへさゝかうたけ 44 ヨシヤパテ、イスラエルのわう和好よしみむすべり

45 ヨシヤパテのそのほか行爲わざそのなせる功績いさをおよび如何いか戰爭いくさをなせしかはユダのわう歷代れきだいしよ記載しるさるるにあらずや 46 かれその父󠄃ちゝアサのほありしなんしよくおこなもの殘餘のこりくにうちより逐󠄃おひはらへり 47 當時そのころエドムにはわうなくしてだいくわんわうたりき 48 ヨシヤパテ、タルシシのふね造󠄃つくりてきんとるためにオフルにゆかしめんとしたりしがそのふねエジオンゲベルにやぶれたれば遂󠄅つひゆくいたらざりき 49 こゝにおいてアハブのアハジア、ヨシヤパテにいひけるはわがしもべをしてなんぢしもべともふねにてゆかしめよとされどヨシヤパテきかざりき
 672㌻ 
50 ヨシヤパテその父󠄃祖せんぞとともにねむりてその父󠄃ちゝダビデの城邑まちその父󠄃祖せんぞともはうむらるそのヨラムこれかはりわうとなれり

51 アハブのアハジア、ユダのわうヨシヤパテのだい十七ねんにサマリアにてイスラエルのわうとなり二ねんイスラエルををさめたり 52 かれはヱホバののまへにあくをなしその父󠄃ちゝ道󠄃みちそのはゝ道󠄃みちおよびのイスラエルにつみをかさせたるネバテのヤラベアムの道󠄃みち步行あゆ 53 バアルにつかへてこれをがみイスラエルのかみヱホバのいかりおこせりその父󠄃ちゝすべおこなへるがごとし〘517㌻〙
 673㌻