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〘443㌻〙

第1章

1 ヨシユアのにたるのちイスラエルの子孫しそんヱホバにひていひけるはわれらのうちいづれさきのぼりてカナンびとたゝかふべきや 2 ヱホバいひたまひけるはユダのぼるべしわれこれくにわたすと 3 ユダその兄弟きやうだいシメオンにいひけるはわれともにわが領地りやうちにのぼりてカナンびとたゝかへわれもまたともなんぢ領地りやうちゆくべしとここにおいてシメオンかれとともにゆけり 4 ユダすなはちのぼりゆきけるにヱホバそのにカナンびととペリジびととをわたしたまひたればベゼクにてかれら一萬人まんにんころ 5 またベゼクにおいてアドニベゼクにゆきひこれとたゝかひてカナンびととペリジびところせり 6 しかるにアドニベゼク逃󠄄のがりしかばそのあとを追󠄃ひてこれをとらへそのあし巨󠄃擘おほゆびりはなちたれば 7 アドニベゼクいひけるは七十にんわうたちかつてそのあし巨󠄃擘おほゆびられて食󠄃几だいのしたにくづひろへりかみわがかつおこなひしところをもてわれにむくいたまへるなりとひと〴〵これひきてエルサレムにいたりしが其處そこにしねり

8 ユダの子孫しそんエルサレムをめてこれを刃󠄃やいばをもてこれをまちをかけたり 9 かくてのちユダの子孫しそんやま南方みなみかたおよび平󠄃地へいち住󠄃めるカナンびとたゝかはんとてくだりしが 10 ユダまづヘブロンに住󠄃すめるカナンびとめてセシヤイ、アヒマンおよびタルマイをころせり〔ヘブロンのもとはキリアテアルバなり〕

11 またそこより進󠄃すゝみてデビルに住󠄃すめるものをむ〔デビルのもとはキリアテセペルなり〕 12 ときにカレブいひけるはキリアテセペルをうちてこれをるものにはわがむすめアクサをあたへてつまとなさんと 13 カレブの舍弟おとうとケナズのオテニエルこれをとりければすなはちそのむすめアクサをこれがつまにあたふ 14 アクサくときおのれの父󠄃ちゝ田圃はたけもとめんことををつとにすすめたりしがつひにアクサ驢馬ろばよりくだりければカレブこれは何事なにごとぞやといふに
 443㌻ 
15 こたへけるはわれに惠賜めぐみをあたへよなんぢみなみをわれにあたへたればねがはくは源泉いづみをもわれにあたへよとここにおいてカレブかみ源泉いづみしも源泉いづみとをこれにあたふ

16 モーセの外舅しうとケニの子孫しそんユダの子孫しそんとも棕櫚しゆろまちよりアラドのみなみなるユダのにのぼりきたりてたみのうちに住󠄃居すまゐせり 17 こゝにユダその兄弟きやうだいシメオンとともにきてゼバテに住󠄃すめるカナンびとちてこと〴〵くこれをほろぼせりこれをもてそのまちをホルマと〘338㌻〙 18 ユダまたガザとさかひアシケロンとそのさかひおよびエクロンとそのさかひとれ 19 ヱホバ、ユダとともにいましたればかれつひに山地やまちれたりしがたに住󠄃すめたみてつ戰車いくさぐるまをもちたるがゆゑにこれを逐󠄃出おひいだすことあたはざりき 20 ひと〴〵モーセのかつていひしごとくヘブロンをカレブにあたふカレブそのところよりアナクの三にんをおひいだせり 21 ベニヤミンの子孫しそんはエルサレムに住󠄃すめるエブスびと追󠄃おひいださざりしりかばエブスびと今日こんにちいたるまでベニヤミンの子孫しそんとともにエルサレムに住󠄃すま

22 こゝにヨセフのやからまたベテルをさしてのぼるヱホバこれとともいましき 23 ヨセフのやからすなはちベテルを窺察うかがはしむ〔このまちもとはルズなり〕 24 その間者かんじやまちよりひと出來いできたるをてこれにいひけるは請󠄃ふわれらにまちいりくちしめせさらばなんぢ恩慈あはれみほどこさんと 25 かれまちいりくちしめしたればすなはち刃󠄃やいばをもてまちてりされかれひとその家族やからをばみなはな遣󠄃りぬ 26 そのひとヘテびとにゆきまちたててルズとなづけたり今日こんにちにいたるまでこれをそのとなす

27 マナセはベテシヤンとその村里むらざとたみタアナクとその村里むらざとたみドルとその村里むらざとたみイプレアムとその村里むらざとたみメギドンとその村里むらざとたみ逐󠄃いださざりきカナンびとはなほその住󠄃すま 28 イスラエルはそのつよくなりしときカナンびとをしてみつぎ納󠄃れしめたりしがこれ全󠄃まつた追󠄃ひいだすことはなさざりき

 444㌻ 
29 エフライムはゲゼルに住󠄃すめるカナンびと逐󠄃ひいださざりきカナンびとはゲゼルにおいてかれらのうちに住󠄃たり

30 ゼブルンはまたキテロンのたみおよびナハラルのたみ逐󠄃ひいださざりきカナンびとかれらのうちに住󠄃みてみつぎををさむるものとなりぬ

31 アセルはアツコのたみおよびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブのたみ逐󠄃いださざりき 32 アセルびとそのたみなるカナンびとのうちに住󠄃たりそはこれを逐󠄃いださざりしゆゑなり

33 ナフタリはベテシメシのたみおよびベテアナテのたみ逐󠄃いださずそのたみなるカナンびとのうちに住󠄃たりベテシメシとベテアナテのたみはつひにかれらにみつぎ納󠄃をさむるものとなりぬ

34 アモリびとダンの子孫しそんやまにおひこみたにくだることをさせざりき 35 アモリびとはなほヘレスやまアヤロン、シヤラビムに住󠄃すまりしがヨセフのいへ手力てちから勝󠄃まさりたれば終󠄃つひみつぎ納󠄃をさむるものとなりぬ〘339㌻〙 36 アモリびとさかひはアクラビムのさかよりセラをうへいたれり

第2章

1 ヱホバの使者つかひギルガルよりボキムにのぼりていひけるはわれ汝等なんぢらをエジプトよりのぼらしめわがなんぢらの先祖ぜんぞちかひたるたづさきたれりまたわれいひけらくわれなんぢらとむすべる契󠄅約けいやくたえてやぶることあらじ 2 なんぢらはこのくにたみ契󠄅約けいやくむすぶべからずかれらの祭壇さいだんこぼつべしとしかるになんぢらはわがこゑしたがはざりきなんぢ如何いかなればかゝることをなせしや 3 われまたいひけらくわれなんぢらの前󠄃まへよりかれらを追󠄃ふべからずかれらかへり汝等なんぢらわき荊棘いばらとならんまたかれらの神々かみ〴〵汝等なんぢらわなとなるべし
 445㌻ 
4 ヱホバの使つかひこれらのことばをイスラエルのすべての子孫ひと〴〵つげしかばたみこゑをあげてなき 5 ゆゑ其所󠄃そのところをボキム(哭者なくもの)とぶかれら彼所󠄃かしこにてヱホバに祭物そなへものさゝげたり

6 ヨシユアたみさらしめたればイスラエルの子孫ひと〴〵おのおのその領地りやうちにおもむきてたり 7 ヨシユアのにありしあひだまたヨシユアよりあときのこりたる長老としよりたちにありしあひだたみはヱホバにつかへたりこの長老としよりたちはヱホバのかつてイスラエルのためにしたまひしもろ〳〵おほいなる行爲わざしものなり 8 ヱホバのしもべヌンのヨシユア百十じつさいにてしね 9 衆人ひと〴〵エフライムのやまのテムナテヘレスにあるかれらの產業さんげふにおいてガアシやまきたにこれをはうむれり 10 かくてまたその時代じだいのものことごとくその先祖せんぞのもとにあつめられそののちいたりてほか時代じだいおこりしがこれはヱホバをしらずまたそのイスラエルのためにしたまひし行爲わざをもしらざりき

11 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバのまへにあしきことをしてバアリムにつかへ 12 かつてエジプトのよりかれらをいだしたまひしその先祖せんぞかみヱホバをててほかかみすなはちその四周󠄃めぐりなる國民くにたみかみにしたがひこれひざまづきてヱホバのいかり惹起󠄃ひきおこせり 13 すなはちかれらヱホバをすててバアルとアシタロテにつかへたれば 14 ヱホバはげしくイスラエルをいかりたまひかすむるもののにわたしてこれかすめしめかつ四周󠄃めぐりなるもろもろのてきにこれをうりたまひしかばかれらふたゝびそのてき前󠄃まへつことをざりき 15 かれらいづこにくもヱホバのこれにわざはひをなしぬはヱホバのいひたまひしごとくヱホバのこれにちかひたまひしごとしここにおいてかれらなやむことはなはだしかりしが
〘340㌻〙
16 ヱホバ士師さばきつかさてたまひたればかれらこれをかすむるもののよりすくひいだしたり
 446㌻ 
17 しかるにかれらその士師さばきつかさにもしたがはずかへりてほかかみしたひこれいんをおこなひこれひざまづ先祖せんぞがヱホバの命令めいれいしたがひてあゆみたることろの道󠄃みちとみはなりてそのごとくにはおこなはざりき 18 かれらのためにヱホバ士師さばきつかさてたまひしときあたりてはヱホバつねにその士師さばきつかさとともにいましその士師さばきつかさあひだはヱホバかれらをてきよりすくひいだしたまへりはかれらおのれを虐󠄃しへたげくるしむるものありしをうめきかなしめるによりてヱホバこれあはれみたまひたればなり 19 されどその士師さばきつかさしにしのちまたそむきて先祖せんぞよりもはなはだしく邪曲よこしまおこなほかかみにしたがひてこれにつかこれひざまづきておのれの行爲わざめずその頑固かたくななるみちはなれざりき 20 こゝをもてヱホバはげしくイスラエルをいかりていひたまはくこれたみはわがかつてその列祖せんぞめいじたる契󠄅約けいやくをかわがこゑしたがはざるがゆゑに 21 われもまたいまよりはヨシユアがそのしにしときにのこしおけるいづれの國民くにたみをもかれらのまへより逐󠄃ひはらはざるべし 22 われイスラエルがその先祖せんぞまもりしごとくヱホバの道󠄃みちまもりてこれにあゆむやいなやをこゝろみんがためなりと 23 ヱホバはこれらの國民くにたみ逐󠄃おひはらふことを速󠄃すみやかにせずしてこれ遺󠄃のこしおきてヨシユアのわたしたまはざりしなり

第3章

1 ヱホバがすべてカナンのもろ〳〵戰爭たたかひしらざるイスラエルのものどもをこころみんとて遺󠄃のこしおきたまへる國民くにたみのごとし 2 〔こはただイスラエルの代々よゝ子孫しそんことにいまだ戰爭たたかひしらざるものにこれををしへらしめんがためなり〕 3 すなはちペリシテびとの五にんきみすべてのカナンびとシドンびとおよびレバノンやま住󠄃みてバアルヘルモンのやまよりハマテにるところまでをめたるヒビびとこれなり 4 これらをもてイスラエルをこころみかれらがヱホバのモーセによりてその先祖せんぞめいじたまひし命令めいれい遵󠄅したがふやいなや可知しるべかりしなり 5 イスラエルの子孫ひと〴〵はカナンびとヘテびとアモリびと 6 ペリジびとヒビびとエブスびとのうちに住󠄃みかれらのむすめつまめとりまたおのれのむすめをかれらのあたへかつかれらのかみつかへたり

 447㌻ 
7 くイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバのまへにあくをおこなひおのれのかみなるヱホバをわすれてバアリムおよびアシラにつかへたり 8 こゝにおいてヱホバはげしくイスラエルをいかりてこれをメソポタミヤのわうクシヤンリシヤタイムのわたしたまひしかばイスラエルの子孫ひと〴〵はおよそ八ねんのあひだクシヤンリシヤタイムにつかへたり〘341㌻〙 9 こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはりしかばヱホバはイスラエルの子孫ひと〴〵ためにひとりの救者すくひて起󠄃おこしてこれすくはしめたまふすなはちカレブの舍弟をとうとケナズのオテニエルこれなり 10 ヱホバのみたまオテニエルにのぞみたればかれイスラエルををさたゝかひにづヱホバ、メソポタミヤのわうクシヤンリシヤタイムをそのわたしたまひたればオテニエルのクシヤンリシヤタイムに勝󠄃かつことをたり 11 かくてくには四十ねんのあひだ太平󠄃たいへいなりきケナズのオテニエルつひにしね

12 イスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバののまへにあくをおこなふヱホバかれらがヱホバのまへにあくをおこなふによりてモアブのわうエグロンをつよくなしてイスラエルにてきせしめたまへり 13 エグロンすなはちアンモンおよびアマレクの子孫ひと〴〵まねあつきてイスラエルを椶櫚しゆろまちとれ 14 ここにおいてイスラエルの子孫ひと〴〵は十八ねんのあひだモアブのわうエグロンにつかへたりしが

15 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはりけるときヱホバかれらのため一個ひとり救者すくひて起󠄃おこしたまふすなはちベニヤミンびとゲラのなる左手利捷ひだりぎきのエホデこれなりイスラエルの子孫ひと〴〵かれをてモアブのわうエグロンに餽物おくりものせり 16 エホデながさ一キユビトなる兩刃󠄃もろはつるぎつくらせこれをころものしたにみぎもゝのあたりにおび 17 餽物おくりものもたらしてモアブのわうエグロンのもとにいたるエグロンははなはこえたるひとなりき
 448㌻ 
18 さて餽物おくりものさゝぐることをはりしかばかれ餽物おくりもの負󠄅になきたりしものをかへしらしめ 19 みづからはギルガルのほとりなる石像せきざう所󠄃ところよりひきかへしていひけるはわうわれなんぢぐべき密事みつじありとわう人拂ひとばらひめいじたればそのかたはらつものみなりぬ 20 エホデすなはちわうのところにいりきたれりときわうはひとりうへなる凉殿すずみどのたりしがエホデわれかみめいりてなんぢつたふべきことありといひければわうすなはちより起󠄃たつ 21 エホデひだりいだみぎもゝよりつるぎりてそのはらせり 22 つかもまた刃󠄃やいばとともにりたりしが脂肉あぶら刃󠄃やいばふさぎてこれはらよりいだすことあたはずその鋒鋩きつさきうしろに 23 エホデすなはちらうをとほりてそのうしろたかどのとぢてこれをとざせり

24 そのでしのちわうしもべきたりてたかどのとざしたるをいひけるはわうはかならず凉殿すずみどのあしおほるならんと 25 しもべどもはづるまでに俟居まちゐたれどわうたかどのをひらかざればかぎをとりてこれひらるにそのきみたふれてしにをる
〘342㌻〙
26 エホデは彼等かれら猶豫ためら逃󠄄のがれて石像せきざうるところを過󠄃よぎりセイラテにげゆけり 27 かれすでいたりエフライムのやまらつぱきければイスラエルの子孫ひと〴〵これとともにやまよりくだるエホデこれを導󠄃みちびけり 28 かれ人衆ひと〴〵にいひけるはわれつづいきたれヱホバ汝等なんぢらてきモアブびと汝等なんぢらわたしたまふなりここにおいてかれらエホデにしたがひてくだりモアブにおもむくところのヨルダンのわたりりて一にんわたることをゆるさざりき 29 そのときかれらモアブびとおよそ一萬人まんにんころせりこれみな肥太こえふとりたる勇士ゆうしなりそのうち一人ひとりのがれたるものなし 30 モアブはそのイスラエルの服󠄃ふくせりしかしてくには八十ねんあひだ太平󠄃たいへいなりき

 449㌻ 
31 エホデののちにアナテのシヤムガルといふものありうしむちてペリシテびと六百にんころせり此人このひともまたイスラエルをすくへり

第4章

1 エホデのしにたるのちイスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバの目前󠄃めのまへあくおこなひしかば 2 ヱホバ、ハゾルにてをさむるカナンのわうヤビンのこれうりたまふヤビンの軍勢ぐんぜいかしらはシセラといふかれ異邦人ことくにびとのハロセテに住󠄃居すみを 3 てつ戰車いくさぐるま九百りやうもちて二十ねんあひだイスラエルの子孫ひと〴〵はなはだしく虐󠄃しへたげしかばイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはれり

4 當時そのころラピドテのつまなる預言者よげんしやデボラ、イスラエルの士師さばきつかさなりき 5 かれエフライムのやまのラマとベテルのあひだるデボラの棕櫚しゆろしたせりイスラエルの子孫ひと〴〵はそのもとのぼりて審判󠄄さばき 6 デボラびとをつかはしてケデシ、ナフタリよりアビノアムのバラクをまねきこれにいひけるはイスラエルのかみヱホバなんぢめいじたまふにあらずやいはくなんぢナフタリの子孫ひと〴〵とゼブルンの子孫ひと〴〵とを一萬人まんにんひきゐゆきてタボルやまにおもむけ 7 われヤビンの軍勢ぐんぜいかしらシセラおよびその戰車いくさぐるまとその群衆ぐんしうとをキシオンがはせてなんぢのもとにいたらせこれなんぢわたすべし 8 バラクこれにいひけるはなんぢもしわれとともにゆかばわれゆくべしされなんぢもしわれとともにゆかずばわれゆかざるべし 9 デボラいひけるはわれかならずなんぢとともにくべしされなんぢいまくところの途󠄃みちにては榮譽ほまれることなからんヱホバ婦󠄃人をんなにシセラをりたまふべければなりとデボラすなはち起󠄃ちてバラクとともにケデシにけり 10 バラク、ゼブルンとナフタリをケデシにまねき一萬人まんにんしたがへてのぼるデボラもまたこれとともにのぼれり

11 ここにケニびとヘベルといふものありかれはモーセの外舅しうとホバブのすゑなるがケニをはなれてケデシのほとりなるザアナイムのかしのかたはらにそのてんまくたり
〘343㌻〙
 450㌻ 
12 ひと〴〵アビノアムのバラクがタボルやまのぼれるよしをシセラにげたりければ 13 シセラそのすべての戰車いくさぐるますなはちてつ戰車いくさぐるま九百りやうおよびおのれとともにるすべてのたみ異邦人ことくにびとのハロセテよりキシオンがはまねつどへたり 14 デボラ、バラクにいひけるは起󠄃たてこれヱホバがシセラをなんぢわたしたまふなりヱホバなんぢちてでたまひしにあらずやとバラクすなはち一萬人まんにんをしたがへてタボルやまよりくだ 15 ヱホバ刃󠄃やいばをもてシセラとそのすべて戰車いくさぐるまおよびその全󠄃軍ぜんぐんをバラクの前󠄃まへ打敗うちやぶりたまひたればシセラ戰車いくさぐるまより徒步かちだちになりてのがはしれり 16 バラク戰車いくさぐるま軍勢ぐんぜいとを追󠄃うち異邦人ことくにびとのハロセテにいたれりシセラの軍勢ぐんぜいこと〴〵刃󠄃やいばにたふれてのこれるもの一人ひとりもなかりしが

17 シセラは徒步かちだちにてはしりケニびとヘベルのつまヤエルのてんまくきたれりはハゾルのわうヤビンとケニびとヘベルのいへとはたがひにむつまじかりしゆゑなり 18 ヤエル出來いできたりてシセラを迎󠄃むかこれにいひけるはきたれわがしゆきたおそるるなかれとシセラそのてんまくいりたればヤエルふすまをもてこれをおほへり 19 シセラこれにいひけるはねがはくはすこしのみづをわれにのまませよわれかわけりとヤエルすなはち乳󠄃嚢ちちぶくろひらきてこれませまたこれおほへり 20 シセラまたこれにいひけるはてんまく門邊かどべたちれもしひときたなんぢにとふてたれかここにるやといはばいなこたふべしと 21 かれつかれて熟睡うまいせしかばヘベルのつまヤエルてんまく釘子くぎつちたづさへてそのかたはらに忍󠄄しのびんのあたりに釘子くぎをうちこみて通󠄃とほしたればシセラすなはちしにたり 22 バラク、シセラを追󠄃きたりしときヤエルこれいでむかへていひけるはきたわれなんぢもとむるところのひとしめさんとかれそのところにいりみるにシセラびんのあたりに釘子くぎうたれてしにたふれをる

 451㌻ 
23 そのかみカナンのわうヤビンをイスラエルの子孫ひと〴〵のまへに打敗うちやぶりたまへり 24 かくてイスラエルの子孫ひと〴〵ますますつよくなりてカナンのわうヤビンに勝󠄃ちつひにカナンのわうヤビンをほろぼすにいたれり

第5章

1 そのデボラとアビノアムのバラクうたひていはく 2 イスラエルの首長かしらみちびきをなしたみまたこのんででたればヱホバを頌美ほめ 3 もろもろのわうけもろもろのきみみゝをかたぶけよわれはそのヱホバにうたはんわれはイスラエルのかみヱホバをたゝへん 4 ああヱホバよなんぢセイルよりでエドムのより進󠄃すゝみたまひしときふるてんまたしたたりて雲水くもみずしたたらせたり〘344㌻〙 5 もろもろのやまはヱホバのまへに撼動ゆるのシナイもイスラエルのかみヱホバのまへに撼動ゆるげり 6 アナテのシヤムガルのときまたヤエルのときには大路おほぢ通󠄃行とほものなく途󠄃みちひとこみちあゆ 7 イスラエルの村莊むら〳〵には住󠄃者すむものなく住󠄃ものあらずなりけるがつひにわれデボラ起󠄃おこれりわれ起󠄃おこりてイスラエルにはゝとなる 8 人々ひと〴〵あらたしきかみ選󠄄えらみければ戰鬪たたかひもんにおよべりイスラエルの四萬人まんにんのうちにたてあるひやりみえしことあらんや 9 こゝろたみのうちにこのんでいでたるイスラエルの有司つかさたちかたむけりなんぢらヱホバを頌美ほめ 10 しろき驢馬ろばるもの毛氈もうせんするものおよびみちあゆひとなんぢうたふべし 11 矢叫やさけびこゑ遠󠄄とほざかりみずむところにおいてヱホバのたゞしき所󠄃爲わざをとなへそのイスラエルを治理をさめたまふたゞしき所󠄃爲わざとなへよそのときヱホバのたみもんくだれり 12 おき起󠄃おきよデボラおき起󠄃おきうたうたふべし起󠄃てよバラクなんぢ俘虜とりことらへきたれアビノアムの 13 其時そのときたみ首長かしらたち殘餘者のこれるものくだりきたるヱホバ勇士ますらをうちにいましてわれにくだりたまふ 14 エフライムよりいづものありそのアマレクにありベニヤミンなんぢのあとにつきてなんぢたみうちにありマキルよりは牧伯つかさびとくだりゼブルンよりは采配さいはひるものいたる
 452㌻ 
15 イッサカルのきみたちはデボラとともにるイッサカルはバラクとおなじくあし進󠄃すゝみて平󠄃地へいちいたるルベンの河邊かはべにておほいこゝろにはかることあり 16 何故なにゆゑなんぢをりのうちにとゞまりてひつじむれふえくをくやルベンの河邊かはべにておほいこゝろかんがふることあり 17 ギレアデはヨルダンの彼方かなた何故なにゆゑにダンはふねのかたはらにとゞまりしやアセルは濱邊はまべしてそのみなと 18 ゼブルンは生命いのちすてをかせるたみなりたかきところにるナフタリまたかくごと 19 もろもろのわうきたりてたゝかへるときにカナンのもろもろのわうメギドンのみづほとりにおいてタアナクにたゝかへりかれ一片ひとひら貨幣かねをもざりき 20 てんよりこれをせむるものありもろもろのほし道󠄃みちはなれてシセラを 21 キシオンのかはこれながしぬこれいにしへのかはキシオンのかはなりわが靈魂たましひなんぢますますいさみて進󠄃すゝ 22 そのときむまひづめつよきもものはせはするにりてふみならせり 23 ヱホバの使つかひいひけるはメロズをのろふべしなんぢかさがさねそのたみのろふべきなり彼等かれらきたりてヱホバをたすけずヱホバをたすけて猛者たけきものめざればなり 24 ケニびとヘベルのつまヤエルは婦󠄃女をんなのうちのもつとむべきものなりかれてんまく婦󠄃女をんなのうちもつとむべきものなり 25 シセラみづふにヤエル乳󠄃ちゝあたすなはたふとうつは乳󠄃ちゝあぶらもりてささぐ〘345㌻〙 26 ヤエル釘子くぎをかけみぎおもつちをとりてシセラをちそのかうべくだきそのびんのあたりをうちてつらぬく 27 シセラ、ヤエルのあしあひだかがみてたふしそのあしのあはひにかがみてたふれそのかがみたる所󠄃ところにてたふうせ 28 シセラのはゝまどより望󠄇のぞ格子かうしのうちよりさけびてかれくるまのきたることなどおそきやかれむまあゆみなどてはかどらざるやと 29 そのかしこ侍女こしもとこたへをなす(はゝまた獨語ひとりごとしてかくいへり) 30 かれらものしてこれを分󠄃わかたざらんやひとごとに一人ひとり二人ふたり女子をなごんシセラのるものはいろどれころもならんそのものいろどれころもにして文繍ぬひほどこせるものならんすなはいろどりて兩面ふたおも文繍ぬひをほどこせるころもをえてそのくびにまとはんと
 453㌻ 
31 ヱホバよなんぢてきみなかくのごとくにほろびよかしまたヱホバをあいするものは眞盛まさかりのぼるがごとくなれよかし とかくてのちくには四十ねんのあひだ太平󠄃たいへいなりき

第6章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバののまへにあくおこなひたればヱホバ七ねんあひだこれをミデアンびとわたしたまふ 2 ミデアンびとイスラエルにかてりイスラエルの子孫ひと〴〵はミデアンびとゆゑをもてやまにあるいはや洞穴󠄄ほらあな要󠄃害󠄅えうがいとをおのれのために造󠄃つくれり 3 イスラエルびと蒔種たねまきしてありけるをりしもミデアンびとアマレキびとおよ東方とうはうたみのぼきたりておし 4 イスラエルびとむかひてぢん產物さんぶつあらしてガザにまでいたりイスラエルのうちに生命いのちつなぐべきもの遺󠄃のこさずひつじうし驢馬ろば遺󠄃のこさざりき 5 それこの衆人ひと〴〵家畜かちくてんまくたづさのぼ蝗蟲いなごごとくに數多かずおほきたれりそのひと駱駝らくだかぞふるに勝󠄃たへかれくにあらさんとていりきたる 6 かかりしかばイスラエルはミデアンびとのためにおほいいにおとろへイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはれり

7 イスラエルの子孫ひと〴〵ミデアンびとゆゑをもてヱホバによばはりしかば 8 ヱホバひとりの預言者よげんしやをイスラエルの子孫ひと〴〵遣󠄃おくりていはしめたまひけるはイスラエルのかみヱホバくいひたまふわれかつてなんぢらをエジプトよりのぼらせなんぢらを奴隸どれいたるのいへよりいだ 9 エジプトびとおよびすべてなんぢらを虐󠄃しへたぐるもののよりなんぢらをすくひいだしなんぢらの前󠄃まへよりかれらを追󠄃ひはらひてその邦土くになんぢらにあたへたり 10 われまたなんぢらにいへわれなんぢらのかみヱホバなりなんぢらが住󠄃すまるアモリびとくにかみおそるるなかれとしかるになんぢらはこゑしたがはざりき

11 こゝにヱホバの使者つかひきたりてアビエゼルびとヨアシの所󠄃有ものなるオフラのかしのしたにときにヨアシのギデオン、ミデアンびとうばはれざらんために酒榨さかぶねのなかにむぎたりしが〘346㌻〙 12 ヱホバの使つかひこれあらはれて剛勇ますら丈夫たけをよヱホバなんぢとともにいますといひたれば
 454㌻ 
13 ギデオンこれにいひけるはああしゆよヱホバわれらとともにいまさばなどてこれらのことわれらのうへおよびたるやわれらの先祖せんぞがヱホバはわれらをエジプトよりのぼらしめたまひしにあらずやといひてわれらにつげたりしそのもろ〳〵不思議ふしぎなる行爲わざ何處いづくにあるやいまはヱホバわれらをすててミデアンびとわたしたまへり 14 ヱホバこれ顧󠄃かへりみていひたまひけるはなんぢこのなんぢちからをもてきミデアンびとよりイスラエルをすくひいだすべしわれなんぢ遣󠄃つかはすにあらずや 15 ギデオンこれにいひけるはああしゆわれなにをもてかイスラエルをすくふべきよわがいへはマナセのうちのもつと弱󠄃よわきものわれはまた父󠄃ちゝいへもつと卑賤いやしきものなり 16 ヱホバこれにいひたまひけるはわれかならずなんぢとともにあらなんぢ一人いちにんうつがごとくにミデアンびとつことを 17 ギデオンこれにいひけるはわれもしなんぢのまへにめぐみかうむるならば請󠄃われかたものなんぢなる證據しるしせたまへ 18 ねがはくはわれふたたなんぢきたりわが祭物そなへものをたづさへてこれなんぢのまへにそなふるまでここをさりたまふなかれかれいひたまひけるはわれなんぢ還󠄃かへるまでつべし

19 ギデオンすなはちゆき山羊やぎ調ととのこな一エパをもて無酵たねいれぬパンをつくりにくかごにいれしるつぼ橡樹かしのきしたにもちいでこれそなへたれば 20 かみ使つかひこれにいひたまひけるはにく無酵たねいれぬパンをとりてこれいはのうへにこれしるそゝげとすなはちそのごとくにおこな 21 ヱホバの使つかひにもてるつゑ末端さきいだしてにく無酵たねいれぬパンにれたりしかばいはよりもええあがりにく無酵たねいれぬパンをつくせりかくてヱホバの使つかひさりてそのみえずなりぬ 22 ギデオンこゝにおいてかれがヱホバの使者つかひなりしをさとりギデオンいひけるはああかみヱホバよわれおもてあはせてヱホバの使者つかひたればはた如何いかんせん 23 ヱホバこれにいひたまひけるは心安こころやすかれおそるるなかなんぢぬることあらじ 24 ここにおいてギデオン彼所󠄃かしこにヱホバのために祭壇さいだんきづこれをヱホバシヤロムとなづけたりこれ今日こんにちいたるまでアビエゼルびとのオフラにのこ

 455㌻ 
25 そのヱホバ、ギデオンにいひたまひけるはなんぢ父󠄃ちゝわか牡牛をうしおよび七さいなるだい二のうしなんぢ父󠄃ちゝのもてるバアルの祭壇さいだんこぼそのうへなるアシラのざうたふ 26 なんぢかみヱホバのためにこの堡砦とりでいたゞきにおいて次序ついでをただしくし祭壇さいだんきづだい二のうしりてなんぢたふせるアシラのをもて燔祭はんさいさゝぐべし〘347㌻〙 27 ギデオンすなはちそのしもべにんたづさへてヱホバのいひたまひしごとくおこなへりされど父󠄃ちゝいへのものどもおよびまちひとおそれたればひるこれをなすことをりてこれなせ

28 まちひと〴〵朝󠄃あさ興出おきいでみるにバアルの祭壇さいだんくだうへなるアシラのざう斫仆きりたふされてあらたきづけ祭壇さいだんだい二のうしそなへてありしかば 29 たがひにこれ所󠄃爲しわざぞやとひつつ尋󠄃たづひけるにこれはヨアシのギデオンの所󠄃爲しわざなりといふものありたれば 30 まち人々ひと〴〵ヨアシにむかひなんぢいだしてなしめよそはかれバアルの祭壇さいだんくだそのうへありしアシラのざう斫仆きりたふしたればなりといふ 31 ヨアシおのれの周󠄃圍めぐりたてるすべてのものにいひけるはなんぢらはバアルのため爭論いひあらそふやなんぢらはこれすくはんとするやこれため爭論いひあらそもの朝󠄃あさうちしぬべしバアルもしかみならばひとその祭壇さいだんくだきたればみづか爭論いひあらそべきなりと 32 こゝをもて人衆ひと〴〵ギデオンその祭壇さいだんくだきたればバアルみづかこれといひあらそはんといひてこれかれをヱルバアル(バアルいひあらそはん)とよびなせり

33 こゝにミデアンびとアマレクびとおよび東方とうはうたみあひあつまりてかはわたりヱズレルのたにぢんとりしが 34 ヱホバのみたまギデオンにのぞみてギデオンらつぱふきたればアビエゼルびとあつまりてこれしたが 35 ギデオンあまねくマナセに使者つかひ遣󠄃おくりしかばマナセびとまたあつまりてこれしたがかれまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者つかひ遣󠄃おくりしにその人々ひと〴〵のぼりてこれ迎󠄃むか

 456㌻ 
36 ギデオンかみにいひけるはなんぢかつていひたまひしごとくわがをもてイスラエルをすくはんとしたまはば 37 われ一箇ひとつひつじ禾塲うちばにおかんつゆもし羊毛ひつじのけにのみおきてはすべてかわきをらばわれれによりてなんぢがかつていひたまひしごとをもてイスラエルをすくひたまふをしらんと 38 すなはちかくありぬかれあく朝󠄃あさはやきいで羊毛ひつじのけをかきよせてそのよりつゆしぼりしにはち滿つるほどのみづいできたる 39 ギデオンかみにいひけるはわれにむかひていかりはつしたまふなかれわれをしていま一回ひとたびいはしめたまへねがはくはわれをしてひつじをもていま一回ひとたびためさしめたまへねがはくは羊毛ひつじのけのみをかわかしてにはこと〴〵つゆあらしめたまへと 40 そのかみかくのごとくにしたまふすなはち羊毛ひつじのけのみかわきてにはすべつゆありき

第7章

1 かくてヱルバアルとよばるるギデオンおよびこれとともにあるすべてのたみ朝󠄃あさつときいでてハロデののほとりにぢんるミデアンびとぢんはかれらのきたかたにあたりモレのやま沿たにのうちにありき
〘348㌻〙
2 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるはなんぢとともにたみあまりにおほければわれそのにミデアンびとわたさじおそらくはイスラエルわれむかみづかほこりていはんわれわがをもておのれすくへりと 3 さればたみみゝ吿示ふれしめしていふべしたれにてもおそをののくものはギレアデやまよりかへるべしとここにおいてたみのかへりしもの二まん二千にんありのこりしものは一萬人まんにんなりき

4 ヱホバまたギデオンにいひたまひけるはたみなほおほこれ導󠄃みちびきて水際みぎはくだわれかしこにてなんぢのためにかれらをこゝろみんおほよそなんぢつげ此人このひとなんぢとともにくべしといはんものはすなはちなんぢとともにくべしまたおほよそわがなんぢつげ此人このひとなんぢとともにくべからずといはんものはすなはちくべからざるなり 5 ギデオンたみをみちびきて水際みぎはくだりしにヱホバこれにいひたまひけるはおほよそいぬなむるがごとくそのしたをもてみづなむるものはなんぢこれけおくべしまたおほよそひざかがみてみづむものをもしかすべしと
 457㌻ 
6 くちにあててみづなめしもののかずは三百にんなりほかたみこと〴〵くそのひざかがみてみづのめ 7 ヱホバ、ギデオンにいひたまひけるはわれみづなめたる三百にんものをもてなんぢらをすくひミデアンびとなんぢわたさんほかたみはおのおの其所󠄃そこかへるべしと 8 ここにおいてかれたみ兵粮ひやうらうとそのらつぱにうけとれりギデオンすなはちすべてのイスラエルびと各自おの〳〵そのてんまくかへらせの三百にんとどめおけりときにミデアンびとぢんはそのしたたにのなかにありき

9 そのヱホバ、ギデオンにいひたまはく起󠄃たてくだりててきぢんるべしわれこれなんぢわたすなり 10 されどなんぢもしくだることをおそれなばなんぢしもべフラを伴󠄃ともなぢん所󠄃しよくだりて 11 かれらのいふ所󠄃ところきくべししかせばなんぢつよくなりてなんぢてきぢんにくだることをんとギデオンすなはちしもべフラとともにくだりてぢんちうにある隊伍たいごのほとりにいたるに 12 ミデアンびとアマレクびとおよびすべて東方とうはうたみ蝗蟲いなごのごとくに數衆かずおほたにのうちにしをりその駱駝らくだはまいさごおほきがごとくにしてかぞふるに勝󠄃たへ 13 ギデオン其處そこいたりしにあるひとその伴󠄃侶ともゆめかたりてりすなはちいふわれゆめたりしがゆめおほむぎのパンひとつミデアンのぢんちうまろびいりててんまくいたこれをうちたふくつがへしたればてんまくたふふせ 14 伴󠄃侶ともこたへていふこれイスラエルのひとヨアシのギデオンのつるぎほかならずかみミデアンとすべてのぢんえいこれわたしたまふなりと
〘349㌻〙
15 ギデオンゆめ説話ものがたりとその解釋ときあかしきくしかばはいをなしてイスラエルのぢん所󠄃しよにかへりいひけるは起󠄃たてよヱホバなんぢらのにミデアンのぢんをわたしたまふと 16 かくて三百にん三隊みてにわかちらつぱおよび空󠄃瓶からつぼとらせそのつぼのなかに燈火ともしびをおかしめ 17 これにいひけるはわれてわがすところにならへてきぢんほとりいたらんときにすごとくなんぢらもすべし
 458㌻ 
18 われおよびわれとともにるものすべてらつぱふかなんぢらもまたすべてぢんえい四方しはうにてらつぱこれヱホバのためなりギデオンのためなりといへと

19 しかしてギデオンおよびこれとともなる百にん中更ちうかうはじめぢんえいほとりいたるにをりしも番兵ばんぺい更代おきかへたるときなりければらつぱたづさへたるつぼをうちくだけり 20 すなは三隊みくみ兵隊つはものらつぱつぼをうちくだきひだりには燈火ともしびみぎにはらつぱをもちてこれきヱホバのつるぎギデオンのつるぎなるぞとさけべり 21 かくておのおのその持場もちばぢんえいかこみたればてきぐんみなはしさけびてにげゆけり 22 三百にんのものらつぱくにあたりヱホバ敵軍てきぐんをしてみなたがひに同士擊どしうちせしめたまひければ敵軍てきぐんにげはしりてゼレラのベテシツダ、アベルメホラのさかひおよびタバテにいた 23 イスラエルの人々ひと〴〵すなはちナフタリ、アセルおよびマナセぢうよりつどきたりてミデアンびと追󠄃擊おひうて

24 ギデオン使者つかひをあまねくエフライムのやま遣󠄃つかはしていはせけるはくだりてミデアンびとめベタバラにいたる渡口わたしおよびヨルダンを遮󠄄斷とりきるべしとこゝにおいてエフライムのひとこと〴〵つどきたりてベタバラにいたる渡口わたしおよびヨルダンを 25 ミデアンびと君主きみオレブとゼエブの二人ふたりとらへてオレブをばオレブいはうへころしゼエブをばゼエブの酒搾さかぶねのほとりにころしまたミデアンびと追󠄃擊おひうちオレブとゼエブのくびたづさへてヨルダンの彼方かなたよりギデオンのもとにいたる

第8章

1 エフライムの人々ひと〴〵ギデオンにむかひなんぢミデアンびとたゝかはんとてゆけときわれらをよばざりしがかゝることをわれらになすは何故なにゆゑぞといひていたくこれなじりたり 2 ギデオンこれにいひけるはいまなせるところはなんぢらのなせる所󠄃ところくらぶべけんやエフライムのひろ遺󠄃餘のこり葡萄ぶだうはアビエゼルの收穫とりいれ葡萄ぶだうにも勝󠄃まされるならずや
 459㌻ 
3 かみはミデアンの群伯きみオレブとゼエブを汝等なんぢらわたしたまへりわがなしえたるところはなんぢらのなせ所󠄃ところくらぶべけんやとギデオンことばをのべしかばかれらのいきどほりとけたり
〘350㌻〙
4 ギデオン自己おのれしたがへる三百にんとともにヨルダンにいたりてこれわたつかれながらもなほ追󠄃擊おひうちしけるが 5 遂󠄅つひにスコテの人々ひと〴〵いひけるはねがはくはわれにしたがへるたみ食󠄃しよくあたへよ彼等かれらつかれをるにわれミデアンのわうゼバとザルムンナを追󠄃行おひゆくなりと 6 スコテの群伯きみたちいひけるはゼバとザルムンナのすでになんぢのうちにるやわれらなんぞなんぢ軍勢ぐんぜい食󠄃しよくあたふべけんや 7 ギデオンいひけるはしからばヱホバのにゼバをザルムンナをわたしたまふときにわれいばらおどろとをもてなんぢにくつべしと 8 かくて其所󠄃そこよりペヌエルにのぼりおなじことをかれらにのべたるにペヌエルのひともスコテのひとこたへしごとくにこたへしかば 9 またペヌエルのひとにつげていひけるはわれ平󠄃康やすらかかへるときに城樓やぐらこぼつべしと

10 さてゼバとザルムンナはその軍勢ぐんぜいおほよそ一まん五千にんをひきゐてカルコルにこれみな東方とうはうひと全󠄃軍ぜんぐんうちいきのこれるものなり戰死うちじにせしものつるぎぬくところのもの十二萬人まんにんありき 11 ギデオンすなはちノバとヨグベバのひがしにててんまくにすめるもののみちよりのぼりて敵軍てきぐんおもんぱかりなくるをうて 12 ここにおいてゼバとザルムンナにげはしりたればギデオンこれ追󠄃擊おひうちミデアンの二人ふたりわうゼバとザルムンナを生捕いけどりこと〴〵くその軍勢ぐんぜいやぶれり

13 かくてヨアシのギデオン、ヘレシのさかよりして戰陣いくさよりかへり 14 スコテのひと少壯者わかもの一人ひとりとらへてこれ尋󠄃たづねたればすなはちスコテの群伯きみたちおよびその長老としより七十七にんをこれがためにしるせり 15 ギデオン、スコテのひと所󠄃ところいたりていひけるはなんぢらがかつわれのゝしりゼバとザルムンナのすでになんぢのうちにあるやわれなんなんぢつかれたるひと食󠄃しよくをあたふべけんやといひたりしそのゼバとザルムンナをよと
 460㌻ 
16 すなはちそのまち長老としよりたちとらいばらおどろこれをもちてスコテのひとこら 17 またペヌヘルの城樓やぐらこぼちてまちひところせり

18 かくてギデオン、ゼバとザルムンナにいひけるはなんぢらがタボルにてころせしものは如何いかなるものなりしやこたへていふかれらはなんぢてみなわうごとくにえたり 19 ギデオンいひけるはかれらは兄弟きやうだいはゝなりヱホバはなんぢらもしかれらをいかおきたらばわれなんぢらをころすまじきをと 20 すなはちその長子ちやうしヱテルに起󠄃たちかれらをころせといひたりしが少者わかものとしなほわかかりしかばおそれてつるぎぬかざりき〘351㌻〙 21 ここにおいてゼバとザルムンナいひけるはなんぢみづから起󠄃たちわれらをうてひと如何いかんによりてその力量ちからことなものなりとギデオンすなはち起󠄃たちてゼバとザルムンナをころしその駱駝らくだくびにかけたる半󠄃はんげつ飾󠄃かざりとれ

22 こゝにイスラエルのひと〴〵ギデオンにいひけるはなんぢミデアンのよりわれらをすくひたればなんぢなんぢおよなんぢまごわれらををさめよ 23 ギデオンこれにいひけるはわれなんぢらををさむることをせじまたなんぢらををさむべからずヱホバなんぢらををさめたまふべし 24 ギデオンまたこれにいひけるはわれなんぢらにひとつのねがふべきことありなんぢらおのおの掠取ぶんどりわれにあたへよとかれらイシマエルびとなるをもてきんけたるに 25 ひと〴〵こたへけるはわれよろこんでこれあたへんとてころもきおのおの掠取ぶんどりそのうちにげいれたり 26 ギデオンがもとたるきん重量おもさきん一千七百シケルなりほか半󠄃はんげつ飾󠄃かざりおよびみゝとミデアンのわうたちのたるむらさきのころもおよび駱駝らくだくびにかけたるくさりなどもありき 27 ギデオンこれをもて一箇ひとつのエポデを造󠄃つくこれをおのれの郷里さとオフラにをさむイスラエルみなこれをしたひてこれといんをおこなふこのものギデオンとそのいへおとしいるるわなとなりぬ 28 ミデアンびとかくごとくイスラエルの子孫ひと〴〵せめふせられてふたゝびそのかしらもたぐることをざりきかくてくにはギデオンのにあるうち四十ねんあひだ平󠄃穩おだやかにてありき

 461㌻ 
29 ヨアシのヱルバアルゆきておのれのいへ住󠄃すめ 30 ギデオンはつまおほちたればそのよりいでたる七十にんありき 31 シケムにをりしそのてかけまたひとりのうみたればこれをアビメレクとなづけたり 32 ヨアシのギデオン妙齡よきよはひすゝみてにアビエゼルびとのオフラにるその父󠄃ちゝヨアシのはかはうむられたり

33 ギデオンのしねるにおよびてイスラエルの子孫ひと〴〵またひるがへりてバアルをしたひてこれいんをおこなひバアルベリテをおのれのかみなせ 34 イスラエルの子孫ひと〴〵その四周󠄃まはりのもろもろのてきよりおのれをすくいだしたまひしかみヱホバを記憶おぼえず 35 またヱルバアルといふギデオンがイスラエルになせしもろ〳〵善行よきわざにしたがひてかれいへあつあしらふことをせざりき

第9章

1 ヱルバアルのアビメレク、シケムにきそのはゝ兄弟きやうだいのもとにいたりてかれらおよびすべてそのはゝ父󠄃ちゝいへ一族いちぞくかたりてひけるは 2 ねがはくはシケムのすべてのたみみゝつげよヱルバアルのすべての七十にんしてなんぢらををさむると一人ひとりしてなんぢらををさむるといづれかなんぢらのためによきやまたわれなんぢらのこつにくなるをおぼえよと〘352㌻〙 3 そのはゝ兄弟きやうだいアビメレクのことにつきてこれことばをことごとくシケムの人々ひと〴〵みゝかたりしにこれはわれらの兄弟きやうだいなりといひてこゝろをアビメレクにかたむけ 4 バアルベリテのやしろよりぎん七十をとりてこれあたふアビメレクこれをもて遊󠄃蕩いたづらにして輕躁かるはづみなる者等ものどもやとひておのれにしたがはせ 5 オフラに父󠄃ちゝいへきてヱルバアルのなるその兄弟きやうだい七十にんを一つのいしうへころせりたゞしヱルバアルのすゑヨタムはひそめしにより遺󠄃のこされたり 6 ここにおいてシケムのすべてのたみおよびミロのすべてひとあつまゆきてシケムのいしぶみかたはらなる橡樹かしのきほとりにてアビメレクをたてわうとなしけるが

 462㌻ 
7 ヨタムにかくとつぐるものありければゆきてゲリジムやまいただきこゑあげさけびかれらにいひけるはシケムのたみわれきけかみまたなんぢらにきゝたまはん 8 樹木きぎいでておのれのうへにわうたてんとし橄欖かんらんなんぢわれらのわうとなれよといひけるに 9 橄欖かんらんこれにいふわれいかでひとわれとりかみひととをあがむるところのそのわがあぶらすてゆき樹木きぎうへそよぐべけんやと 10 樹木きぎまた無花果樹いちじくのきなんぢきたりてわれらのわうとなれといひけるに 11 無花果樹いちじくのきこれにいひけらくわれいかでわが甜美うまさとわがすてきて樹木きぎうへそよぐべけんやと 12 樹木きぎまた葡萄ぶだうなんぢきたりてわれらのわうとなれよといふに 13 葡萄ぶだうこれにいひけるはわれいかでかみひとよろこばしむるわが葡萄ぶだうさけすてゆき樹木きぎうへそよぐべけんやと 14 ここにおいてすべての樹木きぎいばらなんぢきたりてわれらのわうとなれよといひければ 15 いばら樹木きぎにいふなんぢらまことにわれたてなんぢらのわうさばきたりて庇蔭かげしかせずばいばらよりいでてレバノンの香柏かうはくつくすべしと 16 そも〳〵なんぢらがアビメレクをたてわうとなせしは眞實まこと誠意󠄃まごころをもてなせしことなるや汝等なんぢらはヱルバアルとそのいへあしらひかれののなせし所󠄃ところしたがひてこれにむくいしや 17 それわが父󠄃ちゝなんぢらのためたゝか生命いのちをしまずしてなんぢらをミデアンのよりすくいだしたるに 18 なんぢ今日こんにちおこりてわが父󠄃ちゝいへめその七十にんを一つのいしうへころしその侍妾こしもとアビメレクはなんぢらの兄弟きやうだいなるをもてこれたててシケムのたみわうとなせり 19 なんぢらが今日こんにちヱルバアルとそのいへになせしこと眞實まこと誠意󠄃まごころをもてなせしものならばなんぢらアビメレクのためによろこかれなんぢらのためによろこぶべし〘353㌻〙 20 しからずばアビメレクよりいでてシケムのたみとミロのいへやきつくさんまたシケムのたみとミロのいへよりもいでてアビメレクをやきつくすべしと 21 かくてヨタムはしのがれてベエルにきその兄弟きやうだいアビメレクのかほ避󠄃さけ彼所󠄃かしこ住󠄃めり

 463㌻ 
22 アビメレク三年としあひだイスラエルををさめたりしが 23 かみアビメレクとシケムのたみのあひだにあくをおくりたまひたればシケムのたみアビメレクをあざむくにいたる 24 これヱルバアルの七十にんうけたる殘忍󠄄むごさかれらののこれをころせしその兄弟きやうだいアビメレクおよびかれちからをそへてその兄弟きやうだいころさしめたるシケムの人々ひと〴〵むくきたるなり 25 シケムのひとふくへいやまいただきおきかれうかゞはしめその途󠄃みちかたはら過󠄃すぐものすべはがしめたりあるひとこれをアビメレクに

26 ここにエベデのガアル兄弟きやうだいとともにシケムにこえゆきたりしかばシケムのたみかれをたのめり 27 たみ田野はたけいで葡萄ぶだう收穫とりいれこれをしぼりて祭禮まつりをなしそのかみやしろ食󠄃くらひかつみてアビメレクをのろ 28 エベデのガアルいひけるはアビメレクは如何いかなるものシケムは如何いかなるものなればかわれかれしたがふべきかれはヱルバアルのあらずやゼブルその輔佐ほさなるにあらずやむしろシケムの父󠄃ちゝハモルの一族やからつかふべしわれらなんぞかれつかふべけんや 29 嗚呼あゝたみつかしむるものもがなされわれアビメレクをのぞかんとしかしてガアル、アビメレクになんぢ軍勢ぐんぜいましいできたれよといへ

30 まちつかさゼブル、エベデのガアルのことばをききていかりおこ 31 ひそかに使者つかひをアビメレクに遣󠄃おくりていひけるはエベデのガアルおよびその兄弟きやうだいシケムにきたまちをさわがしてなんぢてきせしめんとす 32 されなんぢおよなんぢともなるたみうちおきふせ 33 しかし朝󠄃あさいたのぼときなんぢはや興出おきいでまちせめかかれガアルおよこれとともなるたみいでなんぢあたらんなんぢてこれにことをなすべし

 464㌻ 
34 アビメレクおよびこれとともなるすべてのたみうち興出おきいで四隊よくみ分󠄃わかふせてシケムをうかが 35 エベデのガアルいでまちもんくちたてるにアビメレクおよこれとともなるたみそのふしたるところより起󠄃おこりしかば 36 ガアルたみてゼブルにいひけるはたみやま峰々みね〳〵よりくだるとゼブルこれこたへてなんぢやまかげひとすのみといふ 37 ガアルふたゝびかたりていひけるはたみ高處たかみよりくだりまた一隊ひとくみ法術士はふじゆつし橡樹かしのき途󠄃みちよりきたると〘354㌻〙 38 ゼブルこれにいひけるはなんぢがかつてアビメレクはなにものなればかわれこれつかふべきといひしそのなんぢくちいまいづこにるやこれなんぢあなどりたるたみにあらずやいまいでこれたゝかへよと 39 ここにおいてガアル、シケムびと率󠄃ひきゆきてアビメレクとたゝかひしが 40 アビメレクこれ追󠄃おひくづしたればガアルそのまへより逃󠄄にぐはしれりかくてころされてたふるるものおほくしてまちもんくちまでにおよ

41 かくてアビメレクはアルマにをりしがゼブルはガアルおよびその兄弟きやうだい逐󠄃おひいだしてシケムにることをざらしむ 42 あくるたみ田畑はたけいでしにひとこれをアビメレクにげしかば 43 アビメレクおのれのたみ率󠄃ひきゐてこれを三隊みくみ分󠄃わか埋伏まちぶせしてうかがふにたみまちより出來いできたりたればすなはち起󠄃おこりてこれうて 44 アビメレクおよびこれとともにくみものおそひゆきてまちもんいりくちほか二隊ふたくみるすべてのものをおそふてこれころせり 45 アビメレクその終󠄃日ひねもすまちめつひにまちりてそのうちのたみころまち破却こぼちてしほ撒布まき

46 シケムのやぐらひとみなこれきゝてベリテがみやしろたふいりたりしが 47 シケムのやぐらひとのことごとくあつまれるよしアビメレクにきこえければ 48 アビメレクおのれとともなるたみをことごとく率󠄃ひきゐてザルモンやまのぼりアビメレクをのえだ斫落きりおとこれをおのれのかたともたみにむかひてなんぢなすところを急󠄃いそぎてわがごとくせよといひしかば
 465㌻ 
49 たみもまたみなおのおのそのえだりおとしアビメレクにしたがひてえだたふせかけたふをかけて彼等かれらむここにおいてシケムのやぐらひともまたこと〴〵しね男女なんによおよそ一千にんなりき

50 こゝにアビメレク、テベツにおもむきテベツにむかひぢんはりこれとりしが 51 まちのなかにひとつ堅固けんごなるやぐらありてすべての男女なんによおよびまちたみみな其所󠄃そこのがあととざしてやぐらやねのぼりたれば 52 アビメレクすなはちやぐらのもとにおしよせこれやぐらくち近󠄃ちかづきてをもてこれやかんとせしに 53 一人ひとり婦󠄃をんなアビメレクのかうべ磨石うす上層石うはいしげてその腦骨なうこつくだけり 54 アビメレクおのれの武器えものとれ少者わかもの急󠄃いそよびこれにいひけるはなんぢつるぎぬきわれころせおそらくはひとわれをさして婦󠄃をんなころされたりといはんとその少者わかものこれ通󠄃とほしたればすなはちしね 55 イスラエルの人々ひと〴〵はアビメレクのしにたるをておのおのおのれのところかへりぬ〘355㌻〙 56 かみはアビメレクがその七十にん兄弟きやうだいころしておのれの父󠄃ちゝになしたるあくむくいたまへり 57 またシケムのたみのすべてのあしことをもかみ彼等かれらかうべむくいたまへりすなはちヱルバアルのヨタムののろひかれらのうへおよべるなり

第10章

1 アビメレクののちイッサカルのひとにてドドのなるプワのトラ起󠄃おこりてイスラエルをすくかれエフライムのやまのシヤミルに住󠄃 2 二十三ねんあひだイスラエルを審判󠄄さばきしがつひにしにてシヤミルにはうむらる

3 かれのちにギレアデびとヤイル起󠄃おこりて二十二ねんあひだイスラエルを審判󠄄さばきたり 4 かれ三十にんありて三十の驢馬ろば彼等かれら三十のまちもてりギレアデのにおいて今日こんにちまでヤイルのむらととなふるものすなはちこれなり 5 ヤイルしにてカモンにはうむらる

6 イスラエルの子孫ひと〴〵ふたゝびヱホバののまへにあくしバアルとアシタロテおよびスリヤのかみシドンのかみモアブのかみアンモンの子孫ひと〴〵かみペリシテびとかみつかへヱホバをすてこれつかへざりき
 466㌻ 
7 ヱホバはげしくイスラエルをいかりてこれをペリシテびとおよびアンモンの子孫ひと〴〵賣付うりわたしたまへり 8 そのとしかれらイスラエルの子孫ひと〴〵虐󠄃しへたなやませりヨルダンの彼方かなたにおいてギレアデにあるところのアモリびとるイスラエルの子孫ひと〴〵十八ねんあひだかくせられたりき 9 アンモンの子孫ひと〴〵またユダとベニヤミンとエフライムのやからとをせめんとてヨルダンをわたりしかばイスラエルいたくるしめり

10 ここにおいてイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバによばはりていひけるはわれらおのれのかみすててバアルにつかへてなんぢつみをかしたりと 11 ヱホバ、イスラエルの子孫ひと〴〵にいひたまひけるはわれかつてエジプトびとアモリびとアンモンの子孫ひと〴〵ペリシテびとよりなんぢらをすくいだせしにあらずや 12 又󠄂またシドンびとアマレクびとおよびマオンびとなんぢらをくるしめしときなんぢわれよばはりしかばわれなんぢらをかれらのよりすくいだせり 13 しかるになんぢわれすてほかかみつかふればわれかさねてなんぢらをすくはざるべし 14 なんぢらがえらめるかみ々にゆきよばはなんぢらの艱難なやみのときにこれをしてなんぢらをすくはしめよ 15 イスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバにいひけるはわれつみをかせりすべてなんぢよしるところをわれらになしたまへねがはくはたゞ今日けふわれらをすくひたまへと 16 しかしてたみおのれのうちよりことなる神々かみ〴〵とりのぞきてヱホバにつかへたりヱホバのこゝろイスラエルの艱難なやみるに忍󠄄しのびずなりぬ
〘356㌻〙
17 こゝにアンモンの子孫ひと〴〵つどひてギレアデにぢんりしがイスラエルの子孫ひと〴〵あつまりてミヅパにぢんとれ 18 ときたみギレアデの群伯きみたちたがひにいひけるはたれかアンモンの子孫ひと〴〵ちむかひてたたかひはじむべきひと其人そのひとをギレアデのすべてのたみかしらとなすべしと
 467㌻ 

第11章

1 ギレアデびとヱフタはたけき勇士ゆうしにして妓婦󠄃あそびめなりギレアデ、ヱフタをうましめしなり 2 ギレアデのつま子等こどもをうみしがつま子等こら成長ひととなるにおよびてヱフタをおひいだしてこれにいひけるはなんぢほか婦󠄃をんななればわれらが父󠄃ちゝいへつぐべきにあらずと 3 ヱフタ兄弟きやうだいもとより逃󠄄にげさりてトブの住󠄃すみけるに遊󠄃蕩者いたづらものヱフタのもとにつどきたりてこれとともにいづることをなせり

4 ほどてのちアンモンの子孫しそんイスラエルとたたかふにいたりしが 5 アンモンの子孫ひと〴〵のイスラエルとたたかへるときにギレアデの長老としよりたちゆきてヱフタをトブのより携來つれきたらんとし 6 ヱフタにいひけるはなんぢきたりてわれらの大將たいしやうとなれわれらアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはん 7 ヱフタ、ギレアデの長老としよりたちにいひけるはなんぢらはわれにくみてわが父󠄃ちゝいへより逐󠄃おひいだしたるにあらずやしかるにいまなんぢらがなやめるときいたりてなんわれきたるや 8 ギレアデの長老としよりたちヱフタにこたへけるはそれがためにわれいまなんぢにかへるなんぢわれらとともにゆきてアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはばすべて我等われらギレアデにすめるものの首領かしらとなすべしと 9 ヱフタ、ギレアデの長老としよりたちにいひけるはなんぢらもしわれをたづさへかへりてアンモンの子孫ひと〴〵とたたかはしめんにヱホバこれわれわたしたまはばわれなんぢらのかしらとなるべし 10 ギレアデの長老としよりたちヱフタにいひけるはヱホバなんぢわれとのあひだ證者あかしたりわれちかひつてなんぢことばのごとくになすべし 11 こゝおいてヱフタ、ギレアデの長老としよりたちとともにくにたみこれたてておのれの首領かしらとなし大將たいしやうとなせりヱフタすなはちミヅパにおいてヱホバのまへにこのことばをことごとくのべたり

12 かくてヱフタ、アンモンの子孫ひと〴〵わう使者つかひをつかはしていひけるはなんぢわれあひだ何事なにごとありてかなんぢわれにめきたりてわがたゝかはんとする 13 アンモンの子孫ひと〴〵わうヱフタの使者つかひこたへけるはむかしイスラエル、エジプトよりのぼりきたりしときにアルノンよりヤボクにいたりヨルダンにいたるまで土地くにうばひしがゆゑなりされいま穩便おだやかこれかへすべし
 468㌻ 
14 ヱフタまた使者つかひをアンモンの子孫ひと〴〵わう遣󠄃おくりてこれにいはせけるは 15 ヱフタかくいへりイスラエルはモアブのとらずまたアンモンの子孫ひと〴〵をもとらざりしなり〘357㌻〙 16 それイスラエルはエジプトよりのぼりきたれるとき曠野あらの紅海こうかいいたりカデシにきたれり 17 しかしてイスラエル使者つかひをエドムのわう遣󠄃つかはしていひけるはねがはくはわれをしてなんぢ土地くに經過󠄃とほらしめよとしかるにエドムのわうこれをうけがはずまたおなじくひとをモアブのわう遣󠄃つかはしたれどもこれもうべなはざりしかばイスラエルはカデシにとゞまりしが 18 遂󠄅つひにイスラエル曠野あらのてエドムのおよびモアブのめぐりモアブのひがしかたいでてアルノンの彼方かなたぢんとれされどモアブのさかひにはらざりきアルノンはモアブのさかひなればなり 19 かくてイスラエル、ヘシボンにわうたりしアモリびとわうシホンに使者つかひ遣󠄃つかはせりすなはちイスラエルこれにいひけらくねがはくはわれらをしてなんぢ土地くに經過󠄃とほりてわがところにいたらしめよと 20 しかるにシホン、イスラエルをしんぜずしてそのさかひをとほらしめずかへつてそのすべてのたみあつめてヤハヅにぢんしイスラエルとたたかひしが 21 イスラエルのかみヱホバ、シホンとそのすべてのたみをイスラエルのわたしたまひたればイスラエルこれうちやぶりてその土地くににすめるアモリびとこと〴〵 22 アルノンよりヤボクにいたるまでまた曠野あらのよりヨルダンにいたるまですべてアモリびと土地とちいれたり 23 かくのごとくイスラエルのかみヱホバはたみイスラエルのまへよりアモリびと逐󠄃おひしりぞけたまひしになんぢなほこれとらんとする 24 なんぢなんぢかみケモシがなんぢとらしむるものをとらざらんやわれらはわれらのかみヱホバがわれらにとらしむるものとら 25 なんぢまことにモアブのわうチツポルのバラクにまされるところありとするかバラクかつてイスラエルとあらそひしことありやかつこれとたたかひしことありや
 469㌻ 
26 イスラエルがヘシボンとその村里むらざとアロエルとその村里むらざとおよびアルノンのきし沿ひたるすべての邑々まち〳〵住󠄃すめること三百ねんなりしになんぢなどてかそのあひだこれ回復とりかへさざりしや 27 われなんぢつみをかせしことなきになんぢはわれとたたかひてわれ害󠄅がいをくはへんとすねがはくは審判󠄄さばきをなしたまふヱホバ今日こんにちイスラエルの子孫ひと〴〵とアンモンの子孫ひと〴〵とのあひださばきたまへと 28 しかれどもアンモンの子孫ひと〴〵わうはヱフタのいひつかはせることばきゝいれざりき

29 ここにヱホバのみたまヱフタにのぞみしかばヱフタすなはちギレアデおよびマナセを經過󠄃とほりギレアデのミヅパにいたりギレアデのミヅパよりすすみてアンモンの子孫ひと〴〵むか 30 ヱフタ、ヱホバに誓願せいぐわんたてていひけるはなんぢまことにアンモンの子孫ひと〴〵をわがわたしたまはば〘358㌻〙 31 がアンモンの子孫ひと〴〵所󠄃ところより安然やすらかにかへらんときにわがよりいできたりてわれ迎󠄃むかふるものかならずヱホバの所󠄃有ものとなるべしわれこれ燔祭はんさいとなしてささげんと 32 ヱフタすなはちアンモンの子孫ひと〴〵所󠄃ところ進󠄃すゝみゆきてこれたゝかひしにヱホバかれらをそのわたしたまひしかば 33 アロエルよりミンニテにまでいたりこれが二十のまち打敗うちやぶりてアベルケラミムにいたりはなはおほくひとをころせりかくアンモンの子孫ひと〴〵はイスラエルの子孫ひと〴〵攻伏せめふせられたり

34 かくてヱフタ、ミヅパにきたりておのがいへにいたるにそのむすめつづみをどりてこれ迎󠄃むかこれかれ獨子ひとりごにてのほかには男子をのこもなくまた女子をなごあらざりき 35 ヱフタこれてそのころもさきていひけるはああむすめなんぢまことわれいたましむなんぢわれなやますものなりわれヱホバにむかひてくちひらきしによりてあらたむることあたはざればなり 36 むすめこれにいひけるはわが父󠄃ちゝなんぢヱホバにむかひてくちをひらきたればなんぢくちよりいひいだせしごとくわれになせよはヱホバなんぢのためになんぢてきなるアンモンの子孫ひと〴〵あたかへしたまひたればなり 37 むすめまたその父󠄃ちゝにいひけるはねがはくは此事このことをわれにゆるせすなはち二月ふたつきあひだわれをゆるしわれをしてわが友等ともだちとともにゆきやまにくだりてわが處女をとめたることをなげかしめよと
 470㌻ 
38 ヱフタすなはちけといひてこれ二月ふたつきのあひだいだ遣󠄃やりむすめその友等ともだちとともにやまうへにておのれの處女をとめたるをなげきしが 39 二月ふたつき滿みちてその父󠄃ちゝかへきたりたれば父󠄃ちゝそのちかひし誓願せいぐわんのごとくにこれおこなへりむすめ終󠄃つひをとこしることなかりき 40 これよりして年々とし〴〵にイスラエルの女子むすめゆきとし四日よつかほどギレアデびとヱフタのむすめのために哀哭なげくことをなすこれイスラエルの規矩さだめとなれり

第12章

1 エフライムの人々ひと〴〵つどひてきたにゆきヱフタにいひけるはなんぢ何故なにゆゑきてアンモンの子孫ひと〴〵たゝかひながらわれらをまねきてなんぢとともにゆかせざりしやわれをもてなんぢいへなんぢとともにくべしと 2 ヱフタこれにいひけるはわれとわがたみかつてアンモンの子孫ひと〴〵おほいあらそひしときにわれなんぢらをよびしになんぢらかれらのよりわれすくふことをせざりき 3 われなんぢらがわれすくはざるをたればわがいのちをかけてアンモンの子孫ひと〴〵所󠄃ところせめゆきしにヱホバかれらをわたしたまへりされなんぢらなんぞ今日けふもとのぼきたりてわれとたたかはんとするやと 4 ヱフタここにおいてギレアデのひとをことごとくつどへてエフライムとたたかひしがギレアデの人々ひと〴〵エフライムを擊破うちやぶれりはエフライムなんぢらギレアデびとはエフライムの逃󠄄亡者おちうどにしてエフライムとマナセのうちにをるなりといひしに〘359㌻〙 5 しかしてギレアデびとエフライムにおもむくところのヨルダンのわたりをとりきりしがエフライムびと逃󠄄のがきたものありてわれわたらせよといへばギレアデのひとこれなんぢはエフライムびとなるかとかれもししからずといふときは 6 またこれ請󠄃ふシボレテといへといふにかれその音󠄃おんたゞしくいひずしてセボレテといへばすなはちこれひきとらへてヨルダンのわたしころせりそのときにエフライムびとのたふれしものまん二千にんなりき

 471㌻ 
7 ヱフタ六ねんのあひだイスラエルをさばきたりギレアデびとヱフタつひにしにてギレアデのあるまちはうむらる

8 かれのちにベテレヘムのイブザン、イスラエルをさばきたり 9 かれに三十にん男子むすこありまた三十にん女子むすめありしがこれをばほかとつがしめてその子息むすこのために三十にんむすめほかよりめとれりかれねんのあひだイスラエルをさばきたり 10 イブザンつひにしにてベテレヘムにはうむらる

11 かれのちにゼブルンびとエロン、イスラエルをさばきたりゼブルンびとエロン十ねんのあひだイスラエルをさばきたり 12 ゼブルンびとエロンつひにしにてゼブルンののアヤロンにはうむらる

13 かれのちにピラトンびとヒレルのアブドン、イスラエルをさばきたり 14 かれに四十にん男子むすこおよび三十にんまごありて七十の驢馬ろばかれねんのあひだイスラエルをさばけり 15 ピラトンびとヒレルのアブドンつひにしにてエフライムののピラトンにはうむらるこれはアマレクびとやまにあり

第13章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵またヱホバのまへにてあくおこなひしかばヱホバこれを四十ねんあひだペリシテびとにわたしたまへり

2 ここにダンびとやからにてをマノアとよべるゾラびとありつま石婦󠄃うまづめにしてみしことなし 3 ヱホバの使つかひそのをんなあらはれてこれにいひけるはなんぢ石婦󠄃うまづめにしてうみしことあらずされなんぢはらみてをうまん 4 さればなんぢつつしみて葡萄ぶだうしゆおよびさけむことなかれまたすべてけがれたるものを食󠄃くらふなかれ 5 なんぢはらみてうまそれかうべには剃刀かみそりをあつべからずそのはらいづるよりしてかみのナザレびとかみさゝげしもの〕たるべしかれペリシテびとよりイスラエルをすくはじめんと〘360㌻〙 6 その婦󠄃人をんなきたりてをつとつげいひけるはかみひとわれにのぞめりその容貌かたちかみ使つかひ容貌かたちのごとくにしていとおそろしかりしがわれのいづれよりきたれるやをとはかれまたわれつげざりき
 472㌻ 
7 かれわれにいひけるはなんぢはらみてまんされ葡萄ぶだうしゆおよびさけむなかれまたすべてけがれたるものを食󠄃くらふなかれそのはらいづるよりしぬまでかみのナザレびとたるべしと

8 マノア、ヱホバにこひもとめていひけるはああわがしゆなんぢがさきに遣󠄃つかはしたまひしかみひとをふたゝびわれらにのぞませこれをしてわれらがそのうまるるになすべきことをしへしめたまへ 9 かみマノアのこゑをききいれたまひてかみ使者つかひ婦󠄃人をんな田野はたけしをるときまたこれにのぞめりときをつとマノアはともにをらざりき 10 こゝにおいて婦󠄃をんないそぎはしりてをつとつげこれにいひけるはさきごろわれにのぞみしひとまたわれあらはれたりと 11 マノアすなはち起󠄃たちつまのあとにつき其人そのひとのもとにいたりてこれなんぢはかつてこの婦󠄃をんな語言ものいひひとなるかといふにしかりとこたふ 12 マノアいひけるはなんぢことばのごとくならときその養󠄄育方そだてかたおよびこれになすべきこと如何いかん 13 ヱホバの使者つかひマノアにいひけるはわがさきに婦󠄃をんないひしところのことどもは婦󠄃をんなこれをつつしむべきなり 14 すなはち葡萄樹ぶだうのきよりいづるものすべ食󠄃くらふべからず葡萄ぶだうしゆさけのまずまたすべてけがれたるものを食󠄃くらふべからずすべてわがかれめいじたることどもをかれまもるべきなり

15 マノア、ヱホバの使者つかひにいひけるは請󠄃こふわれらをしてなんぢ款留ひきとめしめなんぢのまへに山羊羔こやぎそなへしめよ 16 ヱホバの使者つかひマノアにいひけるなんぢわれ款留ひきとむるもわれなんぢ食󠄃物しよくもつをくらはじまたなんぢ燔祭はんさいをそなへんとならばヱホバにこれをそなふべしとマノアはかれがヱホバの使者つかひなるをしらざりしなり 17 マノア、ヱホバの使者つかひにいひけるはなんぢはなにぞなんぢことば效驗しるしあらんときはわれなんぢあがめ 18 ヱホバの使者つかひこれにいひけるは不思議ふしぎなりなんぢ何故なにゆゑこれをたづぬるやと 19 マノア山羊羔こやぎ素祭物そなへものとをとりいはのうへにてこれをヱホバにささぐ使者つかひすなはち不思議ふしぎなることをなせりマノアとそのつまこれ
 473㌻ 
20 すなはち火燄ほのほだんよりてんにあがれるときヱホバの使者つかひだん火燄ほのほのうちにありてのぼれりマノアとつまこれををりてにひれふせり

21 ヱホバの使者つかひそののちかさねてマノアとつまあらはれざりきマノアつひにかれがヱホバの使者つかひたりしをさとれり 22 こゝにマノアそのつまにむかひわれかみたればかならぬるならんといふに〘361㌻〙 23 つまこれにいひけるはヱホバもしわれらをころさんとおもひたまはばわれらのより燔祭はんさいおよ素祭そさいをうけたまはざりしならんまたこれらのすべてのことをわれらにしめすことをなしこたびのごとくわれらにかゝることをつげたまはざりしなるべしと 24 かくて婦󠄃をんなうみてそのをサムソンとべりそのそだくヱホバこれをめぐみたまふ 25 ヱホバのみたまゾラとエシタオルのあひだなるマハネダンにてはじめ感動かんどう

第14章

1 サムソン、テムナテにくだり、ペリシテびとむすめにてテムナテに住󠄃すめ一人ひとり婦󠄃をんな 2 かへのぼりておのが父󠄃母ちちははつげていひけるはわれペリシテびとむすめにてテムナテに住󠄃すめるひとりの婦󠄃をんなたりさればいまこれをめとりてわがつまとせよと 3 その父󠄃母ちちははこれにいひけるはなんぢゆきて割󠄅禮かつれいけざるペリシテびとのうちよりつま迎󠄃むかへんとするはなんぢ兄弟きやうだいむすめのうちもしくはわがすべてのたみのうちに婦󠄃女をんななきゆゑなるかとしかるにサムソン父󠄃ちゝにむかひかの婦󠄃をんなわがこころに適󠄄かなへばこれをわがためにめとれといへ 4 その父󠄃母ちちはははこのことのヱホバよりいでしなるをしらざりきサムソンはペリシテびとせめんとひまをうかがひしなりそはのころペリシテびとイスラエルををさたればなり

5 サムソン父󠄃母ちちははとともにテムナテにくだりてテムナテの葡萄園ぶだうばたけにいたるにわか獅子しゝ咆哮ほえたけりてかれむかひしが 6 ヱホバのみたまかれにのぞみたれば山羊羔こやぎさくがごとくにこれさきたりしがにはなに武器えものもたざりきされどサムソンはそのせしことを父󠄃ちゝにもはゝにもつげずしてありぬ
 474㌻ 
7 サムソンつひにくだりて婦󠄃をんなとうちかたらひしが婦󠄃をんなそのこゝろにかなへり 8 かくてのちサムソンかれをめとらんとてたちかへりしがめぐらして獅子しゝしかばねるに獅子しゝからだはちむれみつとありければ 9 すなはちそのみつにとりてあゆみつつ食󠄃くら父󠄃母ちちははもとにいたりてこれあたへけるにかれこれ食󠄃くらへりされど獅子しゝからだよりそのみつとりきたれることをばかれらにかたらざりき

10 かく父󠄃ちゝくだりて婦󠄃をんなのもとにいたりしかばサムソン少年わかうど習例しならはしにしたがひてそこに饗宴ふるまひをまうけたるに 11 サムソンをて三十にんものをつれきたりてこれ伴󠄃侶ともとならしむ 12 サムソンかれらにいひけるはわれなんぢらにひとつの隱語なぞをかけんなんぢ七日なぬか筵宴ふるまひうちこれときてあきらかにこれわれつげなばわれなんぢらに裏衣はだぎ三十ところも三十かさねをあたふべし 13 されどもしこれをわれにつげずばなんぢわれ裏衣はだぎ三十ところも三十かさねあたふべしと彼等かれらこれにいひけるはなんぢ隱語なぞをかけてわれらにきかしめよ〘362㌻〙 14 サムソンこれにいひけるは食󠄃くらものより食󠄃物くひものつよものよりあまものでたりとかれ三日みつかうちこれとくことあたはざりしかば

15 第七日なぬかにいたりてサムソンのつまにいひけるはなんぢをつとときすすめて隱語なぞわれらにあかさしめよしかせずばをもてなんぢなんぢ父󠄃ちゝいへやかなんぢらはわれらのものをとらんとてわれらをまねけるなるかしかるにあらずやと 16 こゝにおいてサムソンのつまサムソンのまへになきていひけるはなんぢはわれをにく而巳のみわれをあいせざるなりなんぢわがたみ子孫ひと〴〵隱語なぞをかけてこれをわれにときあかさずとサムソンこれにいふわれこれをわが父󠄃ちゝはゝにもときあかさざればいかでなんぢときあかすべけんやと 17 婦󠄃をんな七日なぬか筵宴ふるまひのあひだかれのまへにりしが第七日なぬかめいたりてサムソンつひにこれかれときあかせりいたしひたればなり婦󠄃をんなすなはち隱語なぞをおのがたみ子孫ひと〴〵あかせり 18 こゝにおいて第七日なぬかめおよびてるまへにまち人々ひと〴〵サムソンにいひけるはなにものかみつよりあまからんいかものか獅子しゝよりつよからんとサムソンこれにいひけるはなんぢらわが牝犢めうしをもてたがへさざりしならばわが隱語なぞときざるなりと
 475㌻ 
19 こゝにヱホバのみたまサムソンにのぞみしかばサムソン、アシケロンにくだりてかしこのもの三十にんころしそのものうばかれ隱語なぞとき者等ものどもにその衣服󠄃きものあたへはげしくいかりてその父󠄃ちゝいへにかへりのぼれり 20 サムソンのつまはサムソンのともとなりたるその伴󠄃侶ともびとつまとなりぬ

第15章

1 てのち麥秋むぎかりときにサムソン山羊羔こやぎをたづさへてつまのもとをとふていひけるはわれしついりてわがつまあはんとしかるにつま父󠄃ちゝいることをゆるさず 2 その父󠄃ちゝすなはちいひけるはわれまことになんぢ婦󠄃をんな嫌󠄃きらひたりと意󠄃おもひしがゆゑにかれなんぢ伴󠄃侶ともたりしものあたへたりかれいもとかれよりもよきにあらずやねがはくはかれかへこれなんぢのものとせよ 3 サムソンかれらにいひけるは今回このたびはわれペリシテびと害󠄅がいくはふるともかれらにたいしてつみなかるべしと 4 サムソンすなはちゆきやまいぬ三百をとらへ火炬たいまつをとりをあはせてそのふたつのあひだひとつの火炬たいまつひつけ 5 火炬たいまつをつけてペリシテびとのいまだかりざるむぎのなかにこれをはなれそのたばつみたるものといまだからざるものを橄欖かんらんはたけにまでおよぼせり 6 ペリシテびといひけるはこれたれ行爲しわざなるやこたへてふテムナテびと婿むこサムソンなりそはかれサムソンのつまをとりてその伴󠄃侶ともなりしものあたへたればなりとここにおいてペリシテびとのぼりきたりて婦󠄃をんなとその父󠄃ちゝとをにてきうしなへり〘363㌻〙 7 サムソンかれらになんぢかくおこなへばわれなんぢらにあだをむくはではやまじと 8 すなはちはぎもゝかれらをうちおほいいにこれころせりかくてサムソンはくだりてエタムの巖間いはま

9 ここにおいてペリシテびとのぼきたりてユダにぢんりレヒにそなへたれば 10 ユダの人々ひと〴〵いひけるはなんぢなにゆゑにわれらにめのぼりたるやとかれらこたへけるはサムソンをしばりてかれがわれらになせしごとくかれになさんとてのぼれるなりと
 476㌻ 
11 こゝをもてユダのひと三千にんエタムの巖間いはまにくだりてサムソンにいふなんぢペリシテびとはわれらををさむるものなるをらざるやなんぢなどてかわれらにかゝことをなせしやサムソンかれらにいひけるはわれかれらがわれなせしごとくかれらになせしなりと 12 かれらまたサムソンにいひけるはわれらはなんぢをしばりてペリシテびとにわたさんとてくだりきたれりサムソンかれらにいひけるはなんぢらのみづからわれを害󠄅がいすまじきことをわれちか 13 かれこれにかたりていふいなわれらはただなんぢしばりいましめてペリシテびとにわたさんのみわれらはかならずなんぢころさざるべしとすなはち二條ふたすぢあらたしきなはをもてかれをいましめていはよりこれひきかへれり

14 サムソン、レヒにいたれるときペリシテびとこゑあげてかれに近󠄃ちかづきしがをりしもヱホバのみたまかれにのぞみたればそのみうでにかかれるなはやけたる麻󠄃あさのごとくになりてのいましめとけはなれたり 15 サムソンすなはち驢馬ろばのあたらしき腮骨あぎとぼねひとつをいだをのべてこれそのをもて一千にんころ 16 しかして驢馬ろば腮骨あぎとぼねをもてやまをきづきやまをつくる驢馬ろば腮骨あぎとぼねをもてわれ一千にんうちころせりと 17 かく言終󠄃いひをはりてそのより腮骨あぎとぼねをうちすて其處そのところをラマテレヒとなづけたり 18 ときかれかわきをおぼゆることはなはだしかりしかばヱホバによばはりていふなんぢのしもべのをもてなんぢこのおほいなるすくひをほどこしたまへるにわれいまかわきて割󠄅禮かつれいけざるもののにおちいらんとすと 19 ここにおいてかみレヒにるくぼめる所󠄃ところきたまひしかばみづそこよりながれいでしがサムソンこれのみたればせいしんもと返󠄄かへりてふたゝびさはやかになりぬゆゑそのをエンハッコレ(よばはれるもののいづみ)とこれ今日こんにちにいたるまでレヒに 20 サムソンはペリシテびと治世ときに二十ねんイスラエルをさばけり〘364㌻〙

第16章

1 サムソン、ガザにきかしこにて一人ひとりあそびめてそれのところいりしに 2 サムソンここにきたれりとガザびとにつぐるものありければすなはちこれかこみよもすがらまちもん埋伏まちぶせ詰朝󠄃あしたにおよびあけたるときこれをころすべしといひてよもすがらしづまりかへりて
 477㌻ 
3 サムソン夜半󠄃よなかまでいね夜半󠄃よなかにいたりてまちもんとびらとふたつのはしらをかけてくわんぬきもろともにこれをひきぬきかたのせてヘブロンのむかひなるやまいただき負󠄅おひのぼれり

4 こののちサムソン、ソレクのたにはデリラと婦󠄃人をんなあい 5 ペリシテびと群伯きみたちその婦󠄃をんなのもとにのぼこれにいひけるはなんぢサムソンをときすすめてそのおほいいなるちからなにるかまたわれら如何いかにせばこれ勝󠄃かちこれしばりくるしむるをべきかをいだすればわれらおのおのぎん千百まいづつをなんぢにあたふべし 6 ここにおいてデリラ、サムソンにいひけるはなんぢおほいなるちからなににあるかまた如何いかにせばなんぢしばりてくるしむることをるや請󠄃これをわれにつげよ 7 サムソンこれにいひけるはひともしかわきしことなき七條ななすぢあたらしきなはをもてわれをしばるときはわれ弱󠄃よわくなりてほかひとのごとくならんと 8 ここにおいてペリシテびと群伯きみたちかわきしことなき七條ななすぢあたらしきなは婦󠄃をんなにもちきたりければ婦󠄃をんなこれてサムソンをしばりしが 9 かねてしつのうちにひとしのびをりおのれとともにありたればかくしてサムソンにむかひサムソンよペリシテびとなんぢおよぶといふにサムソンすなはちそのなはたてりあたかも麻󠄃あさいとにあひてちぎるるがごとしかくちから原由もとしられざりき

10 デリラ、サムソンにいひけるはなんぢわれをあざむきてわれにいつはりつげたり請󠄃なにをもてせばなんぢしばることをうるやいまわれつげ 11 かれこれにいひけるはもしひともちひたることなきあたらしきなはをもてわれをしばりいましめなばわれ弱󠄃よわくなりてほかひとのごとくならんと 12 こゝをもてデリラあたらしきなはをとりそれをもてかれしばりしかしてかれにいふサムソンよペリシテびとなんぢにおよぶとときしつのうちにひとしのびたりしがサムソンいとごとくにそのなはうでよりたちおとせり

 478㌻ 
13 デリラ、サムソンにいひけるにいままではなんぢわれをあざむきてわれいつはりをつげたるがなにをもてせばなんぢをしばることをうるやわれにつげよとかれこれにいひけるはなんぢもしわが髮毛かみのけ七繚ななふさはた緯線よこいととともにおらばすなはちしと 14 婦󠄃をんなすなはちくぎをもてこれをとめおきてかれにいひけるはサムソンよペリシテびとなんぢにおよぶとサムソンすなはちそのねむりをさまし織機はたくぎ緯線よこいととを曵拔ひきぬけ
〘365㌻〙
15 婦󠄃をんなここにおいてサムソンにいひけるはなんぢこゝろわれにをらざるになんぢいかでわれをあいすといふやなんぢすでに三次みたびわれをあざむきてなんぢおほいなるちからなににあるかをわれにつげずと 16 日々ひびにそのことばをもてこれにせまりうながしてかれこゝろしぬるばかりにくるしませたれば 17 かれつひにそのこゝろをことごとくうちあかしてこれにいひけるはわがかうべにはいまだかつて剃刀かみそりあてしことあらずそはわれはゝはらいづるよりしてかみのナザレびとたればなりもしわれかみをそりおとされなばわがちからわれをはなれわれは弱󠄃よわくなりてほかひとのごとくならんと

18 デリラ、サムソンがことごとくのこころをあかしたるをひとをつかはしてペリシテびと群伯きみたちよびていひけるはサムソンことごとくそのこゝろをわれにあかしたればいまひとたびのぼきたるべしとここにおいてペリシテびと群伯きみたちかのぎんたづさへて婦󠄃をんなのもとにいたる 19 婦󠄃をんなおのがひざのうへにサムソンをねむらせひとをよびてその頭髮かみのけ七繚ななふさをきりおとさしめこれくるしめはじめたるにそのちからすでにうせさりてあり 20 婦󠄃をんなここにおいてサムソンよペリシテびとなんぢにおよぶといひければかれ睡眠ねむりをさましていひけるはわれつねのごとくいでふるはさんとかれはヱホバのおのれをはなれたまひしをさとらざりき 21 ペリシテびとすなはちかれとらまなこくじりてこれをガザにひきくだあかがねくさりをもてこれつなげりかくてサムソンは囚獄ひとやのうちにうす挽居ひきゐたりしが 22 そのかみりおとされてのちまたのびはじめたり

 479㌻ 
23 こゝにペリシテびと群伯きみたちともにあつまりてそのかみダゴンにおほいなる祭物そなへものをささげていはひをなさんとしすなはちふわれらのかみはわれらのてきサムソンをわれらのわたしたりと 24 たみサムソンをておのれのかみをほめたたへてふわれらのかみはわれらのてきたるものわれらのあらせしものわれらを數多あまたころせしものをわれらのわたしたりと 25 そのこゝろよろこびていひけるはサムソンをよびてわれらのために戲技たはむれをなさしめよとて囚獄ひとやよりサムソンをよびいだせしかばサムソンこれがために戲技たはむれをなせり彼等かれらサムソンをはしらあひだたゝしめしに 26 サムソンおのがをひきをる少者わかものにいひけるはわれをはなしてこれいへよりたつところのはしらをさぐりてこれよらしめよと 27 そのいへには男女をとこをんなちペリシテびと群伯きみたちもまたみな其處そこ又󠄂また屋蓋やねのうへには三千ばかりの男女なんによをりてサムソンの戲技たはむれをなすをてありき

28 ときにサムソン、ヱホバによばはりいひけるはああしゆヱホバよねがはくはわれ記念おぼえたまへ嗚呼あゝかみねがはくはたゞいま一度ひとたびわれをつよくしてわがふたつのまなこのひとつのためにだにもペリシテびとあだをむくいしめたまへと〘366㌻〙 29 サムソンすなはちそのいへよりてたつところの兩箇ふたつ中柱なかばしらのひとつをみぎひとつをひだりにかかへてをこれによせたりしが 30 サムソンわれはペリシテびととともになんといひてちからをきはめてをかがめたればいへはそのなかに群伯きみたちとすべてのたみのうへにたふれたりかくサムソンがしぬるときにころせしものはけるときにころせしものよりもおほかりき 31 こののちサムソンの兄弟きやうだいおよびその父󠄃ちゝ家族やからことごとくくだりてこれたづさへのぼりてゾラとエシタオルのあひだなる父󠄃ちゝマノアのはかにはうむれりサムソンがイスラエルをさばきしは二十ねんなりき

第17章

1 ここにエフライムのやまひとにてをミカとよべるものありしが 2 そのはゝいひけるはなんぢかつてその千百まいぎんとられしことをきくところにてのろひてかたりしがよそのぎんはわがわれこれとれるなりとはゝすなはちわがよねがはくはヱホバなんぢ祝福さいはひをたまへといへ
 480㌻ 
3 かれ千百まいぎんをそのはゝにかへせしかばはゝいひけらくわれわがのためにひとつのざうきざみひとつのざうんためにそのぎんをわがよりヱホバに納󠄃をささればわれいまこれなんぢにかへすべしと 4 ミカそのぎんはゝにかへせしかばはゝそのぎん二百まいをとりてこれ鑄物師いものしにあたへてひとつのざうをきざませひとつのざうさせたりそのざうはミカのいへ 5 このミカといふひとかみ殿みやをもちをりエポデおよびテラピムを造󠄃つくりひとりのたてておのが祭司さいしとなせり 6 このときにはイスラエルにわうなかりければ人々ひと〴〵おのれのよしとみゆることをおこなへり

7 ここにひとりの少者わかうどありてベテレヘムユダにおいてユダのやからうちにをるかれはレビびとにしてかしこに寓居やどれるなり 8 このひとをるべきところをたづねてそのまちベテレヘムユダをさりしが遂󠄅つひたびしてエフライムのやまにゆきてミカのいへにいたりしに 9 ミカこれにいひけるはなんぢいづこよきたれるやとかれこれにいふわれはベテレヘムユダのレビびとなるがをるべきところをたづねにくものなり 10 ミカこれいひけるはなんぢわれとともりわがために父󠄃ちゝとも祭司さいしともなれよさらばわれとしぎんまいおよび衣服󠄃いふく食󠄃物しよくもつなんぢにあたへんとレビびとすなはちいりしが 11 レビびとつひにそのひとともをらんことをうけがこゝにおいてその少者わかものはかれの一人ひとりのごとくなりぬ〘367㌻〙 12 ミカ、レビびとなるこの少者わかものをたてて祭司さいしとなしたればすなはちミカのいへ 13 ミカここにおいていまわれるヱホバわれに恩惠めぐみをたまはんそはこのレビびとわれの祭司さいしとなればなり

第18章

1 當時そのころイスラエルにはわうなかりしがダンびと支派わかれそのころ住󠄃むべきもとめたりかれらイスラエルの支派わかれうちにありてそのまでいま產業さんげふざりしがゆゑなり
 481㌻ 
2 ダンの子孫ひと〴〵すなはちゾラとエシタオルよりして自己おのれやから勇者ゆうしやにん遣󠄃つかはしそのさかひいで土地くにうかゞさぐらしむすなは彼等かれらゆき土地とちさぐれと彼等かれらエフライムのやまにいたりミカのいへにつきて其處そこ宿やどれり 3 かれらミカのいへかたはらにあるときレビびとなる少者わかものこゑ聞認󠄃ききとめたればをめぐらして其處そこにいりてこれなんぢこゝつれきたりしやなんぢ此處このところにてなにをなすやこゝなにようあるや 4 其人そのひとかれらにいひけるはミカ斯々かく〳〵われあしらわれやとひてわれその祭司さいしとなれりと 5 彼等かれらこれに請󠄃かみ我等われらゆくところの途󠄃みち利逹さいはひあるやいなや我等われらにしらしめよ 6 その祭司さいしかれらにいひけるはやすんんじてゆけなんぢらがゆくところの途󠄃みちはヱホバの前󠄃まへにあるなりと

7 こゝおいて五にんものゆきてライシにいた其處そこ住󠄃すめ人民たみるに顧󠄃慮おもんぱかりなく住󠄃すまひをりその安穩おだやかにして安固やすらかなることシドンびとのごとしこのくにには政權せいけんにぎりてひとわづらはすものたえてあらずそのシドンびとへだたること遠󠄄とほくまたほか人民たみまじはることなし 8 かく彼等かれらゾラとエシタオルに返󠄄かへりてその兄弟きやうだいたちにいたるに兄弟きやうだいたち如何いかがなりしやと彼等かれらとひければ 9 こたへ起󠄃たて彼等かれら所󠄃ところせめのぼらん我等われらそのるにはなは汝等なんぢらやすんじをるなり進󠄃すゝみいたりてそのることをおこたるなかれ 10 汝等なんぢらゆか安固やすらかなる人民たみ所󠄃ところいたらんその堅横たてよこともにひろかみこれをなんぢらのあたへたまふなり此處このところにはにあるもの一箇ひとつかくることあらず

11 こゝおいてダンびとやからもの六百にん武器ぶきおびてゾラとエシタオルよりいでゆき 12 のぼりてユダのキリヤテヤリムにぢんはれこゝをもてそのところをマハネダンとなづけしがその今日こんにちのここれはキリヤテヤリムのうしろにあり 13 彼等かれら其處そこよりエフライムやま進󠄃すゝみミカのいへいたりけるに

 482㌻ 
14 のライシのくにうかゞひにゆきたりし五にんものその兄弟きやうだいつげいひけるは是等これらいへにはエポデ、テラピムおよびきざめるざうたるざうあるを汝等なんぢらしるされなんぢいまそのなすべきことをかんがへよと 15 すなは其方そなたをめぐらしてのレビびと少者わかものいへなるミカのいへいたりてその安否あんぴとひけるが〘368㌻〙 16 武器ぶきおびたる六百にんのダンの子孫ひと〴〵もんいりくちたて 17 土地くにうかゞひにゆきたりし五にんもののぼりて其處そこにいりそのきざめるざうとエポデとテラピムおよびたるざうとりけるが祭司さいし武器びきおびたる六百にんものとともにもんいりくちたちゐたり 18 この人々ひと〴〵ミカのいへにいりてそのきざめるざうとエポデとテラピムとたるざうとをとりしかば祭司さいしかれらになんぢなにをなすやとふに 19 彼等かれらこれにいひけるはなんぢもくせよなんぢくちにあててわれらとともにきたわれらの父󠄃ちゝとも祭司さいしともなれよかし一人いちにんいへ祭司さいしたるとイスラエルのひとつ支派わかれひとつやから祭司さいしたるとはいづれよき 20 祭司さいしすなはちこゝろよろこびてエポデとテラピムときざめるざうとをとりたみうち

21 かくてかれらをめぐらしその子女こども家畜かちく財寳たから前󠄃まへにたてて進󠄃すゝみしが 22 ミカのいへはるかにはなれしときミカのいへ近󠄃ちかきところのいへ人々ひと〴〵よばはりつどひてダンの子孫ひと〴〵追󠄃ひつき 23 ダンの子孫ひと〴〵よびたれば彼等かれら回顧󠄃ふりむきてミカになんぢ何事なにごとありてあつまりしや 24 かれらいひけるはなんぢらはわが造󠄃つくれる神々かみ〴〵および祭司さいしうばひさりたればわれなほなにかあらんしかるに汝等なんぢらなんわれにむかひて何事なにごとぞやといふ 25 ダンの子孫ひと〴〵かれにいひけるはなんぢこゑわれらのうちきこえしむるなかれおそらくはこゝろあら人々ひと〴〵なんぢうちかかるありてなんぢおのれの生命いのち家族やから生命いのちとをうしなふにいたらんと 26 しかしてダンの子孫ひと〴〵進󠄃すゝみゆきけるがミカはかれらがおのれよりもつよきををめぐらしていへ返󠄄かへれり

27 彼等かれらミカが造󠄃つくりしものとそのもち祭司さいしをとりてライシにおもむき平󠄃穩おだやかにして安樂やすらかなるたみ所󠄃ところにいたり刃󠄃やいばをもてこれをもてそのまちやきたりしが
 483㌻ 
28 そのシドンとへだたること遠󠄄とほきがうへほか人民たみ交際まじはらざりしによりてこれすくものなかりきそのまちはベテレホブのほとりたににありかれまちたてなほして其處そこ住󠄃 29 イスラエルのうみたるその先祖せんぞダンのにしたがひてそのまちをダンとなづけたりそのまちもとはライシなりき 30 かくてダンの子孫ひと〴〵そのきざめるざう安置かざれりモーセのなるゲルシヨムのヨナタンとその子孫しそんダンの支派わかれ祭司さいしとなりてくにうばはるるときにまでおよべり 31 かみいへのシロにありしあひだつね彼等かれらはミカが造󠄃つくりしかのきざめるざう安置かざりおきぬ

第19章

1 そのころイスラエルにわうなかりしときにあたりてエフライムのやまおく一人ひとりのレビびと寄寓やどりをりベテレヘムユダより一人ひとり婦󠄃人をんなをとりてめかけとなしたるに〘369㌻〙 2 そのめかけかれそむきて姦淫かんいんさりてベテレヘムユダなるその父󠄃ちゝいへにかへり其所󠄃そこ四月よつきといふをおくれり 3 こゝおいてそのをつとかれをなだめてつれかへらんとてそのしもべ二頭ふたつ驢馬ろばをしたがへ起󠄃たちてかれのあとをしたひゆきければその父󠄃ちゝいへこれ導󠄃みちびきいたりしにむすめ父󠄃ちゝこれをこれ遇󠄃あふことをよろこべり 4 しかしてそのむすめ父󠄃ちゝなる外舅しうとかれをひきとめたればすなは三日みつかこれとともみな食󠄃飮くひのみして其所󠄃そこ宿やどりしが 5 四日よつかにおよびて朝󠄃あさはや起󠄃おきあがりかれたちてさらんとしければむすめ父󠄃ちゝその婿むこ少許すこし食󠄃物しよくもつをもてなんぢこゝろつよくしてしかのちれよと 6 二人ふたりすなはちすわりてとも食󠄃飮くひのみしけるがむすめ父󠄃ちゝそのひとにいひけるは請󠄃さいはひいま一夜ひとよあかなんぢこゝろたのしましめよと 7 其人そのひと起󠄃たちさらんとしけるに外舅しうとこれをしひたれば遂󠄅つひまた其所󠄃そこ宿とま 8 五日いつかにおよびて朝󠄃あさはやく起󠄃おきいでてさらんとしたるにむすめ父󠄃ちゝこれにいひけるは請󠄃なんぢこゝろつよくせよとこゝをもてたくるまでとゞまりてとも食󠄃しよくをなしけるが 9 其人そのひとつひにめかけおよびしもべとともにさらんとて起󠄃たちあがりければむすめ父󠄃ちゝかれいまくれなんとす請󠄃いま一夜ひとよあかされよたけたりなんぢこゝにやどりてなんぢこゝろをたのしませ明日あすはや起󠄃おきいでたちなんぢいへにいたれよと

 484㌻ 
10 しかるに其人そのひと止宿とまることをうけがはずして起󠄃たちりヱブスの對面むかひいたれりこれはエルサレムなりくらおけるふたつ驢馬ろばかれとともにありめかけかれとともなりき 11 かれらヱブスの近󠄃傍ほとりにをるときはやいらんとしければしもべその主人あるじにいひけるは請󠄃きた我等われらをめぐらしてヱブスびとこのまちにいりて其所󠄃そこ宿やどらんと 12 その主人しゆじんこれにいひけるは我等われら彼所󠄃かしこをめぐらしてイスラエルの子孫ひと〴〵まちならざる外國よそぐにひとまちにいるべからずギベアに進󠄃すゝみゆかんと 13 すなはちそのしもべにいひけるはきたわれらギベアかラマか是等これらところひとつつき止宿やどらんと 14 みなすすみきけるがベニヤミンのギベアの近󠄃邊ほとりにてくれたれば 15 ギベアにゆきて宿やどらんとて其所󠄃そこをめぐらしいりまちちまたしけるにたれかれいへひき宿やどらしむるものなかりき

16 とき一人ひとり老人としよりぐれ田野はたけ働作はたらきをやめてかへりきたる此人このひとはエフライムやまものにしてギベアに寄寓とゞまれるなりたゞ此處このところひとはベニヤミンびとなり 17 かれをあげて旅人たびゞとまちちまたにをるをたり老人としよりすなはちいひけるはなんぢ何所󠄃いづくにゆくなるや何所󠄃いづくよりきたれるやと 18 そのひとこれにいひけるはわれらはベテレヘムユダよりエフライムやまおくにおもむくものなりわれ彼所󠄃かしこものにてすでにベテレヘムユダにゆきいまヱホバのいへいたらんとするなるがたれもわれをいへひくものあらず〘370㌻〙 19 され驢馬ろばわら飼蒭かひばもあり又󠄂またわれなんぢしもめおよびしもべとともなる少者わかものもちふべき食󠄃物くひものさけありなに事缺ことかくるところなし 20 老人としよりいひけるはねがはくはなんぢやすかれなんぢもとむるものわれそなへんたゞちまた宿やどるなかれと 21 かれをそのいへ驢馬ろばくさかかれらすなはちあしをあらひて食󠄃飮くひのみせしが

22 そのこゝろたのしませをるときにあたりてまち人々ひと〴〵よこしまなるものそのいへをとりかこみうちたたきていへ主人あるじなる老人としよりなんぢいへにきたれるひとをひきいだわれらこれををかさんと
 485㌻ 
23 こゝおいいへ主人あるじなるひとかれらの所󠄃ところにいでゆきてこれにいひけるはいなわが兄弟きやうだいあくをなすなか此人このひとすでにわがいへにいりたればこのおろかなることをなすなかれ 24 處女をとめなるむすめ此人このひとめかけとあるによりわれこれをいまつれいだすべければなんぢらかれらをはづかしめ汝等なんぢらこのむところをこれにたゞこのひとにはかゝおろかなることすなかれと 25 しかるにその人々ひと〴〵これをきゝいれざるにより其人そのひとそのめかけをとりてこれをかれらの所󠄃ところにいだしやりければすなはちこれををかして朝󠄃あしたにいたるまで終󠄃夜よもすがらこれをはづかしめのいづるころにいたりてはなてり 26 こゝをもて婦󠄃をんな黎明あけぼのにきたりてそのをつとのをるかのひといへかどたふのあくるまで其處そこふしをる

27 そのしゆ朝󠄃あしたにおよびておきいでいへをひらきていでさらんとせしがそのめかけ婦󠄃をんないへかどにたふれをりてしきみうへにおくをければ 28 これにむかひ起󠄃おきわれいでゆかんといひたれどもなにこたへもあらざりきこれによりてそのひとこれを驢馬ろばにのせたちておのれ所󠄃ところにおもむきしが 29 いへにいたるにおよびてかたなをとりそのめかけとらへてほねぐるみこれを十二分󠄃ぶんにたちわりてこれをイスラエルの四方よもさかひにおくりければ 30 これものみないふイスラエルの子孫ひと〴〵がエジプトのよりいでのぼりしより今日こんにちにいたるまでかくのごときことおこなはれしことなくえしことなしおもひをめぐらしあひはかりてふことをせよ

第20章

1 こゝおいてイスラエルの子孫ひと〴〵ダンよりベエルシバにいたりギレアデのにいたるまでみないできたりその會衆くわいしう一人いちにんのごとくにしてミヅパにおいてヱホバの前󠄃まへあつま 2 衆民たみかしらたるものすなはちイスラエルのすべて支派わかれかしらたちみづからかみたみ集會あつまりつるぎをぬくところの步兵ほへい四十萬人まんにんありき 3 ベニヤミンの子孫ひと〴〵はイスラエルの子孫ひと〴〵がミヅパにのぼれることをきけかくてイスラエルの子孫ひと〴〵この惡事あくじさまかたれといひければ〘371㌻〙 4 かのころされし婦󠄃をんなをつとなるレビのひとこたへていふわれわがめかけとともにベニヤミンのギベアに宿やどらんとてゆきたるに
 486㌻ 
5 ギベアのひと起󠄃おこりたちてわれをせめがをるいへをとりかこみてわれころさんとくはだ遂󠄅つひにわがめかけはづかしめてこれをしなしめたれば 6 われわがめかけをとらへてこれをたちわりこれをイスラエルの產業さんげふなる全󠄃地ぜんち遣󠄃おくれりかれらイスラエルにおいて淫事たはれわざをなしおろかなることをなしたればなり 7 汝等なんぢらみなイスラエルの子孫ひと〴〵なりいまなんぢらの意󠄃見おもひ思考かんがへをのべよ

8 たみみな一人ひとりのごとくに起󠄃たちていひけるはわれらはたれもおのれのてんまくにゆかずまたたれもおのれのいへにおもむかじ 9 われらがギベアになさんところのことこれなりすなはちくじにしたがひてこれせめ 10 われらイスラエルのすべて支派わかれうちおいて百にんより十にんにんより百にん萬人まんにんより千にんりてたみ糧食󠄃りやうしよくとらこれをしてベニヤミンのギベアにいたりかれらがイスラエルにおこなひたるそのおろかなることにしたがひてことをなさしむべしと 11 かくイスラエルの人々ひと〴〵みなあつまりてこのまちせめんとせしがそのあひむすべること一人いちにんのごとくなりき

12 イスラエルのもろ〳〵支派わかれ遍󠄃あまねひとをベニヤミンの支派わかれうち遣󠄃つかはしていひしめけるはなんぢらのうちこの惡事あくじのおこなはれしは何事なにごとぞや 13 さればギベアにをるかのよこしまなる人々ひと〴〵をわたせわれらこれをちうしてあくをイスラエルにたつべしとしかるにベニヤミンの子孫ひと〴〵はその兄弟きやうだいなるイスラエルの子孫ひと〴〵ことばきゝいれざりき 14 かへつてベニヤミンの子孫ひと〴〵邑々まち〳〵よりギベアにあつまりていでてイスラエルの子孫ひと〴〵たゝかはんとす 15 そのとき邑々まち〳〵よりいでたるベニヤミンの子孫ひと〴〵かぞふるにつるぎをぬく所󠄃ところひとまんせんありほかにまたギベアの居民ひとありてこれをかぞふるにせいへい七百にんありき 16 このすべてたみうち左手利ひだりぎきせいせい七百にんありみな投石器いしなげをもていしなぐるに毫末けすじもたがふことなし

17 イスラエルのひとかぞふるにベニヤミンをのぞきてつるぎをぬくところのもの四十萬人まんにんありきこれみな軍人いくさびとなり 18 こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵起󠄃たちあがりてベテルにのぼりかみとふ我等われらうちいづれ最初さきにのぼりてベニヤミンの子孫ひと〴〵たゝかふべきやとふにヱホバ、ユダ最初さきにといひたまふ

 487㌻ 
19 イスラエルの子孫ひと〴〵すなはち朝󠄃あさおきてギベアにむかひてぢんをとりけるが 20 イスラエルの人々ひと〴〵ベニヤミンとたゝかはんとてでゆきイスラエルの人々ひと〴〵行伍そなへをたててギベアにてかれらとたゝかはんとしければ〘372㌻〙 21 ベニヤミンの子孫ひと〴〵ギベアより進󠄃すゝみいでそのイスラエルびとまんせんうちたふせり 22 しかるにイスラエルのたみ人々ひと〴〵みづからふるひそのはじめ行伍そなへをたてし所󠄃ところにまた行伍そなへをたてたり 23 しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵のぼりゆきてヱホバの前󠄃まへゆふぐれまできヱホバにとふわれまた進󠄃すゝみよりてわが兄弟きやうだいなるベニヤミンの子孫ひと〴〵とたたかふべきやとヱホバかれせめのぼれといひたまへり

24 こゝおいてイスラエルの子孫ひと〴〵つぎまたベニヤミンの子孫ひと〴〵所󠄃ところせめよするに 25 ベニヤミンまたつぎギベアより進󠄃すゝみてこれにいであいふたゝびイスラエルの子孫ひと〴〵まん千人せんにんうちたふせりこれみなつるぎをぬくところのものなりき 26 斯在かかりしかばイスラエルの子孫ひと〴〵たみみなのぼりてベテルにいたりて其處そこにてヱホバの前󠄃まへすわりそのゆふぐれまで食󠄃しよく燔祭はんさい酬恩祭しうおんさいをヱホバの前󠄃まへさゝ 27 しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバにとへり(そのころかみ契󠄅約けいやくはこ彼處かしこにありて 28 アロンのエレアザルのなるピネハス當時そのころこれにつかへたり)すなはいひけるはわれまたもいでてわが兄弟きやうだいなるベニヤミンの子孫ひと〴〵とたたかふべきやまたやむべきやヱホバいひたまふのぼれよ明日あすはわれなんぢにかれらをわたすべしと

29 イスラエルこゝおいてギベアの周󠄃圍まはりふくへい 30 しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵三日みつかにまたベニヤミンの子孫ひと〴〵所󠄃ところせめのぼり前󠄃まへのごとくにギベアにむかひて行伍そなへをたてたれば
 488㌻ 
31 ベニヤミンの子孫ひと〴〵たみいであひしが遂󠄅つひまちより誘出おびきいだされたり彼等かれらはじめたみ大路おほぢにて前󠄃まへのごとくイスラエルのひとじふにんばかりころせりその大路おほぢ一筋ひとすぢはベテルにいたり一筋ひとすぢのギベアにいた 32 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはちかれらははじめのごとくわれらに擊破うちやぶらるとしかるにイスラエルのひと我等われら逃󠄄にげかれらをまちより大路おほぢおびいださんと 33 イスラエルの人々ひと〴〵みなその所󠄃ところ起󠄃たちりバアルタマルに行伍そなへをたてたりしかしてふくへいそのところよりすなはちギベアの野原のはらより起󠄃おこれり 34 イスラエルの全󠄃ぜんぐんうちより選󠄄拔えりぬきたるつはものまんきたりてギベアをおそその戰鬪たたかひはげしかりしがベニヤミンびと葘害󠄅わざはひおのれにのぞむをしらざりき 35 ヱホバ、イスラエルのまへにベニヤミンをうちやぶりたまひしかばイスラエルの子孫ひと〴〵そのベニヤミンびとまんせん一百いつぴやくにんころせりこれみなつるぎをぬくところのものなり

36 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはちおのれうちやぶらるるをたりさてイスラエルの人々ひと〴〵そのギベアにむかひてまうけたる所󠄃ところふくへいたのみてベニヤミンびと避󠄃さけ退󠄃しりぞきけるが〘373㌻〙 37 ふくへい急󠄃いそぎてギベアにつきいりふくへい進󠄃すゝみて刃󠄃やいばをもてまちこと〴〵うて 38 イスラエルの人々ひと〴〵とそのふくへいとのあひださだめたるあひまちよりおほいなる黑烟くろけむりをあげんとのことなりき 39 イスラエルの人々ひと〴〵戰陣たたかひより退󠄃しりぞくベニヤミンはじめほどはイスラエルの人々ひと〴〵ちて三ぜんにんばかりころすなは彼等かれらはまことに最初はじめいくさのごとく我等われらうちやぶらると 40 しかるに火焔ほのほけむりはしらなしてまちよりのぼりはじめしかばベニヤミンびとうしろかへりしにまちみなけむりとなりて空󠄃そらにのぼる 41 ときにイスラエルの人々ひと〴〵ふりかへりしかばベニヤミンの人々ひと〴〵葘害󠄅わざはひのおのれに迫󠄃せまるを狼狽うろた 42 イスラエルの人々ひと〴〵前󠄃まへよりをめぐらして途󠄃みちにおもむきけるが戰鬪たたかひこれに追󠄃おひせまりて遂󠄅つひにその邑々まち〳〵よりいでたるものどもそのうち戰死うちじに 43 イスラエルのひとすなはちベニヤミンびとをとりまきてこれ追󠄃おひうち容易たやすくこれをふみたふしてひがしかたギベアの對面むかひにまでおよべり
 489㌻ 
44 ベニヤミンのたふるるものまんせんにんこれみな勇士ゆうしなり 45 こゝ彼等かれらをめぐらしてかたににげリンモンのいはにいたれりイスラエルのひと大路おほぢにて彼等かれらせんにんうちとりなほもこれを追󠄃おひうちてギドムにいたりその二せんにんころせり 46 こゝをもてそのベニヤミンのたふれしものつるぎをぬくところのひとあはせて二まんせんなりきこれみな勇士ゆうしなり 47 たゞぴやくにんものをめぐらしてかたにのがれリンモンのいはにいたりて四月よつきがあひだリンモンのいはにをる 48 こゝおいてイスラエルの人々ひと〴〵またをかへしてベニヤミンの子孫ひと〴〵をせめ刃󠄃やいばをもてまちひとよりけものにいたるまですべにあたるものまたそのいたるところの邑々まち〳〵をかけたり

第21章

1 イスラエルの人々ひと〴〵かつてミヅパにてちかいひけるは我等われらうち一人ひとりもそのむすめをベニヤミンのつまにあたふるものあるべからずと 2 こゝたみベテルにいた彼處かしこにてゆふぐれまでかみ前󠄃まへすわこゑはなちていた 3 いひけるはイスラエルのかみヱホバよなんぞイスラエルにかゝること起󠄃おこ今日こんにちイスラエルにひとつ支派わかれかくるにいたりしやと 4 しかして翌󠄃日あくるひたみつと起󠄃おき其處そこだんきづ燔祭はんさい酬恩祭しうおんさいをささげたり 5 こゝにイスラエルの子孫ひと〴〵いひけるはイスラエルの支派わかれうちたれ會衆くわいしうとともにのぼりてヱホバにいたらざるものあらんとかれらミヅパにきたりてヱホバにいたらざるものことにつきておほいなるちかひをたてて其人そのひとをばかならずしなしむべしといひたればなり 6 イスラエルの子孫ひと〴〵すなはちその兄弟きやうだいベニヤミンのこと憫然あはれにおもひて今日こんにちイスラエルにひとつ支派わかれ〘374㌻〙 7 我等われらヱホバをさしてわれらのむすめをかれらのつまにあたへじとちかひたればかれ遺󠄃のこれ者等ものどもつまをめとらしめんには如何いかにすべきや

8 又󠄂またふイスラエルの支派わかれうちいづれものかミヅパにのぼりてヱホバにいたらざるとしかしてるにヤベシギレアデよりは一人ひとりぢんえいにきたり集會あつまりのぞめるものなし
 490㌻ 
9 すなはたみをかぞふるにヤベシギレアデの居民ひと一人ひとり其處そこにをらざりき 10 こゝおい會衆くわいしう勇士ゆうしまんせん彼處かしこ遣󠄃つかはこれめいじてゆき刃󠄃やいばをもてヤベシギレアデの居民ひと婦󠄃女兒女をんなこどもをもあますなかれ 11 なんぢかくおこなふべしすなは汝等なんぢら男人をとこおよびをとこいねたる婦󠄃人をんなをばこと〴〵ほろぼつくすべしと 12 彼等かれらヤベシギレアデの居民ひとうちにて四ひやくにんわか處女をとめたりこれいまをとこいねをとこしりしことあらざるものなりかれらすなはちこれをシロのぢんえいひききたるこれはカナンのにあり

13 かく全󠄃ぜん會衆くわいしうひとをやりてリンモンのいはにをるベニヤミンびとかたらはしめ和睦やはらぎをこれにのべしめたれば 14 ベニヤミンすなはち其時そのときかへりきたれりこゝにおいてかれらヤベシギレアデの婦󠄃人をんなうちよりいかしおきたるところの女子をんなこれにあたへけるがなほたらざりき 15 ヱホバ、イスラエルの支派わかれうちかけしやうぜしめたまひしによりたみベニヤミンのこと憫然あはれにおもへり

16 會衆くわいしう長老としよりたちいひけるはベニヤミンの婦󠄃女をんなたえたれば遺󠄃のこれる者等ものどもつまをめとらせんには如何いかにすべきや 17 又󠄂またいひけるはベニヤミンのうち逃󠄄のがれたる者等ものども產業さんげふあらしめんしからばイスラエルにひとつ支派わかれ消󠄃きゆることなかるべし 18 さりながら我等われら我等われら女子むすめかれらのつまにあたふべからずはイスラエルの子孫ひと〴〵ちかひをなしベニヤミンにつまあたふるもののろはれんといひたればなりと 19 しかして歳々とし〴〵シロにヱホバのまつりありとそのところはベテルのきたにあたりてベテルよりシケムにのぼるところの大路おほぢひがしレバナのみなみにあり 20 こゝおいてかれらベニヤミンの子孫ひと〴〵めいじてなんぢらゆきて葡萄園ぶだうばたけしてうかゞ 21 もしシロのむすめどもまひをどらんといできたらば葡萄園ぶだうばたけよりでシロのむすめうちより各人おの〳〵つまとりてベニヤミンの 22 もしその父󠄃ちゝあるひは兄弟きやうだいきたりてわれらにうつたへなばわれらこれにふべし請󠄃さいはひかれらをわれらにとらせよ我等われら戰爭いくさときみなことごとくそのつまをとりしにあらざればなり汝等なんぢらいまかれらにあたへしにあらざれば汝等なんぢらつみなしと
 491㌻ 
23 ベニヤミンの子孫ひと〴〵すなはちかくおこなひそのをどれる者等ものどもとらへてそのうちよりおのれかずにしたがひてつまゆきてそのにかへり邑々まち〳〵たてなほして其處そこ住󠄃すめ〘375㌻〙 24 かくてイスラエルの子孫ひと〴〵そのとき其處そこさり各人おの〳〵その支派わかれきそのやからにいたれりすなは其處そこよりいで各人おの〳〵そのにいたりぬ

25 當時そのころはイスラエルにわうなかりしかば各人おの〳〵そのよしるところをなせ〘376㌻〙
 492㌻